2025年のエリア普及現地情報

2025年4月

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講習会での生産者への防除対策指導
講習会での配布資料

管内の全栽培農家に向けたサツマイモ基腐病対策講習会を開催 菊池地域の防除意識の高位平準化を目指して

菊池地域は、県内サツマイモ栽培面積の4割以上を占める県内最大の産地です。管内では令和2年にサツマイモ基腐病(以下「基腐病」)の発生が確認されて以来、作付面積が大きい大津町やJA菊池と連携し、基腐病のまん延防止に向けた講習会の開催等の活動を行い、大津町内での防除意識の向上を図ってきました。
近年はサツマイモの単価が高値で推移しており、大津町以外の市町でもサツマイモでの新規就農・作付者が増加しています。そこで、令和7年2月12日、菊池地域の全栽培農家の防除意識に関する高位平準化を目的に基腐病対策講習会を開催したところ、生産者および市町の担当者含む71名の参加がありました。当課からは、基本的な防除対策(特に育苗ハウスや種芋、苗消毒の徹底)について指導を行い、緩めず防除対策を実施することの重要性について説明しました。
講習会の参加者からは、「各作業での防除対策のポイントを整理して説明してもらい分かり易かった。」や「他の市町の生産者を含めて意識の統一ができるいい機会になった。今後も続けてほしい。」との意見や、具体的な防除対策についての質問があるなど生産者の防除意識の向上を感じました。
今後も基腐病のまん延防止に向けて菊池地域全体での活動を継続していきます。

2025年4月

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講演の様子
部門別交流会の様子

ニューファーマー研修会~経営講演会~の開催

農業者の高齢化に伴い、将来を担う新規就農者等の育成は重要性を増しています。農業普及・振興課では、令和元年より菊池地方4Hクラブと共同で、就農5年目以内の新規就農者や若手農業者を対象とした、ニューファーマー研修会を実施しています。
令和6年度は、8月に実施した第1回目に続いて、3月3日に第2回目の研修会を県立農業大学校で開催し、16名の新規就農者・若手農業者が参加しました。今回は、4HクラブのOBでもある「有限会社高司農園」の高司倫太郎氏から「若手経営者としての心構え」と題して講演いただきました。参加者は、高司氏の「目的地にたどり着くためには、まず現在地を知ることが重要」という話に特に感銘を受けた様子でした。また、講演後は、参加者同士の“つながり”創出を目的として、部門別交流会を実施しました。特に初参加となった参加者からは、「普段他の新規就農者と関わる機会が少ないので、今回で交流の輪を広げることができた。」といった意見が聞かれました。
本研修会は、経営・土壌肥料・農業機械メンテナンスなど、様々なテーマで開催しており、新たな研修テーマの要望を取り入れながら、今後もニーズに応じたの研修会開催が望まれます。
当課では、今後も研修会や個別指導等を通して、新規就農者等の技術力と経営力の向上に繋がる支援を継続していきます。

2025年3月

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部会員に対して、菊池4HC員がプロジェクト活動を報告する様子
「今年の問題点と工夫したこと」をテーマにした意見交換の様子

ニーズ型勉強会“第1回 菊池アスパラガスの日”開催

菊池地域では、5年間(H29~R3)にわたり担い手確保及び反収向上を目的としてJA・行政が一体となり「明日パラダイス塾」を運営し、アスパラガス栽培に取り組む新規就農者を支援(シーズ型)してきました。その結果、JA菊池アスパラガス部会員数は増加し、合計26名の担い手を確保できました。一方、反収は依然として伸び悩み、新たな活動の必要性が生じました。
そこで、奇数月の11日を“菊池アスパラガスの日”と定め、生産者ニーズに沿った勉強会を開催することにしました。生産者が問題意識を持ち、産地の早期反収向上に向けて主体的に取り組むことをねらいとし、支援側(JA・普及)からのシーズ型から、生産者からのニーズに応じた支援にシフトしました。
第1回目は、栽培講習会に加え、菊池地方4Hクラブ員のプロジェクト活動報告やR7年度の目標設定・R6年度産の問題や工夫したことについて情報交換するワークショップを行いました。参加者アンケートでは、「今年の目標が設定できてよかった」、「同じ問題を抱えている生産者や改善に向けた取り組みを知れてよかった」等の声や次回のテーマに対する要望があり、生産者の意欲向上の手ごたえを感じました。
当課では関係機関と連携し、稼げるアスパラガス産地づくりに向けて引き続き支援していきます。

2025年2月

老木クリ樹の剪定指導
幼木クリ樹の剪定指導

次年度へ向けた栗の振興推進

当管内は、県内4位、300t程度のクリを生産する中山間産地を形成しています。
近年、クリの価格が高値安定していることで、新植や改植が増え、生産者もクリ園も若返り、増加傾向にあります。
県北広域本部は、令和2年から産地拡大に向けて、商品開発や販路開拓、グルメフェアーなどのイベント開催などで支援してきました。
そのような中、本年のクリ生産は8月下旬の台風10号による早生・中生品種(丹沢や杉光、ぽろたん、利平、銀寄など)の落毬や夏場以降の高温乾燥による日焼けや未熟果などの発生で青果出荷量が落ち込みました。
そこで、来年以降も本年の減産に落胆すること無く、拡大傾向の産地充実を図るため、クリ生産の最重要作業である剪定の確実な実施を目指し、令和6年12月17日及び18日に実演講習会を開催しました。
開催した3会場では、JA菊池クリ部会の生産者が50名程度参加し、幼木から高樹齢の樹勢調整方法や優良結果母枝の配置方法、低樹高化の技術等について熱心に勉強されました。
また、当課では、講習会に併せて、次年度以降の振興方針を検討するため、菊池栗のブランド化に関するアンケート調査を実施しました。年度末にかけて今後の振興方針を関係機関と検討していきます。

2025年2月

冷水抽出を行ったティーバッグ原料
参加者によるティーバッグ原料の検討

新商品開発等による菊池茶業の新たな販売展開の取組

JA菊池茶部会は熊本県産茶の共販において質・量ともに重要な役割を果たしていますが、本年度は春から天候不順が続いたことで生産・販売が不振だった部会員が多く、廃業を検討する部会員もみられるなど、産地の存続が厳しい状況にあります。
こうした中、当部会では通常総会における新商品開発の決議(3月)、活動内容を検討するチームの設置(4月)、取組内容の検討(7~8月)、県補助金を主な財源とした「地域統一ティーバッグ」の試作(10月~)といった活動を通じて、地域内での販路拡大に向けた、新たな販売展開に着手したところです。
令和6年12月13日には、販売実績報告会と合わせて参加者15名で管内の茶葉8種類を対象に、ティーバッグ原料の検討を行いました。その結果、品質面と価格面で有望な2種を中心に、商品の試作や販促へ取り組むこととなりました。今後は、茶葉の品質管理や販売を担うJA熊本県経済連も交えて販売展開を検討する予定です。
茶は全国的な市況悪化、機械資材費の高騰、労働力不足、高齢化といった悪材料が目立ち、部会員も明るい展望が見えない状況です。一方で、菊池地域は長期的な人口の維持・増加が予測されるエリアであり、従来と異なる茶の需要創出や販路開拓は、地域内で実現可能と考えます。農業普及・振興課では、部会員が「茶を続けてきて良かった」と言える未来に繋がるよう、引き続き当部会の活動を支援してまいります。

2025年2月

組織の継承をテーマに集落営農及び法人研修会を実施

菊池地域営農組織連絡会(JA菊池事務局)は、集落営農組織と地域営農法人それぞれで研修会を毎年開催しており、今年は“組織の継承”をテーマに研修を行いました。
12月5日の集落営農組織研修会では、当課から法人化までの流れとリーダーの心構え、関係機関による支援の概要を説明した後、会社員として複数の会社経営に携わった経験を持つ(農)久米の牧野事務局長に、組織運営や経営改善及び心構え、農業の意義について講演いただき、異なる視点からの話は参加者に好評でした。
12月10日の地域営農法人研修会では、大分県の(農)グリーン法人中野 和田代表を招聘し、組合長だった義父の逝去後、36歳主婦・農業未経験の状態で経営継承し、技術力向上や販路開拓、労働環境改革による経営改善に加え、近隣法人との連携体制づくりまでを精力的に行ってきた経験を講演いただきました。また、当課からは後継者の候補者リストや候補者に示す法人概要資料のひな型を提示し、後継者確保に向けた第一歩として作成することを提案するとともに、スマ農等新技術や労働力確保アプリに関する情報提供を行いました。今回、若手の法人構成員の出席が多数あり、研修会後に講師と話し込む姿が見られるなど、次代の法人経営者の人脈づくりにも繋がりました。
これら二つの研修会後のアンケートでは、新たな視点での経営手法やアイデア、実践内容を聞くことで、法人化や自身の経営を考え直すよいキッカケとなった等の前向きな意見が多く、参加者の意欲向上がみられました。
農業普及・振興課では、今後も関係機関と連携し、法人化や組織運営、後継者確保に向けた取組を支援してまいります。

2025年1月

甘藷収穫を作業する学生
からいもフェスティバルでの作業

東海大学農学部×菊池地域 農業応援活動を実施 ~半導体関連企業集積への対応(県北PT営農継続支援チームの取組み)~

半導体関連企業が進出する菊池地域では働き手確保が困難となることが見込まれます。そのため、当課では、将来を担う若手世代の東海大学農学部生との連携を通し、短期労働力確保策につながるよう取り組んでおり、JR肥後大津駅を利用する学生が多いため、大津町甘藷農家との連携から開始しています。
今回、学生に呼びかけたところ、11月の収穫等作業支援を6名、「からいもフェスティバル※1」の運営支援を5名が実施しました。支援を通して、学生からは、「農家の方々とつながりができて嬉しく思う。今後とも農業の応援を続けたい。」との発言があり、農業者からは「やる気のある学生がいると元気になる。働き手も不足しており、今後も働きに来て欲しい。」との発言がありました。
東海大学農学部との連携は、農業生産力の維持や地域活性化だけでなく、就業先としての農業PRを含めた担い手の確保策としても期待できるため、継続的に関係機関と連携しながらスイカやニンジン等への取組を拡大していきます。

※1 毎年秋に開催されている大津町の名産甘藷(からいも)をテーマとするイベントで、甘藷掘り、甘藷料理、物産展示などが行われています。

2025年1月

「菊池地方青年農業者会議in農業大学校」を開催

昨今、新たな担い手が減少する中で、その確保・育成は重要度を増しています。地域を担う若手農業者が所属する菊池4Hクラブ活動支援は、当課の重点普及活動の一つであり、特に、クラブ員が自らの経営課題を解決する「経営改善取組み」への支援は課全体で取り組んでいます。この成果発表の場である「菊池地方青年農業者会議」を県立農業大学校で12月6日に開催しました。
農大での開催は昨年に引き続き2度目で、先輩農業者のリアルな取組みを紹介することで、就農希望の学生等に農業経営のイメージを掴んでもらうことを目的としています。本年度は農大1年生約60名に参加いただきました。会議では、クラブ員からの経営改善プロジェクト7課題の報告に加え、農大生2名からもプロジェクト等の取組みの発表も行われ、相互に質疑応答もされるなど、有意義な会議となりました。
参加したクラブ員からは「農大生にも発表してもらいレベルの高さを感じた。良い刺激を受けた」との発言があり、農大生からは「すごくためになる話ばかりだった」、「困ったら普及所に相談すれば良いと分かった」などとの声が聞かれました。
今後も将来を担う若手世代が集う県立農業大学校が地域内に位置する強みを生かして、連携を強化しながら、担い手の確保・育成と4Hクラブの活動支援を行っていきます。

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