菊池エリア

菊池地域は菊池市、合志市、菊池郡を所管しています。県の北東部に位置し、東部の一部並びに北部は阿蘇外輪山系に接する中山間地、西部並びに南部は菊池川・白川の流域に広がる平野・台地からなる自然豊かな地域です。畜産を主に野菜、米等多様な経営が展開され、県内有数の農業生産地域となっています。県下一の畜産地帯で、近年では菊池産の飼料用米で飼育した「えこめ牛」等、地元産の自給飼料にこだわった畜産物が生産されています。米についても、北部を中心に「うまい米づくり」が活発に行われています。

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県北広域本部 農林水産部 農業普及・振興課

〒861-1331 菊池市隈府1272-10

電話:0968-25-4160

FAX :0968-25-5401

菊池エリア普及現地情報

2024年10月

生産者への個別ヒアリング
「菊池水田ごぼう」の播種作業(8月下旬~)

「菊池水田ごぼう」における個別ヒアリングに基づいた重点指導 の実施

「菊池水田ごぼう」※1は、平成31年に地理的表示(GI)※2の登録を受け、菊池地域の主要なブランド農産物として、更なる消費拡大、生産拡大が期待されています。しかし、近年は土壌病害の発生による単収の減少や高齢化に伴う担い手の減少によって安定生産が難しくなってきています。特に、昨年産は、夏季の高温・乾燥の影響で発芽不良や生育不良が生じ、収量の減少や出荷計画への影響が生じました。
そこで、本年度は「菊池水田ごぼう」の安定生産のためJA菊池ゴボウ部会と協力して7月に生産者への個別ヒアリングを実施し、令和5年産の反省と令和6年産に向けての目標・栽培管理上の注意点を確認しました。
個別ヒアリングの実施によって、生産者毎の状況が詳細に把握できるようになり、播種直後のかん水準備や病害虫防除等の適期指導に繋げています。
当課では、関係機関や農家と連携しながら「菊池水田ごぼう」産地維持に向けて取り組んでいきます。

※1菊池水田ごぼう:水田で栽培するゴボウ。一般的な畑ごぼうと比べ肌が白く柔らかで「あく」が少ない。
※2地理的表示(GI):産地と品質の結びつきを示す農林水産物等の名称。保護制度により登録されると名称が知的財産として保護される。

2024年10月

技術&経営力UPを目指したニューファーマー研修会

県北農業普及・振興課では、令和元年度から菊池地方4Hクラブと共同で、新規就農者等を対象としたニューファーマー研修会を実施しています。令和6年度第1回目は8月8日に県立農業大学校で開催し、新規就農者等17名が参加しました。
研修会は3部構成とし、1部はクボタアグリサービス熊本営業所から講師を招き、草刈り機の安全な使用方法とメンテナンス手法について実技指導をしていただきました。2部では、菊池地方4Hクラブ員でもあるデザイナーの山本祥氏から販売会等で活かせるデザインの基礎について講義いただきました。3部では、参加者間の交流を目的とした意見交換の時間を設けました。
菊池地方4Hクラブの池田会長は、「就農5年目となり、今更聞きにくい草刈り機について学べて勉強になった。また、他業種から農業参入したクラブ員のキャリアを生かした研修会となり、良い刺激を受けた。」と話していました。
受講者アンケートでは約9割が満足と回答。次回の研修テーマについての要望もあり、ニューファーマー研修会は県北地域の担い手支援の取組みとして定着しています。
当課では新規就農者の技術力と経営力の向上に繋がる支援を継続していきます。

2024年9月

組合員による詰込み作業
農福連携コーディネーターとの作業内容の確認

他地域との広域連携に向けたフレコンバック輸送を検討

菊池地域では、地域から生産される堆肥を地域外へ流通するとともに、牛用飼料を受け入れる広域連携に取り組んでいます。これまではバラ堆肥にて輸送していましたが、利用する耕種農家側の利便性を向上させるために、堆肥のストックヤードからユニック車等で運搬ができ、耕種地帯から飼料を輸送した帰りに堆肥を持ち帰るフレコンバックによる輸送を進めています。
昨年度から、効率的なフレコンバックへの詰込み作業を模索しており、吊り下げ紐をホイルローダーに設置する方法やフレコンスタンドを活用した詰込みも検討してきましたが、堆肥生産組合では、実効性がある方法として、社会福祉事業所へ詰込み作業を委託する農福連携に着目しています。
福祉事業所へ作業委託するにあたり、料金設定や委託する作業量や留意点等を検討・確認する必要があるため、堆肥生産組合員による人力作業を7月26日に実施しました。当日は、農福連携に取り組む熊本県農福連携協議会員の福祉事業者の方や農福連携コーディネーターからのアドバイスを受けることで、作業切り分けの方法や受入れ時の注意点なども確認することができました。今後は、料金や出来高目標を設定しつつ、作業マニュアルを作成し福祉事業者との協議を進めていくことで、地域外への定量輸送を実現できるよう勧めて参ります。

2024年9月

講習会の様子
現地検討会の様子

気象災害に強いイネづくりに向けた講習会・現地検討会の開催

近年の稲作は、登熟期の高温や台風の発生などの気象災害により、収量・品質が不安定な状況です。菊池地域は水稲栽培が盛んな地域であり、ベテラン農家の高度な技術が継承され、良食味米生産のための栽培管理が行われている一方、米価下落や高齢化の影響を受け、近年、一部では作業省略の方向に進み、基本技術への意識が薄れつつある現状があります。
そこで、農業普及・振興課では、今一度基本技術を徹底することで、高品質・高収量を目指すべく、昨年度よりJA菊池と連携して、各支所で講習会や現地検討会を実施しています。水稲生産者は、定年退職や農地継承をきっかけに、周囲の見よう見まねで栽培を始めた経験の浅い方も多いことから、講習会では、育苗管理や水管理について重要なポイントを絞って説明を行い、絵や写真を多用した資料を使用することで、参加者に視覚的な理解を促し、現地検討会では、参加者に中干しの開始時期や程度、茎数の数え方などを実際にほ場のイネを用いて説明しました。草の根レベルでの地道な活動ですが、生産者のレベルは少しずつ上がってきていると感じます。また、参加者からは、「このような場にもっと早くから参加すればよかった」との声が上がり、今後も定期的な開催が望まれます。
農業普及・振興課では、今後も関係機関と連携し、基本技術の周知徹底に向けた取組を続けてまいります。

2024年9月

ほ場内のタバコカスミカメを確認している様子
ハウス外部のクレオメに定着しているタバコカスミカメ

IPM技術に挑戦!持続可能なスイカ産地育成を目指して

JA菊池すいか部会では、青年部を中心に令和6年度春スイカから化学農薬のみに頼らないIPM技術として土着天敵タバコカスミカメを活用し、持続可能なスイカ産地育成に取り組んでいます。
3戸の若手生産者が、ウリ類のウイルス病を媒介するコナジラミ類やアザミウマ類等の天敵であるタバコカスミカメを導入し、防除効果を確認しました。生産者からは「春先の爆発的な増殖が見られず、発生密度を抑えることができた」、「次年度は勉強会を開き、取り組み農家数を増やしていきたい」等技術の導入に前向きな意見がありました。
なお、今年の春スイカでは販売額が過去最高の9億7千万円を超えました。秋スイカと合わせて、初の10億円越えに向けて生産意欲が高まっています。
農業普及・振興課では、IPM技術を踏まえた防除暦の作成や展示ほ調査等を通して、持続可能なスイカ産地育成に向けて支援していきます。

2024年9月

(農)えら の事例発表
意見交換会

後継者確保と育成をテーマに地域営農法人研修を実施

菊池地域には、県内最多の22地域営農法人が設立されており、土地利用型作物を中心に地域農業維持のための営農活動を行っていますが、法人代表者及び構成員の高齢化が進み、後継者の確保及び育成が喫緊の課題となっています。
そこで、7月30日に“後継者確保と育成”をメインテーマとした令和6年度菊池管内地域営農法人経営向上研修会を開催しました。
農事組合法人えら(合志市江良区)の 安武祐次代表理事から、高齢化の現状や区内外の若手を集めた法人概要説明会や作業体験、アンケートなどの取組み事例を紹介いただいた後、アドバイザーとして農事組合法人袈裟尾 有働代表理事とネットワーク大津株式会社 徳永代表取締役にも登壇いただき、意見交換会を実施しました。参加法人からは、(農)えらの事例を参考に集落の若手へアクションを起こしたい等、前向きな感想も聞かれました。
また、当課からは前年度法人経営分析結果や後継者確保の考え方について講義を行うとともに、後継者確保と併せて、近隣の法人や組織、農家との連携体制を作っていくことの必要性を伝えました。
今後、農業普及・振興課では、各法人の後継者確保に向けた取組や連携体制づくりのための話し合い活動を関係機関と連携し、支援してまいります。

2024年8月

ニーズ調査の実施状況①
ニーズ調査の実施状況②

営農継続に向け、個別訪問による農業者ニーズ調査を実施~半導体関連企業集積への対応(県北PT営農継続支援チームの取組み)~

半導体産業の集積が進む菊池地域では、工業用地等としての土地取引が拡大し、農地の借地契約解除が急増する等、農地確保が課題となっています。そのため、当課では、昨年6月に県北PT営農継続支援チームを立ち上げ、関係機関と連携し、耕作放棄地等によるマッチングを進めていますが、まとまった農地の確保につながっておらず、更なる対策が必要となっています。また、一部の農業者の不安を把握している一方で、地域全体のニーズが捉えられていないという課題がありました。
このような背景から、営農継続に向けた支援策を検討するため、農林水産部PT営農継続支援チーム・市町・農業団体と連携し、影響を受けた農業者のニーズを詳細に把握する個別訪問調査を、菊池地域の約100経営体(畜産:約60経営体、露地野菜:約30経営体、施設野菜等:約10経営体※調整中※)を対象として実施しました(5月30日~7月12日(期間内のべ32日間)、のべ89名を動員※調整中※)。農業者からは農地減少の実態や営農上の課題等を聞き取るとともに、農地整備も含めた代替農地確保等、今後の対応策に対する様々なニーズを確認することができました。
今後、農業者から得られた個別具体的な様々なニーズ・意見を集約・分析し、関係市町、農業団体と共有しながら、今後の対策に活かして参ります。

2024年8月

現地検討会(ロボットトラクターの説明)
代かき作業の様子

ロボットトラクターによる代かき作業現地検討会の開催

6月10日、大津町のネットワーク大津株式会社水田ほ場においてロボットトラクターによる代かき作業現地検討会を県北主催で初めて開催しました。
ネットワーク大津株式会社では、麦類、飼料用米(SGS)、WCS用稲、大豆など約330ha(うち15haが本社経営)の経営を行っているため、麦収穫期から田植期は一年のうちで最もオペレーターの負担が大きくなります。そこで育苗は外部委託することで労力軽減を図っていますが、代かき作業は、水田の透水性が高い地域のため丹念に行う必要があり、30aのほ場あたりトラクター2台で約1時間~1時間30分と労力がかかり、省力化が課題となっています。
そこで、ロボットトラクターによる代かきは、GPS情報により作業の重なりが少なく、一筆書きで塗り絵を行うような工程を可能にすることから省力化が期待されます。
現地検討会では、農機メーカーから自動運転や安全面についての説明がありました。実証試験では、現状で可能な自動代かき工程を実施した場合、延べ作業時間は慣行の22.4%となりました。
また、慣行及び実証ほ場には、水位センサー(ELTRES)を設置しており、水田の減水深についても検証する予定です。
当課では、管内法人組織の自動運転農業機械を活用したスマート農業の実践を引き続き支援していきます。

2024年8月

研修の様子
研修カリキュラム

宿根カスミソウ新規作付け者に対する研修会を開催

熊本県は国内1位のカスミソウ産地です。中でも菊池地域の宿根カスミソウは県内1位の栽培面積を誇っていますが、生産者の高齢化により将来に亘る栽培面積減少が懸念されています。
当課では、昨年までにJA菊池花卉部会と連携し、宿根カスミソウの新規就農者を対象とした研修体制を構築しました。研修は、現役農家が研修生を受入れる実践研修と関係機関が行う座学研修とし、2年間のカリキュラムとしました。
今年度は、宿根カスミソウの栽培を始めて2年未満の生産者4名に対して座学研修を行い、栽培技術の習得を支援することとしています。5月には宿根カスミソウの栽培概要、6月には土づくりと定植準備について研修を行いました。研修生からは定植時の注意点について等の質問や、今後土壌病害についての研修を行ってほしいといったリクエストがありました。
今年度は6回の研修会を予定しており、昨年までに作成した研修カリキュラムについて関係者とブラッシュアップしながら、新規就農者確保から育成に向けた体制強化をして参ります。

2024年7月

見本茶及び価格情報(市場ニーズの把握)
市場ニーズに対応した製造指導

市場ニーズを捉えた一番茶生産対策の取組

茶の生産者にとって重要な一番茶の摘採作業が、4月16日から5月末にかけて行われました。今年の一番茶は凍霜害が見られず、概ね順調に生育しましたが、摘採直前から摘採期にかけて、強風や高温、天候不順など、茶の品質を損なう悪条件が続きました。特に、降雨の影響で予定通りに作業が進まない茶園が散見され、生産者からは「こんな年は記憶にない」といった不安の声が聞かれました。
そこで、市場の動向とニーズを生産者が把握し、出荷する茶の製造へ即時反映できるよう、入札販売会を頻繁に訪れ、市場関係者からの聞き取りや見本茶の収集へ取り組みました。また、JA菊池との打合せや生産者からの要請に応じて茶工場を巡回し、見本茶や価格情報を生産者と確認しながら、農業革新支援センター等からの助言を参考に、市場ニーズを捉えた製造方法を指導しました。
その結果、管内の入札販売茶の単価は前年並みとなり、一部の生産者からは「当初の想定よりも高値で売れた」といった感想が出るなど、生産者との連帯感が高まったと感じました。一方で、出荷最盛期の降雨の影響で、出荷を見送られた茶が在庫となるなど、厳しい状況の生産者は少なくありません。農業普及・振興課は関係機関と連携し、菊池地域の茶の生産対策や消費対策へ引き続き取り組んでまいります。

2024年7月

菊池水田ごぼう
ゴボウの収穫(冷蔵貯蔵分)

「菊池水田ごぼう」の安定生産を目指して

「菊池水田ごぼう」※1は、平成31年に地理的表示(GI)※2の登録を受け、菊池地域の主要なブランド農産物として、更なる消費拡大、生産拡大が期待されています。
「菊池水田ごぼう」栽培では、各生産者がゴボウの掘り取り、洗浄、あく抜き等の出荷調整を行っているため、1日に収穫できる量が限られます。特に、雨の多い時期には掘り取り作業が計画通りに実施できず、堀り取り遅れによって傷みが生じる等品質の低下が大きな問題となっています。
本年度は、JA菊池ゴボウ部会と連携し、適期収穫および品質保持を目的に、あらかじめ収穫したゴボウを泥付きのまま冷蔵貯蔵し、品質を検討する試験を計画しています。5月10~15日には3軒の農家の協力のもと、冷蔵貯蔵試験を開始しました。今後は6月下旬に品質や作業時間分散への効果について調査を行い、9月にとりまとめた結果を部会へ報告することとしています。
当課では、「菊池水田ごぼう」の安定生産に向けて関係機関や農家と協力しながら取り組んでいきます。

※1菊池水田ごぼう:水田で栽培するゴボウ。一般的な畑ごぼうと比べ肌が白く柔らかであくが少ない。
※2地理的表示(GI):産地と品質の結びつきを示す農林水産物等の名称。保護制度により登録されると名称が知的財産として保護される。

2024年6月

新役員の所信表明
経営改善に向けた話し合い

令和6年度菊池地方青年農業者クラブ総会開催~活動実績の総括と本年度方針・計画を報告!~

菊池地方4Hクラブは新規参入者、親元・雇用就農者等の若手農業者が所属し、技術面だけでなく、経営面や営業面でのスキルアップを目的とした視察や研修会を主体的に企画する等活発に活動されています。
4月22日は関係機関の参集のもと、菊池地方4Hクラブの総会が菊池市泗水公民館で開催されました。開催にあたっては、事前に会長自らJAきくちと意見交換を行い、連携をさらに深めました。
総会では、会長の交代をはじめとする役員改正、令和5年度の活動実績や本年度の活動計画等の全ての議案が承認され、新体制での新たな菊池地方4Hクラブの活動がスタートしました。
総会後には、野菜、果樹花き、畜産、普通作の4グループに分かれて、自身の経営改善に向けたプロジェクト活動への取組みについて農業普及・振興課の技術担当者を交えて話し合いました。1人1課題への挑戦に向けて生産上の課題や悩み、不安に思うことなどをシートに記入し、今年度の取組みの方向性を検討しました。
農業普及・振興課では、「青年農業者の地域リーダーへの育成」を普及振興計画の重点課題としており、今後も4Hクラブ員を中心とする若手農業者の経営力向上につながる活動支援を行っていきます。

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