2025年のエリア普及現地情報

2025年11月

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組織の垣根を越えた農業女性の交流を! ~女性農業者「夏の交流会」~

熊本市地域には、市の認定農業者女性組織、3つのJA女性部、植木町同友会、営農生活研究グループの他、県知事が認定する農業女性アドバイザーや指導農業士など様々な女性農業者が活動されています。
8月20日(水)北区植木公民館で、初となる女性農業者「夏の交流会」を開催したところ、組織の垣根を越えて30人近い参加者が集まりました。
まずは、当課の倉岡参事から「小規模企業共済」について説明。自らが計画的に20年積み立てておくことで、法人でなくとも農業を引退する時に退職金が受け取れることを理解してもらいました。
次に、ヨガ講師でもある新規の農業女性アドバイザーからストレッチの手ほどきを受け、忙しい農作業の中でも自分自身で心身の調子を整えていくことを学びました。
さらに、もう1人の新規農業女性アドバイザーを講師に地元産品であるすいかやいちご等の冷凍果実を使ったスムージーづくりに、参加者は大満足。「比較的時間が取れる夏場なら交流ができる。また来年も何かやりたい」という感想が述べられました。
当課としては、年間を通して多忙な女性農業者の方々にも、メリハリのある活動を通じて、交流と研鑽の機会を積極的に提供してまいります。

2025年11月

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分析と講習会でデコポン生産を支援!

加温栽培された不知火類の中でも、贈答用として高い人気を誇る「デコポン」は、一定の品質基準を満たした果実だけに与えられる称号です。強い甘みとほどよい酸濃度味、そして特徴的で美しい外観が魅力で、9月以降から徐々に品質が上がり、収穫の時期を迎えます。
今年の加温栽培不知火類は、例年以上に酸濃度が高い状況でスタートしたため、夏季の減酸を最優先課題と位置づけ、関係機関と連携して、かん水や摘果管理などに関する講習会を随時開催。高糖・低酸濃度の高品質果実に向けた技術指導を進めました。さらに、生産者が自らの園地の酸濃度状況を把握できるよう、例年にはない7月の一斉分析を実施。その結果、8月の定期一斉分析では順調な減酸が確認され、生産者が例年以上にかん水に取り組んでいることが明らかになりました。しかし、依然として酸濃度が高い状況であったため、8月12日に再度講習会を開催し、「9月以降の仕上げに向けた最終時期!」と題して、かん水の重要性を改めて周知しました。この取り組みにより生産者の現状把握への意識がさらに高まり、講習会後には追加の一斉分析も実施。例年8月、9月の2回だった一斉分析が4回に増え、生産者の高品質果実への意欲を大きく後押しする結果となりました。
今後は、目標とする酸濃度に達成した後、雨水の流入を防ぐことが重要な課題となります。8月の講習会ではビニル被覆やシートマルチの設置など、糖度向上に向けた意識も着実に醸成されています。令和7年産の「デコポン」収量増加を目指し、当課では今後も関係機関と協力しながら生産者への技術支援を強化してまいります。

2025年11月

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白浜分校の活用案発表会・意見交換会を開催

平成30年に閉校した河内小学校白浜分校(以下白浜分校)の活用を目指し、熊本県立大学と農業普及・振興課等の関係機関が連携し、令和7年度「地域連携スタートアップ事業」に取り組んでいます。
去る9月4日に、県立大学都市計画研究室(以下県立大)による活用案発表会と、地元農業者等による意見交換会(以下ワークショップ)を実施しました。
学生たちは、6月に実施した現地見学・地元との交流会を通じて情報を収集し、それぞれの個性を生かした3つの活用案を発表しました。もともとはみかん収穫時期の雇用者向け宿泊拠点等に廃校を利用している愛媛県の事例を県立大へ紹介していましたが、さらに防災拠点としての役割や子育て・観光との連携を活かした案など、若い世代ならではのフレッシュな活用案が発表されました。
その後のワークショップでは、玉名・荒尾地域のまちづくりに携わっているアドバイザーの方々も参加され、「地元住民のたまり場」や「高齢者向け福祉施設」など、自由なプランが提案されました。最後は自治会長の「まずは地元住民で草刈りから始めよう」との前向きな意見で締めくくられ、今後につながる第一歩となりました。
今後は、白浜分校を拠点とした収穫体験会と取りまとめ報告会を予定しています。農業普及・振興課では、少しずつ盛り上がってきた地元の取り組みを引き続き支援していきます。

2025年11月

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4Hクラブ会長の経営紹介
交流を目的とした意見交換会

4Hクラブと連携し、新規就農者研修・交流会を開催!

県央広域本部農業普及・振興課では、熊本市やJA等と連携して新規就農者の育成に向けた支援を実施していますが、新規就農者との面談や巡回時に「資金繰り」など経営に関する課題があるとの声が多く聞かれていました。
そこで、就農後おおむね5年以内の新規就農者を対象に、8月6日(金)熊本県防災センターにおいて経営力向上を目的とした新規就農者等研修・交流会を開催したところ、15名の参加がありました。
研修会は3部構成とし、1部は先輩農家の経営紹介と当課の倉岡参事から資金繰りや青色申告書の活用策等の講話。2部は参加者間の交流を目的とした意見交換会、3部は情報交換会としました。
今回の研修会は、4Hクラブと連携して開催することができました。4Hクラブ会長の経営紹介、4Hクラブの活動状況紹介及び意見交換会でのアドバイス等積極的に協力してもらったので、充実した研修・交流会になりました。
参加者からは、「経営状況を見直すきっかけになる」、「時間が足りなかった」、「定期的に開催してほしい」などの意見がったことから、当課では新規就農者の技術力と経営力の向上につながる支援を継続していきます。

2025年11月

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研修会の様子

みかん産地の労働力確保を学ぶ研修会を開催

熊本地域では、全国的に有名なみかん産地である河内地区を中心に、関係機関と連携し新たな担い手の育成・確保に取り組んでいます。
令和6年度に実施した「果樹産地の未来を考えるアンケート」結果から、繁忙期の労働力確保に不安を抱える農家が多数あることがわかりました。
そのため、河内地区認定農業者協議会の協力のもと令和7年8月29日に河内公民館において、「農業人材確保と農福連携の取り組み」と題した研修会を開催しました。
労働力確保をテーマに、「外国人材」、「バイトアプリ」、「農福連携」、「産地ぐるみの期間アルバイター確保」について、それぞれ事例を紹介しました。
特に「農福連携」については、福祉施設と連携した果樹経営の労働力確保を実践している宇城市の青年農業者に講話いただきました。制度や手順、実施した感想などを具体的に話され、参加者は熱心に聞き入っていました。
働き手が高齢化していく中で、労働力確保については、農家経営や産地全体の喫緊の課題となっています。
現在、農業普及・振興課では労働力確保に係るアンケートも取りまとめています。この結果も踏まえ、今後も引き続き労働力確保に向けた方策等を情報提供していきます。

2025年11月

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個人面談の様子
生産者の出荷データ

いちご個人面談会を開催!! ~更なる収益向上を目指して~

JA熊本市白浜苺部会(部会員数18名)は、河内町白浜地区で約6haを作付けされており、収量が県の平均より高いことで知られています。
当課では、県育成品種「ゆうべに」の導入以降、毎年、前作の生産上の課題を振り返り、次作の収益向上を図ることを目的に「個人面談会」を開催しています。 
本年は昨年度に引き続き、生産者及び部会の平均出荷実績等をグラフ化し、両者を比較することで、生産者が抱えている課題や、理想とする出荷体系の実現に向け、次作への対策を話し合いました。加えて、当課からは、昨年度の高温による花芽分化遅延による対策として、「充実した苗づくり」、「花芽分化確認後の定植の遵守」の2点の徹底を周知し、生産者の意識醸成に繋げました。
生産者からは、「自分がどこで収量を落としているかわかりやすい」、「昨年の問題を改善し、収量増に繋げたい」などの前向きな声が挙がりました。
今後も、生産者の収益向上に向け、引き続き支援して参ります。

2025年11月

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暑さに負けない米作りを目指して

JA熊本市と当課は、令和7年7月22日から8月4日にかけ、延べ9回の水稲現地検討会を熊本市管内で開催しました。
近年、全国的な猛暑により米も影響を受けており、高温による収量、品質の低下が課題となっています。そのため、当管内でも安定的な収量、品質の確保へ向けた技術の普及が急務となっています。
検討会では、まず、JA熊本市の担当者から今後の管理について説明を行った後、当課から「収量・品質向上のために重要な穂肥のポイント」や「難防除雑草のナガボノウルシへの対策」を中心に説明しました。その後現地ほ場において、生育状況の確認を行い、払落しにより害虫の発生状況の調査を行いました。
生産者からは、穂肥や病害虫防除の具体的なタイミング、中干しの程度などについて具体的な質問が寄せられ、活発な質疑応答が交わされました。現在、コメ不足への懸念が高まる中で、生産者は意欲的に米づくりに取り組まれており、その姿勢からも稲作への真剣な思いが感じられました。今後も気象条件や病害虫の発生状況を踏まえた指導及び情報提供を行い、関係機関と連携して生産者の支援に尽力してまいります。

2025年11月

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熊本市果樹産地の担い手育成・確保に向けたワークショップ開催 ~10年後の理想の河内を実現するために~

令和7年7月17日、熊本市の歴史あるみかん産地である河内地域において果樹担い手育成・確保に向けたワークショップを開催しました。この取組みは、担い手不足や労働力不足など、産地が抱える課題解決に向けて産地でどのような取組みが必要か生産者が主体的に考えること目的に実施しました。
ワークショップの前段として、当課から熊本市果樹産地の未来を考えるためのアンケート集計結果を共有した上で、(株)みらいコンシェルジュの山浦代表取締役より、外から見た河内の魅力について講話をいただきました。その後河内の魅力を活かし、担い手不足や労働力不足解消へどう繋げていけるかをグループに分かれて話し合い、最後に各グループから出た意見を発表してもらいました。発表の中では離農予定園を地域間で共有する体制づくりや、外部の人にもっと河内を知ってもらうための情報発信が必要、また、生産者同士の知識、情報共有で生産性の向上を図るなど様々な意見が交わされ、有意義な時間となりました。
今後も、当課では関係機関と連携して、果樹産地維持のための担い手確保の取組み支援を継続していきます。

2025年11月

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相続について楽しく学ぼう!~熊本市指導農業士協議会総会&研修会~

熊本市指導農業士協議会(会長:西山力哉氏、23戸)は、農業大学校・農業高校などの農家派遣研修の受入れを中心に、会員同士の情報交換を盛んに行いながら、幅広く農業後継者の育成や地域農業の振興に尽力いただいています。
7月7日に今年度の総会を開催し、役員改選により、西川猛良氏から西山力哉氏へ会長を交代しました。総会終了後には、「難しいことをやさしく楽しく学ぼう」と行政書士を招き、相続について漫才形式で笑いを交えながら気楽に学びました。
関心の高いテーマだったため、講演終了後も次々と会員から質問が出され、予定時間を超えて応答がなされました。講師からも相続時に狭小農地は放置されたままで、その取扱いに専門家としても苦慮しているとの話も聞かれ、相続はその農家だけの問題ではないとの認識を共有できました。
当課としては、今後も指導農業士の交流をすすめながら、引き続き実のある実践活動を支援してまいります。

2025年11月

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熊本市4Hクラブ×熊本農業高校=熊農インターン ~高校生との交流会を開催~

熊本市4Hクラブは、毎年若手生産者が入会していますが、30代前後のベテランクラブ員が多数在籍し、若手クラブ員の割合が少ない状況です。
そこで当クラブではクラブ員の確保を課題とし、農業及び4Hクラブの魅力を発信するため、7月11日に熊本農業高等学校の学生を対象とした熊農インターンを開催しました。
インターンには、高校生17名、クラブ員6名、普及4名の計27名参加しました。
具体的には4Hクラブの紹介をした後、クラブ員、高校生及び普及員を交えて3グループに分かれて座談会形式で意見交換が行われました。
クラブ員からは農業のやりがい、自身の栽培品目及び経営について、自身の経験と感想を交えながら説明し、学生からは高校生活の悩みや就農に向けての準備すること等多くの質問があり、活発な意見交換が行われました。
インターン終了後、参加した学生からは「4Hクラブは若い人が多く新しく農家になりたい人に優しいクラブということを知ることができた」、「農家によって様々な考え方があって、とても勉強になった」、「4Hクラブにもとても興味が湧いた」等の感想がありました。
熊農インターンは、引き続き行われる予定であり、インターン終了後に実施した学生アンケート結果をもとに、次回の交流内容について高校側と協議する予定です。
当課では、熊本市4Hクラブを含む若手農業者育成の為の活動を引き続き支援して参ります。

2025年8月

芳野地区の豊かな恵みを思い出に! ~ふるさと食の名人が中学3年生へ食の技伝承~  

熊本市西区河内町の「くまもとふるさと食の名人」は、熊本市立芳野中学校3年生を対象に、毎年、郷土料理の実技指導を通じて、地域の農業や食文化を継承する活動に取り組んでいます。
きっかけは、県の委託事業等を活用した名人の活躍の場づくりでしたが、学校のカリキュラム変更に伴い、今の時期にボランティアとして実技指導を行っているそうです。
6月13日、3年生17名に「筍のちらし寿司、じゃがいもの照り焼き、キュウリのもろみ添え、梅ジュース」などの山の恵みあふれる芳野地区ならではの味を伝授。
2時間ほどかかって無事に4品を完成させました。
また、当日参加できなかった名人1人からは、サプライズで「みかん果汁入りカステラ」の差し入れがあり、中学生は美味しさに笑顔を見せていました。中学校生活の締めくくりを控え、学生は動画を自主制作しており、食の名人へのインタビューも撮影されるなど、両者にとって良い思い出となりました。
芳野地区でも核家族化が進み、自宅でちらしずしなどを作る家庭は珍しくなりました。当課としては、食の名人の活動を支援することで、地産地消や農業への理解活動の促進、ひいては、地域への愛着や誇りを育て、住民や出身者が自ら守っていく地域づくりを目指してまいります。

2025年8月

収穫直前のホオズキ :エスレルを500~1000倍で1~2回散布し着色させる。また、ほ場で葉落としを行っておく。
出荷査定会の状況 :各農家が3本程度持ち寄り選花・選別の目均しを行う。

7月盆向けホオズキ栽培の取組み

JA鹿本ではホオズキ生産(5戸うち植木町4戸)を推進しており、7月盆用として主に関東地域へ出荷を行っています。
JAでは、4月、5月、6月に現地検討会、収量調査を行い、592ケース・10市場への出荷を見込んでおり、6月28日から出荷が始まります。
以前のホオズキ栽培は地下茎を植え込んで栽培するのが主流でしたが、ウイルス病や土壌病害に問題があり、品質が不安定でした。近年では、収穫後に残しておいたホオズキ優良株から採種して乾熱滅菌、ジベレリン処理後育苗を行い、その地下茎を栽培に用いており、この一連の流れはJA鹿本が県内で初めて取り組みました。この結果、ウイルスフリー化、切り花品質の均一化が図られています。また、確実な結実のためホルモン剤を使った交配からクロマルハナバチを使った交配へと変更し、交配作業時間を縮減することも可能になりました。今年は、晩春からアブラムシ、アザミウマ類、コナジラミ類、ハダニの発生があり、その対策が急務となっています。
農業普及・振興課ではホオズキ生産が安定して行えるよう、技術的支援と併せて天敵を使った防除の導入を支援していきます。

2025年8月

柑橘摘果講習会の開催 ~高品質なみかんの生産に向けた産地の取組支援~

今年産の温州みかんは6月下旬頃に生理落果が落ち着き、果実肥大と品質向上のための摘果作業の時期に入りました。当課ではJA熊本市と協力し、6月10日から7月8日にかけて熊本市西区の農家組合を対象に、14地区で摘果講習会を開催しました。
講習会では座学で着果量に応じた摘果時期や方法を説明するとともに、アザミウマ類や秋季の発生が増えつつあるカイガラムシ類の防除に係る指導を実施しました。
また、現地では基本的な管理作業に加え、防草シートを活用した省力的な摘果法※1等の紹介を行いつつ、現時点でどの程度摘果すべきかを共有しました。
生産者からは摘果管理の中で、二次落果が多いことから今後の管理方法の質問や、病害虫についての質問・意見も多く挙がり、今後の栽培管理に向けた有意義な講習会となりました。
当課では引き続き、令和7年産のみかんが高品質なものとなるよう、生産者への技術的な支援を進めていきます。

※1 樹冠上部にシートを被覆することで、生理落果を促進させ摘果作業の省力化を図る栽培技術

2025年8月

まだまだ頑張ってます! ~熊本市営農生活研究グループ総会&研修会~ 

熊本市営農生活研究グループ協議会(会長:上田トモ子氏、6グループ27名)は、女性の視点を生かした生活と生産に関する研究や知識、技術等の情報交換を行うとともに、食文化の伝承活動や6次産業化など主体的な実践活動を行っています。
6月11日に今年度の総会を開催し、総会終了後には県産業技術センター食品加工技術室の指導を受け、旬の果実「晩柑」の果汁を使った晩柑ドリンクゼリーの加工技術を学びました。会員の平均年齢はゆうに70歳を超えていますが、農産物の加工や調理技術の研鑽についての意欲は高く、熱心に加工実習に取り組んでいました。特に、柑橘や梨などの果実を生産する会員も多く、果汁や果肉を冷凍し、ピューレ状にして保存しておくことや、粘性を持たせる原料の配合など質問は尽きず、技術指導スタッフも驚くほどでした。
できあがったゼリーには、濃厚な晩柑の風味が感じられ、会員は大満足。「次は、桃や梨を使ってグミを作ってみたい」などと、早速、次の研修課題への要望が出されることとなりました。
当課としては、「やりたい事を自ら考え、無理なく、できることを継続していく」グループ員の姿勢に、改めて女性農業者のリーダーとしての歴史を感じつつ、引き続き活動を支援してまいります。

2025年8月

隣接する神社の説明を聞く県大生
意見交換の様子

白浜分校の活用に向けた県立大学との交流会を開催

平成30年に閉校した河内小学校白浜分校(以下、白浜分校)は150年の歴史がある地域住民のシンボル的存在です。一方で、全国有数の温州みかん産地である熊本市河内町では、農業者の高齢化による栽培面積の減少が懸念されており、新たな担い手や労働力の確保が喫緊の課題です。
そこで、※「地域連携スタートアップ事業」を活用し、熊本県立大学と農業普及・振興課、熊本市及びJA熊本市が連携し、担い手育成確保の拠点(研修施設)も視野に入れた白浜分校の有効活用について調査研究を実施することになりました。
そのキックオフとして、6月29日に河内校区と県立大学都市計画研究室(以下、県大)との交流会を開催しました。自治会長による白浜分校校舎の見学、地区の街並みの散策、白浜干拓から見たみかん山や開発が進む河内温泉地区の見学の後、JA熊本市柑橘選果場にて意見交換を行いました。
意見交換は白浜の歴史や農業の現状、みかん栽培のことなど多岐にわたり、参加した女性農業者や若手農業者も活発に発言され大いに盛り上がり、「白浜分校を地元や関係機関一体となって考える良い機会となった」とのコメントもいただきました。
今後は、県大による白浜分校活用に向けたワークショップや発表会等を計画しており、さらなる機運の高まりと次の展開が期待されます。

※「地域連携スタートアップ事業」…市町村や県が提案した地域課題に、熊本県立大学の教員・学生が研究・事業として取り組み、その発展に資する契機となる事業(単年度)

2025年8月

乾田直播を導入した作業予定表
乾田直播生育状況

効率化に向けて作業体系をスクラップアンドビルド ~水稲乾田直播栽培と省力技術の導入に向けて~ 

「(農)火の君とよだ」は令和元年に熊本市南区城南町の南部に設立された地域営農法人です。当該法人では、令和2年からオペレーターを雇用し、現在3名で約45ha(令和7年当初)の農地に水稲・小麦・大豆の土地利用型作物を作付けしています。近年、高齢化による離農などにより経営面積が急増しており、7月中旬まで水稲移植作業が食い込むことで大豆播種が遅延し、大豆単収の低下を招いていました。
そこで、当該法人の栽培管理システムのデータを基に、各作業の作業能率を算出し、作業体系の見直しを実施しました。その結果、令和7年度作付け予定のうち約8ha(水稲全体35ha)を水稲乾田直播栽培に転換することで水稲作業を分散、大豆播種作業の適期実施を目指すことにしました。併せて、水稲移植作業の効率化を図るため、直進アシスト技術など省力技術の実証試験を行うことにしました。
本年度は5月から雨の合間を縫って水稲乾田直播播種作業を実施し、計画的に除草剤を散布したことで、水稲乾田直播栽培は概ね順調に経過しています。また、6月24日には水稲移植作業の工数削減を目的として、直進アシスト機能を有したペースト肥料二段施肥田植機による施肥同時移植作業と田植同時除草剤散布を実施しました。今後、水稲乾田直播栽培の成功に向けて支援を継続すると共に、作業分散効果の検証や新たに導入した省力技術の評価を行う予定です。
当課では、地域や経営体の実情に合った省力技術等を提案し、今後も地域営農法人の経営安定に向けて支援を継続して参ります。

2025年8月

大玉すいか「黒武者」の栽培状況
クラブ員と普及指導員の意見交換の様子

相互のスキルアップのために! ~熊本市4Hクラブ員ほ場視察研修を実施~

熊本市4Hクラブは、毎年若手生産者が入会していますが、30代前後のベテランクラブ員も多数在籍しています。すでに経営の主力となっているクラブ員と若手クラブ員が混在している状況です。
そこで、クラブ員間の技術交流、更なる組織活動の充実及び互いの農業経営の発展に役立てることを目的としてクラブ員ほ場の視察研修を6月3日に開催しました。
今回はクラブ員と農業普及・振興課10名でクラブ会長のすいかほ場(品種:黒武者)を視察しました。会長からすいかの栽培概要、自身の経営状況及び現在発生しているアブラムシの防除対策について説明がありました。参加したクラブ員は、自身のほ場と照らし合わせ、栽培方法や防除対策を共有しつつ、改善策を提案するなど活発な意見交換がなされました。
視察を終えてクラブ員からは、「他人のほ場を見ることで新しい気づきがある」、「栽培品目は違うが参考になる点が多数ある」等の声が挙がりました。
当研修は今後も随時実施する予定であり、当課では引き続き青年農業者が抱える課題の解決に向けて支援していきます。

2025年7月

前年度の土壌還元消毒に係る意見交換会 部会員から前年度の反省点等を出して 講師(左端)と改善点を話し合う
土壌還元実施後の開花状況 令和5年産は40%程度の株枯れが発生

低濃度エタノール土壌還元消毒の取組み~取り組み方を改善して土壌還元消毒効果をUP~

JA熊本市トルコギキョウ部会(4戸)では、令和6年度にジャパンフラワー強化プロジェクト推進事業(国)を活用して低濃度エタノールを使った土壌還元消毒に取組み、立ち枯れ症状発生割合を40%から5%程度まで低下させることができました。
このことから、部会では低濃度エタノールを使った土壌還元消毒を今後も継続して取り組むことにしています。
そこで、この手法をより効果的に実施できるよう、令和7年6月4日に日本アルコール産業(株)から講師を招き意見交換会を開催しました。会の中では、①土壌還元消毒実施前のほ場の均平化、鎮圧、除草の必要性、②低濃度エタノール投入前のほ場への散水量、③添加した副資材に含まれる窒素分を考慮した基肥投入量、④土壌還元消毒実施時の畝立ての有無による効果の差異等に関して、活発な意見交換が行われ、今後の取組みに生かしていくことで一致しました。
今回実施した意見交換会で得た手法を現場で取り組むことで、立ち枯れ症状発生割合が低く推移し単位面積当たりの生産数量が高位安定することが期待されます。
農業普及・振興課では引き続き、トルコギキョウ生産が安定して行えるよう、生産者への技術的な支援を進めていきます。

2025年7月

講習会の様子

植木発!始動する「デコポン」生産

お歳暮の人気商品の一つである「デコポン」は、加温栽培で生産されており、毎年、年内出荷に大きな期待が寄せられています。熊本市では、不知火類の加温栽培が盛んで、県全体の約20%を生産。その中でも旧植木町は、熊本市の加温栽培の全てを担う重要な産地となっています。
消費者の求めるデコポンを生産するためには、適期・適量のかん水や摘果作業が非常に重要です。特に満開から60日(5月中旬頃)以降に十分なかん水が行われない場合、果実肥大の鈍化や酸高果実につながります。また、適期の摘果が行われなければ、果実肥大・品質に悪影響を及ぼすだけでなく、樹勢低下を招くなど翌年産以降の生産にも影響が出てしまいます。
こうした管理の重要性を伝えるため、JAと協力して「令和7年産 デコポン管理検討会」を5月8日に開催しました。当課からは夏秋期の高温対策に係る実証展示ほについても説明しました。近年の気候変動で、加温栽培でも夏秋期の高温による問題が発生しています。この時期の高温は、果実の日焼けを引き起こすだけでなく、光合成速度の低下や夏秋梢の多発などによる増糖抑制を引き起こす要因と考えられています。こうした果皮障害や果実品質低下の問題を解決するために、遮光資材を活用した実証展示ほを設置し、今後効果の検証を行っていきます。
令和7年産の「デコポン」収量増加を目指し、当課では今後も生産者への技術的な支援を続けていきます。

2025年6月

摘蕾講習会の様子
農作業安全対策啓発の様子

令和7年産「太秋」生産始まりました!

「太秋」は大玉で糖度が高いことが魅力である柿の品種の一つであり、熊本市では柿の生産量(R5年産59t:令和5年産果樹振興実績より)のうち80%以上を「太秋」が占めています。特に植木町は、熊本市の「太秋」生産量の約70%を占めるなど、生産が盛んな地域となっています。
「太秋」の大玉果生産には着蕾確認後から開花前までの短い期間内の摘蕾作業が極めて重要です。この時期の管理が適切に行われない場合、高単価商材となる大玉生産に大きな影響を及ぼします。そこで、この時期の適期管理の重要性を周知するため、JAと協力し「太秋摘蕾講習会」を4月22日に開催しました。また、当課からは栽培管理指導に加えて、農作業安全対策についても啓発を行いました。高品質果実の生産だけでなく、生産者が安全に作業を行うよう併せて指導を行うことで、持続可能な農業の実現につながることを期待しています。講習会では、摘蕾管理だけでなく、病害虫防除の効果的な方法についても活発な質疑応答が行われ、これからの高品質果実生産に向けた有意義な講習会となりました。
令和7年産の「太秋」でも高品質で大玉果が生産できるよう、当課では引き続き生産者への技術的な支援を行っていきます。今後も、栽培管理の向上と安全対策の強化を進め、持続可能な果樹生産の実現を目指します。

2025年5月

野菜ソムリエが伝える「防災と食」~熊本市地域女性農業者交流会を開催~

令和7年3月25日、防災に関する意識を高めるとともに、管内女性農業者間の交流を深めること等を目的に交流会を開催し、25名の参加がありました。
講師は、熊本市植木町でミカンを栽培する傍ら、野菜ソムリエプロや食育防災アドバイザー、県農業女性アドバイザー、食の名人として県内外で活躍されている、宮本好美さんです。
まず、防災食の実習では、ポリ袋に麺を入れて調理する「乾燥野菜の洋風パスタ」、切干大根を水戻しせずに使う「和え物」、普段は汁物に入れる麩(ふ)で作る「ティラミス」の3品について指導していただきました。
次に、「災害を最小限にするために日頃から備えておくこと」、「災害が起きてからの行動」、「家庭での備蓄」等について説明していただきました。最後に、「災害時は、日常とかけ離れた環境。いつもと変わらない温かくバランスの取れた食事で心と体が満たされれば、不安も解消される。」と結ばれました。
参加者からは、「防災食がこんなに手軽で、美味しく出来ることを知らなかった。」、「備えが大事だと痛感した。」、「このような交流会をぜひ継続して欲しい。」等の感想が寄せられ、有意義な会となりました。
当課では、今後とも地域の農業を支える女性農業者の活動を支援していきます。

2025年5月

かんきつ継承候補園の現地確認を実施

生産者、JA、市、県央広域本部などの関係機関で構成する「熊本市果樹産地推進協議会」では、令和6年5月に「担い手育成・確保部会」を設立し、果樹産地の維持に向けて担い手確保を目的とした取り組みを進めています。
部会設立後の6月から7月にかけては、「熊本市果樹産地の未来を考えるためのアンケート調査」を実施し、産地の高齢化・担い手不足の現状や将来の生産面積推移等を確認しました。また、これらの結果を基に、令和7年2月34名の温州みかん生産者に対し個別聞き取り調査を実施しました。調査では、新規就農者への技術指導の可否、第三者への園の継承意向、継承可能な園の具体的な状況等を聞き取っています。
そして3月には、上記の継承可能園のうち生産者が手放す時期が近い園を選定し、熊本市JA熊本市とともに、園の日当たり、排水、傾斜や樹齢など現地状況を確認しました。個別聞き取り及び現地確認を通じて、働きやすく早期の経営安定を図ることができる継承候補園の情報を今後も継続して収集し、生産者による技術指導と併せて産地の新規就農者受入体制の構築を目指します。
令和7年度には当協議会において担い手確保に向けた産地ビジョンを策定する予定です。農業普及・振興課では、現在の担い手の営農継続支援と将来的に不足する担い手の新たな確保・育成について、引き続き関係機関とともに対策の検討を進めていきます。

2025年5月

新たな担い手確保につなげる農作業体験会を開催

県央地域では、令和6年度より県、市、JAと連携し、熊本市河内地区を中心とした柑橘産地の新たな担い手育成確保に重点的に取り組んでいます。その一環として、3月22日に今年度2回目となる農作業(収穫)体験会を開催し、県内外から6名の参加がありました。
今回の参加者は、福岡県から2名、県内から4名で、就農を予定している方や以前から農業に興味があった方、将来は農業に携わりたい農業高校生など幅広く、受入農家のもとで河内晩柑を収穫しながら、農業の大変さや収穫の喜び、日々の暮らし方などさまざまな話を聞き、農業のイメージを膨らませていました。
約2時間の農作業体験を終え、農家や関係機関との意見交換を行った際には、「どのように園地を見つけるのか」、「どんな品種を植えるとよいのか」など、具体的な質問が寄せられました。
令和7年度からは、柑橘栽培のさまざまな作業を年間通じて体験するカリキュラムを予定しています。今後も引き続き、関係機関と連携しながら就農事例の実現に向けて取り組みを進めていきます。

2025年4月

食の名人が小学校・高校へ出向き食の技を伝承

令和6年11月から令和7年2月にかけて、今年度も管内のくまもとふるさと食の名人(以下、「食の名人」という)のべ10名がおせち料理やいきなり団子、デコ巻きの伝承授業(全6回)を行いました。
この取組は、若い世代に郷土料理を継承することを目的としており、熊本農業高校では、4品の料理(辛子蓮根、赤飯、いきなり団子汁、紅白なます)を、熊本中央高校、第一高校ではデコ巻き(断面に図柄を描いた飾り巻き寿司)を作りました。
また、山本小学校では、1・2年生が自分たちで栽培したさつま芋を使って、いきなり団子と茶巾絞りを作りました。
授業を終えた生徒からは、「家族と一緒に自分でも一緒に作ってみたい。熊本の伝統的な料理を自分達も引き継いでいきたい」との感想が聞かれました。
生徒たちにとって有意義な授業となるように、高校や小学校側とレシピ検討等の事前打合せや、食材の準備方法や指導方法を「食の名人」と臨機応変に打ち合わせるなど、農業普及・振興課が学校と名人の間に立ったことでスムーズな授業に繋がりました。
今後も、郷土料理の伝承推進に向け、「食の名人」全員が活躍できるようサポートするとともに、「食の名人」同士の技術向上、後継者確保にも努めてまいります。

2025年4月

収穫を待つトルコギキョウ
5月出荷用のほ場

春出荷向けトルコギキョウの現地検討会開催 ~市場と二人三脚で需要期の安定出荷を目指す~

令和7年2月21日(金)JA熊本市トルコギキョウ部会(4戸)は、主要取引5社を招き春の需要期に向けた販売対策会議を兼ねた現地検討会を開催しました。
当部会では、トルコギキョウを270a栽培し(令和6年産冬春花き生産販売対策会議資料「熊本経済連主催」)、関東・関西地域へ出荷しています。円安傾向のなか海外(主に台湾)からの輸入が大幅に減少しており、国内生産量の少ない冬春期の需要は旺盛であり、トルコギキョウの需要は供給を上回る状況にあります。
現地検討会では産地側から現在の生育状況や出荷の見通し等について説明を行い、現地検討会後の販売対策会議では市場から3月以降の他産地の出荷傾向や需要の見通しについて情報提供され、今後の販売について意見交換を行いました。
当部会では適切な温度管理や肥培管理に取組み、定期的に現地検討会や販売対策会議を開催しています。また、部会員と市場との意見交換を重ね出荷物の品質確保や適期出荷にも取り組んでいます。花型の中心は需要の大きい大輪系で、白、ピンク、紫、ラベンダー等冠婚葬祭のいずれにも使える花色を栽培しています。また、今年度は従来からの課題だったフザリウムによる立枯病対策として低濃度エタノールを使った土壌還元消毒に取組み、発生割合を40%から5%まで引き下げることができました。
農業普及・振興課では引き続き、トルコギキョウ生産が安定して行えるよう、生産者への技術的な支援を進めていきます。

2025年4月

研修園の視察
室内研修の様子

果樹産地の担い手確保に係る先進地視察研修を開催

「果樹産地推進協議会」※では、令和6年度から「担い手育成・確保部会」を設置し、果樹産地の新たな担い手育成・確保の体制づくりに取り組んでいます。2月18日から19日にかけて、より効果的な体制構築の参考とするため、愛媛県のJAにしうわ、農事組合法人笑柑園ナカウラを視察しました。JAにしうわやナカウラの担当者から研修システムや取り組まれている活動を通しての課題なども伺いました。
愛媛県においては、収穫時期の労働力不足を補うために、全国から収穫アルバイトを募集しています。JAにしうわでは、廃校や閉園した保育園などの休遊施設を、収穫アルバイトや研修生などが利用している事例について話を伺いました。熊本市河内地域には廃校があり、現在その活用について関係機関で検討を進めています。今回伺った休遊施設の運営事例は非常に参考となるものでした。
当課では、担い手の新たな確保・育成について、引き続き関係機関とともに対策を検討していきます。

※「産地推進協議会」:生産者、JA、市、県央広域本部などの関係機関で構成

2025年4月

果樹産地アンケートを基に担い手確保に向けた聞き取り調査 を実施

生産者、JA、市、県央広域本部などの関係機関で構成する「熊本市果樹産地推進協議会」では、今年度5月に「担い手育成・確保部会」を設立し果樹産地の維持に向けて取り組みを進めています。
今年度の6月~7月にかけて実施した「熊本市果樹産地の未来を考えるためのアンケート調査」(管内果樹生産者約900戸対象)では、労働力不足や10年後柑橘生産面積の減少見込みなどが示唆され、産地規模の縮小が懸念される結果となっています。
今回、担い手育成・確保部会では、担い手の減少に歯止めをかけるべく、アンケートで得た回答の内「新規就農者への技術指導が可能」かつ「園の拡大もしくは縮小意向」を有する回答者を主な対象として、2月上旬に個別聞き取り調査を実施しました。この調査では、拡大意向の生産者に対しては、今後の面積拡大の見込みや法人化の考え等について、縮小意向の生産者に対しては、縮小・離農時期やほ場、設備、機械等の譲渡可否等について聞き取りを行いました。特に縮小意向については、個別の園地条件(品種・収量・作業性など)も確認しています。
今後は縮小見込み園の現地確認も行い、新たな担い手が短期間で営農基盤の安定を図ることができるよう、継承候補となる園地リストを整理する予定です。
次年度は果樹産地構造改革計画の更新年にあたり、当協議会では併せて担い手確保への産地ビジョン策定も計画しています。農業普及・振興課では、現在の担い手の営農継続支援と将来的に不足する担い手の新たな確保・育成について、引き続き関係機関と共に対策の検討を進めていきます。

2025年3月

熊本市内の女性農業者合同研修会「名人の食の技学ぶ」

令和7年1月8日、女性農業者間の交流を深めるため、くまもとふるさと食の名人と営農生活研究グループの女性農業者を対象に合同研修会を開催し、
26名の参加がありました。
研修では、からし蓮根で食の名人の認定をされ、高校でも御指導いただき、また、直売所等で販売もされている金子雄子さんに、「からし蓮根」や「蓮根料理2種」の実技指導をしていただきました。蓮根の調理内容に合う節の部分やからし蓮根の調理ポイントなど説明していただき、皆、熱心に教わっていました。
参加者は、日頃から食の伝承活動等に取り組んでおられますが、からし蓮根も指導できるようになろうとコツなどを改めて習い、「貴重な経験で、再認識ができた。」と喜ばれていました。
また、食の名人の新規認定者の紹介や料理披露、女性活躍表彰で県知事賞を受賞された杉本純子さんの事例発表も行い、お互いの活動等の情報交換もでき、盛りだくさんの内容で充実した時間を過ごせました。
多忙な女性農業者ですが、当課では今後も、新たな連携や活動の展開につながる取組を進めていきます。

2025年3月

講習会の様子
令和7年産の防除暦について説明する

令和7年産のナシ生産に向けて講習会を実施

熊本市西区河内町の芳野地区では、温州みかんとの複合経営の一品目としてナシ栽培も行われています。令和7年産ナシ生産の新たなスタートの前に、芳野地区のナシ生産者を対象にしたせん定講習会を1月7日に開催しました。
講習会では、現地と座学での指導を行いました。現地では、普及指導員がせん定の基本的な考え方を説明しながら実演し、その後、参加者全員で樹一本のせん定を仕上げました。座学では、薬剤耐性菌の発生しにくい防除の考え方、着果安定のための授粉対策などについて説明しました。参加者は、互いのせん定の考え方について意見交換を行い、質疑応答では発生の多い病害への対策などの質問があり、令和7年産への意欲の高さが伺えました。
また、1月10日にはJA熊本市ナシ部会員を対象に、暖冬における発芽確保を見据えたせん定方法について研修会を開催し、近年問題になっている気象変動に対応した管理の必要性について部会内での意識共有を図りました。
当課では、今後もナシの安定生産に向けて栽培技術指導・支援を継続していきます。

2025年3月

ツマジロクサヨトウの被害(R6.9.24撮影)
子実とうもろこし収量調査(R6.12.17撮影)

子実とうもろこし二期作の取組み

熊本市管内では飼料自給率の向上及び飼料価格の高騰対策として、R4年度から養豚・養鶏農家において子実とうもろこしの生産・利用拡大に取り組んでいますが、養鶏農家では昨年度から二期作にも取り組んでいます。
本年度の夏作は春作収穫後の8月中旬に播種し、12月下旬に収穫が行われました。昨年と同様の2.2haの面積で収穫でき、全体収量は4,356kgとなりました。
平均単収は、春作では昨年の458kg/10aから今年は524kg/10aと伸ばすことができましたが、夏作では197kg/10aと昨年度と同程度の結果となりました。今年度は、成熟期間を確保するために夏作の播種時期を昨年より1週間程度早めるなどの対策を行いましたが、帰化アサガオ等の雑草やツマジロクサヨトウの被害が大きく、また、イノシシの被害もあったことから、収量が伸びなかったと考えられます。
今後、単収を上げるためには、これらの防除をより徹底し、併せて夏作に適した品種の検討を行うなどの対策を行う必要があります。当課としても継続して支援を行っていくことにしています。

2025年2月

講習会の様子(2024.12.4)
摘花の実演(2024.12.4)

高温に負けない!収量向上を目指して ~「ゆうべに」摘花講習会を開催!!~

JA熊本市白浜苺部会は、部会員数17名で、栽培面積は「ゆうべに」が約5.3ha、「恋みのり」が約1.1ha、合計約6.4haのイチゴを栽培しています。
「ゆうべに」は、花芽分化が早く、早生性を有する品種で、年内収量を確保しやすい特徴があります。しかしながら、過度な着果負担により、成り疲れを引き起こし、収量が減収する場合があるため、第2花房出蕾時の摘花管理が必要です。
そこで当課では、成り疲れ防止による収量向上目指して、部会員を対象に、12月4日に摘花講習会を開催しました。当日はご夫婦での参加も多く、約30名集まりました。
今年は、秋季の高温の影響で、第2花房の出蕾が遅れているほ場が散見されている状況です。この状況を踏まえて、講習会では資料と実演で、今年の花芽分化や花数の傾向をもとに、通常は頂花房を11~12果程度残すところ、果数確保のために頂花房を12~15果残す必要があることを説明しました。生産者からは「1.5番花(花房間葉数2枚以内で分化した花房)は摘花するのか」、「収穫や管理作業で忙しい場合の摘花基準はあるか」といった質問が多く、摘花の重要性について理解を得られました。
今後定期巡回を通して、生産者の実情に応じたアドバイスを行うことで、収量向上につながるよう支援していきます。

2025年2月

自動運転トラクターの実演
ICT建機による施工の実演

熊本農業高校における農業土木技術者の育成に向けた取組み ~スマート農業機械を間近で体験~

県央農林部では、農地整備課を中心に熊本農業高校生(農業土木科)に対し、技術力向上等を目的とした連携授業を平成27年から実施しているところです。
今後の農業は、担い手の減少やスマート農業、DX技術等の進展により、超省力、効率化生産へ移行することが予想されていますが、それらの技術導入・普及のためには、スマート農業技術に対応できるほ場整備等の生産基盤整備が必要です。令和6年度は2・3年生にスマート農業に関する講義やICT施工の実演がこれまで2回実施されています。
今回は3回目として、12月18日(水)に農業土木科2年生及び1年生の80名を対象に、スマート農業に関する授業を実施しました。当課からは農機メーカー協力のもと、自動運転トラクターの自動運転を実演し、担い手不足等の課題と併せてスマート農業技術の導入の必要性やほ場の大区画化及び機械に合わせた整備の重要性について啓発を行いました。農地整備課からは実際の工事現場を活用したドローン測量やICT建機による3Dデータを基にしたICT施工の実演が行われました。
農業土木科の生徒は非農家の生徒が多く、自動運転トラクターが動いているところを間近で見学できる希少な機会となり、「作業時間や価格はどれくらいか」、「県内には何台あるのか」といった質問や「今回の経験を将来の仕事で活かしたい」とのコメントがありました。
当課では、継続してスマート農業技術の導入に向け取り組んでいきます。

2025年2月

新規就農者等研修・交流会を開催 ~少人数ながら盛り上がりに手応え~

当課では、熊本市やJA等と連携して新規就農者の支援策を実施していますが、その中で営農に役立つ情報や交流の機会を求める声が新規就農者から聞こえていました。
そこで、就農後おおむね5年以内の新規就農者を対象に、12月6日(金)防災センター3階会議室において新規就農者等研修・交流会を開催しました。LoGoフォームを用いた募集を行ったところ、当初10名の参加申込みがありましたが体調不良等で3名が欠席となり、JA熊本市の就農研修生2名も含めて当日は9名の参加となりました。
研修会では、農業革新支援センターの児玉参事に「知って得する病害虫対策の基礎知識」と題して講演をいただき、参加者からも活発な質問が出ていました。その後に関係機関を含め10名ずつに分かれてフリートークの交流会を行いましたが、予定時間を超えて色々な話が飛び交い、会の終了後にも各所で連絡先を交換したり質疑応答を交わしたりしている姿が見られました。
研修後のアンケートでも、「参加して良かった」、「定期的にまた開催して欲しい」などの意見がほとんどで、有意義な研修交流会になったと思われます。
参加者数が少なかったことは今回の反省点となりましたが、より参加しやすい時期や関心の高い内容等の工夫をして開催するなど、今後とも関係機関と共に新規就農者へのフォローアップ対策に取り組んでいきます。

2025年2月

熊本市青年農業者会議を開催

熊本市青年農業者クラブ連絡協議会は、令和6年12月13日に熊本市青年農業者会議を開催しました。青年農業者の主張部門2名、プロジェクト活動部門4名の計6名が発表し、県大会発表には5名が選出されました。
主張部門では、農業を継ぐ意思がなかったが、環境の変化により就農を余儀なくされたクラブ員が農作業の中で見出したやりがいや、農業大学校を卒業したばかりのクラブ員が実際の営農活動を通じて感じた事など、新しく農業に取り組む新鮮な気持ちや今後の意気込みが発表されました。
また、プロジェクト部門では、経営移譲を受けたクラブ員による経営状況の分析、ナスの収量確保と作業時間削減の両立を目的とした疎植栽培、小玉スイカの直販による収益確保、4Hクラブ員の減少を止めるための試みについて発表が行われました。
クラブ員は主に9月から12月の間、生産管理に追われながらも計4回の検討、2回の発表準備を経て本番に臨みました。審査員からは、各発表に対して資料の改善や取り組みの深化等に係るアドバイスをいただき、発表したクラブ員以外も含め、今後のプロジェクトにどう取り組んでいくか考える良い機会となりました。
農業普及・振興課では2月開催の県大会に向けて、そして更なる営農改善に向けて4Hクラブ員が積極的に活動していけるよう、支援を継続していきます。

2025年1月

みかん栽培についての座学
糖度計を使ってみかんの糖度を測定

子どもたちへみかん栽培の魅力を発信する食育講座を開催

農業普及・振興課では、子どもたちが地域や農業への関心を持つきっかけとするために、熊本市河内町のみかん栽培に関する食育講座「河内みかん物語~おいしいみかんができるまで~」の開催を支援しています。本取組は、生産者の1年間の仕事の流れやみかん栽培の工夫についての座学、みかんの樹の観察や収穫体験を行う全3回の講座です。本年は熊本市内から3家族10名が参加しました。
11月10日に開催された3回目の講座では、収穫されたみかんが出荷されるまでの様子やみかんに含まれる栄養素を説明した後、収穫体験を行いました。子どもたちは前回観察したみかんとの大きさの違いに驚きながら、一つ一つ丁寧にみかんを収穫する様子が見られ、講座を通して生産者の苦労や思いを伝えられたと感じました。質問コーナーでは、子どもたちだけでなく保護者からもたくさんの質問がでてきて、農業への関心を高める講座にできたと思える取組となりました。
当課では、地域農業への理解を深めるために、子どもたちへ河内地域とみかん栽培の魅力を引き続き発信していきます。

2025年1月

訪問団へ説明をする金子氏
辛子れんこんと金子氏を囲んで

食の名人とフランス・ディジョンメトロポール訪問団が交流 ~「からし蓮根」で紡ぐ食文化伝承の輪~

11月23日、「くまもとふるさと食の名人」の金子雄子氏(熊本市南区)が、フランスのディジョンメトロポール(ブルゴーニュ地方のディジョン市を中心とした23自治体で構成される自治体連合)の訪問団と伝統的な郷土料理「からし蓮根」をテーマに交流されました。
熊本県とディジョンメトロポールは、令和5年度に締結した国際交流促進覚書(MOU)に基づき交流を深めています。今後のイベント開催や交流に向け、熊本の食文化を担う方々等とのつながりを持つことなどを目的として、ディジョン副市長をトップとする訪問団が来熊しました。
その一環として、ディジョンの特産品であるマスタードと親和性があり、熊本を代表する伝統料理「からし蓮根」の食の名人、金子氏との交流が企画されました。
訪問団メンバーのほとんどは今回が初来熊であり、蓮根を見るのも初めてです。そのため、蓮根の実物や和からし(粉)、試食などを準備し、金子氏からからし蓮根の歴史や作り方などを説明しました。
「和がらしとはどんなもの?」「ディジョンマスタードで作れるか?」などの質問が相次ぎ、金子氏が丁寧にジェスチャーを交え回答し、試食タイムには「とてもおいしい!」と絶賛されました。
以前は各家庭で作っていた「からし蓮根」ですが、現在はほとんどが購入するものになっており、金子氏が学校などで作り方を伝承していると説明した際には、「とても大事な活動。知識は宝です。」と真摯にコメントされ、国を超えて食文化伝承の重要性が共有された良い機会となりました。

2025年1月

適正な出荷規格を示したサンプル
栽培講習会の様子

高品質なスティックセニョールの出荷に向けて ~出荷説明会及び栽培講習会を実施~

スティックセニョールは、柔らかい花蕾※と茎が食用となるアブラナ科の野菜で、甘味があるため人気があります。JA熊本市スティックセニョール部会では、45名の生産者が11月から翌年3月にかけて生産を行い、県内や関東地域を中心に出荷されています。今期の出荷が本格化することから、当課ではJA熊本市と連携し、11月25日に出荷説明会及び栽培講習会を開催し、生産者や種苗会社合わせて約30名の参加がありました。
当部会に係るスティックセニョールの出荷は、収穫から箱詰めまで生産者が自ら行うため、生産者間でバラつきが生じないように、JA販売担当者から出荷規格や注意点についてサンプルを用いて説明がありました。また、今年は、収穫後の切口にトロケのような症状が散見されたことから、収穫後は注視して袋詰めを行なうよう周知されました。
当課からは、今後の病害虫防除管理について説明しました。生産者からは軟腐病対策について多数の質問があり、収穫用ハサミを洗浄、消毒する対策を伝え、病気を伝染させない重要性を理解いただきました。
当課は引き続き関係機関と連携し、高品質なスティックセニョールの栽培指導を行い、当産地の産地拡大を支援していきます。

※花蕾:蕾の部分。ブロッコリー等アブラナ科野菜の一部では、開花前の柔らかい時期に食す。

2025年1月

令和8年度の品種転換に向けて大豆新品種「フクユタカA1号」栽培講習会を実施

令和6年11月20日及び21日に熊本市南区の大豆生産者を対象に、大豆新品種「フクユタカA1号」への品種転換に係る講習会を実施しました。
熊本市南区の大豆作付面積は約480ha(県内シェア約18%)と県内でも有数の大豆産地であり、令和8年産から当該新品種への全面転換を予定しています。
講習会は2日間、計4回開催し、計60名の大豆生産者に対して、当該品種の特性について農業研究センター発表の「農業の新しい技術」を基に難裂莢性や大粒比率がやや高いこと、遅播きした場合に青立ちが多いこと等を紹介した後、現地試験では青立ちは少なかったことが過年度の展示ほ結果について報告しました。加えて、JA担当者より品種の全面転換となることから自家採種はせず、必ず種子を購入することを含め、諸注意事項の説明がありました。
次に、意見交換では、当該品種の難裂莢性による収量向上への期待の声や、本年度の大豆作柄や適期播種のための対策技術、雑草抑制技術など大豆栽培技術に対する幅広な質問があり、県内有数の大豆産地として大豆栽培への関心の高さが窺えました。
当課では引き続き、管内の品種転換に向けて支援を行っていきます。

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