2024年のエリア普及現地情報

2024年10月

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ナス収穫サポーターを活用した労働力確保

南関町米田地区は、平成30年に県中山間農業モデル地区強化事業の地区指定を受け、農事組合法人よなだを中心として高収益作物(露地ナス)の栽培や地域連携活動に取り組んでいます。当課では、中山間地農業の経営力強化を重点課題としており、当法人に対するナスの栽培技術指導や地域連携の取組み支援を継続しています。
ナスの栽培にあたっては、管理や収穫作業が一部の構成員に偏り、防除や収穫の遅れが見られるという課題がありました。そのため、今作から構成員全員を収穫作業のローテーションに組み込み、法人全体で管理する体制を整えるとともに、構成員外からの労働力確保に向けた取り組みを始めました。
昨年、収穫体験に参加した親子を対象にサポーターの希望を募ったところ、2組から延べ6日間の作業申し込みがあり、8月から9月の土曜日に、収穫作業に来ていただくこととなりました。初日の8月3日には2組6名の親子が参加し、組合長から収穫方法の説明を受けた後、休憩を取りながら2時間ほど作業を行いました。暑い中でしたが、子供たちの賑やかな声が響き、保護者も汗だくになりながらも収穫を楽しんでいる様子が見られました。
当課では今後も、中山間地農業の経営力強化のための支援を継続していきます。

2024年10月

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講師の講演の状況
講演資料

玉名地域の持続可能なミニトマト経営のあり方を考える~トマトの若手生産者向け規模拡大のススメ講演会の開催~

当課では令和6年度を通じ、重点指導対象の5名の若手トマト生産者向けに、外部から講師を迎え経営力向上に役立つ学びの機会を企画しています。この一環として、令和6年8月21日に南関町の指導農業士の菅原一真氏を講師に招き、「ミニトマト栽培の規模拡大と高冷地での生産に関する講演会」を開催しました。当日は若手生産者3名の他、関係機関5名の参加がありました。
菅原氏からは、他産地と比べ決して有利とは言えない南関町を拠点とするため、安定した価格と量を出荷できる取引先との契約を重視する経営方針の説明がありました。その上で、契約先からの要請に応える中で、大玉からミニ品種への転換、安定供給のための規模拡大や南関町と産山村での2元出荷に至った経緯のお話がありました。特に、部会組織に属さないため、日々注意深く情報収集し、ハウス、機械から産山での住居までインターネット上の取引で調達して可能な限り投資を節約した点など実践的でとても参考になるお話でした。
当日は、車座形式で、講師と参加者が間近で対話できる形式としたため、参加者からは、情報収集の具体的方法や規模拡大に取組むに当たっての手順等の実践的な質問が多く聞かれました。
講演会後のアンケートからは、他の先進農家の経営の話も聞きたい等の感想があり、今後とも参加者の経営力向上につながる機会を創出していきたいと考えています。

2024年10月

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4Hクラブが出店した屋台の様子
4Hクラブが出店した屋台の様子

玉名地方4Hクラブ、夏祭りで地域交流!

玉名地方青年農業者クラブ(以下4Hクラブ)には現在19名の若手農業者が在籍しています。様々なクラブ活動を通して、地域や若手農業者同士との交流、地域貢献、課題解決能力の向上などを目指して日々活動しています。
8月11日に玉名市横島町でよこしま夏祭りが開催されました。4Hクラブはこの夏祭りに毎年屋台の出店などを行っています。今年も屋台の出店を計画し、7月から綿菓子やヨーヨーすくい等の販売物や人員の割振りといった準備を進めてきました。当日は12人のクラブ員が屋台の運営に携わりました。開始直後から4Hクラブの屋台には長い行列ができ、最終的には販売物のほとんどが完売し、大盛況で終えることができました。猛暑の中、過酷な環境ではあったものの、屋台を訪れた人々とクラブ員の間では多くの交流が行われ、たくさんの笑顔があふれる空間となっていました。今回の活動はクラブ員同士の連携強化や地域貢献に繋がる良い機会になりました。
玉名地方4Hクラブでは、今後も様々な活動を計画しています。将来の産地を担っていくクラブ員の成長に繋げられるよう、引き続き活動の支援を行っていきます。

2024年9月

玉名地方品目別専門部会分科会を5年ぶりに開催~JAや地域を超えて園芸産地の持続的な発展を議論~

ミニトマトやイチゴなどの県内有数の作付を有する玉名地域では、管内のJAと市町及び県で野菜振興協会玉名支部を組織し、野菜産地の持続的な発展に向け連携して活動しています。この一環として、令和6年7月24日にJA玉名とJA大浜のトマト、ミニトマト、イチゴ、ナスの生産部会役員、JA熊本経済連及び県農業革新支援センターから75名の出席を得て、生産上の課題と共通する事項への対応を協議する品目別専門部会を分科会形式で5年ぶりに開催しました。
分科会の中では、栽培環境の温暖化で顕在化している生理障害や品質低下への対応及び温暖化に付随する難防除病害虫の発生の激増や長期化への対応について、協議されました。高温化に対しては、遮光や精密な潅水等の降温化対策や品種及び定植時期の変更といった耕種的対応の提案がありました。また、難防除病害虫については、発生しにくい環境条件の整備や、農薬抵抗性の発達を抑えるIPM技術の情報提供等がありました。各分科会でとりまとめた内容は、役員を通じて、生産部会全員で共有される予定です。
出席した部会員の中には、協議時間ぎりぎりまで、JAや普及・振興課の担当者に対し質問や課題を投げかける場面も見られ、JAや地域を超えた議論を通じて、産地意識が醸成されていました。
当課では、引き続き園芸産地の持続的な発展につながる関係機関の連携や生産振興対策について支援を行って参ります。

2024年9月

令和5年度のトマト天敵利用展示ほ報告会の開催~土着タバコカスミカメの低コスト防除技術の深化に向けて~

当課では、令和3年産から地元JA、農研機構及び県農業革新支援センターと連携し、トマト類の重要病害虫であるタバココナジラミの天敵(タバコカスミカメ)の実証展示を行っています。令和3年産はトマトでの防除効果の検証、令和4年産には天敵導入時期や温存植物(クレオメ)の管理方法に着目した低コスト化の検証に取り組んでいます。令和5年産は更なる低コスト化を目的とした土着天敵利用技術に挑戦しており、その報告会を令和6年7月25日に展示ほ生産者4名を含む関係者12名を参集して開催しました。
令和5年産の調査では、野外のクレオメで収集したタバコカスミカメをトマト定植前後から導入し、早期に増殖させることで春先からトマト上で定着が確認でき、タバココナジラミの発生が抑制され、トマト黄化病等のウイルス病の発生時期が遅延しました。また、土着のタバコカスミカメを利用することで、費用が従来の購入天敵の5%程度(3千円/10a)に低減できる結果となりました。
出席した生産者からは、取組み3年目で防除効果が安定してきたといった手応えや天敵放飼時期の早進化や温存植物の追加で更に防除効果が期待されるといった声が聞かれ、生産者や関係機関と共に技術が磨き上げられている状況です。
令和6年産からは新たに4名(1ha超)が本技術を導入する見込みです。当課では、引き続きトマトの天敵利用技術の高度化、安定化に向けた技術確立の支援を行って参ります。

2024年9月

後藤研究員による講義の様子
フタモンマダラメイガ幼虫による加害

ナシの安定生産に向けて荒尾梨部会全体研修会の開催!

7月30日に荒尾梨の生産安定と部会員の技術力・知識力の向上を目的に荒尾梨部会の全体研修会が開催され、約30名の部会員が参加しました。
研修会では、まず果樹研究所の後藤研究員からフタモンマダラメイガとニセナシサビダニの防除についての講義がありました。これらの害虫は玉名地域のナシで問題となっていることから多くの質問があり、活発な意見交換が行われました。効果の高い薬剤や病害虫を発生させないための耕種的防除といった内容もあり、部会員各々の防除体系について見直すいい機会になったようでした。
当課からは「新高」で問題となっているミツ症について今年の積算温度のデータを示し、発生の注意喚起及び対策の徹底を呼びかけました。
玉名地域では、9月の「新高」の収穫に向けて重要な時期に入ります。これからも引き続きナシの生産安定に向けた指導を行っていきます。

2024年9月

新規就農者ヒアリング
作物担当による指導状況

新規就農者の経営安定に向けた巡回指導の実施

玉名地域の新規就農者は、新規学卒就農をはじめ、Uターン就農や新規参入と就農する形態も多様である中で、年齢層も20代から40代後半と幅広く、栽培作物や目指す経営の姿も多様化しています。
そのような中、目標とする農業経営に向かって順調に経営できている新規就農者がいる反面、計画通りの経営ができていない新規就農者がいるのも事実です。
特に、計画通りの経営改善ができてない新規就農者に対しては、技術の習得をはじめ、規模拡大のための支援も必要になります。
そこで、当課としては、作物担当をはじめ、市町や農協等の関係機関一体となった支援をするために、関係機関と連携し、新規就農者27名に対して巡回指導を6月から7月にかけて実施しました。併せて継続的な支援が実施できるように指導事項を記載した「新規就農者カード」の作成を行いました。
今回の巡回指導の結果、農業経営が順調な方がいる一方で、適期作業の遅れや技術が未熟で計画通りの収量が確保出来ていない方もいる状況でした。
特に、今後は技術的に課題がある方については、作物担当が中心となって指導を強化するとともに、下期についてもその後の状況確認のために巡回指導を実施することで、関係機関と情報共有を図り、新規就農者の経営改善に向けた支援強化を行うことにしています。

2024年9月

PCを使って自由自在に名刺づくりを!~農業女性ネットワーク「ひまわりクラブ」研修会~

玉名地域では、農業女性アドバイザーやOGでつくる任意グループ「ひまわりクラブ」(山野美佐子会長、会員数22人)があり、年2回程度の自主的な研修会を行っています。
今回は、7月11日に、来月に球磨地域で開催予定のくまもと農業女性ネットワーク全体研修会で必要な名刺づくりを実習しました。名刺は、市販の台紙を使い、PCを使って汎用性の高い文書作成ソフトを用いて作成しました。基本的なフォーマットは、普及指導員が作ったサンプルを使いながら、各自で文字入力や自分が生産する作物等のイラストを貼付けて作成しました。交代しながらPCを使い、文字入力が苦手な方は、普及指導員のサポートを受けながら80分余りで参加者の名刺が出来上がりました。
また、当日は、今年度新規認定を受けたアドバイザー3人に農林部長から認定証の交付も行いました。先輩方から温かい歓迎を受け、新規認定を受けた方もひまわりクラブに加入されたところです。
各市町や地域での活躍が期待される農業女性アドバイザーですが、当課は、任意グループへの活動支援を通じて、アドバイザーの活躍の場づくりを行い、農山漁村の男女共同参画の下支えをしていきます。

2024年8月

南関町まるごと田舎体験田植え会で町ににぎわい

南関町まるごと田舎体験事業推進協議会では、農業理解促進を目的とした体験活動を約30年前から実施しています。今年は6月30日に、田植え会が上長田地区のほ場で開催され、県内外から6家族26名の参加がありました。リピーターとなって毎年楽しみに来られる方や、ラジオでイベントを知って初めて参加したという方など様々で、地域PRにも貢献しています。
植え始めは慣れない様子でぎこちない手つきだった参加者も、協議会メンバーの指導を受けどんどん上達していました。子供たちは、田んぼで泥んこになった後は竹の水鉄砲作りで盛り上がり、なんかんトッパ丸とのふれあいを楽しんでいました。会の終わりには、南関町生活研究グループによる地域食材を利用した田舎弁当がふるまわれ、協議会会長からは「田植えや稲刈り体験だけでなく、稲の成長する様子を見にたくさん足を運んでいただき、南関町をまるごと満喫してほしい」との挨拶があり、盛況のうちに閉会しました。
当課では、人を繋ぎ農業と農地を未来につなぐこれらの取組みに対して、今後も継続的に支援していきます。

2024年8月

高品質なみかんを目指して応援隊が行く!

温州みかんにおいて、7月は品質向上に重要な時期です。JAたまな柑橘部会は、着果量に応じた着果管理やマルチ被覆を主体に、高品質果実生産に向けて部会を挙げて取り組んでいます。部会役員等を中心に「マルチ被覆応援隊」を結成し、労力的にマルチ被覆が困難な部会員のマルチ被覆を応援しています。今年は、依頼があった3園のマルチ被覆を総勢26名で応援しました。また、6月下旬からは、各地区で管理講習会を開催し、摘果方法や防除について、実技を交えて講習しました。さらに、極早生温州のマルチ被覆と摘果実施状況をJAと県の指導員で園地を巡回し確認しました。講習会後に巡回することで、講習会の内容が理解されているか、実践できているか、を確認することにもつながりました。
今後も重要な管理が続きます。生産者への指導、指導結果の確認、それを次の指導に生かす、というサイクルを実践しながら、高品質果実作りに向けて関係機関や部会と連携し取組んでいきます。

2024年8月

玉名のトマト産地の未来を創る人づくり~地域の中核となるトマト若手生産者の育成~

玉名地域は県内有数のトマト・ミニトマト産地ですが、近年の需給バランスの不均衡に加え、生産資材費の高騰や労働力不足により収益性は悪化傾向にあり、さらに気象の温暖化で果実品質の低下も見られています。
このような中、産地を維持・発展させていくためには、今後、地域のトマト・ミニトマト生産を担っていく若手生産者の能力を更に引き上げる必要があります。このため農業普及・振興課では、重点普及課題に位置付け、4HCや青年農業士の代表者等中核となる若手生産者5名を重点対象に選定しました。
取組としては、「メールやSNSで対象者が気になることを何時でも相談できる体制を基本とし」、月1回の割合で、個別巡回と面談、対象者の施設での現地検討会における技術指導、地元の農業コンクール出品者への視察研修、栽培や人材派遣の専門家を招聘しての講演会等を実施。これらの取り組みを通じ、対象者は新たな気づきを得ると共に、若手同士や取り組みで出会った方々との繋がりを醸成していきます。
先日、令和6年6月28日には令和5年度の活動の振り返りと今年度の活動計画を協議するキックオフミーティングを開催すると共に、現在、経営担当者を交えて、令和6年度の栽培と経営の目標設定の個別面談を行っています。
今後も、将来のトマト産地を担う、若手生産者の経営力及び資質向上に向け、継続的なニーズの汲み取りを行い、学びと交流の機会創出を行って参ります。

2024年8月

環境負荷低減事業「みどり認定」の取り組みを支援

玉名農業普及・振興課では、「みどりの食料システム戦略」の実現のため、環境負荷低減への取り組みを支援しています。これまでも、産地全体で環境にやさしい農業に取り組み、「くまもとグリーン農業マーク」の利用等により、選ばれる産地づくりへの支援を行ってきました。
この一環として、令和6年6月25日に生産者が環境負荷の低減に取り組む計画を認定する「みどり認定」の申請書記入会を開催しました。当日は、市町担当者とJA指導員が計25名参加し、県農業技術課担当者から「みどりの食料システム戦略」に関する県の方針や、「みどり認定」を受けるメリット、申請の流れについての説明を受けました。また、団体申請を想定し、書類作成模擬演習にも取り組みました。併せて、生産者部会での環境負荷低減の活動内容について意見交換を行い、生産者が認定を受ける際の支援体制を作ることができました。
今後も、市町担当者やJA指導員と協力し、玉名地域全体で環境にやさしい農業の推進に向けて支援を行っていきます。

2024年7月

まなびば・たまなでの提供料理
受け取って笑顔の親子

1000人にやさしさのお裾分け~同友会による農畜産物提供~

玉名地方農業振興同友会では、令和3年度から生産した農産物等をこども食堂に寄贈する活動に取組み始め、5月14日に通算9回目となる活動を実施しました。
今回の活動では、会員4名から寄せられたトマト、にんじん、たまねぎ、キンショーメロン、LL牛乳(250ml)を、玉名市の「まなびば・たまな」と和水町の「みんなの食堂」及び長洲町の「地域食堂ビストロすてっぷ」へ提供しました。
これまでの9回の活動により、こども食堂等が開催したイベントへの参加者は、合計で1,000名を超え、多くの感謝の声が寄せられています。
この活動は現役員の発案で始まったものですが、役員改選後の令和6年度も継続して実施される予定です。同友会では、子供たちの笑顔の輪を支えに、役員以外にも寄贈活動に参加する会員が増えていくように働きかけることにしていきます。
農業普及・振興課では、今後も同友会の円滑な運営を支援していきます。

2024年7月

選定ほ場

地域営農法人における大豆の収量向上のための土壌養分動態把握の取組み

玉名市岱明町の「農事組合法人 野口」では、約100haのほ場で水稲、麦および大豆のブロックローテーションに取り組んでいます。しかし、法人の大豆の収量が県内平均を下回っていることから、農業普及・振興課が指導し、地力の回復による収量向上に向けた取り組みを実施しています。
昨年度は、堆肥施用区と無施用区を設けて収量調査および土壌分析を実施したところ、堆肥施用の有無に加え、大豆栽培前の石灰施用の有無が大豆の収量に影響していることが判明しました。
そこで、今年度は調査対象ほ場を拡大し、堆肥施用の有無と大豆栽培前の石灰施用の有無による土壌養分の経時変化と収量を評価することとしました。当課と法人で協議を重ね、過去の堆肥投入および大豆前石灰施用の有無から、約100haのうち20ほ場を選定しました。土壌の採取は、選定ほ場の耕作者である組合員に採取方法を説明したのち、自ら採取を行ってもらうことで、土壌養分把握の必要性を認識してもらいました。現在、農業研究センター協力のもと、土壌分析を実施しています。
当課では、土壌養分の経時変化を組合員へ還元し、堆肥や石灰の適正施用量を指導することにより、大豆の収量向上支援を行っていきます。

2024年7月

クレオメ
タバコカスミカメ

トマト・ミニトマトの天敵利用展示ほ現地検討会の開催~土着タバコカスミカメによる低コスト防除の普及に向けて~

玉名地域の冬春トマト類で各種ウイルス病を媒介し重要害虫となっているタバココナジラミは、近年、農薬感受性の低下が懸念されています。このため農業普及・振興課では、関係機関と連携し、令和3年産からタバココナジラミの天敵(タバコカスミカメ)を利用した防除を検討してきました。
令和3~4年産の検証では、購入天敵を活用した防除方法はコストが高い(3~6万円/10a程度)ため、更に安価な方法に改良する必要があると感じました。
そこで令和5年産からは天敵導入コストを低減するため、天敵誘引植物(クレオメ)を用い野外の土着天敵を収集、トマト施設内に導入した場合の防除効果を検証しています。
今回、土着天敵を利用した防除効果を見てもらうため、令和6年5月10日にトマト類生産者や関係機関を対象とした現地検討会を開催しました。会場のトマト施設は、野外のクレオメで収集したタバコカスミカメを定植前後から導入し増殖させました。施設内のトマトはタバコカスミカメの定着が確認でき、ほぼタバココナジラミの発生が無く、トマト黄化葉巻病等のウイルス病の発生も低く抑えられていました。更に、土着のタバコカスミカメを利用することで、費用が従来の購入天敵の5%程度(3千円/10a)に低減しました。展示ほ生産者からは、農薬散布回数が減って、タバココナジラミがいなくなったとの説明があると共に、参加生産者からは次作で天敵を利用した防除に取り組みたいとの声が聞かれました。
農業普及・振興課では、引き続きトマト生産の安定につながる低コストな防除技術の普及に向け支援を行って参ります。

2024年7月

玉東町スモモ「ハニーローザ」の将来に向けて

6月2日、玉東町で第14回ハニーローザ※収穫祭が開催されました。県内外から多数の応募があり、抽選で選ばれた約220名が色づいたハニーローザの収穫を楽しみました。
ハニーローザの導入の経緯は、「ミカンの収入のない時期に収入をあげられる品目」の導入を目的に、部会で検討し、当時、新品種だったハニーローザに着目。部会で果樹研究所に勉強に行き、ハニーローザの食味に感動し、取組むこととしました。しかし、本県における栽培技術が確立されていなかったことから、栽培管理は手探りの状況でした。雨による裂果で収穫がほとんどできない年もありましたが、困難に見舞われるたび、部会や関係機関と協力し、施設の導入や検討会等で、安定して高品質果実を生産できるようになりました。併せて、部会と玉東町が協力して収穫祭を始め、ハニーローザのPRや消費者との交流を継続してきました。その結果、玉東町を代表する産品として、県内外に周知されるようになり、新規品目の導入による産地活性化の成功例となっています。
一方で、後継者のいる生産者が少なく、担い手の確保がこれからの課題です。20回の収穫祭を目指して、産地維持に向けた検討を部会を中心に始めていきます

2024年6月

研修会の様子

鳥インフルエンザ防疫研修の開催

玉名地域は養鶏が盛んな地域であり、約140万羽の家きんが飼養されています。平成28年及び令和3年には南関町において高病原性鳥インフルエンザが発生し、関係機関含め職員一丸となって後方支援にあたりました。この経験を踏まえ、当課では悪性家畜伝染病発生の際に迅速な防疫対応が実施できるよう、体制整備を進めています。
しかし、2度目の発生から2年が経ち、局内に当時の後方支援業務を経験した職員がほとんどいない状態であることから、今年度の転入者を対象として4月19日及び22日に、「鳥インフルエンザ防疫体制に係る研修会」を開催しました。
研修会は2部構成で行い、第1部では国内悪性家畜伝染病の発生状況や管内の家きん飼養状況等を説明後、DVDにより管外発生時の応援の流れを説明しました。また、第2部は管内発生時の後方支援にあたる職員を対象に、各係の業務内容等を説明し、発生時の自身の役割や動きを確認してもらいました。夏季には改めて係別の研修会を開催し、さらに詳細な業務内容の説明や意見交換を行う予定です。
管内で鳥インフルエンザが発生した際に、後方支援を円滑に実施するには、職員の意識醸成とスキルアップが必要です。当課では、今後も係別研修や防疫演習等様々な研修を行うことにより、局内の各職員及び管内関係機関が自らの役割を認識し、円滑に防疫作業のサポートができるような体制を構築していきます。

2024年6月

葉色測定会の様子
ドローンによる赤かび防除の様子

高品質小麦“プレミアムT”生産への取組みと麦類赤かび病防除徹底の周知

小麦「ミナミノカオリ」の県内有数の産地である玉名地域では、パン加工適性の高いタンパク含有率12.5%以上の小麦を「プレミアムT」(製造販売:熊本製粉(株))というブランド名で販売しています。
JAたまな及び当課は、小麦の高品質化を進めるにあたり、タンパク含有率を高めるために重要な「実(み)肥(ごえ)」の時期である穂揃い期前に、各生産者がほ場から持ち寄った株の上位第2葉の葉色と長さを測定し、ほ場ごとの適正施肥量を診断する取り組みを実施しています。今年は葉色測定会を4月3日~6日に実施し、診断結果を生産者に提供することで適正施肥量の徹底につなげました。
本年産の麦は生育が平年に比べて早いため、赤かび病の防除適期が早まっています。さらに気温が高く、雨の日が続いているため多発条件となっています。赤かび病は人畜に有害なかび毒によって収穫物の汚染を引き起こすため、JA等関係機関と連携して防除の徹底について生産者へ周知しています。
当課では、今後も関係機関と連携しながら、高品質小麦の生産振興に取り組んでいきます。

※「プレミアムT」のTは“Tamana”、“Tasty”、“Traditional”の3つの意味

2024年4月

研修会議の様子
現地検討会の様子

玉名地域鳥獣被害防止対策研修会の開催

玉名管内の野生鳥獣による農作物の被害額は、5,600万円(令和4年度)を超えており、特に、イノシシの被害は市町を超えて広範囲に及んでいます。また、近年では、干拓地においてカモによるブロッコリー・キャベツ、麦等の被害が増加傾向であり、カモ対策は喫緊の課題です。
そこで、玉名地域における被害状況や課題を共有し、広域的な鳥獣被害対策につなげるため、令和6年3月8日に関係機関担当者を参集して研修会を開催しました。
講習会では、熊本県えづけSTOP!ソリューションアドバイザーとして活躍されている㈱イノPの稲葉達也氏を講師に迎え、自分たちで対策をすることの重要性やICTを活用した捕獲等について講演をいただきました。次に、カモ被害対策を実施している玉名市の横島干拓のキャベツ畑にて検討会を実施しました。
今後は、地元捕獲隊による捕獲や防鳥ネットによる侵入防止、またレーザーライトや爆音機等複数の取組を組み合わせ、継続的に実施することで被害を少しでも減らせるよう、関係機関と連携・協力し、対策に取り組んでいきます。

2024年4月

露地ナス畝立前の滞水状況(南関町米田地区)
ショウガ種苗の貯蔵試験(和水町上久井原地区)

持続可能な中山間地域を支える園芸品目の定着を目指して(玉名) ~中山間農業モデル地区の園芸作物定着支援~

玉名農業普及・振興課では、南関町及び和水町の中山間農業モデル地区を対象に、地域営農組織の収益性の向上につなげる園芸作物の定着を支援しています。
その中で、地域の特産である夏秋ナスの生産に取り組む南関町の米田地区は、昨年、防除作業の遅れから収穫量が前年より減少しました。この背景には、作業や機械利用を共同で行う地域営農組織は、天候の変化や病害虫の発生等への迅速な対応が難しいという点があります。本年も春の記録的な豪雨による定植作業への影響が懸念されております。こうした中、当課では、ナスの定植までの作業工程を整理し、天候や人出に影響なく進められる作業を抽出し、できることから着実な早めの対応を指導しています。
また、地域の新たな特産品としてショウガの栽培に取り組む和水町の上久井原地区では、安定生産に不可欠な種苗貯蔵に関する低コストな方法を関係者と検証しています。今季は室内保管を併用した簡素な資材での越冬貯蔵法が実証され、今後の安定貯蔵に向けた足掛かりを掴むことができました。
当課では、今後も、地域営農組織の経営の安定化に向け、関係機関と協力して、収益性が期待される園芸作物が地域で安定して生産できるように支援していきます。

2024年4月

授粉用花粉取りの様子
「新高」満開期の花の様子(3/29)

産地を挙げた花粉確保によりR6年産のナシ生産が順調にスタート

昨年の9月、中国で果樹に甚大な被害を与える火傷病が発生し、中国産ナシ花粉が輸入停止となりました。輸入停止は当地域の生産者にも影響を与え、管内で23名の生産者が花粉不足になることが分かりました。これを受け、産地では産地内で安定的に花粉を確保できる体制を確立するため、ビニールハウスや開葯機等の施設・機械を補助事業(次代につながる果樹産地づくり支援事業)を活用して導入するとともに、花粉採取技術の確立を目指し、2月から自家採取花粉の採取実証に取り組みました。
その結果、2月下旬までに授粉樹をビニール被覆したことで開花が早まり、「新高」の開花が始まる前に十分量の花粉が採取できました。併せて、花粉が不足する生産者に対しても、受粉樹を持つ生産者が花粉採取用の花・枝を提供する生産者間連携により、花粉を十分確保することができました。
今年は開花期に降雨が多く、生産者は適期授粉に苦慮しましたが、丁寧に筆で授粉を徹底し、十分な着果量が確保できる見込みです。
今後も当課では産地内で安定的に花粉を確保できる体制を確立するため、花粉採取用「新興」の新植や高接ぎの推進及び花粉が不足する生産者へのマッチング等の支援を行っていきます。

2024年4月

神奈川県農業技術センターでの研修の様子(11/17)
JVトレリス接ぎ木研修会の様子(3/14)

荒尾ナシの生産基盤の維持に向けて~若手農家がジョイントV字トレリス樹形を初導入~

荒尾特産のナシ「新高」は近年温暖化の影響で、晩霜害やみつ症等が発生し、生産が不安定となっています。このため、当課ではJAたまな荒尾ナシ部会の青年部を対象に、温暖化の影響を受けにくい優良品種への改植推進と同時に、省力栽培技術であるジョイントV字トレリス樹形(以下、JVトレリス)をすすめています。
今年度、青年部の2名が補助事業(産地パワーアップ事業)を活用し、JVトレリスを導入することになりました。玉名地域では初の取組みであり、棚を自主施工するため、11月13日に講師を招いて棚施工の現地検討会を行い、導入する2名に加え青年部3名も参加し、試行錯誤しながら棚を施工しました。
また、11月17日には青年部でジョイント栽培を開発した神奈川県農業技術センターへ視察を行い、JVトレリス樹を実際に見て、これまでの生育状況や収量、栽培管理のポイントなどを学びました。その後、12月に苗木の植付けを完了し、3月に接ぎ木(ジョイント)を完成させました。
革新支援センター等の協力も得ながら、技術指導等の支援を継続し、この2園が地域のモデルとなるよう育成していきます。
※ジョイントV字トレリス樹形:主枝高を従来のジョイント栽培より低く、70~80cmの高さとし、そこから側枝を仰角60°に斜立させ、架線に誘引する樹形。

2024年4月

(農)野口指導会

地域営農法人の経営安定をめざして

玉名地域には地域営農法人が平坦地域に6法人、中山間地域に2法人ありますが、法人毎に様々な運営がなされており異なる課題があります。
そこで、それらの課題を解決することにより、法人の経営安定を図ることを目的として、今年度は平坦地域及び中山間地域の各1法人((農)野口及び(農)よなだ)を対象に、当課主催による個別経営改善指導会を開催しました。
まず、過去3期分の決算書により現在の当該法人の経営状況(収益性・健全性等)について分析・検討を行いました。次に、現在の課題を踏まえ、来年度の重点活動事項について各法人との意見交換を行いました。
(農)野口では昨年度から耕畜連携を開始して地力増進に努めており、特に大豆収量向上に向けて取組むことで収益力向上を目指しています。(農)よなだではここ数年、高収益作物として導入したナスの適正管理が上手く実施できていないため、法人の収益が減少してきています。そのため、来年度は収穫曜日ごとの作業班を組み、特定の人に作業が集中しないように改善することで、ナスの適正管理による収益力向上に取り組んでいきます。
当課では、各法人の抱える様々な課題解決を支援し、地域営農法人の継続的かつ安定した経営が可能となるよう、より一層の経営支援を実施していきます。

2024年3月

森川竜典氏ほ場視察風景
丹生敏也氏ほ場視察風景

農業振興同友会冬期研修会開催

玉名地方農業振興同友会では、2月27日に冬期研修会を開催しました。当日は14名の会員参加(うち夫婦2組)のもと、会員である玉名市横島町の森川竜典氏(㈱イチゴラス)のイチゴ経営と本年度加入の丹生敏也氏のミニトマト経営の視察を行いました。
森川氏のほ場では、「淡雪(白イチゴ)」の生育状況を視察しつつ、力を入れられている輸出関連の取り組みについて説明を受けました。森川氏は9カ国に輸出しており、販売先を商社に極力頼らず、国の補助事業を活用して独力で開拓していることやその際の手法等、興味深い話の数々に参加者からも質問が次々と出され、活発な意見交換が行われました。
次に丹生氏のほ場では、ミニトマトの経営概況に始まり、新たな取り組みとしてスイートコーン栽培を始めたことやそれを利用した加工への取り組みも検討していること、キノコの菌床を使ったたい肥生産のこと等について話していただきました。丹生氏のハウスには摘葉した葉等の残渣がほとんど見当たらず、整然と管理されたハウスの状況に参加者は感心しきりでした。
農業普及・振興課では、今後も同友会の円滑な運営を支援していきます。

2024年3月

耕畜連携でコスト削減と地力アップ!

玉名市の(農)野口では、令和4年度から菊池地域の畜産農家と連携して稲わらと堆肥を交換する「耕畜連携」に取組んでいます。昨年度は初めての取組みということで、試験的に6haのほ場で行いましたが、今年度は本格的に組合員へ要望調査を行い、法人管理及び組合員個人管理のほ場合わせて約23.6haで耕畜連携に取組みました。
近年、同法人では地力の低下等による大豆の収量低下が問題となっており、堆肥の連続施用による地力の回復と大豆の収量向上を目指しています。そのため、農業普及・振興課では今年度から、堆肥施用区と無施用区を設けて収量調査及び土壌分析を実施しており、堆肥施用による効果の有無を今後継続して評価していきます。
資材高騰・担い手不足が叫ばれる昨今において、耕畜連携の取組みは耕種農家側には低コスト化及び収量・品質の向上が期待でき、畜産農家側は国産粗飼料の確保と堆肥処理ができる非常に有用な取組みであり、その効果を検証することで、今後地域の他法人においても同様の取組みが波及していくことを目指しています。
農業普及・振興課では、引き続き畜産農家側との調整や土壌成分の経時推移、また適切な施用量の指導等により、本取組みの円滑な継続支援と効果検証を行うことで、耕種農家、畜産農家双方のより良い経営を目指していきます。

2024年3月

視察研修の様子(JA全農ふくおか)
視察研修の様子(JAみい)

野菜技術部会先進地視察研修の開催!~JA全農ふくおか青果物パックセンター・JAみい園芸流通センターについて~

玉名地方農業普及指導協議会野菜部会((一社)熊本県野菜振興協会玉名支部)では1月23日技術部会の先進地視察研修で、JA指導員など12名で福岡県の2箇所の施設を視察しました。
JA全農ふくおか青果物パックセンター(福岡県大木町)では、厳しい衛生管理の中でいちごの集荷、パック作業が行われ、特定技能実習生が16名雇用されていました。特定技能実習生は契約会社に年間雇用され、11月~4月は福岡県でいちごのパック詰めの作業、5月~10月は北海道でトマトの栽培管理・収穫作業を行っているとのことでした。
JAみい園芸流通センター(福岡県久留米市)では、「年間を通じて出荷できる野菜があり、市場から一年中産地の名前が消えない産地づくりと栽培体系を目指す」との販売理念のもと、年間で71品目を38の生産部会で栽培・出荷されていました。また、地域に先がけた鮮度保持対策として、集出荷の保冷及び予冷庫によるコールドチェーンの取組が行われていました。さらに、生産者の4割が20~40歳代の後継者でありました。
今後も、JAからの様々な要望を聞きながら先進地視察の企画を行い、技術部会員であるJAの営農指導員のレベルアップのために支援をしていきます。

2024年3月

研修会:就農支援情報の提供
研修会:農業経営

新規就農者研修会の開催

令和6年1月30日(火)、玉名市、玉東町、和水町、南関町の1市3町で組織する玉名圏域定住自立圏形成推進会議の農政分科会が、新規就農者を対象に研修会を開催しました。
研修会には、新規就農者13人と関係者6人の出席がありました。初めに、玉名市から就農支援に関する情報提供があり、その後、農業普及・振興課の職員2人が農業経営と農作業安全等についての講話を行いました。農業経営管理においては、経営成果を数字として客観的に把握することの重要性や青色申告のメリット、インボイス制度などの税務の基礎について説明を行いました。農作業安全等については、農作業事故及び刈払機の安全な使い方のDVD視聴を行った後、施設園芸栽培における省エネ技術の紹介を行いました。
研修会終了後は、新規就農相談や就農支援の事業等について個別に質問がありました。また、研修会アンケートでは、「インボイス制度がよく分かった」、「農作業安全では思い当たる危険な体験があった」などの意見がありました。
当課では、今後も関係機関などと連携し、新規就農者の資質向上のための支援を行っていきます。

2024年2月

講師の山野氏の説明を聞く園児たち
真剣に花苗を植えている園児たち

保育園で花育~花の寄せ植え体験~

12月14日(木)に玉名地方農業普及指導協議会花き部会・花き協会玉名支部の活動の一環として、玉東町の「認定こども園 山北保育園」にて、花の寄せ植え体験を初めて行いました。一人一つ寄せ植えをつくり育ててもらうだけでなく、作った寄せ植えを保育園に展示することで、保護者にも関心を持ってもらい、花きの消費拡大につながる取り組みとなっています。講師には、玉東町で10年以上花苗・野菜苗を生産しており、ひまわりクラブ※の会長でもある山野美佐子氏に来ていただきました。
当日の参加者は、年長児19名、園の先生5名、玉東町役場2名でした。たくさんの種類から花苗を選ぶ際、好きな色の苗を選ぶ子やつぼみが多くついている苗を選ぶ子と、年長児たちが楽しそうに選んでいる姿や真剣に取り組んでいる姿が見られました。後日、園の先生より、寄せ植え後に雨が降った様子をみて「雨が降ってお花が喜ぶね」と園庭を見つめながらつぶやいている年長児がいたと伺いました。寄せ植え前に、園長先生より花の命について話をいただいたこともあり、花に優しい気持ちを寄せてくれたと感じました。その話を伺ったとき、みなさんの協力があってこそできた企画だと改めて感じました。
次年度以降も花育や展示を通して、花の消費拡大や興味・関心をもてる機会をつくりたいと考えています。

※ひまわりクラブ:玉名地方農業女性アドバイザーネットワークの呼称

2024年2月

豊水地区での協議(12/18)
伊倉地区での協議(12/20)

地域計画策定に向け玉名市で協議が始まりました

農業経営基盤強化促進法等の一部改正により、地域での話し合いにより目指すべき将来の農地利用の姿を明確化する「地域計画」の策定が令和6年度末までに各市町に求められています。玉名管内6市町では各市町の農業や担い手の状況に応じて、各市町に合った方法で計画策定に向けた動きが始まっています。
玉名市では、「協議の場」に参集する農業者を把握するため、経営拡大意向なのか、今後どの地区でどの程度拡大意向なのか等、詳細なアンケートが中心経営体(認定農業者や新規就農者等)923名に対して実施されました。アンケート提出期間は2か月間とされていましたが、提出期間内での回収率が34.8%と低かったため、その後、アンケート未回答者には農業委員や農地利用最適化推進委員による個別訪問での回答依頼や担当による電話聞き取りなどを実施されました。結果的にアンケート回収には4か月を要しましたが、最終的な回収率は93.3%となり、回収されたアンケートを基に現況地図が作成され、12月中旬から各地区で協議が始まりました。
当課は今後各市町の農地集積促進チーム員として「協議の場」へ参加するとともに各市町の進捗や優良事例等入手した有益な情報を管内市町に情報共有することで「地域計画」策定の取組みを支援していきます。

2024年2月

研修会の様子(青年部会員)
研修会の様子(放飼の手ほどき)

いちごのアザミウマ対策として天敵放飼

玉名地域はいちごの栽培が盛んで、200戸の農家が約50haを栽培しています。主な品種は「ゆうべに」が35ha、「恋みのり」が14haです。今年も9月下旬に定植を終え、11月中旬からいちごの出荷が始まりました。
しかしながら、近年、収穫初期からのアザミウマの果実食害による品質低下が大きな課題となっています。
そこで、JAたまな横島いちご部会青年部では、11月8日にアザミウマの天敵である、※ククメリスカブリダニを放飼する防除の研修を実施しました。まず、農薬メーカーであるアリスタライフサイエンスの地域担当より、放飼の手ほどきを受けて、その後、各自放飼を行いました。
防除のポイントとしては、「11月末までと翌年4月以降は、野外のアザミウマをハウス内に入れないこと。12月~5月末までは、天敵導入によりハウス内でアザミウマの増殖をさせないこと。」を生産者相互で確認をしました。
令和5年産いちごの品質安定、収量増加のために、農業普及・振興課も化学農薬の使用を抑えた環境に優しい栽培体系を支援していく予定です。

※アザミウマを補食する天敵。商品名称:ククメリスEX

2024年2月

プロジェクト発表の様子
集合写真

「第63回玉名地方青年農業者会議」を開催~若手農業者の課題解決を支援~

12月18日、玉名地方青年農業者クラブ連絡協議会による「第63回玉名地方青年農業者会議」が開催されました。4年振りの通常開催となり、クラブ員をはじめ、来賓、青年農業者クラブOBと多数の出席者のもと、意見発表部門2点とプロジェクト部門5点の発表が行われました。
当課では、プロジェクトに取り組むクラブ員に部門担当者を割り当てており、各々の課題解決に向け、経営や栽培技術面で定期的に助言・指導を行いながらクラブ員が主体的に取り組むよう、支援をしてきました。
当日の発表でクラブ員は、新規品目の導入検討や作業の平準化に向けた調査、地域や地元小学校との取り組みといった課題設定を、わかりやすく工夫して発表を行いました。発表内容はいずれも、地域代表選考では甲乙つけがたく、審査員を悩ませました。地域代表に選出されたクラブ員は、2月に実施される県大会へ向けて、発表内容をさらにブラッシュアップしていきます。
玉名地域のクラブ員は平均年齢が20代と若く、様々な活動を通して、同年代で切磋琢磨し合う学びの場として、4HCクラブは重要な組織です。引き続き関係機関と連携して、地域を支える若手農業者の育成支援に取り組んでいきます。

2024年1月

家畜防疫後方支援体制のブラッシュアップ

玉名地域では、令和3年度の南関町における高病原性鳥インフルエンザ発生時の後方支援に多くの課題が浮き彫りとなったことを受け、見直しを進めています。令和4年度は局内応援体制の変更、消毒ポイント、支援センター候補地のレイアウト作成や見直し、現場事務所レイアウトの作成等を行いました。
今年度は、養鶏場の立入調査や上記レイアウトの見直し・更新作業と並行しながら、8月から9月にかけて地域支援対策本部(総務班)、支援センター、現場事務所、消毒ポイント、通行規制の5班に分けた係別の座学研修を実施しました。発生時に実際に業務にあたる少人数で座学を行うことで、より具体的な質問や、令和3年発生時に実際に業務にあたった人からの貴重な意見を共有することができ、非常に良い研修となりました。
また、6月に市町の防疫担当者会議の開催、10月に管内警察署、建設業協会への協力依頼事項の説明を行い、関係機関との連携強化も図りました。
シーズン直前の10月31日には、玉名地域家畜防疫研修会を開催し、局内、市町、警察、建設業協会における発生時の役割を全員で再確認し、今シーズンの発生に備え、認識の統一を行いました。
まずは発生させないことが一番ですが、万一の際には迅速かつ的確な後方支援ができるよう、引き続き課題を整理し、局内及び管内関係組織と連携を図りながら体制づくりを進めていきます。

2024年1月

全体研修会の風景
女性部研修会の風景

玉名地域認定農業者連絡会議各種研修会開催

玉名地域認定農業者連絡会議では、11月9日に経営継承と雇用の確保をテーマに全体研修会を開催し、当日は会員21名、関係機関9名の参加がありました。さらに、11月21日には女性部研修会を開催、福岡県三潴郡大木町のグリル&ビュッフェくるるんの視察研修と代表からの講演をいただき、参加者は会員21名、関係機関2名でした。
これらの研修会は役員会において、連絡会議会長の推薦で事業継承のコンサルタントを行う株式会社南星の山田紘志氏、次に複数役員からの希望でスマホアプリを使って農作業の労働力確保に取り組む株式会社タイミーが全体研修会の講師に決定。また、女性部からは女性農業者で黄綬褒章を受勲された松藤富士子氏の取り組みを知りたいという希望から研修会が実現しました。
全体研修会では、実際にタイミーを利用して労働力を確保した管内柑橘生産者が使い勝手や感想を話す場面があり、参加者が特に興味を示していました。女性部研修会では、女性だけでキノコの生産法人を立ち上げ、その後農家レストランの代表となった松藤氏のお話に参加者は聞きいっていました。
農業普及・振興課では、今後も玉名地域認定農業者連絡会議の会員のニーズに合った研修会開催を通じて、会員の資質向上を支援していきます。

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