宇城エリア

宇城地域は宇土市、宇城市、下益城郡を所管しており、有明海と八代海に挟まれた海岸島しょ地域(宇土半島)、八代海に面した平坦地域及び九州山地の中山間地域と大きく3つの地域に区分され、異なる立地条件を生かした多彩な農業生産活動が展開されています。
海岸島しょ地域においては、不知火類や温州みかんをはじめとする柑橘類や洋ラン等の生産が行われ、平坦地域では、トマト、メロンなどの施設野菜やれんこん、米等が生産され、酪農等の畜産も営まれています。なかでも、柑橘類、鉢物類(洋ラン)、しょうが、れんこん、柿などの生産量は県内上位を占めており、県内における有数の農業地帯です。

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県央広域本部 宇城地域振興局 農業普及・振興課

〒869-0532 宇城市松橋町久具400-1

電話:0964-32-5090

FAX :0964-32-0373

宇城エリア普及現地情報

2024年10月

ドローン防除の様子
ドローン防除の様子

ショウガ栽培におけるスマート農業の取り組み ~ドローン防除の本格導入~

宇城地域では、ショウガが58ha※栽培されており、本県の主要産地となっています。主に、山間部の段々畑で栽培されており、特に夏季の厳しい暑さの中での農薬散布は大きな負担であるとともに、農薬散布に伴う土壌病害の病原菌の持ち込みに細心の注意を払っています。
このため、当課では、令和4~5年度の2年間、農薬散布作業の省力化と圃場への立ち入り回数の削減を目的に、ドローン防除の実証試験を行ってきました。
幾度も実証試験を重ね、農薬散布労力の削減効果や適切な散布方法が確認できたため、今年から生産者6名がドローン防除技術を導入しています。ドローンの操縦は民間会社に委託されており、6月中旬から9月上旬に計5回、ショウガの主要病害虫である白星病やハスモンヨトウの防除が行われました。ドローン防除技術の導入で、農薬散布労力や、圃場立ち入り回数が大幅に削減できており、目的どおりの成果につながっています。生産者からは、「作業が楽になった。今後もドローン防除のほ場を増やしたい。」との声が上がっており、今後更なる拡大が期待されます。
当課では、今後も引き続きショウガをはじめとした様々な品目でのスマート農業技術の普及、定着を進めながら地域農業の発展に尽力して参ります。

※令和6年産 JA熊本うき生姜専門部会面積

2024年10月

地域に密着した営農指導!JA営農指導員とともに早朝巡回を実施

7月から8月末まで実施されたJA熊本うき企画の野菜の早朝巡回に農業普及・振興課も出席し、JA営農指導員とともに生産者の巡回指導を実施しました。早朝巡回とは、JA熊本うきが対面指導の充実を図ることを目的に、7年前から始められた地域密着型の取り組みであり、夏季の暑い時間帯を避けて作業を実施する生産者の実状に合わせて、早朝(6時30分)から巡回指導を実施するものです。この取組みにより、実際に農作物の状況を確認しながら、対面での指導が可能となるため、適切な農薬の選択、栽培管理等を直接指導することができ、地域の生産力安定・向上につながっています。生産者も「栽培管理方法やどの農薬を散布していいのか等を作業開始前のタイミングで聞けるため、大変助かっている」とのことです。
農業普及・振興課は、今後もこうした地域密着型の営農指導に積極的に取り組むことで生産者及びJAとの信頼を構築するとともに、地域一体となった農作物の生産力安定・向上に努めていきます。

2024年9月

水稲の生育状況をみて今後の管理について

美里うまい米づくり会第1回現地検討会の開催

美里うまい米づくり会は、美里町のお米の食味向上とブランド化を進め、地域農業の活性化等に繋げることを目的として活動しています。会は、町主催の美里米食味コンクールや九州のお米食味コンクールなどにも出品し、会員からは入賞者がでています。また、県で進めている特A獲得を目指したおいしい米づくりに「くまさんの輝き」で取り組んでいます。会員の栽培面積20.7haのうち、くまさんの輝きは5.4haが作付けられており、この品種は食味値も優れていることから、今後、さらに増やしていきたいと考えられています。
会のメンバーの更なるレベルアップを目指して、7月14日に現地検討会を開催しました。3カ所のほ場を巡回し、美里町のアドバイザーからそれぞれのほ場の管理状況を、農業普及・振興課から今後のポイントとなる管理について説明しました。特に、うまい米づくりで重要な水管理については生育状況をみながらアドバイスをしており、今後も現地検討会をとおして、会員のレベルアップにつなげていきたいと思います。

2024年9月

生産者と密閉処理確認をしている様子
生産者と密閉処理確認をしている様子

トマトハウス密閉処理調査~宇城のトマトを守る!ハウスから害虫を出さない対策~

宇城地域のトマト栽培では、タバココナジラミが媒介するウイルス病であるトマト黄化葉巻病が問題となっています。タバココナジラミに対しては、多くの化学農薬が効きにくくなっており、ウイルスを保毒した成虫の移動を防ぐため「6月末までの栽培終了」「ハウスの密閉処理(作物を枯死させ、タバココナジラミを死滅させる)」「7月の1ヶ月間の休作期間の設置」を重点対策として取り組んでいます。
これらの対策は、地域全体で徹底することが重要であるため、6月17日~20日、7月8日~12日の2回にわたり、農業普及・振興課、市町、JA熊本うきの担当者で全トマトハウス(約200戸)において密閉処理状況調査を行いました。また、生産者に対しては、調査の主趣を説明するとともに、調査したハウスには「密閉処理確認票」の貼付をしました。
これらの対策でトマト黄化葉巻病の発生は減少傾向にあることから、当課では引き続き地域一体となり病害虫対策に取り組み、トマトの生産安定につなげていきます。

2024年9月

会議の様子

宇城地域トマト生産対策会議を開催

JA熊本うきのトマト担当職員、当課野菜づくり支援班員が宇城地域のトマト類の生産課題を話し合うため、農業革新支援センターをアドバイザーとして招いた標記会議を7月12日の午後からJA本所会議室で開催しました。
会議では、県内及び全国の産地においてミニトマトが増え大玉トマトが減少傾向であること、トマト黄化葉巻病対策である「ハウス密閉調査」で密閉が徹底されていたことを共有しました。
また、生産課題として、大玉トマトの秋の裂果と春の黄変果の対策として、適正品種を探すことになり、ミニトマトでは、購入苗のコスト増についてJAから言及があったため、今年度はコスト低減のための方策を模索することにしました。
なお、大玉トマト、ミニトマト共通して、市場ニーズに応える平準出荷を目標としているため、確認ほ場を設けたうえで定期的に巡回することが決まりました。
昨年度から始めた当会議ですが、関係者一緒になって宇城地域のトマト生産課題に正面から向き合う会議となり、昨年度と同様に有意義な会議となりました。
当課では、今後も関係者との議論を踏まえた効果的な対策を実施することで、安定生産の産地づくりにつなげていきます。

2024年9月

会議の様子

新規就農者確保・育成対策会議で、地域おこし協力隊の制度を活用した就農支援の取組みを共有

宇城地域では令和5年度に12名が新規就農しており、雇用就農者を加えると19名となっています。新たな担い手確保に苦戦している中、宇土市及び宇城市では、今年度から地域おこし協力隊の制度を活用した就農支援の取組みを開始するなど、新たな動きがあります。このような就農支援に係る取組みの共有及び連携強化のため、農業普及・振興課、市町、JA、就農支援アドバイザー等の関係機関が年に2、3回の頻度で標記会議を開催しており、今年度は第1回目を7月8日に開催しました。
会議では、はじめに当課から管内新規就農者の現況、就農支援に係る国や県の施策及び当課の事業スケジュール等を説明した後、各市町、JAからそれぞれの新規就農支援の取組みや今後の巡回指導予定等を説明してもらいました。意見交換では、地域おこし協力隊の取組みについて、制度設計や募集状況を問う質問が複数あがりました。
会議の後には、事例発表として、(一社)南阿蘇村農業みらい公社事務局長の山戸陸也氏をお招きして、令和3年度から受入れを継続されている地域おこし協力隊の取組みを含む新規就農支援等について、紹介していただきました。応募状況や事業のPR方法等、多くの質疑が寄せられ、各機関にとって今後の参考となる発表となりました。
当課では、今回の関係機関からの意見や要望をもとに、さらに連携を深めた支援により、新規就農者の確保や定着につなげていきます。

2024年9月

意見交換の様子
柑橘園でのドローン防除の様子

県を超えた青年農業者クラブの技術交流!宇城の青年農業者による柑橘園でのドローン防除の実演

7月19日、宇城地方青年農業者クラブ員が講師として、佐賀県の藤津青年農業者クラブ員(20名)に対して柑橘園でのドローン防除の実演を行いました。この交流は、柑橘園でのドローン導入を検討されている藤津青年農業者クラブ員の要請を受け、開催されました。ドローンでの薬剤防除を視察した藤津青年農業者クラブ員からは、「ドローンの操作方法や薬剤のかかり具合を直に確認することができ、有用性を理解できた」「資料には書かれていないドローンを使用する上での注意点を直に聞くことができて大変勉強になった」との声があり、非常に有意義な実演会になりました。
また、この交流の中で、「どの程度の規模なら個人で購入しても採算がとれるのか」といった誰もが思う疑問や、ドローンを導入する上で直面している課題などについても活発に意見交換が行われ、宇城地方青年農業者クラブ員にとっても貴重な学びの場となりました。
この活動は、青年農業者同士の交流と先進的技術の共有を目的としており、くまもとグリーン農業の推進においても非常に有意義な活動です。今後もこのような地域や県を超えた活発な交流活動を通して、地域農業の技術革新と青年農業者のスキル向上の支援を行っていきたいと思います。

2024年8月

不知火類のハウス
させぼ温州の根域制限栽培

次世代型果樹産地モデル、大口西部地区での営農始まる

宇城市三角町の大口西部地区では、平成28年度から畑地帯総合整備事業を活用して、平坦地での大規模な樹園地整備を進めています。
気象の影響などで工事が遅れ、営農開始の遅れも心配されましたが、農地整備課及びJAと連携し、工事車両と営農車両(業者及び生産者)の動線の区分けや、施設整備を含めて営農準備に入るほ場の順番を決めるなどして、効率良く作業を進め、本年より営農をスタートすることができました。新たに整備された13.5haのほ場では温州みかん、不知火類、大橘、清見等のかんきつ、イチジク、イチゴ等が栽培されています。
主に栽培されるかんきつでは、県や国の補助事業を活用し、加温ハウスとそれに附帯する環境測定装置やアシストスーツ等のスマート農業機器、高品質化を目指した根域制限栽培施設の整備が進み、6月にはほ場での最後の整備となる屋根かけハウスが竣工し、いよいよ次世代型果樹園の営農が始まりました。
今後は、令和8年度の工事完了を目指して、防風ネットやファームポンド、揚水ポンプ、農道の舗装を整備する予定です。
当課では今後、新稙されたかんきつ等の技術指導を通して、早期の高品質・安定生産の産地づくりにつなげていきます。

2024年8月

IPM設計会議の様子
現地視察の様子

虫がキュウリの産地を救う!?天敵を活用したIPM防除体系確立のための設計会議を開催

宇城地域のキュウリ栽培では、ウリ類退緑黄化病など、タバココナジラミが媒介するウイルス病が問題になっています。一方で、タバココナジラミに対しては多くの化学農薬が効きにくくなっており、生産現場では化学農薬だけに頼らない防除対策が求められています。また、化学農薬に頼らない技術は、資材高騰対策としても有効です。
そこで、宇城地域では「天敵※」を活用したIPM(総合的病害虫・雑草管理)防除体系の現地実証に取り組んでいます。これまでの2年間で天敵の有効性は確認でき、生産者からも「こんなに農薬を散布しないのは初めて」「これだけ効果が高いなら今後も使いたい」などの声があり、IPM防除技術は非常に好評です。一方で、天敵をうまく増殖させるための湿度管理の難しさなど課題も見つかりました。
令和6年度が本実証事業の最終年度になるため、全国農業改良普及支援協会やメーカーなどの関係機関とIPM設計会議を開催し、課題と調査計画、これまでの成果について入念に検討しました。
今後は、今回の検討や最後の実証を踏まえ、天敵を導入するための管理方法を精査し、生産現場に適応したIPM防除体系を確立させ、くまもとグリーン農業推進につなげて参ります。

※本事業では「リモニカスカブリダニ、スワルスキーカブリダニ」を放飼。

2024年8月

受賞写真
防蛾灯利用風景

JA熊本うき花倶楽部が農業電化協会長賞を受賞

JA熊本うき花倶楽部(以下、花倶楽部)が、令和5年度農業電化推進コンクール※で優秀賞(農業電化協会長賞)を受賞しました。
花倶楽部では、令和元年に宿根カスミソウでヨトウ類の防除を目的にLED防蛾灯を活用した展示ほを設置しました。その結果、ヨトウ類の食害被害は見られず生産者も高い効果を実感できたことで、令和2年から県補助事業を活用した導入が進んでいます。また、令和4年からはトルコギキョウでもアザミウマ類の防除のため赤色LED防虫灯が導入されています。
この全国に先駆けた、LED防蛾・防虫灯導入が農薬散布回数低減による作業の省力化や、害虫被害抑制による品質向上に大きく貢献していることが認められ今回の受賞に至りました。
現在、部会員数42戸のうち20戸が導入していますが、すでに導入した方々も年々導入面積を増やし、概ね所有する施設への導入が完了しています。
農業普及・振興課では、今後もJA等関係機関と連携し、更なる省力化と品質向上につながる取り組みを支援していきます。

※ 農業の電化による効率的な経営や、省エネルギー技術の向上・改善に対し、意欲的に取り組む個人、事業者、農業団体の優良事例を紹介、広めるために実施

2024年8月

宇城農業経営同友会の会長挨拶
農業経営講座の状況

宇城農業経営同友会の自主的勉強会第1弾

管内の県農業コンクール参加者で組織する宇城農業経営同友会は、昭和55年に発足し、現在48経営体の県内トップレベルの会員数を有しています。本年度に新たに3経営体を加え、毎年、自己研鑽はもとより地域創生、振興発展に貢献するスキル習得等のための会員相互の情報交換や国内外の動きを先取りした研修会等を実施しています。5月の本年度総会後、初めてとなる活動として、6月5日に農業経営講座の勉強会を開催しました。
今回の勉強会は、コロナ禍の中で連続講座の講師を務めていただいた株式会社農テラス代表取締役山下弘幸氏を招き、講座のまとめの位置づけで、『農業経営者の課題と未来』をテーマに開催しました。経営者の3つの使命(農業経営、業界改革、地域創生)で、経営力の3つ(収益、存続、成長)の差が生まれ、その結果、経営者の3つ(資本、時間、人財)の稼ぎにつながると強調され、その上で、世の中を俯瞰的に見た、『見極め力』が農業経営を伸ばすヒントであると総括されました。参加者からは、『志』をアップデートしたうえで、リーダー(経営者)に求められる資質を整理できたとの感想が出されるなど、個々に成果があった勉強会となりました。
当課では、引き続き、宇城農業経営同友会の活動支援を通して、認定農業者等の地域農業を担う人材育成・資質向上対策の取組みを進めてまいります。

2024年7月

野菜関係病害虫対策会議の様子

心を一つに!宇城地域の野菜病害虫対策会議を開催

今年の宇城地域の野菜病害虫の重点対策を生産者代表や市町、JAなど関係者が一堂に会して話し合う標記会議を5月20日に開催しました。
会議では、トマト黄化葉巻病やウリ類の退緑黄化病等のウイルスを媒介するコナジラミやアザミウマなどの微小害虫の防除対策について協議し、令和6年産の作柄安定に向けて、「出さない対策」として“栽培終了後のハウスの密閉処理を徹底すること”“密閉処理の確認をすべてのトマトハウスで行うこと”、「つながない対策」として“トマト類については7月の1か月間は本ぽに作付けしないこと”を柱とした今年の重点対策を会議の参加者全員で申し合わせました。
農業普及・振興課では、引き続き「地域と心を一つ」にして病害虫対策に取り組むなど、農産物の生産安定に向けた支援を行っていきます。

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