玉名エリア

玉名地域は荒尾市、玉名市、玉名郡を所管しています。熊本県の北西部に位置し、有明海に面した平坦水田地域、金峰山や小岱山の山麓地域及び北東部の中山間地域の3地域に大別され、本地域の中央を阿蘇外輪山を水源とする菊池川が南北に流れています。
主な経営品目としては、平坦水田地域を中心に施設野菜や米・麦・大豆等が、山麓地域では温州みかん・ナシ等の果樹が、中山間地域では畜産など多彩な農業生産活動が行われています。

このエリアに関するお問い合わせはこちら

県北広域本部 玉名地域振興局 農業普及・振興課

〒865-0016 玉名市岩崎1004-1

電話:0968-74-2136

FAX :0968-74-2194

玉名エリア普及現地情報

2025年4月

new
視察研修の様子
生産者説明会の様子

実需のニーズに対応!大麦「はるか二条」への全量切替えに向けて

近年、国産大麦の需要が高まっており、実需者のニーズに応じた品種の選定・生産体制の確立が求められています。現在、玉名管内では県の奨励品種である大麦「はるしずく」が約201ha作付されていますが、実需者側からは加工適性面で評価が高い「はるか二条」の生産が求められていました。
そこで、「はるか二条」の品種・品質特性を把握すべく、品種育成地である九州沖縄農業研究センター(筑後・久留米研究拠点)を視察したのち、生産者への説明会及び管内生産者ほ場の視察がJAたまな主催で開催されました。当課では講師との連絡調整や生産者説明会へ対応しました。
「はるか二条」は早生で倒伏しにくく、「はるしずく」に比べやや多収の品種です。管内で「はるか二条」を作付けして4年目となる生産者からは、作業性が良く収量も良い(R6年産「はるか二条」:512㎏/10a、R6年産管内「はるしずく」:393㎏/10a)との声もあり、JAたまなでは令和8年産大麦から全量切替えが決定しました。
一方、「はるしずく」に比べ、出穂前の低温で不稔になりやすい点や麦類の流通に影響する「赤かび病」の抵抗性がやや劣るなどの留意点があります。当課ではJAと協力し、品種特性に応じた栽培管理や病害虫防除の指導により、高品質で安定した大麦の生産を目指します。

2025年4月

new
トマトのチェックリスト
柑橘の対策周知資料

地域一丸となった温暖化対策の実践にむけて玉名地方温暖化対応プロジェクトチーム会議の開催

玉名地域では温暖化に対応し、農業生産を維持していくために、12月にJA、市町、共済、県で組織する温暖化対応プロジェクトチーム(以下、PTという)を設置し、活動しています。
3月4日には各部会の活動状況の報告及びPT全体としての今後の方針を確認するため、PT会議を開催しました。各部会から短期的と中長期的に整理した対策と、農家への周知の状況及び今後の実施計画について説明しました。
品目ごとの具体的対策として、短期では水稲の適期管理、トマトのほ場準備の改善や遮光資材の活用、ミカンの安定生産技術の実践等、また、中長期では水稲やナシの耐暑性品種の導入、施設整備等を検討しながら進めていくことを各部会から報告しました。
また、市町からは、情報が確実に農家に伝わるような情報提供の方法について意見が出され、協議した結果、水稲ではJA広報紙やホームページ等を活用して農家へ広く周知を図っていくこととしました。
PT全体で情報共有することで、対策についての認識が統一され、対策推進につながる有意義な会議となりました。今後は、対策を農家へ周知し、確実に実践してもらうため、各組織が一丸となって取り組んでいきます。

2025年4月

new
地下茎の堀り上げの様子
定植の様子

高品質のホオズキ生産を目指して 令和7年産の定植

玉名地域では、地域における農業生産の核となる地域営農法人の育成に力を入れています。その中でも中山間地の営農法人の経営安定を図るため、新規作物の導入を支援しており、和水町の板楠や小原地区では、令和元年からホオズキの生産に取り組んでいます。
2月10日に組合員6名が令和7年産の定植を行いました。ハウス2棟に2日前に堀り上げ消毒した地下茎を丁寧に定植していきました。ホオズキ導入当初は、すべての作業が初めてで試行錯誤ばかりでしたが、7作目の今年は、準備から作業の段取りまで、効率よく、役割分担して進めることができました。
令和6年産は、5月に入りに障害果が発生したため、改善策として11月にカットブレーカーを用いて土層改良を行いました。今後もCa剤の施用や適正な水管理等を指導し、令和6年産を上回る出荷率を目指します。そして、営農法人の経営安定につながるよう支援を継続します。

※ホオズキの定植:ホオズキは前作のホオから種子を採取し、セルトレイで幼苗まで育苗し、育苗床に定植する。この苗から地下茎を掘り上げ、地下茎を2芽程度に調整し、本圃に定植する。

2025年4月

new

玉名市横島地区の新たな特産品を目指して! ~若手生産者達による横島ダイコン産地化プロジェクト~

玉名市横島地区は、施設園芸の一大産地ですが、沿岸干拓地では2ha区画の大規模水田で冬季はキャベツ等の露地野菜が栽培されています。令和5年(2023年)の春に干拓地区の4Hクラブ員からダイコン栽培の相談がありました。誰も取り組んだことがないというシンプルな動機でしたが、県内でも事例の少ない5~6月出荷で、かつ転換畑でのダイコン作付けは、全国的にも北陸地方の一部での確認にとどまりました。加えて大規模ほ場でのマルチやトンネル等の資材を用いない完全露地栽培となるため、当課は注意すべき病害虫等の情報提供を行い、プロジェクト活動として伴走しました。
初年目は25アールの取り組みで出芽率が5割と低く、採れたダイコンも害虫被害による等級低下で収益は上がりませんでした。それでも、一部は1本2kgを超える立派なダイコンが取れたことから、4Hクラブ員が自ら知り合いの漬物業者に相談し、次のシーズンから漬物原料用に出荷できることになりました。2年目の令和6年産では仲間の4Hクラブ員2名が加わり面積が1.2haに拡大、人出を要した出荷調整作業を機械化したことで全ての経費を加えても黒字化に成功しました。この取り組みを地方のプロジェクト活動発表会で紹介したところ、審査員として来ていた青年農業士に波及し、令和7年産では4Hクラブ員4名と青年農業士8名が加わり、全体で5.5haに拡大して作付けが行われることとなりました。
当課では、引き続き4Hクラブ員及び青年農業士のプロジェクト活動として地域の新たな特産品の定着につながるように支援を継続して参ります。

2025年4月

new
研修会の様子
栗振興策の講演の様子

玉名地方農業振興同友会冬期研修会開催!

玉名地方農業振興同友会では、2月13日に山鹿市役所において冬期研修会を開催し、山鹿市の栗振興施策及び担い手対策に係る山鹿市担い手育成総合支援協議会とJAかもとの取り組みを研修しました。今回の研修会は、役員から山鹿市が独自に行っている栗振興施策を研修したいという要望があがったことから企画され、当日は会員10名、関係機関3名が参加しました。
最初に山鹿市役所農業振興課の北原審議員から「やまが和栗日本一プロジェクト事業」について、栗生産の歴史から栽培・生産の現況、ブランド化に向けてのやまが和栗振興協議会設立や11月に鹿北町で開催された全国モンブラン大会実施に至る経緯等の説明を受けました。その取り組みは大変興味深く、参加者からは次々に質問が寄せられ、会員の関心の高さが伺えました。
また、担い手対策関連の講演でも同様に活発な質疑応答が行われ、もっと多くの会員に聞いてほしかった。という声があがっていました。
当課では、今後も同友会員の経営発展に繋がる活動を支援していきます。

2025年4月

new
全体研修会状況
品目毎研修会状況

新規就農者を対象とした第3回新規就農者研修会の開催

玉名地域の新規就農者(就農後5年未満)を対象に、今後とも営農を継続し、安定的な農業経営の確立に資するとともに、早期の栽培技術の習得や経営の更なる改善を図るために、本年度は10月と11月に2回の新規就農者研修会を実施してきました。
今回の第3回新規就農者研修会では、先導農家の経営内容を少しでも今後の経営の参考にしていただくために、農業コンクール大会のコンペ部門に参加された3名の農業者による事例発表を行いました。また、日ごろから新規就農者が、気軽に相談できる体制を整えるため、部門別(野菜・果樹・水稲)に分かれて指導農業士等の先導農家との意見交換会を開催しました。
当日は14名の新規就農者が参加し、事例発表では、施設園芸・果樹・有機栽培+直売と幅広い経営の中で、参加者の今後の経営の参考となる発表であり、参加者からは活発な質問が飛び交い、新規就農者が今後の経営を考える一助になったと感じました。
また、各部門別に分かれた意見交換会では、新規就農者からの質問等に対して先導農家から的確な助言をいただき、安心して、いつでも相談できる雰囲気作りができたと感じました。
次年度も、引き続き研修会や巡回指導を通じて、新規就農者の経営改善に向けた支援強化を行うことにしています。

2025年3月

new
研修会の内容

荒尾梨を未来につなぐために 全体研修会

荒尾地域はナシの産地で、特に「新高」は「荒尾梨」という特産品として広く認知されています。しかし、近年は、温暖化に起因する生理障害の発生が頻発し、それに伴い生産者数も減少の一途をたどっています。特に令和6年産は「新高」でミツ症の発生が甚大で、農家経営を圧迫する深刻な課題となっています。
安定生産等により経営安定を図り、産地を維持するため、JAたまな、JAたまな荒尾梨部会、荒尾市、当課が共催で、1月23日に荒尾梨全体研修会を開催し、生産者約20名が出席しました。
まずは、JAたまなから「あきづき」のブランド化、荒尾市から事業継承の推進について説明があった後、当課から生産対策と今後の経営の考え方について説明をしました。ミツ症の発生については、気温から算定した成熟日数が10年前と比較し10日以上早くなっていることを踏まえ、すぐにできる対策(適期収穫、せん定・枝づくりの改善)、数年で実施する対策(かん水施設の整備、遮光ネットの整備)、そして「今やらなければならない対策」(品種更新)について、令和7年産は必ず一つは対策を実施することを強調しました。意見交換では品種更新や新たな品種の販売環境について、真剣に考える声が聞かれました。
荒尾梨は、令和9年で導入から120年を迎えます。この歴史ある産地を未来につなぐため、対策を実行し、経営を安定させることが急務です。生産者一人一人が考え、実行できるよう関係機関と連携し、支援、指導に力を入れていきます。

2025年3月

new
選果状況
「ゆうばれ」

「熊本EC12」の取組み

玉名地域では、柑橘振興の一役を担う品種として「熊本EC12」が導入されています。
令和6年産の試験販売を経て本格出荷を迎えた令和7年産は、2名の生産者から約6tの出荷があり、1月7日と10日にJAたまな中央みかん選果場で選果が行われました。「熊本EC12」は果皮が弱いため、一つ一つトレーに乗せ、センサーで糖酸を測定し、丁寧に箱詰めされました。出荷された果実は、外観、内容とも良好で、基準をクリアした果実は「ゆうばれ」という商標で、主に東京や仙台に出荷されました。一部は、今年初めての取組みとなる台湾へ輸出されました。台湾は農薬検疫が厳しいため、生産段階で農薬の使用について、JAと連携し指導を徹底しました。
「熊本EC12」は、玉名地域では栽培の経験がまだ浅いため、生育特性や果実品質を把握し、販売方針を見極めながら、玉名地域での振興方針を検討していきます。

2025年3月

new
新規就農者ヒアリング
作物担当による指導状況

新規就農者の経営安定に向けた下期巡回指導の実施

玉名地域の新規就農者は、新規学卒就農をはじめ、Uターン就農や新規参入と就農する形態も多様である中で、年齢層も20代から40代後半と幅広く、栽培作物や目指す経営の姿も多様化しています。
そのような中、新規就農者に対して技術の習得をはじめ、規模拡大等の支援のため、上期に引き続き下期においても巡回指導を実施しました。
巡回指導は、作物担当をはじめ、市町や農協等の関係機関と連携し、上期の巡回指導農家に加え、新たに12名の新規就農者を加えた39名に対して、11月から1月にかけて実施しました。併せて継続的な支援が実施できるように指導事項を記載した「新規就農者カード」の作成・更新を行い、その結果は各市町担当者にも情報共有し、今後の支援に役立てていただいています。
今回の巡回指導では、全般的に農業経営が順調の中でも、夏から秋口にかけての高温の影響により、大変苦労されている状況が伺えました。
次年度においては、引き続き就農5年未満の新規就農者に対して、関係機関一体となった巡回指導を実施することで、関係機関と情報共有を図り、新規就農者の経営改善に向けた支援強化を行うことにしています。

2025年2月

検討会の様子

青年部で荒尾梨の将来を守ろう 省力樹形(JVトレリス)等検討会

荒尾梨部会青年部は現在12名が在籍し、ともに技術研鑽、情報交換等を行っています。農家数が減少する中、産地を維持するためには、生産性の向上が重要です。その一環として、昨年、青年部の2名がJVトレリス仕立てを導入しました。今年、初めてのせん定となるため、12月23日にせん定検討会を行いました。導入した2ほ場で、枝の残し方や切り方等意見を出し合いながらせん定しました。その後、ベテラン農家のほ場で3本主枝樹形の苗木の仕立て方を勉強しました。普段は、他の農家のほ場を見たり、話しを聞く機会は少ないため、ベテラン農家の考え方や工夫を聞き、青年部は自分の失敗や上手くできなかったことなどを熱心に質問していました。
荒尾地域のナシ生産については、生産者数、栽培面積ともに減少の一途をたどっています。人数は少ないながらナシ栽培を引き継いでいる青年部は荒尾梨産地を守る重要な存在であり、当課としても関係機関一体となって組織活動を支援していきます。

2025年2月

温州ミカンの日焼け果
PT設置会議

温暖化における農業生産を考える玉名地方温暖化対応プロジェクトチームの設置

令和6年産の玉名地域の農業生産は、夏季の高温や少雨、冬季の低温不足に起因する生理障害の発生や生育ステージの変化により、各品目で生産量の減少及び品質の低下が問題となりました。特にイチゴの花芽分化遅れ、ミカンの日焼け果・裂果やナシのミツ症、水稲の白未熟粒米の発生は、農業経営に大きな影響を与えました。
今後も温暖化が進展すると想定され、現状のままでは農業経営が不安定になるばかりではなく、農業自体の継続が懸念されます。そこで、温暖化に適応し、玉名地域の農業生産の維持に向けて、プロジェクトチーム(以下、PT)を設置し、12月13日に会議を開催しました。PTは、玉名地方農業普及指導協議会の下部組織に位置付け、農業団体、市町、県に加えて、農業共済組合玉名支所の参画を得て発足しました。全体会議後、農産、野菜、果樹の3作業部会に分かれ、今年産の状況と気象要因分析、これまで実施してきた対策の検証等を検討しました。
今後は、各部会で検討を重ね、2月中旬には生産者へ短期的対策の提示をする予定です。温暖化を乗り越え、安定した農業生産が継続できるよう、玉名地域関係機関一丸となって実効性の高い対策の実践に取組んでいきます。

2025年2月

JAさがイチゴパックセンターの視察
佐賀県農業試験研究センターの視察

農業普及指導協議会野菜技術部会先進地視察研修の開催! ~JAさがいちごパックセンタ・佐賀県農業試験研究センタ~

玉名地方農業普及指導協議会野菜部会(野菜振興協会玉名支部)では、関係機関の野菜担当者の連携強化や資質向上等を目的に現地検討会、講演会、展示ほ調査等を行っています。その一環で、令和6年12月13日(金)に会員16名でJAさが白石イチゴパックセンターの稼働状況及び佐賀県農業試験研究センターでのイチゴ及びナス県育成品種の視察を行いました。
JAさが白石イチゴパックセンターでは、荷受け時にカメラが自動で選果・計量し、計測データからパックすべき果実がプロジェクターに表示され、パック詰めの時間と果実接触を減らしイチゴの傷みを最小化するスマート選果システムを視察しました。
佐賀県農業試験研究センターでは、県育成のナス品種「佐賀N4号」の基礎的栽培試験及びイチゴ品種「佐賀i9号」(商標名:いちごさん)の花芽早進化試験を視察しました。多収で果皮障害の少ない単為結果性ナス品種、良食味で多収な市場評価の高いイチゴ品種として両品種とも注目される一方、最適な耕種管理や年内収量の確保等の残された課題もあり、品種の強みを最大化すべく各種試験が行われていました。
参加者からは、「担当品目は違っても、スマート選果等参考になる点が多かった」、「花芽早進化等、今後の温暖化対策のヒントを得ることが出来た」等が聞かれました。
当部会では、今後も関係機関の野菜担当者のレベルアップと協力を通じた、足腰の強い野菜産地づくりを支援していきます。

もっと過去の普及現地情報についてはアーカイブで年を選択してください。

エリアカテゴリ