優良な自給飼料作物(飼料用イネ)生産の推進
近年の気象変動や不安定な国際情勢等に起因する原油高、円安等の影響により飼料価格が高騰する中、飼料用イネ(WCS用イネ)は水田を活用した良質な粗飼料として広く利用されています。特に、阿蘇地域は県内でも上位の作付面積となっており、現在は「ミナミユタカ」などの飼料用イネ専用品種や主食用品種が利用されています。
当課では、従来の飼料用イネ専用品種から紋枯れ病抵抗性が改良された極短穂型品種の「つきあやか(中生)」、「つきすずか(極晩生で耐倒伏性極強)」、「つきことか(極晩生)」の3品種について阿蘇市に展示圃を設置し、現地試験を行っています。極短穂型品種は、穂が短く籾の収量が極端に少ない品種です。WCS(ホールクロップサイレージ)に調製時の乳酸発酵が促進され、良質サイレージの生産が可能であることに加えて、光合成された糖分が籾ではなく茎葉に蓄積されることなどから牛の嗜好性が良好で消化性が高いとされています。
去る9月14日、飼料用イネ展示圃の現地見学会を開催し、生産者、関係機関等約20名の参加がありました。生育ステージは、「つきあやか」、「つきすずか」は乳熟期、「つきことか」は未出穂でしたが、現在のところ、いずれの品種も茎葉は多く生育は良好でした。参加者は穂や茎葉を手で触るなどしてそれぞれの品種の特性を確かめるとともに、熱心に質問を行っていました。当品種の収穫は、出穂からおよそ30日後の9月下旬から10月初めに行われる予定です。当課では、今後も生産者等に対し、新たな優良草種の導入等の支援を行い、飼料作物生産を推進してまいります。