2023年のエリア普及現地情報

2023年12月

耕蜂連携開始~持続可能な中山間農業へ向けて~

和水町平野地区では16年前から緑肥作物として水田裏作にレンゲを播種し地力増進に努めています。しかし、近年、種子代が高騰しているため、十分な播種量を購入できない状態でした。そこで、県内の養蜂家と連携し、播種量の半分となるレンゲ種子を養蜂家から提供してもらい、レンゲ開花後採蜜場として提供することで、耕種農家と養蜂家両者にメリットがある「耕蜂連携」の取組みを行うことになりました。地区水田全体での取組みであり約23haになります。10月上旬には稲刈りが行われ、耕起後の10月下旬、レンゲが播種されました。
また、今後高齢化が進んでも平野地区全体での取り組みが継続できるよう、播種作業の省力化を目的として20aのほ場にて水稲立毛ドローン播種試験を実施しました。播種は、稲刈り1週間前の9月29日、水稲立毛中にドローンによりレンゲ種子を播種しました。今後は、省力化にかかるデータ収集及び発芽・開花状況を確認し、来年度以降取組み可能な技術であるか検証していきます。
当課では、中山間地域における持続可能な農業経営の検討、また、地域営農組織等の取組み支援を継続していきます。

2023年12月

土着天敵放飼(害虫がいないことを確認中)
ハウス内のクレオメの様子

タバコカスミカメの活用によるトマト黄化葉巻病対策

玉名地域では、トマト・ミニトマト栽培において、トマト黄化葉巻病対策が大きな課題となっています。これまで様々な対策が行われてきましたが、トマト黄化葉巻病ウイルスを媒介するタバココナジラミへの農薬感受性低下が確認されたため、農薬だけに頼らない新たな防除方法の確立が必要とされています。
そこで、令和3年産からタバココナジラミの天敵であるタバコカスミカメを活用した防除技術の確立を目指し、関係機関と共に調査・検討を行っています。
令和4年産の調査では、「天敵の導入時期および回数」、「天敵温存植物であるクレオメの管理とハウス内の配置」などについて、調査を行い、これまでの2回放飼(10月、2月)ではなく1回放飼でも十分な防除効果が期待できることやハウス全体にクレオメを配置することで天敵による防除効果を高められることなどがわかりました。
令和5年産の調査では天敵の導入コストを低減するため、新たに土着天敵の活用を検討しており、9月29日に、7月から野外で確保に取り組んできたタバコカスミカメをハウス内に放飼したところです。10月中旬時点で昨年と変わらない状況が作れており、次年度以降の現地普及に向け、大きな足掛かりとなると期待しています。

2023年12月

火傷病についての説明会(荒尾・玉東)
火傷病についての説明会(荒尾・玉東)

産地を挙げた花粉確保で梨来季生産に万全を期す!!

本年9月7日、農林水産省主催のオンライン説明会が開催され、中国での火傷病※発生と、それに伴う中国産梨花粉の輸入停止の情報提供があり、来季の梨生産に必要な花粉が不足することが判明しました。
そこで、当課では翌9月8日、関係市町・JAたまな担当者と今後の対応について打合せを行い、9月12日、20日に、JAたまな梨部会役員等を参集し、在庫の輸入花粉は絶対に使用しないことを申し合わせるとともに、アンケートによる花粉使用の実態調査を行うことを決めました。
アンケートは、生産者146名から回答があり、回答の無かった生産者3名も補足の聞き取りを行い、23名で来季の花粉が不足することが分かりました。
次に、産地における具体的な花粉確保対策を検討するための材料集めとして、2回目のアンケートを行い、花粉が不足する生産者へ、花や枝、花粉の提供が可能か、開葯機などの所有状況や今後の導入希望などを調査しました。
この結果、当地域では、受粉樹を持つ生産者が不足する生産者へ花粉採取用の花・枝を提供することで、来季の花粉が賄えることが分かりました。このため、これから生産者間のマッチングを進め、来季の花粉を着実に確保することとしています。併せて、長期的な対策として、花粉採取用「新興」の新植や高接ぎの推進、花粉バンク設置の検討などを行っていきます。

2023年12月

覚書への署名
取り交わした覚書と一緒に

農業経営継承に係る覚書締結式の開催

10月18日(水)玉東町において、県下で2例目となる『農業経営継承に係る覚書締結式』が開催され、玉東町、くまもと農業経営継承支援センター(以下「支援センター」)、県の関係者が見守る中、移譲者(玉東町の果樹農家)と継承者(熊本市のご夫婦)が、「農業経営継承に関する覚書」にそれぞれ署名されました。
この経営継承については、昨年度、支援センターの公開データベースを見た継承者の相談から始まり、昨年度末から玉東町の協力を得ながら農業普及・振興課の就農支援と支援センターの経営継承支援の両輪で進めてきました。
新たに農業を始める場合、農地探しから栽培する作物に応じた施設機械等の装備のために多くの労力と費用が必要となります。しかし、経営継承では、既存農家の経営資産を有効活用することで初期投資が抑制でき、また、農地の荒廃防止による地域農業の維持発展にもつながります。
当課としては、今後も地域農業の担い手確保及び地域農業対策として、経営継承を支援していきます。

2023年11月

研修会風景
片平所長の講演風景

女性のためのインボイス制度研修会開催

玉名地方農業女性アドバイザーネットワーク(以降、ひまわりクラブ)では、9月21日に税理士法人未来税務会計事務所の片平和代所長を講師に迎え、女性のためのインボイス制度研修会を開催しました。今回の研修会は、会員からの要望に沿って企画されたもので、当日は会員14名、関係機関5名の参加のもと、講演が行われました。
講演の内容は、最初に前提知識として消費税の申告・計算方法の確認を行い、次にインボイス制度の概要、さらにインボイス制度導入に伴う農業者の留意すべき点を説明されました。そして、最後に経過措置としての3種類の緩和措置の紹介と事業者のタイプ別(本則課税・簡易課税・免税)に今後とるべき対応を示してもらいました。
講演終了後には片平所長への質疑応答が行われましたが、会員から多くの質問が寄せられ、終了予定時刻を30分近く超過するほどでした。ただ、まだまだ理解しきれていない部分もあるため、制度が運用されてしばらくしてから再度研修会に来ていただくようお願いして閉会となりました。
農業普及・振興課では、今後もひまわりクラブの円滑な運営を支援していきます。

2023年11月

トビイロウンカについて説明
ドローン操作実習の支援

北稜高校スマート農業「ドローン研修」の支援

9月15日(金)に玉名市にある県立北稜高校では、生徒へ農業の知識と技術の習得を図るため、水稲の害虫防除についての説明会やスマート農業の最先端技術の1つであるドローンの操作実習が開催されました。
当課からは、園芸課と造園課の1年生19人を対象に、水稲の主要害虫であるトビイロウンカの生態や防除方法についての説明及びドローン操作実習の支援を行いました。操作実習ではドローンの操作説明後、実際に生徒達が操作を行いました。
参加した生徒は初めての操作にも関わらず、上手に操作を行い、「もっと動かしたい」などの声も挙がり、興味を持って実習に取り組んでいました。
当課では今後も、農業高校や関係機関と情報共有を密にし、スマート農業に関心を持つ担い手や地域のリーダーとなりうる青年農業者の育成に取り組んでいきます。

2023年10月

収穫の様子
体験後の集合写真(8/19)

中山間農業モデル地区における農業体験受入れ

南関町米田地区は平成30年に中山間農業モデル地区指定を受け、高収益作物として露地ナス栽培(15a)を導入、法人経営((農)よなだ)の安定に繋げています。
中山間農業モデル地区に対する当課の指導は、技術や経営指導を中心としたものが主ですが、社会性を土台とし地域みんなが支えてくれる組織を育成していくことは継続性の面でとても重要です。今年度は未来へつなぐふるさと応援事業(農〇連携事業)に応募、地元の小学校と連携し2年生の総合学習としてナス収穫体験と夏休み期間中の親子での収穫体験を実施することとしました。
夏休み中の8月5日(土)、19日(土)に親子体験を開催したところ、地元小学校5、6年生の親子を中心に8組22名が収穫体験に参加しました。当日は朝7時に集合し、地区の方から収穫方法の説明を受けた後、非常に暑い中ではありましたが、適宜休憩を取りながら収穫作業を行いました。参加した子供たちからは「収穫するの楽しい!」との声が聞かれ、保護者からも「子供より収穫体験を楽しんだと思う」、「今後は様々な作業も体験してみたい」など今後法人への収穫体験以外の体験受入れに期待する声もありました。
当課では今後も地域に求められるニーズを把握し支援していきます。

2023年10月

原会長の挨拶風景
田原支店長の講演風景

農業振興同友会夏季研修会開催

玉名地方農業振興同友会では、8月10日に日本銀行熊本支店の田原謙一郎支店長を講師に迎え、夏季研修会を開催しました。今回の研修会は、同友会の原会長が熱心に企画から交渉まで進められ、実現しました。当日は会員22名(うち夫婦4組)、関係機関12名の参加のもと、「最近の経済動向と今後の展望」という演題で講演が行われました。
講演の内容としては、世界経済・日本経済の現状解説とそこからの先行き予測、物価の現状と先行き予測、そして日本銀行の金融政策の解説等を話され、経済の専門用語に目を白黒させながらも、時折混ざる農業関連の話や熊本の情報に参加者は聞き入っていました。講演終了後には、数名の会員から質問が寄せられ、その中の1つで「担い手確保と円安の影響」については、日本銀行が関与できる問題ではないがとの前置きの後、外国人労働力を含めた担い手の確保は難しくなるだろうと回答いただく等、研修会は大幅に時間を超過して終了しました。
田原支店長には研修会終了後の情報交換会にも参加いただき、会員との交流を深めた様子でした。
農業普及・振興課では、今後も同友会の円滑な運営を支援していきます。

2023年8月

生育状況の確認
栽培講習会の様子

水稲品種「くまさんの輝き」定着に向けた支援~中干し管理講習会~

中山間地域である和水町の板(いた)楠小原(くすこばる)集落営農組合では、今年度から水稲の主食用米品種「くまさんの輝き」の栽培に初めて取り組んでいます。「くまさんの輝き」は今まで同組合で栽培していた「ヒノヒカリ」と品種特性が異なるため、特性を把握してもらうためにも適正な栽培管理の指導が必要です。
そこで、中干し前の講習会を7月25日に行いました。講習会では実際にほ場で、現在の水稲の生育状況と水管理状況を確認し、適正な中干し、中干し後の水管理やトビイロウンカ等の病害虫防除について指導しました。生産者からは、中干しの程度や時期、具体的な水管理方法について多くの質問があり、品質の良い米づくりをしようという意欲が見受けられました。また、収穫時期前に適期刈取りの検討会や収量調査を実施しての今年度作の検討会をしたいという声もあがり、熱意を感じました。
今後も定期的な生育状況の確認を行う等、関係機関と情報共有を密にしながら、地域の実情に即した適正管理指導のもと、「くまさんの輝き」定着に向けて支援を行っていきます。

2023年8月

講演会の様子(有働講師)
講演会の様子(松野講師)

玉名地方品目別専門部会が盛大に開催!~「農業経営」「みどり新法の取組」について~

玉名地方農業普及指導協議会野菜部会((一社)熊本県野菜振興協会玉名支部)では7月7日、4年ぶりに生産者代表(トマト・ミニトマト・いちご・なす・すいか・瓜類の正副部会長)や市町・JA指導員など91名の参集の中で令和5年度の玉名地方品目別専門部会をホテルしらさぎで開催しました。
今回の専門部会は2つのテーマで、以下の講演を頂きました。
①「農業経営と中小企業経営の相違点と今後の農業の展望について」
中小企業診断士、くまもと農業経営相談専門員 有働雄一氏
②「みどりの食料システム戦略とはー環境負荷低減事業とくまもとグリーン農業の新たなマークについて」
県農業技術課みどりの農業推進班 松野参事
講演後の情報交換会では、講師の方に対して生産者から無料経営相談の要望など活発な意見が交わされ、また、新たな「くまもとグリーン農業のマーク」をいち早く生産者に周知することができました。
今後も、生産者やJAからの様々な要望を元に講演会等の企画を行い、更なる経営力アップによる生産者の所得向上のために引き続き支援をしていきます。

2023年8月

田植えの様子
南関町生活研究グループの田舎弁当

南関町まるごと田舎体験、継続的な取組みに新たな役割の追加

南関町まるごと田舎体験事業推進協議会では農業理解促進を目的とした田植え会や稲刈り会を実施しています。本年の皮切りとして6月25日、上長田地区のほ場で田植え会を実施し、県内外から19名の参加がありました。当協議会は平成5年度から30年間継続した活動を実施されており、参加者はリピーターも多く地域PRにも貢献しています。
当日は水着姿で田植えに挑む御家族もあり、子供たちは泥んこになりながら田植えを楽しんでいました。昼食には南関町生活研究グループによる地域食材を利用した田舎弁当が用意され、またお土産として南関あげやそうめん、町内で採れたお米や農産物が配布され、南関町をまるごと満喫できる内容となっていました。
今年度からは体験及びその周辺ほ場において、「田んぼダム」の取組みとなる専用排水桝(機能分離型)の整備やせき板が設置されています。今後「田んぼ」が持つ防災や減災への理解促進活動の地域拠点としての利用が期待されます。当課では、人を繋ぎ農業と農地を未来につなぐこれらの取組みに対して今後も継続的に支援していきます。

2023年8月

コナジラミ類の誘殺板の設置状況
診断キットによる保毒虫の検定 (発光しているのが保毒虫サンプル)

来シーズンのトマト黄化葉巻病の発生リスクの評価に着手~トマト黄化葉巻病ウイルス保毒虫のモニタリング調査開始~

玉名地域では6月26日より重要病害であるトマト黄化葉巻病のウイルス(TYLCV)を保毒したタバココナジラミの頭数調査を開始しました。
本調査は、JAの指導員と連携し管内2か所で誘殺板を用いてコナジラミ類を収集し、農業研究センターの協力のもとウイルス保毒虫の検定を行っています。
野外の保毒虫をモニタリングすることで、次作のトマト黄化葉巻病の発病リスクを評価できます。産地では、モニタリング調査の結果を引用して、ハウスの片付けの徹底や定植時の防除の啓発を行っています。
今回の調査でも一定数の保毒虫が確認され、早速、関係機関に啓発情報を提供しました。 今後、10月まで月2回のペースで野外の保毒虫調査を行い、 次作のトマト葉巻病発生の最小化につなげてまいります。

2023年8月

検討会の状況
検討したナスとトマトの耕種基準

玉名地域の果菜類の更なる生産性向上を目指して~玉名地方果菜類(トマト、ナス)耕種基準検討会の開催~

玉名地域では、毎年、主要品目(トマト類、イチゴ、ナス類)について、新たな課題への対応や新技術等を反映する目的で耕種基準と防除暦の見直しを行っています。今回も、関係機関職員に加え農業革新支援専門員を招聘し5月23日、5月31日及び6月6日にトマト、ミニトマト及び促成ナスの検討会を開催しました。
トマト、ミニトマトでは、窒素投入の節減を図る施肥基準への見直しや病害対策情報の充実を図った他、主要病害や現地の栽培管理の動向に関し意見交換を行いました。
また、ナスでは、課題となっている低温時期の草勢維持の方策に加えて、気温上昇期の果実品質低下防止に向けた技術を新たに盛り込んでいます。
今回の耕種基準検討会を通じ、関係機関職員と管理技術だけでなく、産地の重要課題と対応に係る共通認識の醸成につながったと感じています。
今後とも、果菜類の生産性の向上に向け、関係機関との連携を強化していきます。

2023年8月

中村柑橘部会長挨拶
坂西専技:種苗法改正について

隔年結果の是正、高品質果実生産対策を!

令和4年産JAたまなの柑橘の販売数量は9,842tで、令和3年産の販売量13,319tの約74%であり裏年となりました。
令和5年産の温州みかんは表年になることが予想されるため、JAたまな柑橘部会では、生産対策の周知徹底のため、6月7日にJAたまな中央みかん選果場にて、全体集会を開催しました。
全体集会では、令和5年産の生育状況の説明の後、本年産の重点対策として、①隔年結果是正対策(令和6年産が裏年にならない)のため、着果過多樹の内・裾の摘果の徹底を早急に行うことや早生以降の新梢が少ない樹の翌年の結果母枝確保として、樹冠表層の枝別摘果(新梢発生部周辺を摘果)の方法、②品質向上対策としての植調剤であるフィガロンの散布及びマルチ被覆についての説明がありました。
また、農業革新支援センターの坂西専門員から種苗法改正に伴う注意点、肥後生科研の長溝氏から土壌診断による施肥設計の考え方の講演がありました。
今後も農業普及・振興課としては、JA等と連携し高品質な玉名みかん生産の指導を行っていきます。

2023年7月

導入したマニアスプレッター
土壌採取の様子

耕畜連携の新たな取組み、梅雨入りで断念

令和4年度から新たに耕畜連携を開始した(農)野口では、近年収量が減少している大豆への対策として播種前約30haのほ場に堆肥散布を行うことになり、マニアスプレッダーの導入やオペレーターの確保等の準備を進めていました。しかし、昨年12月に発注していたマニアスプレッダーの納品が遅れ、5月末納品後すぐに梅雨入りとなってしまいました。散布予定だったほ場はぬかるみ、無積載で約2tあるマニアスプレッダーは動かすことができず、大豆播種までに堆肥を散布することは難しくなりました。各ほ場の看板や、作業日誌等、細かい準備を進めてきた組合長は「ここまで準備してきたのに、初年度からこんな結果になるとは思わなかった。農業は本当に天気に左右される。」と肩を落とされていました。
天候による農作業への多少の影響は避けられないことではありますが、今回の反省を活かし、来年度は刈り取りが終わったほ場から順に堆肥散布を開始し、梅雨入りまでに作業を終えることができるよう、指導していきます。
一方、昨年度の耕畜連携で堆肥を散布したほ場においては、成分分析用の土壌を採取しました。秋の稲刈り後は約13haの耕畜連携に取組む予定です。農業普及・振興課では、引き続き畜産農家サイドとの調整や、土壌成分の経過観察、適切な施肥量の指導等を行い、耕畜連携の取組みが円滑に進むよう支援していきます。

2023年7月

講習会の様子
生育状況の確認

ホオズキの生産安定支援に向けて~高温期管理講習会~

板楠小原地区では、中山間モデル事業を活用し新規品目としてホオズキを導入し、今年度で5作目となります。前年度(R4)初出荷となり、今後は安定的に生産できる技術や収益力向上のための支援が必要です。そのため今回は、暑さが本格化する前の5月16日に「高温期管理講習会」を開催しました。
講習会では実際にほ場を確認しながら、ビニルハウスの換気や灌水の頻度、遮光ネットの展張、ハダニや白絹病等の病害虫対策について指導しました。合わせて、現在の生育状況を確認し、7月出荷までの作業スケジュールの確認も行いました。
また、農業革新支援センターの佐渡参事にも参加いただき、補足説明をいただきました。農家から灌水方法や液肥の使い方等の質問もあり、前年と比較し、自ら考え発言する姿もよくみられ、生産者のホオズキに対する熱の入れ方が深まったように感じました。
今後も安定的な生産や収益力向上のため、気候や生育状況にあわせた適正管理の指導とともに農家自ら考え行動できる環境づくりを意識し取り組んでいきます。

2023年7月

植付3年目のJVトレリス樹形
研修の様子

荒尾ナシの生産基盤の維持に向けて~若手農家へのジョイントV字トレリス樹形導入支援~

荒尾特産のナシ「新高」は近年、晩霜害や「みつ症」の発生等により、生産が不安定となっています。このため、当課では、JAたまな荒尾ナシ部会の青年部を対象に「新高」から改植による品種転換を進めて、経営安定を図るべく、指導を行っています。昨年、青年部員と面談し、ジョイントV字トレリス樹形(以下、JVトレリス)の導入希望が強かった2戸に対して今後のロードマップを説明し、経営にあわせた面積になるよう指導するなど、推進を行った結果、今年度、導入することとなりました。
導入の際は、国庫事業を活用し、資材のみ導入して専用棚を自主施工する予定のため、すでにJVトレリスの棚を自主施工して導入した例がある球磨地域で、5月9日に視察を行いました。視察先の園主さんから、自主施工する際の失敗例や注意すべき事項などの助言をいただくことができ、話を聞いた青年部員は、棚の施工方法やジョイントした後の樹形づくりなどについてしっかりイメージできたと話していました。
今後の計画では、「新高」収穫後の10~11月に棚を施工し、12月に苗を仮植え、3月にジョイントを行う予定です。地域内での導入は初めてであるため、革新支援センターや果樹研究所の協力も得ながら、支援を継続していきます。

※ジョイントV字トレリス樹形:主枝高を従来のジョイント栽培より低く、70~80cmの高さとし、そこから側枝を仰角60°に斜立させ、架線に誘引することで樹冠を形成する樹形。

2023年7月

ビストロすてっぷでの提供料理
メロンに笑顔の子供たち

やさしさのお裾分け まとめ

玉名地方農業振興同友会では、令和3年度から生産した農産物等をこども食堂に寄贈する活動に取組み始め、令和4年10月から令和5年5月にかけて計画していた4回の活動を5月25日に終了しました。
第4回目の活動は、5月18日と25日に9名の会員から寄せられた白米42kg、トマト25kg、じゃがいも15kg、たまねぎ15kg、キンショーメロン30玉、LL牛乳(250ml)144パックを、荒尾市の「荒尾すこやか食堂桜山」と「みやじま子ども食堂ももカフェ」及び長洲町の「地域食堂ビストロすてっぷ」へ提供しました。
これまでの4回の活動により、こども食堂等が開催したイベントへの参加者は、合計で700名を超え、多くの感謝の声が寄せられました。
令和4年度に計画した活動は終了しましたが、令和5年度の事業でも4回の提供を予定しています。子供たちの笑顔の輪が広がるよう、役員を中心に参加する会員が増えていくように働きかけていきます。
農業普及・振興課では、今後も同友会の円滑な運営を支援していきます。
(写真提供:NPO法人スローすてっぷ)

2023年6月

防疫措置の概要(DVD視聴)
係別業務内容説明の様子

鳥インフルエンザ防疫研修の開催

玉名地域では、約140万羽の家きんが飼養されており、平成28年及び令和3年には南関町において高病原性鳥インフルエンザの発生を経験しました。しかし、異動により局内に当時の後方支援業務を経験した職員はほとんどいない状態です。このため、悪性家畜伝染病の発生に備え、日頃から応援計画等を作成し、迅速な防疫対応が実施できるよう体制整備を進めています。4月19日、20日には、今年度の転入者を対象とした「鳥インフルエンザ防疫体制に係る研修会」を開催しました。
研修会では、DVDにより防疫措置の概要を学んだ後、国内悪性家畜伝染病の発生状況や管内の家きん飼養状況、管内発生時の後方支援における各係の業務内容等を説明しました。研修参加者からは、管内発生時の連絡体制の確認や、現場での混乱を防ぐための提案等が出され、職員の意識の高さが伺えました。
万が一管内で再度鳥インフルエンザが発生した場合に、円滑に後方支援を実施するためには、職員の意識醸成とスキルアップが必要です。そのためにも、農業普及・振興課では、局内の各職員が役割を認識し、円滑な防疫体制の構築及び防疫作業のサポートができるよう、今後も係別研修や防疫演習を行っていきます。

2023年6月

トマトにおけるIPM技術の導入を検討~タバコカスミカメを活用した黄化葉巻病の対策~

玉名地域では、昨年までの試験結果から天敵(タバコカスミカメ)を10月と2月の2回放飼することで春以降のハウス内のコナジラミを「増やさない」対策として効果があることを確認しています。しかし、天敵の2回放飼は導入コストが6万円/10a程度となり、導入コストの高さが現地普及の妨げとなっています。 
そこで1回の放飼(2万円/10a程度)で十分なタバココナジラミの抑制効果を得るため、今年は「放飼時期の前進化」や「温存植物(クレオメ)の花を増やす剪定方法」などについて実証・検証しました。
その結果、「放飼時期の前進化」、「クレオメの剪定(1月実施)」のそれぞれで、1回放飼で2回放飼と同等のタバコカスミカメの生息数を確保できることがわかりました。(4月末調査)。ただし、「放飼時期の前進化」を行ったほ場では、定植初期に天敵への影響を考慮し化学農薬による防除を控えたため、トマト黄化葉巻病の発生が他ほ場と比べ多くなっており、天敵への影響の有無の観点から化学農薬の使い分けについて、整理することが今後の課題となりました。
当課では今後も関係機関と連携し、収量・品質の更なる向上と環境に優しい農業の確立に向け、トマト黄化葉巻病の蔓延防止対策に取り組んでいきます。

2023年4月

会議の様子
コナジラミのTYLCV保毒虫率の推移(R4年)

黄化葉巻病まん延防止対策の地域取決めを決定!~トマト黄化葉巻病防除対策会議を開催~

玉名地域ではトマト類が約230ha栽培されていますが、トマト黄化葉巻病の蔓延は生産に大きな影響があるため、毎年地域の生産者代表等による「玉名地域トマト黄化葉巻病防除対策会議」で防除対策の取決め事項を協議しています。
今年度は、3月2日に会議を開催し、当課より黄化葉巻病の発生状況、コナジラミ発生状況やコナジラミのTYLCV保毒虫率の調査結果を報告しました。併せてJAたまなよりミニトマトの早期定植試験に係るトマト黄化葉巻病発生への影響について報告がなされました。
結果の報告を受け、会議では、栽培終了の7月17日までにハウスの閉め込み(すき込み)を実施し、コナジラミ類を死滅させて、飛散させないように取決めを確認しました。また、定植は、天井被覆フィルム、防虫ネットを設置と、8月15日以降の定植を再確認しました。
今回の取決め事項は、関係機関を通じて管内のトマト生産者へ周知する予定です。当課では今後も関係機関と連携して、トマト黄化葉巻病の蔓延防止対策に取り組んでいきます。

2023年4月

同友会原会長、池田理事の贈呈風景
地域たすけあいの会での提供料理

やさしさのお裾分けpart3

玉名地方農業振興同友会では、昨年度から生産した農産物等をこども食堂に寄贈する活動に取組み始め、本年度は4回の活動を計画しています。
その第3回目の活動として、3月22日に9名の会員から寄せられた白米121kg、トマト15kg、ミニトマト5kg、なす90本、新たまねぎ15kg、レモン10kg、LL牛乳(250ml)144パックを、玉名市のまなびば・たまなとNPO法人地域たすけあいの会及び和水町のみんなの食堂へ提供しました。
今回の活動により、こども食堂が開催したイベントへの参加者は、子供103名、大人72名の合計175名で、「こういった支援は活動を続けていくうえで大変ありがたい」、「おいしい農産物をありがとう」といった感謝の声が寄せられました。
最終回は、5月に活動を予定しています。再び感謝の声を聴くことができるよう、役員を中心に準備を進めています。
農業普及・振興課では、今後も同友会の円滑な運営を支援していきます。

2023年4月

地域農業を担う若手農業者の経営意識の向上

玉名地方青年農業士連絡協議会では、コロナ禍での活動を自粛していましたが、感染拡大も落ち着きを見せ始めたことから、組織内活動だけではなく外に向かっての活動を再開しました。
2月20日は、当課職員が講師となり、農業経営に関する研修会を開催しました。講習会では、経営を客観的に把握するため、所得や単収などの数値化できる要素を年次比較することの重要性、法人化やインボイス制度取り組みの検討材料を提供しました。
3月27日には、玉名管内の法人農家において研修会を開催しました。
研修会では、法人化に取り組んだ経緯や法人化により変化したことなど実際に経験された話を聞くことができ、参加者にとって大変参考になったと感じました。その他、農業と観光の連携に取り組んでいる事例の研修も行い、研修終了後は、その場で交流会を開催しました。
当課では、若い農業担い手の経営に対する意識向上により経営安定が図られるよう、今後も引き続き支援していきます。

2023年3月

講習会の様子(温州みかん)
講習会の様子(ナシ)

R5年産の果樹安定生産に向けて~せん定講習会~

果樹の生産では、日当たりや作業性を向上させるとともに、着花量を調節し、高品質な果実の安定生産を図るうえで、冬場の整枝・せん定は重要な作業です。このため、カンキツ(温州みかん、中晩柑)は2月、落葉果樹(ナシ、モモ、カキ、ブドウ、スモモ)は12月から2月までJAや市と協力して、各地で述べ15回にわたりせん定講習会を開催しました。
特に温州みかんでは、前年の着果状況から令和5年産の着花は全般的にやや多~多と予想されることから、着花を抑制し、新梢を確保するため、早めにせん定を実施するとともに、切り返しせん定や予備枝を設定するよう指導しました。一方、1月24~25日の低温害により着花不足が心配される樹では、せん定は軽めに留め、5月下旬頃まで様子をみるよう注意を促しました。
また、ナシについては、基本的なせん定の指導に加え、みつ症等で生産性の低下している「新高」から他品種への改植を促しました。さらに、荒尾梨青年部を対象として近年増加している「あきづき」のせん定指導を行いました。
2月は気温も高く、生育が早まる可能性もあります。R5年産の高品質安定生産に向け、当課ではJA等関係機関と協力し、今後も指導を行っていきます。

2023年3月

石原健吾氏ほ場視察風景
石原秀明氏畜舎視察風景

農業振興同友会冬期研修会開催

玉名地方農業振興同友会では、2月21日に3年ぶりとなる冬期研修会を開催しました。当日は19名の会員参加(うち夫婦3組)のもと、会員である和水町の石原健吾理事のスイカ経営と同町の石原秀明氏の肥育牛・繁殖牛経営の視察を行いました。
石原健吾氏のほ場では、春夏スイカの生育状況や苗づくりの様子等を視察し、最近のスイカの情勢について説明を受けました。会員からも質問が次々と出され、活発な意見交換が行われました。
次に石原秀明氏の畜舎では、交雑牛の肥育と黒毛和種の繁殖を視察し、秀明氏の経営へのこだわりについて話していただきました。なかでも、肉質へのこだわりについて、よい血統の仔牛を仕入れ、餌やりをちゃんとしていれば利益が出ると力説され、実際に5等級10%、4等級70%という実績を出されていることから、参加者からは感嘆のため息が漏れていました。
農業普及・振興課では、今後も同友会の円滑な運営を支援していきます。

2023年3月

個別経営改善指導会の様子

地域営農法人の経営安定をめざして

玉名地域には地域営農法人が平坦地域に6法人、中山間地域に2法人ありますが、法人毎に様々な運営及び経営の異なる課題があります。
そこで、それらの課題を解決することにより、法人の経営安定を図ることを目的として、平坦地域の2法人、中山間地域の1法人を対象に当課主催による個別経営改善指導会を開催しました。
まず、「法人決算書の見方」を説明した後、過去3期分の決算書により現在の当該法人の経営状況(収益性・健全性等)について分析・検討を行いました。
次に、各法人のヒアリングを行い、「大豆の収量が減少している」、「農地や農業機械の集約が進まない」、「インボイス制度導入を視野に入れ、高収益作物を導入していきたい」等の課題等を聞き取りました。
当課では、このように各法人の抱える様々な課題解決を支援し、地域営農法人の継続的かつ安定した経営が可能となるよう、より一層の経営支援を実施していきます。

2023年3月

広報を利用した中山間モデル地区の情報発信

玉名地域には中山間モデル地区強化事業により指定されたモデル地区が4地区あり、平成29年度から地域に適した品目の定着に向けた技術的指導や経営面での支援を行っています。その中でも和水町は板楠小原、上久井原の2地区があり、板楠小原地区においては取組み5年目を迎え、新規作物2品目(小麦、ホオズキ)が定着するなど着実な成果が表れています。そのため、その取組みを他集落にも波及させ、また、町内の方々にも農業を身近に感じ、関心を持ってもらいたいとの思いから、2地区の取組みについて昨年8月から和水町と連携し広報「なごみ」に毎月連載を開始しました。9月号には4作目にして初出荷となった板楠小原地区の「ホオズキ」が表紙に採用され、次作取組みに向けたモチベーション向上にも繋がりました。
今後はモデル地区だけでなく、町内で展開されている農業に関する様々な取組みも掲載する予定としており、広報誌を通して農業者だけでなく町内の方々にも農業に関心を持っていただけるよう情報発信を続けていきます。

*広報配布数・・・町内3,794世帯(R4.12月現在)及び公共施設

2023年3月

いちご「ゆうべに」の年内収量1t/10a超える~県内最大の「ゆうべに」の産地~

JAたまないちご部会の「ゆうべに(県育成品種)」の栽培面積は35.1haで、収穫量5t/10aを目標に、6月上旬まで関東をはじめ全国各地へ出荷されます。
本年の「ゆうべに」は、育苗は順調に進んだものの、定植時期の9月18日に台風14号の影響により作業を遅らせざるを得ない状況となりました。定植直後の10月上旬はやや低温傾向となり、遅れ気味の生育でしたが、その後は晴天に恵まれ、一番果の出荷最盛期は11月末~12月中旬と早まりました。「ゆうべに」は早期出荷が期待される品種で、年内単収1t/10aを目標としていますが、令和4年度産は、1019kg/10a(昨年781kg/10a)となり目標を上回りました。
「ゆうべに」は、多収品種ではあるものの、まだら果や成り疲れも出やすい品種でもあります。そのため、JA指導員と連携して1.5番花の摘花の徹底を現地検討会等で指導した結果、今年の発生は少ない状況となりました。
また、病害虫防除では、ハダニに対する天敵導入を推進しており、約65%の農家が導入し、現時点では発生は抑えられています。今後は、アザミウマの防除について、関係機関を参集して玉名版栽培暦・防除暦検討会を2月末に開催し、技術的な整理と普及拡大について検討していく予定です。
当農業普及・振興課では、他品種を含め、高品質ないちごの生産量確保と、安心・安全な「JAたまな産いちご」が消費者に届くよう今後も引き続き支援します。

2023年3月

同友会原会長の贈呈風景
住吉町子どもサロンでの調理風景

やさしさのお裾分けpart2

玉名地方農業振興同友会では、昨年度から生産した農産物等をこども食堂に寄贈する活動に取組み始め、本年度は4回の活動を計画しています。
その第2回目の活動として、1月19日に10名の会員から寄せられた白米172kg、トマト21kg、みかん45kg、キャベツ24玉、スナップエンドウ4kg、LL牛乳(250ml)144パックを、荒尾市の住吉町子どもサロンとこども広場・陽だまり及び南関町のとっぱ食堂へ提供しました。
今回の活動により、こども食堂が開催したイベントへの参加者は、子供103名、大人72名の合計175名で、「今後も取組みを続けてもらいたい」、「おいしい農産物をありがとう」といった感謝の声が寄せられました。
次回以降は、3月、5月に活動を予定しています。再び感謝の声を聴くことができるよう、役員を中心に準備を進めています。
農業普及・振興課では、今後も同友会の円滑な運営を支援していきます。

2023年2月

稲わら収集作業
堆肥を散布したほ場(麦播種済)

耕畜連携で飼料・肥料コスト削減と地力増進!

玉名地域では令和元年度から、菊池地域の肥育農家との耕畜連携(堆肥と稲わらの交換)に取り組んでいます。令和4年度からは新たに(農)野口との連携を開始し、12月23日に関係者で今年度の反省会と、来年度に向けた打合せを行いました。今年度は試験的に約6haのほ場で堆肥と稲わらの交換を行いました。
反省会では、「とても良い堆肥だった。事務所の前に置いてあっても臭いもせず、大変使いやすかった。」という声があり、今年度の取組みを知った他の構成員から、「来年度はぜひ自分のほ場でも取組みたい」という声もありました。また、(農)野口は水稲と大豆をブロックローテーションで栽培していますが、近年は大豆の収量減少が課題となっていました。そのため、今回の取組みをきっかけとして来年度から大豆播種前の堆肥散布に取り組むことになり、法人でマニアスプレッターを購入されました。
今後、来年度大豆作付け予定30haを対象に、十分な堆肥の確保やオペレーターの配置等、具体的な計画を進めていきます。
農業普及・振興課では、肥料価格高騰の中で引き続き堆肥と稲わら交換の耕畜連携の取組みを支援していくとともに、作物担当と連携し、堆肥散布等による大豆の収量回復に向けた多面的な支援を行っていきます。

2023年2月

トマト・ミニトマトを栽培する若手農家への経営支援

玉名地域では、今年度普及振興計画の重点課題にトマト・ミニトマトを栽培する若手農家の資質向上を掲げ、現在5名を対象に支援を行っています。
具体的には、現地検討会を中心とした栽培に関する技術指導、青色申告書と出荷データを活用した経営・技術分析、スペシャリスト(税理士、企業診断士)による経営に関する助言を行っています。
12月は、若手農家のほ場を巡回し、生育状況の確認と技術指導、経営内容の聞き取りを行いました。その中で、それぞれの農家の経営方針(大規模経営・家族経営、労働力確保(外国人労働力の活用の有無))や販売戦略(農協出荷・市場出荷、契約販売・インターネット販売、海外輸出)に大きな違いがありました。若手農家がこの支援を通していろいろな考え方や技術に触れ、自分の目標を明確にし、経営発展のヒントをつかむことを期待しています。
次年度も、トマト・ミニトマトを栽培している青年農業士や青年農業者クラブ員などへ働きかけ、さらに多くの若手農家が勉強できる機会を作っていきたいと考えています。

2023年1月

R3年度被害をマップ化
講習会の様子

カモ類による露地野菜への被害対策研修会を実施

近年、玉名市の横島干拓地では、カモ類による露地野菜の被害が拡大しています。そこで、令和4年度えづけSTOP!鳥獣被害対策事業(県単)の活動の一環として、11月10日にカモ類被害対策の講習会が実施されました。講習会には、野菜農家5名が参加し、農家自らがマップ化した昨年度の被害や今年度の飛来情報を共有しました。その後、カモ類被害対策の専門家(有)クリーンシートの講義により、カモの習性などへの理解を深めると共に、本年度の対策案【銃による捕獲と効果を高めるための威嚇方法(発砲の工夫、案山子・爆音機の活用)、水路テグス】について検討が行われました。
当日は、講習会に併せ、玉名市有害鳥獣捕獲隊(6名)による活動も実施されましたが、まだ飛来数が少なかったため、捕獲数も少なく、本年は12月からが対策の本番と考えられます。
今後は、専門家の指導のもとで、12月から計画的に対策が実施される予定です。当課としてもカモ類による露地野菜の被害軽減に向け、関係機関と連携して対策を行っていきます。

2023年1月

講習会の様子
播種作業の様子

中山間地域での小麦栽培支援

中山間地域である和水町三加和地域では、これまで麦作がほとんど行われていませんでした。そのような中、同地域の板楠小原地区において中山間モデル地区の指定を契機に集落営農組合が設立され、令和元年から所得向上を目的に水田裏作を活用した小麦栽培に取り組んでおり、当課が栽培支援を行っています。
11月11日には同組合において4作目となる令和5年産に向けた播種前講習会を行いました。講習会では、基本的な栽培内容に加えて、前年産の実績を踏まえ、課題となるポイントについて重点的に説明を行いました。参加した組合員は、これまで全く経験がない状態からの取組みでしたが、徐々に小麦栽培への理解が深まっており、今作は更なる収量向上を目指す意気込みが感じられました。今作は11月17日から播種作業が開始され、出芽状況も良好で、順調な生育となっています。
同じ三加和地域にある別組織においても新たに小麦栽培が開始され、中山間地域における水田裏作を活用した麦作が徐々に広がっています。当課では今後も関係機関と連携しながら中山間地域の農業振興を図っていきます。

2023年1月

勉強会の様子
アンケート内容 (上:質問、下:回答)

若手ナシ農家の経営安定のための指導を実施~ジョイント栽培の導入に向けて~

荒尾特産のナシ「新高」は近年、晩霜害や「みつ症」の発生等により、生産が不安定となっています。このため当課では、JAたまな荒尾ナシ部会の青年部を対象に、改植による品種転換を進めて経営安定を図るべく、指導を行っています。
まず、青年部員それぞれの経営状況や新品種・新技術の導入意向を調査するためにWebのアンケートフォームを利用して、調査を実施しました。その結果、「あきづき」は既に導入済みであり、今後は「秋麗」や「甘太」の導入を検討している農家が多いことがわかりました。また、7戸のうち6戸でジョイント栽培を導入したいと考えていることが分かりました。
そのため、11月8日に青年部が計画した勉強会で、ジョイント栽培に関する講習と導入の際に活用できる事業について紹介しました。
さらに、導入希望が強かった3戸に対して、勉強会終了後に、品種や面積等について現在の計画を聞き取り、来年度の導入に向けて、今後のロードマップの説明や経営に合わせた形になるように計画の指導を行いました。
当課では、今後も荒尾地域のナシ生産基盤の維持に向けて、若手農家への支援を継続していきます。

2023年1月

天敵資材
クレオメ上のタバコカスミカメ

タバコカスミカメの活用によるトマト黄化葉巻病対策

玉名地域では、トマト・ミニトマト栽培において、これまでトマト黄化葉巻病対策が大きな課題となっています。様々な対策が行われていますが、トマト黄化葉巻病ウイルスを媒介するタバココナジラミへの農薬感受性低下が確認されたため、農薬だけに頼らない新たな防除方法の確立が必要とされています。
そこで、令和3年産からタバココナジラミの天敵であるタバコカスミカメを活用した防除技術の確立を目指し、関係機関と共に調査・検討を行っています。
令和3年産の調査では、「タバコカスミカメで春以降のタバココナジラミ数を抑制できる」、「温存植物であるクレオメの配置や本数が春以降のタバコカスミカメの増殖とタバココナジラミの防除に影響する」などがわかりました。
令和4年産では、より安定的な防除技術の確立に向け、管内5ほ場(丸トマト4ほ場、ミニトマト1ほ場)に展示ほを設置し、「天敵の導入時期」、「クレオメの本数と配置」などについて、調査を行っています。
また、天敵の導入コスト低減に関して、土着天敵の活用ができないかについても検討を行っています。
トマト黄化葉巻病対策は、地域が一体となって取り組んでいく必要があることから、多くの生産者が納得して取り組める新しい技術確立に向け取組みを進めていきます。

2023年1月

玉名税務署、小山氏の講演
大王課長補佐の講演

認定農業者連絡会議研修会開催

玉名地域認定農業者連絡会議は、11月10日に玉名市認定農業者連絡協議会との共催で、玉名市横島町公民館において研修会を開催しました。
本研修会は二部構成とし、第一部では玉名税務署の小山氏より来年に導入を控えたインボイス制度について、かみ砕いた内容の講演が行われました。また、第二部では当課の大王課長補佐より土づくりの基本について講演を行いました。
当日は、玉名管内から約50名の認定農業者と関係機関8名の参加がありましたが、講演終了後には多くの質問が飛び交い、講演内容についての関心の高さがうかがわれました。特にインボイス制度については、女性農業者のグループからも研修会の要望があがっていることから、開催に向けて準備を進めているところです。
当課では、引き続き、認定農業者の経営安定に向けて関係機関と連携して支援していきます。

エリアカテゴリ