玉名エリア

玉名地域は荒尾市、玉名市、玉名郡を所管しています。熊本県の北西部に位置し、有明海に面した平坦水田地域、金峰山や小岱山の山麓地域及び北東部の中山間地域の3地域に大別され、本地域の中央を阿蘇外輪山を水源とする菊池川が南北に流れています。
主な経営品目としては、平坦水田地域を中心に施設野菜や米・麦・大豆等が、山麓地域では温州みかん・ナシ等の果樹が、中山間地域では畜産など多彩な農業生産活動が行われています。

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県北広域本部 玉名地域振興局 農業普及・振興課

〒865-0016 玉名市岩崎1004-1

電話:0968-74-2136

FAX :0968-74-2194

玉名エリア普及現地情報

2025年7月

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収穫期を迎えたハニーローザ 
新商品「ハニーローザあんぱん

ハニーローザの産地維持~生産と消費対策の両輪で

玉東町では、スモモ「ハニーローザ」が平成15年頃から導入され、玉東町、県、JA等で栽培指導や施設導入補助、消費者へPR活動等の支援を継続した結果、全国で唯一の産地となっています※。
現在、JAたまなの部会では11名の農家が約1haで栽培をしていますが、生産者の高齢化や労働力の確保困難により、栽培面積が年々減少しており、希少なハニーローザの産地を維持することが課題となっています。現状の生産者の収入安定が新たな担い手の確保につながると考え、様々な取組を展開しています。
一定数発生する規格外品をお金に換えるため、アイスやコンフィチュール等の加工品へ仕向けています。さらに今年は地元のパン店の協力を得て、新たな加工品が開発されました。さらに、生産状況や加工品の取組みについてテレビでのPR活動も展開、市場への計画出荷等により単価向上につなげています。生産面では、農業普及・振興課を中心に、気候の変動に起因する虫害の発生時期の変化に対応し、栽培基準の検討や晩霜対策の指導等に力を入れています。
導入から20年、様々な困難を乗り越えて確立された産地を今後も維持するために、生産者と関係機関が連携し、担い手確保等に取り組んでいきます。

※ 令和2年特産果樹生産動態等調査(農林水産省)令和2年が最新で、令和3年以降は調査対象外

2025年7月

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生産者への助言の様子
現地検討会の様子

トマト類の若手生産者を対象とした現地検討会を実施~これまでの栽培の振り返りと今後の管理について~

当課では重点普及課題で、トマト・ミニトマトを栽培する若手生産者を対象に、巡回指導や現地検討会、専門家による講演会等、栽培技術や経営力の向上にむけた支援をしています。
これまでの栽培の振り返りや今後の管理について検討するため、5月22日に専門家を招いて現地検討会を開催しました。
ミニトマトのほ場では、食味を優先したことで潅水量が足りず草勢が弱くなっていたため、食味は維持した上での春先以降の最適な潅水管理について助言を行いました。トマトのほ場では、株の萎れが見受けられたため、萎れ対策等、実際に作物を目にしながら最適な管理について解説があり、学びの多い現地検討会となりました。併せて、若手生産者間ではお互いの栽培管理等について情報交換が行われました。
今後は、巡回指導を行いながら、今年産の実績の評価や次年産の目標設定をする等、若手生産者の資質向上にむけた支援を継続してまいります。

2025年7月

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大豆播種前堆肥散布6/2
土壌分析予定8ほ場(緑色)

地域営農法人における大豆の収量向上に向けた取組みの継続

玉名市岱明町の「農事組合法人 野口」では、基盤整備された約100haのほ場で、米・麦・大豆のブロックローテーションに取り組んでいます。しかし、近年、当法人の大豆収量が減少傾向だったことから、農業普及・振興課の指導により、地力を回復し大豆収量を向上させる取組を3年前から実施しています。
初年度に2ほ場で実施した土壌分析及び収量調査では、堆肥施用と石灰散布の有無が大豆の収量に影響していることが判明しました。次年度は調査対象を19ほ場に拡大して土壌分析を行い、土壌養分動態が大豆の収量に及ぼす影響について組合員に説明したところ、堆肥及び石灰の重要性について理解が進み、土づくりの機運が高まりました。
今年度も引き続き大豆栽培ほ場の土壌分析及び生育調査を実施するとともに、大豆播種前堆肥施用及び石灰散布を推進しています。今年は晴れの合間(5月31日~6月2日)の3日間で、目標の17.8haに堆肥施用が効率的に実施できました。
当課では、今後も土壌養分の経時変化を調査すると共に、当法人に対して堆肥や石灰の適正施用量等について指導し、大豆の収量を向上させる取組を継続していきます。

2025年6月

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現地指導の状況
管理チェックシート(4月用)

若手トマト類生産者の現地巡回指導を実施~栽培管理チェックシートを活用した巡回指導~

当課では重点普及課題で、地域のトマト、ミニトマトの将来を担う青年農業士や4HC員(若手トマト類生産者)の経営力アップを支援しています。 
その一環で、令和7年4月11日に、今年度最初の巡回指導を行いました。
巡回した6名の対象者は、概ね順調な生育でしたが、春季の変則的な気象への対応と増量期が重なり、一部の施設では、管理の遅れや病害の発生が散見されました。
当課では、生産者ごとに個別チェックシートを用いて、栽培管理の要点確認と指導を行ってきており、巡回後にはチェックした結果をフィードバックしています。今回もチェックシートを確認した若手生産者からは、「遮熱用の被覆資材の展張を急ぎたい」とか「気温上昇にあわせて潅水量を増やしていきたい」といった声が聞かれ、暖候期にむけた栽培管理の改善が期待されました。
来月には、施設環境制御技術の専門家を招聘し、全員でお互いの生育状況を視察し合う合同現地検討会を行い、栽培の終了後には振り返りの個別面談を予定しています。   
今シーズンが終わった時に、若手生産者が自身の変化を実感できる様に、引き続き伴走支援していきます。

2025年6月

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葉色測定会の様子
開花期を迎えた「ミナミノカオリ」

“プレミアムT”が“プレミアム”であるために~高品質「ミナミノカオリ」生産への取組み~

小麦「ミナミノカオリ」の県内有数の産地である玉名地域では、パン加工適性が高いとされるタンパク質含有率12.5%以上の小麦を仕分けして集・出荷しており、これを原料とする小麦粉は「プレミアムT」(製造販売:熊本製粉(株))というブランド名で販売されています。
JAたまなと当課は、そのブランド力を高位に維持するため、取組みに参加する農家を対象に、タンパク質含有率の向上に重要な「実(み)肥(ごえ)」の施肥診断会を穂ばらみ期に実施しています。具体的には、各生産者がほ場ごとに採取したサンプルの第2葉の葉色と長さから適正施肥量を診断し、生産者に周知する方法をとっています。今年は4月4日~8日に診断会を実施し、各生産者の施肥の適正化につなげました。
さらに、赤かび病罹病粒やカビ毒(DON)汚染を防ぐために防除を徹底する必要性と、本年産麦が播種期の天候不順や冬季の低温の影響で生育進度にほ場差が生じており、赤かび病防除時期の判断に注意が必要となっている点を生産者に周知しました。
当課では、今後も関係機関と連携しながら、高品質小麦の生産振興に取り組んでいきます。
※「プレミアムT」のTは“Tamana”、“Tasty”、“Traditional”の3つの意味

2025年6月

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令和7年度新役員からの挨拶の様子
玉名4Hクラブ活動紹介の様子

玉名4Hクラブ、新体制にて令和7年度活動開始!~令和7年度総会開催~

4月28日玉名地域振興局にて、玉名地方青年農業者クラブ連絡協議会(以下、玉名4Hクラブ)による令和7年度総会が開催されました。
今年度は4名の新規クラブ員を迎え、総勢19名でスタートしました。クラブ員の平均年齢は25歳と若いクラブ員が中心で構成されています。令和7年度の活動理念は、クラブ員が現状で停滞することなく、クラブ活動を通して少しでも成長し前に進めるように、との意味を込めて「前進」としております。昨年度の活動では、玉名管内を中心に地域イベントへの参加や視察研修、現地検討会等を実施しました。今年度は活動理念に則り、クラブ員一人一人が成長できるよう、玉名地域のみに留まらない幅広い活動を展開していきます。また、経営主のクラブ員も多く在籍していることから、それぞれの経営向上に繋げられるような勉強会といった活動も実施していく予定となっています。当課としてもクラブ員同士の関係性構築や資質向上に向けた活動を実施できるよう支援していきます。
また、玉名4Hクラブでは同年代のクラブ員が多いからこそ、今後の短期間での大規模なクラブ員の脱退が懸念されています。そのため、今後は新規クラブ員獲得に向けた勧誘やPR活動にも力を入れていきます。

2025年5月

管内全市町において地域計画を策定~計画の実践・検証・見直しに向けて~

農業経営基盤強化促進法等の一部改正により、これまで各市町において作成・実行してきた人・農地プランを法定化した「地域計画」を策定することが定められました。玉名地域においても各市町農地集積推進チームを編成し、関係機関の連携を強化して地域計画の策定を推進したところ、策定期限である令和7年3月末までに、2市4町で計38の地域計画が策定・公告されました。
今後は、地域計画の実践と併せて、より完成度の高い地域計画となるよう検証および見直しを行っていく必要があります。実務については、引き続き市町農地集積推進チーム等を核として進められますが、計画実践にかかる地域ごとの進捗情報の集約や情報交換を行うための「荒尾玉名地域農地集積推進チーム連携会議」設置に向けた担当者会議を令和7年3月3日に開催し、その後書面決議により、3月24日付で設置しました。市町担当者からは、「協議の場で農地交換の話合いが進んだ」との報告があった一方、補助事業関連に対する不安、目標地図修正等に要する負担の増加などの意見が多く出ました。
当課では、国の施策に関する情報を把握するとともに地域計画の優良事例を収集し、市町へ情報共有することで、地域計画の実践・検証・見直しを支援していきます。

2025年5月

イチゴ高設栽培視察の状況
トマト類視察状況

担当品目や地域を超えた野菜技術員の現地検討会を開催 ~野菜技術員の技術継承とネットワークの醸成を促進~

玉名地方農業普及指導協議会(一社)熊本県野菜振興協会玉名支部)では令和7年3月14日に管内の野菜担当営農指導員を対象に、玉名市のイチゴ、ミニトマト、トマトの先進生産者を会場とした現地検討会を行い、2つのJAから18名の営農指導員等の参加がありました。
野菜部会では、これまでも指導員の資質向上等を目的とした品目別現地検討会を開催してきましたが、JAの要望を受け平成31年以来初めて、JA、品目、地域を超えた検討会を開催しました。営農指導現場では人手不足、ベテラン不足が顕在化しており、地域を超えた指導員のネットワーク醸成による指導体制の強化も狙っての開催でした。
当日は、農業コンクール表彰のイチゴ生産者とトマト及びミニトマト部会長の3か所の施設で、担当営農指導員が現地説明を行い、園主を交えて情報交換を行いました。現場では、経験豊富なベテラン職員が若手職員に生育や管理状況を解説する姿も見られ、少しずつ技術継承がなされていました。参加した営農指導員からは、「日頃接することの少ない品目でも、施設の遮熱資材や換気等大変参考になった」との声や「いつもはライバルだがオール玉名で産地のために切磋琢磨したい」の声が聞かれました。
当課では、関係機関と協力して管内野菜技術者のレベルとモチベーションの向上を支援していきます。

2025年4月

視察研修の様子
生産者説明会の様子

実需のニーズに対応!大麦「はるか二条」への全量切替えに向けて

近年、国産大麦の需要が高まっており、実需者のニーズに応じた品種の選定・生産体制の確立が求められています。現在、玉名管内では県の奨励品種である大麦「はるしずく」が約201ha作付されていますが、実需者側からは加工適性面で評価が高い「はるか二条」の生産が求められていました。
そこで、「はるか二条」の品種・品質特性を把握すべく、品種育成地である九州沖縄農業研究センター(筑後・久留米研究拠点)を視察したのち、生産者への説明会及び管内生産者ほ場の視察がJAたまな主催で開催されました。当課では講師との連絡調整や生産者説明会へ対応しました。
「はるか二条」は早生で倒伏しにくく、「はるしずく」に比べやや多収の品種です。管内で「はるか二条」を作付けして4年目となる生産者からは、作業性が良く収量も良い(R6年産「はるか二条」:512㎏/10a、R6年産管内「はるしずく」:393㎏/10a)との声もあり、JAたまなでは令和8年産大麦から全量切替えが決定しました。
一方、「はるしずく」に比べ、出穂前の低温で不稔になりやすい点や麦類の流通に影響する「赤かび病」の抵抗性がやや劣るなどの留意点があります。当課ではJAと協力し、品種特性に応じた栽培管理や病害虫防除の指導により、高品質で安定した大麦の生産を目指します。

2025年4月

トマトのチェックリスト
柑橘の対策周知資料

地域一丸となった温暖化対策の実践にむけて玉名地方温暖化対応プロジェクトチーム会議の開催

玉名地域では温暖化に対応し、農業生産を維持していくために、12月にJA、市町、共済、県で組織する温暖化対応プロジェクトチーム(以下、PTという)を設置し、活動しています。
3月4日には各部会の活動状況の報告及びPT全体としての今後の方針を確認するため、PT会議を開催しました。各部会から短期的と中長期的に整理した対策と、農家への周知の状況及び今後の実施計画について説明しました。
品目ごとの具体的対策として、短期では水稲の適期管理、トマトのほ場準備の改善や遮光資材の活用、ミカンの安定生産技術の実践等、また、中長期では水稲やナシの耐暑性品種の導入、施設整備等を検討しながら進めていくことを各部会から報告しました。
また、市町からは、情報が確実に農家に伝わるような情報提供の方法について意見が出され、協議した結果、水稲ではJA広報紙やホームページ等を活用して農家へ広く周知を図っていくこととしました。
PT全体で情報共有することで、対策についての認識が統一され、対策推進につながる有意義な会議となりました。今後は、対策を農家へ周知し、確実に実践してもらうため、各組織が一丸となって取り組んでいきます。

2025年4月

地下茎の堀り上げの様子
定植の様子

高品質のホオズキ生産を目指して 令和7年産の定植

玉名地域では、地域における農業生産の核となる地域営農法人の育成に力を入れています。その中でも中山間地の営農法人の経営安定を図るため、新規作物の導入を支援しており、和水町の板楠や小原地区では、令和元年からホオズキの生産に取り組んでいます。
2月10日に組合員6名が令和7年産の定植を行いました。ハウス2棟に2日前に堀り上げ消毒した地下茎を丁寧に定植していきました。ホオズキ導入当初は、すべての作業が初めてで試行錯誤ばかりでしたが、7作目の今年は、準備から作業の段取りまで、効率よく、役割分担して進めることができました。
令和6年産は、5月に入りに障害果が発生したため、改善策として11月にカットブレーカーを用いて土層改良を行いました。今後もCa剤の施用や適正な水管理等を指導し、令和6年産を上回る出荷率を目指します。そして、営農法人の経営安定につながるよう支援を継続します。

※ホオズキの定植:ホオズキは前作のホオから種子を採取し、セルトレイで幼苗まで育苗し、育苗床に定植する。この苗から地下茎を掘り上げ、地下茎を2芽程度に調整し、本圃に定植する。

2025年4月

玉名市横島地区の新たな特産品を目指して! ~若手生産者達による横島ダイコン産地化プロジェクト~

玉名市横島地区は、施設園芸の一大産地ですが、沿岸干拓地では2ha区画の大規模水田で冬季はキャベツ等の露地野菜が栽培されています。令和5年(2023年)の春に干拓地区の4Hクラブ員からダイコン栽培の相談がありました。誰も取り組んだことがないというシンプルな動機でしたが、県内でも事例の少ない5~6月出荷で、かつ転換畑でのダイコン作付けは、全国的にも北陸地方の一部での確認にとどまりました。加えて大規模ほ場でのマルチやトンネル等の資材を用いない完全露地栽培となるため、当課は注意すべき病害虫等の情報提供を行い、プロジェクト活動として伴走しました。
初年目は25アールの取り組みで出芽率が5割と低く、採れたダイコンも害虫被害による等級低下で収益は上がりませんでした。それでも、一部は1本2kgを超える立派なダイコンが取れたことから、4Hクラブ員が自ら知り合いの漬物業者に相談し、次のシーズンから漬物原料用に出荷できることになりました。2年目の令和6年産では仲間の4Hクラブ員2名が加わり面積が1.2haに拡大、人出を要した出荷調整作業を機械化したことで全ての経費を加えても黒字化に成功しました。この取り組みを地方のプロジェクト活動発表会で紹介したところ、審査員として来ていた青年農業士に波及し、令和7年産では4Hクラブ員4名と青年農業士8名が加わり、全体で5.5haに拡大して作付けが行われることとなりました。
当課では、引き続き4Hクラブ員及び青年農業士のプロジェクト活動として地域の新たな特産品の定着につながるように支援を継続して参ります。

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