菊池エリア

菊池地域は菊池市、合志市、菊池郡を所管しています。県の北東部に位置し、東部の一部並びに北部は阿蘇外輪山系に接する中山間地、西部並びに南部は菊池川・白川の流域に広がる平野・台地からなる自然豊かな地域です。畜産を主に野菜、米等多様な経営が展開され、県内有数の農業生産地域となっています。県下一の畜産地帯で、近年では菊池産の飼料用米で飼育した「えこめ牛」等、地元産の自給飼料にこだわった畜産物が生産されています。米についても、北部を中心に「うまい米づくり」が活発に行われています。

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県北広域本部 農林水産部 農業普及・振興課

〒861-1331 菊池市隈府1272-10

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FAX :0968-25-5401

菊池エリア普及現地情報

2025年1月

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甘藷収穫を作業する学生
からいもフェスティバルでの作業

東海大学農学部×菊池地域 農業応援活動を実施 ~半導体関連企業集積への対応(県北PT営農継続支援チームの取組み)~

半導体関連企業が進出する菊池地域では働き手確保が困難となることが見込まれます。そのため、当課では、将来を担う若手世代の東海大学農学部生との連携を通し、短期労働力確保策につながるよう取り組んでおり、JR肥後大津駅を利用する学生が多いため、大津町甘藷農家との連携から開始しています。
今回、学生に呼びかけたところ、11月の収穫等作業支援を6名、「からいもフェスティバル※1」の運営支援を5名が実施しました。支援を通して、学生からは、「農家の方々とつながりができて嬉しく思う。今後とも農業の応援を続けたい。」との発言があり、農業者からは「やる気のある学生がいると元気になる。働き手も不足しており、今後も働きに来て欲しい。」との発言がありました。
東海大学農学部との連携は、農業生産力の維持や地域活性化だけでなく、就業先としての農業PRを含めた担い手の確保策としても期待できるため、継続的に関係機関と連携しながらスイカやニンジン等への取組を拡大していきます。

※1 毎年秋に開催されている大津町の名産甘藷(からいも)をテーマとするイベントで、甘藷掘り、甘藷料理、物産展示などが行われています。

2025年1月

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「菊池地方青年農業者会議in農業大学校」を開催

昨今、新たな担い手が減少する中で、その確保・育成は重要度を増しています。地域を担う若手農業者が所属する菊池4Hクラブ活動支援は、当課の重点普及活動の一つであり、特に、クラブ員が自らの経営課題を解決する「経営改善取組み」への支援は課全体で取り組んでいます。この成果発表の場である「菊池地方青年農業者会議」を県立農業大学校で12月6日に開催しました。
農大での開催は昨年に引き続き2度目で、先輩農業者のリアルな取組みを紹介することで、就農希望の学生等に農業経営のイメージを掴んでもらうことを目的としています。本年度は農大1年生約60名に参加いただきました。会議では、クラブ員からの経営改善プロジェクト7課題の報告に加え、農大生2名からもプロジェクト等の取組みの発表も行われ、相互に質疑応答もされるなど、有意義な会議となりました。
参加したクラブ員からは「農大生にも発表してもらいレベルの高さを感じた。良い刺激を受けた」との発言があり、農大生からは「すごくためになる話ばかりだった」、「困ったら普及所に相談すれば良いと分かった」などとの声が聞かれました。
今後も将来を担う若手世代が集う県立農業大学校が地域内に位置する強みを生かして、連携を強化しながら、担い手の確保・育成と4Hクラブの活動支援を行っていきます。

2024年12月

座学の様子
実地演習

県北広域本部・菊池市合同家畜伝染病防疫演習を開催

11月7日、鳥インフルエンザなどの悪性家畜伝染病発生時に迅速かつ的確な防疫措置ができるよう、菊池市立泗水体育館において菊池市と合同で家畜伝染病防疫演習を開催しました。
演習は、座学と実地演習の2部構成で行いました。座学では、城北家畜保健衛生所から家畜伝染病の発生状況と発生時の防疫措置について、菊池市から市での防疫体制や発生時の役割について、普及からは、管内で発生した際の防疫体制(後方支援)について、それぞれ説明を行い具体的な防疫体制を確認しました。
実地演習では、支援センターと現場事務所について役割や流れについて説明し、防疫作業従事者の受け入れや送り出しの実演を行いました。また、これに先立ち、午前中に、消毒ポイントと通行規制消毒を含めた設営演習を行っており、作業手順の確認や課題の洗い出しをすることができました。
今シーズンは鳥インフルエンザの発生が例年よりも早く確認されており、いつどこで発生してもおかしくない状況です。今回の演習及び検証結果等を基に、発生に備え、迅速かつ的確な防疫対策が行えるよう関係機関と連携し、より一層の体制強化に取り組みます。

2024年12月

販売会の状況
販売会の状況

菊池地域直売所農産物販売会について

菊池地域直売所等連絡協議会は、10月28日(月)に熊本市上通町の熊日びぷれす広場で本年度第1回目の農産物販売会を開催しました。
本協議会は、熊本地震からの復興と菊池地域農産物の認知度向上を図るため、平成29年9月に菊池地域の11直売所(8団体)により設立され、例年、年に2回、熊日びぷれす広場で農産物販売会を開催しており、今回が通算で12回目になります。
農産物販売会当日は、各直売所の新鮮な野菜や果実、新米や自慢の加工品等が販売され、熊本市中心街に買い物に訪れた方や、昼休み中の会社員、また、外国人など幅広い来場者が見られました。
特に野菜や果実については、夕方には全て売り切れている直売所が数軒あり、また、お弁当についても販売会終了時にはほとんどの直売所で完売していました。
お客様の中には普段あまり見ることが少ない菊池の農産物について、その味や調理方法の説明を直売所の職員から聞いて購入される方も多く、次回の農産物販売会の開催を楽しみにしているとコメントされていました。
農業普及・振興課としましては、菊池地域農産物の認知度向上や直売所に出荷する農家のために、農産物販売会等の協議会の事業を支援していきます。

2024年12月

地域計画の策定に向けた支援と地域の話合いの推進

今年度末に法定期限が迫る地域計画の策定に向けて、菊池地域2市2町では座談会が開催されており、10月末を目途に完了する見通しです。
企業進出等の動きが活発な菊池地域では、いずれの市町も計画策定に向けた取組が難航していたため、農業普及・振興課から先進事例等の情報提供を行うとともに、管内市町の状況を共有できる体制づくりを進めました。その結果、市町ごとに計画区域の設定や今年度の対応方針が定まり、8月から座談会が本格化しました。農業普及・振興課も30カ所近い計画区域の座談会へ全て参加し、市町を補佐しています。
座談会で出される意見や要望は多岐に渡り、これらを踏まえた将来の在り方を議論するため、いずれの市町も数年がかりで話合いを継続する方針です。また、出席者が少ない座談会や、「地域計画は現状に合わない、意味がない」といった厳しい意見が相次ぐ座談会も各地でみられますが、コロナ禍で途絶えていた地域ぐるみの話合いを前向きに捉える意見も出ており、地域計画が新たな話合いの土台となりつつあります。
10年後の在り方の検討に主眼を置く地域計画に対し、菊池地域では代替農地確保や条件整備など、喫緊の支援を望む意見も多い状況です。農業普及・振興課では、営農継続支援や地域営農法人等支援とも併せて、総合的に地域農業の維持発展につながるよう、地域計画を通じた話合いを引き続き支援してまいります。

2024年12月

イチゴ育苗管理技術向上に向けた取り組み

県北地域のイチゴ産地では、今年度から3名の新規就農者が加わり、44戸の生産者によって「ゆうべに」が約2.5ha、「ひのしずく」が約4.2haが作付けされています。  
昨年度産では、育苗期後半の酷暑によって花芽分化が進まず、定植期の後進化や未分化定植による年内収量の減収等の問題が生じ、育苗管理に課題が残りました。
そこで、産地全体の育苗技術向上を目的として、農業普及・振興課では関係機関と連携し、①JA部会を対象とした農研センター視察研修、②育苗ほ現地検討会、③葉色基準に則った施肥指導、④花芽検鏡の講習会を実施しました。特に、新規・若手生産者に対して、県マニュアルをもとに年間スケジュールの説明や個別指導を行いました。
その結果、大きな病害虫被害や生育不良等は無く、順調に苗づくりが進みました。花芽検鏡を指導した若手生産者からは「モニターを使って、検鏡の指導をしていただき、技術力が向上した気がする。来年度も実施してほしい。」と感想をいただきました。  
しかし、8月下旬~9月中旬の厳しい残暑により今年度の花芽分化状況も遅れ気味で定植日の判断が難しい状況でした。
当課では関係機関と連携し、定植後の栽培管理や病害虫防除等の情報提供を行い、今年度産の生産安定に向けて引き続き支援していきます。また、新規・若手生産者の生産技術向上を目的とした個別重点指導も継続して実施していきます。

2024年12月

大豆新品種の現地検討の様子
くまさんの輝きの現地検討の様子

団体と一体となって普通作の現地検討会を実施

菊池地域では、水稲、麦、大豆を対象にJAが事務局となり、営農指導員、経済連、農業普及・振興課の担当者をメンバーに普通作指導者協議会が組織化され、作物の生育や栽培指導面での情報共有を行いながら生産振興に取り組んでいます。本年度、主食用米では、中干ができない地域での「くまさんの輝き」の安定生産に向けた施肥等の改善、また、飼料用米や大豆では、課題である単収向上をめざして多収品種、さらには、飼料用米の低コスト生産を目的に全量苗箱施肥の展示ほを設置しています。
そこで、9月13日に飼料用米及び大豆、9月24日に「くまさんの輝き」栽培の現地検討会を開催しました。
飼料用米では、育苗を行った九州野菜育苗センターからも参加があり、多収新品種「みなちから」や全量育苗箱施肥による生育や出穂状況を確認し、大豆では難裂莢性品種「フクユタカA1号」、多収品種「そらみのり」の生育や開花状況などを確認しました。また、主食用米では、施肥の違いによる「くまさんの輝き」の遅れ穂の多少など生育状況を確認しました。今後、普通作指導者協議会では、展示ほの収量調査等を経て、次年度の栽培暦等の改良を図る予定です。
今後とも、農業普及・振興課では、各法人等の収益向上を目指し、主食用米の生産安定、飼料用米や大豆等水田活用の戦略作物の増収対策を関係機関と連携し、支援してまいります。

2024年10月

生産者への個別ヒアリング
「菊池水田ごぼう」の播種作業(8月下旬~)

「菊池水田ごぼう」における個別ヒアリングに基づいた重点指導 の実施

「菊池水田ごぼう」※1は、平成31年に地理的表示(GI)※2の登録を受け、菊池地域の主要なブランド農産物として、更なる消費拡大、生産拡大が期待されています。しかし、近年は土壌病害の発生による単収の減少や高齢化に伴う担い手の減少によって安定生産が難しくなってきています。特に、昨年産は、夏季の高温・乾燥の影響で発芽不良や生育不良が生じ、収量の減少や出荷計画への影響が生じました。
そこで、本年度は「菊池水田ごぼう」の安定生産のためJA菊池ゴボウ部会と協力して7月に生産者への個別ヒアリングを実施し、令和5年産の反省と令和6年産に向けての目標・栽培管理上の注意点を確認しました。
個別ヒアリングの実施によって、生産者毎の状況が詳細に把握できるようになり、播種直後のかん水準備や病害虫防除等の適期指導に繋げています。
当課では、関係機関や農家と連携しながら「菊池水田ごぼう」産地維持に向けて取り組んでいきます。

※1菊池水田ごぼう:水田で栽培するゴボウ。一般的な畑ごぼうと比べ肌が白く柔らかで「あく」が少ない。
※2地理的表示(GI):産地と品質の結びつきを示す農林水産物等の名称。保護制度により登録されると名称が知的財産として保護される。

2024年10月

技術&経営力UPを目指したニューファーマー研修会

県北農業普及・振興課では、令和元年度から菊池地方4Hクラブと共同で、新規就農者等を対象としたニューファーマー研修会を実施しています。令和6年度第1回目は8月8日に県立農業大学校で開催し、新規就農者等17名が参加しました。
研修会は3部構成とし、1部はクボタアグリサービス熊本営業所から講師を招き、草刈り機の安全な使用方法とメンテナンス手法について実技指導をしていただきました。2部では、菊池地方4Hクラブ員でもあるデザイナーの山本祥氏から販売会等で活かせるデザインの基礎について講義いただきました。3部では、参加者間の交流を目的とした意見交換の時間を設けました。
菊池地方4Hクラブの池田会長は、「就農5年目となり、今更聞きにくい草刈り機について学べて勉強になった。また、他業種から農業参入したクラブ員のキャリアを生かした研修会となり、良い刺激を受けた。」と話していました。
受講者アンケートでは約9割が満足と回答。次回の研修テーマについての要望もあり、ニューファーマー研修会は県北地域の担い手支援の取組みとして定着しています。
当課では新規就農者の技術力と経営力の向上に繋がる支援を継続していきます。

2024年9月

組合員による詰込み作業
農福連携コーディネーターとの作業内容の確認

他地域との広域連携に向けたフレコンバック輸送を検討

菊池地域では、地域から生産される堆肥を地域外へ流通するとともに、牛用飼料を受け入れる広域連携に取り組んでいます。これまではバラ堆肥にて輸送していましたが、利用する耕種農家側の利便性を向上させるために、堆肥のストックヤードからユニック車等で運搬ができ、耕種地帯から飼料を輸送した帰りに堆肥を持ち帰るフレコンバックによる輸送を進めています。
昨年度から、効率的なフレコンバックへの詰込み作業を模索しており、吊り下げ紐をホイルローダーに設置する方法やフレコンスタンドを活用した詰込みも検討してきましたが、堆肥生産組合では、実効性がある方法として、社会福祉事業所へ詰込み作業を委託する農福連携に着目しています。
福祉事業所へ作業委託するにあたり、料金設定や委託する作業量や留意点等を検討・確認する必要があるため、堆肥生産組合員による人力作業を7月26日に実施しました。当日は、農福連携に取り組む熊本県農福連携協議会員の福祉事業者の方や農福連携コーディネーターからのアドバイスを受けることで、作業切り分けの方法や受入れ時の注意点なども確認することができました。今後は、料金や出来高目標を設定しつつ、作業マニュアルを作成し福祉事業者との協議を進めていくことで、地域外への定量輸送を実現できるよう勧めて参ります。

2024年9月

講習会の様子
現地検討会の様子

気象災害に強いイネづくりに向けた講習会・現地検討会の開催

近年の稲作は、登熟期の高温や台風の発生などの気象災害により、収量・品質が不安定な状況です。菊池地域は水稲栽培が盛んな地域であり、ベテラン農家の高度な技術が継承され、良食味米生産のための栽培管理が行われている一方、米価下落や高齢化の影響を受け、近年、一部では作業省略の方向に進み、基本技術への意識が薄れつつある現状があります。
そこで、農業普及・振興課では、今一度基本技術を徹底することで、高品質・高収量を目指すべく、昨年度よりJA菊池と連携して、各支所で講習会や現地検討会を実施しています。水稲生産者は、定年退職や農地継承をきっかけに、周囲の見よう見まねで栽培を始めた経験の浅い方も多いことから、講習会では、育苗管理や水管理について重要なポイントを絞って説明を行い、絵や写真を多用した資料を使用することで、参加者に視覚的な理解を促し、現地検討会では、参加者に中干しの開始時期や程度、茎数の数え方などを実際にほ場のイネを用いて説明しました。草の根レベルでの地道な活動ですが、生産者のレベルは少しずつ上がってきていると感じます。また、参加者からは、「このような場にもっと早くから参加すればよかった」との声が上がり、今後も定期的な開催が望まれます。
農業普及・振興課では、今後も関係機関と連携し、基本技術の周知徹底に向けた取組を続けてまいります。

2024年9月

ほ場内のタバコカスミカメを確認している様子
ハウス外部のクレオメに定着しているタバコカスミカメ

IPM技術に挑戦!持続可能なスイカ産地育成を目指して

JA菊池すいか部会では、青年部を中心に令和6年度春スイカから化学農薬のみに頼らないIPM技術として土着天敵タバコカスミカメを活用し、持続可能なスイカ産地育成に取り組んでいます。
3戸の若手生産者が、ウリ類のウイルス病を媒介するコナジラミ類やアザミウマ類等の天敵であるタバコカスミカメを導入し、防除効果を確認しました。生産者からは「春先の爆発的な増殖が見られず、発生密度を抑えることができた」、「次年度は勉強会を開き、取り組み農家数を増やしていきたい」等技術の導入に前向きな意見がありました。
なお、今年の春スイカでは販売額が過去最高の9億7千万円を超えました。秋スイカと合わせて、初の10億円越えに向けて生産意欲が高まっています。
農業普及・振興課では、IPM技術を踏まえた防除暦の作成や展示ほ調査等を通して、持続可能なスイカ産地育成に向けて支援していきます。

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