2024年のエリア普及現地情報

2024年10月

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収穫前の子実とうもろこし(R6.7.18撮影)
子実とうもろこし収量調査(R6.7.26撮影)

子実とうもろこしの生産拡大進む

熊本市管内では飼料自給率の向上及び飼料価格の高騰対策として、R4年度から養豚・養鶏農家において子実とうもろこしの生産・利用拡大に取り組んでおり、本年度の春作の作付面積も昨年度の5.5haから12.2ha(前年比222%)と大きく拡大しました。
8月上旬には養鶏農家による収穫が行われ、一部、湿害による発芽不良やカラス及びイノシシの被害により収穫できないほ場がありましたが、収穫できたほ場での平均単収は524kg/10aとなりました。単収については、まだ伸ばす必要がありますが、昨年度の458kg/10aを上回ることができ、当課の坪刈調査では1,000kg/10aと平均単収を大きく超えたほ場もありました。これらのことは昨年度の結果を踏まえた、適正な堆肥の散布量や植栽密度、雑草防除の徹底等の対策を行った成果だと思われます。
今後、排水対策や鳥獣害対策が課題となっており、春作収穫後すぐに夏作を作付けされていることから、当課としても対策を検討し、更なる収量増を図るため継続して支援を行っていくことにしています。

2024年10月

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アリウムの貯蔵切り花の取組み~出荷ピークをずらして農家経営の安定を図る~

JA熊本市西部花卉部会(4戸)では、ジャパンフラワー強化プロジェクト推進事業(国)を活用して令和6年5月から低温管理下でジベレリン吸収後低温貯蔵して6、7月に出荷する試みを行っています。
これまでのアリウムの出荷は3~5月に集中し、単価下落や作業が集中する問題がありました。しかし、オランダ、中国など、海外需要の高まりもあり、1~2月出荷作型の拡大や切り花の貯蔵による6月以降の出荷期間拡大など、出荷ピークの分散が求められてきました。
このため、令和4年度には1~2月出荷作型へ挑戦し、次いで今年度は「丹頂」切り花の長期貯蔵技術に取り組みました。併せて消費地市場(大田花き、フラワーオークションジャパン)との意見交換を行い、市場に到着した時の開花が進みすぎていたなど、品質上の課題が明らかになりました。一方、海外輸出向けのアリウム切り花の需要が高いことから1、2月出荷に重点を置き5月一杯までしっかりと出荷していただきたいとの要望が市場側から出ました。
農業普及・振興課では、令和6年産以降のアリウム生産について出荷の前進化を主体とした技術的な支援を進め、農家経営の安定を図っていきます。

2024年10月

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個人面談の様子
生産者の出荷データ

いちご個人面談会を開催!! ~更なる収益向上を目指して~

JA熊本市白浜苺部会(部会員数17名)は、河内町白浜地区を中心として約6haの作付けがなされており、部会平均の収量が高く、いちごの生産力が高い部会となっています。
当課では、県育成品種「ゆうべに」の導入以降、毎年、前作の生産上の課題を振り返り、次作の収益向上を図ることを目的に「個人面談会」を開催しています。 
本年は新たに、生産者の出荷実績等をグラフ化することで、生産者が抱えている課題や、理想とする出荷体系の実現に向け、次作への対策を話し合いました。
生産者からは、「年内だけでなく、春先にもう少し収量を伸ばしたい。」といった生産上の課題や、「着実に出荷量が伸びているので生産面積を増やしたい。」など前向きな意見も聞かれました。
今後は、今回の面談により明らかとなった課題の解決と収益向上に向け、引き続き支援を実施して参ります。

2024年10月

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熊本市青年農業士総会開催

令和6年8月23日(金)、防災センター会議室において、熊本市青年農業士協議会総会が開催されました。熊本市青年農業士協議会は、天明、飽田、中央、北部河内の5支部20名で構成されています。協議会は、熊本県青年農業士として県央広域本部長から認定された者で組織され、満40歳以下の青年農業士を対象としています。
総会には会員11名が参加し、昨年度の活動実績・決算、今年度の役員、今年度の活動計画・予算について検討され、議案はいずれも承認されました。
また、総会後の研修会では、「農業分野における労働の確保について」株式会社タイミー スポットワーク研究所 地方創生グループの出竹絵美里氏より、熊本県内の活用事例等を交えながらお話をいただきました。会員からは、自分の経営での活用方法等、熱心な質問や意見もあり、有意義な研修となりました。また、当課からは熱中症対策や無登録農薬使用注意などの情報提供を行いました。
当課では、引き続き、青年農業士の活動を支援していきます。

2024年10月

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熊本市青年農業者クラブ視察研修の開催~鳥獣害対策を学ぶ~

熊本市4Hクラブでは、8/26(月)にジビエファーム(運営:㈱イノP、宇城市三角町戸馳)での視察研修を開催し、鳥獣害対策について学びました。
参加したクラブ員7名のほ場でも、スイカがアナグマに被害を受けたり、ハウス菊がイノシシに荒らされるなど、鳥獣害が身近な課題となっています。
今回の研修では鳥獣害対策の基本的な考え方、捕獲センサー等IoTを活用した箱罠の設置・運用手法やジビエ加工処理施設の運用について学びました。また、昼には三角町で捕獲されたイノシシのジビエカレーを試食しながら、㈱イノP代表の宮川将人氏に農家ハンターとしての取組みや自身が経営する㈲宮川洋蘭の経営、今後の展望についてお話を伺いました。
そして、鳥獣対策の研修後にはクラブ員のミニトマト、キュウリほ場(熊本市南区城南町)を訪問し、その栽培状況について活発な意見交換がなされました。
今回の研修では、クラブ員間の交流も深めつつ、これから自分の地域を鳥獣害から守るために、主体的に何をしていくべきかを考える良い機会となりました。
当課では引き続き、青年農業者が抱える課題の主体的な解決に向けた各種の取組みについて、しっかりと支援していきます。

2024年9月

土壌還元消毒準備 耕耘後かん水チューブを設置し、 全面マルチして実施する
土壌還元中 消毒低濃度エタノールをかん水後、地温を 高めるためハウスを密閉する

低濃度エタノール土壌還元消毒の取組み~立ち枯れ症状を克服し農家経営の安定を図る~

JA熊本市トルコギキョウ部会(4戸)では、ジャパンフラワー強化プロジェクト推進事業(国)を活用して令和6年5月下旬から順次低濃度エタノールを使った土壌還元消毒に取組んでいます。
熊本県のトルコギキョウ栽培面積43ha(R4熊本県花き生産実績)のうち熊本市の栽培面積は5haで、このほとんどがJA熊本市トルコギキョウ部会で占められています。
しかし、平成30年から複数の農家で立ち枯れ症状が発生し、原因菌はフザリウムと判定されました。その後、薬剤を使った土壌消毒に取組んだところですが、薬効が必要な深さまで届かず、被害は拡大の一途でした。
今回取組んだ低濃度エタノールは粘性が低く、希釈水のかん水処理で土壌深くまで浸み込むため、土壌還元消毒効果が期待できます。
今回取組んだ土壌還元消毒により立ち枯れ症状の発生が減少することで出荷本数が増加し、農家経営の安定が期待されます。
農業普及・振興課では引き続き、令和6年産以降トルコギキョウ生産が安定して行えるよう、生産者への技術的な支援を進めていきます。

2024年9月

退緑黄化病の感染株(左側)と非感染株(右側)
3地区合同会議の様子

ウリ類ウイルス病対策3地区合同会議を開催~対策推進のため関係機関で情報交換~

7月18日に、熊本、菊池、鹿本地域の県・市町・JAの担当者が一堂に会し、「第18回ウリ類ウイルス病対策3地区合同会議」を開催しました。この3地域は年間を通してウリ類の栽培が盛んであり、地域も密接していることから、ウイルス病対策推進のため持ち回りで本会議を開催しています。
会議では、各地域のウイルス病の発生状況や地域毎の課題、取組み等の共有に加え、今作における植木地域のウイルス病対策に係る優良事例紹介等を行いました。また、次作から新たに開発された退緑黄化病耐病性メロンの栽培が拡大することから罹病性品種や他のウリ類品目へ影響がでないよう、従来の対策を徹底する重要性を再確認しました。加えて、3地域のウイルス病発生状況調査法の統一や栽培終了後の閉め込み徹底について共通のチラシを用いて周知することとなりました。
意見交換では、JA職員から効果的な農薬散布方法についての質問があり、他JA職員等から地域の実例を基にした散布方法の提案が行われました。また、年に1回ではなく定期的に意見交換をしていきたいとの声もあがったことから、当課では今後も密な情報交換ができる場を設け、ウイルス病対策を推進していきます。

2024年9月

経営継承セミナーの様子

経営継承を考えるきっかけに!みかん産地で研修会を開催

熊本地域では、全国的に有名なみかん産地である河内地区を中心に、関係機関と連携し新たな担い手の育成・確保に取り組んでいます。
取組みの一環として、令和6年8月7日にJA熊本市河内支店にて「経営継承ミニセミナー&個別相談会」を開催しました。本セミナーは県農業会議の協力・熊本市の主催によるものです。認定農業者や青年農業者、女性農業者等約30名の果樹農家が参加し、山崎経済研究所 山崎政行所長の講話により、経営継承のノウハウについて学びました。個別面談では相続・継承についての具体的な相談が寄せられ、悩み解決の機会となりました。
現在、農業普及・振興課では、果樹生産者を対象とした産地の将来像等についてのアンケートを取りまとめています。この結果を踏まえ、担い手育成・確保の仕組みづくりと併せて経営継承への理解促進に取り組む予定です。

2024年8月

大長なすの栽培ほ場
果実品評会の様子

大長なす部会ほ場・果実品評会を開催~栽培技術向上を図るため、部会員で情報交換~

JA鹿本大長なす部会では、くまもとふるさと特産野菜である大長なすを植木町で約4ha栽培しています。部会員は7名と少ないですが、うち6名が40代と活気のある部会です。
部会の主催で6月28日に、ほ場・果実品評会が開催されました。県、市、JAと部会員で全ほ場を巡回し、ハウス内環境や草勢、着果性等を採点方式で評価しました。巡回をするなかで、部会員間で摘葉や肥培管理等の意見交換が積極的になされ、品評会の目的である大長なすの栽培技術向上に向け、全員で取り組む姿勢が見られました。
今年度はスマートフォンでハウス内環境が確認できるモニタリング装置「ハウスファーモ」の導入を予定しており、部会員での情報共有に更に力をいれるそうです。
部会員のほ場では、近年、青枯病※の発生が増加しており、ウリ類に品目転換するほ場もでてきています。当課では引き続き、栽培技術の向上や病害対策について、関係機関と連携しながら大長なすの生産維持に向け、支援していきます。

※ 青枯病:ほ場内で一度発生すると根絶させることは難しい土壌病害。発生時期が早いと大きな減収につながる。

2024年8月

水稲栽培のプラスチック削減に向けた新技術を実証~水稲ペースト肥料二段施肥技術の実演会を開催~

水稲栽培では省力化を目的としてプラスチック被覆肥料による全量基肥施肥技術が一般化していますが、被覆資材のプラスチックが環境中へ流出することが問題となっています。そこで、本年度から当課ではプラスチックを排出せず環境負荷低減が可能なペースト肥料二段施肥技術について、熊本型みどりの食料システム戦略推進事業を活用し、環境保全型農業モデル展示ほを設置しています。
今回、令和6年6月25日に生産者及び関係機関約10名を参集し、ペースト肥料二段施肥機を装備した田植機による田植同時施肥の実演会を実施しました。実演会では当課から展示ほの概要を説明した後、肥料メーカーからペースト肥料二段施肥技術について説明を行いました。近年、ペースト肥料はプラスチックを環境中に排出しない肥料として注目されていますが、県内での水稲「くまさんの輝き」での実証例が無いことから、参加者からはペースト肥料の特徴や県内外での普及状況等についての質問があり、当該技術への関心の高さが窺えました。
今後、当課では継続して生育調査及び収量調査を行い当該技術の地域適応性を評価し、環境にやさしい農業の推進に取り組んでいきます。

2024年8月

柑橘摘果講習会の開催~高品質なみかんの生産に向けた産地の取組支援~

今年産の温州みかんは6月上旬頃に落果が落ち着き、果実肥大と品質向上のための摘果作業の時期に入りました。管内の着果状況は極早生で中程度、早生以降でやや少となっています。当課ではJA熊本市と協力し、6月10日から7月11日にかけて熊本市西区の農家組合を対象に、13地区で摘果講習会を開催しました。
講習会では座学で着果量に応じた摘果時期や方法を説明するとともに、近年秋季の発生が増えつつあるカイガラムシや、例年より早い時期から発生が確認され今後の被害が懸念されるカメムシの防除に係る指導、また品質向上対策としてシールディング・マルチ栽培※1の紹介等を行いました。
また、現地指導では、2月の講習会でせん定した樹の着果状況を確認しつつ、生産者と一緒に摘果数を数えながら小玉果などを落とし、求める品質の果実確保に向けて現時点でどの程度摘果すべきかを共有しました。
生産者からは摘果管理のほか、効果的な病害虫防除等についても質問や意見が積極的に飛び、今後の栽培管理に向けた有意義な講習会となりました。
当課では引き続き、令和6年産のみかんが高品質なものとなるよう、生産者への技術的な支援を進めていきます。

※1 専用のシートを植列と平行に埋設してマルチ下への雨水流入を防ぐことで、確実な乾燥ストレスを樹体に付与し、果実品質(糖度)の向上を図る栽培技術

2024年8月

講義の様子
実際の工事現場におけるドローン測量の実演

熊本農業高校における農業土木技術者の育成に向けた取組み ~スマート農業技術の必要性を啓発~

県央農林部では、農地整備課を中心に熊本農業高校生(農業土木科)に対し、技術力向上等を目的とした連携授業を平成27年から実施しているところです。
今後の農業は、担い手の減少やスマート農業、DX技術等の進展により、超省力、効率化生産へ移行することが予想されていますが、それらの技術導入・普及のためには、スマート農業技術に対応できるほ場整備等の生産基盤整備が必要です。
そこで、農業普及・振興課では、農地整備課と連携し、6月17日(月)に農業土木科3年生38名を対象に、スマート農業に関する授業を実施しました。当課からは本県農業の紹介や担い手不足等の課題、スマート農業技術の導入の必要性について啓発を行い、農地整備課からは実際の工事現場においてICT施工の実演を行いました。
農業高校生からは、「スマート農業技術の実装状況はどの程度か」といった質問や「将来、農業関係の公務員になりたいので、今日の学びを今後に活かしたい」とのコメントがありました。
当課では、継続してスマート農業技術の導入に向け取り組んでいきます。

2024年8月

指導農業士等が農大生の農家派遣研修を受け入れ

毎年度、農業大学校では、学生が県内各地域の農家へ10日間程度泊まり込み、農業を学ぶ農家派遣研修を行っています。今年度、熊本地域では5月8日から14日の間に1年生8名が5戸の農家で、5月23日から6月5日に2年生8名が8戸の農家で研修を受けました。農業普及・振興課では、農業大学校と農家の間での受け入れ調整、研修初日の受入式、中間巡回指導、最終日の修了式と反省会を実施しました。
研修の受入れ先となった農家は、農大のOBや指導農業士の皆さんです。指導農業士は、普及指導協力委員として県が委嘱した農家で、夫婦で委嘱を受けている人も多く、農大生や農業高校生の農家実習等を通じて担い手の育成に協力いただいています。
農大の学生は、この研修により、その時期・品目に応じた農作業を実体験するとともに、農業と一体となった農家の暮らしや経営主の農業に対する理念等を学ぶことができる実践的な研修となっています。
一方で、若い学生を何日も家庭で預かって一緒に過ごすことは、受入農家にとっても大変なことであり、反省会では、それぞれの学生が見せた頼もしい面や未熟な言動、気遣い・配慮が多かった苦労話など、受入農家から様々な感想が出されていました。
当課では、これからも農大や指導農業士と連携して農家派遣研修を継続して実施し、農業の担い手となる若者の育成に取り組んでいきます。

2024年7月

スイカの退緑黄化病の写真
トマトのウイルス病株の写真

ウリ類及びトマト類のウイルス病発生状況調査を実施しました!

熊本市の北区ではスイカやメロン等のウリ類、西南地域ではトマト類の栽培が盛んです。しかし、ウリ類やトマト類のウイルス病は、一部対策の不徹底などから増減を繰り返し、継続的に発生して経営への影響が見られます。
当課では、ウイルス病発生を抑える取り組みとして、JA、熊本市と連携して、ウイルス病の発生状況調査を実施しました。
ウリ類産地の北区6地区、トマト類産地の西南地域7地区を対象に、ウイルス病に感染した株数、ウイルスを媒介するタバココナジラミの発生数、防虫ネットの目合い等を調査しました。また、調査と共に、ウイルス病発生防除方法をまとめたチラシを配布し、ウイルス病防除の基本である「入れない、増やさない、出さない」対策を周知しました。
調査結果は当課で取りまとめた後、関係機関と連携して生産農家へ情報提供するとともに、栽培終了時のハウスの閉め込み徹底と、次作のハウスに保毒虫を入れない、増やさない対策支援に取り組んでいきます。

2024年7月

熊本市営農生活研究グループ総会開催

令和6年5月31日(金)、山鹿市鹿北町「古民家レストランさんきら」において、熊本市営農生活研究グループ総会が開催されました。熊本市営農生活研究グループは、植木、河内、飽田、秋津、富合等の6グループ27名で構成されています。会員には、農業女性アドバイザーやくまもとふるさと食の名人も多く、連携して営農、農産加工、直売、食育など女性農業者の活躍推進に向けた活動に取り組んでいます。
総会には営農生活研究グループ員13名が参加し、今年度の活動計画について検討され、議案はいずれも承認されました。
また、総会後の研修会では、「古民家レストランさんきら」をご夫婦で経営されている主計(かずえ)明美さんに地元食材の豊富さ、郷土料理・行事食等を継承していく必要性等について話をいただいたほか、当課から農作業事故防止や熱中症対策などの情報提供を行いました。
当課では、引き続き、女性農業者のグループ活動を支援していきます。 

2024年7月

担い手育成・確保設立会議の様子

果樹産地の新たな担い手の育成・確保を目指す~歴史ある果樹産地を未来につなげるために~

熊本市は県内でも有数の歴史ある果樹産地です。しかし、担い手の高齢化とともに、管理が十分に行き届かない園が見られなど、次代につながる産地維持を危惧する声が上がっています。
そこで、生産者、JA、市、県央広域本部などの関係機関で構成する「熊本市果樹産地推進協議会」では、5月16日に担い手育成・確保部会を設置する設立会議を開催し、多様な担い手を確保することで、歴史ある果樹産地を未来につなげるための支援体制の整備に取り組むこととなりました。
現在、管内全果樹農家(約800戸)に対して10年後の園の将来像についてのアンケート調査を実施しており、その結果をもとに、新たな担い手が栽培技術や経営ノウハウを学ぶための受け入れ農家や、継承できる樹園地のリストアップを行う予定です。
今後は、受入れから就農までの一連の過程を円滑に進められるよう、各機関の役割を明確にし、安心して熊本市で果樹農業が営めるような仕組みづくりに取り組んでいきます。
農業普及・振興課では、今後4年間の重点課題に位置付け、この取り組みを支援していくこととしています。

2024年6月

勉強会の様子
動画撮影

令和6年産温州みかん着果安定勉強会の実施

令和6年産の温州みかんは、昨年産の着果過多の影響で花がやや少ない傾向にあり、特に早生~普通温州でその傾向が顕著な状況にあります。そのため、JA熊本市と当課では、出荷量を確保するための緊急着果安定対策として、かぶさり枝の除去や芽かき等の新梢管理、植物成長調節剤の散布を推進してきました。
具体的には、着果安定対策を解説したチラシの配付や、JA熊本市柑橘部会生産プロジェクトで着果安定対策の勉強会を開催しました。勉強会では、芽かきと植物成長調節剤の組み合わせによる着果安定効果についての試験結果の説明やプロジェクトメンバーによるかぶさり枝の除去・芽かきの実演を行いました。さらに、より多くの生産者へ周知するために、実施方法を動画で撮影し、部会のLINEグループでの配信も行いました。
当課では引き続き、多くの生産者が着果促進対策に取り組み、出荷量を確保できるよう技術的な支援を進めていきます。

2024年4月

令和5年度熊本市指導農業士の研修会

令和6年3月1日、熊本市指導農業士の研修会を県立農業大学校にて開催しました。会員23名の内7名が参加しました。
コロナ禍により2年前から延期していた農大での研修では、本年度の学校教育の新しい取り組みについて、木上副校長より説明を頂き、指導農業士からは農家派遣研修等について、意見要望を交わすことが出来ました。
次に、NPO法人熊本県就農支援機関協議会の平岡氏より、新規就農者育成の取り組みについて、近年の新規参入者(特に若い年代)の特性や彼らを受け入れる世代の違う農家側の心構え等について講話を頂きました。
受け入れ農家として自分も経験した事のある身近な事例に、参加者は終始納得された様子で、次年度はもっと多くの参加者を募ってあらためて研修会に招きたいと好評でした。
その後は、各学科の農場を見学し、花き・野菜・果樹等の栽培施設で担当の先生方から、学生のプロジェクト活動の取り組み状況を聴くことが出来ました。
特に、農大を卒業された方、現在子どもが農大に在籍中の指導農業士は、熱心に話を聴いていました。
当課では、新規就農者の定着支援について、指導農業士の技術と経営の経験を活かし技術指導を行うなどマッチング支援に取り組んでおり、この様な研修を重ねる事により、益々の理解促進と支援活動の活発化を図っていきます。

2024年3月

地元堆肥を活用した水稲用肥料「米エコ一発」を開発

近年、各種資材が高騰する中、特に肥料は原料の海外依存度が高いことから、価格と供給の安定化が求められています。
そこで、JA熊本うきでは大東肥料株式会社の協力を得てオリジナルの水稲用肥料「米エコ一発」を開発し、令和6年産使用分から販売を始めます。
この原料にはJA熊本うきで生産している完熟堆肥が使用されており、地域資源を活用しつつ土づくり効果も期待できる肥料となっています。
開発はJA熊本うき、肥料メーカー、JA熊本経済連及び県(県庁、農研、普及)が一体となって検討を進め、展示ほで効果を検証してきました。2年間の実証を経て従来肥料と遜色ない結果が得られたため、地域資源を活用した新しい水稲用基肥一発肥料として販売へつなげることができました。
2月の水稲講習会では、JA熊本うきが「米エコ一発」について説明し、生産者から使用量や散布方法に関する質問が出るなど、早速関心を寄せられた様子でした。
農業普及・振興課では今後も関係機関と連携し、環境に配慮した農業を進めて参ります。

2024年3月

熊本市内の女性農業者合同研修会「名人の食の技学ぶ」

令和6年2月20日、女性農業者間の交流を深めるため、農業女性アドバイザー、食の名人、及び営農生活研究グループの女性農業者を対象に合同研修会を開催し、30名の参加がありました。
研修では、山鹿市鹿北で古民家飲食店を営まれ、今年度食の名人に認定された主計(かずえ)明美さん、徳昭さんご夫妻を講師に迎え、「山鹿鹿北巻き」や「とじこ豆」などの実技指導をしていただきました。その中で、食文化継承の必要性やその取組等についてもお話をしていただき、皆、熱心に聞き入っていました。
参加された皆さんは、それなりに日頃から巻き寿司を作られる機会はある方ばかりですが、基本に返ってコツなどを改めて習い、「貴重な経験で、再認識ができた。」と喜ばれていました。
また、食の名人の新規認定者の紹介・料理披露や、食の名人・農業女性アドバイザーへの感謝状贈呈も行い、盛りだくさんの内容ではありましたが、お互いの活動等の情報交換や意見交換等もでき、充実した時間を過ごせたと喜ばれていました。
多忙な女性農業者ですが、当課では今後も、新たな連携や活動の展開につながる取組を進めていきます。

2024年3月

スイカ査定会
ほ場のスイカ

植木スイカの出荷始まる

熊本市植木地区で日本一の生産を誇るスイカの本格的出荷がJAの選果場で始まりました。
植木地区のスイカは昨年11月から本年1月にかけて定植され、ハウス内で栽培されてきたもので、2月28日から植木の選果場で初選果が始まっています。
この初出荷を前に、2月22日と26日の両日、JA本所に隣接したハウス施設で令和6年産「春夏大玉スイカ」の出荷査定会が開かれ、部会役員他行政、JA指導・販売担当者約50名が参加し、品質、内容等を確認した後、出荷日が決定されました。
選果初日の28日には6件の農家から約2600玉が持ち込まれ、選果が行われました。この時期の品種は低温でも着果性の良い「スーパーエース」で、この後「春のだんらん」や「黒武者」等の品種が出荷されていきます。出荷先は関東や関西が中心ですが、地元の「夢大地館」でもすでに店頭に並んでいます。
本年のスイカは、1月中旬ごろの低温と日照不足があったものの、2月に入り暖かい日が続いたことで順調に生育し、糖度も12度前後と平年並みになっています。
この大玉スイカは、選果ラインの光センサーで検査し、糖度や空洞の具合を厳しくチェックしたのち出荷されます。出荷のピークは5月で、本年度は植木地区で82万玉出荷される見込みです。現時点での価格は2Lで9,000円から10,000円で、昨年並みとのことです。
植木地区では、本年度約190人の生産者が約163ヘクタールでスイカを栽培していますが、農家の高齢化により栽培面積が減少しつつあり、後継者の育成が課題となっています。

2024年3月

侵入防止柵設置計画の検討

県市連携によるイノシシ被害対策集落モデル「吉次地区」の3か年の取り組み

熊本地域のイノシシによる農作物被害状況は、侵入防止柵の整備が金峰山周辺地域を中心に進み、被害金額は減少傾向にある一方で、未整備園やこれまで無被害地域での新たな被害発生が問題となっています。
そこで、当課と熊本市では、効果的な対策の展開を図るため、吉次地区を重点モデル地区と位置付け、令和3年度から3か年計画で侵入防止柵の整備や捕獲活動の強化など総合的な対策を進めてきました。
取組においては、市が侵入防止柵整備事業を、本課が講習会・被害調査活動を主体に行い、その他検討会等の現地活動を連携して取り組みました。
具体的には、侵入防止柵を効率的に大面積で囲えるよう、綿密な整備計画の検討を進め、3年間で集落内果樹園面積の9割をカバーする46haのワイヤーメッシュ柵が整備されました。また、箱わな導入や捕獲活動に係る勉強会等を通して、4名の捕獲従事者による活動体制強化が実施されました。
このように、地域住民自らによる攻めと守り両面での取組を進めた結果、「被害無し」の割合は、取組前の14%から55%まで高めることができました。
今後は、本取組成果を他地区へ波及させる活動に移りますが、当課としても市と連携しながら引き続き取組を進めてまいります。

2024年3月

小麦の生育状況(1/12)
意見交換の様子

城南町・富合町で小麦栽培講習会を開催

令和6年1月22日に熊本市南区城南町・富合町を対象に、収量・品質向上を目的とした小麦栽培講習会(中間)を開催しました。当地区は当課管内で最も大きな小麦栽培地域で、シロガネコムギ、ミナミノカオリを主に栽培しています。今冬は気温が高く、令和6年産小麦の生育は旺盛となっています。一方で過剰分げつによる出穂後の倒伏が懸念され、その対策として1月~2月のほ場管理が重要となります。
講習会では、本課から現在の小麦生育状況や今後の気象条件及びそれに応じたほ場管理、雑草、赤カビ病防除の考え方や対策について説明した後、JAの担当者から薬剤等の説明がありました。その後現地に移動し、現在の生育状況を見ながら、過剰分げつ防止のための培土等のほ場管理、雑草防除について説明しました。講習会はJA熊本うき下北支所、北営農センター、大町区公民館の3箇所で開催し、それぞれ18名、34名、9名の生産者が参加しました。参加した生産者からは追肥や除草の適切な時期等について活発な質問や意見交換が行われ、有意義な講習会となりました。
当課では、基本管理の徹底、除草剤散布による雑草の発生抑制について指導を行っていきます。また、収量・品質向上のため、今後の生育や病虫害発生状況を見ながら、関係機関と連携して指導を行っていきます。

2024年3月

座学の様子
現地ほ場の様子

アリウム専門部会による研修会および現地検討会の開催

令和6年1月23日、熊本市西南営農センターにて、JAグループくまもとアリウム専門部会関係者約15名の参加のもと、研修会が行われました。
当日は農業研究センターより早期出荷技術と切り花の長期貯蔵技術が紹介され、当課からも今年度に実施した長期貯蔵技術の現地試験結果を発表しました。また、早期作型ほ場において現地検討会も併せて行われ、定植時期や水・温度管理、球根の確保等について実際の生育を見ながら活発な意見交換が行われました。
JA熊本市西部花き部会では、アリウム栽培の課題である「出荷期間の分散化」の手段として、早期出荷作型の検討を進めてきましたが、発蕾不良や品質低下の問題が残ったままでした。そのような中、令和4年度に農研センターからの新たな知見により、これら問題が解決でき、試験導入から普及段階へと移りました。今後も継続して、長期貯蔵技術の実証試験を実施し、令和6年度は関東市場での評価も行うこととしています。
今回の研修会を通して、部会員が新技術の理解を深め、管理技術の向上につながっていくことが期待されます。当課としても、今後もアリウムの課題解決に向けた調査活動や栽培管理指導・支援を継続していきます。

2024年2月

収穫の様子
収穫した子実とうもろこし

子実とうもろこしの生産の取組み

熊本市城南町で養鶏農家による夏作の子実とうもろこし(※)の収穫が12月26~28日に行われました。
管内では、飼料の自給率向上及び飼料価格の高騰対策として、昨年から養豚・養鶏農家において子実とうもろこしの生産、利用拡大に取り組んでいます。この養鶏農家では耕作放棄地を活用し、昨年は、春作のみ約1.4haの作付けでしたが、2年目の今年は春作約2.3haに加え夏作も約3ha作付けされ面積も大きく拡大しました。
取組みが始まったばかりのこともあり、収量はほ場によりバラツキが見られますが、生育が良好なほ場では春作夏作合わせて1,000kg/10a以上の収量がありました。
今後は、全ほ場で1,000kg/10a以上の収量となるよう適切な堆肥散布による地力向上や播種時期の検討を行う必要があります。
当課としても、収量調査や子実の成分分析及び土壌分析などを行い、子実とうもろこしの安定生産のため、継続して支援していきます。

※子実とうもろこし:家畜の濃厚飼料として、とうもろこしの実だけを収穫したもの。

2024年2月

県農林業試験場での講義
小松菜部会代表の説明

管内若手野菜技術員を対象とした県外視察研修について

12月14日にJA熊本市、熊本市及び当課の若手野菜技術員を対象とした先進地視察研修を開催((一社)熊本県野菜振興協会と共催)し、14名が参加しました。
近年、管内関係団体において、多くの若手職員が採用・配属されており、これら職員の育成が地域の大きな課題となっています。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行により、先進地研修は実施することができず、数年ぶりの県外開催となりました。
当該研修では、まず、福岡県農林業試験場筑後分場を訪れ、管内でも栽培が盛んな促成なすについて、ハウス内環境制御を中心とした増収技術の講義を受けました。講義の中では、CO2濃度や受光量の改善による効果を中心に研究成果の話があり、参加者からは、生産現場導入時の留意点等について活発な質問が行われました。
次に、JAみい小松菜部会におけるGAP団体認証※の取り組みについて、JA担当職員だけでなく、生産者代表の話を聞くことができました。当該部会では、平成27年に認証を受け、その後、維持・更新が行われていますが、初回取得時の経緯やその苦労、そして今後の課題について説明がありました。参加者からは、認証取得に新に挑戦する際の注意点や取得後のメリット等について、多くの質問がありました。
今後も管内関係団体における若手職員の割合は高まると考えられるため、当課では、関係団体と協力しながら各種研修会等を開催し、管内野菜技術員の技術習得支援に努めていきます。

※GAP団体認証:団体事務局を置くことで各農場の負担を軽減しつつ、GAP(農業生産工程管理)認証が取得できる制度。

2024年1月

植木町4HC会長挨拶
式典参加者集合写真

植木町4Hクラブ50周年記念式典が開催されました!

植木町4Hクラブは、今年でちょうど50年の節目を迎えることとなり、令和5年11月14日(火)、JA鹿本植木支所において植木町4Hクラブ50周年記念式典が開催されました。
式典には現クラブ員を始め、歴代のクラブ員や関係機関を含め35名が参加しました。まず、植木町4Hクラブ藤田会長から、昔の写真を交えて、鶴屋百貨店で行われるスイカ祭りや地域住民との交流など直近10年間のクラブ活動報告がありました。次に、記念講演としてすいかの里植木出荷者協議会の赤星会長が講演。生産者の自由度を高め、個々で考え、創意工夫により、他にはない様々な品種のスイカが並ぶ物産館作りを進めた取組について紹介されました。最後に、出席者全員で集合写真を撮り、植木町4Hクラブが50周年迎えられたことの喜びを全員で共有しました。
クラブ員は、これまで式典の流れを念入りに打ち合わせし、50周年記念品の発注、会場設営等を手分けして準備を行い、式典を迎えることが出来ました。植木町4Hクラブは、クラブ員の減少から今年度をもって単位クラブとしての活動を終了し、今後は熊本市4Hクラブと1つとなり活動を続けていくことになっています。当課では、若手後継者育成のため、今後も4Hクラブの活動支援を続けていきます。

2024年1月

食の名人が4つの高校へ出向きおせち料理等伝承

令和5年11月9日から20日にかけて、令和2年度から引き続き県立第一高校1年生(9クラス、369人)を対象に、管内のくまもとふるさと食の名人(以下、「食の名人」という)11名がおせち料理の伝承授業(全9回)を5人ずつで交代しながら行いました。
この取組は、若い世代に郷土料理を継承することを目的としており、生徒たちは10グループに分かれて、グループごとに5品の料理(煮しめ、辛子蓮根、きんとん、紅白なます、ブリの照り焼き)を作りました。
授業を終えた生徒からは、「今年は、祖母・母が作ってくれる料理を自分でも一緒に作ってみたい。熊本の伝統的な料理を自分達も引き継いでいきたい」との感想が聞かれました。
当課は、生徒たちにとって有意義な授業となるように、高校側とレシピ検討等の打合せを事前に行い、また、授業期間中、食材の準備方法や指導方法を「食の名人」と臨機応変に打ち合わせながら改善することで、スムーズな授業に繋げることができました。
他に、10月中旬に濟々黌高校(2年生、3回、119人)、熊本中央高校(2・3年生、7回、161人)で飾り寿司授業の料理実習を実施し、12~1月に熊本農業高校でもおせち料理等の伝承授業を計画しています。
今後も、郷土料理の伝承推進に向け、「食の名人」全員が活躍できるようサポートするとともに、「食の名人」同士が指導方法等を学び合える研修会を行っていきます。

2024年1月

栽培のポイント聞く参加者
出荷規格を確認する生産者

高品質なスティックセニョールの出荷に向けて

JA熊本市スティックセニョール部会では、出荷の本格化に向けて、高品質出荷を目指すため、11月27日に野菜選果場において、出荷査定会及び栽培講習会を開催しました。
スティックセニョールは、柔らかい花蕾※と茎を食するアブラナ科の野菜で、甘味があるため人気があります。熊本市管内では、45名の生産者が11月から翌年3月にかけて生産を行い、県内や関東地域を中心に出荷が行われています。
査定会及び講習会では、まず、JA販売担当者から、スティックセニョールは収穫から箱詰めまで生産者が自ら行うので生産者間でバラつきが生じないように、出荷規格や注意点について、サンプルを用いて説明が行われました。
また、当課から収量確保と品質向上に繋がる栽培面のポイントを説明し、生産者からも根こぶ病対策について多数質問があり、対策の重要性を理解いただきました。
参加した生産者は、展示されたサンプルを手に取りながら意見交換を行い、高品質出荷について意識を統一しました。
現在、出荷は順調で市場の反応も良く、販売も好調です。当課では、引き続き関係機関と連携し、高品質なスティックセニョールの栽培指導を行い、当地域の産地拡大を支援していきます。

※花蕾:蕾の部分。ブロッコリー等アブラナ科野菜の一部では、開花前の柔らかい時期に食す。

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