菊池エリア

菊池地域は菊池市、合志市、菊池郡を所管しています。県の北東部に位置し、東部の一部並びに北部は阿蘇外輪山系に接する中山間地、西部並びに南部は菊池川・白川の流域に広がる平野・台地からなる自然豊かな地域です。畜産を主に野菜、米等多様な経営が展開され、県内有数の農業生産地域となっています。県下一の畜産地帯で、近年では菊池産の飼料用米で飼育した「えこめ牛」等、地元産の自給飼料にこだわった畜産物が生産されています。米についても、北部を中心に「うまい米づくり」が活発に行われています。

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県北広域本部 農林水産部 農業普及・振興課

〒861-1331 菊池市隈府1272-10

電話:0968-25-4160

FAX :0968-25-5401

菊池エリア普及現地情報

2025年12月

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座学の様子
実演の様子

県北広域本部・菊陽町合同家畜伝染病防疫演習を開催

今年も鳥インフルエンザが流行するシーズンに入りました。県北広域本部では毎年このシーズン到来に先立ち、菊池管内の市町と合同で悪性家畜伝染病の発生時に備えた演習を開催しています。今年度は10月16日に菊陽町民体育館にて菊陽町と合同で行いました。
演習は座学と実地演習の2部構成で行いました。座学では、城北家畜保健衛生所から悪性家畜伝染病の発生状況について、県北広域本部からは菊池管内発生時の後方支援について、そして菊陽町からは菊池管内発生時の町の役割について説明しました。
実地演習では、消毒ポイントや、農場内の防疫作業にあたる職員の拠点となる支援センターや現場事務所の運営について、実際の道具や資材を用いて説明しました。また、今回は鳥インフルエンザと豚熱の発生時の対応の違いや、鳥インフルエンザ発生時の焼却処分の対応を踏まえた内容も説明し理解していただきました。
今回の演習を通して、管内発生時に設営作業にあたる県や市町の職員とともに設営や作業手順の確認を行うことで、課題の洗い出しをすることができました。
今シーズンも既に鳥インフルエンザの発生が確認されており、いつどこで発生してもおかしくない状況です。今回の演習を踏まえ課題を改善し、迅速かつ的確な防疫作業が行えるよう関係機関と連携することで、より一層の体制強化に取り組みます。

2025年12月

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JA菊池すいか部会講習会
タバコカスミカメの調査の様子

令和8年度の春すいかに向けたIPM技術への取組み

JA菊池では、59戸の部会員によってすいかの生産が盛んに行われています。
春すいかの栽培期間では、気温の上昇に伴い、野外からの害虫の飛び込みや増殖が加速するため、産地全体で発生初期の防除に取組むことが重要です。
そこで、JA菊池すいか部会では、10月8日に令和8年度の春すいかに向けた講習会が開催されました。農業普及・振興課からは、化学農薬のみに頼らないIPM技術として天敵タバコカスミカメ利用による防除の結果を報告しました。特に防虫ネットを併用することで、害虫密度が低く抑えられたことを説明しました。実際にタバコカスミカメを使用している生産者からも、「コナジラミの爆発的な発生はなく、防除の効果がみられた」との発言があり、活発な意見交換が行われました。
菊池地域では、青年部を中心に天敵資材の活用が少しずつ広がっています。当課では関係機関と連携し、天敵資材の放飼開始時期や農薬の選定など情報提供を行いながら、令和8年度産すいかの生産安定に向けて引き続き支援していきます。

2025年12月

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高温対策を目的とした遮光試験の様子

ゴボウの安定供給に向けて! ~講習会の開催と高温対策試験~ 

JA菊池ゴボウ部会は、71 戸の生産者が約145haを栽培しており、平成31年に地理的表示(GI)※1に登録された「菊池水田ごぼう」※2は、高単価で推移していますが、生産量は近年の高温や病害に起因する発芽・生育不良により減少しています。農業普及・振興課(以下、当課という。)では、令和6年度よりJA菊池ごぼう部会と連携し、産地維持に向けた効率的な生産体制の整備に向けて、産地実態把握のためのヒアリングや、作業効率化に向けた技術支援等を行っています。
10月10日には、栽培中の冬穫り作型と11月より作付けが開始される春穫り作型の収量確保に向けた講習会が開催されました。JA担当者から施肥や農薬散布等の栽培管理や注意事項について説明があり、当課からは今後の気象条件と管理における留意点や、農作業および食品安全に配慮した効率的な生産工程(GAP)の考え方とともに、本年度新たに取り組みを開始した高温対策試験の経過報告も行いました。夏季の高温は先述の生産量の減少にも大きく影響しており、生産者へのヒアリングでも喫緊の課題として挙げられていました。この対策として、トンネル支柱を活用した遮光資材被覆の試験を実施中です。昇温抑制効果については既に確認しておりますが、費用対効果も含めた成績を取りまとめて年度内に部会への報告を行うこととしています。
ゴボウを安定して供給できる強い産地の育成に向けて、今後も部会と協力しながら取り組んでいきます。

※1地理的表示(GI):産地と品質の結びつきを示す農林水産物等の名称。保護制度により登録されると名称が知的財産として保護される。
※2菊池水田ごぼう:水田で栽培するゴボウ。一般的な畑ごぼうと比べ肌が白く柔らかであくが少ない。

2025年12月

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「フクユタカA1号」ほ場の生育検討
高温対策展示ほ「そらみのり」の生育(着莢状況)

大豆新品種及び高温干ばつ対策展示ほの現地検討会の開催

菊池地域では、大豆の収量向上を目指し、本年産から他産地よりいち早く、難裂莢性の県奨励品種「フクユタカA1号」や国育成の極多収品種「そらみのり」へ品種転換を行いました。一方で白川流域の水田は、透水性が高く、夏場の高温干ばつ時に畝間かん水や暗渠利用の地下灌漑ができず、収量品質の低下が課題です。
この課題解決のため、透水性が高い圃場でも灌水が可能となる“額縁明渠+弾丸暗渠”を播種前に施工し、水分を多量に必要とする開花期から登熟期に干ばつが発生した場合、額縁明渠に入水し、弾丸暗渠を介して圃場全体に水を行き渡らせる「高温干ばつ対策展示ほ」をネットワーク大津株式会社と連携して設置し、10月23日にJA営農指導員及びネットワーク大津社員と現地検討会を開催しました。
本年は、品種特性に加え、天候に恵まれたことから、両品種とも良好な生育を示しており、倒伏もなく、着莢数も平年より多い状況でした。9月以降に10日以上降雨がない期間もなく、入水による効果が確認できませんでしたが、参加者からは、「品種転換により大幅な増収が見込まれる。難裂莢性品種だが刈遅れず適期収穫しよう。」「干ばつに備えたほ場の営農対策が分かった。」などの声が聞かれました。
当課では、今後とも大豆の単収向上、生産安定による生産者の収益向上を目指し、関係機関と連携して支援してまいります。

2025年11月

電気柵とシートによるアナグマ対策
JA鳥獣被害対策研修会

鳥獣被害防止対策に係る広域連携の取組み

菊池地域では、イノシシ生息域の急速な拡大により、農作物の鳥獣被害額が年々増加していますが、イノシシの被害に隠れていたアナグマやアライグマ等の中型獣類の被害も拡大しています。特に本年はアナグマによる春スイカ被害の相談が増加しました。
そのため、6月18日に電気柵により侵入防止に取り組まれている熊本市北区の先進事例を関係機関と調査しました。電気柵シートとの組み合わせにより雑草による漏電を防ぎ、アナグマを防止している事例を視察し、併せて国交付金を活用した侵入防止柵設置の進め方についても説明を受け、交付金の利用がない市町においては参考になりました。
また、8月5日には管内の市町・JAを集めた広域連携会議を開催し、被害状況や防止対策の情報共有を図るとともに、近年出没が増えているサルへの対策について意見交換を行いました。
当地域でもイノシシ用侵入防止柵の設置は少しずつ進んでいますが、鳥獣被害は増加傾向にあるため、農業普及・振興課では、関係機関による鳥獣被害防止研修会の機会をとらえ、えづけSTOPや柵設置後の維持管理方法の周知を図るとともに、新たな獣種の対策研修にも取り組んでいきます。

2025年11月

球体除草ロボットと松添教授
水田での実証実演の様子

水田球体除草ロボット実証実演会

菊池市は令和7年3月にオーガニックビレッジ宣言を行っており、有機農業の推進に取り組んでいますが、水稲の有機栽培においては除草作業が大きな課題であり、乗用型除草機やアイガモロボットなど様々な手法が検討されています。
そのような中、8月19日に熊本県立大学の松添教授を中心に開発が進められている球体除草ロボットの実証実演会が開催され、関係者の注目を集めました。
このロボットは直径約25cm、重さ約4kgの球型をしており、内部の振り子機構により回転しながら移動し、小さな雑草を巻き取るとともに、水中を攪拌することで雑草の発生を抑えます。
本機は水深15cmかつ田植え後2週間までとの適応条件がありますが、より浅い水深や中規模水田への対応を目指した第2世代への改良が進められているとのことで、生産者からも改良に向けた多くの意見やアイデアが寄せられました。
除草問題に挑むスマート農業技術の存在は、有機農業を目指す産地にとって心強く、また、農業の魅力を伝える取り組みとしても期待されます。
農業普及・振興課では、今後も有機農業の実践に向けた技術導入と現場支援を継続してまいります。

2025年11月

各メーカーによる機種の実演
ウインチ固定式ラジコン除草機の実演

急傾斜に対応可能なラジコン除草機の実演会の開催

中山間地域では急傾斜の圃場法面が多く、草払い機による作業には転落の危険が伴ううえ、高齢化や人員不足により作業の負担感も増しており、急傾斜地対応型のラジコン除草機の導入が強く期待されています。
そこで、8月6日、菊池市旭志伊萩において中山間地でも対応可能なラジコン除草機の実演会を開催し、管内の地域営農法人や市町等から50名の参加がありました。
実演会では、メーカー4社による機械の説明の後、急傾斜でも利用可能なラジコン除草機として、45度まで対応可能な機種、60度まで対応可能な親子式除草機、圃場上部に設置したトラクターにラジコン除草機に搭載されたウインチを固定し横滑りを防止して使用できる55度まで対応可能な機種など6機種の実演を実施しました。
参加者からは、「熱中症等の危険を回避でき、夏場の草刈り作業が楽になる」、「試験的にぜひ導入してみたい」「これから除草もスマ農の時代が来る」などの声が聞かれ、関心の高さが伺えました。
当課では、管内法人組織等に対し、ラジコン除草機等によるスマート農業の実践支援や農作業の安全啓発を引き続き行っていきます。

2025年11月

JA菊池ゴボウ部会座談会
JA菊池ゴボウ部会座談会

ゴボウ産地の維持に向けた座談会の開催

JA菊池のゴボウ部会では71 戸の生産者によって約145ha栽培されています。「菊池水田ごぼう」※1は、平成31年に地理的表示(GI)※2の登録を受け、菊池地域の主要なブランド農産物として、更なる消費拡大、生産拡大が期待されています。一方で、高齢化に伴う産地規模の縮小への懸念や近年の高温や病害に起因する発芽・生育不良による収量減少が問題となっています。
そこで当課では、令和6年度よりJA菊池ごぼう部会と連携し、産地維持に向けた効率的な生産体制の整備に向けて、産地実態把握のための生産者ヒアリングや、作業効率化に向けた技術支援等の活動を行っています。
本年度は、生産者ヒアリングの一環として、管内地区別座談会を7月8~11日の4日間実施しました。生産者の現状の困り事や要望等について意見交換を通常の技術講習会と併せて実施しました。参加者からは、「普段聞けないことや他の参加者の栽培方法について話を聞くことができて有意義だった。」また、JA指導員からは「普段の講習会より踏み入った活発な情報交換ができた。」と好評でした。
意見交換では、作業効率化や土壌病害対策に加え、喫緊の課題として夏期の高温対策に関する質問が多く寄せられました。これらの課題について整理をしながら、解決に向けて関係機関と協力して取り組んでいきます。

※1菊池水田ごぼう:水田で栽培するゴボウ。一般的な畑ごぼうと比べ肌が白く柔らかであくが少ない。
※2地理的表示(GI):産地と品質の結びつきを示す農林水産物等の名称。保護制度により登録されると名称が知的財産として保護される。

2025年11月

JA本渡五和 山下氏の講演
(農)袈裟尾の事例紹介

法人の継承をテーマに地域営農法人研修を実施

菊池地域には、県内最多の22地域営農法人が設立されており、土地利用型作物を中心に地域農業維持のための営農活動を行っていますが、法人代表者及び構成員の高齢化が進み、法人活動が維持できるような円滑な事業継承が喫緊の課題となっています。
そこで、7月31日に“法人の継承”をメインテーマとした令和7年度菊池管内地域営農法人経営向上研修会を開催し、講師に招聘した本渡五和農業協同組合 山下清弥氏からは、天草地域における事業継承の取り組みや前職及びTAC活動を通して得られた知見を基に、継承準備や構成員を含めた子世代の意見を聞くことの重要性をお話しいただきました。また、昨年度に事業継承した農事組合法人袈裟尾からは、継承を通じて得られた学びや教訓について、継承マニュアルの作成等の具体的な事例を交えて紹介いただきました。
法人代表を中心に65名の参加があり、「構成員全体で課題やお互いの想いを共有したい」との前向きな感想も聞かれ、今後を考える良いきっかけとなったようです。
なお、当課からは地域営農組織の動向と経営分析結果に関する報告や組織の再編・統合・連携や労働力確保、新技術等に関する情報提供を行いました。
農業普及・振興課では、地域農業が将来にわたって維持されるよう、今後も関係機関と連携し、法人の継承に向けた取組みを支援してまいります。

2025年11月

菊池地方4Hクラブ坂本悠三氏による講演
交流会

ニューファーマー研修会with阿蘇地域の開催

県北農業普及・振興課では、令和元年度から菊池地方4Hクラブと共同で、新規就農者等を対象としたニューファーマー研修会を実施しています。今回は、営農継続に欠かせない農業者同士の繋がり創出を目的として、阿蘇地方4Hクラブとも連携し8月1日に菊池市生涯学習センターで開催し、新規就農者等35名が参加しました。
研修会は2部構成とし、1部では同年代である菊池地方4Hクラブと阿蘇地方4Hクラブ員を講師とし、経営向上に向けた取組みや実体験などを講演いただきました。2部では、菊池と阿蘇の「アスパラガス」及び「牛乳」の食べ飲み比べを行い、参加者間の交流を行いました。
菊池地方4Hクラブで講演を行った坂本氏は、「人前で発表することで、改めて自分の経営を見つめ直すことができたし、参加者から「データ分析で実践できる方法を教えてもらって助かる」と言っていただきよかった。また、阿蘇4Hや新規就農者とも情報交換できて良い刺激を受けた。」と話していました。
ニューファーマー研修会は例年3回実施しており、当課では引き続き新規就農者の技術力と経営力の向上に繋がる支援を行っていきます。

2025年8月

JA菊池イチゴ部会講習会
育苗期の巡回指導

イチゴ栽培管理技術向上に向けた取り組み

県北地域のイチゴ産地では、40戸の生産者によって「ゆうべに」が約2.2ha、「ひのしずく」が約3.9haが作付けされています。
昨年度産では、病害の発生や、育苗期の酷暑によって花芽分化が進まず、定植期の後進化や未分化定植による年内収量の減収等課題が残りました。
そこで、産地全体の栽培技術向上を目的として、農業普及・振興課では関係機関と連携し、毎月の講習会やJA菊池イチゴ部会を対象とした農研センター視察研修を実施しています。7月1日に行われた講習会では、高温期に発生がみられる炭疽病の防除対策や総合的病害虫管理(IPM)の考え方について説明しました。土壌消毒やかん水方法による防除のポイントを紹介し、対策の徹底を呼びかけました。また、農研センターでの視察研修では、育苗管理技術や花芽分化について説明がありました。生産者間では、昨年度の花芽分化状況や高温期の管理について活発な意見交換がされていました。
令和7年度産の育苗が始まる中、部会員の育苗ほを7月から順次巡回しながら、個別に育苗管理技術を指導しています。管内では、大きな病害虫被害や生育不良はなく、順調に苗づくりが進んでいます。
当課では関係機関と連携し、育苗期の栽培管理や病害虫防除等の情報提供を行い、今年度産の生産安定に向けて引き続き支援していきます。また、栽培管理講習会や個別巡回を継続して実施していきます。

2025年8月

泗水稲作研究会での講習会の様子
ISEKIアイガモロボット2パンフレットより

菊池地域の有機農業と稲作研究会での講習

菊池地域では、水稲の有機栽培や良食味への意識が高い生産者が多く、生産者主体の稲作研究会(七城、泗水、大津等)の活動が活発に行われています。また、菊池市は令和7年3月にオーガニックビレッジ宣言を行うなど、地域として有機農業の推進に取り組んでいます。
農業普及・振興課では6月6日に行われた泗水稲作研究会総会の中で、令和6年水稲生育概要の説明や有機農業で活用できるアイガモロボット、アタッチメント除草機、球体除草ロボットの紹介を行いました。構成員は普段からアイガモ農法を中心に行っており、除草ロボットの仕組みや効果等への関心が高く、菊池市環境保全型農業推進協議会が実施する水稲除草ロボット実演会や研修会にもぜひ参加したいとの声も上がりました。
また、良食味を意識した水稲の有機栽培生産者10名で構成されている七城の菊七稲作研究会に対しては、各構成員が実施する有機資材等の試験を支援する予定です。
今回の講習会では高温対策に関する質問や不安の声が多数あり、近年の高温による農作物への影響がかなり大きいことを実感しました。農業普及・振興課では高温対策に対しても講習会や現地指導により課題改善に取組んでいきます。

※オーガニックビレッジ宣言:有機農業の生産から消費までを地域ぐるみで推進していくことを宣言するもの

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