阿蘇エリア

阿蘇地域は阿蘇市、阿蘇郡を所管しています。標高が200~900mと高低差が大きく、年平均気温は11~14℃で気候は冷涼であり、年間降水量は県内平坦地の1.5倍となっています。
農業生産は、減農薬・減化学肥料栽培による水稲(阿蘇コシヒカリ)や大豆、飼料用稲(WCS)、飼料作物が栽培され、水田裏作として麦が導入されています。野菜は夏季の冷涼な気候を活かした夏秋野菜産地として、トマト、アスパラガス、ホウレンソウ、ナス、ダイコン、キャベツなどが栽培されるほか、冬季にはイチゴの生産が行われています。また、花きでは、トルコギキョウ、リンドウなどが栽培されています。さらに、畜産では広大な牧野(放牧、採草)を活用した肉用牛繁殖経営や、大規模酪農経営が営まれています。

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県北広域本部 阿蘇地域振興局 農業普及・振興課

〒869-2612 阿蘇市一の宮町宮地2402

電話:0967-22-0622

FAX :0967-22-3563

阿蘇エリア普及現地情報

2026年7月

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阿蘇五岳を背に、一列に並んで田植え

「阿蘇水掛の棚田」で田植え

「阿蘇水掛の棚田」(阿蘇市)は、高齢化や後継者不足により荒廃していた棚田を公益財団法人「肥後の水とみどりの愛護基金」が再生し、平成23年から管理されています。当基金は、米作りを通じて地下水と景観を守る活動に取り組まれており、通算16回目を迎える今年の田植えは5月8日から6日間にわたり行われ、県内企業16社から社員ら944人の参加がありました。
松嶋阿蘇市長、深川農林水産部長も参加された5月9日は好天に恵まれ、子供達を含む参加者は、棚田に入って横一列に並び、田植え紐に沿って、泥にまみれながら苗を手植えしました。
10月には、田植え同様、多くの人が参加して稲刈りが行われる予定です。
当課としても、今後も基金の活動に賛同し、協力していきます。

2026年7月

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収穫間近のホームランスタ―メロン (5月25日、南阿蘇村両併)
出荷査定会と初出荷のメロン (5月29日、JA南部野菜センタ―)

令和8年産夏秋野菜の出荷開始 ~特色ある品目部会の生産活動支援②~

阿蘇地域では現在も数地区で春メロンの生産が行われています。中でも、南阿蘇村(旧白水村管内)では、標高400m地帯を中心に、生産農家6名でJA阿蘇「白水メロン部会」を組織し、約1.4haの規模で特色あるノーネット系メロン「ホームランスター」を栽培しています。
春の冷え込みが厳しい阿蘇地域の作型は、苗の定植が十分温度が確保できる3月上旬となり、県内平坦部の主産地よりも遅いスタートとなります。4月中旬から交配が始まりますが、全農家1蔓1果穫りで統一(1株2~3果穫り)し、ボリューム感のあるメロンづくりに取り組んでいます。本年産は、生育前半の夜間の冷え込みが厳しい日があり、生産農家にとっては今一つの感もあったようですが、巡回の限りでは、草勢・果実揃いともに良好で、病害虫被害もみられず、前年より平準化した出来映えの印象がありました。
5月29日には、令和8年産の初出荷を迎え、同日にJA集荷場で出荷査定会が開催されました。交配後約45日をほ場で過ごした果実は、収穫前の晴天と山間地ならではの日温度較差も相まって、全て15度以上の高糖度を有しており、“大きくて甘い”ことを満たしています。出荷は5月末から半月程度と限られますが、2kg以上の大玉は「場外ホームランメロン」と称して、規格品と区別して販売されます。

2026年7月

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新規参入を目指す農業研修生への巡回指導を開始

阿蘇地域は、農業に新規参入される方々から高い人気を誇る地域です。これまで農業師匠のもとで研修し、就農された方は平成28年度の創設時から数えて57名に上ります。農業師匠制度は阿蘇地域独自の研修制度で研修生の知識・技術の習得・経営基盤の確立に寄与しており、創設以来多くの研修生の就農への後押しを進めてまいりました。
このような中、令和8年5月28日に阿蘇市内の農業師匠のもとで研修を行っている研修生等を対象に、JA阿蘇・阿蘇市・地域就農支援アドバイザー・日本政策金融公庫および阿蘇農業普及・振興課で巡回指導を行いました。
当日は、農業師匠・研修生の圃場7か所を巡回し、現地での栽培管理や研修内容・就農準備等について現在の状況等の聞き取りを行いました。  
巡回先では農業師匠の指導のもと、研修生が精力的に作業をしながら汗を流しており、数年後の新規就農に向けて栽培技術はもとよりハウスの建て方や溝堀りなどあらゆる課題に対応できる幅広い技術を磨かれていました。
また当日は、農業師匠の高齢化に伴い新たな若い農業師匠候補者の検討を行いました。現在66名の農業師匠の登録がありますが、今後も安定的に研修生の受け入れができるよう関係機関で協議を行い、アスパラガスで3名の候補者を選出しました。
当課では、今後も担い手の確保・育成に向けた取り組みを継続し、新規就農者から選ばれる産地づくりを進めてまいります。

2026年7月

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農業大学校派遣研修の受け入れ

県立農業大学校では、農業についての理解を深めることや、就農等に必要な技術、技量、理念等を取得し、希望する進路実現につなげることを目的に、県内各地の先進的農家における派遣研修を毎年実施しています。阿蘇地域でも、地域の先進農家等にご協力いただき、1年生の農家派遣研修(5日間)と2年生の派遣研修(12日間)の受け入れを行いました。
1年生は5月18日から5月23日まで、5件の農家に8名が派遣されました。宿泊を伴う農家での研修が初めての者が多く、戸惑いもあったようですが、農業に携わる皆さんの理念に触れながら、しっかりと実習を学んでいました。
2年生は5月25日から6月5日まで、農家派遣研修として1件の農家に1名、インターンシップとして農業法人に1名、農業団体に1名がそれぞれ派遣されました。2年生にとっては3回目となる研修でしたが、学内では経験できない多くの作業や人との触れ合いを体験させていただきました。
ある受入れ農家からは、「今回の経験を、少しでも今後の人生の中で生かしてもらえたらうれしい。」との言葉をいただきました。
農業普及・振興課では、今後も農業大学校と連携しながら、地域農業の人材育成に取り組んでいきます。

2026年7月

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部会長へ質問する学生
当課からの説明

農業大学校でトルコギキョウ新規就農者を勧誘!

阿蘇地域では冷涼な気候を活かして31戸、約9.3haでトルコギキョウが栽培されており県内一の栽培面積を誇ります。しかし、そのうち最も栽培面積が大きいJA阿蘇南阿蘇花卉部会では、ここ数年、新規就農者がいないことに加え、今後は高齢化による栽培面積の減少が危惧されており、新規就農者の確保が課題でした。
そこで、5月13日に、県立農業大学校の花きコース2年生及び野菜コース1年生を対象に、トルコギキョウ新規就農者確保に向けた説明会を当部会で初めて実施しました。
当日は、まず当部会の部会長から南阿蘇でのトルコギキョウ経営の実情や魅力、就農の経緯等を説明していただきました。次に、農業普及・振興課から行政(国、県、南阿蘇村)の新規就農に対する支援や研修受け入れ態勢のほか、トルコギキョウ経営の補完品目としても栽培される湿地性カラーの魅力について説明しました。
説明後には学生から複数の質問があり、「花き経営のリアルな話を聞くことができ、とても参考になった」、「将来の進路を考えるきっかけになった」といった声が聞かれました。また、学生の一人は、後日、部会長の話を詳しく聞きに行くなど、次につながる動きもありました。
今後も、本取組みが当部会の部会活動として定着できるよう支援していきます。

2026年6月

阿蘇地域の牧野において広域放牧始まる

畜産経営における飼料コストの削減や草原の維持による観光資源の価値向上のため、阿蘇地域の牧野では、地域外からの肉用繁殖雌牛を受け入れる広域放牧を推進しています。
4月24日に、熊本県畜産農業協同組合が狩尾牧野と跡ケ瀬牧野において広域放牧の入牧式を開催しました。狩尾牧野では宇城・鹿本・玉名地域、跡ケ瀬牧野では熊本市・菊池地域の牛を受け入れており、今年度はそれぞれ15戸233頭、6戸145頭の放牧が予定されています。
入牧式当日は牧野全体に霧がかかり視界不良であったため、牛の発見が困難になるとともに滑落事故の懸念もあることから、放牧時のリスクを改めて感じたところでした。
また、4月28日には当課主催で、JA菊池と木落牧野の広域放牧に関する打ち合わせを開催し、5月中旬から開始される広域放牧に向けた連絡体制の確認や意見交換を行いました。城北家畜保健衛生所から放牧時における牛伝染性リンパ腫の感染対策が紹介され、生産者の関心が集まりました。
阿蘇地域の牧野における放牧頭数は、畜産農家の減少等により年々減少しております。そこで、当課では、広域放牧の拡大や新たな担い手への放牧を推進しており、省力かつ安全な放牧管理ができるよう、ICT技術を活用した放牧の実証や危険場所の囲い込みなどの事故防止対策等を取り組んで参ります。

2026年5月

研修会の様子
現地視察の様子

地域営農法人先進地視察研修の開催

阿蘇地域では平成27年度から地域営農法人の設立が進み、現在、20の地域営農法人が活動しています。農業・農村地域の高齢化や担い手不足が進む中、地域営農法人に対する期待は大きいが、今後は法人構成員・役員自身の高齢化が進み、法人の運営・経営に携わる人材育成が大きな課題になると考えられます。
そこで、地域営農法人の課題解決や安定的な運営に資するため、3月5日に先進地視察研修を開催したところ、法人や関係機関等から42名の参加がありました。
研修会では、大分県豊後大野市に訪問し、農事組合法人グリーン法人中野の代表理事である和田梢氏から「法人間連携の取り組み」をテーマに講演いただきました。グリーン法人中野では現状の面積では収益に限界があり、もっと大規模に経費削減できないかと考え、関係機関の協力を得ながら法人間連携について協議を始められていました。法人の内部情報の共有及び、畦畔草刈りの省力化、機械の共同購入等の取組内容や苦慮した点等を説明いただき、参加者から経営体制に関する多くの質問が挙がり、「連携に対する具体的なイメージを持つことができた」と好評でした。
また、当課からは、各法人から関心が高かった基盤整備や機械導入等の各種補助事業及び、乾田直播実証試験の結果について情報提供を行いました。
今後も、地域営農法人の課題解決や経営安定に向け、関係機関と連携して、引き続き支援して参ります。

2026年5月

大豆展示ほの成績検討会を開催 ~収量・品質向上と安定生産を目指して~ 

阿蘇地域では地域営農法人の経営安定化に向けて大豆の作付けを推進しており、現在は阿蘇市を中心に約110haで栽培されています。しかし、収量は県平均の約半分と低く、安定生産の確立が課題となっています。このため当課では、JAや高原農業研究所と連携し、収量・品質向上に向けた技術等の検討を進め、令和7年度は①新品種「そらみのり」の地域適応性、②収量向上が期待される「摘心技術」について検討しました。これらの結果に加え、令和7年産大豆の生産状況や研究成果の共有を目的として、3月4日に成績検討会を開催しました。
取り組み結果として、①新品種「そらみのり」は既存品種「フクユタカ」と比較して約3割の多収となり、品質面でも良好な結果が得られました。一方、②摘心技術については、「フクユタカ」では摘心区で約1割の増収が確認されたものの、「そらみのり」では収量向上効果は認められませんでした。また、摘心機導入の費用対効果の検証では、一定条件のもと、10a当たり2%の増収が確保できれば、10a分の導入コストを回収できることが明らかとなりました。
参加者からは「実収でもそらみのりの方が収量が良かった」「収量が上がるのであれば摘心機導入のメリットもある」といった意見が寄せられた他、次年度の栽培に向けた意見交換も行われ、大変有意義な検討会となりました。
今後も、大豆の安定生産技術の確立に向けて、地域営農法人や関係機関と連携しながら支援を継続していきます。

2026年4月

牧野の新たな担い手確保に向けた取り組み ~牧野組合長への聞き取り調査~

阿蘇地域では、広大な草原を活用した放牧が行われてきましたが、近年、畜産農家の高齢化や放牧利用農家が減少傾向で推移しています。また、牧野組合は150程度存在しますが、現在放牧を中止している牧野も多く、今後、牧野の維持管理をしていく担い手の確保・育成が喫緊の課題となっています。
今年度はまず牧野組合の実情を把握するため、畜産課が実施する「R7阿蘇地域放牧・採草地調査(R6実績)」に、「新たな担い手の受入意向」の質問項目を追加し調査を実施しました。調査結果は、149牧野組合のうち、放牧を実施している牧野は89牧野であり、組合員以外でも放牧取組者を受け入れる意向のある牧野組合が15牧野あることがわかりました。そこで、この15牧野の組合長に対して、牧野組合の現状や今後の受入条件などについて聞き取りを実施しました。組合長からは「新規の方も組合員になって、同条件で放牧してもらっても構わない」、「共に作業し、牧野を利用してくれる人材を是非受け入れたい」等、今後も牧野を維持・運営していくために前向きな声が聞かれました。
当課では、阿蘇地域世界農業遺産推進協会と連携し、牧野の維持・管理ができる担い手人材を確保するため、畜産関係機関が連携した支援体制を整備し、今年度4月から新規就農者の募集を開始しました。今後は、SNS等を活用し、放牧により新規就農を目指す県内外の方々に向けて情報を発信し、1人でも多くの担い手確保ができるよう取組みを継続していきます。

2026年4月

令和8年産初選果(2月24日)
栽培管理講習会 (2月27日、JA・阿蘇南中央支所)

令和8年産アスパラガスの出荷始まる ~JA阿蘇アスパラ部会の活動~

阿蘇地域では中部地区(阿蘇市)を中心に、全域でアスパラガスが栽培されており、令和8年産の出荷が2月24日からスタートしました。管内の生産・出荷のほとんどを占めるのは、JA阿蘇「アスパラ部会」(正式名称)で、本年産は生産者数92名(作付面積31ha超)体制で800tの出荷を計画しています。
作型は、基本的には他産地同様ハウス半促成2期どり(春どり・夏秋どり)ですが、平坦地の春どり前進化傾向に対し、低温・残寒が危惧される阿蘇地域では、ハウス内温度が確保できるタイミングを慎重に見定めた上で当該年産のハウスの保温を行います。管内各地区の農家は、自分のほ場の標高他立地条件と年次気象を十分に勘案した上で、2月中旬以降3月下旬までの間に順次保温を開始し、保温開始後2~3週間で春芽の収穫・出荷が始まります。
また、2月27日は中北部、南部地区2カ所に分けて恒例の栽培管理講習会が開催され、農業普及・振興課からは保温開始~立茎時期までの栽培管理と病害虫防除について講習を行いました。具体的内容としては、温度管理、立茎の開始時期、高温期の草勢管理、さらに天候を先読みした予防散布による病害の徹底防除等を指導しました。
産地に再導入されて30年余、後継者確保と新規就農者参入により平均年齢40代というアスパラ部会の目標達成に向けて、農業普及・振興課は支援していきます。

2026年4月

検討会の様子
作業時間の削減

水稲乾田直播で作業時間を20%以上削減!

阿蘇地域では、作業が集中する春作業(育苗、代かき等)の労力軽減が課題となる中、当課では株式会社クボタと連携して、「振動ローラ式乾田直播技術」による稲作の省力化・低コスト栽培の実証試験を行いました。本方式での乾田直播は、管内では初めての取組みであったことから、開発元である九州沖縄農業研究センターに助言を得ながら調査を進めました。
試験結果をまとめ、2月6日に、関係機関を参集して、成績検討会を行いました。乾田直播栽培では育苗や田植え等の作業が省略されたことで、移植栽培と比較して、10a当たりの延べ作業時間が約26%削減されました。さらに、坪刈り収量679kg/10aとなり、品質は1等相当に格付けされ、収量・品質ともに移植栽培同等の良好な結果となりました。委託農家からは「育苗が省略されて作業が非常に楽になった」や「令和8年産からは約10haまで拡大したい」などの意見をいただき、高い評価が得られました。また、管内の他の生産者からも「乾田直播技術に興味がある」との声が多くあり、本技術に対する期待の大きさを感じました。
検討会では、九州内でも平均気温が低い阿蘇地域での播種適期の早期確立が課題に挙げられ、来年度は試験ヵ所を増やして調査を実施します。今後、管内での技術確立及び普及定着により、効率的で安定的な生産による所得向上につなげて参ります。

2026年4月

ドローンを飛ばしている様子
ドローンからの撮影画像

普及活動強化を図るドローン研修会の実施

スマート農業の展開が農業分野で不可欠となっていますが、普及指導員がスマート機器の操作を習得する機会は多くありません。そのため今回、当課に配備されているドローンでの操作方法を職員全員が習得し、業務における写真撮影やデータ収集を通じて、普及活動や調査研究に活用できるスキルを身につけることを目的として研修会を実施しました。研修当日は、まず資料に基づき操作方法の説明を行い、その後、2台のドローンを使用した実地演習を行いました。参加者は3班に分かれ、各班が交代で約30分間の演習を行うことで、参加者全員がドローンの操作を体験し、基本的な操縦手順を確実に習得することができました。演習では離着陸や簡易的な撮影操作など、現場で求められる基本動作を重点的に練習しました。
少人数制で個別に操作方法を説明することができたことや、参加者同士が操作のポイントを共有しやすい環境が整ったことで、班内での活発な情報交換が行われ、学習効果が高まりました。
今回の研修で習得した操作スキルを今後の普及活動や調査研究に活かすことで、現場での調査精度が向上するだけでなく、地域を俯瞰的に見つめることで新たな課題発見等にも繋がることが期待されます。これにより、業務の効率化と精度向上を進め、普及活動の高度化を図っていきます。

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