2025年のエリア普及現地情報

2025年4月

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視察研修の様子
生産者説明会の様子

実需のニーズに対応!大麦「はるか二条」への全量切替えに向けて

近年、国産大麦の需要が高まっており、実需者のニーズに応じた品種の選定・生産体制の確立が求められています。現在、玉名管内では県の奨励品種である大麦「はるしずく」が約201ha作付されていますが、実需者側からは加工適性面で評価が高い「はるか二条」の生産が求められていました。
そこで、「はるか二条」の品種・品質特性を把握すべく、品種育成地である九州沖縄農業研究センター(筑後・久留米研究拠点)を視察したのち、生産者への説明会及び管内生産者ほ場の視察がJAたまな主催で開催されました。当課では講師との連絡調整や生産者説明会へ対応しました。
「はるか二条」は早生で倒伏しにくく、「はるしずく」に比べやや多収の品種です。管内で「はるか二条」を作付けして4年目となる生産者からは、作業性が良く収量も良い(R6年産「はるか二条」:512㎏/10a、R6年産管内「はるしずく」:393㎏/10a)との声もあり、JAたまなでは令和8年産大麦から全量切替えが決定しました。
一方、「はるしずく」に比べ、出穂前の低温で不稔になりやすい点や麦類の流通に影響する「赤かび病」の抵抗性がやや劣るなどの留意点があります。当課ではJAと協力し、品種特性に応じた栽培管理や病害虫防除の指導により、高品質で安定した大麦の生産を目指します。

2025年4月

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トマトのチェックリスト
柑橘の対策周知資料

地域一丸となった温暖化対策の実践にむけて玉名地方温暖化対応プロジェクトチーム会議の開催

玉名地域では温暖化に対応し、農業生産を維持していくために、12月にJA、市町、共済、県で組織する温暖化対応プロジェクトチーム(以下、PTという)を設置し、活動しています。
3月4日には各部会の活動状況の報告及びPT全体としての今後の方針を確認するため、PT会議を開催しました。各部会から短期的と中長期的に整理した対策と、農家への周知の状況及び今後の実施計画について説明しました。
品目ごとの具体的対策として、短期では水稲の適期管理、トマトのほ場準備の改善や遮光資材の活用、ミカンの安定生産技術の実践等、また、中長期では水稲やナシの耐暑性品種の導入、施設整備等を検討しながら進めていくことを各部会から報告しました。
また、市町からは、情報が確実に農家に伝わるような情報提供の方法について意見が出され、協議した結果、水稲ではJA広報紙やホームページ等を活用して農家へ広く周知を図っていくこととしました。
PT全体で情報共有することで、対策についての認識が統一され、対策推進につながる有意義な会議となりました。今後は、対策を農家へ周知し、確実に実践してもらうため、各組織が一丸となって取り組んでいきます。

2025年4月

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地下茎の堀り上げの様子
定植の様子

高品質のホオズキ生産を目指して 令和7年産の定植

玉名地域では、地域における農業生産の核となる地域営農法人の育成に力を入れています。その中でも中山間地の営農法人の経営安定を図るため、新規作物の導入を支援しており、和水町の板楠や小原地区では、令和元年からホオズキの生産に取り組んでいます。
2月10日に組合員6名が令和7年産の定植を行いました。ハウス2棟に2日前に堀り上げ消毒した地下茎を丁寧に定植していきました。ホオズキ導入当初は、すべての作業が初めてで試行錯誤ばかりでしたが、7作目の今年は、準備から作業の段取りまで、効率よく、役割分担して進めることができました。
令和6年産は、5月に入りに障害果が発生したため、改善策として11月にカットブレーカーを用いて土層改良を行いました。今後もCa剤の施用や適正な水管理等を指導し、令和6年産を上回る出荷率を目指します。そして、営農法人の経営安定につながるよう支援を継続します。

※ホオズキの定植:ホオズキは前作のホオから種子を採取し、セルトレイで幼苗まで育苗し、育苗床に定植する。この苗から地下茎を掘り上げ、地下茎を2芽程度に調整し、本圃に定植する。

2025年4月

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玉名市横島地区の新たな特産品を目指して! ~若手生産者達による横島ダイコン産地化プロジェクト~

玉名市横島地区は、施設園芸の一大産地ですが、沿岸干拓地では2ha区画の大規模水田で冬季はキャベツ等の露地野菜が栽培されています。令和5年(2023年)の春に干拓地区の4Hクラブ員からダイコン栽培の相談がありました。誰も取り組んだことがないというシンプルな動機でしたが、県内でも事例の少ない5~6月出荷で、かつ転換畑でのダイコン作付けは、全国的にも北陸地方の一部での確認にとどまりました。加えて大規模ほ場でのマルチやトンネル等の資材を用いない完全露地栽培となるため、当課は注意すべき病害虫等の情報提供を行い、プロジェクト活動として伴走しました。
初年目は25アールの取り組みで出芽率が5割と低く、採れたダイコンも害虫被害による等級低下で収益は上がりませんでした。それでも、一部は1本2kgを超える立派なダイコンが取れたことから、4Hクラブ員が自ら知り合いの漬物業者に相談し、次のシーズンから漬物原料用に出荷できることになりました。2年目の令和6年産では仲間の4Hクラブ員2名が加わり面積が1.2haに拡大、人出を要した出荷調整作業を機械化したことで全ての経費を加えても黒字化に成功しました。この取り組みを地方のプロジェクト活動発表会で紹介したところ、審査員として来ていた青年農業士に波及し、令和7年産では4Hクラブ員4名と青年農業士8名が加わり、全体で5.5haに拡大して作付けが行われることとなりました。
当課では、引き続き4Hクラブ員及び青年農業士のプロジェクト活動として地域の新たな特産品の定着につながるように支援を継続して参ります。

2025年4月

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研修会の様子
栗振興策の講演の様子

玉名地方農業振興同友会冬期研修会開催!

玉名地方農業振興同友会では、2月13日に山鹿市役所において冬期研修会を開催し、山鹿市の栗振興施策及び担い手対策に係る山鹿市担い手育成総合支援協議会とJAかもとの取り組みを研修しました。今回の研修会は、役員から山鹿市が独自に行っている栗振興施策を研修したいという要望があがったことから企画され、当日は会員10名、関係機関3名が参加しました。
最初に山鹿市役所農業振興課の北原審議員から「やまが和栗日本一プロジェクト事業」について、栗生産の歴史から栽培・生産の現況、ブランド化に向けてのやまが和栗振興協議会設立や11月に鹿北町で開催された全国モンブラン大会実施に至る経緯等の説明を受けました。その取り組みは大変興味深く、参加者からは次々に質問が寄せられ、会員の関心の高さが伺えました。
また、担い手対策関連の講演でも同様に活発な質疑応答が行われ、もっと多くの会員に聞いてほしかった。という声があがっていました。
当課では、今後も同友会員の経営発展に繋がる活動を支援していきます。

2025年4月

new
全体研修会状況
品目毎研修会状況

新規就農者を対象とした第3回新規就農者研修会の開催

玉名地域の新規就農者(就農後5年未満)を対象に、今後とも営農を継続し、安定的な農業経営の確立に資するとともに、早期の栽培技術の習得や経営の更なる改善を図るために、本年度は10月と11月に2回の新規就農者研修会を実施してきました。
今回の第3回新規就農者研修会では、先導農家の経営内容を少しでも今後の経営の参考にしていただくために、農業コンクール大会のコンペ部門に参加された3名の農業者による事例発表を行いました。また、日ごろから新規就農者が、気軽に相談できる体制を整えるため、部門別(野菜・果樹・水稲)に分かれて指導農業士等の先導農家との意見交換会を開催しました。
当日は14名の新規就農者が参加し、事例発表では、施設園芸・果樹・有機栽培+直売と幅広い経営の中で、参加者の今後の経営の参考となる発表であり、参加者からは活発な質問が飛び交い、新規就農者が今後の経営を考える一助になったと感じました。
また、各部門別に分かれた意見交換会では、新規就農者からの質問等に対して先導農家から的確な助言をいただき、安心して、いつでも相談できる雰囲気作りができたと感じました。
次年度も、引き続き研修会や巡回指導を通じて、新規就農者の経営改善に向けた支援強化を行うことにしています。

2025年3月

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研修会の内容

荒尾梨を未来につなぐために 全体研修会

荒尾地域はナシの産地で、特に「新高」は「荒尾梨」という特産品として広く認知されています。しかし、近年は、温暖化に起因する生理障害の発生が頻発し、それに伴い生産者数も減少の一途をたどっています。特に令和6年産は「新高」でミツ症の発生が甚大で、農家経営を圧迫する深刻な課題となっています。
安定生産等により経営安定を図り、産地を維持するため、JAたまな、JAたまな荒尾梨部会、荒尾市、当課が共催で、1月23日に荒尾梨全体研修会を開催し、生産者約20名が出席しました。
まずは、JAたまなから「あきづき」のブランド化、荒尾市から事業継承の推進について説明があった後、当課から生産対策と今後の経営の考え方について説明をしました。ミツ症の発生については、気温から算定した成熟日数が10年前と比較し10日以上早くなっていることを踏まえ、すぐにできる対策(適期収穫、せん定・枝づくりの改善)、数年で実施する対策(かん水施設の整備、遮光ネットの整備)、そして「今やらなければならない対策」(品種更新)について、令和7年産は必ず一つは対策を実施することを強調しました。意見交換では品種更新や新たな品種の販売環境について、真剣に考える声が聞かれました。
荒尾梨は、令和9年で導入から120年を迎えます。この歴史ある産地を未来につなぐため、対策を実行し、経営を安定させることが急務です。生産者一人一人が考え、実行できるよう関係機関と連携し、支援、指導に力を入れていきます。

2025年3月

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選果状況
「ゆうばれ」

「熊本EC12」の取組み

玉名地域では、柑橘振興の一役を担う品種として「熊本EC12」が導入されています。
令和6年産の試験販売を経て本格出荷を迎えた令和7年産は、2名の生産者から約6tの出荷があり、1月7日と10日にJAたまな中央みかん選果場で選果が行われました。「熊本EC12」は果皮が弱いため、一つ一つトレーに乗せ、センサーで糖酸を測定し、丁寧に箱詰めされました。出荷された果実は、外観、内容とも良好で、基準をクリアした果実は「ゆうばれ」という商標で、主に東京や仙台に出荷されました。一部は、今年初めての取組みとなる台湾へ輸出されました。台湾は農薬検疫が厳しいため、生産段階で農薬の使用について、JAと連携し指導を徹底しました。
「熊本EC12」は、玉名地域では栽培の経験がまだ浅いため、生育特性や果実品質を把握し、販売方針を見極めながら、玉名地域での振興方針を検討していきます。

2025年3月

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新規就農者ヒアリング
作物担当による指導状況

新規就農者の経営安定に向けた下期巡回指導の実施

玉名地域の新規就農者は、新規学卒就農をはじめ、Uターン就農や新規参入と就農する形態も多様である中で、年齢層も20代から40代後半と幅広く、栽培作物や目指す経営の姿も多様化しています。
そのような中、新規就農者に対して技術の習得をはじめ、規模拡大等の支援のため、上期に引き続き下期においても巡回指導を実施しました。
巡回指導は、作物担当をはじめ、市町や農協等の関係機関と連携し、上期の巡回指導農家に加え、新たに12名の新規就農者を加えた39名に対して、11月から1月にかけて実施しました。併せて継続的な支援が実施できるように指導事項を記載した「新規就農者カード」の作成・更新を行い、その結果は各市町担当者にも情報共有し、今後の支援に役立てていただいています。
今回の巡回指導では、全般的に農業経営が順調の中でも、夏から秋口にかけての高温の影響により、大変苦労されている状況が伺えました。
次年度においては、引き続き就農5年未満の新規就農者に対して、関係機関一体となった巡回指導を実施することで、関係機関と情報共有を図り、新規就農者の経営改善に向けた支援強化を行うことにしています。

2025年2月

検討会の様子

青年部で荒尾梨の将来を守ろう 省力樹形(JVトレリス)等検討会

荒尾梨部会青年部は現在12名が在籍し、ともに技術研鑽、情報交換等を行っています。農家数が減少する中、産地を維持するためには、生産性の向上が重要です。その一環として、昨年、青年部の2名がJVトレリス仕立てを導入しました。今年、初めてのせん定となるため、12月23日にせん定検討会を行いました。導入した2ほ場で、枝の残し方や切り方等意見を出し合いながらせん定しました。その後、ベテラン農家のほ場で3本主枝樹形の苗木の仕立て方を勉強しました。普段は、他の農家のほ場を見たり、話しを聞く機会は少ないため、ベテラン農家の考え方や工夫を聞き、青年部は自分の失敗や上手くできなかったことなどを熱心に質問していました。
荒尾地域のナシ生産については、生産者数、栽培面積ともに減少の一途をたどっています。人数は少ないながらナシ栽培を引き継いでいる青年部は荒尾梨産地を守る重要な存在であり、当課としても関係機関一体となって組織活動を支援していきます。

2025年2月

温州ミカンの日焼け果
PT設置会議

温暖化における農業生産を考える玉名地方温暖化対応プロジェクトチームの設置

令和6年産の玉名地域の農業生産は、夏季の高温や少雨、冬季の低温不足に起因する生理障害の発生や生育ステージの変化により、各品目で生産量の減少及び品質の低下が問題となりました。特にイチゴの花芽分化遅れ、ミカンの日焼け果・裂果やナシのミツ症、水稲の白未熟粒米の発生は、農業経営に大きな影響を与えました。
今後も温暖化が進展すると想定され、現状のままでは農業経営が不安定になるばかりではなく、農業自体の継続が懸念されます。そこで、温暖化に適応し、玉名地域の農業生産の維持に向けて、プロジェクトチーム(以下、PT)を設置し、12月13日に会議を開催しました。PTは、玉名地方農業普及指導協議会の下部組織に位置付け、農業団体、市町、県に加えて、農業共済組合玉名支所の参画を得て発足しました。全体会議後、農産、野菜、果樹の3作業部会に分かれ、今年産の状況と気象要因分析、これまで実施してきた対策の検証等を検討しました。
今後は、各部会で検討を重ね、2月中旬には生産者へ短期的対策の提示をする予定です。温暖化を乗り越え、安定した農業生産が継続できるよう、玉名地域関係機関一丸となって実効性の高い対策の実践に取組んでいきます。

2025年2月

JAさがイチゴパックセンターの視察
佐賀県農業試験研究センターの視察

農業普及指導協議会野菜技術部会先進地視察研修の開催! ~JAさがいちごパックセンタ・佐賀県農業試験研究センタ~

玉名地方農業普及指導協議会野菜部会(野菜振興協会玉名支部)では、関係機関の野菜担当者の連携強化や資質向上等を目的に現地検討会、講演会、展示ほ調査等を行っています。その一環で、令和6年12月13日(金)に会員16名でJAさが白石イチゴパックセンターの稼働状況及び佐賀県農業試験研究センターでのイチゴ及びナス県育成品種の視察を行いました。
JAさが白石イチゴパックセンターでは、荷受け時にカメラが自動で選果・計量し、計測データからパックすべき果実がプロジェクターに表示され、パック詰めの時間と果実接触を減らしイチゴの傷みを最小化するスマート選果システムを視察しました。
佐賀県農業試験研究センターでは、県育成のナス品種「佐賀N4号」の基礎的栽培試験及びイチゴ品種「佐賀i9号」(商標名:いちごさん)の花芽早進化試験を視察しました。多収で果皮障害の少ない単為結果性ナス品種、良食味で多収な市場評価の高いイチゴ品種として両品種とも注目される一方、最適な耕種管理や年内収量の確保等の残された課題もあり、品種の強みを最大化すべく各種試験が行われていました。
参加者からは、「担当品目は違っても、スマート選果等参考になる点が多かった」、「花芽早進化等、今後の温暖化対策のヒントを得ることが出来た」等が聞かれました。
当部会では、今後も関係機関の野菜担当者のレベルアップと協力を通じた、足腰の強い野菜産地づくりを支援していきます。

2025年2月

プロジェクト発表の様子
プロジェクト発表の様子

「第64回玉名地方青年農業者会議」開催!!~若手農業者の課題解決を支援~

12月19日玉名地域振興局にて、玉名地方青年農業者クラブ連絡協議会と共同主催で「第64回玉名地方青年農業者会議」を開催しました。来賓、新規就農者など多数の出席者のもと、意見発表部門2点とプロジェクト発表部門6点の発表が行われました。
プロジェクトの活動内容については、クラブ員自らが考え、自身の経営改善に繋がるよう当課が支援しながら、発表に向けて準備をしてきました。
 発表内容については下記のとおりです。
①ミニトマトにおける法人化などによる経営改善
②玉名地域で栽培事例のないダイコンへの新たな挑戦
③イチゴ(ゆうべに)高設栽培と土耕栽培の作業性、収量性の比較
④イチゴとナスの栽培両立に係る労働時間の分析とイチゴの育苗関連資材を用いたクレオメ栽培
⑤横島町の小学校と保育園で実施した食育活動
⑥北稜高校生と共同で実施した商品開発(トマトのふりかけ)
各発表後には審査員との質疑応答や意見交換が活発に行われました。地域代表に選出されたクラブ員は、2月に開催される県大会に向けてより良い発表ができるよう内容のブラッシュアップをしていきます。

2025年2月

JVトレリス樹形栽培視察の様子
川登基盤整備地区説明の様子

玉名地域認定農業者連絡会議持ち回り研修会を初開催

玉名地域認定農業者連絡会議では、12月5日に荒尾市において持ち回り研修会を開催しました。この研修会は、令和5年度の役員会において管内各市町の特徴的な農業の取り組み等を学んではどうか、という提案に沿って年1回の開催が決定されたもので、初回となる今回は生産者12名、関係機関12名の参加でした。
研修内容は、荒尾市の特産物である梨に関して、オリジナル品種「有宝」を個人で育成された村上厚氏から品種開発の秘話をお聞きした後、省力栽培技術であるJVトレリス樹形の園地を視察しました。その後は近隣の「川登基盤整備地区」へ移動し、荒尾市役所農林水産課の担当から地区の概要や基盤整備の流れ等が説明されました。また換地地区委員長で、本整備において中心的に地区をまとめられた上田良一氏からも、当時の経緯を聴くことができました。
参加者からは各テーマ毎にいろいろな質疑が寄せられましたが、ほとんどの生産者が果樹農家だったこともあり、JVトレリス樹形園地における質疑応答や意見交換が盛んに行われていました。
次回は玉名市で開催予定となり、当課では、今後も認定農業者の経営改善を支援し
ていきます。

2025年1月

玉名地域家畜防疫演習を開催

11月7日に、玉名地域家畜防疫演習を開催しました。当地域では過去2回鳥インフルエンザが発生し、後方支援業務に関する多くの課題が浮き彫りとなったため、マニュアルの改訂や研修・演習の充実等、多くの改善に取り組んできました。
演習に先立ち、9月には係別の研修会を行い、マニュアルを見ながら応援者の動きや各職員の担当業務を確認しました。演習当日は、市町職員を含めた実際の発生時と同様の人数で、レイアウト案に基づいた動線の明示や、かご台車資材の受け入れ、TELETやiPad、モバイルプリンターを使った名簿の出力等を行い、より実践的な演習となりました。事前に係別研修を実施したことで、業務内容を把握し自ら動くことができましたが、想定より立ち上げ作業に時間がかかったり、振興局から持参した資材が上手く活用されていなかったり、動線が分かりづらい等の課題も見つかりました。一方で、演習参加者から「動線の明示方法として各エリアに番号を付けたら良いのではないか」等、自発的な提案や意見も出され、非常に有用な研修となりました。
今シーズンは過去最も早い初発事例に始まり、すでに昨シーズンの発生数を超えており、発生リスクが極めて高い状態となっています。
今後も引き続き各支援業務における課題を整理し、局内及び管内市町等と連携を図りながら、万一の際に迅速かつ的確な後方支援ができるよう体制づくりを進めていきます。

2025年1月

検討会の様子
実施後の土壌断面の様子

ホオズキの生産安定に向けて ~土壌改良検討会の開催~

和水町の小原ホオズキ生産組合では、令和2年から7月出荷ホオズキの生産に取り組んでいます。しかし、ここ数年、5月中旬頃からホオに枯れが生じる生理障害(ホオ枯れ)により、商品化率が著しく低下することが課題となっています。原因を調べるため作付後の7月中旬に土壌断面調査を行った結果、深さ21㎝あたりに耕盤層があり、有効土層が狭いことが分かりました。そのため、生理障害の軽減対策のひとつとして、農研機構が開発した「カットブレーカー」という心土破砕機を用いた耕盤層の破砕による土壌の物理性改善に取組むこととしました。
11月25日に、ハウス3棟にカットブレーカーで心土破砕を行ったところ、実施後の断面調査では、30㎝~35㎝あたりに切り込みが入っていることが確認できました。
今後は、生理障害軽減のため、土壌改良の効果検証も含めた調査や潅水管理の指導を集中的に行い、生産者が安定的に出荷できるよう支援していきます。

注)カットブレーカー:土にV字に切りこみをいれ、持ち上げた土を落とすことで、V字の破砕層を形成する機械。

2025年1月

光反射防虫ネットの様子
アザミウマの見取り調査の様子

イチゴ難防除害虫「アザミウマ」のIPM防除技術の確立を目指して

玉名地域のイチゴ栽培では、化学農薬による害虫防除を行っていますが、春季におけるアザミウマ類の多発生により品質および収量が著しく低下する事例が散見されています。また、花粉交配用ミツバチを導入している期間は使用できる農薬が限られているため、薬剤防除だけでなく、天敵や防虫ネット等を用いた複合的な防除体系(IPM防除技術)の確立が求められています。
そこで、令和5年度から地元JA、県農業革新支援センター、農業研究センター病害虫研究室と連携し、光反射防虫ネットによる物理的防除と天敵資材による生物的防除を組み合わせたIPM実証展示を行っています。昨年度は、防虫ネットによる春先の害虫の飛び込み抑制効果は確認できましたが、11月の天敵放飼時に害虫数が抑えられておらず、厳寒期にも害虫が増加し、春先は野外での発生より早くハウス内で害虫が増加しました。その結果を踏まえて、今年度は秋のビニル被覆後から天敵放飼までの防除を強化し、害虫の密度をできる限り低くしてから天敵が放飼できるように取り組みました。
その結果、野外の害虫数が昨年度の2~3倍と非常に多かったのに対して、ハウス内の害虫数は1花あたり0から0.03匹と昨年より抑えられている状況です。今後も継続して調査を行い、5月下旬の栽培終了まで調査を続け、高品質のイチゴの出荷につながるよう、IPM技術の確立に取り組んでいきます。

2025年1月

現地検討会ほ場の様子

若手生産者が農業コンクール大会受賞者を研修 ~地域の先進生産者に学ぶトマト・ミニトマト栽培~

玉名農業普及・振興課では、重点普及課題の中で、地域の主力品目であるトマト類栽培の将来を担う中核的な若手生産者の重点指導に取り組んでいます。これまでに個別面談や合同の現地検討会を通じ、個々の経営課題の解決や、資質向上に向けた指導を行っているところです。
その一環として、11月26日に若手生産者6名が、地域の農業コンクール受賞者3名を訪問する現地検討会を開催しました。訪問した3名は、大玉で30t/10a、ミニトマトで20t/10aレベルと地域平均を大きく上回る高収量を安定して上げており、早めの茎葉整理や病害虫防除の徹底など基本管理の徹底を最も重視されておられました。その上で、記録的な高温に対応する新たな遮光資材の展張や換気環境の改善など数々の工夫を取り入れておられ、その詳細を自ら説明いただきました。
特に「施設内の換気改善を進めたことで、0.3mm目合の防虫ネットを谷、サイドとも展張でき、施設環境の高温化を防ぎつつ、病害虫の発生をゼロ近くにできた」等の受賞者の話に若手生産者の多くが感心していました。
若手生産者の中には、受賞者に名刺を渡す等、今後の繋がりを作る姿が見られると共に、受賞者からは「若手の姿に地域の未来を感じた」との言葉が聞かれました。当課では、地域の先進生産者の協力を得ながら、若手生産者の経営課題の解決と資質向上を支援して参ります。

2025年1月

女性部研修会の様子
全体研修会の様子

玉名地域認定農業者連絡会議 各種研修会開催 ~働き方改革&労働力確保!~

玉名地域認定農業者連絡会議では、11月8日に株式会社みっちゃん工房の光永代表を講師に迎え、女性部研修会を開催しました。今回の研修会は、昨年の全国優良経営体表彰働き方改革部門で農林水産大臣賞を受賞された光永氏の取り組みを学ぶことを目的に、会員29名、関係機関7名の参加のもと開催されました。
講演では、旅行代理店で働いていた光永代表が就農した経緯から、その後の取り組みが紹介され、同じ経営者の立場にいる参加者と質疑応答が盛んに行われました。
また11月15日には、全ての会員に共通で、しかも喫緊の課題である労働力確保をテーマに、様々な業態で労働力を提供するサービスを行っている3社の担当者を講師に迎え、全体研修会を開催しました。全体研修会には会員18名、関係機関9名の参加がありました。
3社3様のサービスの特徴等について講演が行われ、問題意識を持つテーマだったためか、質疑応答には多くの質問が寄せられ、3社の中では、1日からでも依頼でき、住居の手配なども必要でない農作業受委託形式の業者への関心が高いようでした。
当課では、今後も認定農業者の経営改善を支援していきます。

2025年1月

研修会の様子

玉名地方青年農業士連絡協議会の認定証授与式及び研修会の開催 ~地域を共に担う若手生産者の仲間づくり~

玉名地域では、野菜や果樹、土地利用型作物等の生産に従事する満35歳未満の若手農業者が「玉名地方青年農業士連絡協議会」を組織し、農業普及・振興課と共に資質向上や地域を超えた仲間づくりを目的に研修活動等を行っています。
その一環として、令和6年12月6日に今年度新たに青年農業士に認定された8名に認定証が授与されました。令和2年度以降、新型コロナ感染症蔓延の影響で集合形式の認定証授与が見送られており、会長を含め協議会員の半数近くが認定証の授与を受けました。これまで、会員の多くが認定を受けずに活動してきており、今回の授与を契機に、青年農業士としての自覚を新たにしていました。
また、当日は、施設野菜の環境制御技術の専門家である深田正博氏を講師にお招きして、低コスト環境制御技術に関する研修会を開催しました。大変密度の濃い講演で、講演後の質問時間では足りない位の盛んな質疑応答がありました。参加者は、自分の施設でも、お金をかけずに取り組める環境制御技術が少なくないことに大きな刺激を受けていたようでした。
当課では、今後も玉名地域の将来を担う青年農業士の仲間づくりと資質向上を支援して参ります。

2025年1月

全体研修会状況
品目毎研修会状況

新規就農者を対象とした第2回新規就農者研修会の開催

玉名地域の新規就農者(就農後5年未満)は、新規学卒就農をはじめ、Uターン就農や新規参入と就農する形態も多様である中で、年齢層も18歳から70代前半と幅広く、栽培作物や目指す経営の姿も多様化しています。
そのような中、目標とする農業経営に向かって順調に経営できている新規就農者がいる反面、計画通りの経営ができていない新規就農者がいるのも事実です。
そこで、当課としては、新規就農者に対して、今後とも営農を継続し、安定的な農業経営の確立に資するとともに、早期の栽培技術の習得や経営の更なる改善を図るために、先月の第1回に引き続き、第2回新規就農者研修会を開催しました。
今回の研修会では12名の新規就農者が参加し、農業経営のセーフティネットとしての収入保険の制度説明や、病害虫の防除や農薬の基礎知識の全体研修に加え、品目別に分かれて更に詳細な病害虫対策について研修を実施しました。
各研修の中で活発な質問が飛び交い、新規就農者のやる気と貪欲な技術取得の意欲が伺えました。
特に各品目別に分かれた研修会を通じて新規就農者が、農業普及・振興課の部門担当にいつでも気軽に相談できる雰囲気作りができたと感じています。
今後、第3回研修会を2月に実施する予定です。今後とも新規就農者に対する支援を図り、新規就農者の経営改善に向けた支援強化を行うことにしています。

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