2021年のエリア普及現地情報

2021年12月

現地検討会の様子
出荷直前のシクラメン

シクラメン出荷直前の現地検討会を開催

宇城地域(5名)及び上益城地域(2名)のシクラメン生産者で組織する「西日本シクラメン協議会熊本支部」の現地検討会が10月28日に開催されました。今回は、出荷直前の各生産者のシクラメンの生育状況確認や夏の高温対策の結果について検討しました。
検討会は毎月1回のペースで開催され、各生産者のハウスで実際にシクラメンを見て、温度・日照などの栽培データを確認しながら、病害虫対策や高温対策などの生産管理技術について意見交換しています。
今年度は8月中旬に例年にない極端な降雨・日照不足、その後、晴天と高温・乾燥が10月中旬まで続き、最適平均気温が15~20℃程の冷涼な気候を好むシクラメン栽培には困難な年でした。
しかし、生産者はハウス内の照度や温度を確認しながら、遮光や循環扇の利用はもちろん、品種による耐暑性を考えた配置にするなどの工夫をしながら生産を続けました。
今年度は、高温の影響で平年より2週間ほど生育は早めですが、高品質なシクラメンが出来、10月下旬より販売を開始しています。
農業普及・振興課では、栽培期間中の各ハウスの温度、日照データを収集し、結果を今後の現地検討会でフィードバックしながら、高品質な生産につなげていきます。

2021年12月

GIマーク
くまもと塩トマト

宇城で初、地理的表示(GI)産品誕生

令和3年10月7日、「くまもと塩トマト」が地理的表示(GI)保護制度の産品に登録されました。
GI制度は、地域伝統と特性を有する農林水産物・食品のうち、品質等の特性と産地との結び付きを特定できる名称(地理的表示)が付されているものについて、知的財産として国に登録できる制度です。
登録のメリットとしては、国からの「お墨付き」であるGIマーク(写真下左)を添付することができる点です。このマークが、消費者にとって真正な地域産品の目印となり、類似品との差別化ができます。また、登録した名称及びマークの不正使用に対しては、国が取締りを行います。
「くまもと塩トマト」は、八代海沿岸の土壌塩分の高い干拓地で栽培されている小ぶりで糖度の高いトマトで、八代GIブランド推進協議会と不知火塩トマト出荷協議会の共同申請で登録されました。当課及び県南広域本部農業普及・振興課では、この制度の運用が始まった平成27年から、登録に向けての支援を行ってきました。県内のトマト産地との調整などを経て、令和元年12月に登録申請し、スタートから登録まで5年以上かかりました。
10月25日に開催された不知火塩トマト出荷協議会生産者会議では、生産者の方々から感謝の声を頂きました。今後は、出荷用包材のGIマーク添付について支援していきます。

2021年12月

い草・い製品品評会表彰式(10月20日)
入賞品展示(10月17日)

生産技術の高さを競う!熊本県い業大会開催~県産畳表の更なる高品質化を目指して~

令和3年産いぐさ・畳表の品質を競う「第47回 熊本県い業大会」が10月1日~17日にかけて開催されました。
本年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、受賞式典を縮小する等例年と異なる運営となりましたが、八代・宇城地域からい草の部124点、い製品の部109点、計233点と多数の出品がありました。厳正なる審査の結果、農林水産大臣賞等の特別賞14点を含む90点が表彰されました。
受賞した原草や畳表はいずれも素晴らしい品質のものであり、県産畳表の品質の高さを生産・販売関係者が改めて認識する機会となりました。本大会を契機に生産意欲が高まり、来年もなお一層高品質ないぐさ・畳表の生産につながることが期待されます。
現地では、令和4年産に向けたいぐさの植付けが11月から始まります。当課では、生産者の意欲の高まりに応えるべく、また県産畳表の更なる品質向上・安定化を図るため、関係機関と連携しながら生産者への支援を行っていきます。

2021年12月

審査の様子
ジョイント栽培モデル園

生産者も審査員に加わった太秋柿の果実品評会を初めて開催

令和3年10月21日JA熊本うき本所において、JA熊本うき柿部会の主催で第7回太秋柿果実品評会が開催されました。生産者が丹精込めた太秋柿が品質部門で19点、大玉部門で7点の出品がありました。生産者の高品質果実生産の意識啓発のため今年から生産者も審査員に加わり、24名で審査を行いました。
今年は8月上旬の大雨日照不足とその後の高温乾燥の影響で落果や着色遅れが心配されましたが、最終的には糖度も例年より高く品質の良い太秋柿ができました。同部会では生産者41名が8.3haでの栽培を行っており、11月中旬まで出荷が続きます。
柿部会では高齢化が進み脚立での作業には危険が伴う等の問題があるため、低樹高と品質向上を目的にジョイント栽培展示ほを設置し、現地検討会を開催しています。
農業普及・振興課としても、JA等関係機関と連携し、太秋柿の更なる産地振興支援を行っていきます。

2021年12月

会議の状況
天草市からの事例報告

第2回新規就農者確保・育成対策会議を開催

令和3年3月に設置した「新規就農者確保・育成対策会議」について、10月27日(水)に第2回目の会議を開催しました。
会議には、管内市町主管課、各農業委員会、JA熊本うき、日本政策金融公庫、地域就農支援アドバイザー、農業技術課、農業普及・振興課、農業公社等から25名が参加しました。
はじめに、今年度の新規就農者支援の進捗状況について事務局の農業普及・振興課より報告を行いました。活動の柱である新規就農者の巡回指導については、7月~10月にかけて管内の54名を対象に関係機関で実施し、今回から①農地の状況、②栽培技術、➂機械、施設、資金の状況、④販路の4つの項目で評価を行っています。その結果、「栽培技術」に課題のある新規就農者が全体の7割以上(宇土市を除く)を占めており、新規就農指導における技術指導の役割の大きさが改めて浮き彫りとなりました。一方で、農地や機械・施設・資金の取得、販路確保については、概ね希望通りに進んでいることが判明しました。
会議後半では、天草市の「新規就農者サポートセンター」の取組みについて、天草市の楠田審議員から事例報告を頂きました。
参加者は、天草市の手厚い新規就農者確保のための施策や関係機関一体となったサポート体制に驚くとともに、改めて支援の必要性を感じたところです。  
本会議を通じて、新規就農者の持つ課題が徐々に明らかになっており、今後は解決のための具体的な施策について協議を進めていく予定です。

2021年12月

研修会の様子
激励会における記念品贈呈

新規就農者共通課題勉強会及び激励会を開催

令和3年10月19日(火)に新規就農者共通課題勉強会及び激励会を開催しました。
宇城地域は新規就農者の就農品目が多岐に渡るため、今年度は共通課題である土づくりや病害虫防除、農業経営に関する勉強会を開催することとしています。今回は土づくりに関する勉強会を大東肥料株式会社の松田直人氏を講師に招へいして開催し、約30名が参加しました。
会では、冒頭、松田氏から「作物を育てる」という意識を「作物が育とうとする力を手助けする」という意識に変えること、そのような観点から作物が育ちやすい環境づくりの一つとして、土の物理性・化学性・生物性の改善を図る、「土づくり」を行うことが重要との話がありました。
その後、土の物理性改善のための腐植の種類やpHやECが示す土の化学的な状態に関する講義等があり、最終的には肥料の投入方法などの実践的な内容にも及びました。
会議終了後には、令和2年度及び3年度の新規就農者を対象とした新規就農者激励会を併せて開催し、6名が参加しました。指導農業士会長と4Hクラブ会長からは、農業に向かう姿勢や関係機関を活用しながら自らを研鑽する方法など、経験を踏まえた激励の言葉を頂き、新規就農者にとっては大変参考になったようです。これからも、新規就農者のニーズを捉えながら、資質向上につながる研修会の開催を進めてまいります。

2021年11月

コロナ禍における美里かぼちゃの栽培技術支援

美里町では、中山間地における農家所得向上と耕作放棄地削減のため、12月下旬から1月上旬に出荷する抑制かぼちゃの栽培に取り組まれていますが、高齢化によって作付者が減少する中、新規栽培者の確保とその栽培技術の向上が重要な課題となっています。
課題解決に向けて、今年度は、ラミネート加工したチェックシート型栽培暦を全ほ場に掲示し、管理作業を見える化させて技術支援に活用しています。また、撥水紙を用いた質問票も配付し、栽培上の質問や悩みを記入してほ場に設置するようにしています。普及指導員や営農指導員は、ほ場の巡回時に質問への回答や解決策を記入し、各農家が抱える問題に個別対応しています。
新型コロナウイルス感染症の影響下であっても充実した支援を心がけたことで、新規栽培者等からは「自分の質問に直接答えてくれるからありがたい。上手な農家を見に行った時、ほ場状態とチェックシートを照らし合わせながら見ることができて栽培の勉強になる。」など栽培改善の声があがっています。
令和3年産の生育は、8月中旬の大雨によって平年よりやや遅めですが、適期収穫を呼び掛け、生産者の所得向上を目指していきます。

2021年9月

研修会の様子

若手農家のための青色申告に関する研修の実施

7月29日に、県農業大学校主催のくまもと農業アカデミー出前講座「農業経営基礎講座」が、宇城地域振興局大会議室で開催されました。
宇城地域では、地域農業を担っていく新規就農者の育成が重要な課題となっています。今回の講座は、今後の経営継承や自身の経営改善を考える宇城地方青年農業者クラブ員からの多くの要望によって開催にいたりました。
講師は、税理士法人未来税務会計事務所の西田尚史代表で、青色申告の利点や帳簿を付けることの重要性について説明がありました。受講した13名の若手農業者からは「役に立つ内容がたくさんあった。さらに詳しい研修も受けたい。」など、意欲的な感想がいくつも寄せられました。
農業普及・振興課では、今後も若手農家に対する経営面や技術面での支援を行っていきます。

2021年9月

会議の様子(6月17日)
集落営農学習(7月14日)

水稲生産協業化に向けた合意形成支援

宇城市三角町戸馳地区は花き、果樹、早期米の産地ですが、担い手減少対策と稲作生産コスト低減を主な目的として、水稲生産の協業化を推進しています。
コロナ禍でなかなか話し合いができない状況にありますが、昨年度から関係機関と水稲生産担い手農家を中心に協議を重ねています。
本年5月中旬から6月上旬にかけて実施した現水稲耕作者19名の稲作経営意向調査をもとに、6月17日に稲作担い手農家、関係機関で協議し、来年度に営農法人組織設立を目標に取り組むことを決定しました。7月14日には稲作担い手農家、関係機関で集落営農学習(DVD視聴)や営農組織設立のスケジュール・役割分担の確認を行いました。
これからも、地域の活性化、農業生産持続のため、集落営農、営農法人設立に係る支援を続け、担い手の確保・育成の取組を進めていきます。

2021年7月

会議の状況
芦北からの事例報告

第1回となる新規就農者確保・育成対策会議を開催

令和3年3月に設置した「新規就農者確保・育成対策会議」について、令和3年7月2日(金)に第1回目の会議を開催しました。
会議には、管内市町主管課、各農業委員会、JA熊本うき、日本政策金融公庫の担当者、地域就農支援アドバイザー、農業技術課、農業普及・振興課の担当者、オブザーバーとして、農業公社から約30名が参加しました。
はじめに、本会議の設立目的や新規就農者の現状・課題について、宇城地域の担い手は一定速度で減少、新規参入者が多いこと、認定新規就農者は経営安定まで時間がかかっている等の特徴があることが報告されました。
次に、令和3年度の活動計画を協議し、「新規就農者の育成・定着」について「新規就農者の情報を共有し、チームでトータルサポートを行う」こととし、①基本情報の共有②定例ミーティングの開催③重点指導対象者を定めるため、7~8月にかけて、関係者による新規就農者の巡回指導を実施することとしました。
会議後半では、芦北地方農業振興協議会の「果樹の新たな担い手確保対策」について、あしきた農業協同組合の福田振興課長から事例報告を頂きました。
参加者からは、芦北の地域一帯となった取組みの成果について、盛んに質問が飛んでいました。これからも、本会議の開催を通じて、情報共有を進め、新規就農者の確保・育成の取組を進めていく予定です

2021年7月

ソーシャルディスタンス(社会的距離)を取って講習会を実施
農薬の飛散防止対策資料

その農薬の使い方、合っていますか?

5月24日から25日にかけて、JA熊本うきと農業普及・振興課が連携し、生姜専門部会員を対象とした栽培講習会を開催しました。新型コロナウイルス感染症対策として接触機会を減らすため、4回(2日間の午前・午後)に分けて開催したところ、各回30人程度、計104名の参加がありました。なお、出席者には手指の消毒とマスクの着用を呼び掛けて実施しました。
JA熊本うきからは、生姜栽培で問題となっている根茎腐敗病の体系的防除を説明し、当課からは、農薬の飛散(ドリフト)防止について解説しました。当課で作成した資料をもとに、「散布前にほ場の周辺状況を十分確認すること」や「風の少ない時間帯に適正な圧力で散布すること」等を指導しました。
今回の飛散防止対策資料は、JA広報誌を通じて生姜専門部会以外の生産者にも提供される予定です。
農業普及・振興課では、今後も関係機関と連携し、安心安全な農作物生産と消費者からの信頼維持を支援していきます。

2021年7月

打合せ会議
放牧風景

美里から阿蘇への広域放牧開始

宇城地域では、肉用牛繁殖農家の低コスト生産や増頭、阿蘇地域の草地保全・景観維持を目的として、阿蘇地域の牧野に繁殖牛を放牧する「広域放牧」を実施しています。
高森町の小倉原牧野への放牧を開始するにあたり、4月23日に高森町役場にて打合せ会議を開催し、常時20頭の放牧実施計画を確認しました。
また、昨年までに牧柵の整備補修を終了し、今年度は牧野の課題である飲水施設整備を計画するなど、放牧条件の改善をすすめていきます。
農業普及・振興課では、本年度も安全に放牧を実施し、さらに放牧頭数を増加させるため、関係団体と協力し、放牧取組者を支援していきます。

2021年7月

総会の様子

宇城地方4HC活動開始!

4月28日に令和3年度宇城地方青年農業者クラブ通常総会が開催されました。昨年は、新型コロナウイルス感染症の影響で書面での実施となりましたが、人数制限やパーテーション設置などの感染対策を万全に行ったことにより、2年ぶりにクラブ員が集まっての開催を実現することができました。
令和2年度は、コロナ禍で県外視察研修会や情報交換会は実施できませんでしたが、宇城管内において、レンコン・イチゴほ場で収穫体験を伴う管内勉強会及び近接する八代地域において養蜂園での視察研修会など、クラブ員の交流や資質向上を図る活動を行ってきました。
総会では、農業普及・振興課長の挨拶後、議事内容説明が行われ、原案どおりすべて承認されました。新会長の清水烈さんからは、「楽しく儲ける農業を営んでいくために、4Hクラブを活用していきたい」と今年度の活動に向けた抱負が語られました。今年度も、経営に関する研修会や消費者との交流を図る農産物販売会など、多くの活動を行っていく予定です。
農業普及・振興課としても、引き続き4Hクラブ員の資質向上を目的としたこれらの活動の円滑な実施に向け、支援を行っていきます。

2021年7月

初入札会場の様子
美里町の葉園

一番茶の入札会を終える

美里町では、早生種「さえみどり」を中心に、摘採前10日間程度の遮光資材被覆など水色(すいしょく)や滋味(じみ)の品質を向上させる技術導入を推進しています。また、茶葉を摘採する時期を見誤らないために、葉緑素計を用いて葉色を数値化し、摘採時期の判断を行っています。本年は2・3月の温暖気候により新芽の生育が早く、摘採が例年になく早くなりましたが、天候に恵まれ、※色沢、香りの良い茶が出来ました。
JA熊本経済連茶入札場(益城町)で4月14日から始まった一番茶の入札会では、美里町からの出荷は5月7日までで、出荷数量累計3,600kg(昨年比13%増)、出荷額は1,188万円(昨年比14%増)と上々の結果となりました。
農業普及・振興課としては、引き続き茶園の管理や適期防除の指導を行い、高品質な茶の安定生産に向け、支援を行って参ります。

※色沢:茶葉の色やつや、緑の鮮やかさを評価する指標

2021年6月

若手農家がカスミソウ収穫
コチョウランの出荷の様子

母の日に向けてカスミソウ・洋ラン出荷最盛期

5月の第2日曜(今年は5月9日)は母の日です。
宇城管内では、27戸の農家が宿根カスミソウを、23戸が洋ラン(鉢物)を栽培しています。母の日を前にして、出荷が最盛期となっています。
今年は、昨年の状況と異なり、カタログ通販やインターネット販売が好調なため、市場からの予約注文が非常に多くなっています。これは、コロナ禍の中で、在宅勤務や巣籠生活によって、花のある生活に「いやし」を求める人が増えたこと、県外への移動制限などで、遠方の親へのプレゼントとしての需要が増えたため、と考えられます。
宇城地域の花き栽培では、需要が変わる中で、消費者が求める時期に適切に出荷する出荷調整の技術がこれまで以上に求められています。
農業普及・振興課では、引き続き農家の所得向上につながる技術的な支援を行っていきます。

2021年6月

温湯消毒の様子
植え付けの様子(4月10日)

ショウガ根茎腐敗病対策の普及に向けて

宇城地域のショウガ栽培では、地際部や幼芽が軟化腐敗する根茎腐敗病が徐々に増加しており、本病害への対策が急務となっています。
そこで、令和2年産では1戸の農家で、植え付け前日に種ショウガの温湯消毒(50℃のお湯に10分間浸漬)を行う実証展示ほを設置した結果、根茎腐敗病は発生せず、温湯処理による収量の低下はないことが確認できました。
令和3年産では、さらなる温湯消毒技術の普及につなげるため、実証展示ほを2戸に拡大しています。また、消毒機械の処理能力に限界があることから、多くの農家が消毒に取り組む際には、処理後から植え付けまでに期間があいても効果が落ちないことが条件となるため、植え付け12日前や5日前に処理する区も設定し、実効性を確認することにしています。
農業普及・振興課では、今後も関係機関と連携し、出芽状況や病害の発生有無等を確認するとともに、本技術について講習会の実施や資料の提供を行い、根茎腐敗病の発生低減、ショウガの生産安定を支援していきます。

2021年6月

不知火の補正剪定指導

早過ぎる開花!対策講習会実施

宇土半島は、柑橘の栽培が盛んな地域です。5月の連休中には毎年満開期を迎え、山一面が緑と白の綺麗なコントラストが見られる状況となりますが、生産者にとっては、新梢管理や防除等の忙しい作業が目白押しとなります。
今年は、桜をはじめ殆どの作物で開花が前進化しており、柑橘類も同様に平年に比べ10日程早く、4月中に満開期を迎えています。このように4月中に満開を迎える事は、過去には記憶が無く、本年産の生産管理は、販売期を見据えた早めの対応が必要となります。そこで、JA指導員と協力して去る4月16日~23日にかけて、柑橘部会員の対策講習会を行ったところです。
特に、着花に応じた補正剪定や新梢管理、摘果剤の活用、緑化の促進、果皮強化対策、病害虫防除対策等の徹底を呼びかけました。
当課では、今後も柑橘類の販売期を見据えた適期の生産管理指導に努めていきます。

2021年5月

黒糖を使った新商品開発支援について

宇城市三角町「三角サトウキビ活性会」では、かつて地域産業として栄えていたサトウキビ栽培と黒砂糖づくりの技を後世に残すため、小学生や保護者等を対象に体験指導を行っています。さらに本年度は、黒糖を柱に地域を盛り上げたいと、新商品開発等の6次産業化を進めてきました。無農薬栽培と無添加の黒糖にこだわり、商品開発の検討を重ね、これまでの黒砂糖のみの商品から、消費者ニーズに応えた黒糖液や洋菓子専門店と連携した黒糖ブラウニー「ミスミ・ノワール」が完成し、3月から販売を開始しました。
また、「がまだす里モン支援事業」を活用して、黒砂糖づくりを収録した動画『黒砂糖ものがたり』を制作し、本会のサイトを通じて黒砂糖へのこだわりを広くアピールしたところ、商工関係者からもそのストーリー性が注目されました。次期生産の予約注文も増えていることから、耕作放棄地等へのサトウキビ栽培の拡大と生産・加工体制を整備し、高齢農業者の所得向上につながるような商品づくりを目指し、今後も活動を支援していきます。

2021年5月

成績表(左:成績、右:振り返りシート)
生産者が花穂整理を行っている様子

高品質なブドウ生産に向けて

宇城地域は県内有数のブドウ産地で、「巨峰」や「シャインマスカット」を主体としたブドウが栽培されています。今年は発芽期の気温が比較的高かったため、その後の生育も早めに進んでおり、生育に合わせて、3月23日から26日にかけて宇城管内の計4地区でブドウの花穂管理講習会を実施しました。     
講習会では、花穂や新梢の整理の仕方を中心に栽培技術の再確認を行うとともに、昨年度の出荷成績表を個人ごとに作成し、配布しました。成績表の作成にあたっては、生産者自身の「気づき」を今年度の栽培につなげることができるよう、成績表とともに振り返りシートを添付しました。講習会では、生産者同士でも、作業過程の様々な疑問について意見交換を行っている様子が見られました。
ブドウ栽培は8月の収穫終わりまで、様々な作業が続いていきます。今年度も高品質なブドウ生産を目指して、関係機関と連携して生産者の個別巡回を強化するなど、引き続き支援を行っていきます。

2021年5月

新規就農者確保・育成対策会議を設立

宇城地域について、今後、担い手(認定農業者)の大幅な減少が予想されることから、宇城農業の維持・発展のため、後継者の確保や経営継承等への対応が求められます。
さらに、国の農業次世代人材投資事業においては、都道府県、市町村等関係機関が互いに密接に連携し、青年就農者を丁寧にフォローするものとされています。
そこで、管内関係機関が連携し、宇城農業の維持ができる新規就農者の確保、経営安定、さらに青年農業者クラブ活動の活性化を目的に「新規就農者確保・育成対策会議」を設置して支援活動を進めていくこととなりました。
設置に当たり、各市町、JA熊本宇城の幹事、担当者を個別訪問し、対策会議の考え方や運営方法を説明しました。その際の意見を踏まえ、書面決議により令和3年3月に設置が承認されました。今後も、定期的に会議を開催し、情報共有しながら、新規就農者の確保対策・育成対策に取り組んでいきます。

2021年3月

解体施設の内部 (ガイドラインに基づく作業動線)
導入した金属検出器

ジビエファームの国産ジビエ認証取得支援について

宇城市三角町にある株式会社イノPでは、鳥獣被害対策により捕獲したイノシシを自社処理施設「ジビエファーム」で処理加工に取り組んでおり、県内初となる「国産ジビエ」の認証取得を目指しています。          
農業普及・振興課では、今年度4月から、鳥獣被害防止総合対策事業や6次産業化総合支援強化事業を活用して、HACCPに沿った衛生管理プランの作成や金属検出器の導入、トレーサビリティの徹底を支援してきました。その結果、質が高く安全性を確保できる処理・加工・販売体制の整備が進み、現在、令和3年3月中の認証取得に臨んでいます。
今後も、消費者や実需者との信頼関係を構築しながら、新たな販売戦略の実現に向けて、事業等を活用しながら支援していきます。

2021年3月

資料説明状況
実技指導状況

宇土市網田上床地区で柑橘剪定講習会実施

宇土市網田地域は、不知火、温州みかん、ネーブル等の柑橘栽培が盛んであり、農業普及・振興課では、このうち上床地区の生産者有志で構成される「上床みかん研究会」を対象に定期的な管理講習会を長年開催しています。
今年度4回目となる今回は、3月3日に剪定を中心とした管理講習会を企画したところ、14名(夫婦含む)の出席がありました。講習会では、品目別着花予想から今年の剪定管理(時期・程度・切り方)と土づくり、病害虫防除対策、鳥獣害への対策、有望な新品種の紹介などの情報を提供しました。また、実際に縮間伐が必要な園地で、剪定実技講習も実施しました。
生産者からは、「剪定を終えて、畑が明るくなり、仕事がしやすくなった。また、今回配布された重要病害虫の対策資料は、前から欲しかった資料で、適切な防除に役に立つ。」といった声が聞かれました。
当課としては、この地域に対し、引き続き柑橘を主体とした技術指導を続けていきます。

2021年3月

左から右田氏、上田町長、松井氏
右田氏の茶園

県茶品評会(茶園の部)入賞伝達式を開催

くまもと茶ブランド確立対策協議会主催の令和2年度県茶品評会(茶園の部)において、美里町の生産者2名が上位入賞されました。
例年、2月に開催される熊本県茶振興大会で表彰式が行われますが、新型コロナ禍の中で大会が中止となったことから、2月10日に美里町中央庁舎において、上田 美里町長ほか関係者出席のもと、宇城地域振興局農林部長から、右田健一氏に最高賞の農林水産大臣賞(くまもと茶ブランド確立対策協議会長賞)、松井義博氏に熊本県知事賞を伝達しました。上田町長からは、両氏の更なる飛躍に期待が寄せられました。
農業普及・振興課では管内8名の生産者に対して、現地検討会や管理講習会等を開催し、良質茶生産の支援を行っています。両氏の茶園は、施肥、防除、整枝など切磋琢磨して熱心に取り組まれていることから、特に、枝の揃い、葉の大きさ、葉層などの状態が極めて優れている点が高く評価されました。
今後も、現地検討会などを通じて茶園管理についての情報提供を行い、良質で消費者ニーズにマッチした魅力あるお茶づくりの支援を行っていきます。

2021年2月

黒糖商品検討会風景
新商品試作品

三角産サトウキビの特産加工品づくりをめざして

宇土半島では、江戸時代から昭和初期にかけてサトウキビの栽培と黒砂糖づくりが盛んに行われていました。この伝統技術を復活し、最近増加してきた遊休農地を再生して高齢者でも無理のないサトウキビ栽培を広めようと、「三角サトウキビ活性会」が平成25年度に結成され、徐々に栽培面積を拡大してきました。
これまで黒砂糖のみの製造販売だったことから、農業普及・振興課では本年度からさらに6次産業化をすすめ、高齢者の所得向上や地域活性化につなげようと新たな商品づくりを支援しています。2月4日には、2回目の商品づくり検討会を開催し、活発な意見交換が行われました。なかでも黒糖液の商品化への関心が高く、「ストーリー性や自然の食味を販売店や消費者へどうアピールするか」、「用途を絞って商品規格や価格設定をしたらどうか」「地域をイメージするキャッチコピーが必要では」など積極的な意見が出されました。
今後、さらに異業種連携を深めながら商品の付加価値を高め、サトウキビを核とした地域づくりを支援していきます。

2021年2月

展示区生育状況(1月6日)
旬別収量の比較(令和2年12月末まで)

ナス「PC筑陽」の安定生産技術確立を目指して

単為結果性※1ナス「PC筑陽」は、作業の省力化を目的に導入が進み、JA熊本うき茄子専門部会(部会員41名、栽培面積10.8ha)では、10.2haで栽培されています。
「PC筑陽」は、従来の「筑陽」に比べ個々の葉が小さく、栽培期間を通じた草勢の維持が難しい品種です。茄子専門部会では、主枝3本仕立て栽培を基準として収量の確保を図ってきましたが、新たな栽培技術確立が求められています。
当課では、草勢維持を目的として、令和2年8月から主枝2本仕立て栽培の実証展示ほを設置しました。展示ほ設置農家は、「2本仕立ては枝の伸び方が分かりやすく、作業がしやすい。年内の収量も遜色なく、厳寒期の草勢維持もできそうだ。」との感触を持っており、次年度は栽培面積の全てを2本仕立てにすることを検討しています。
促成ナス栽培は、6月末まで続きます。当課では引き続き、厳寒期から春の高温時期に向けての草勢の変化及び収量を調査し、地域における栽培技術確立を支援する計画です。

※1 単為結果性:交配作業を実施しなくても着果する性質

2021年2月

春に向けてハウスモモのせん定を実施

1月14日にハウスモモのせん定講習会・状況確認を実施しました。JA熊本うきハウスモモ部会では、今回のせん定状況確認と3月の開花状況確認の際は毎年部会員4戸全員で園地を巡回しながら、お互いの園地状況の確認及び栽培管理の意識統一を図っています。今回の講習会では、せん定方法の考え方や苗木の植え付け方法について意見交換を行ったことで、より栽培管理の理解が深まったようでした。
また、県の推奨品種であるモモ「さくひめ」は通常の品種よりも低温積算温度の要求量が少なく、西南暖地への導入品種として注目されており、管内でも全戸のハウスに数本ずつ導入されています。しかし、県内でのハウスにおける栽培事例が少ないため、今年度は、昨年の園地ごとの着果状況や品質等を確認し、その結果をまとめた資料を提供しました。引き続き、次年度も着色や品質等を確認し、収穫時期の検討を行っていく予定です。
今後も、関係機関と協力しながら新たな品種導入や高品質果実栽培に向けて支援していきます。

2021年1月

品評会の審査風景
生育状況(9月29日)

美里かぼちゃの品評会 開催!

12月10日、美里町役場で令和2年産「美里かぼちゃ」の品評会が開催されました。24点の出品があり、JA熊本うきと当課の職員が果実の外観品質をもとに審査を行い、最優秀賞1点、優秀賞2点、優良賞2点を選定しました。今年は玉肥大期の雨が少なかったことから、平年に比べ小ぶりな玉が多い印象でした。
令和2年産の美里かぼちゃは、7月豪雨後の長雨によるほ場準備の遅れや台風9号・10号の影響で生産量の減少が危惧されましたが、生産者の管理作業の努力により、平年と同程度の着果数が確保され、食味も大変良好な仕上がりとなっています。11月に収穫されたかぼちゃは、各生産者が貯蔵して品質を高めた後、関東・関西を中心に年内(12月15日~19日)と年明け(1月12日~27日)の2回に分けて、出荷されます。
農業普及・振興課では、美里かぼちゃのさらなる生産安定や品質向上に向けて、関係機関と連携し支援していきます。

2021年1月

新型コロナウイルス感染対策
クラブ員による販売の様子

4Hクラブ宇城うき収穫祭開催!

12月20日に宇城市豊野町のアグリパーク豊野で、消費者との交流及び4HクラブのPRを目的として、宇城地方青年農業者クラブによる農産物販売会「宇城うき収穫祭」が開催されました。今回は、新しい試みとして宇城地域直販ネットワークの会による「うまかもんフェスティバル」も同時開催され、パーテーションの設置など新型コロナウイルス感染防止対策が必要でしたが、盛大に実施することができました。
テント内には、クラブ員が生産している野菜、果樹、花苗やい草商品など多くの農産物が並び、クラブ員が直接消費者に農産物の特徴や食べ方を伝えるなど多くの方に宇城の農産物をPRすることができました。また、クラブ員が作成したチラシを配布する中で、地域の方から、「若い生産者を応援したい」という声が多くあり、クラブ員のモチベーションをなお一層高める良い機会となりました。
農業普及・振興課では、引き続き、クラブ員の連携強化及び資質向上に向けて、様々な活動をしっかりと支援していきます。

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