熊本エリア

熊本地域は熊本市を所管しています。九州の中央、熊本県の西北部に位置し、金峰山を主峰とする複式火山帯と、これに連なる立田山等の台地からなり、東部は阿蘇外輪火山群によってできた丘陵地帯、西部は白川の三角州で形成された低平野からなっています。米や温州みかんが本県農業産出額の約14%を占めていて、特に野菜と果樹は県内でもトップレベルの産地です。

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県央広域本部 農林部 農業普及・振興課

〒862-8570 熊本市中央区⽔前寺6−18−1(防災センター内)

電話:096-333-2776

FAX :096-333-2781

熊本エリア普及現地情報

2025年8月

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芳野地区の豊かな恵みを思い出に! ~ふるさと食の名人が中学3年生へ食の技伝承~  

熊本市西区河内町の「くまもとふるさと食の名人」は、熊本市立芳野中学校3年生を対象に、毎年、郷土料理の実技指導を通じて、地域の農業や食文化を継承する活動に取り組んでいます。
きっかけは、県の委託事業等を活用した名人の活躍の場づくりでしたが、学校のカリキュラム変更に伴い、今の時期にボランティアとして実技指導を行っているそうです。
6月13日、3年生17名に「筍のちらし寿司、じゃがいもの照り焼き、キュウリのもろみ添え、梅ジュース」などの山の恵みあふれる芳野地区ならではの味を伝授。
2時間ほどかかって無事に4品を完成させました。
また、当日参加できなかった名人1人からは、サプライズで「みかん果汁入りカステラ」の差し入れがあり、中学生は美味しさに笑顔を見せていました。中学校生活の締めくくりを控え、学生は動画を自主制作しており、食の名人へのインタビューも撮影されるなど、両者にとって良い思い出となりました。
芳野地区でも核家族化が進み、自宅でちらしずしなどを作る家庭は珍しくなりました。当課としては、食の名人の活動を支援することで、地産地消や農業への理解活動の促進、ひいては、地域への愛着や誇りを育て、住民や出身者が自ら守っていく地域づくりを目指してまいります。

2025年8月

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収穫直前のホオズキ :エスレルを500~1000倍で1~2回散布し着色させる。また、ほ場で葉落としを行っておく。
出荷査定会の状況 :各農家が3本程度持ち寄り選花・選別の目均しを行う。

7月盆向けホオズキ栽培の取組み

JA鹿本ではホオズキ生産(5戸うち植木町4戸)を推進しており、7月盆用として主に関東地域へ出荷を行っています。
JAでは、4月、5月、6月に現地検討会、収量調査を行い、592ケース・10市場への出荷を見込んでおり、6月28日から出荷が始まります。
以前のホオズキ栽培は地下茎を植え込んで栽培するのが主流でしたが、ウイルス病や土壌病害に問題があり、品質が不安定でした。近年では、収穫後に残しておいたホオズキ優良株から採種して乾熱滅菌、ジベレリン処理後育苗を行い、その地下茎を栽培に用いており、この一連の流れはJA鹿本が県内で初めて取り組みました。この結果、ウイルスフリー化、切り花品質の均一化が図られています。また、確実な結実のためホルモン剤を使った交配からクロマルハナバチを使った交配へと変更し、交配作業時間を縮減することも可能になりました。今年は、晩春からアブラムシ、アザミウマ類、コナジラミ類、ハダニの発生があり、その対策が急務となっています。
農業普及・振興課ではホオズキ生産が安定して行えるよう、技術的支援と併せて天敵を使った防除の導入を支援していきます。

2025年8月

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柑橘摘果講習会の開催 ~高品質なみかんの生産に向けた産地の取組支援~

今年産の温州みかんは6月下旬頃に生理落果が落ち着き、果実肥大と品質向上のための摘果作業の時期に入りました。当課ではJA熊本市と協力し、6月10日から7月8日にかけて熊本市西区の農家組合を対象に、14地区で摘果講習会を開催しました。
講習会では座学で着果量に応じた摘果時期や方法を説明するとともに、アザミウマ類や秋季の発生が増えつつあるカイガラムシ類の防除に係る指導を実施しました。
また、現地では基本的な管理作業に加え、防草シートを活用した省力的な摘果法※1等の紹介を行いつつ、現時点でどの程度摘果すべきかを共有しました。
生産者からは摘果管理の中で、二次落果が多いことから今後の管理方法の質問や、病害虫についての質問・意見も多く挙がり、今後の栽培管理に向けた有意義な講習会となりました。
当課では引き続き、令和7年産のみかんが高品質なものとなるよう、生産者への技術的な支援を進めていきます。

※1 樹冠上部にシートを被覆することで、生理落果を促進させ摘果作業の省力化を図る栽培技術

2025年8月

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まだまだ頑張ってます! ~熊本市営農生活研究グループ総会&研修会~ 

熊本市営農生活研究グループ協議会(会長:上田トモ子氏、6グループ27名)は、女性の視点を生かした生活と生産に関する研究や知識、技術等の情報交換を行うとともに、食文化の伝承活動や6次産業化など主体的な実践活動を行っています。
6月11日に今年度の総会を開催し、総会終了後には県産業技術センター食品加工技術室の指導を受け、旬の果実「晩柑」の果汁を使った晩柑ドリンクゼリーの加工技術を学びました。会員の平均年齢はゆうに70歳を超えていますが、農産物の加工や調理技術の研鑽についての意欲は高く、熱心に加工実習に取り組んでいました。特に、柑橘や梨などの果実を生産する会員も多く、果汁や果肉を冷凍し、ピューレ状にして保存しておくことや、粘性を持たせる原料の配合など質問は尽きず、技術指導スタッフも驚くほどでした。
できあがったゼリーには、濃厚な晩柑の風味が感じられ、会員は大満足。「次は、桃や梨を使ってグミを作ってみたい」などと、早速、次の研修課題への要望が出されることとなりました。
当課としては、「やりたい事を自ら考え、無理なく、できることを継続していく」グループ員の姿勢に、改めて女性農業者のリーダーとしての歴史を感じつつ、引き続き活動を支援してまいります。

2025年8月

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隣接する神社の説明を聞く県大生
意見交換の様子

白浜分校の活用に向けた県立大学との交流会を開催

平成30年に閉校した河内小学校白浜分校(以下、白浜分校)は150年の歴史がある地域住民のシンボル的存在です。一方で、全国有数の温州みかん産地である熊本市河内町では、農業者の高齢化による栽培面積の減少が懸念されており、新たな担い手や労働力の確保が喫緊の課題です。
そこで、※「地域連携スタートアップ事業」を活用し、熊本県立大学と農業普及・振興課、熊本市及びJA熊本市が連携し、担い手育成確保の拠点(研修施設)も視野に入れた白浜分校の有効活用について調査研究を実施することになりました。
そのキックオフとして、6月29日に河内校区と県立大学都市計画研究室(以下、県大)との交流会を開催しました。自治会長による白浜分校校舎の見学、地区の街並みの散策、白浜干拓から見たみかん山や開発が進む河内温泉地区の見学の後、JA熊本市柑橘選果場にて意見交換を行いました。
意見交換は白浜の歴史や農業の現状、みかん栽培のことなど多岐にわたり、参加した女性農業者や若手農業者も活発に発言され大いに盛り上がり、「白浜分校を地元や関係機関一体となって考える良い機会となった」とのコメントもいただきました。
今後は、県大による白浜分校活用に向けたワークショップや発表会等を計画しており、さらなる機運の高まりと次の展開が期待されます。

※「地域連携スタートアップ事業」…市町村や県が提案した地域課題に、熊本県立大学の教員・学生が研究・事業として取り組み、その発展に資する契機となる事業(単年度)

2025年8月

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乾田直播を導入した作業予定表
乾田直播生育状況

効率化に向けて作業体系をスクラップアンドビルド ~水稲乾田直播栽培と省力技術の導入に向けて~ 

「(農)火の君とよだ」は令和元年に熊本市南区城南町の南部に設立された地域営農法人です。当該法人では、令和2年からオペレーターを雇用し、現在3名で約45ha(令和7年当初)の農地に水稲・小麦・大豆の土地利用型作物を作付けしています。近年、高齢化による離農などにより経営面積が急増しており、7月中旬まで水稲移植作業が食い込むことで大豆播種が遅延し、大豆単収の低下を招いていました。
そこで、当該法人の栽培管理システムのデータを基に、各作業の作業能率を算出し、作業体系の見直しを実施しました。その結果、令和7年度作付け予定のうち約8ha(水稲全体35ha)を水稲乾田直播栽培に転換することで水稲作業を分散、大豆播種作業の適期実施を目指すことにしました。併せて、水稲移植作業の効率化を図るため、直進アシスト技術など省力技術の実証試験を行うことにしました。
本年度は5月から雨の合間を縫って水稲乾田直播播種作業を実施し、計画的に除草剤を散布したことで、水稲乾田直播栽培は概ね順調に経過しています。また、6月24日には水稲移植作業の工数削減を目的として、直進アシスト機能を有したペースト肥料二段施肥田植機による施肥同時移植作業と田植同時除草剤散布を実施しました。今後、水稲乾田直播栽培の成功に向けて支援を継続すると共に、作業分散効果の検証や新たに導入した省力技術の評価を行う予定です。
当課では、地域や経営体の実情に合った省力技術等を提案し、今後も地域営農法人の経営安定に向けて支援を継続して参ります。

2025年8月

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大玉すいか「黒武者」の栽培状況
クラブ員と普及指導員の意見交換の様子

相互のスキルアップのために! ~熊本市4Hクラブ員ほ場視察研修を実施~

熊本市4Hクラブは、毎年若手生産者が入会していますが、30代前後のベテランクラブ員も多数在籍しています。すでに経営の主力となっているクラブ員と若手クラブ員が混在している状況です。
そこで、クラブ員間の技術交流、更なる組織活動の充実及び互いの農業経営の発展に役立てることを目的としてクラブ員ほ場の視察研修を6月3日に開催しました。
今回はクラブ員と農業普及・振興課10名でクラブ会長のすいかほ場(品種:黒武者)を視察しました。会長からすいかの栽培概要、自身の経営状況及び現在発生しているアブラムシの防除対策について説明がありました。参加したクラブ員は、自身のほ場と照らし合わせ、栽培方法や防除対策を共有しつつ、改善策を提案するなど活発な意見交換がなされました。
視察を終えてクラブ員からは、「他人のほ場を見ることで新しい気づきがある」、「栽培品目は違うが参考になる点が多数ある」等の声が挙がりました。
当研修は今後も随時実施する予定であり、当課では引き続き青年農業者が抱える課題の解決に向けて支援していきます。

2025年7月

前年度の土壌還元消毒に係る意見交換会 部会員から前年度の反省点等を出して 講師(左端)と改善点を話し合う
土壌還元実施後の開花状況 令和5年産は40%程度の株枯れが発生

低濃度エタノール土壌還元消毒の取組み~取り組み方を改善して土壌還元消毒効果をUP~

JA熊本市トルコギキョウ部会(4戸)では、令和6年度にジャパンフラワー強化プロジェクト推進事業(国)を活用して低濃度エタノールを使った土壌還元消毒に取組み、立ち枯れ症状発生割合を40%から5%程度まで低下させることができました。
このことから、部会では低濃度エタノールを使った土壌還元消毒を今後も継続して取り組むことにしています。
そこで、この手法をより効果的に実施できるよう、令和7年6月4日に日本アルコール産業(株)から講師を招き意見交換会を開催しました。会の中では、①土壌還元消毒実施前のほ場の均平化、鎮圧、除草の必要性、②低濃度エタノール投入前のほ場への散水量、③添加した副資材に含まれる窒素分を考慮した基肥投入量、④土壌還元消毒実施時の畝立ての有無による効果の差異等に関して、活発な意見交換が行われ、今後の取組みに生かしていくことで一致しました。
今回実施した意見交換会で得た手法を現場で取り組むことで、立ち枯れ症状発生割合が低く推移し単位面積当たりの生産数量が高位安定することが期待されます。
農業普及・振興課では引き続き、トルコギキョウ生産が安定して行えるよう、生産者への技術的な支援を進めていきます。

2025年7月

講習会の様子

植木発!始動する「デコポン」生産

お歳暮の人気商品の一つである「デコポン」は、加温栽培で生産されており、毎年、年内出荷に大きな期待が寄せられています。熊本市では、不知火類の加温栽培が盛んで、県全体の約20%を生産。その中でも旧植木町は、熊本市の加温栽培の全てを担う重要な産地となっています。
消費者の求めるデコポンを生産するためには、適期・適量のかん水や摘果作業が非常に重要です。特に満開から60日(5月中旬頃)以降に十分なかん水が行われない場合、果実肥大の鈍化や酸高果実につながります。また、適期の摘果が行われなければ、果実肥大・品質に悪影響を及ぼすだけでなく、樹勢低下を招くなど翌年産以降の生産にも影響が出てしまいます。
こうした管理の重要性を伝えるため、JAと協力して「令和7年産 デコポン管理検討会」を5月8日に開催しました。当課からは夏秋期の高温対策に係る実証展示ほについても説明しました。近年の気候変動で、加温栽培でも夏秋期の高温による問題が発生しています。この時期の高温は、果実の日焼けを引き起こすだけでなく、光合成速度の低下や夏秋梢の多発などによる増糖抑制を引き起こす要因と考えられています。こうした果皮障害や果実品質低下の問題を解決するために、遮光資材を活用した実証展示ほを設置し、今後効果の検証を行っていきます。
令和7年産の「デコポン」収量増加を目指し、当課では今後も生産者への技術的な支援を続けていきます。

2025年6月

摘蕾講習会の様子
農作業安全対策啓発の様子

令和7年産「太秋」生産始まりました!

「太秋」は大玉で糖度が高いことが魅力である柿の品種の一つであり、熊本市では柿の生産量(R5年産59t:令和5年産果樹振興実績より)のうち80%以上を「太秋」が占めています。特に植木町は、熊本市の「太秋」生産量の約70%を占めるなど、生産が盛んな地域となっています。
「太秋」の大玉果生産には着蕾確認後から開花前までの短い期間内の摘蕾作業が極めて重要です。この時期の管理が適切に行われない場合、高単価商材となる大玉生産に大きな影響を及ぼします。そこで、この時期の適期管理の重要性を周知するため、JAと協力し「太秋摘蕾講習会」を4月22日に開催しました。また、当課からは栽培管理指導に加えて、農作業安全対策についても啓発を行いました。高品質果実の生産だけでなく、生産者が安全に作業を行うよう併せて指導を行うことで、持続可能な農業の実現につながることを期待しています。講習会では、摘蕾管理だけでなく、病害虫防除の効果的な方法についても活発な質疑応答が行われ、これからの高品質果実生産に向けた有意義な講習会となりました。
令和7年産の「太秋」でも高品質で大玉果が生産できるよう、当課では引き続き生産者への技術的な支援を行っていきます。今後も、栽培管理の向上と安全対策の強化を進め、持続可能な果樹生産の実現を目指します。

2025年5月

野菜ソムリエが伝える「防災と食」~熊本市地域女性農業者交流会を開催~

令和7年3月25日、防災に関する意識を高めるとともに、管内女性農業者間の交流を深めること等を目的に交流会を開催し、25名の参加がありました。
講師は、熊本市植木町でミカンを栽培する傍ら、野菜ソムリエプロや食育防災アドバイザー、県農業女性アドバイザー、食の名人として県内外で活躍されている、宮本好美さんです。
まず、防災食の実習では、ポリ袋に麺を入れて調理する「乾燥野菜の洋風パスタ」、切干大根を水戻しせずに使う「和え物」、普段は汁物に入れる麩(ふ)で作る「ティラミス」の3品について指導していただきました。
次に、「災害を最小限にするために日頃から備えておくこと」、「災害が起きてからの行動」、「家庭での備蓄」等について説明していただきました。最後に、「災害時は、日常とかけ離れた環境。いつもと変わらない温かくバランスの取れた食事で心と体が満たされれば、不安も解消される。」と結ばれました。
参加者からは、「防災食がこんなに手軽で、美味しく出来ることを知らなかった。」、「備えが大事だと痛感した。」、「このような交流会をぜひ継続して欲しい。」等の感想が寄せられ、有意義な会となりました。
当課では、今後とも地域の農業を支える女性農業者の活動を支援していきます。

2025年5月

かんきつ継承候補園の現地確認を実施

生産者、JA、市、県央広域本部などの関係機関で構成する「熊本市果樹産地推進協議会」では、令和6年5月に「担い手育成・確保部会」を設立し、果樹産地の維持に向けて担い手確保を目的とした取り組みを進めています。
部会設立後の6月から7月にかけては、「熊本市果樹産地の未来を考えるためのアンケート調査」を実施し、産地の高齢化・担い手不足の現状や将来の生産面積推移等を確認しました。また、これらの結果を基に、令和7年2月34名の温州みかん生産者に対し個別聞き取り調査を実施しました。調査では、新規就農者への技術指導の可否、第三者への園の継承意向、継承可能な園の具体的な状況等を聞き取っています。
そして3月には、上記の継承可能園のうち生産者が手放す時期が近い園を選定し、熊本市JA熊本市とともに、園の日当たり、排水、傾斜や樹齢など現地状況を確認しました。個別聞き取り及び現地確認を通じて、働きやすく早期の経営安定を図ることができる継承候補園の情報を今後も継続して収集し、生産者による技術指導と併せて産地の新規就農者受入体制の構築を目指します。
令和7年度には当協議会において担い手確保に向けた産地ビジョンを策定する予定です。農業普及・振興課では、現在の担い手の営農継続支援と将来的に不足する担い手の新たな確保・育成について、引き続き関係機関とともに対策の検討を進めていきます。

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