2020年のエリア普及現地情報

2020年12月

手動式リフトを用いた防疫資材の積み込み
ホワイトボードに進捗状況を記録

家畜伝染病発生に備えて防疫体制を強化!

県央広域本部では、令和2年(2020年)11月6日(金)に県庁畜産課、中央家畜保健衛生所と連携して、熊本県高病原性鳥インフルエンザ防疫演習を開催しました。
本年度の演習は、熊本市城南総合スポーツセンター及び中央家畜保健衛生所を会場として、防疫資材の輸送と支援センター及び現場事務所の設置・運営について行いました。県央広域本部では、支援センターと現場事務所の設置・運営を担当し、会場設営方法や動員者の受け入れ、各部署間の情報伝達などをシナリオを用いて実践的に行いました。
参加者からは、発生時に行う業務内容や細かな手順を追うことができてそのイメージがつかめたなど、おおむね良い感想が得られました。
農業普及・振興課では、万一の発生時に迅速な初動防疫が行えるよう、今後とも体制強化に取り組んでいきます。

2020年12月

写真1 講習会の様子
写真2 出荷協議会の様子

JA熊本市白浜苺部会 出荷開始!

JA熊本市白浜苺部会は、部会員数17戸、栽培面積6haで、「ゆうべに」(3.8ha)を中心とした部会です。農業普及・振興課では、これまで「ゆうべに」の普及と安定生産に向けた活動を重点的に行ってきました。
令和2年産では、各関係機関と連携を図りながら育苗期の作業スケジュールの厳守と病害虫防除の徹底などの指導を行ってきました。近年の課題である年明けのなり疲れ対策のため、摘花房技術を中心とした講習会を11月2日に実施しました。その後開催された出荷協議会では、当部会の順調な生育状況と市場からの昨年産に対する高い評価と今年産に対する期待が報告され、参加した生産者らからも期待に応えようと活発な意見が出されていました。11月19日から出荷が始まり、品質・量ともに昨年を上回る成績が期待されます。
今後も基本的な栽培管理技術の徹底と併せて、「ゆうべに」の高設栽培についても重点的に指導を行い、部会全体の生産力向上を図ってまいります。

2020年12月

メロンハウス視察の様子
若手農業者と語る会

熊農×4HC~農業の魅力を発信~

熊本市4Hクラブは、将来農業の担い手候補となる若者に農業の魅力を伝えることを目的とし、11月20日に県立熊本農業高校の生徒12名と交流会を開催しました。この活動は平成28年度から行っており、今回で5回目の開催です。
昨年までは授業の実習補助を行うなかで交流をしていましたが、「生の農家の生活を感じてもらいたい」という思いから、今年度はクラブ員である奥村さんのメロンハウス、中山さんのライスセンターを視察しました。午後の「若手農業者と語る会」ではさらに2名のクラブ員が加わり、前半は自己紹介や4Hクラブの活動紹介、後半は少人数に分かれて意見交換会を行いました。
生徒からは「実際の農家の生活を感じることができ、普段学校で学べないことが学べた」、「今後もぜひ続けてほしい」という声が聞かれ、活動は大成功に終わりました。クラブ員自身も、高校生から刺激を受け、自らの農業について見つめ直す貴重な時間となりました。
今後も4Hクラブの活動を支援し、農業高校と連携して熊本市の将来の新規就農者の確保につながる努力をしていきます。

2020年11月

コンバインによる収穫
風になびく稲穂

秋津地区、熊本地震被災から5年ぶりの稲刈り終了!

熊本市東区秋津地区では、10月12~16日に稲刈りが行われました。
平成28年熊本地震の影響により米の作付けができず、その間は水稲を大豆に転換して作付けを行ってきました。今年の春にポンプや用水路の復旧が一部完了し、当地区農地170haのうち50haで水稲の作付けを再開しました。 
田植え後の曇天・日照不足による分げつの減少により、収量はやや少なくなり、荷受け重量は365tとなりました。しかし、工事(客土、暗渠施行等)による生育への影響は見られず、収穫は無事終了し、久しぶりの収穫に地元の農家は喜びをかみしめながら作業をされていました。
来年度には秋津地区全体で水稲の作付け再開が予定されており、大豆とのブロックローテーションの体系も完成します。農業普及・振興課では、次作でも客土や工事を行ったほ場について、実態を調査、把握し、完全な営農再開に向けて今後も支援を行ってまいります。

2020年11月

左:メロン退緑黄化病発病株 右:紫外線反射シート展示ほ場
キルパー処理時の様子

メロンウイルス病との戦い

熊本市北部地域では、年間を通して施設によるメロンの出荷を行っており、微小害虫が媒介するウイルス病の発生が産地の長年の問題となっています。そこで今年は、特に生産者の多い太郎迫地域で、土壌消毒から栽培終了後の作業までの一連の流れを生産者に個別に聞き取り、感染原因を追究するため実態調査を行いました。
その結果から、効果の高い農薬を使用していない生産者や、定植前の粒剤等による防除を行わない生産者が多くいることが分かりました。農業・普及振興課では、「紫外線反射シート」による害虫のハウス内侵入抑制や、「キルパー(古株枯死剤)」による栽培終了後の適正処理の効果について資材を用いた調査を行っています。今後、ウイルス病対策のための資材を含めた栽培マニュアルを作成し、産地へ対策の徹底と、効果的な防除方法について普及・指導を行っていきます。

2020年11月

写真1:「夢の恵」の様子 
写真2:「夢の恵」着果の様子

ついに!早生温州ブランド「夢の恵」販売開始!

JA熊本市柑橘部会の早生温州の特選ブランド「夢の恵」(糖度12度以上)の販売が11月2日からスタートしました。
本年産は6~7月の寡日照や集中豪雨によって、果実糖度の低下や病害の多発が懸念されましたが、部会では「夢の恵」増産に向け、積極的に指定園の取組みを勧め、高品質果実生産のためのシートマルチ設置、フィガロン散布(※)、病害虫防除などを徹底しました。また、収穫に際しては熟度の早い表層果実と熟期が遅い樹冠内部果実の区分収穫を徹底して品質向上に努め、「夢の恵」の合格率向上に取組みました。その結果、平年以上の品質に仕上げることができ、市場からの評価は高く、高単価でのスタートがきれました。
農業普及・振興課では、引き続き農家の所得向上を目指し、園地巡回や講習会などでブランド強化に向けた支援を行っていきます。

※フィガロン:植物成長調整剤の一つ。根部からの水分吸収を抑制することで、果実糖度を上げる作用がある。

2020年11月

写真1:対象者への説明の様子
写真2:新規就農者(写真左)への巡回指導

新規就農者確保・育成の仕組みづくりがスタート

担い手の高齢化が進む中、農業普及・振興課では園芸産地を維持するため、市及び農協と連携して新規就農者の確保及びその育成の仕組みづくりを進めています。
具体的には、ナス経営を始めた新規就農者3戸を対象に、作業日誌や決算書を基に、経営状況の調査、栽培技術指導及び事業などの情報提供を行うこととしています。このことにより、対象者が自ら立てた目標所得を達成するとともに、新規就農者から見た営農上の注意点や関係機関の支援のあり方をまとめ、円滑な就農と定着に繋げることとしています。
取組みに当たり、10月20日に対象者への説明を行い、10月28日には個別巡回にてナスの生育状況を確認しました。
今後も農業普及・振興課では、月1回程度巡回指導を行い、年度末には実績検討会を予定しています。

2020年10月

生育調査の様子(9月2日)
2本仕立て生育状況(9月30日)

新規導入ナス品種「PC筑陽」に適する仕立て方法を検討するための実証展示ほを設置

JA熊本市茄子部会(栽培面積:76ha,部会員:168戸)では、単為結果性品種の「PC筑陽」が令和元年度から本格的に導入され、今年度は栽培面積の約9割を占める程に導入が進んでいます。
当課では導入が進む「PC筑陽」の栽培技術確立を目的とし、今年度、JA熊本市営農センターと連携した実証展示ほを2か所設置しました。
「PC筑陽」は単為結果性のため、交配処理を必要とせず、労力は軽減される一方で、着果負担が強く、草勢の維持がこれまでの品種「筑陽」に比べ難しいため、生産現場からは品種特性に適した栽培技術の確立が求められています。
実証展示ほでは、従来の1株から主枝、側枝を4本にふりわける4本仕立てに対し、草勢維持に有利な2本にふりわける2本仕立ての検討を行い、収量性、作業性などを比較します。
今後も調査を実施し、「PC筑陽」の栽培技術確立のための支援を行います。

2020年10月

初めての農産物加工品「葉にんにく味噌」
アグリビジネスセンター加工室での加工品試作

すぎかみ農場女性部農場加工事業の開拓

すぎかみ農場女性部は、平成26年11月に設立した農事組合法人熊本すぎかみ農場の中で女性の視点で地域を活性化することを目的に結成されました。現在270haの経営面積があり、米、麦、大豆の他、新規導入作物の「玉ねぎ」、「葉にんにく」、「ズッキーニ」などの特産品化に向けて、PR活動や消費拡大を目的とした調理法の開発、農産加工の研究、食育活動に取り組んでいます。
特に、農産物の消費拡大に向けた農産加工品を作り上げることを最大の目標とし、勉強会や視察研修、調理実習を繰り返し行い、6年目にして「葉にんにく味噌」を開発し、OEM※にて販売を開始しました。そしてR2県農産物加工食品コンクールでは、その「葉にんにく味噌」が「銅賞」を受賞しました。今後は農産加工品の県内外への販路開拓に加え、新たな農産加工品開発などを計画中です。
農業普及・振興課では、農商工連携による販路開拓やOEMによる女性農業者の視点を加えた加工品開発の支援を行っていきます。

※OEM…商品企画やレシピ開発を委託者が行い、製造は受託者が行う製造方法のこと

2020年10月

展示ほ定植作業の様子
アリウム「踊る丹頂」

年末商材にアリウムを!超促成栽培の展示ほ設置

現在、熊本市で生産されるアリウム「踊る丹頂」は、2月から6月まで高品質な花きとして出荷されています。一方で、全国的にもアリウムの出荷が少ない12月~1月は、市場から高い需要があるものの、現地では栽培技術が確立されておらず、出荷が困難な状況でした。
そのような中、通常は9月下旬に定植するところを、生産者の強い熱意のもとに新たな作型に挑戦するため、これまで栽培が困難と考えられていた8月下旬に、遮光により地温を下げ早期定植を行う出荷前進化技術の展示ほを設置しました。今後、調査を進め早期定植技術の効果を検証することで、いち早い産地への導入が期待されています。
今後も農業普及・振興課では、JAなど関係機関と連携を図り、アリウムの出荷期間拡大に取り組んでいきます。

2020年10月

堆肥センタ―のマニアスプレッダーによる堆肥散布
展示ほ:9月1日のトウモロコシの生育状況

熊本市東区で堆肥利用推進展示ほを設置

令和2年8月14日に熊本市東部地区において、熊本市東部堆肥センターの堆肥を利用したトウモロコシの展示ほを設置しました。
展示ほを設置している熊本市東部地区は、市条例によりスラリー(液状きゅう肥)のほ場施用ができないため、当堆肥センターが生産した堆肥を有効活用することが酪農・肉用牛農家にとって非常に重要になっています。
当地区での展示ほ設置は今回で3回目ですが、今年は施用量や土壌改良資材の有無により、収量や飼料成分にどのような変化があるか確認することとしています。
また、当地区は、カリなどの土壌成分が過剰気味となっていますが、堆肥利用を経年的におこなうことによって、土壌成分がどのように変化するかも調査する予定です。
収集したデータは、地区の畜産農家にフィードバックし、さらに安定した自給飼料生産と地下水の水質保全を目指していきます。

2020年10月

青年農業士協議会のR2活動が始動!

熊本地域では、担い手育成の一環として青年農業士の認定を進めており、県内で最も多い33名を認定しています。青年農業士により構成される協議会では、都市圏の市場への視察研修や税務申告の勉強会等、自主的な学習活動が行われています。
今年度の青年農業士協議会の活動について、8月24日に新旧合同役員会が開催され、役員体制及び事業計画が決定されました。
新会長に選任された中山大基さん(34歳、熊本市北区)は、「コロナ禍で活動が制限される1年になるが、立てた計画に沿って役員で話し合いながら、今年できることを進めていきたい。」と力強く語りました。
農業普及・振興課では、青年農業士が地域の若手農業者のリーダーとしての役割を果たせるよう支援していきます。

※専門用語の説明 
青年農業士:県内に在住する40才までの農業者のうち以下の要件を満たし県が認定した者。
①地域の青年農業者等の研究学習活動の指導ができる資質を有していること。
②社会協調性に富み、新しい地域農業の先導者として成長が期待される者。

2020年8月

大豆栽培講習会の様子
発芽した大豆

秋津地区で大豆栽培講習会を開催

令和2年7月3日に熊本市東区秋津地区で大豆の栽培講習会を行いました。当地区では熊本地震の発生以降、その被害により水稲が作付できないため、代替として大豆を作付していました。災害復旧工事の完了に伴い本年から水稲の作付が可能になりましたが、ブロックローテーションの関係で引き続き大豆を栽培するほ場では、連作障害の発生を懸念しています。講習会には農家約40名の参加があり、①JA熊本市からは大豆の栽培暦について、②肥料メーカーからは連作土壌で不足がちな成分を補給する肥料の紹介や本年度の現地試験について、③農薬メーカーからは大豆栽培上問題となっている帰化アサガオ類の防除資材について、④当課からは大豆の栽培管理上のポイントについて、それぞれ説明しました。農家の方からも効果的な雑草防除方法や施肥防除について熱心に質問があり、活発な質疑応答が行われました。
本年は7月初め頃から播種の準備が始まりましたが、長雨の影響で7月中旬以降の播種となり、収量の低下が懸念されることから、播種時期と天候、更に土壌条件を勘案して、栽植密度や播種深度を決定するよう指導しています。また、収量・品質向上のため、今後の生育や病虫害発生状況を見ながら、関係機関と連携して指導を行っていきます。 

2020年8月

クイズに答える児童の様子
現地で糖度を測る様子

子どもたちへ河内とみかんの魅力を発信!

農業体験を通して、熊本市在住の子どもたちへ、河内地域とそこでのみかん農業への関心や理解を高めるため、当課では、平成29年から河内公民館と連携し、「おいしいみかん調査隊」を開催しています。本取組は、小・中学生を対象とした年4回の講座で、温州みかんの特徴や農家の仕事を理解するとともに、河内町の伝統的な農業文化を学びます。
4年目となる今年は新型コロナウイルス感染防止に配慮し、年2回の開催となり、7月26日に1回目の講座を開催しました。室内ではクイズを交え、石垣を活用したみかん栽培やマルチ被覆についての説明を行いました。現地では若手農業者の説明のもと、実際のみかんの樹に触れ、摘果やマルチシートの被覆作業を体験することで、夏季の管理作業の重要さについて学びました。子ども達から歓声が上がり、質問が飛び交う意欲的な学習会となりました。
農業普及・振興課では引き続き地域農業への理解を深めるため、子どもたちへ河内地域とみかん農業の魅力を発信していきます。

2020年7月

田植え機による田植え
田植え後の水田に水が入っている様子

秋津地区、熊本地震被災から5年ぶりに田植え再開!

熊本市東区秋津地区では、6月20~26日にかけて5年ぶりの田植えが行われました。
平成28年熊本地震の影響により、農地の不陸やパイプラインの破損などによって米の作付けができず、その間は水稲を大豆に転換して作付けを行ってきました。今年の春にポンプや用水路の復旧が一部終わり、当地区農地170haのうち50haで、令和2年産水稲の作付けを再開しました。久しぶりの米の作付けに地元の農家からは喜びの声が聞かれ、活き活きと作業をされていました。暗渠を新しく施工した部分では田植え機がぬかるむこともありましたが、田植え作業は順調にすすみ、26日に無事終了しました。
農業普及・振興課では、客土や工事を行ったほ場について、土壌や工事の影響について実態把握し、完全な営農再開に向けて今後も支援を行ってまいります。

2020年7月

個人面談の様子

次作の出荷量増大に向けカスミソウ個人面談実施

熊本地域の主要花きである宿根カスミソウは、近年、複数の新品種が導入される一方、出荷時期・切り花品質のバラツキが問題となっています。特に需要期である年末での高品質切り花の不足が問題となっています。
農業普及・振興課では、産地内の作型や品種構成、生産上の問題を明らかにし、増収に向け課題を解決するため、JA・宇城普及と連携し生産者への個人面談を実施しました。
面談はJA熊本うき花倶楽部カスミソウ生産者全戸(28戸)を対象とし、昨年産の反省点と今年産の作付け計画に対する助言・指導を行いました。その結果、品種に対する不適切な栽培管理や病害虫の発生による減収など個々の様々な課題が浮き彫りとなりました。面談結果を基に個別シートを作成、関係機関と共有し、課題解決に向けた個別指導を行っています。
当課では、引き続きカスミソウの出荷量増大に向けた支援を行っていきます。

2020年7月

摘果モデル樹設置で連年安定生産を目指す

JA鹿本デコポン専門部では、ヒリュウ台「肥の豊」の早期加温栽培園(10園地)において、摘果を行う際の目安となる適正着果量のモデル樹作成を行いました。
JA鹿本デコポン専門部(全33戸うち植木地区21戸)は積極的に加温栽培ヒリュウ台「肥の豊」の導入を進めており、現在、多くの園で成木初期の段階にあります。そこで、今年は連年安定生産が可能となる適正着果量を認知してもらうため、昨年は1園地で実証した適正着果量のモデル樹を、各園地ごとに設置しました。着果数を正確に把握するため、全ての果実に目印として洗濯ばさみをつけてカウントした後、樹の状態に応じて適正着果量を計算し、摘果を行いました。モデル樹を見た農家の方からは、「今までは多く残しすぎていた」「摘果を行う際の良い目安となる」といった声がありました。
農業普及・振興課では仕上げ摘果まで、モデル樹を用いた摘果指導を行い、高品質デコポンの安定生産を支援していきます。

2020年7月

出荷査定会時の様子
スイカウイルス病発生株(退緑えそ病)

ウイルス(コロナ、退緑えそ病)に負けない産地へ

JA熊本市北部園芸部会では生産者160戸、面積108haで大玉スイカの栽培が行われています。3月下旬から6月末まで出荷が行われました。今年度は新型コロナウイルスにより、小売店での試食販売会の自粛や外食需要の低迷により販売に大きな影響を受けました。5月上旬までの単価は前年と比較し、2割程低下しました。JA熊本市では、注文販売などの直販に取り組み、販売促進を図りました。その後は、気温上昇とともに需要増加に転じ、前年を上回る単価で推移しました。
農業普及・振興課では、所得減少に対応したコロナウイルス関連事業の支援や産地の課題であるウリ類のウイルス病対策指導に取り組んでいます。春のウイルス病発生調査では、前年と比べ発生ほ場が増加傾向にありました。今一度対策意識の強化を図り良品質・安定生産に向けて支援を行っていきます。

2020年6月

苗木管理研修会の様子
苗木ほ場の様子

「させぼ温州」の生産量増大を目指して!

JA熊本市柑橘部会では、ミカンの最需要期となる12月に出荷する中生温州「させぼ温州」の増産に取り組み、生産量は年々増加しています。市場からの需要は高く、さらなる生産拡大が必要です。一方で、本品種は樹冠が拡大しにくく、安定して着果するまでに5年以上要します。そこで、生産を加速化させるため、未結果期間を短縮できる大苗育苗の取り組みを始めました。
令和2年5月20日に、新梢管理研修会が開催されました。苗木の枝梢管理は、栽培の基本であり重要な技術です。当日は講師を生産プロジェクト員(注1)が務め、青年部とともに女性も参加し、約40人が熱心に学びました。
農業普及・振興課では、講習会などの活動を通して生産量増大に向けた支援を行っていきます。
(注1)生産プロジェクト:JA熊本市柑橘部会生産技術部に属し、各地区の若手農業者の代表12名で構成。部会の技術検討を行っている。

2020年5月

オンライン会議での定例会の様子

コロナに負けるな!熊本市4Hクラブ始動!

熊本市4Hクラブでは、例年4月上旬に新規クラブ員との顔合わせを兼ねた総会が行われます。しかし、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、4月3日~10日にかけて「LINE」を活用したグループライン議決を行いました。集まれない中でも、4HクラブのグループLINEにて、22名の4Hクラブ員全員をLINEでグループ登録し、総会議案をLINEで配信して全員から承認を得て、今年度の活動が新たにスタートしました。
また、第1回定例会では、4月23日にオンライン会議システムの「meeting plaza」を活用し、新規クラブ員や新たに担当する普及員の顔合わせ及び令和2年度の活動計画の検討を行いました。熊本市は地区が広いため、定例会を開催してもこれまで全員が集まることはなかなかありませんでしたが、今回、オンライン会議を開催したところ、足を運びにくかったクラブ員も参加が可能となり、一堂に会することとなりました。活動計画の検討では、新規クラブ員との交流を兼ねた名刺コンテストの開催や若い世代に農業の魅力を伝え、後継者確保や雇用増加に繋げることを目的とした「熊本県立熊本農業高校生との意見交換会」、「異業種交流会」といった活動に取組んでいくなど、前年度の反省を踏まえ、さらに活動が発展するように意見を出し合いました。
今後も農業普及・振興課では、新型コロナウイルス感染拡大防止やクラブ員同士の活発な交流を促進するため、オンライン会議システムやLINEなどのICTも積極的に活用して、クラブ員の活動を更に支援していきます。

2020年5月

生産プロジェクト員による実演

温州みかんの隔年結果是正への取り組み

本年産の温州みかんは全体的に花が多く新梢がやや少ない状態となっており、豊作年・不作年を繰り返す隔年結果の懸念が強まっています。特に「青島温州」など普通温州でその傾向が強く、早期に新たな芽を出す対策が必要となったことから、令和2年5月1日にJA熊本市柑橘部会主催による隔年結果是正対策の現地検討会が開催されました。
当日は部会員100名の参加のもと、部会の生産プロジェクト員を講師として摘果剤の散布方法の実演が行われました。この現地検討会を通して、摘果剤の効果的な散布方法や予備枝づくり等についての認識が高まったようです。実際、多くの生産者から摘果剤(ターム水溶剤)の注文があっており、それぞれの生産者で隔年結果是正のための取り組みを実践していくことで、産地として毎年安定した生産量の確保に繋がっていくことが期待されます。
農業普及・振興課では、更なる技術の実践を後押しするため、今後も実証展示ほにおける調査及び講習会等、現地での活動をとおして隔年結果是正対策の確実な実践に向けて支援を行っていきます。

2020年4月

葉色診断の様子

葉色診断でパン用小麦の品質向上

熊本市東区の供合地区と秋津地区では、パン用小麦「ミナミノカオリ」のタンパク質含有量を上げるため、葉色診断に基づく施肥を徹底しています。これは、品質を重視する実需者からの要請を受けて平成26年から実施しているもので、ほ場毎に出穂した小麦の第2葉を準備し、葉色値(SPAD)と葉身長を測定した結果から施肥基準表を用いて適切な追肥量を算出するものです。
今作は、暖冬もあり、例年より10日早く出穂期を迎えたため、供合地区は3月30日、秋津地区は4月3日にそれぞれ葉色診断会を開催しました。参加農家には施用量と併せて、赤カビ病防除を指導しました。今後も良質なパン用小麦の生産が進むよう、関係機関と連携して指導を行っていきます。

2020年4月

カキのジョイント栽培の様子(樹高約160cm)
接ぎ木の様子

カキ「太秋」ジョイント栽培の接ぎ木検討会を実施!

食味が良好で消費者人気の高い品種である「太秋」の栽培が、JA鹿本カキ部会植木支部(部会員23名、面積6ha)で行われています。しかし、生産者の高齢化や労力不足の問題が進んでおり、摘蕾、摘果、袋掛けなどの管理作業が難しくなっています。また、カキは改植後の成園化が10年近くかかるため改植が進んでいないという現状もあります。これらの解決策として、近年、ジョイント栽培の導入が進んでいます。この栽培は苗木の時期に主枝部先端を連続的に隣の主枝部へ接ぎ木し連結させます。低い樹高で直線的な樹形をつくり、早期成園化も可能です。3月26日にこの接ぎ木検討会が行われました。
この栽培は低樹高仕立てによる作業の省力化と、成園化が約4年に短縮できることで導入が進みつつあります。ただし、接木部の活着が悪いと、樹形が乱れ、着果が安定しないといった問題点があります。そこで今回、JAと普及の若手技術員があつまり、接ぎ方のポイントを、2~3人1組となり実際に接ぎ木を行いながら確認しました。
農業普及・振興課では引き続き、ジョイント栽培について調査・検討を行い、さらなる栽培技術の促進に向けて支援を行っていきます。

2020年2月

「PC筑陽」現地検討会

JA熊本市茄子部会「PC筑陽」で順調出荷!

JA熊本市茄子部会では164戸の農家が76haでナスを栽培しています。昨年は、単為結果性品種「PC筑陽」の品種割合が2割程度でしたが、今年は全体の8割を超えて主力品種となっています。
当部会では、ナス栽培における天敵利用率が7割を超え、耐候性ハウスの割合も半分を超え、CO2施用率も8割程度となるなど高度な施設装備による環境制御技術を駆使して、安全安心かつ効率的な生産が行われています。
本年産は、秋以降天候が良く生育が早いため、順調に出荷が進んでいます。現在は、単価も昨年に比べ高く推移しており、6月までの長期出荷に向けて、今後、期待ができる作柄になっています。
農業普及・振興課では、引き続き関係機関とともに品種に合わせた栽培管理指導を行っていきます。

2020年1月

写真1 現地検討会
写真2 まだら果 ・写真3 LINEによる栽培指導

JA熊本市白浜苺部会、年内収量、秀品率ともに向上!

JA熊本市白浜苺部会は、部会員数17戸、栽培面積6.3haで、「ゆうべに」(3.3ha)を中心とした部会です。
農業普及・振興課として今作では、これまで収量の向上と「ゆうべに」のまだら果(注1)発生抑制に向けた活動を重点的に行ってきました。
令和元年産では、関係機関(JA熊本市、農業革新支援センター、農業研究センター等)とともに栽培講習会や現地検討会、まだら果発生抑制展示ほによる実証、全戸巡回やLINEを用いた適期栽培指導等を行いました。
結果、前年よりも年内の収量と秀品率の向上が見られました。農家からもまだら果等の発生が少なくなり良かった。」や「収量が増加して嬉しい。」などの声をいただきました。
当課では、これからも「ゆうべに」を中心とした、熊本市のイチゴ産地育成に努めてまいります。
(注1) まだら果(カルシウム不足で起こる障害果)

2020年1月

アリウム(グリーンベリー)
現地検討会の様子

JA熊本市西部花き部会アリウム出荷開始

熊本市は全国有数のアリウム産地で、中心品種の「丹頂」は2月から6月まで出荷されていますが、特に4月から5月に出荷が集中するため、単価の下落や出荷作業の集中などが問題となっていました。
一方で1月から2月は全国的にもアリアムの出荷が少なく高単価が見込まれることから、その時期に出荷を行えば単価が安く出荷作業が集中する4・5月の出荷割合も減り経営の安定化が図られます。
そのため、これまで農業普及・振興課では球根冷蔵や電照・加温等を活用した1月から2月の早期出荷に取り組んできました。
本年は生産者ごとに栽培管理と出荷状況の分析を行い、問題点の把握と改善計画を作成し、また巡回や現地検討会などを通じて管理状況の確認を行いました。その結果、順調に生育が進み、前年より2週間早い1月8日からアリウム(グリーンベリー)の出荷が開始されました。
今後もJAなど関係機関と連携を図り、高品質なアリウムの安定生産に向けて取り組んでいきます。

2020年1月

交流会の様子

4Hクラブ員と農業高校生の交流会

熊本市4HCは、10月23、24日の2日間、農業の魅力を若者に伝えていくため、熊本農業高校において生徒と交流会を開催しました。この活動は平成28年度から今回で4回目の開催となります。
前半は生徒とともに実習を行い、後半は「若手農業者と語る会」と題して6名のクラブ員と47名の2、3年生と意見交換を行いました。自己紹介や4HCの活動紹介の後、野菜や果樹など5分野に分かれ、少人数で意見交換を行いました。
生徒からは農業に対する不安などが投げかけられ、クラブ員は真剣な表情で自分の考えをアドバイスしていました。クラブ員自身も、高校生から刺激を受け、自らの農業について見つめ直す貴重な経験となりました。
今後も4HCの活動を支援し、農業高校とも連携して将来の新規就農者の確保に努めてまいります。

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