阿蘇エリア

阿蘇地域は阿蘇市、阿蘇郡を所管しています。標高が200~900mと高低差が大きく、年平均気温は11~14℃で気候は冷涼であり、年間降水量は県内平坦地の1.5倍となっています。
農業生産は、減農薬・減化学肥料栽培による水稲(阿蘇コシヒカリ)や大豆、飼料用稲(WCS)、飼料作物が栽培され、水田裏作として麦が導入されています。野菜は夏季の冷涼な気候を活かした夏秋野菜産地として、トマト、アスパラガス、ホウレンソウ、ナス、ダイコン、キャベツなどが栽培されるほか、冬季にはイチゴの生産が行われています。また、花きでは、トルコギキョウ、リンドウなどが栽培されています。さらに、畜産では広大な牧野(放牧、採草)を活用した肉用牛繁殖経営や、大規模酪農経営が営まれています。

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県北広域本部 阿蘇地域振興局 農業普及・振興課

〒869-2612 阿蘇市一の宮町宮地2402

電話:0967-22-0622

FAX :0967-22-3563

阿蘇エリア普及現地情報

2025年7月

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JA阿蘇小国郷ほうれんそう部会総会・出荷査定会の様子
遮光資材利用アンケート結果(グラフ)

JA阿蘇小国郷ほうれんそう部会令和6年度総会 および令和7年度出荷査定会の開催

阿蘇地域の北部に位置する小国郷(小国町、南小国町)では、冷涼な気候を生かし、年間を通してほうれんそうが栽培されています。JA阿蘇小国郷ほうれんそう部会は79名の生産者で構成され、5月20日に令和6年度総会および令和7年度出荷査定会が開催されました。
総会では、令和6年度の成績優秀者の表彰や事業実績の報告などが行われ、出荷査定会では昨年度の出荷販売実績の報告や今年度の出荷規格等、部会の取扱方針についての説明がありました。
JA阿蘇小国郷ほうれんそう部会は生産者の高齢化や新規就農者の減少に伴い、栽培面積や出荷量の減少が課題となっています。そこで、当課から部会における経営継承支援の具体的な取り組み内容について説明を行い、経営継承に対する意識の向上を図りました。また、近年の温暖化に伴う高温対策として、遮光資材の利用状況を把握するためアンケートを実施した結果、67%の方が対策を取られていることが分かりました。今後は、各種事業の活用による遮光資材の導入推進に加え、講習会等を通して、資材の利用率向上に取り組み、更なる収量向上を目指します。
農業普及・振興課では、今後も園芸品目の生産安定化に向けて、JA阿蘇等関係機関と連携し、支援して参ります。

2025年7月

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直播と鎮圧作業の様子
出芽の様子

水稲乾田直播で省力化・低コスト栽

阿蘇地域では、生産者の高齢化や担い手不足により、土地利用型営農法人(以下、法人)に農地が集積し、経営面積が拡大しています。しかし、法人では規模拡大に対応するための労働力が限られているため、特に作業が集中する春作業(育苗、代かき等)の労力軽減が課題となっています。そこで、当課では株式会社クボタと連携して、水稲乾田直播による省力化・低コスト栽培の実証試験を行っています。
試験は阿蘇市の法人が管理する圃場で行い、令和7年4月9日に播種し、5月12日に芽が出揃いました。乾田直播は代かき作業が省略される一方で、漏水を防止する鎮圧作業が必要となるため、本試験ではトラクター2台を用い、1台目のトラクターで播種した後、2台目のトラクターで鎮圧作業を行いました。現在のところ水稲の生育は順調であるものの、試験を実施している法人からは、「水稲の生育や天候、雑草の発生状況を見極めながらの除草管理は気を遣う」との声がありました。
今後、水稲の生育や収量、品質、作業時間、経費等を調査し、省力化・低コスト化の効果を検証します。また、得られた成果は、阿蘇管内の法人に対して情報提供し、技術に関する意見等を募ることで、来年度の実証試験の改善を図ります。そして、管内での技術確立及び普及定着により、効率的で安定的な生産による法人の所得向上につなげて参ります。

2025年6月

研修会の様子

水稲の高温対策研修会が開催されました

阿蘇地域は県下有数の米どころで、一般的に5月に田植えを行い、9~10月に収穫します。冷涼な気候を生かし、特別栽培米など特色ある米づくりも盛んに行われ、雄大な阿蘇の麓で栽培される米は、実需者からも高い評価を得ています。
しかし、近年は夏季の高温により、品質の低下が懸念される状況にあるため、JA阿蘇は4月22日に「水稲生産における高温対策研修会」を開催しました。生産者及びJA阿蘇の代表理事組合長はじめ役員・職員が多数参加する中、農業普及・振興課及びJA熊本経済連からそれぞれ高温対策に関する発表を行いました。
農業普及・振興課からは「高温障害に強い米づくり~基本技術の徹底~」と題し、高温対策に関する考え方や、土づくり、水管理など基本的技術について栽培のポイントを説明しました。また、JA熊本経済連からは全国的な傾向から見た高温対策の有用性や他県での取り組み事例報告のほか、自動給水装置やケイ酸質資材の紹介などがありました。本研修によって、生産者が自分の米づくりを見つめなおし、さらに良い米を作る意欲向上につながることが期待されます。
農業普及・振興課では、今後も阿蘇地域の水稲生産安定及び品質向上に向け、JA阿蘇をはじめ関係機関と連携し、支援して参ります。

2025年5月

地域営農法人研修会の開催

阿蘇地域では、地域営農法人の設立が平成27年度から進み、現在、20法人が水稲栽培を中心に活動しています。農業・農村地域の高齢化や担い手不足が進む中、今後は法人役員や構成員も高齢化が進み、法人の運営・経営を担うリーダー確保や人材育成が大きな課題になると考えられます。
そこで、地域営農法人の課題解決や安定的な運営に資するため、阿蘇地域集落営農連絡会と阿蘇地域農業振興協議会との共催により3月11日に研修会を開催したところ、法人の役員や関係機関等から40名の参加がありました。
研修会には別府大学の森宗一講師を招聘し、「地域営農法人の展開方向について~経営理念と人材育成~」をテーマに講演していただきました。負けない経営から始まり、人材育成の前に自身(法人)の目的や立ち位置を明らかにすること、それを構成員で共有すること、人材不足とはいつ・どんな業務に・どの程度不足しているのか具体的に把握すること、など大変分かりやすい言葉で説明いただき、受講した法人役員からは「現在直面している内容でとても有意義でした」「経営の基本的な考え方を理解することができた」など大変好評でした。また、関係機関からも「職場等に置き換えても利用できる考え方が沢山あった」など、それぞれの立場で参考になる研修となりました。
また、当課からは、「スマート農業を活用した水稲作の効率化・省力化の実証について」と「鳥獣被害防止対策について」の2点について情報提供を行いました。
今後も、地域営農法人の経営安定や課題解決に向け、関係機関と連携し支援して参ります。

2025年5月

阿蘇地方4Hクラブ活性化を目指した取り組み

阿蘇地方4Hクラブは、近年クラブ員数が減少するとともに、クラブ員同士の関係性も希薄となり活動も停滞気味になっていたことから、令和6年度は特にクラブ活動の活性化と新規クラブ員確保に力を注いできました。
クラブ活動では、八代地方4HクラブOBへの視察研修、農業機械メンテナンス講座などクラブ員の興味があり即実践で役立つような活動を計5回実施しました。八代地方4HクラブOBからは、農業経営手法だけでなく、4Hクラブの上手な活用法や人を寄せる秘訣などを学びました。
また、新しくInstagramの運用を始め、クラブ活動について定期的に情報発信するようにしました。このような取組みを続けたことで、新規クラブ員が加入・定着し、クラブ員数は7名から14名へ倍増しました。
最近は、クラブ員同士で夕食に行ったり、クラブ員が地域の若手農家をクラブに勧誘したりするなど少しずつ意識が変わり、活気が出てきています。これらの活動を踏まえ、令和7年度からは新たな役職として、「企画交流部長」、「広報部長」を新設し、活動体制の充実を図る予定です。
当課でもそれに対応できるよう、主査1名、副査6名で連携し、全員が主査の気持ちで、引き続きクラブ活動を支援していきます。

2025年4月

牧野組合情報交換会を開催

世界農業遺産の構成要素である牧野は近年、有畜農家の高齢化や離農によって、「野焼き」「放牧」「採草」による草原の維持が年々困難になってきています。そこで、阿蘇の広大な牧野の維持・再生及び肉用牛生産の拡大を図るため、2月25日、28日に牧野組合及び管内関係機関(延べ84名)を参集し、牧野組合情報交換会を開催しました。
牧野における畜産的利用(放牧・採草)を推進するうえで必要な情報・支援策として、放牧ICTの取組(首輪や耳標による位置情報取得)や放牧衛生に係る情報提供を行い、意見交換しました。出席者からは牧野の保全に係る補助金の拡充やさらなる牧野活性化に資する取り組みを求める声をいただきました。
現在、飼料や肥料等の価格高騰や子牛価格低迷により、生産現場にとって非常に厳しい状況に直面しています。そのため、改めて阿蘇地域で草原を活用することの重要性はますます高まっています。
農業普及・振興課としては、引き続き、阿蘇の広大な草地資源の有効利用とICT機器等の新しい技術の導入に向けた支援を行い、阿蘇の畜産振興に取り組んでいきます。

2025年4月

試食に並ぶ参加者
放牧肥育したジャージー牛(焼肉用)

放牧肥育したジャージー牛試食会を開催

小国地方で飼育されているジャージー牛は雌が生まれた場合は搾乳用に育成されますが、雄は肥育しても飼料効率が悪いため、生後間もなく人の口に入ることがないまま処分されてしまい、アニマルウェルフェアの観点からも利活用方法の検討が必要です。
現在、若手農業者である阿蘇さとう農園では処分されるジャージー雄子牛を阿蘇の草原を活かした放牧肥育を行い販売することで、1頭でも多くの命を救い、それを経営として成り立たせ、牧野の維持にも役立てることができないか、試験に取り組まれています。
今回2月5日に、局大会議室において放牧肥育で育ったジャージー牛の試食会の開催を開催しました。試食会には50人以上の局職員が参加し、ジャージー牛を堪能するとともに、阿蘇地域における牧野維持及びジャージー牛のおかれている状況についての理解を深めることができました。
当課では引き続き基本的な牧野利用を推進するとともに、このような若手農業者の取組みも含めて、支援していきます。

2025年4月

自動操舵システム実演の様子
導入したシステム

自動操舵システム搭載トラクター実演会を開催

現在、農業の抱える問題は、高齢化や担い手不足、規模拡大に対応するための労働力確保などがあり、その解決の一方策として、機械の効率化や作業の省力化に繋がるスマート農業への取組推進が展開をされています。一般的に、自動操舵機能が搭載されている農業機械等は高価であり、購入ハードルが高い状態です。
そこで、2月28日、阿蘇市内牧ほ場にて、既存所有の農業機械にも搭載できる自動操舵システムの実演会を実施しました。この自動操舵システムとは、所有するトラクターにGNSS(GPS)受信機とモータ付きハンドル、モニターを取付け、ハンドルを自動で制御するシステムです。初回に経路設定を行えば自動で作業を行うため作業者の負担軽減が可能です。
今回実演を行った自動操舵装置は、直線作業を自動で作業していくタイプで比較的安価で導入できます。転回だけは作業者が行いますが、それ以降は自動操舵装置が場所を自動調整するため、大幅な作業負担の軽減につながります。
今後も、地域での導入を進めていき、非熟練者でも熟練者と同等以上の精度、速度で作業が可能か検証を行っていきます。

2025年4月

ほ場の位置図
フレコンバッグ堆肥

菊池から阿蘇へ 堆肥の広域流通の取組みについて

近年、世界情勢の不安定、また穀物需要の増加により肥料価格が高騰しています。阿蘇地域ではこれまで管内の畜産農家と耕種農家での耕畜連携により堆肥を還元していますが管外との連携はありません。現在、菊池地域は、TSMC進出に伴い、農地が減少しており、将来的には、堆肥の還元場所が不足することが考えられます。一方で、阿蘇地域の耕種農家からは肥料分ある堆肥施用を望む声がありました。そこで、今回、試験的に菊池地域から阿蘇地域への堆肥の広域流通試験を実施しました。
堆肥は、豚糞堆肥を約70t導入し、堆肥の形状はバラではなく新たにフレコンバッグで輸送を行い、耕種農家が管理する約60haの水田に散布しました。これにより耕種農家が時期を問わず、適切な時期に散布が可能となります。また、今回、耕種農家のほ場は分散しており、これまで、堆肥舎で堆肥を積み込み、遠いほ場までの運搬には20分程度かかり、散布を行っていました。フレコンバック堆肥での散布体系では、堆肥保管庫からのユニックによる搬送、フォークリフトによるマニュアスプレッダー積み込作業が可能になります。今後、今回の散布体系と既存体系と比較して、どのような違いや効果があったか検討を行い、堆肥の広域流通体系の確立に向けて取り組んでいきます。

2025年4月

基調講演「鳥獣被害対策」の様子
農業普及・振興課の活動報告

阿蘇地域農業担い手シンポジウムを開催

阿蘇地域における認定農業者や集落営農組織などの地域農業の担い手を対象に、自らの経営改善や資質向上を目的として、2月27日に阿蘇地域農業担い手シンポジウムを開催しました。
当日は、認定農業者等58名参加のもと、株式会社イノPの稲葉達也 取締役に「地域と畑は自分たちで守る~実践から学ぶ!鳥獣被害対策~」という題目で御講演いただき、他地域の事例を交えながら、現場で役立つ対策手法について学ぶことができました。講演終了後には、多くの参加者が熱心に質問する姿が見られ、鳥獣害対策に関する関心の高さが伺えました。
また、当日は基調講演に加え、県関係機関(農業普及・振興課、阿蘇家畜保健衛生所、高原農業研究所、草地畜産研究)から活動成果及び研究成果を報告し、当課からは「トルコギキョウの土壌病害対策の取組み」について発表を行いました。
今後も農業普及・振興課では、地域農業の振興を図るため、担い手の確保・育成と資質向上に係る取組みを継続して行っていきます。

2025年3月

青色申告基礎・活用講座の様子

阿蘇地域ニューファーマーズセミナーの開催

新規就農者が多い阿蘇地域では、新規就農者や若手農業者の方々に営農技術や経営管理に関する知識を学んでいただくことを目的として、毎年1~2月にかけて阿蘇地域ニューファーマーズセミナー(全2回の研修会)を開催しています。
第1回目となる1月27日には、新規就農者等29名参加のもと「青色申告基礎・活用講座」と題して、久保寺先生(久保寺恵子税理士事務所)を講師に招き、青色申告の必要性やメリット、青色申告をするための簿記記帳の基礎について、具体例を交えながら分かりやすく説明いただき、研修会終了後も熱心に質問する参加者の姿が多数見られました。
また、来月開催予定の第2回目研修会(2月27日)では、株式会社イノPの稲葉達也 取締役を講師に招き、「鳥獣被害対策」をテーマに基調講演をいただく他、県関係機関からも研究成果や活動事例の報告を行う予定としています。
今後も当課では、新規就農者の営農定着を図るため、新規就農者や若手農業者に対して、研修を通じた学びの機会の提供を行っていきます。

2025年2月

品質審査の様子
当課職員による講話

高品質な粗飼料生産を目指した サイレージ品評会が開催されました

輸入飼料等価格が高止まりする中、畜産経営を安定させるためには高品質な粗飼料生産及び頭数に応じた必要量の確保が不可欠です。阿蘇地域では、牧野を利用した採草や水田をフル活用した(稲WCS及びイタリアンライグラスの2毛作)粗飼料生産が盛んに行われており、自給飼料を活用した低コスト生産の取組みが進められています。
そのような中、JA阿蘇一の宮畜産部会では、毎年、部会員の粗飼料生産に対する意識向上及び品質評価のため「サイレージ品評会」が開催されています。今年は12月17日に開催され、4部門(サイレージ、ヘイレージ、稲WCS、乾草)に計27点の出品があり、当課及び草地畜産研究所職員が水分や色・香り等により審査を行いました。今年は、春秋ともに収穫時期は天候不順であり、作業の遅れによる品質低下が心配されましたが、今回出品されたものの多くは、外観・品質ともに良好に調製されていました。
また、審査中、審査会場隣りのハウスでは、出品者を集めて当課職員により「畜産の動向と県有種雄牛の紹介」についての講話も実施しました。
当課では、今年度、シバ草地及び夏牧草(スーダングラス)の展示ほを南阿蘇村に設置し、阿蘇地域に適した草種の選定についても取組みました。今後も同様な取組を継続し、高品質な粗飼料生産に向けた支援を行っていきます。

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