2023年のエリア普及現地情報

2023年6月

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放牧された牛達
打合せ会議の様子

広域放牧始まりました!

4月27日、阿蘇市の阿蘇北外輪山に位置する跡ヶ瀬牧野と狩尾牧野において、阿蘇管外の畜産農家から妊娠牛を受け入れる熊本型放牧畜産事業の入牧式が開催されました。当日は、青空の下、県央及び県北地域の母牛約90頭が元気よく牧野に駆け出しました。
また、木落牧野(阿蘇市)ではJA菊池から、小倉原牧野(高森町)では宇城地域の任意集団から放牧牛を受け入れており、肉用牛の生産コスト低減や草地活用につなげています。
それぞれの受入牧野では、放牧前に関係者が一堂に会して、放牧実績や計画、放牧牛の健康状態を把握するための衛生検査や万一の事故発生に備えた連絡網など放牧推進体制を確認しました。会議では、ドローンを活用し放牧牛捜索を省力化したいなど活発な意見交換が行われ、今後関係機関と協力して課題解決に向けて取り組んでいきます。
当課では、引き続き、放牧条件の整備やICT技術の実証、新たな優良草種の導入等の支援を行い、牧野の畜産利用を推進してまいります。

2023年4月

衛生面を考慮し、 料理は全てパックにて提供
講師との集合写真

最後の「阿蘇ふるさと食の文化祭」を盛大に開催

3月7日、亀の井ホテル阿蘇において阿蘇地方生活研究グループ協議会主催による「第10回阿蘇ふるさと食の文化祭」が開催されました。
 新型コロナの影響により平成30年度以来、4年ぶりの開催となった今回の食の文化祭は、阿蘇市、小国町、南阿蘇村の会員39名と関係機関などから計46名が参加し、全11品の料理が出品されるなど盛大に開催されました。また、料理研究家・米粉インストラクターなど多方面で活躍されている西村直子氏を講師に迎え、協議会員によるレシピ紹介や講師による料理の丁寧な講評など活発な情報交換会が行われました。参加者からは、「食の文化祭は仲間づくりと勉強になった」と大いに盛り上がりました。
同協議会は、昭和52年の発足以来、46年の間阿蘇地域の伝統的な食を通じた、地域間の情報交換や交流の場として活動してきましたが、会員減少や高齢化等により、広域での活動が難しくなりつつあることや、地元での活動が活発であることなどの理由により、阿蘇地方での協議会活動は解散し、今後は各市町村や旧町村単位の活動に注力していく予定です。
協議会は解散しましたが、本課では引き続き食文化継承や食品加工に関する支援を継続していきます。

2023年4月

研修会の様子

地域営農法人の運営をサポートする研修会の開催

阿蘇地域では現在19の地域営農法人が設立され、地域の農地を守る担い手として育成することが重要な課題となっています。
そこで、地域営農法人の運営に対するフォロー活動の一環として、3月22日に阿蘇市内のホテルで、阿蘇地域集落営農連絡会、阿蘇地域農業振興協議会との共催により研修会を開催し、法人の役員、関係機関等から48名の参加がありました。
研修会では「インボイス制度の概要及び対応、地域営農法人の広域連携について」、JA熊本中央会の担当者から講義していただきました。法人として、令和5年10月から導入されるインボイス制度にどう対応していくかが課題となっており、受講した法人役員から、インボイス制度では「分かりやすく説明され理解出来た。法人として登録はしたが、組合員への従事分量支払いに対する対策をどうするかが課題」、また、広域連携では「経営基盤の強化や後継者確保のために今後検討が必要」という声が聞かれました。
当課からは、法人の収益向上や低コスト技術導入に向けた展示ほの成績報告や農作業事故防止の啓発を行いました。
当課では今後も研修会を通じて、地域営農法人の経営安定・所得向上に対する支援を継続するとともに、法人間の連携では、先ずは機械の共同利用などを見据えた連携が構築出来ないか検討を始めたいと考えています。

2023年3月

牧野(阿蘇草原)の維持・再生を目指して

2月20日・22日に、牧野(阿蘇草原)の維持・再生及び肉用牛生産の拡大を図るため、牧野組合及び管内関係機関(延べ71名)を参集し、4年ぶりに牧野組合情報交換会を開催しました。
普及活動・試験研究等で得た成果や牧野における畜産利用(放牧・採草)を推進するうえで必要な情報・支援策について、情報共有を図るとともに意見交換を行いました。このうち新情報として、牧野利用のマッチング機会の増加や牧野貸出・利用の不安軽減等を図るために作成した「牧野利用に係る覚書(ひな形)」について提案・周知することができました。
現在、飼料や肥料等の価格高騰や子牛価格の急落等により、生産現場にとって非常に厳しい状況に直面しています。このような中、改めて自給飼料や堆肥の活用等、国内資源による生産基盤の強化が注目されており、この“阿蘇地域の草原の維持と持続的農業”の重要性はますます高まっているものと思います。
引き続き、関係機関一丸となって広大な草地資源を活かした畜産振興を図り、このピンチをチャンスに変えていきたいと思います。

2023年3月

設立総会の様子
設立総会後の集合写真

南小国町で初の地域営農法人!「(農)はいわら」が設立

阿蘇地域では、農業者の高齢化や担い手不足を解消するため、地域営農法人の新規設立や設立後の運営・栽培技術の支援を行っています。
このような中、南小国町の波居原(はいわら)地区にて、町で初の地域営農法人「(農)はいわら」が設立され、2月23日に南小国町きよらホールで設立総会が開催されました。平成25年度に熊本県農地集積加速化事業の重点地区として指定され、法人化に向け話し合い活動を行ってきました。平成26年2月に「波居原地区営農改善組合」を設立、平成27年4月には「波居原地区営農組合」を立上げ、法人設立の準備を進めてきました。一度は法人化の話し合いが途絶えたものの、令和2年4月の営農組合総会で、波居原地区の農業について見つめ直し、法人化に向けて再度活動を始めました。
当課では、農業公社や役場、JAと連携しながら定款や5か年計画作成に向けた助言を行った結果、地区内農家13戸で構成し、農地8haを集積する同法人が設立されました。法人設立後は、共同育苗による作業の効率化・苗質の均一化を図るとともに、補助事業等活用し、機械の整理合理化や作業受託作業に取り組み、経営の安定化を目指します。
当課では、設立後の支援に切り替え、引き続き話し合い活動に参加し、法人運営の助言を行うほか、新技術導入や補助事業活用等の支援を行っていきます。

2023年3月

担い手シンポジウム 講演

新しい農政の動きを受け、地域農業の担い手で勉強会を実施

令和3年に決定された「みどりの食料システム戦略」に合う経営を考えてもらうことを目的に、管内の担い手である認定農業者等を対象とした「阿蘇地域農業担い手シンポジウム」を2月16日に開催しました。
このシンポジウムは新規就農者定着支援のためのニューファーマーズセミナー(第3回)にも位置づけており、オンライン参加を含む総勢52名の参加がありました。
シンポジウムでは、玉名市で化学肥料低減や人材育成に取り組む(有)蘇鉄園芸の蘇鉄恵子氏に「美味しいトマトを届け続けるために」と題して、自社の取組やその経緯を講演いただきました。
また、併せて当課や管内に所在する高原農業研究所、草地畜産研究所、阿蘇家畜保健衛生所の活動実績・研究成果報告も行いました。
参加者からは「どのように人材を定着させるか」「営農におけるモチベーションは」等の質問がなされ、経営改善に対する意識の高まりも見られました。このほか、終了後実施したアンケート調査でも利益に関する内容を求める声があり、「稼げる農業」のための取組の必要性を感じました。
本課では今後も引き続き、阿蘇の農業を次世代に繋いでいくため、地域農業の担い手の育成・確保と資質向上に取り組んで参ります。

2023年3月

グループワークの様子

税務の視点から新規就農者の経営力向上を支援

新規就農者の高い定着率維持を目的として、阿蘇管内の新規就農者や市町村担当者を対象とした「阿蘇地域ニューファーマーズセミナー(第1回)」を1月26日に開催しました。
講師に八代市の渕川知幸税理士を迎え、「青色決算書作成時の注意点」、「電子帳簿保存法の改正」、「インボイス制度」等について説明いただいた後、税務の視点から具体事例を用いて経費として扱える費用について、セミナー参加者21名を3グループに分けてグループワークを行いました。
グループワークでは、お互いの経営内容について質問し合うなど、新規就農者同士や市町村の担当者間との交流も生まれました。
参加者からは「判断しづらい経費について考え方が分かった」、「これから経営開始するタイミングで知ることができてよかった」等の声が聞かれた他、新規就農者同士の意見交換会を臨む声もあり、ネットワークづくりの必要性が改めて感じられました。
今後も、第2回として「先輩就農者の考え方・農機具のメンテナンス講座」、第3回として「担い手シンポジウム」を開催予定であり、継続して重点的に新規就農者を支援することで、早期の経営の安定化が円滑に進むよう支援して参ります。

2023年2月

出席者より講師へ質問
R3年度農業コンクール受賞者より事例発表

阿蘇農業同士会研修会を開催

阿蘇地域では、普及協力委員(指導農業士)と農業コンクール受賞者(同友会)が阿蘇農業同士会を組織し、資質向上や地域農業の発展に寄与することを目的に活動しています。この活動の一環として、研修会を12月15日に阿蘇市内のホテルで農業普及・振興課との共催により開催しました。
研修会では(株)農テラス 代表取締役 山下弘幸氏を招き「2025年 笑う農家になる話」と題して農業経営についての講演をいただいたほか、令和3年度農業コンクール受賞者2名に事例発表いただきました。研修会には同士会に加え、認定農業者連絡協議会、青年農業者クラブ、関係機関等より約50名の出席があり、経済情勢を捉えながら今後の農業経営展開について考える機会となりました。また、予定していた情報交換会は新型コロナウイルスの感染拡大により中止としましたが、貴重な情報交換の場として次回開催を期待する声が寄せられました。
当課では今後も引き続き、地域農業の維持と発展のため、様々な活動に取り組んで参ります。

2023年2月

グラフ①:収量調査結果
グラフ②:生育調査結果

夏秋トマトの収量向上対策~肥効調節型肥料の利用~

阿蘇市の夏秋トマトでは、近年平均収量が増加傾向にありますが、地下水位が高い地域では、水分とともに肥料成分が吸収されるため生育コントロールが難しく、地下水位の低い地域と比較して収量が伸びていないことが問題となっています。そこで、当課では、肥効が水分の影響を受けず積算温度で溶出する肥効調節型肥料の収量向上効果を実証しました。
実証は、同一ほ場内のハウスで、地下水位の違いにより収量差が発生している3戸の農家の協力を得て、地下水位の影響を受けていないハウス(慣行区)と同等の収量を目指し、実施しました。
収量調査では、慣行区と同等か慣行区以上の収量の増加が確認できました(グラフ①)。また、生育調査では、展示区は初期の草勢が抑えられ、作全体を通して生育が安定したため9~10月の収量が向上しました(グラフ②)。上記の結果、肥効調節型肥料を利用することで経費は10aあたり40千円程度増加しますが、販売金額は約160千円~310千円の増加が図られました。
これらの結果を、12月に行われたJA阿蘇中部トマト部会反省会の中で部会員に報告し、肥効調節型肥料の有効性の周知を行いました。
当課としては、この技術の普及拡大を図り、夏秋トマトの収量向上に向けて継続した支援を行ってまいります。

2023年2月

決算書を基に作成した経営診断資料
経営診断資料の一部抜粋

地域営農法人を対象とした経営相談会の開催

阿蘇地域では、平成30年度から地域営農法人の運営に対するフォロー活動の一環として、振興局・農業公社・市町村・JAで構成する支援チームで経営相談会を行っており、今年度は12月に16法人を対象に開催しました。
通常総会で報告された各法人の決算報告書を基に、財務諸表で特に注意すべき12項目について、グラフを用いて「見える化」した資料を作成し、経営分析及び安全性分析を行いました。現在の経営状況を過去のデータや当初計画、地域平均と比較することで、組織運営の見直しや、更なる意識向上を図り、次年度に向けた改善策の提案を行いました。また、事前に回答いただいた経営管理チェックシートを用いて、法人活動の中で「良かった点」や「今後改善すべき点」について振り返り、法人の活動意欲の向上を図りました。経営相談を受けた法人からは、「経営を見直すきっかけになっている。引き続きサポートをお願いしたい」と、今後も経営相談会の開催を強く求める前向きな意見が聞かれました。
当課では、持続的な農業の維持と発展を図るため、引き続き地域営農法人を地域の核となる担い手として育成するとともに、地域営農法人の活動支援を行います。

2023年2月

青年農業者会議の様
集合写真

阿蘇地方青年農業者会議の開催

若手農業者で組織された「4HC」の育成の一環として、12月20日に阿蘇地域振興局で「阿蘇地方青年農業者会議」を開催しました。
同会議では、クラブ員が意見発表やプロジェクト発表にて今年度の活動成果を報告しており、対面での発表のほか、コロナ感染状況を踏まえてオンラインでの発表など様々な形式で行いました。意見発表では新規就農の経緯や地産地消の取り組みについて、プロジェクト発表では経営改善計画や新たな販路の拡大等について発表があり、それぞれ意見発表1題、プロジェクト発表4題の発表が行われました。
活動発表後は、クラブ員が抱える悩みや、次年度に向けた取り組みについて検討する「お悩み相談会」を実施し、クラブ員と普及員が作付け品目ごとに分かれてグループトークを行いました。その他にも、活動発表できなかったクラブ員に対し、自身の経営や今後の抱負などを発表する「活動紹介」の場を設け、今年度新たに加入したクラブ員を含め、関係機関との親睦を深めました。
今後は、県大会に向け、引き続きクラブ員と一丸となって発表内容のさらなる資質向上を図り、クラブ員の育成、指導に取り組んでいきます。

2023年1月

事前調査班・準備班による 現場事務所設営の様子
埋却作業の実演(石灰散布の様子)

阿蘇地域家畜防疫演習を開催しました

11月1日、2日の2日間、産山村旧山鹿小学校体育館にて、市町村や関係機関(建設業協会阿蘇支部、畜産団体、警察署等)延べ184人を参集し、家畜防疫演習を開催しました。
1日目は、「産山村における家畜防疫支援体制の見直しに関する事例発表」や「支援センターにおけるバス誘導係の実演」等を行いました。
2日目は、管内発生時における農場周辺の初動対応をテーマに掲げ、①事前調査班、②制限区域班、③事前準備班、④埋却地の準備対応について、それぞれの連絡体制や集合場所、持ち物等の細かな確認をはじめ、業務の一連の流れについて、実演を交えて確認を行いました。
特に今回は「あまり人目に触れないが、支援センターや現場事務所の設営・運営のために重要な事前準備にフォーカスを当てること」、また、「条件の悪い農場を想定し、あえて小型のバックホーを使用した掘削作業にトライする」等、より実効性の高い有意義な演習を開催することができました。
今後も引き続き、万一の発生時に迅速な初動防疫が行えるよう、初動体制の強化に取り組んで参ります。

2023年1月

くまもと農業フェア
ASO草原フェスティバル

阿蘇の農業システムを県内イベントでPR!

阿蘇地域世界農業遺産推進協会は、11月に開催された2つのイベント「くまもと農業フェア2022」及び「ASO草原フェスティバル2022」の各ブースに出展し、世界農業遺産に認定された阿蘇の農業システムの紹介を行いました。阿蘇地域世界農業遺産クイズスペースに加え、農業遺産に関連するパンフレットやパネルを設置し、阿蘇産農畜産物及び阿蘇地域世界農業遺産の認知度向上につなげました。
クイズには、くまもと農業フェアで129名、ASO草原フェスティバルで100名の計229名に参加していただき、多くの方に阿蘇の農業システムについて学んでもらいました。
特に農業フェアでは、JA阿蘇のあか牛鉄板焼きや産山村のおでん等を販売するブースと並んで出展したことで、農業遺産ブースから販売ブースへ直行する方も多く、より効果的な販売促進・PRを実施することができました。
今後も、当課では阿蘇地域世界農業遺産の周知・PRを通して、阿蘇の農畜産物の認知度がさらに全国で広がるような取り組みを、各関係団体と連携しながら進めて参ります。

2023年1月

退牧式(跡ケ瀬牧野)の様子
トラックに乗って牛舎に帰る様子

今シーズンの広域放牧が終了しました

11月24日、阿蘇市の跡ケ瀬牧野と狩尾牧野において、阿蘇管外の畜産農家から妊娠牛を受け入れる熊本型放牧畜産事業の退牧式が開催されました。これで阿蘇市の木落牧野と高森町の小倉原牧野を含めた阿蘇地域での今シーズン(4月-11月)の全ての広域放牧(4牧野、放牧頭数延べ654頭)が終了となりました。
4月下旬から阿蘇の草原でのびのびと放牧されていたあか牛や黒牛は、冬の間はそれぞれの地域の牛舎に帰り、来年の春にまた阿蘇の牧野に戻ってきます。
放牧期間中、当課では木落牧野のICT機器の運用状況について調査するとともに、他牧野で導入されている機器や最新技術についての情報提供を行うことでスマート農業の導入を支援してきました。
また、牛の死亡事故が発生した際には、現地で聞取りを行い、再発防止のための助言等も行っています。
当課では、引き続き牧野組合や農業団体等と協力し、広域放牧の拡大を進め、牧野の畜産利用を推進してまいります。

2023年1月

11月のほ場
イチゴ選果場

阿蘇イチゴ、過去最高の出荷を目指して!

阿蘇地域で栽培されているイチゴは「ゆうべに」「恋みのり」「さがほのか」の3品種が中心であり、JA共販では約11haが栽培されています。
冷涼な気候を活かし、平坦地区より早い9月の上旬から定植を行いますが、今年は例年より8月の気温が高く推移したため、例年よりやや遅い9月10日頃に分化のピークを迎えました。
また、9月下旬の台風14号の影響により葉柄が折れた株も散見されたことから、JA指導員とともに株の生育回復に留意した高めの温度管理やハダニ等の病害虫防除について講習会や巡回を通じて指導を行いました。
この結果、出荷は「さがほのか」が10月25日、「ゆうべに」「恋みのり」が11月1日から始まり例年並みの順調なすべりだしとなりました。出荷のピークは12月中旬~下旬で、日量15,000パックの予想となっています。(11月30日現在8,000パック)
今年産は、JA阿蘇イチゴ部会で218万パック(前年比118%)を目指しており、今後も高品質なイチゴを安定して生産し、目標が達成できるように講習会や巡回を通して指導していきます。

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