2025年のエリア普及現地情報

2025年2月

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品質審査の様子
当課職員による講話

高品質な粗飼料生産を目指した サイレージ品評会が開催されました

輸入飼料等価格が高止まりする中、畜産経営を安定させるためには高品質な粗飼料生産及び頭数に応じた必要量の確保が不可欠です。阿蘇地域では、牧野を利用した採草や水田をフル活用した(稲WCS及びイタリアンライグラスの2毛作)粗飼料生産が盛んに行われており、自給飼料を活用した低コスト生産の取組みが進められています。
そのような中、JA阿蘇一の宮畜産部会では、毎年、部会員の粗飼料生産に対する意識向上及び品質評価のため「サイレージ品評会」が開催されています。今年は12月17日に開催され、4部門(サイレージ、ヘイレージ、稲WCS、乾草)に計27点の出品があり、当課及び草地畜産研究所職員が水分や色・香り等により審査を行いました。今年は、春秋ともに収穫時期は天候不順であり、作業の遅れによる品質低下が心配されましたが、今回出品されたものの多くは、外観・品質ともに良好に調製されていました。
また、審査中、審査会場隣りのハウスでは、出品者を集めて当課職員により「畜産の動向と県有種雄牛の紹介」についての講話も実施しました。
当課では、今年度、シバ草地及び夏牧草(スーダングラス)の展示ほを南阿蘇村に設置し、阿蘇地域に適した草種の選定についても取組みました。今後も同様な取組を継続し、高品質な粗飼料生産に向けた支援を行っていきます。

2025年2月

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トルコギキョウ生産者の個別面談を初めて実施

JA阿蘇南阿蘇花卉部会では、トルコギキョウが9戸・約3haで栽培されており、近年は栽培面積の増加により販売金額は向上しているものの、土壌病害の発生や高温による採花ロス等により反収は低下傾向でした。また、本年度から部会の販売方法が共選から個選へ変わり、生産者間の単価差が拡大する等の課題がありました。
そこで、部会からの要望もあり、12月23日に初めて生産者の個別面談を実施しました。実施にあたっては、まず、JAに過去3年間における部会及び個人の販売実績や階級、面積を算出いただき、農業普及・振興課でそれらを分析、グラフ化しました。面談ではそれらを各生産者に示し、反収や月別の階級・単価を部会平均と比較して経営の課題を洗い出し、次年度の対策について指導を行い、意見交換しました。
生産者からは、「これまで実績をきちんと振り返る機会はなかったので、とても参考になった」や「次年度の方向性について意見交換できてよかった」等、前向きな意見が多くありました。今回の取組みにより、各生産者の反収や単価低下の原因を明確にでき、次年度の重点指導事項を関係者で共有する良い機会となりました。
今後は、面談で得た情報をもとに、要点を絞った個別指導を実施し、各生産者の所得向上に向けた取組みを効率的に進めていきます。

2025年2月

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調査の様子
意見交換の様子

スマート農機で農作業を効率化・省力化

阿蘇地域では、昨年度に引き続き、全国農業システム化研究会と連携して、スマート農機の活用による水稲栽培作業の効率化・省力化の実証試験を行っています(4月現地情報報告)。
これまで、基幹作業(基肥散布、代かき、田植え)の調査を行い、雨の影響で5月から延期していた耕起作業の調査を令和6年12月3日に行いました。また、令和6年7月22日に締結した「スマート産業人材育成に関する連携協定」(8月現地情報報告)の一環として、阿蘇中央高等学校とも連携し、来年度のスマート農業に関する取組みや調査等について意見交換しました。高校では、スマート農機による省力化の実証調査を計画しており、今回の調査を参考として、引き続き連携して行っていくことになりました。
今後は、2ヵ年の実証試験で得られた成果を取りまとめ、来年2月に開催される最終成績検討会にて結果報告を行うとともに、地域営農法人を中心とした管内農業関係者へ情報共有を行います。そして、スマート農業を活用した技術体系の確立を図り、経営体の所得向上に向け、引き続き支援します。

2025年2月

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12/5地域別連携会議(北部)
12/9地域別連携会議(南部)

地域営農法人の地域別連携会議を開催

阿蘇地域では、地域営農法人の設立が平成27年度から進み、現在、20法人が水稲栽培を中心に活動しています。今後、法人役員や構成員の高齢化が進むと、法人の運営・経営を担うリーダー確保や人材育成が大きな課題となり、農地の立地条件が近い法人は課題の傾向も類似していると考えられ、法人間の連携した取組みも必要となります。
そこで、管内を①北部(南小国町・小国町・産山村)、②南部(高森町・南阿蘇村・西原村)、③中部(阿蘇市)の3地域に分け、法人の抱える課題の共有化や解決に向けた意見交換をメインとした地域別連携会議を12月5日(①北部)と12月9日(②南部)に開催しました。
会議では、まず法人活動状況調査や労働力に関するアンケート調査結果を説明した後、各法人から自己紹介も兼ねて活動状況等を報告いただきました。次に中山間地域における収益確保や担い手確保などの法人活動事例を紹介し、意見交換に入りました。
初めての取り組みで意見が出るか不安でしたが、やってみると北部地域・南部地域とも自発的な意見が積極的に交わされ、他の法人の取り組みに対する質問や、自分たちの法人活動にアドバイスを求める声、行政に対する補助事業や助成制度の要望など、様々な意見交換を行うことができました。
今回の会議を踏まえ、来年度も地域別連携会議について内容を検討して開催し、関係機関とともに法人間の連携強化に向けて取り組んで参ります。

2025年1月

審査(打ち合わせ)の様子
審査に合格した直接検定候補牛

優れた種雄牛造成に向けた取り組み ~候補牛の審査を実施~

畜産業振興の基礎となる家畜の改良増殖には長い年月と多大な労力を必要としますが、優秀な種畜がもたらす便益は大きく、阿蘇地域では県畜産関係者団体、生産者が一丸となり、肉用牛の改良に取り組んでいます。
本県では遺伝的能力評価に基づく種雄牛の作出を実施しており、その候補牛は指定雌牛と呼ばれる県内トップクラスの高能力を有する雌牛から生まれた雄産子が対象となります。なお、指定雌牛は、県内では80頭(黒毛30頭、褐毛50頭)が選抜されますが、そのうち47頭(黒毛10頭、褐毛37頭)は阿蘇地域からとなっています。
指定雌牛から生まれた候補牛は3~4ヶ月齢時点での1次審査、4~5ヶ月齢時点での2次審査により、発育や体型の審査、様々な病気の検査を実施します。合格した牛は本県が購入し、畜産研究所での検定や厳しい選抜が実施され、年に2~3頭程度が基幹種雄牛(5歳)になることができます。
本年度は、既に阿蘇地域からの候補牛の買い上げ頭数が4頭(褐毛)となっており、今月は6頭の1次審査(かなり多い)と、1頭の2次審査を実施しました。関係機関による適正な飼養管理の指導と生産者の協力のもと、例年にない頭数の候補牛が確保できています。
当課では、引き続き阿蘇地域から肉用牛の改良に資する優れた種雄牛造成を目指し、本県の家畜改良増殖目標に沿った畜産経営の推進を図っていきます。

2025年1月

現地検討会の様子
花が揃って咲いているほ場の様子

「阿蘇いちご」厳寒期に向け準備中です。

阿蘇地域では10月28日からイチゴの出荷が始まり、初日は約790パックが出荷され、現在は約10,000パック/日のペースで「ゆうべに」や「恋みのり」が出荷されています。12月上旬には1番花が出揃い、12月中旬にピークを迎える見込みです。
今後の厳寒期は、日照時間の減少や低温、着果負担により株の草勢が弱くなります。促成イチゴの栽培では、冬季に加温機を使用してハウス内の温度を確保しながら栽培を行いますが、阿蘇地域は、冬季の暖房費が平坦地より年間6万円/10a程度多く掛かります。そこで、より効率的な栽培技術を検討するため厳寒期の管理について現地検討会を行いました。検討会では、当課からハウス内の温度管理や電照時間、摘花などについて説明を行いました。また、農薬メーカーから花粉交配用ミツバチの管理方法や、注意点等について説明を行いました。
検討会の中では、現在の出荷状況や、電照の開始時期、ハウス内の夜温を栽培指針より2℃高く設定することなどが盛んに議論され、参加者からは「費用が掛かっても、それ以上に稼げば良い」などの品質及び収量向上を優先する意見が出されました。
当課では、今後も引き続き、阿蘇地域におけるイチゴの生産安定・収量向上技術の確立に向け、支援していきます。

2025年1月

(有)阿部牧場の視察
新規クラブ員歓迎会

阿蘇地方4Hクラブの活動活性化に向けた取り組み

阿蘇地方4Hクラブは、近年クラブ員が減少するとともに活動が停滞しており、組織としての魅力が低下していました。そこで本年度は、新規クラブ員の確保と、魅力ある活動を実施することで、4Hクラブの活性化に取り組みました。
まず、5月にクラブ員から本年度実施したい活動を聞き、それらを1つ1つ実現することにしました。7月には4HクラブのOBである(有)阿部牧場への視察及び阿部社長との交流会、8月にはSNS発信に係る勉強会、9月には婚活講座(宇城及び八代地方4Hと合同開催)等を実施しました。
併せて、課内の普及指導員やクラブ員、市町村の協力を得て勧誘活動を実施したことで、新たに4名が加入し、10月には新規クラブ員歓迎会を実施しました。
新規クラブ員からは「儲かっている農家を視察したい」、「販売戦略について学びたい」、「もっと4HクラブのPRが必要」といった前向きな意見が出てきています。
農業普及・振興課としては、引き続き新規クラブ員の増加を目指して勧誘活動を行うとともに、若手農業者が活発に交流・活動できるよう4Hクラブの活動を支援していきます。

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