2021年のエリア普及現地情報

2021年12月

ワークグループによる意見交換
賛同する意見への投票

山都町茶振興に係る意見交換会の実施について

茶の産地である山都町では、中山間地の条件不利に加え、高齢化よる後継者難が進んでおり、産地としての存続が問題になっています。
山都町茶振興協議会では、茶振興に向けた計画の検討が行われており、今回、生産者の意見を振興策に取り入れるため「山都町を茶の産地として維持していくためには」をテーマとして意見交換会が開催されました。グループワーク方式で開催し、茶生産者12名が3班に分かれて活発な議論が交わされました。
議論後は、各班から「現状の打開には有機栽培や特殊な茶種の開拓を進める」等の意見が発表されました。また、発表後に参加者が各自賛同する意見に対して投票が行われました。
今後、検討結果を元に茶振興計画の策定を進めていく予定です。
農業普及・振興課としては、引き続き、山都町の茶の振興への支援を行って参ります。

2021年12月

新規就農者を囲む集合写真
鳥越氏による事例発表

ニューファーマーの集い&研修会開催

11月2日、上益城地域農業振興協議会(会長:西村博則益城町長)※は、この1年間に上益城地域で就農した農業者を地元関係者で激励するため、新規就農者8名を含む49名の参加のもと、ニューファーマーの集い(新規就農者激励会)を山都町で開催しました。
参加した就農者からは、自身の経営内容や就農に当たっての決意などを披露してもらいました。また、上益城地方指導農業士連絡協議会長とJAかみましき青壮年部長から激励の言葉をいただきました。
その後の研修会では、今年度農業コンクール新人王部門に出場した鳥越靖基さんを講師に、就農してから今までの取り組みについて講演していただきました。
また、就農者の営農リスクに備えるため、県農業共済組合から農業共済と収入保険の制度について、県農業協同組合中央会からは農業者年金について説明をしていただきました。
参加した就農者からは、「事例発表を聞いて農業に対する意欲がさらに沸いた」、「収入保険に加入するために青色申告から取り組みたい」など感想をいただきました。
今後、協議会では、就農定着に繋げるため、巡回指導やニーズに合わせた研修会の開催など、関係機関一体となって支援していきます。

※上益城管内の町、JA、振興局で構成される組織

2021年11月

「農業師匠」による新規就農者支援の開始

上益城地域の新規就農者の定着を図るため、上益城地方農業振興協議会では、今年度より「農業師匠」登録制度を導入しました。
農業師匠は、新規就農者の農作業による疑問点などの相談に対応し、新規就農者育成に協力していただく先進農家です。主要品目ごとに農業師匠を上益城地方農業振興協議会担い手部会に登録し、新規就農者からの相談に応じます。現在16品目21名を登録しています。
9月29日、今年就農した新規就農者と、ピーマンの農業師匠の顔合わせと、ほ場見学・意見交換会を実施しました。
今回の新規就農者は、周りに相談できる農家がいなかったため、農業師匠からは、品種の選定や土づくり、整枝作業についてアドバイスをいただきました。
新規就農者からは、「ほ場を見ることが出来て、自分の作付け状況との違いが分かった。次年度に向け計画を修正して、収益を上げていきたい」と意識の変化が見られました。
今後も引き続き、就農定着に向け、関係機関と農業師匠と連携して取り組んでいきます。

2021年9月

山都町地域営農法人連携会議の様子

山都町地域営農法人連携会議を開催

山都町では、平成28年度から令和2年度までに設立した6つの農事組合法人による連携会議を開催しました。
この会議は、6法人の連携を図るため、7月7日に山都町役場で各法人より理事2名が出席し、事前のアンケート調査をもとに意見交換を行いました。会議では、法人化したことで荒廃農地を防ぐことができること、集落に安心感があることなどの意見がありましたが、法人によっては所得や労力が不足し、理事に負担がかかっている点など運営面で多くの課題が出されました。
今後は、法人の所得向上を図るための高収益作物の導入支援とともに経営診断や運営管理等の調査を行い、次回の会議において、引き続き課題解決に向けて協議していく予定です。

2021年9月

農業参入に係る協定締結式

山都町と九州中央ジェネラルアグリ株式会社の農業参入に係る協定締結式

令和3年7月20日、山都町は町内に進出した農業法人との間に農業参入に関する協定を結びました。
協定の締結式には今年2月に山都町に進出した農業法人の「九州中央ジェネラルアグリ」の荒木久尚代表取締役などが出席し、上益城地域振興局石元局長の立ち合いのもと、梅田穣山都町長と地域営農の発展や農業参入に関する協定書に署名しました。
九州ジェネラルアグリは今回の進出により、山都町においてトマト・ナス・里芋・水稲・ピーマンの生産を行い、将来は野菜のカット工場の建設を予定しています。

2021年9月

7月27日ホオズキ出荷査定会の様子
7月27日ホオズキ出荷査定会の様子

夏の風物詩「ホオズキ」の出荷開始

上益城地域の山都町では、冷涼な気候を活かし、高単価の見込める8月盆向けにホオズキが栽培されています。今回、出荷にあわせて7月27日に査定会を開催しました。
本年、当課ではJAかみましきと連携して生産者と個人面談を実施し、目標設定シート・栽培管理チェックシートの作成を指導するとともに、生産目標の明確化及び計画的な管理作業の実践を促すことで、栽培技術力の向上による生産組織の底上げに取り組んできました。その結果、主要病害虫である白絹病やハダニ類等の発生が抑えられ品質は上々で、数量として前年対比110~120%の出荷が見込まれています。
さらに査定会では、日持ち向上に対する生産者の意識を高めるため、出荷調整時に使用するハサミやバケツ等の衛生管理についても指導を行いました。
選ばれるホオズキ産地を目指して、今後も関係機関と連携しながら産地育成に取り組んで参ります。

2021年7月

地域全体でトビイロウンカの防除について意識統一

トビイロウンカについては、昨年、一昨年連続して被害が発生しています。そこで、トビイロウンカの防除強化を図るため、農業普及・振興課の主催で「令和3年産水稲病害虫対策会議」を6月21日に開催しました。
会議では、管内5町、JAかみましき、農業共済組合上益城支所の担当者を集めて、トビイロウンカの生態や発生状況、防除方法等について意見交換を行いました。現在の飛来状況は平年並みとなっていますが、今後の飛来次第では昨年のような被害が懸念されます。生産者に早めの防除対策を促すため、JAと農業普及・振興課で発生予察を行い、各町へ情報提供のうえ一斉広報による周知徹底を図るよう体制を整えました。
今後とも関係機関と連携し、上益城地域の水稲の収量向上及び品質向上に向けて取り組んで参ります。

2021年7月

サポートチームによる新規就農者巡回指導の様子
サポートチームによる新規就農者巡回指導の様子

新規就農者の定着促進に向けた巡回指導の実施

5月21日、26日、6月3日に農業次世代人材投資事業(経営開始型)を活用している山都町の新規就農者の巡回指導(1回目)を実施しました。
当課では、新規就農者に対して、普及、町、JA、認定研修機関、新規就農支援アドバイザーなどの関係機関が一体となった就農定着支援を実施しています。
今回巡回指導を実施した山都町は、管内の中でも県外から移住して農業を志す方が多い町であり、サポートチーム(町、JA、農業委員会、普及等)による巡回指導が充実しています。就農状況確認では、今回確認した11経営体のうち、6経営体が夏秋トマト、2経営体が夏秋野菜の生産に取り組んでおり、定植後の栽培管理(灌水・追肥管理、摘果作業、病害虫防除)について指導しました。また、有機農業に取り組まれている3経営体には、病害虫の発生を抑制するための土着天敵の紹介や就農計画の見直しについての助言等を行いました。
本年度は4回巡回指導を実施する計画です。今後も関係機関と連携しながら早期に生産技術を習得し、経営の安定を図ることで就農定着支援に取り組んでいきます。

2021年7月

現地視察
視察後の講習会

明日に向かって学べ! トマト塾開催

山都町では、6年前から若手トマト生産者を中心に「トマト塾」を開催しています。塾では、JAや農業普及・振興課との連携で、現地検討会や講習会を開催し、塾生の栽培技術の向上を目指しています。今回、5月20日に第1回目のトマト塾として現地検討会が開催されました(12名参加)。
現地検討会では、ほ場を巡回し、生育や管理状況について、意見交換をしました。参加者の中には、新規就農者もいるため、先輩生産者からアドバイスをもらうなど、有意義な時間となりました。また、ほ場視察後に、JA、農業普及・振興課から、基本技術を中心とした講習会を行いました。今年度は、現地検討会や講習会等の活動を数回予定しています。
農業普及・振興課では、トマト塾を新規就農者に対する支援の機会の1つと位置付けており、今後も関係機関と連携して個別巡回等を実施しながら、応援していきます。

2021年6月

摘採の様子
製造工程での蒸しの状態のチェック

県品評会出品茶の製造指導を実施

上益城地域は県内において茶の主要な産地であり、生産者は茶生産技術向上のために毎年開催される県茶品評会及び全国茶品評会に積極的に出品しています。
今年は4月19日に御船町木倉、25日に山都町島木の茶園で摘採し、茶業研究所において茶研職員、革新支援センター専門員とともに製造指導を行いました。
本年は、2、3月の気温の上昇により、新芽の生育が早く、摘採が例年になく早くなりましたが、天候に恵まれ、色沢、香りの良い茶が出来ました。茶品評会への出品を通じて生産者が各自の茶の改善点を確認するとともに、高品質な茶生産を目指すことで産地全体として評価が高まることが期待されます。農業普及・振興課としては、引き続き、高品質な茶の安定生産に向け生産者への指導や支援を行って参ります。

2021年6月

理事会の様子
ピーマンハウス組み立て作業中の風景

「農事組合法人いちょう」が野菜栽培に挑戦!!

山都町下矢部東部地区では、これまで数十回に渡り役員会や集落説明会等の話し合い活動を行い、令和3年2月、10集落をまとめた「農事組合法人いちょう」(組合員数113名(74戸))が設立されました。
「(農)いちょう」では、担い手不足等による農地の維持を目指した、中山間農業モデルビジョンを策定し様々な取組みを計画しています。その一つに高単価作物(サトイモ、ピーマン、ネギ)の共同栽培・出荷を目標に掲げています。4月25日のサトイモ定植を皮切りに、5月上旬のピーマンの作付けを目指してハウスの組み立て作業にも取組まれており、5月下旬にはネギの作付けが予定されています。
農業普及・振興課では、町・JA等関係機関と連携しながら、新たなスタートを切ったばかりの法人運営に対して引き続き支援を行って参ります。

2021年5月

若手花き農家の先進視察研修会の開催

上益城農業普及・振興課では、3月19日に若手花き農業者の経営力向上並びに交流を目的に先進的な経営に取り組んでいる花き農業者の視察研修会を開催しました。
研修会には、管内の農業者、JA職員及び課の担当者の4名が参加しました。そして、阿蘇市高森町の「有限会社ウトウファーム」と「Shiraishi Flower Farm」を視察し、外国人研修生の受入れや花を使った加工品(花彩(はな)ドレッシング)の取組みについて学びました。参加者からは、通年雇用体制づくりや高冷地の冬季栽培品目やコスト等について、積極的に質問がありました。
今後も、若手農業者の交流を図るとともに、先進的な経営や技術を学ぶ機会を設け、技術向上支援を行って参ります。

2021年3月

(農)いちょう設立総会(2/14)
(農)結いとり鶴底設立総会(2/11)

中山間地域の農地を守る新たな地域営農法人が設立

山都町の中山間地では高齢化による担い手不足が深刻となっており、今後、農地の維持が困難となることが危惧されています。このため、令和3年2月、下矢部東部地区において10集落をまとめた「農事組合法人いちょう」(組合員数113名(74戸))が、また、鶴底(つるそこ)地区では、既存の機械組合を母体に「農事組合法人結(ゆ)いとり鶴底」(組合員数42名(24戸))が設立されました。
両地区とも平成30年に町から県農地集積加速化事業の促進地区に指定され、これまで数十回に渡り役員会や集落説明会等の話し合い活動を行い、合意形成を図った結果、法人設立に至ったものです。
ただ、法人設立は目的ではなくあくまで手段です。農業普及・振興課では、町、JA等関係機関と引き続き連携しながら、中山間地域の農地を守る新たな担い手として法人への農地集積を進めるとともに、水稲以外の高収益作物の導入を図る等、法人経営の早期安定に向けた支援を行って参ります。

2021年2月

育苗期の炭疽病対策はイチゴの収量に直結
花数が多い特性をもつ「ゆうべに」は摘花作業が重要

「ゆうべに」炭疽病対策で年内収量を倍がえし!!

嘉島町と甲佐町では、熊本県育成のイチゴ「ゆうべに」を12戸の農家が栽培しています。昨年度は炭疽病が発生したことから一部植替えが行われ、収穫のスタートが出遅れてしまいました。
このことを踏まえて、今年度は育苗期の雨よけビニル設置と薬剤防除の徹底を呼びかけ、その結果炭疽病をほぼ抑え込み、年内収量(11~12月)は昨年度の2倍となりました。これは普及目標である800㎏/10aを上回る数値です。現在は株の体力維持のために余分な花を取り除く摘花作業を進めています。
今年度はコロナ禍で、生産者を対象とした講習会等は控えることになりましたが、その代わり、現地を巡回した際のほ場状況から気づいた点や栽培ポイントを個別にまとめた資料を月に1度、生産者宅に郵送しています。これにより、経営主以外の家族の方々にも資料を読んでもらい、栽培管理方法をより深く理解して頂けたと思います。

2021年1月

収穫作業の様子
裂皮性を改善した品種の展示ほ

団地化した大豆の収穫作業が終了

上益城地域は県下における大豆の主産地で、そのうち嘉島町では340haで団地化による水稲とのブロックローテーションが行われ、効率的な営農が展開されています。
令和2年産の大豆は11月中旬から12月上旬に収穫され、天候に恵まれたことで収穫作業がスムーズに進み、莢の裂皮による収穫ロスが少なくなりました。このため、JAかみましきの共同乾燥施設の集荷実績は計画の1,000tに対し、1,092t(計画比109%、前年比120%)、品質は1等比率が75.1%(12月21日現在)と、昨年より多収・高品質な大豆が生産されています。
農業普及・振興課では、大豆を水田における戦略作物に位置付け、今後もJAや地域営農組織と連携し、収量・品質向上のために優良品種の選定や高位生産技術の確立を進めます。

※裂皮:収穫適期が過ぎると莢から実がはじけること。

2021年1月

日射比例式自動潅水装置
灌水増量による増収効果

夏秋トマトでの日射比例式自動灌水技術を実証

山都町では夏場の冷涼な気候を活かした夏秋トマトの栽培が行われています。農業普及・振興課ではJAやトマト部会と連携し、日射比例式自動灌水技術の実証を行いました。日射比例式自動灌水技術とは、日射量に応じた灌水(晴天日は多く、曇雨天日は少なく)を自動で行うため、従来のバルブ操作が不要になり灌水作業の省力化につながります。
調査の結果、灌水量は日射量の多い盛夏期(8月)に多く、日射量の少なくなる梅雨期や秋季は少なくなり、合理的で省力的な灌水管理が実証できました。また、今年度は灌水量の検討を併せて行い、灌水量を増やすことで栽培期間後半の草勢が維持でき、増収につながることも分かりました(下図)。これらの成果は、現地検討会において試験の様子を生産者に見てもらうとともに、令和2年12月10日に開催された部会の出荷反省会で概要を説明しました。
今後はこれらの実証結果を基に、本技術の導入促進を図る予定です。

2021年1月

MIER JAMセット商品(イチゴ、ブルーベリー、ゆず)ラベル、タグ、箱デザインも矢部高生が担当
12月19日「TSUTAYAさくらの森」で実施されたお披露目会時の販売

矢部高とTSUTAYAが、MIERU JAMを共同開発

矢部高校と蔦屋書店を運営する「ニューコ・ワン株式会社」が共同で開発した「MIERU JAM(ミエルジャム)」の販売お披露目会が、令和2年12月19日に「TSUTAYAさくらの森店」において開催され、3年生4人が、店頭でPRしました。
生徒たちは、作り手の思いを「見える化」したいとInstagram※※などで産地やジャム製造過程を発信。商品名も「MIERU JAM」としました。商品は、本年1月末まで県内の蔦屋書店・TSUTAYA5店舗※で販売されていますが、売り場展開終了後は、販売データ分析も計画しており、実践的な学びの場となっています。
本取組みは、上益城地域振興局が、矢部高校からマーケットイン型の商品づくりの相談を受けてニューコ・ワン株式会社を紹介し、9月からプロジェクトとしてスタート。新規就農者確保・育成をねらいとした「夢」農業講座の一つとして、山都町、上益城地域農業振興協議会※※※と連携してこの取組みを支援しています。

※蔦屋書店熊本三年坂・蔦屋書店嘉島・TSUTAYAさくらの森・TSUTAYA BOOKSTORE菊陽・ヒノマルキッチン&マルシェ
※※矢部高校MIERU JAM Instagramアカウント: https://www.instagram.com/mieru_jam/
※※※上益城管内5町、2JAが負担金を出し合い、上益城の農業振興のための各種研修会等事業を行っている団体。事務局は、上益城地域振興局農業普及・振興課

2021年1月

受講する講座参加者の様子
講師 セントラル化成株式会社 久保 研一氏

ニューファーマースキルアップ講座(土壌肥料編)の開催

上益城農業普及・振興課では、令和2年12月9日に御船町カルチャーセンターにおいて、ニューファーマースキルアップ講座(土壌肥料編)を開催し、管内の新規就農者5名を含む39名が受講しました。
今回は、セントラル化成株式会社の久保研一氏を講師としてお招きし、「根が教えてくれる土づくりと施肥」をテーマにご講演いただきました。
講演では、土づくりの方法や改良の目安、土の状態と根の発育の関係や作物の生育に及ぼす影響など、作目に関わらず共通して必要な基礎知識から、作目ごとに根の様子まで幅広く解説していただき、土づくりの重要性を参加者に感じてもらうことができました。
日頃は地上部に目が行きがちですが、作物を支える土壌や根にも注意を払い、高品質な農産物生産が持続的に行える農業者が増えることを期待しています。

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