八代エリア

八代地域は八代市、八代郡を所管しています。県のやや南に位置し、八代海と九州山地との間に位置し、東西に流域を持つ球磨川と氷川等からの土砂の堆積によりできた三角州が基部となり、江戸時代初頭からの干拓事業により形成された西の平野部と、九州山地の脊梁地帯を形成する東の中山間地域からなっています。
平坦地域では、水稲、いぐさ、野菜、花きなどの多彩な作物が生産されており、これらを組み合わせた複合経営や施設野菜(トマト、メロン、イチゴ)の専作経営が行われ、「はちべえトマト」で知られる冬春トマトは、日本一の産地となっています。
近年は、ブロッコリー等の露地野菜の作付面積が年々増加、また、飼料用稲は、農作業受委託組織による組織的な生産により県下有数の作付面積となっています。
中山間地域では、立地条件を活かした農業が営まれ、ショウガ、なし、晩白柚、茶などの産地が形成されています。

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県南広域本部 農林水産部 農業普及・振興課

〒866-8555 八代市西片町1660

電話:0965-33-3462

FAX :0965-33-4540

八代エリア普及現地情報

2025年7月

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展示ほの様子 (左:トンネル 右:べたがけ)
生育調査の様子

レタスの鳥類被害対策調査

八代地域は、熊本県を代表するレタスの産地(74ha、18名)であり、11月中旬から翌年5月にかけて出荷されます。特に、冬期(12月~3月)では、海岸沿いのほ場において、カモ等の鳥類による被害が多く確認されています。このため、霜害対策に加え、鳥類による食害対策として、被覆資材(パオパオ90)の比較試験を行っています。これまで、被覆方法の違い(トンネル、べたがけ)による生育速度や収量、鳥類による食害への影響は明確でなかったため、令和7年1月から4月にかけて展示ほを設置し調査を行いました。
調査の結果、トンネル被覆は生育が遅れ結球が小さく締まりも緩いことが認められました。要因としては、平均地温が上がらなかったことが挙げられます。(トンネル9.3℃、べたがけ10.4℃(深さ10cm、1/29~4/4:65日間))。
また、カモ等の鳥類による食害については、トンネル、べたがけともに被害は認められず、被覆方法による食害対策効果の差は判然としなかったものの、展示ほ周辺の被覆していないほ場では、食害が認められたため、被覆資材による鳥類の食害抑制効果が確認できました。
当課では、露地野菜の安定生産に向けた技術の検証と、カモ類等による食害対策を引き続き関係機関と連携し、進めていきます。

2025年7月

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周知活動中(広報車)の状況

タバココナジラミ防除対策啓発の地域一斉広報活動 ~トマトハウスから逃げ出さんごつ、ごろっ蒸しこんで~

八代地域のトマト栽培は、タバココナジラミが媒介するトマト黄化葉巻病ウイルスによる黄化葉巻病の発生が問題となっています。このため、栽培終了後に黄化葉巻病ウイルスの伝染環を断ち、次作に影響を及ぼさない対策を指導しています。
具体的には、①収穫は6月25日までに終了、②終了後速やかに6月末までにハウス密閉処理を開始、③次作は8月15日以降に定植を開始、を産地での申し合わせ事項として取り決めています。また、この取り組みを徹底させるため、八代地域の関係機関(JAやつしろ、八代市、氷川町、県南農業普及・振興課)では、毎年コナジラミ防除啓発の一斉広報活動を栽培終了時期に実施しており、今年は5月28日、6月4日、6月11日に行いました。
一斉広報活動では、八代産地を北部と南部の2区域に分け、MEGさん(ラジオパーソナリティ)の八代弁によるタバココナジラミ防除徹底を呼びかけた録音音声を、広報車で流しながら巡回しました。巡回中は、立ち止まって聞いてくれるなど、反応を返してくれる生産者も見られ、広報活動の重要性を感じたところです。
これらの取り組みにより、令和6年産トマト、ミニトマトの黄化葉巻病は、これまでで最も低い発病株率となり、地域一体での対策の成果が現れてきています。今後はSNSを活用した広報活動にも取り組み、引き続き関係機関と連携し、トマト・ミニトマトの黄化葉巻病抑制に向けたタバココナジラミ防除対策を徹底していきます。

2025年7月

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八代地域農業経営者協議会の総会、研修会、祝賀会が開催される

八代地域農業経営者協議会は、八代地域の農業コンクール大会参加者と普及指導協力委員(指導農業士)の37名で構成され、自らの経営向上や農業後継者等の育成を目的に、研修会等を開催されています。
去る6月6日(金)に定期総会が開催され、本年度の活動計画や役員の選出等が承認されました。
その後、研修会が開催され、「農繁期の人手不足に派遣という選択肢」と題して、YUIME(株)から、特定技能外国人の派遣について講演がありました。外国人を雇用されている会員が多く、講演後は活発な質疑応答が行われました。
引き続き、昨年度の農業コンクール大会や各種表彰受賞者の祝賀会が開催され、受賞者の功績の紹介や受賞者から経営に対する熱い思いが語られ、参加者からは、他の経営状況を聞ける貴重な時間になったとの感想がありました。
当課では、同協議会員を八代地域農業のリーダーと位置づけ、引き続き地域をけん引いただけるよう支援を行っていきます。

2025年6月

アールスメロンの選果状況①
アールスメロンの選果状況②

令和7年産春メロンの出荷スタート~今年のメロンは果実肥大・品質良好~     

八代地域の春メロンは、トマトとの複合経営が多く、近年は面積が減少傾向にありますが、八代地域での主要品目です。令和6年産の春メロンは、3月下旬~4月にかけての多雨と日照不足に大きく影響を受け、果実が小さく、収量が令和5年産より約2割少なかったことが問題となりました。
このため、令和7年産では定植以降に、生育や管理の状況を確認する現地検討会を地区別に開催し、収量向上を目指した伴走型指導を行ってきました。2月の低温や日照不足の影響による生育の遅れが懸念されましたが、加温機や被覆資材等を活用した管理の徹底に加え、3月後半からの好天により、昨年よりも良好な果実肥大が見られました。食味も良好で、4月14日からアールスメロンの出荷が開始し、今後はクインシーメロン、肥後グリーンも順次出荷されます。
これからの本格出荷に向け、4月22日に令和7年産八代地方メロン出荷協議会が開催され、生産者、JA、農事組合法人八協連、首都圏等市場関係者、輸送関係者、県市町等総勢70名が参加しました。産地から首都圏等市場に対し、昨年よりも良好な生育状況に裏付けられた安定供給への出荷計画が報告され、市場からは消費地動向と有利販売に向けた提案がなされるなど、活発な意見交換が行われました。
今後も、八代地域メロンの栽培面積の維持と稼げる農業の実現のために、関係機関と連携しながら、支援を継続していきます。

2025年6月

令和6年産の様子①(ゴマによる天敵増殖)
令和6年産の様子②(定植前からの天敵導入)

トマトにおける生物農薬(天敵タバコカスミカメ)の活用推進 ~令和6年産トマトでの利用状況成果検討会~

八代地域のトマト栽培(大玉トマト254ha、ミニトマト105ha)は、タバココナジラミが媒介する黄化葉巻病の発生が問題となっています。タバココナジラミ防除は農薬散布による適期防除で主に行われていますが、令和6年産(令和6年8月定植)では、一部の地区で農薬使用低減を視野に入れた生物農薬(天敵タバコカスミカメ:以下、天敵)活用の取り組みが行われ、5月7日に導入した生産者4名による成果検討会を開催しました。
具体的な取組み内容は、トマト苗定植前の令和6年7月から、ゴマを利用して土着天敵を増殖させ、8月からハウス内へ放飼しました。この結果、定植2週間後からトマトの葉上に数匹の天敵が確認でき、12月までにハウス内全体への定着を確認できました。しかし、天敵の定着を優先させるため、タバココナジラミ防除の農薬散布回数を減らしたことで、黄化葉巻病の発生抑制には至りませんでした。
このため、成果検討会において、次期作(令和7年産)では、定植後のコナジラミ防除と天敵増殖を図るため、タバココナジラミ防除に使用する農薬の選択に重点を置いた実証試験に取り組むことを申し合わせました。生産者からは、「天敵の活用は農薬使用低減につながるため、令和7年産は黄化葉巻病発生をこれまで以上に抑制したい」と意欲的な声があがりました。
今後も、引き続き関係機関と連携し、トマト・ミニトマトの黄化葉巻病抑制につながる支援を実施し、「稼げる農業」を推進していきます。

2025年6月

泉町茶業振興協議会茶製造講習会の様子
茶摘みを待つ新芽

今年も新茶の季節が到来!一番茶の製造はじまる

八代市泉町では古くから山間地の寒暖差を活かし、香り豊かで質の良い「いずみ茶」を基幹作物として生産しています。
一番茶※1の本格シーズンに先立ち、良質な「いずみ茶」を目指して4月23日に泉町茶業振興協議会の茶製造講習会が県茶業研究所で開催されました。参加者は摘まれた新芽と製造したお茶を見て、今年の製造ポイントを確認しました。また、このお茶は4月25日の『献茶祭』で供えられました。
今年は、年明けから気温が低く推移し、特に早生品種がその影響を受けたため、一番茶製造は平年より5日ほど遅く4月24日頃に始まりました。どの品種も生育が緩やかで製造終了は5月15日頃までずれ込む見込みですが、「いずみ茶」らしい香りの良いお茶ができ上がっています。
当課も良質な「いずみ茶」の安定生産に向け、引き続き栽培講習会や求評会等を通じて生産者の支援を行っていきます。
※1 その年の初めに摘む茶芽と製品。今年の泉町は八十八夜の5月1日頃が収穫のピークです。

2025年6月

ほ場見学の様子
「ハイパーウェルカム」二年生株

アスパラガスの高温対策に向けた県外視察

八代地域では、アスパラガスでの新う規就農者が増え、栽培戸数・面積(40戸、11ha)は増加傾向にあるものの、夏場の猛暑の影響により出荷量は減少傾向にあります。令和6年度は、梅雨明け以降の高温により、高温障害と思われる曲がりの発生や細物が増加し、品質低下や収量減少の要因となりました。
そのため、夏場の収量増加に向け、当地域の栽培品種「ウェルカム」よりも夏場の生育及び品質の優れた品種「ハイパーウェルカム」が有望との情報を受け、4月22日に生産者、JA指導員、当課を含めた24名で、先進的に本品種を導入されている福岡県JAおおきアスパラガス部会へ視察に行きました。
現地ほ場では「ハイパーウェルカム」の特性について、収穫物は太物で、立茎時の親木の生育も良好であることから、夏場の品質、収量の有効性を確認できました。また、栽培管理においても、高温期の管理方法について情報を収集しました。なお、生産者は、病害を抑制する管理方法について、既存の側枝本数を減らす栽培方法に高い関心を示しており、有意義な研修となりました。
引き続き当課では、関係機関と連携し、品種の導入も検討しながら、高温条件下でのアスパラガス収量増加に向けて検証していきます。

2025年6月

連絡協議会理事会の様子
連絡協議会本田会長(中央起立者)

令和7年度氷川町農事組合法人連絡協議会始動

氷川町には地域営農法人が6法人あり、相互の連携により、各法人組織の機能強化や農業経営の改善に取り組み、地域農業の振興を図ることを目的に氷川町農事組合法人連絡協議会が令和元年に組織されています。協議会には、氷川町をはじめ、JAやつしろ、農業公社、農業普及・振興課が事務局として参加し、各法人から選出された運営委員と毎月理事会を開催しています。4月30日に第1回理事会が開催され、本年度の協議会活動がスタートしました。
協議会では、将来的な広域連携を視野に、作業料金の統一や総会資料の統一などを行っており、水稲や麦等の精算や経営所安定対策などの事務処理や税理士を交えた研修会等を行いながら、各法人の健全経営に努めています。今回の理事会では、5月に開催される各法人の総会に向け、記載事項の確認や日程調整等が行われました。このように法人間が連携し、関係機関がサポートする体制が構築されていることにより、効率的に情報共有が図られ、作業受委託などの連携が進んできています。
当課では、理事会を通じ、農業機械の導入や新規農作物の導入等法人運営に係る支援や後継者不足や法人経営の維持に苦慮されている各法人の実情に合わせた助言指導を行いながら、広域連携組織の育成に努めていきます。

2025年5月

ストップ!カモ被害、令和6年度総決算~八代地方農作物鳥類被害防止対策連絡協議会総会の開催~

八代地域では、鳥類(特にカモ類)による露地野菜等への農作物被害に危機感を感じ、令和3年2月に、関係機関と連携し標記連絡協議会を立ち上げ、4年間にわたり被害防止対策に取り組んでいます。この度、1年の総決算となる令和6年度八代地方農作物鳥類被害防止対策連絡協議会総会を3月11日に県南広域本部大会議室で開催しました。
総会では、令和6年度に関係機関が連携して取り組んだ以下の活動実績が報告されました。まず、啓発活動では、JA購買店舗や一般資材店における対策ポスターの掲示やラジオ・JA広報誌、市町ホームページを活用した広報PRについて、また、県内外から参加があった被害防止研修会や野鳥愛好会会員との情報交換による資質向上について、さらに、カモの飛来や滞留防止対策として、水路テグスや水稲2番穂の刈落としなどの実証試験についてです。最後に鳥獣被害対策実施隊(猟友会)と鷹匠が連携した陸海からの追払い・捕獲活動では、例年多くのカモが滞留する内水面において、滞留数の大幅な減少が確認できました。これまでの取り組みにより、被害額は令和元年をピークに年々減少し、令和5年度は令和元年度のピーク時より半減し、被害額が2,000万円を超える地区が解消されるなどの成果が見られています。
当課では、これまで効果が確認された対策について広く生産者へ周知し、地域ぐるみでの被害防止対策の取り組みを推進するため、コーディネート機能を発揮し、市町・JA等関係機関の連携や活動を支援していきます。

2025年5月

土壌調査の様子

いちごの収量向上を目指した土壌状態の見える化へ~JAやつしろいちご部会員ハウス200カ所調査~

いちごの収量向上には、ハウス内環境の適切な管理が必要ですが、その土台として、充実した根が張れる畝(土壌)が重要です。
令和6年産(R6.9月~R7.6月)の2月上旬までの収量は、例年より少ない状況が続きました。その要因として、夏秋季の高温や冬季の低温による影響もありますが、根が十分に張れる土壌条件になっていなかったことも考えられます。
そこで、各ハウスの土壌状態を把握し、必要に応じて改善するため、3月17日と18日に、JAやつしろいちご部会員のハウス(200カ所)における土壌調査を実施しました。
調査は貫入式土壌硬度計を用いて、畝上面から30cm域内の物理性状況を確認するとともに、草高の生育調査も行いました。また、栽培終了後には、化学性(土壌養分)調査のための土壌採取も行い、今後、各ハウスにおける土壌と生育、収量の総合的な分析を行います。
八代地域では、環境モニタリング機器活用による、データに基づいたいちご栽培管理が始められており、次作においては、今回の調査を基にした土づくりにも取り組み、更なる収量向上を図っていきます。
当課では引き続き、関係機関と連携しながら、魅力あるいちご産地づくりを推進していきます。

2025年5月

トマト黄化葉巻病耐病性品種の選抜~品種比較試験の中間報告会~

八代地域は日本一のトマト栽培面積を誇る産地ですが、コナジラミ類によって媒介される黄化葉巻病対策が課題となっています。このため、トマト・ミニトマトにおける黄化葉巻病の発生を抑制し、収量や品質を維持する品種選抜の比較試験を、生産者協力のもと、JAやつしろ、八代市、当課で連携して実施しています。
この試験は、生産者が次作の品種選定を行う際の有効な判断材料とする、重要な試験です。具体的には、令和6年産(R6.8月~R7.6月)でトマト6品種、ミニトマト5品種の段数ごとの開花日や収穫日、収穫重量等を週に1回の間隔で調査しています。
まだ、栽培途中ですが、八代地方トマト販売連絡協議会主催のもと、3月5日に生産者代表、JAやつしろ、農事組合法人八協連、JA熊本経済連、市町、農業普及・振興課等、総勢50名出席のもと、中間実績検討会を開催しました。圃場で生育状況を実際に確認する現地検討会と、収量性等の調査データ等を共有する室内討議に加え、食味検討も行いました。生産者からは「品種選定に必要な情報である」「既存品種に囚われず調査をしてもらいたい」など、今後の試験継続に期待する声も多くよせられました。
今後も、八代地域のトマト・ミニトマト生産者の「稼げる農業」の推進に向けて、当課では引き続き関係機関と連携し、品種調査や病害虫対策等を含めた支援を実施していきます。

2025年5月

第63回 全国青年農業者会議の様子(国立オリンピック記念青少年総合センター)
第63回 全国青年農業者会議の様子(国立オリンピック記念青少年総合センター)

全国青年農業者会議で八代の若手生産者の熱風が吹いた~全国農業青年クラブ連絡協議会会長賞(3位)を受賞~

第63回全国青年農業者会議(令和7年3月:国立オリンピック記念青少年総合センター)で、八代地方青年農業者クラブ連絡協議会(以下、八代4Hクラブ)の河野隆盛氏が、「乾燥作業のスマート農業・DX化で、いぐさ産地に新しい熱風を!」を発表し、全国3位となる全国青年クラブ連絡協議会会長賞を受賞しました。
河野氏は、いぐさ乾燥作業の経験や勘に頼っていた「仕上がり」の判断をスマホでリアルタイムに確認できるシステムの開発に八代4Hクラブ員4名で取り組み、燃油代や労働力の削減による作業効率化を実現した成果に対して、審査員からはスマート農業の実践とその普及性について高い評価を受けました。 
今回のシステム開発は、いぐさ生産者の減少が続く中、若手生産者への技術継承やいぐさ産地の維持発展にも繋がる有効な技術開発と考え、当課でも5年に渡る伴走型支援を行ってきました。このシステムの実現のために、4Hクラブ員と県産業技術センターや地元電子メーカーとの橋渡しを行い、乾燥状態をリアルタイムで確認できる水蒸気量モニタリング装置の試作機の実証試験まで導くことが出来ました。
当課では、引き続き、関係機関と協力して河野氏ほか後継者を支援するとともに、4Hクラブのプロジェクト活動を通じた経営改善や地域の課題解決能力等の取得や向上による、次代の地域農業を担う青年農業者の育成を図っていきます。

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