2024年のエリア普及現地情報

2024年10月

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ドローン防除の様子
ドローン防除の様子

ショウガ栽培におけるスマート農業の取り組み ~ドローン防除の本格導入~

宇城地域では、ショウガが58ha※栽培されており、本県の主要産地となっています。主に、山間部の段々畑で栽培されており、特に夏季の厳しい暑さの中での農薬散布は大きな負担であるとともに、農薬散布に伴う土壌病害の病原菌の持ち込みに細心の注意を払っています。
このため、当課では、令和4~5年度の2年間、農薬散布作業の省力化と圃場への立ち入り回数の削減を目的に、ドローン防除の実証試験を行ってきました。
幾度も実証試験を重ね、農薬散布労力の削減効果や適切な散布方法が確認できたため、今年から生産者6名がドローン防除技術を導入しています。ドローンの操縦は民間会社に委託されており、6月中旬から9月上旬に計5回、ショウガの主要病害虫である白星病やハスモンヨトウの防除が行われました。ドローン防除技術の導入で、農薬散布労力や、圃場立ち入り回数が大幅に削減できており、目的どおりの成果につながっています。生産者からは、「作業が楽になった。今後もドローン防除のほ場を増やしたい。」との声が上がっており、今後更なる拡大が期待されます。
当課では、今後も引き続きショウガをはじめとした様々な品目でのスマート農業技術の普及、定着を進めながら地域農業の発展に尽力して参ります。

※令和6年産 JA熊本うき生姜専門部会面積

2024年10月

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地域に密着した営農指導!JA営農指導員とともに早朝巡回を実施

7月から8月末まで実施されたJA熊本うき企画の野菜の早朝巡回に農業普及・振興課も出席し、JA営農指導員とともに生産者の巡回指導を実施しました。早朝巡回とは、JA熊本うきが対面指導の充実を図ることを目的に、7年前から始められた地域密着型の取り組みであり、夏季の暑い時間帯を避けて作業を実施する生産者の実状に合わせて、早朝(6時30分)から巡回指導を実施するものです。この取組みにより、実際に農作物の状況を確認しながら、対面での指導が可能となるため、適切な農薬の選択、栽培管理等を直接指導することができ、地域の生産力安定・向上につながっています。生産者も「栽培管理方法やどの農薬を散布していいのか等を作業開始前のタイミングで聞けるため、大変助かっている」とのことです。
農業普及・振興課は、今後もこうした地域密着型の営農指導に積極的に取り組むことで生産者及びJAとの信頼を構築するとともに、地域一体となった農作物の生産力安定・向上に努めていきます。

2024年9月

水稲の生育状況をみて今後の管理について

美里うまい米づくり会第1回現地検討会の開催

美里うまい米づくり会は、美里町のお米の食味向上とブランド化を進め、地域農業の活性化等に繋げることを目的として活動しています。会は、町主催の美里米食味コンクールや九州のお米食味コンクールなどにも出品し、会員からは入賞者がでています。また、県で進めている特A獲得を目指したおいしい米づくりに「くまさんの輝き」で取り組んでいます。会員の栽培面積20.7haのうち、くまさんの輝きは5.4haが作付けられており、この品種は食味値も優れていることから、今後、さらに増やしていきたいと考えられています。
会のメンバーの更なるレベルアップを目指して、7月14日に現地検討会を開催しました。3カ所のほ場を巡回し、美里町のアドバイザーからそれぞれのほ場の管理状況を、農業普及・振興課から今後のポイントとなる管理について説明しました。特に、うまい米づくりで重要な水管理については生育状況をみながらアドバイスをしており、今後も現地検討会をとおして、会員のレベルアップにつなげていきたいと思います。

2024年9月

生産者と密閉処理確認をしている様子
生産者と密閉処理確認をしている様子

トマトハウス密閉処理調査~宇城のトマトを守る!ハウスから害虫を出さない対策~

宇城地域のトマト栽培では、タバココナジラミが媒介するウイルス病であるトマト黄化葉巻病が問題となっています。タバココナジラミに対しては、多くの化学農薬が効きにくくなっており、ウイルスを保毒した成虫の移動を防ぐため「6月末までの栽培終了」「ハウスの密閉処理(作物を枯死させ、タバココナジラミを死滅させる)」「7月の1ヶ月間の休作期間の設置」を重点対策として取り組んでいます。
これらの対策は、地域全体で徹底することが重要であるため、6月17日~20日、7月8日~12日の2回にわたり、農業普及・振興課、市町、JA熊本うきの担当者で全トマトハウス(約200戸)において密閉処理状況調査を行いました。また、生産者に対しては、調査の主趣を説明するとともに、調査したハウスには「密閉処理確認票」の貼付をしました。
これらの対策でトマト黄化葉巻病の発生は減少傾向にあることから、当課では引き続き地域一体となり病害虫対策に取り組み、トマトの生産安定につなげていきます。

2024年9月

会議の様子

宇城地域トマト生産対策会議を開催

JA熊本うきのトマト担当職員、当課野菜づくり支援班員が宇城地域のトマト類の生産課題を話し合うため、農業革新支援センターをアドバイザーとして招いた標記会議を7月12日の午後からJA本所会議室で開催しました。
会議では、県内及び全国の産地においてミニトマトが増え大玉トマトが減少傾向であること、トマト黄化葉巻病対策である「ハウス密閉調査」で密閉が徹底されていたことを共有しました。
また、生産課題として、大玉トマトの秋の裂果と春の黄変果の対策として、適正品種を探すことになり、ミニトマトでは、購入苗のコスト増についてJAから言及があったため、今年度はコスト低減のための方策を模索することにしました。
なお、大玉トマト、ミニトマト共通して、市場ニーズに応える平準出荷を目標としているため、確認ほ場を設けたうえで定期的に巡回することが決まりました。
昨年度から始めた当会議ですが、関係者一緒になって宇城地域のトマト生産課題に正面から向き合う会議となり、昨年度と同様に有意義な会議となりました。
当課では、今後も関係者との議論を踏まえた効果的な対策を実施することで、安定生産の産地づくりにつなげていきます。

2024年9月

会議の様子

新規就農者確保・育成対策会議で、地域おこし協力隊の制度を活用した就農支援の取組みを共有

宇城地域では令和5年度に12名が新規就農しており、雇用就農者を加えると19名となっています。新たな担い手確保に苦戦している中、宇土市及び宇城市では、今年度から地域おこし協力隊の制度を活用した就農支援の取組みを開始するなど、新たな動きがあります。このような就農支援に係る取組みの共有及び連携強化のため、農業普及・振興課、市町、JA、就農支援アドバイザー等の関係機関が年に2、3回の頻度で標記会議を開催しており、今年度は第1回目を7月8日に開催しました。
会議では、はじめに当課から管内新規就農者の現況、就農支援に係る国や県の施策及び当課の事業スケジュール等を説明した後、各市町、JAからそれぞれの新規就農支援の取組みや今後の巡回指導予定等を説明してもらいました。意見交換では、地域おこし協力隊の取組みについて、制度設計や募集状況を問う質問が複数あがりました。
会議の後には、事例発表として、(一社)南阿蘇村農業みらい公社事務局長の山戸陸也氏をお招きして、令和3年度から受入れを継続されている地域おこし協力隊の取組みを含む新規就農支援等について、紹介していただきました。応募状況や事業のPR方法等、多くの質疑が寄せられ、各機関にとって今後の参考となる発表となりました。
当課では、今回の関係機関からの意見や要望をもとに、さらに連携を深めた支援により、新規就農者の確保や定着につなげていきます。

2024年9月

意見交換の様子
柑橘園でのドローン防除の様子

県を超えた青年農業者クラブの技術交流!宇城の青年農業者による柑橘園でのドローン防除の実演

7月19日、宇城地方青年農業者クラブ員が講師として、佐賀県の藤津青年農業者クラブ員(20名)に対して柑橘園でのドローン防除の実演を行いました。この交流は、柑橘園でのドローン導入を検討されている藤津青年農業者クラブ員の要請を受け、開催されました。ドローンでの薬剤防除を視察した藤津青年農業者クラブ員からは、「ドローンの操作方法や薬剤のかかり具合を直に確認することができ、有用性を理解できた」「資料には書かれていないドローンを使用する上での注意点を直に聞くことができて大変勉強になった」との声があり、非常に有意義な実演会になりました。
また、この交流の中で、「どの程度の規模なら個人で購入しても採算がとれるのか」といった誰もが思う疑問や、ドローンを導入する上で直面している課題などについても活発に意見交換が行われ、宇城地方青年農業者クラブ員にとっても貴重な学びの場となりました。
この活動は、青年農業者同士の交流と先進的技術の共有を目的としており、くまもとグリーン農業の推進においても非常に有意義な活動です。今後もこのような地域や県を超えた活発な交流活動を通して、地域農業の技術革新と青年農業者のスキル向上の支援を行っていきたいと思います。

2024年8月

不知火類のハウス
させぼ温州の根域制限栽培

次世代型果樹産地モデル、大口西部地区での営農始まる

宇城市三角町の大口西部地区では、平成28年度から畑地帯総合整備事業を活用して、平坦地での大規模な樹園地整備を進めています。
気象の影響などで工事が遅れ、営農開始の遅れも心配されましたが、農地整備課及びJAと連携し、工事車両と営農車両(業者及び生産者)の動線の区分けや、施設整備を含めて営農準備に入るほ場の順番を決めるなどして、効率良く作業を進め、本年より営農をスタートすることができました。新たに整備された13.5haのほ場では温州みかん、不知火類、大橘、清見等のかんきつ、イチジク、イチゴ等が栽培されています。
主に栽培されるかんきつでは、県や国の補助事業を活用し、加温ハウスとそれに附帯する環境測定装置やアシストスーツ等のスマート農業機器、高品質化を目指した根域制限栽培施設の整備が進み、6月にはほ場での最後の整備となる屋根かけハウスが竣工し、いよいよ次世代型果樹園の営農が始まりました。
今後は、令和8年度の工事完了を目指して、防風ネットやファームポンド、揚水ポンプ、農道の舗装を整備する予定です。
当課では今後、新稙されたかんきつ等の技術指導を通して、早期の高品質・安定生産の産地づくりにつなげていきます。

2024年8月

IPM設計会議の様子
現地視察の様子

虫がキュウリの産地を救う!?天敵を活用したIPM防除体系確立のための設計会議を開催

宇城地域のキュウリ栽培では、ウリ類退緑黄化病など、タバココナジラミが媒介するウイルス病が問題になっています。一方で、タバココナジラミに対しては多くの化学農薬が効きにくくなっており、生産現場では化学農薬だけに頼らない防除対策が求められています。また、化学農薬に頼らない技術は、資材高騰対策としても有効です。
そこで、宇城地域では「天敵※」を活用したIPM(総合的病害虫・雑草管理)防除体系の現地実証に取り組んでいます。これまでの2年間で天敵の有効性は確認でき、生産者からも「こんなに農薬を散布しないのは初めて」「これだけ効果が高いなら今後も使いたい」などの声があり、IPM防除技術は非常に好評です。一方で、天敵をうまく増殖させるための湿度管理の難しさなど課題も見つかりました。
令和6年度が本実証事業の最終年度になるため、全国農業改良普及支援協会やメーカーなどの関係機関とIPM設計会議を開催し、課題と調査計画、これまでの成果について入念に検討しました。
今後は、今回の検討や最後の実証を踏まえ、天敵を導入するための管理方法を精査し、生産現場に適応したIPM防除体系を確立させ、くまもとグリーン農業推進につなげて参ります。

※本事業では「リモニカスカブリダニ、スワルスキーカブリダニ」を放飼。

2024年8月

受賞写真
防蛾灯利用風景

JA熊本うき花倶楽部が農業電化協会長賞を受賞

JA熊本うき花倶楽部(以下、花倶楽部)が、令和5年度農業電化推進コンクール※で優秀賞(農業電化協会長賞)を受賞しました。
花倶楽部では、令和元年に宿根カスミソウでヨトウ類の防除を目的にLED防蛾灯を活用した展示ほを設置しました。その結果、ヨトウ類の食害被害は見られず生産者も高い効果を実感できたことで、令和2年から県補助事業を活用した導入が進んでいます。また、令和4年からはトルコギキョウでもアザミウマ類の防除のため赤色LED防虫灯が導入されています。
この全国に先駆けた、LED防蛾・防虫灯導入が農薬散布回数低減による作業の省力化や、害虫被害抑制による品質向上に大きく貢献していることが認められ今回の受賞に至りました。
現在、部会員数42戸のうち20戸が導入していますが、すでに導入した方々も年々導入面積を増やし、概ね所有する施設への導入が完了しています。
農業普及・振興課では、今後もJA等関係機関と連携し、更なる省力化と品質向上につながる取り組みを支援していきます。

※ 農業の電化による効率的な経営や、省エネルギー技術の向上・改善に対し、意欲的に取り組む個人、事業者、農業団体の優良事例を紹介、広めるために実施

2024年8月

宇城農業経営同友会の会長挨拶
農業経営講座の状況

宇城農業経営同友会の自主的勉強会第1弾

管内の県農業コンクール参加者で組織する宇城農業経営同友会は、昭和55年に発足し、現在48経営体の県内トップレベルの会員数を有しています。本年度に新たに3経営体を加え、毎年、自己研鑽はもとより地域創生、振興発展に貢献するスキル習得等のための会員相互の情報交換や国内外の動きを先取りした研修会等を実施しています。5月の本年度総会後、初めてとなる活動として、6月5日に農業経営講座の勉強会を開催しました。
今回の勉強会は、コロナ禍の中で連続講座の講師を務めていただいた株式会社農テラス代表取締役山下弘幸氏を招き、講座のまとめの位置づけで、『農業経営者の課題と未来』をテーマに開催しました。経営者の3つの使命(農業経営、業界改革、地域創生)で、経営力の3つ(収益、存続、成長)の差が生まれ、その結果、経営者の3つ(資本、時間、人財)の稼ぎにつながると強調され、その上で、世の中を俯瞰的に見た、『見極め力』が農業経営を伸ばすヒントであると総括されました。参加者からは、『志』をアップデートしたうえで、リーダー(経営者)に求められる資質を整理できたとの感想が出されるなど、個々に成果があった勉強会となりました。
当課では、引き続き、宇城農業経営同友会の活動支援を通して、認定農業者等の地域農業を担う人材育成・資質向上対策の取組みを進めてまいります。

2024年7月

野菜関係病害虫対策会議の様子

心を一つに!宇城地域の野菜病害虫対策会議を開催

今年の宇城地域の野菜病害虫の重点対策を生産者代表や市町、JAなど関係者が一堂に会して話し合う標記会議を5月20日に開催しました。
会議では、トマト黄化葉巻病やウリ類の退緑黄化病等のウイルスを媒介するコナジラミやアザミウマなどの微小害虫の防除対策について協議し、令和6年産の作柄安定に向けて、「出さない対策」として“栽培終了後のハウスの密閉処理を徹底すること”“密閉処理の確認をすべてのトマトハウスで行うこと”、「つながない対策」として“トマト類については7月の1か月間は本ぽに作付けしないこと”を柱とした今年の重点対策を会議の参加者全員で申し合わせました。
農業普及・振興課では、引き続き「地域と心を一つ」にして病害虫対策に取り組むなど、農産物の生産安定に向けた支援を行っていきます。

2024年7月

宇城地域ミカンコミバエ防疫対策連絡会議の様子

宇城地域ミカンコミバエ防疫対策連絡会議の開催

宇城地域でミカンコミバエが誘殺された時の円滑な対応のため、関係機関の連携体制の構築に向け、5月20日に宇城地域ミカンコミバエ防疫対策連絡会議を開催しました。
会議には、JA熊本うき、各市町、農業普及・振興課から野菜および果樹担当が参加し、令和5年度の誘殺状況と取組状況、誘殺時の対応マニュアル、令和6年度の取組みについて協議しました。さらに、実際に誘殺された場合を想定し、防除資材であるテックス板の準備作業をする場所や寄主果実を焼却するまでの一時保管場所など具体的な事柄について確認しました。
ミカンコミバエの飛来リスクが増大するなか、関係機関が役割を理解して速やかに対応することが重要です。今後も、初動防除の遅れがなく産地を守ることができる体制を整えていきたいと思います。

2024年7月

宇城の青年農業者
課題設定会議の様子

宇城地方青年農業者クラブ連絡協議会通常総会の開催

5月13日、宇城地域振興局で宇城地方4Hクラブの通常総会が開催されました。本総会には、地域の青年農業者を中心に約30名が参加し、昨年度の活動報告や会計報告及び新役員による新年度の活動計画等が発表されました。
今年度はクラブ員の能力向上及びより一層の団結を図るため、プロジェクト活動、クラブ員の交流会、管内勉強会、県外視察及び県外クラブ員との交流など毎月のようにイベントが計画されています。
また、総会終了後にはクラブ員が自身の経営力及び課題解決能力向上を目的としたプロジェクト活動の課題設定会議が行われました。クラブ員からは「担当作物の収量が思うように伸びない」「最近の異常気象にどのように対応していけば良いのか」などの課題が寄せられ、各部門の担当普及員が詳しく栽培状況を聞き取りながら、活発な意見交換を行いました。
農業普及・振興課は、今後もクラブ活動を全力でバックアップし、地域の将来を担う農業者の育成に取り組み、クラブ員とともに地域農業の明るい未来を築いていきます。

2024年6月

講習会の様子
生産予測調査の様子

かんきつの安定生産に向け、着果対策を万全に~開花期前後のかんきつ園の管理講習会実施~

令和5年産の宇城管内のかんきつは、温州みかんで着果量が多く、不知火類は中程度でした。特に温州みかんは隔年結果のため、令和6年産の生産量の減少が心配されていましたが、生産予測調査等で確認したところ、温州みかんの早生~中生で着花が少ない樹が見られるものの、開花期の着果対策で生産量を確保できると期待されています。
これを受けて、JA ・市等の関係機関と連携し、約400名の生産者を対象とし、4月15日~23日に宇城管内約44箇所で、開花期前後の管理講習会を実施しました 。基本管理の徹底と併せて、着花不足樹では着果対策として新梢管理と落果防止のジベレリンの散布、着花過多樹では新梢確保の対策等、着花に応じた管理技術を指導しました。また、新植・改植園で苗木の管理指導を行い、早期成園化が図れるよう呼びかけました。
当課では、引き続き生産予測調査を実施し、かんきつの高品質安定生産に向けた技術指導を行っていきます。

2024年6月

新規就農者の巡回指導の様子

巡回指導等により新規就農者の定着を支援

宇城地域では令和5年度に12名の方が新規就農しており、農業法人等に就職した雇用就農者を加えると19名となっています。新規就農者は露地野菜、施設野菜、果樹類、花きと経営類型も様々であり、各新規就農者の経営状況に沿った支援が求められています。
宇城地域では、新規就農者への定着支援として、農業普及・振興課、市町、農業協同組合、就農支援アドバイザーが連携して、定期的な巡回指導を行っています。新規就農者の経営状況によって3段階に分け、段階に応じた個別指導を行っており、経営及び栽培に係る課題等を把握しています。経営の課題については経営分析や事業・融資制度の紹介等を、栽培の課題については技術担当職員が栽培指導を行っています。その他にも、地元の指導農業士等から新規就農者へアドバイスを行っていただくマッチング会の開催等も行っています。
当課では、引き続き関係機関と連携を図りながら、新規就農者の経営支援を行っていきます。

2024年4月

展示ほ結果(左)と会議(作型)の資料
生産者会議風景(不知火支部)

宇城地域におけるミニトマトの推奨作型の設定

近年9月にミニトマトの単価が高騰しており、高単価を狙いトマト休作期間が明ける8月上旬に定植する動きがありました。しかし、猛暑で活着が遅れ、収量が思うようにあがらず、小玉果やつやなし果が発生し品質の低下も問題となりました。
そこで、JA熊本うきと農業普及・振興課では定植時期の最適化を目指して、栽培と経営面から抑制無加温作型ミニトマトの最適な定植時期を探る展示ほ(以下、展示ほ)をR4~5年度に設置しました。その結果、8月お盆前頃が最適であることが明らかになりました。
この実績をもとに、定植時期を半旬程度遅らせた「令和6年産JA熊本うきトマト推奨作型及び品種適応表」(以下、推奨作型)を作成しました。
この「推奨作型」を生産者に着実に実行してもらうため、3月14日から3月22日にかけて開催されたJA熊本うきトマト部会の「令和6年産トマト作付け生産者会議」で、当課から「展示ほ」の実績、JAからは来作の「推奨作型」について説明をしました。
その結果、生産者が納得し、R6年産から推奨作型を実践することとなり、課題解決の道筋を作ることができました。
当課では、今後も関係機関と連携して課題解決の着実な実行を支援していきます。

2024年3月

調理実演の様子
情報交換会の様子

宇城地域くまもとふるさと食の技交換会を開催

2月19日に、宇城市保健福祉センターで「宇城地域くまもとふるさと食の技交換会」を開催、宇城管内のくまもとふるさと食の名人など約20名の参加がありました。
当日は食の名人2名が講師となり調理実演を行いました。元普及指導員である飯田眞志子氏がショウガ糖を、八代農業高校講師である岩野賢一氏が甘夏マーマレードジャムを調理実演しました。参加者から調理のコツ等について多くの質問が飛び交い、賑やかな研修会となりました。
その後、調理実演した料理を試食しながら、情報交換を行いました。情報交換では、参加者の活動紹介のほか、「横のつながりを広げて、幅広く食育活動を展開したい」、「学校の先生にもっと食の名人を知ってほしい」等の意見がありました。
農業普及・振興課では、今後も関係機関と連携しながら、くまもとふるさと食の名人の郷土料理の伝承・食育活動を支援していきます。

2024年3月

地元堆肥を活用した水稲用肥料「米エコ一発」を開発

近年、各種資材が高騰する中、特に肥料は原料の海外依存度が高いことから、価格と供給の安定化が求められています。
そこで、JA熊本うきでは大東肥料株式会社の協力を得てオリジナルの水稲用肥料「米エコ一発」を開発し、令和6年産使用分から販売を始めます。
この原料にはJA熊本うきで生産している完熟堆肥が使用されており、地域資源を活用しつつ土づくり効果も期待できる肥料となっています。
開発はJA熊本うき、肥料メーカー、JA熊本経済連及び県(県庁、農研、普及)が一体となって検討を進め、展示ほで効果を検証してきました。2年間の実証を経て従来肥料と遜色ない結果が得られたため、地域資源を活用した新しい水稲用基肥一発肥料として販売へつなげることができました。
2月の水稲講習会では、JA熊本うきが「米エコ一発」について説明し、生産者から使用量や散布方法に関する質問が出るなど、早速関心を寄せられた様子でした。
農業普及・振興課では今後も関係機関と連携し、環境に配慮した農業を進めて参ります。

2024年3月

講習会の様子
せん定実演の様子

カンキツの安定生産のため、せん定講習会を実施

宇城地域では、2月中旬頃から令和6年産に向けた柑橘の管理作業が本格化します。そこで、JA熊本うきと連携して、柑橘部会を対象に2月13日から20日にかけて、せん定講習会を開催しました。
講習会では、JA営農指導員と普及指導員が令和6年産の着花予測に基づいた管理ポイントを説明し、せん定の実演を行いました。特に、温州みかんは裏年傾向と予測されており、昨年の着果状況や樹勢に応じてせん定時期や程度を調整するなど、今後の着花・着果確保対策が重要です。園地によっては、せん定時期を遅らせて土壌改良を行うことや、春肥の施用と越冬病害虫の防除を徹底するよう指導しました。併せて、不知火類は施設・露地ともに高樹齢樹が増え、収量や果実品質の低下、作業性の悪化などの弊害が出ているため、計画的な改植を呼びかけました。
講習会参加者からは、「今年のせん定で注意すべきポイントがよく分かった」といった声を聴くことができました。
農業普及・振興課では、引き続き関係機関と連携しながら、講習会や現地指導を行い、高品質果実の安定生産に向けた支援を行います。

2024年3月

会議の様子①
会議の様子②

新規就農者確保・育成対策会議を開催

今年度の宇城地域での新規就農者対策の取組みと次年度計画を協議するため、2月26日に新規就農者確保・育成対策会議を開催、関係機関から25名の参加がありました。
はじめに、今年度の新規就農者数や活動結果について農業普及・振興課より報告を行いました。令和5年度から新たに始めた新規就農者と先輩農業者とのマッチング会では先輩農業者である指導農業士から技術的なアドバイスだけでなく、農作業の段取りや雇用の活かし方など農業者目線での実践的なアドバイスが得られ好評であること。また、就農計画の入念な練りこみや地道な巡回を続け、新規就農者の定着に向けた一定の効果が得られていることなどを報告しました。
今後は農業の担い手減少をカバーするため、新規就農者確保とともに農繁期のパート雇用等の補完人材の確保についても地域が一丸となって取り組み、その一環として農福連携の勉強会や活用事例の共有なども当会議で担っていくことを申し合わせました。
会議後半では、優良事例として山鹿市農業振興課の前田専門員から「空き農地・ハウスマッチングの取組み」について報告頂きました。山鹿市ではハウスを地域の資産と捉え、規模縮小者や離農者と新規就農希望者間のハウスマッチングを意欲的に行っています。宇城地域でも今年度からJA熊本うき園芸部会のハウスマッチングを進めており、そのノウハウは大変参考になりました。
本会議も3年目が終了し、今後は担い手全般について多方面から協議する場へ形を変えていく予定です。

2024年3月

美里かぼちゃ試験品種試食会の開催

美里町では、冬至や年明けの出荷を狙って「梅雨明け後に種をまいて晩秋に収穫する」いわゆる「冬至かぼちゃ」の産地化が行われてきました。
品種は、ホクホクして美味しい「くりゆたか」に統一されていますが、樹勢がやや弱く収量が低いことが問題で、農家から「経費が高騰しており、美味しくて収量が多い品種が欲しい」との声が強くなっていました。
そこで、農業普及・振興課では、「くりゆたか」の問題点を克服できる品種を見出すため、種苗メーカー等から情報を集め、農家やJA、町と協力して「くりゆたか」を対照として「笑盃」と「MKS-K1586」の2品種の比較試験を実施し、JAや町との全戸巡回、生育調査や現地検討会を行い品種の特性把握に努めました。
結果は、「MKS-K1586」が、栽培面で問題なく、果実が大きく、試験農家やJA、町の担当職員の反応も上々でした。
加えて「美里かぼちゃ」として譲れない「味」を確認するため、1月25日に試験農家、町、JA、種苗会社による「美里かぼちゃ試験品種試食会」を開催しました。
試食の結果、果実肥大に優れた「MKS-K1586」は食味も「くりゆたか」並みで「くりゆたか」の後継品種として有望であると出席者の期待を集めました。
味もよく、ますます期待の高まった「MKS-K1586」ですが、今後、経営面も踏まえ栽培試験を行い産地として品種を評価していくことが必要です。当課としましては、このような産地の課題解決の取り組みを関係機関と協力してしっかりと支援して行きます。

2024年3月

ドローンによる農薬散布の様子
栽培講習会の様子

ショウガ栽培におけるスマート農業の推進

ショウガ栽培では、ほ場外からの病原菌の持ち込みによる土壌病害の蔓延防止のため、ほ場に入る際に靴を履き替えるなど細心の注意を払っています。さらに、夏期の厳しい暑さの中での農薬散布は、心身に大きな負担となっています。
このため、農業普及・振興課では、令和4年度から、ほ場への立ち入り回数削減と省力化を目的に、ドローン防除によるスマート農業の実証試験を実施しています。
試験の結果、ほ場への立ち入り回数を削減でき、従来の防除に比べて農薬散布時間と労力を大幅に削減できることが分かりました。
12月22日に開催された栽培講習会でこの試験結果を報告したところ、生産者からドローンの能力や散布した農薬など、ドローンの導入を念頭に置いた具体的な質問が寄せられ、多くの方が興味を持たれていました。
当課では、今後、実用化に向けた支援を行っていきます。

2024年3月

角田製茶茶園
肥後あゆみの会トマトほ場

宇城地方青年農業者クラブ研修会の開催

宇城地方青年農業者クラブで視察研修を開催しました。
まず、12月13~14日に、福岡県の「にたばる養蜂場」(久留米市)と「角田製茶」(八女市)、菊池市の「(株)ろのあ」を視察し、同世代経営者の販売戦略について学びました。
各経営者ともに、業務用や小売り販売といった販売先を意識した戦略を立てており、参加したクラブ員は、自身の経営と販売方法を考えるきっかけとなり、今後の経営改善に向けた意欲が高まったようでした。
次に、1月10日に、宇城市でトマトの有機農業を行っている「(有)肥後あゆみの会」を視察し、栽培と加工について学びました。
野草堆肥やぼかし肥料を自家製造し、徹底した土づくりにより「味」にこだわった栽培を行い、その青果を加工にも使用していることに、クラブ員は改めて土づくりが青果の品質向上につながることを実感していました。
農業普及・振興課では、今後もクラブ員がやりがいのある活動を行いながら、地域の中核を担う経営者となるよう支援していきます。

2024年2月

せん定講習会
トレンチャーによる土壌深耕

令和6年産に向けたブドウの栽培管理スタート

宇城地域は、面積・生産量ともに本県の約4割を占める県内最大のブドウ産地です。令和5年産のJA熊本うきブドウ部会の販売高が近年で最高となったことで、農家の生産意欲も一層高まっています。
JAと農業普及・振興課では、令和6年産に向けた冬季管理作業が本格化する前の11月16日から12月8日にかけて、6地区、70戸の部会員を対象に冬季管理講習会を実施しました。講習会では、犠牲芽※せん定を基本に、枝の配置や残す長さ(切る程度)等を実演指導。農家からも活発な意見が出て有意義な講習会となりました。 
また、長年のブドウ栽培で硬くなった土壌改善のため、トレンチャーによる深耕法を説明し、希望する農家の園で深耕を行いました。
当課では、今後もせん定や土壌管理、ハウス被覆時期の助言を行い、より高品質なブドウが安定して生産出来るよう引き続き支援して参ります。

※犠牲芽:残したい芽の次の枝先の芽を半分切ることにより、枝の枯れこみ を防ぐ方法。

2024年2月

自己紹介の様子
受賞者及び出席者

宇城地方青年農業者会議の開催

12月6日に宇城地方青年農業者会議を開催し、4Hクラブ員による課題解決プロジェクトの発表と4Hクラブの活動報告を行いました。
今年度のプロジェクト発表は、トマトの病害対策の見直し、カンキツ栽培へのドローン防除の導入、イチジクのポット栽培への挑戦、い草加工品のネット販売による販路拡大と宇城地域の多彩な農業を反映したものとなりました。
発表後には各クラブ員から栽培品目や今後の目標などを交えた自己紹介を行いました。
発表や自己紹介に対する先輩農業者、新規就農アドバイザー、市町、JA熊本うきなど関係機関からの質問やアドバイスが今後の活動のモチベーションにつながったようでした。
今後は、2月14日に開催される熊本県青年農業者会議に向けて、クラブ員と当課が一丸となって発表内容をさらに磨き上げていきます。
当課では、クラブ員がやりがいのあるクラブ活動が行えるよう、環境づくりを引き続き進めていきます。

2024年1月

販売開始時の様子
お客様が一気に押し寄せる場面も、、、

びぷれす広場で宇城のうまかもんフェスティバルを開催

令和5年11月10日(金)、宇城地域の物産館等で組織する「宇城地域直販ネットワークの会」が、熊本市中央区上通町のびぷれす広場で「宇城のうまかもんフェスティバル」を開催しました。これは、都市部の消費者に宇城地域の生産物や特産品のPR・販売を行い、物産館等を拠点とした地域の活性化を目指すものです。
当日は4店舗が出店し、トマトや生姜等の野菜に加え、温州みかんや太秋柿等の果物、農産加工品を販売しました。あいにくの雨天により、街を行き交う人数も少なく感じられる中、それでも多くの方が来店され商品を購入してくださいました。
特に、トマト等の野菜は価格が高騰している中、新鮮で比較的安価なものを購入できるということで、早々に売切れとなりました。
熊本市の繁華街での開催は初めてであり、宇城地域の農産物をPRする良い機会となりました。
農業普及・振興課では、今後も関係機関と連携しながら、宇城地域の農産物のさらなるPRに向けて支援活動を行っていきます。

2024年1月

天敵放飼後の葉
粘着トラップ展張の様子

宇城地域のキュウリ栽培におけるIPMの推進

宇城地域では、ウリ類退緑黄化病など、タバココナジラミが媒介するウイルス病が問題となっています。
一方で、コナジラミ類などの微小害虫は農薬が効きにくくなっており、農薬に頼らない防除対策が求められています。そこで、農業普及・振興課では、様々な防除方法を組み合わせるIPM(総合的病害虫・雑草管理)を推進しています。
現在は、キュウリで微小害虫の密度抑制を目的に、天敵資材※と粘着トラップを活用したIPMの技術実証展示ほに取り組んでいます。
この展示ほは、令和4年度から取り組んでおり、令和5年11月21日にはIPM実証調査成績検討会で調査結果を報告し、全国の関係者と意見交換を行いました。
展示ほの生産者からは「繁忙期に天敵に防除を任せることができて良かった」「粘着トラップで谷部分からのコナジラミの侵入を防止できるので良かった」という意見があり、IPM技術は好評でした。
今後、調査で得られた結果を基に宇城地域の天敵利用版の防除暦を作成し、講習会や現地検討会等でIPM技術の普及を図っていきます。

※リモニカスカブリダニ、スワルスキーカブリダニ

2024年1月

勉強会の様子
新規就農者の自己紹介

新規就農者共通課題勉強会・新規就農者激励会を開催

11月2日(木)に第2回新規就農者共通課題勉強会と新規就農者激励会を宇城地域振興局で開催し、関係機関や地域農業者を含む40名の参加がありました。
共通課題勉強会では㈱農テラスの山下弘幸氏に「新規就農者にとって重要な時間とオカネの捉え方」をテーマに講演を頂きました。講演では自身の農業での失敗事例とそこから経営改善に導いた考え方(定期的な経営把握と収益率向上に向けた原価率改善、収入アップ)、投資や雇用のポイント、時間を確保するための自己管理法など
の話を頂きました。山下氏がティーチングアシスタントを務めるくまもと農業経営塾の門下生も多く参加し、質疑応答では活発な意見交換がなされました。
終了後のアンケートでは「作物を作ることしか考えていなかったが、時間とお金の面から見る大事な機会をもらった」「もっと時間が欲しいと思うほど学びになる内容だった」との声が多くあがりました。
続く新規就農者激励会では、出席した4名の新規就農者から就農の動機や今後の目指す方向性について発表してもらいました。その後、同友会の畑野会長による激励の言葉、4Hクラブ紹介、新規就農者が使いやすい補助事業等の紹介をしました。
終了後は懇親会を開催。コロナ禍以降、久しぶりに懇親を深める良い機会となりました。

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