阿蘇エリア

阿蘇地域は阿蘇市、阿蘇郡を所管しています。標高が200~900mと高低差が大きく、年平均気温は11~14℃で気候は冷涼であり、年間降水量は県内平坦地の1.5倍となっています。
農業生産は、減農薬・減化学肥料栽培による水稲(阿蘇コシヒカリ)や大豆、飼料用稲(WCS)、飼料作物が栽培され、水田裏作として麦が導入されています。野菜は夏季の冷涼な気候を活かした夏秋野菜産地として、トマト、アスパラガス、ホウレンソウ、ナス、ダイコン、キャベツなどが栽培されるほか、冬季にはイチゴの生産が行われています。また、花きでは、トルコギキョウ、リンドウなどが栽培されています。さらに、畜産では広大な牧野(放牧、採草)を活用した肉用牛繁殖経営や、大規模酪農経営が営まれています。

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県北広域本部 阿蘇地域振興局 農業普及・振興課

〒869-2612 阿蘇市一の宮町宮地2402

電話:0967-22-0622

FAX :0967-22-3563

阿蘇エリア普及現地情報

2025年4月

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牧野組合情報交換会を開催

世界農業遺産の構成要素である牧野は近年、有畜農家の高齢化や離農によって、「野焼き」「放牧」「採草」による草原の維持が年々困難になってきています。そこで、阿蘇の広大な牧野の維持・再生及び肉用牛生産の拡大を図るため、2月25日、28日に牧野組合及び管内関係機関(延べ84名)を参集し、牧野組合情報交換会を開催しました。
牧野における畜産的利用(放牧・採草)を推進するうえで必要な情報・支援策として、放牧ICTの取組(首輪や耳標による位置情報取得)や放牧衛生に係る情報提供を行い、意見交換しました。出席者からは牧野の保全に係る補助金の拡充やさらなる牧野活性化に資する取り組みを求める声をいただきました。
現在、飼料や肥料等の価格高騰や子牛価格低迷により、生産現場にとって非常に厳しい状況に直面しています。そのため、改めて阿蘇地域で草原を活用することの重要性はますます高まっています。
農業普及・振興課としては、引き続き、阿蘇の広大な草地資源の有効利用とICT機器等の新しい技術の導入に向けた支援を行い、阿蘇の畜産振興に取り組んでいきます。

2025年4月

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試食に並ぶ参加者
放牧肥育したジャージー牛(焼肉用)

放牧肥育したジャージー牛試食会を開催

小国地方で飼育されているジャージー牛は雌が生まれた場合は搾乳用に育成されますが、雄は肥育しても飼料効率が悪いため、生後間もなく人の口に入ることがないまま処分されてしまい、アニマルウェルフェアの観点からも利活用方法の検討が必要です。
現在、若手農業者である阿蘇さとう農園では処分されるジャージー雄子牛を阿蘇の草原を活かした放牧肥育を行い販売することで、1頭でも多くの命を救い、それを経営として成り立たせ、牧野の維持にも役立てることができないか、試験に取り組まれています。
今回2月5日に、局大会議室において放牧肥育で育ったジャージー牛の試食会の開催を開催しました。試食会には50人以上の局職員が参加し、ジャージー牛を堪能するとともに、阿蘇地域における牧野維持及びジャージー牛のおかれている状況についての理解を深めることができました。
当課では引き続き基本的な牧野利用を推進するとともに、このような若手農業者の取組みも含めて、支援していきます。

2025年4月

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自動操舵システム実演の様子
導入したシステム

自動操舵システム搭載トラクター実演会を開催

現在、農業の抱える問題は、高齢化や担い手不足、規模拡大に対応するための労働力確保などがあり、その解決の一方策として、機械の効率化や作業の省力化に繋がるスマート農業への取組推進が展開をされています。一般的に、自動操舵機能が搭載されている農業機械等は高価であり、購入ハードルが高い状態です。
そこで、2月28日、阿蘇市内牧ほ場にて、既存所有の農業機械にも搭載できる自動操舵システムの実演会を実施しました。この自動操舵システムとは、所有するトラクターにGNSS(GPS)受信機とモータ付きハンドル、モニターを取付け、ハンドルを自動で制御するシステムです。初回に経路設定を行えば自動で作業を行うため作業者の負担軽減が可能です。
今回実演を行った自動操舵装置は、直線作業を自動で作業していくタイプで比較的安価で導入できます。転回だけは作業者が行いますが、それ以降は自動操舵装置が場所を自動調整するため、大幅な作業負担の軽減につながります。
今後も、地域での導入を進めていき、非熟練者でも熟練者と同等以上の精度、速度で作業が可能か検証を行っていきます。

2025年4月

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ほ場の位置図
フレコンバッグ堆肥

菊池から阿蘇へ 堆肥の広域流通の取組みについて

近年、世界情勢の不安定、また穀物需要の増加により肥料価格が高騰しています。阿蘇地域ではこれまで管内の畜産農家と耕種農家での耕畜連携により堆肥を還元していますが管外との連携はありません。現在、菊池地域は、TSMC進出に伴い、農地が減少しており、将来的には、堆肥の還元場所が不足することが考えられます。一方で、阿蘇地域の耕種農家からは肥料分ある堆肥施用を望む声がありました。そこで、今回、試験的に菊池地域から阿蘇地域への堆肥の広域流通試験を実施しました。
堆肥は、豚糞堆肥を約70t導入し、堆肥の形状はバラではなく新たにフレコンバッグで輸送を行い、耕種農家が管理する約60haの水田に散布しました。これにより耕種農家が時期を問わず、適切な時期に散布が可能となります。また、今回、耕種農家のほ場は分散しており、これまで、堆肥舎で堆肥を積み込み、遠いほ場までの運搬には20分程度かかり、散布を行っていました。フレコンバック堆肥での散布体系では、堆肥保管庫からのユニックによる搬送、フォークリフトによるマニュアスプレッダー積み込作業が可能になります。今後、今回の散布体系と既存体系と比較して、どのような違いや効果があったか検討を行い、堆肥の広域流通体系の確立に向けて取り組んでいきます。

2025年4月

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基調講演「鳥獣被害対策」の様子
農業普及・振興課の活動報告

阿蘇地域農業担い手シンポジウムを開催

阿蘇地域における認定農業者や集落営農組織などの地域農業の担い手を対象に、自らの経営改善や資質向上を目的として、2月27日に阿蘇地域農業担い手シンポジウムを開催しました。
当日は、認定農業者等58名参加のもと、株式会社イノPの稲葉達也 取締役に「地域と畑は自分たちで守る~実践から学ぶ!鳥獣被害対策~」という題目で御講演いただき、他地域の事例を交えながら、現場で役立つ対策手法について学ぶことができました。講演終了後には、多くの参加者が熱心に質問する姿が見られ、鳥獣害対策に関する関心の高さが伺えました。
また、当日は基調講演に加え、県関係機関(農業普及・振興課、阿蘇家畜保健衛生所、高原農業研究所、草地畜産研究)から活動成果及び研究成果を報告し、当課からは「トルコギキョウの土壌病害対策の取組み」について発表を行いました。
今後も農業普及・振興課では、地域農業の振興を図るため、担い手の確保・育成と資質向上に係る取組みを継続して行っていきます。

2025年3月

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青色申告基礎・活用講座の様子

阿蘇地域ニューファーマーズセミナーの開催

新規就農者が多い阿蘇地域では、新規就農者や若手農業者の方々に営農技術や経営管理に関する知識を学んでいただくことを目的として、毎年1~2月にかけて阿蘇地域ニューファーマーズセミナー(全2回の研修会)を開催しています。
第1回目となる1月27日には、新規就農者等29名参加のもと「青色申告基礎・活用講座」と題して、久保寺先生(久保寺恵子税理士事務所)を講師に招き、青色申告の必要性やメリット、青色申告をするための簿記記帳の基礎について、具体例を交えながら分かりやすく説明いただき、研修会終了後も熱心に質問する参加者の姿が多数見られました。
また、来月開催予定の第2回目研修会(2月27日)では、株式会社イノPの稲葉達也 取締役を講師に招き、「鳥獣被害対策」をテーマに基調講演をいただく他、県関係機関からも研究成果や活動事例の報告を行う予定としています。
今後も当課では、新規就農者の営農定着を図るため、新規就農者や若手農業者に対して、研修を通じた学びの機会の提供を行っていきます。

2025年2月

品質審査の様子
当課職員による講話

高品質な粗飼料生産を目指した サイレージ品評会が開催されました

輸入飼料等価格が高止まりする中、畜産経営を安定させるためには高品質な粗飼料生産及び頭数に応じた必要量の確保が不可欠です。阿蘇地域では、牧野を利用した採草や水田をフル活用した(稲WCS及びイタリアンライグラスの2毛作)粗飼料生産が盛んに行われており、自給飼料を活用した低コスト生産の取組みが進められています。
そのような中、JA阿蘇一の宮畜産部会では、毎年、部会員の粗飼料生産に対する意識向上及び品質評価のため「サイレージ品評会」が開催されています。今年は12月17日に開催され、4部門(サイレージ、ヘイレージ、稲WCS、乾草)に計27点の出品があり、当課及び草地畜産研究所職員が水分や色・香り等により審査を行いました。今年は、春秋ともに収穫時期は天候不順であり、作業の遅れによる品質低下が心配されましたが、今回出品されたものの多くは、外観・品質ともに良好に調製されていました。
また、審査中、審査会場隣りのハウスでは、出品者を集めて当課職員により「畜産の動向と県有種雄牛の紹介」についての講話も実施しました。
当課では、今年度、シバ草地及び夏牧草(スーダングラス)の展示ほを南阿蘇村に設置し、阿蘇地域に適した草種の選定についても取組みました。今後も同様な取組を継続し、高品質な粗飼料生産に向けた支援を行っていきます。

2025年2月

トルコギキョウ生産者の個別面談を初めて実施

JA阿蘇南阿蘇花卉部会では、トルコギキョウが9戸・約3haで栽培されており、近年は栽培面積の増加により販売金額は向上しているものの、土壌病害の発生や高温による採花ロス等により反収は低下傾向でした。また、本年度から部会の販売方法が共選から個選へ変わり、生産者間の単価差が拡大する等の課題がありました。
そこで、部会からの要望もあり、12月23日に初めて生産者の個別面談を実施しました。実施にあたっては、まず、JAに過去3年間における部会及び個人の販売実績や階級、面積を算出いただき、農業普及・振興課でそれらを分析、グラフ化しました。面談ではそれらを各生産者に示し、反収や月別の階級・単価を部会平均と比較して経営の課題を洗い出し、次年度の対策について指導を行い、意見交換しました。
生産者からは、「これまで実績をきちんと振り返る機会はなかったので、とても参考になった」や「次年度の方向性について意見交換できてよかった」等、前向きな意見が多くありました。今回の取組みにより、各生産者の反収や単価低下の原因を明確にでき、次年度の重点指導事項を関係者で共有する良い機会となりました。
今後は、面談で得た情報をもとに、要点を絞った個別指導を実施し、各生産者の所得向上に向けた取組みを効率的に進めていきます。

2025年2月

調査の様子
意見交換の様子

スマート農機で農作業を効率化・省力化

阿蘇地域では、昨年度に引き続き、全国農業システム化研究会と連携して、スマート農機の活用による水稲栽培作業の効率化・省力化の実証試験を行っています(4月現地情報報告)。
これまで、基幹作業(基肥散布、代かき、田植え)の調査を行い、雨の影響で5月から延期していた耕起作業の調査を令和6年12月3日に行いました。また、令和6年7月22日に締結した「スマート産業人材育成に関する連携協定」(8月現地情報報告)の一環として、阿蘇中央高等学校とも連携し、来年度のスマート農業に関する取組みや調査等について意見交換しました。高校では、スマート農機による省力化の実証調査を計画しており、今回の調査を参考として、引き続き連携して行っていくことになりました。
今後は、2ヵ年の実証試験で得られた成果を取りまとめ、来年2月に開催される最終成績検討会にて結果報告を行うとともに、地域営農法人を中心とした管内農業関係者へ情報共有を行います。そして、スマート農業を活用した技術体系の確立を図り、経営体の所得向上に向け、引き続き支援します。

2025年2月

12/5地域別連携会議(北部)
12/9地域別連携会議(南部)

地域営農法人の地域別連携会議を開催

阿蘇地域では、地域営農法人の設立が平成27年度から進み、現在、20法人が水稲栽培を中心に活動しています。今後、法人役員や構成員の高齢化が進むと、法人の運営・経営を担うリーダー確保や人材育成が大きな課題となり、農地の立地条件が近い法人は課題の傾向も類似していると考えられ、法人間の連携した取組みも必要となります。
そこで、管内を①北部(南小国町・小国町・産山村)、②南部(高森町・南阿蘇村・西原村)、③中部(阿蘇市)の3地域に分け、法人の抱える課題の共有化や解決に向けた意見交換をメインとした地域別連携会議を12月5日(①北部)と12月9日(②南部)に開催しました。
会議では、まず法人活動状況調査や労働力に関するアンケート調査結果を説明した後、各法人から自己紹介も兼ねて活動状況等を報告いただきました。次に中山間地域における収益確保や担い手確保などの法人活動事例を紹介し、意見交換に入りました。
初めての取り組みで意見が出るか不安でしたが、やってみると北部地域・南部地域とも自発的な意見が積極的に交わされ、他の法人の取り組みに対する質問や、自分たちの法人活動にアドバイスを求める声、行政に対する補助事業や助成制度の要望など、様々な意見交換を行うことができました。
今回の会議を踏まえ、来年度も地域別連携会議について内容を検討して開催し、関係機関とともに法人間の連携強化に向けて取り組んで参ります。

2025年1月

審査(打ち合わせ)の様子
審査に合格した直接検定候補牛

優れた種雄牛造成に向けた取り組み ~候補牛の審査を実施~

畜産業振興の基礎となる家畜の改良増殖には長い年月と多大な労力を必要としますが、優秀な種畜がもたらす便益は大きく、阿蘇地域では県畜産関係者団体、生産者が一丸となり、肉用牛の改良に取り組んでいます。
本県では遺伝的能力評価に基づく種雄牛の作出を実施しており、その候補牛は指定雌牛と呼ばれる県内トップクラスの高能力を有する雌牛から生まれた雄産子が対象となります。なお、指定雌牛は、県内では80頭(黒毛30頭、褐毛50頭)が選抜されますが、そのうち47頭(黒毛10頭、褐毛37頭)は阿蘇地域からとなっています。
指定雌牛から生まれた候補牛は3~4ヶ月齢時点での1次審査、4~5ヶ月齢時点での2次審査により、発育や体型の審査、様々な病気の検査を実施します。合格した牛は本県が購入し、畜産研究所での検定や厳しい選抜が実施され、年に2~3頭程度が基幹種雄牛(5歳)になることができます。
本年度は、既に阿蘇地域からの候補牛の買い上げ頭数が4頭(褐毛)となっており、今月は6頭の1次審査(かなり多い)と、1頭の2次審査を実施しました。関係機関による適正な飼養管理の指導と生産者の協力のもと、例年にない頭数の候補牛が確保できています。
当課では、引き続き阿蘇地域から肉用牛の改良に資する優れた種雄牛造成を目指し、本県の家畜改良増殖目標に沿った畜産経営の推進を図っていきます。

2025年1月

現地検討会の様子
花が揃って咲いているほ場の様子

「阿蘇いちご」厳寒期に向け準備中です。

阿蘇地域では10月28日からイチゴの出荷が始まり、初日は約790パックが出荷され、現在は約10,000パック/日のペースで「ゆうべに」や「恋みのり」が出荷されています。12月上旬には1番花が出揃い、12月中旬にピークを迎える見込みです。
今後の厳寒期は、日照時間の減少や低温、着果負担により株の草勢が弱くなります。促成イチゴの栽培では、冬季に加温機を使用してハウス内の温度を確保しながら栽培を行いますが、阿蘇地域は、冬季の暖房費が平坦地より年間6万円/10a程度多く掛かります。そこで、より効率的な栽培技術を検討するため厳寒期の管理について現地検討会を行いました。検討会では、当課からハウス内の温度管理や電照時間、摘花などについて説明を行いました。また、農薬メーカーから花粉交配用ミツバチの管理方法や、注意点等について説明を行いました。
検討会の中では、現在の出荷状況や、電照の開始時期、ハウス内の夜温を栽培指針より2℃高く設定することなどが盛んに議論され、参加者からは「費用が掛かっても、それ以上に稼げば良い」などの品質及び収量向上を優先する意見が出されました。
当課では、今後も引き続き、阿蘇地域におけるイチゴの生産安定・収量向上技術の確立に向け、支援していきます。

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