2024年のエリア普及現地情報

2024年10月

収穫された「シャルドネ」
収穫体験中の参加者

今年も順調、「シャルドネ」の収穫始まる~みんなでワイン用ブドウ栽培を守る~

山鹿市菊鹿町で、8月19日から2024年産の白ワイン用ブドウ「シャルドネ」の収穫が始まりました。同町では、菊鹿町葡萄生産振興会23戸の生産者が、数々のタイトルを受賞したワイン「菊鹿シャルドネ」の原料となるブドウの生産に取組んでいます。今年は高温少雨により粒が小さめで、豊作だった昨年に比べ収量は少ないものの、糖度は良好で、生産者は早朝から完熟して黄金色になったブドウを良質ワインへの期待を込め、一房ずつ丁寧に収穫しています。
同町のワイン用ブドウ栽培面積は、生産者の高齢化により減少傾向ですが、生産振興会では、作業の機械化や新規生産者育成等、生産面積の維持・拡大に向け様々な取り組みに挑戦しています。今年は初めてとなる収穫体験も企画し、熊本市などから19名の方が、収穫作業の手伝いをされました。
また、当課も醸造元の熊本ワインファームやJAと連携し、毎月の全園巡回による管理指導に加え、枝梢管理の省力化に向けた機械導入の検討など、技術面を中心に支援を行っています。また、熊本ワインファームも、生産面積減少を補完するため、生産振興会と協力して約2haのブドウの新植を進めており、本年度の第2期48a分も各種補助事業を活用し、県市で増反を支援しています。
地域の宝であるワイン用ブドウの栽培を支えるためにも、引き続き関係機関が連携・協力しながら、継続して支援を行っていきます。

2024年10月

地域営農法人の負担軽減に向け、農高生との連携を始動~畦畔除草アルバイトを実施~

鹿本地域では、17の地域営農法人が設立され、農地の受け皿となり、水田農業の担い手として活動していますが、構成員も高齢化しており、夏期の畦畔除草の負担軽減が課題となっています。このため、当課では鹿本農業高校・県立農業大学校に働きかけ、畦畔除草のアルバイトを企画し、今年度は農大生の田植補助アルバイト等で雇用実績がある(農)庄の夢をモデル法人に選定して取組みました。
求人チラシを作成し、7月中旬に高校・大学の教室に掲示したところ、想定を上回る6名の高校生から希望があり、8月上旬から計3回のアルバイトを実施しました。生徒の志望理由は、「農業のアルバイトは少ないので興味があった」、「夏休みは時間があるのでアルバイトにちょうど良い時期の募集だった」等前向きな理由で、まとまった時間・期間働きたいとの希望も多くあることがわかりました。
一方、刈払機に初めて触る生徒がほとんどで、事前の操作研修・安全研修の充実や法人と各生徒間の効率的な連絡方法の確立等、課題も明らかになったことから、今後、法人・学校・当課で意見交換を実施し、改善を図る予定です。なお、9月4日に開催した「鹿本地域集落営農法人研修会」において、当取組みの状況を労働力確保の事例として報告・紹介しました。
今後、農業高校生と地域農業法人の双方にメリットを生む体制づくりをさらに進め、次年度以降、他の地域営農法人へも取組みを広めていきます。

2024年9月

麦刈り後一工程播種の様子
ロータリーのサイドディスク

大豆播種作業の省力化に向けた現地試験を実施~管内初、「一工程播種」の実演会開催~

鹿本地域では、地域営農法人を対象に、土地利用型作物の省力化技術の導入に向けた支援を行っています。今回は、大豆の播種作業省力化に向け、農研機構で開発された新技術「ディスク式高速一工程播種法」を使い、初めての現地試験を実施しました。
大豆は、麦刈り後に数回耕うんした後に播種作業を行いますが、作業が梅雨と重なるなど、播種準備に時間がかかり、適期播種できず減収要因の一つとなっていました。
「ディスク式高速一工程播種」は、アップカットロータリ―に専用のサイドディスクを付け、浅く耕うんすることで、耕起から播種までを1回の作業で実現しています。また、サイドディスクで排水溝を掘ることで、湿害防止による増収効果も発揮します。
7月23日に、地域の2法人の協力のもと、約3haで播種の実演会を開催しました。時速3~4kmで播種を行い、かかった作業時間は10~15分/10aと、従来の播種法と比べて大幅な省力化が図られました。見学した他法人からも、今後の試験・導入に向け、前向きな意見もいただきました。
現在の生育は順調で、今後は生育調査や作業全体の労働時間の比較を行う予定です。今後も関係機関と連携しながら、法人の経営安定に向けて、栽培面積の維持・拡大が図れるよう、省力技術の普及に向けて取組んでいきます。

※アップカットロータリ―:ロータリーの爪が進行方向と反対に回転する。大きな土塊が下に、砕土された細かい土が上になるようになっており、草やわらの埋没効果が高い。

2024年9月

夏芽目慣らし会の様子
家庭選果後のアスパラガス

アスパラガス 家庭選果の徹底を呼びかけ!~夏芽の本格出荷に向けて~

鹿本地域のアスパラガスは、約40年前に水田の転作品目として栽培が始まり、R5年産の共販実績で89戸の農家が13.6haを栽培する地域の主要作物です。今年の生育状況は、収量が昨年よりやや落ち込んでいるものの、病害虫の発生は、防除の適期管理により抑えられており、高品質なものが生産されています。
そのような中、アスパラガスの夏芽(5~10月の収穫分)の収量が多くなるこれからの時期に合わせ、7月10日にJA鹿本菊鹿選果場において、JA鹿本アスパラ部会菊鹿支部の「目慣らし会」が催されました。「目慣らし会」は、家庭での選果を徹底することで、選果場における出荷ロスの最小化を図るとともに、高品質で安心・安全なアスパラガスを消費者に提供することを目的に、毎年実施されています。
当日は、JA鹿本・生産者・当課が一同に会し、アスパラガスの曲がりや穂先の開き等の出荷基準について、現物を見ながら再確認し、家庭選果の徹底を呼びかけました。併せて、今年の夏は例年以上の暑さになると予想されているため、熱中症予防の呼びかけや熱中症対策アイテムの紹介を当課より行いました。
今後も関係機関と協力して、消費者から信頼されるアスパラガスの産地を目指して支援を行っていきます。

2024年9月

InstagramのQRコード
YouTube撮影の様子

地域の若手農業者や関係機関がSNSを活用した情報発信を実施中~就農地として選ばれる山鹿に向けて~

山鹿市への就農希望者を増やす取組みの一環として、SNS(InstagramとYouTube)を活用した情報発信について、当課が旗振り役となり、それぞれの強みを生かしながら、地域が一体となって積極的に取組んでいます。
Instagramでは、「山鹿市農業人チャンネル」が令和6年3月に山鹿市青年農業者クラブの有志3名によって開設されました。現在では、クラブ員17名全員で日頃の営農活動等を投稿する体制が構築され、フォロワーも少しずつ増え始めています。
また、YouTubeでは、「山鹿市担い手育成総合支援協議会」が山鹿市独自に開設している「よへほちゃんねる」を活用し、「山鹿農業人history」として当課も撮影・編集に加わりながら投稿を行い、山鹿市の若手農業者を紹介しています。
この取組みはまだスタートしたばかりで、動画編集や発信方法等を試行錯誤しながら行っていますが、山鹿市や農業の魅力発信だけでなく、若手農業者の産地維持に対する意識向上にも繋がっています。
今後も農業普及・振興課では、関係機関・関係者と協力しながら、このようなSNSを活用した情報発信の取組みを積極的に支援・強化して、情報化社会に柔軟に対応した就農支援体制の構築を進めていきます。

2024年8月

贈呈の様子
記念撮影

父の日に牛乳(ちち)を送ろう!牛乳贈呈式を開催~ボトル牛乳「阿蘇の雫」で乾杯~

熊本県は全国第3位の生乳生産を誇る、西日本一の酪農県であり、鹿本管内では2,475頭(県内の5.5%)の搾乳牛が飼養されています。
管内には鹿本農業協同組合と鹿本酪農農業協同組合の2つの団体があり、女性部は合同で、小学生への酪農業の紹介やバターづくり体験などに加え、牛乳の販売促進など、消費者への理解醸成や消費拡大について、継続的かつ積極的に活動しています。
今回は、牛乳の消費拡大運動の一環として、「父の日に牛乳(ちち)を贈ろう」キャンペーン活動として、父の日を目前に控えた6月13日に、両組合の酪農女性主催による牛乳の贈呈式が行われました。
当日は、山鹿市長及び鹿本地域振興局長へ、900mlの瓶牛乳と200mlのボトル牛乳(阿蘇の雫)の贈呈がありました。また、特別に鹿本地域で生産された牛乳を使ったアイスクリームも持参され、試食と支援への協力依頼がありました。このアイスクリームは、常時販売されているものではなく、能登半島地震への義援活動として特別に製造したもので、贈呈式後は、酪農の現状や情報交換が活発に行われました。
農業普及・振興課では、安心・安全な牛乳生産について支援するとともに、消費者に向けたPRについても引き続き取組んでまいります。

2024年8月

ウリ類ウイルス病対策講習会の様子
スイカ退緑えそ病の様子

ウリ類ウイルス病対策の徹底を呼び掛け~春夏スイカ後のハウス閉め込みを徹底~

今年産の春夏スイカは、4月の日照不足により、スタートが遅れたものの、最終出荷量は前年比96%・単価は過去最高(現在最終集計中)で終了することができました。現在、スイカ栽培は概ね終了しており、重要病害である「ウリ類退緑黄化病」対策を中心に、関係機関と連携して「ウイルス病を媒介するコナジラミをハウスから出さない」取組みを徹底する活動を行っています。
まず、5/23~6/10の期間に計10回、450名の生産者を対象に講習会を開催し、栽培終了後のハウスの閉め込みについて意識の徹底を図りました。この中では、管内物産館総会で周知を呼びかけ、JA夢大地館・鹿央物産館の出荷者協議会でも講習会を行いました。また6/21~7/20の一か月間、山鹿市全域及び熊本市北区植木町において、広報車4台による広報活動を行っています。
さらに6/11、6/14には管内のスイカ及びメロン栽培圃場において、ウイルス病発生状況調査を実施しました(調査圃場数:スイカ38圃場、メロン9圃場)。今年は春先からハウス内でのコナジラミの密度が高く、特にスイカにおいて退緑えそ病の発生が多くなりました。(発生株率:令和6年23.8%、過去5年平均8.4%)
今後はウイルス病をしっかり抑え込むため、「コナジラミをハウスから他さない」対策を関係機関とともに徹底し、地域一体となってウリ類ウイルス病対策を実施していきます。

2024年7月

播種と鎮圧を行う様子

鹿本地域初の乾田直播栽培試験を実施~地域の関心も高く、取組面積が拡大中~

鹿本地域では、地域営農法人の労働力不足と栽培面積の維持・拡大に向けた課題に対し、昨年度から育苗管理を必要としない直播栽培※の導入に向けた活動に取組んでいます。昨年度は、1法人(1ha)を対象に湛水直播の試験栽培を行いましたが、スクミリンゴガイの食害を受けるなど、思うような結果が得られませんでした。
その反省を生かし、他地域の先進地研修も実施しながら、今年度は新たに、乾田直播に取組んでおり、5月20日(月)に、鹿本地域の地域営農法人や関係機関を参集した、乾田直播の実演会を開催しました。当日は30名以上の参加者がありました。
乾田直播は、スクミリンゴガイの食害が避けられる一方で、代かきを行わないため、漏水が問題となります。このための対策として、九州沖縄農業研究センターで開発された振動ローラを活用した鎮圧作業を組み合わせた技術を取り入れています。
また、取組法人も2法人に増え、面積は計4.5haに拡大し、地域内での関心も高まっています。現在は順調に出芽し、雑草発生状況を見極めながら、除草剤散布の検討を行っているところです。
当課では、今後とも関係機関と連携しながら、伴走型の技術指導に加え、技術確立と普及拡大により、地域営農法人の経営安定が図れるよう、支援を行っていきます。

※水稲の直播栽培:水田に直接播種する栽培方法。畑状態で播種する乾田直播と代かきしてから播種する湛水直播に分けられる。


2024年7月

山鹿市4HCでクラブ員ほ場研修を実施~クラブ員相互の交流を促進~

山鹿市4HCは、現在クラブ員16名で活動を行っています。研修会やプロジェクト活動など活発に活動を行っていますが、ここ2年で半数以上が入れ替わり、20代前半のクラブ員が増えたことで、誰がどんな場所で、どのような農業をしているのか、お互いがよく分からないという状態でした。そこで、クラブ員のほ場を訪問し、自分のほ場や栽培の状況について説明しながら意見交換を行う、クラブ員ほ場研修を企画しました。
当日は8名のクラブ員の参加があり、6名のほ場を訪問しました。同じ品目を栽培しているクラブ員でも、地域により栽培管理が異なることから、栽培管理の狙いなどについて盛んに質疑応答が行われました。また、プロジェクト発表を行った内容を実際に現地で見ることができたことで、今年のプロジェクト発表への意識の高まりにも繋がったと思います。
参加したクラブ員からは、「同じ品目でも、他の人のほ場を見る機会がなかったのでいい機会になった」、「今日見れなかったクラブ員のほ場もぜひ見たい」等好評でした。                                         
今後は、クラブ員ほ場研修を年1~2回の恒例行事にしていきたいと考えています。
当課では、青年農業者が自身の技術や経営能力向上等につながるよう、引き続き、4HCの活動を支援していきます。

2024年6月

蒸しの程度の検討
研修会で使用した生葉

良質な一番茶の生産に向けて~製茶方法研修会の開催~

鹿本地域は古くからお茶の生産が盛んな地域であり、特に岳間地域に代表される中山間地域の重要な基幹作物の一つとなっています。
しかし、中山間地特有の狭小な茶園や傾斜が大きい茶園が多く、反収を上げることが難しいことから、高品質化による収益性向上を図ることが重要です。  
このため、山鹿市茶業振興協議会では、一番茶生産の前に生葉の品質を把握するとともに「深く鮮やかな色、まろやかでコクのある甘み」という特徴を十分に引き出した茶の生産に向け、生葉品質に的確に対応した製茶方法の研修会を当課も協力して毎年実施しており、今年は4月18日に鹿北町現地茶園の生葉を使用して開催されました。
多数の協議会員出席のもと、今年の一番茶の特徴を最大限に発揮させるため、「蒸し」はどの程度がいいのか、その後の乾燥工程はどのようにしたらいいのかなど、出席者全員で協議しながら製茶を行いました。また、終了後は、出来上がったお茶を試飲し、品質の確認と併せて意見交換を行うなど、本格的な一番茶生産に向けて有意義な研修会となりました。
当課では今後も、茶の高品質化への支援に加え、収益を向上させるための様々な取り組みについて、関係機関と連携して支援を行っていきます。

※山鹿市茶業振興協議会…山鹿市の5製茶工場と48名の茶生産者で組織、茶の生産・販売対策等を実施

2024年4月

現況地図
10年後の目標地図の素案

地域計画策定に向けて! 鹿本地域農地集積推進チームの活動報告

鹿本地域では、山鹿市と連携会議を組織し、県市が共通に抱えるテーマに応じて5つの部会を設置して、課題や目標を共有しながら、一体的な活動を行っています。
その中の「農地の有効利用部会」※では、JA鹿本と土地改良区を加えた農地集積推進チームを編成し、当課が事務局となりながら、農地集積の推進に取組んでいます。
令和5年度は計6回の会議を開催し、令和6年度末が期限の地域計画策定に向けた情報共有や協議を重ね、3月に農業委員会において、現況地図及び目標地図の素案が完成しました。
また、当課主導で、集積の受け手となる管内17の地域営農法人の経営安定支援のため、直播栽培など省力化技術や子実用トウモロコシなど新規作物の導入支援とともに、労働力確保に向けたバイトアプリの活用支援なども行いました。さらに、農地整備課では、集積状況や県営事業完了を見据えた集積率向上・維持に関する意見交換や地元説明会を実施し、基盤整備を契機とした農地集積の推進に取組んできました。
今年度は、関係機関と連携を図りながら、3月末に迫った地域計画の策定に向け、協議の場への参画とともに、地域営農法人の更なる経営力強化と計画的な基盤整備の推進に取組んでいきます。

※構成:(山鹿市:農業振興課、農林整備課、農業委員会、振興局:農業普及・振興課、農地整備課)

2024年4月

会議の様子
鹿本地域における対策活動の説明資料

鹿本地域ウリ類退緑黄化病防除対策会議を開催 ~令和6年度の重点活動を関係者で確認~

令和6年3月26日、山鹿市、熊本市、JA、物産館連絡協議会、生産者代表など関係機関40名を参集し、第25回鹿本地域ウリ類退緑黄化病防除対策会議をJA鹿本本所で開催しました。
会議では、まずJAから今年度の活動経過が報告された後、当課から鹿本地域におけるウリ類退緑黄化病対策について説明を行いました。今年度の4月から11月まで毎週実施した微小害虫発生状況調査では、退緑黄化病を媒介するタバココナジラミの野外密度は平年の倍以上と発生リスクの高い状態でしたが、圃場での退緑黄化病の発生は平年並み~やや少ないレベルに抑えられており、生産者の防除意識の高さとともに、地区別講習会やハウス閉め込みの巡回など関係機関と協力して実施した各種対策の成果がうかがえました。
また、参加組織からは、ハウス内の一斉防除や残さ処理の徹底など今年度の取組み内容が報告され、『一致団結、みんなで取り組もう!』を合言葉に、栽培者自らが自己チェックシート活用して栽培直後のハウス閉め込みの徹底を更に図ることなどを柱とした令和6年度の対策スケジュールが決定されました。
今後も関係機関と連携し、地域一体となってウリ類退緑黄化病防除対策を実施していきます。

2024年3月

出荷基準目ならし会の様子
展示ほに緩効性肥料を散布する様子

令和6年産アスパラガスの本格出荷始まる ~チーム鹿本で取組む栽培指導と新技術の実証~

令和6年産JA鹿本アスパラガス部会の栽培が面積13.6ha、部会員数85名でスタートしました。1月24日に出荷が始まり、春芽(2月~5月に出荷されるアスパラガス)の出荷が行われています。
本年度は冬場の気温が高く、春芽の萌芽は例年よりも10日ほど早い状況です。そのため、2月末時点の販売実績は、出荷量約13t(前年比182%)、販売金額2千万円(前年比164%)で好調なスタートとなりました。今後も順調な出荷が続くよう、3月以降の対策がより一層求められています。
そこで、農業普及・振興課とJA鹿本では2月下旬に、出荷基準目ならし会を5つの地区ごとに開催し、春芽出荷の状況報告と今後の管理作業について指導を行いました。今後も高温・乾燥傾向が続くことが予想されるため、かん水管理と温度管理を重点的に指導し、本年の気象に合わせた管理の見直し・徹底を呼び掛けていく予定です。
また、2月より、JA・部会・農研・農業革新支援センターと協力し、「緩効性肥料を利用した新たな施肥技術の実証」に取り組んでいます。当課では、経費削減・省力化等の効果を検証しながら、更なる安定生産と品質向上を両立できる環境に配慮した新たな技術の普及にも関係機関と共に取り組んでいきます。

2024年3月

法人の役員等20名と関係機関が参加
大豆一工程播種技術の説明に聞き入る参加者

省力化技術で経営面積拡大を目指そう ~第2回地域営農法人研修会を開催~

3月4日、鹿本地域の17地域営農法人を対象に、第2回鹿本地域集落営農法人研修会を開催しました。
研修会では、来年度の重点課題に位置付けている省力化技術を中心に、今年度の試験結果報告と併せて情報提供を行いました。当課からは①子実用とうもろこし展示ほの結果、②水稲直播栽培展示ほの結果と次年度の計画を報告し、九州沖縄農業研究センター松尾上級研究員に③大豆一工程浅耕播種技術についてご説明いただきました。
特に、排水効果も高く、耕起・播種を一工程で実施できる大豆一工程浅耕播種技術には高い関心が集まり、播種前の雑草防除や不耕起播種との違い等について質問がありました。また、研修会後のアンケートでは、実際に4法人から取り組んでみたいとの回答があり、省力化技術を波及させる必要性を改めて感じました。
また、担い手となりうる鹿本農業高校生や農業大学校生とのマッチングによる新たな労働力確保の枠組みづくりや、担い手育成の優良事例として、農業コンクールの地域農力部門で優良賞を受賞された(農)川北夢百笑からの活動事例の発表を行いました。
省力化技術のうち、次年度は乾田直播栽培と大豆一工程浅耕播種技術の展示ほ設置を計画しています。当地域での適応性や技術的な課題を明らかにし、普及を進めるとともに、労働力確保対策など地域営農法人の経営安定に向けて引き続き支援を続けていきます。

2024年3月

食の技について説明をする10名の食の名人
食の名人と関係機関との交流の様子

「ふるさと食の名人」による食の技交流会を開催~食の技と料理を笑顔で披露~

鹿本地域では、現在17名の「※くまもとふるさと食の名人」が学校や地域住民等を対象とした郷土料理技術の伝承や食育活動の推進に取組まれています。
ここ数年、新型コロナ等の影響により、相互交流を控えていましたが、技術向上ととともに、活動や料理を地域でも知ってもらうこと目的に、「食の技交流会」を
1月29日に久しぶりに開催しました。
当日は、名人10名と管内物産館等を含めた関係者合わせて25名の参加があり、最初にむらづくり課から、食の名人の認定や活動状況・次世代への伝承に向けた課題等の報告がありました。
次に、各名人持参の10品の料理披露とともに、試食・交流を行いました。作り方や材料へのこだわり、日頃の活動等の発表があり、久しぶりにお互いが顔を合わせ、笑顔で料理のポイントなどの話に花を咲かせていました。
関係機関や物産館等の参加者からは、「どれも素晴らしく、美味しいものばかり。今後とも活動の継続をお願いします。」、「どのような加工方法なのか?」、「販売したいが、加工施設はあるのか?」等の感想、質問があり、食の名人の励みになったようです。
当課では、今後とも「くまもとふるさと食の名人」の活動支援や情報発信を通して、地産地消推進や地域農業への理解促進に取り組んでいきます。

※「くまもとふるさと食の名人」…各地域で郷土の伝統料理等について卓越した知識、経験技術等を有し、伝承活動等に取り組んでいる人を県が認定

2024年3月

防除機利用実演会
ワインファーム新植ほ場

ワイン用ブドウの省力栽培体系確立に向けて~自走式防除機の利用実演会を開催~

菊鹿町では、数々のタイトルを受賞した国産ワイン「菊鹿シャルドネ」の原料となるワイン用ブドウが生産されており、菊鹿町葡萄生産振興会の生産者が安定生産・品質向上を目指して栽培に取組んでいます。
しかし、生産者の高齢化が急速に進んでおり、真夏のホース引きなどが体力的に厳しく、病害虫の防除作業が重労働となっており、防除・管理の遅れが出ることが危惧されています。
このため、少しでも労力軽減が図れるよう、国事業を活用した共同利用の自走式防除機等が新しく導入され、1月24日に利用実演会が開催されました。当日参加した生産者は、熱心に機械の扱い方を確認され、実演会後には、当課を含む関係者で、せん定前の状況確認のため、生産者の全園巡回を行いました。
また、高齢化による生産量の減少を補完するため、醸造元の熊本ワインファームでは、今年度から3年計画で約2haのブドウの新植を行う予定です。現在、県補助事業を活用し、約60a分について、雨よけ施設の建設が行われています。
当課では、枝梢の管理労力を軽減する展示ほの設置等、栽培面での支援を計画しており、地域の宝であるワイン用ブドウの生産面を支えるため、関係機関が連携して省力栽培体系の確立に向けた取組み行っていきます。

2024年2月

講師の指導を受けながら作製に励む参加者
出来上がったスワッグを手に

心を癒すクリスマススワッグづくりに挑戦~鹿本地域農業女性研修会を開催~

新型コロナウィルスの影響により、農業女性間の交流が久しく実施できていなかったことから、当課がまとめ役となり、12月7日に鹿本地方農業経営者協議会・鹿本地域くまもと農業女性ネットワークの会の合同研修会を開催しました。
この中では、多忙の中にも、日々の暮らしの中で、それぞれの家族が癒しや潤いの実感ができ、心豊かになることを目的に、地元生花店の店主を講師に招き、県産等の素材(花・木等)を活用したクリスマススワッグづくりに12人が挑戦しました。 
終始和やかな雰囲気で、相互の交流を深めながら作製を進めましたが、同じ素材でも参加者それぞれの個性や感性を生かしたオリジナルスワッグが出来上がりました。
参加者からは「部屋に飾って家族を和ませたい。」、「このような機会は久しぶりでリフレッシュできた。」等の感想が寄せられました。講師からは、「少し飾りを変えたり、松を加えたりすると正月まで長い期間楽しめる。」等のアドバイスをいただきました。
農業普及・振興課では、今後も女性農業者のスキルアップや活動支援に取り組んでいきます。

※スワッグ:花や葉、実などの植物を束ねて壁にかける飾り
※鹿本地方農業経営者協議会:県指導農業士、農業コンクール参加者等の管内篤農家で構成された組織
※鹿本地域くまもと農業女性ネットワークの会:農業女性アドバイザー、農業女性アドバイザーOG等で構成された組織

2024年2月

マルシェで設置した販売ブース
「岳間の米」新パッケージ 1、2、3kg

「岳間の米」ブランド強化に向けて新パッケージ作成~地域振興局政策調整事業を活用し、PRを強化~

山鹿市岳間地区では、「岳間米」や「岳間茶」をはじめとした中山間地域農業を基幹産業としており、当課はこれまで中山間農業モデル地区として地元農林産物の認知度向上や所得確保等を支援してきました。現在は(農)岳間の杜を対象に、良食味米「くまさんの輝き」の生産技術向上や販路拡大も支援しています。
これまで「岳間米」は、生産者それぞれが市販の米袋を使い、地元の直売所等で販売を行っていましたが、今年度の振興局政策調整事業を活用し、新たに「岳間の米」のパッケージ(シール)を作成しました。この新パッケージの作成により、生産者間で「岳間米」をブランド米として販売していく意識が高まり、現在は地元直売所や県外イベント等でもこのパッケージで販売を始めています。
また、12月3日には、新パッケージのPRの一環として、旧岳間小学校(ほっと岳間)で開催された「岳間の森 DE mamaマルシェ」に専用販売ブースを設置し、岳間米をはじめ、地元で生産された野菜等の農産物を販売しました。
今後は、「岳間米」の美味しさを既に知っている市内外の岳間ファンを中心に消費者へ直接訴求できるインターネット販売にも力をいれていく予定ですが、受注体制の整備等が課題となります。他産地への視察等も行い、中山間地域におけるブランド米の販売促進を支援していきます。

2024年2月

装飾展示の様子
花を鑑賞中

鹿本のお花で新年のおもてなし! ~装飾展示で来湯者に鹿本の花をPR~

農業普及・振興課では、熊本県花き協会鹿本支部・JA鹿本花卉部会と協力して、来湯者へのおもてなしと、新型コロナウィルスが5類に移行して初めてのお正月を迎えるにあたり、新しい年が明るいものとなる事を願い、12月30日から1月5日まで、山鹿温泉「さくら湯」において、花の装飾展示を実施しました。
12月は、鹿本地域の花き類の出荷が最も増える時期で、特に主力である黄色輪ギクは「新年を迎える花」として活用されていますが、主に関東や関西へ出荷されており、地元で鹿本の花を鑑賞する機会が少ないことから、今回の展示を企画しました。
輪ギクやスプレーギクを中心に、畑地性カラーやポインセチア、また、この時期にしか栽培していない糸ギクなどを用いてカラフルに飾り付け、温泉を訪れた方々が花の鑑賞を楽しまれていました。花を見られた方からは、「きれいですね」との声のほかに「キクにもこんなに種類があるって知らなかった」、「またやってほしい」との声が寄せられました。
当課では、花き協会や関係機関と連携して、これまで花の贈呈や観光施設での花の装飾展示、フラワーアレンジ・寄せ植え体験教室等を開催してきました。今後も鹿本産花きの消費拡大のため、地元消費者へ向けた活動に取り組んでいきます。

※熊本県花き協会鹿本支部:鹿本の花き生産振興・消費拡大活動を目的として、山鹿市、JA鹿本、県(鹿本農業普・振興課)で構成された組織

2024年1月

座学の様子
実地演習(農場→現場事務所へ向かう全身消毒)

鹿本地域家畜伝染病防疫演習の開催~防疫体制の役割と現場事務所の流れを確認~

11月7日、鳥インフルエンザなどの悪性家畜伝染病発生時に迅速かつ的確な防疫措置ができるよう備えるため、山鹿市環境センターで鹿本地域家畜伝染病防疫演習を開催しました。
演習は、座学と実地演習の2部構成で行いました。座学では、管内で発生した際の防疫体制(後方支援)について、関係機関の役割分担や具体的な防疫体制の確認とともに、今年度から変更となった健康観察について、山鹿保健所から説明がありました。また、実地演習では、現場事務所の役割や流れについて説明を行い、演習に移りました。鹿本地域では、防疫演習の中に毎年実地演習を取り入れていますが、今年度は後方支援の中でも、防疫作業の最前線基地となる現場事務所の設置・運営の実演を行いました。実際にテントや資材を設置し、配置や動線について確認を行うことで、参加者からはイメージが湧いたとの声が聞かれました。
今シーズンも、九州を含む複数の県で鳥インフルエンザが発生しており、どこで発生してもおかしくない状況です。今回の演習及び検証結果等を基に、発生に備え、迅速かつ的確な防疫対策が行えるよう関係機関と連携し、より一層の体制強化に取り組みます。

2024年1月

熱心に説明を聞く生徒たち
食の名人へお礼を述べる生徒代表

「食の名人」が出前講座で中学生に久々の料理指導~いきなり団子の伝承活動を再開~

当地域では、現在16名の「くまもとふるさと食の名人」※が学校や地域住民等を対象とした食の伝承活動や食育推進の活動に取り組んでいます。
これまでは、新型コロナの影響で対面での活動が制限されていましたが、令和5年度「くまもとふるさと食の名人・小中学校等派遣事業」を活用して、10月20日に「郷土料理出前講座」が山鹿市立菊鹿中学校で開催されました。
当日は、地元の4名の食の名人(冨田美代子さん、小林香さん、原口法子さん、古家トミコさん)が、2年生40名に対して、「いきなり団子」の伝承活動を行いました。
4名の食の名人は、コロナ禍で活動を自粛していましたが、今回は久しぶりの活動であり、再活動できた喜びを噛みしめながら張り切って中学生を指導していました。
また、それに応えるように参加した生徒たちは、熱心に説明を聞き、はじめての「いきなり団子」づくりにチャレンジしながら、食の名人との交流を深めていました。
当課では、今後とも、「くまもとふるさと食の名人」の活動支援を通して、地産地消推進や地域農業への理解促進に取り組んでいきます。

※「くまもとふるさと食の名人」…各地域で郷土の伝統料理等について卓越した知識、経験、技術等を有し、伝承活動等に取り組んでいる人を県が認定

2024年1月

年末電照ギク 
現地審査の様子

鹿本の名産花き「年末菊」の立毛品評会開催

JA鹿本花卉部会菊専門部では、毎年、年末菊栽培において、部会員の栽培技術や生産意欲向上のため、立毛品評会を開催しています。
今年は11月29日に開催され、事前に選定された5カ所のほ場で、生育の揃いやボリューム・病害虫の有無などについて審査を行いました。当品評会は、審査員として経済連や農業普及・振興課のほか、部会員も一緒に参加し、参加者全員の投票により順位を決定するのが特徴です。
今年のキク栽培は、夏の猛暑に加え、少雨による乾燥の影響もあり、例年より草丈の確保や生育を揃えることが難しい気象条件でした。しかし、審査を行ったほ場は、いずれも生育が揃っており、天葉や花首の締まり具合も良好で、出品者の技術力の高さをうかがうことができました。
また、生産者間でも温度管理や矮化剤を使用するタイミング等、積極的な情報交換が行われ、生産意欲の向上につながっています。
当産地では高齢化などによる労働力不足をカバーするため、脇芽の少ない省力的な新品種導入を進めており、当課では今後も関係機関と連携して、キクの生産振興と栽培技術の高位平準化を図りながら、キク産地の維持強化に取り組んでいきます。

※立毛品評会:「立毛」とは農作物の収穫する前の状態のこと。切り花の品質だけでなく、栽培管理やほ場管理、病害虫防除など、栽培の過程も含めて評価する。

2024年1月

出荷基準目ならしの様子
「ゆうべに」状況(12/6撮影)

JA鹿本苺部会出荷大会を開催~「動画マニュアル」による摘花講習を実施~

JA鹿本苺部会では、部会員44名が県育成品種「ひのしずく」、「ゆうべに」を中心に作付面積約7.4haで栽培に取り組んでいます。今年産の本格出荷を控えた11月28日に、「JA鹿本苺部会出荷大会」がJA鹿本本所において開催されました。
当日は、部会員で等階級毎のパック詰めの確認を行った後、JAからイチゴ販売計画について、市場からはイチゴの消費動向や他産地の情勢について、それぞれ報告がありました。
これまで当課では、猛暑の影響から花芽分化がばらついている状況にいち早く対応するため、定植から出荷までの個別巡回を例年以上に行ってきました。また、特に今回の出荷大会の場では新たに摘花講習の時間を設け、県作成の「ゆうべに摘花動画マニュアル」等を活用し、「ゆうべに」栽培指針に基づく定植後の出蕾状況に応じた摘花・摘花房対策を再度理解してもらい、部会全体での管理技術の向上を図りました。
結果、例年と同時期に出荷開始を迎えることができ、「ゆうべに」においてはクリスマス需要期に向けて順調な販売が続いています。また、年明け以降まで安定的な出荷が見込まれ、良好な成績が期待されています。
これからも関係機関と連携して、イチゴ経営の更なる安定に向けて栽培支援を行っていきます。

2024年1月

グループワーク発表の様子
意見交換会の様子

鹿本地方農業経営者協議会 就農者・研修生と悩みと夢を語る!~新規就農者・研修生と語る会を開催~

鹿本地方農業経営者協議会では、「地域の新規就農者は、地域の農業者で育成していく」という意識のもと、11月30日(木)に初めての試みとなる「新規就農者・研修生と語る会」を開催しました。
当日は、新規就農者13名、研修生5名、協議会員9名、関係機関9名の合計36名の出席があり、グループワークと意見交換会で交流を深めました。
グループワークでは、「就農の悩みと将来の夢」をテーマに、新規就農者と研修生が話した内容に対し、会員や関係機関がアドバイスをするといった形式で行われました。「就農する際にハウスや農地が見つからず苦労した」、「栽培技術を尋ねる農業者が近くにいない」、「わからないことがわからない」、等の多数の意見が出され、会員が悩みを知ることができたと同時に、この会を通じて「農地情報を研修生が得ることができた」といった交流の効果も見られました。
当協議会では、鹿本地域の農業を維持するために、経営継承や研修生受け入れ等について積極的な話し合いを行っています。農業普及・振興課では、活動支援はもとより、協議会との意見交換を踏まえながら、新規就農者・研修生の育成を地域の農業者と一体となって進めていきます。

※鹿本地方農業経営者協議会:県指導農業士、農業コンクール参加者等の管内篤農家で構成された組織(会員18戸 会長:井上 敏幸)

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