八代エリア

八代地域は八代市、八代郡を所管しています。県のやや南に位置し、八代海と九州山地との間に位置し、東西に流域を持つ球磨川と氷川等からの土砂の堆積によりできた三角州が基部となり、江戸時代初頭からの干拓事業により形成された西の平野部と、九州山地の脊梁地帯を形成する東の中山間地域からなっています。
平坦地域では、水稲、いぐさ、野菜、花きなどの多彩な作物が生産されており、これらを組み合わせた複合経営や施設野菜(トマト、メロン、イチゴ)の専作経営が行われ、「はちべえトマト」で知られる冬春トマトは、日本一の産地となっています。
近年は、ブロッコリー等の露地野菜の作付面積が年々増加、また、飼料用稲は、農作業受委託組織による組織的な生産により県下有数の作付面積となっています。
中山間地域では、立地条件を活かした農業が営まれ、ショウガ、なし、晩白柚、茶などの産地が形成されています。

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県南広域本部 農林水産部 農業普及・振興課

〒866-8555 八代市西片町1660

電話:0965-33-3462

FAX :0965-33-4540

八代エリア普及現地情報

2025年5月

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ストップ!カモ被害、令和6年度総決算~八代地方農作物鳥類被害防止対策連絡協議会総会の開催~

八代地域では、鳥類(特にカモ類)による露地野菜等への農作物被害に危機感を感じ、令和3年2月に、関係機関と連携し標記連絡協議会を立ち上げ、4年間にわたり被害防止対策に取り組んでいます。この度、1年の総決算となる令和6年度八代地方農作物鳥類被害防止対策連絡協議会総会を3月11日に県南広域本部大会議室で開催しました。
総会では、令和6年度に関係機関が連携して取り組んだ以下の活動実績が報告されました。まず、啓発活動では、JA購買店舗や一般資材店における対策ポスターの掲示やラジオ・JA広報誌、市町ホームページを活用した広報PRについて、また、県内外から参加があった被害防止研修会や野鳥愛好会会員との情報交換による資質向上について、さらに、カモの飛来や滞留防止対策として、水路テグスや水稲2番穂の刈落としなどの実証試験についてです。最後に鳥獣被害対策実施隊(猟友会)と鷹匠が連携した陸海からの追払い・捕獲活動では、例年多くのカモが滞留する内水面において、滞留数の大幅な減少が確認できました。これまでの取り組みにより、被害額は令和元年をピークに年々減少し、令和5年度は令和元年度のピーク時より半減し、被害額が2,000万円を超える地区が解消されるなどの成果が見られています。
当課では、これまで効果が確認された対策について広く生産者へ周知し、地域ぐるみでの被害防止対策の取り組みを推進するため、コーディネート機能を発揮し、市町・JA等関係機関の連携や活動を支援していきます。

2025年5月

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土壌調査の様子

いちごの収量向上を目指した土壌状態の見える化へ~JAやつしろいちご部会員ハウス200カ所調査~

いちごの収量向上には、ハウス内環境の適切な管理が必要ですが、その土台として、充実した根が張れる畝(土壌)が重要です。
令和6年産(R6.9月~R7.6月)の2月上旬までの収量は、例年より少ない状況が続きました。その要因として、夏秋季の高温や冬季の低温による影響もありますが、根が十分に張れる土壌条件になっていなかったことも考えられます。
そこで、各ハウスの土壌状態を把握し、必要に応じて改善するため、3月17日と18日に、JAやつしろいちご部会員のハウス(200カ所)における土壌調査を実施しました。
調査は貫入式土壌硬度計を用いて、畝上面から30cm域内の物理性状況を確認するとともに、草高の生育調査も行いました。また、栽培終了後には、化学性(土壌養分)調査のための土壌採取も行い、今後、各ハウスにおける土壌と生育、収量の総合的な分析を行います。
八代地域では、環境モニタリング機器活用による、データに基づいたいちご栽培管理が始められており、次作においては、今回の調査を基にした土づくりにも取り組み、更なる収量向上を図っていきます。
当課では引き続き、関係機関と連携しながら、魅力あるいちご産地づくりを推進していきます。

2025年5月

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トマト黄化葉巻病耐病性品種の選抜~品種比較試験の中間報告会~

八代地域は日本一のトマト栽培面積を誇る産地ですが、コナジラミ類によって媒介される黄化葉巻病対策が課題となっています。このため、トマト・ミニトマトにおける黄化葉巻病の発生を抑制し、収量や品質を維持する品種選抜の比較試験を、生産者協力のもと、JAやつしろ、八代市、当課で連携して実施しています。
この試験は、生産者が次作の品種選定を行う際の有効な判断材料とする、重要な試験です。具体的には、令和6年産(R6.8月~R7.6月)でトマト6品種、ミニトマト5品種の段数ごとの開花日や収穫日、収穫重量等を週に1回の間隔で調査しています。
まだ、栽培途中ですが、八代地方トマト販売連絡協議会主催のもと、3月5日に生産者代表、JAやつしろ、農事組合法人八協連、JA熊本経済連、市町、農業普及・振興課等、総勢50名出席のもと、中間実績検討会を開催しました。圃場で生育状況を実際に確認する現地検討会と、収量性等の調査データ等を共有する室内討議に加え、食味検討も行いました。生産者からは「品種選定に必要な情報である」「既存品種に囚われず調査をしてもらいたい」など、今後の試験継続に期待する声も多くよせられました。
今後も、八代地域のトマト・ミニトマト生産者の「稼げる農業」の推進に向けて、当課では引き続き関係機関と連携し、品種調査や病害虫対策等を含めた支援を実施していきます。

2025年5月

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第63回 全国青年農業者会議の様子(国立オリンピック記念青少年総合センター)
第63回 全国青年農業者会議の様子(国立オリンピック記念青少年総合センター)

全国青年農業者会議で八代の若手生産者の熱風が吹いた~全国農業青年クラブ連絡協議会会長賞(3位)を受賞~

第63回全国青年農業者会議(令和7年3月:国立オリンピック記念青少年総合センター)で、八代地方青年農業者クラブ連絡協議会(以下、八代4Hクラブ)の河野隆盛氏が、「乾燥作業のスマート農業・DX化で、いぐさ産地に新しい熱風を!」を発表し、全国3位となる全国青年クラブ連絡協議会会長賞を受賞しました。
河野氏は、いぐさ乾燥作業の経験や勘に頼っていた「仕上がり」の判断をスマホでリアルタイムに確認できるシステムの開発に八代4Hクラブ員4名で取り組み、燃油代や労働力の削減による作業効率化を実現した成果に対して、審査員からはスマート農業の実践とその普及性について高い評価を受けました。 
今回のシステム開発は、いぐさ生産者の減少が続く中、若手生産者への技術継承やいぐさ産地の維持発展にも繋がる有効な技術開発と考え、当課でも5年に渡る伴走型支援を行ってきました。このシステムの実現のために、4Hクラブ員と県産業技術センターや地元電子メーカーとの橋渡しを行い、乾燥状態をリアルタイムで確認できる水蒸気量モニタリング装置の試作機の実証試験まで導くことが出来ました。
当課では、引き続き、関係機関と協力して河野氏ほか後継者を支援するとともに、4Hクラブのプロジェクト活動を通じた経営改善や地域の課題解決能力等の取得や向上による、次代の地域農業を担う青年農業者の育成を図っていきます。

2025年4月

未来を担う高校生へ地域農業の出前講座を実施!

八代農業高校では、農家出身の生徒が減少し、進路先に農業(就農、農業大学校への進学等)を志望する生徒が少なくなっています。
そこで、農業への関心を高め、将来の選択肢の一つとなるよう、2月17日に地域農業の興味・知識を深めるための出前講座を実施しました。
講座では、生徒が意欲的に参加できるよう、八代農業高校連携PTメンバー※が講師となって、食農創造科1年生(30名)、生産土木科1年生(14名)を対象に、熊本県・八代地域の農業や農業土木について、クイズ形式で説明を行いました。その後、農業に関する課題について考えるワークショップを9班に分かれ実施しました。各班で、農業後継者を増やすには?等の8つのテーマの中から一つ選び、意見をまとめました。
講座後、生徒を対象に行ったアンケート調査で、「農業について楽しく学ぶことができ、知識が深まった。」等の意見が寄せられ、講座前後で生徒の農業に関する興味・関心度は向上しました。
この他にも、今後受けたい研修について、農業体験や植物の病気を詳しく学べる研修等を求める意見があったため、今後の取組みに活かしていく予定です。
八代農業高校連携PTでは、生徒が農業の魅力や楽しさに気づき、「将来、農業に携わりたい!」と思えるよう、生徒の視点に立った取組みを展開していきます。

※農業普及・振興課と農地整備課の若手職員を中心とする「八代農業高校との連携推進プロジェクトチーム」

2025年4月

今年も甲乙つけがたい晩白柚・デコポンだらけ! ~令和6年産八代地方果実品評会の開催~

令和7年1月17日に、熊本県県南広域本部において、JAやつしろ果樹部会主催の八代地方果実品評会が開催されました。当日はハウス晩白柚16点、露地晩白柚3点、ジャンボ晩白柚17点、屋根掛け不知火10点の合計46点の出品があり、各部門で見た目の美しさ、果実の色や形の揃い、傷の有無、糖・酸度、果実重を審査しました。
本年産は裏年傾向による着果が少ない中、台風等の被害はなかったものの、夏秋期の高温・乾燥による日焼け果の発生や着色遅延など、栽培環境は大変厳しい年となりました。しかしながら、出品された果実はどれも外観・品質ともに良好で、甲乙付け難いものばかりでした。また、ジャンボ晩白柚部門では、果実重量と果径の大きさ(横径)を計測して、最も重い晩白柚が金賞となります。今回は、残念ながらギネス記録(5,528g)には及びませんでしたが、金賞は4,041gで、とても大きく立派なものでした。今年産の厳しい栽培環境下であっても、ここまで大きくできたのは生産者の晩白柚に対する熱い思いの現れだと感じているところです。
当課では、今後も引き続き管理作業の省力化(台木を活用した低樹高化やドローンを活用した防除の省力等)や温暖化に対応した栽培指導(日焼け抑制資材の活用や着色遅延技術の検討)、併せて高齢化が進む中での産地維持・経営継承について関係機関と協力して取り組み、八代の果樹産業をより一層盛り上げていきます。

2025年4月

しっかり溝切りしたほ場の様子
いぐさ株の様子

いぐさの栽培技術向上を目指して ~現地検討会を開催しました~

2月から3月は、今後の良質な長いの生育や収量に影響する重要な時期であるため、当課とJAやつしろが連携して、現地検討会を各地区(8箇所)で開催しました。
参加した生産者のほ場を巡回し、掘り取ったいぐさ株の根や芽、土壌の状態や土壌分析値等を確認しながら、今後の栽培管理について助言指導を行いました。
特に、2月の栽培管理において重要になるのが地干しの徹底です。地干しを行うことで、土壌中に空気が供給され、発根と出芽が促されます。このため、地干しの効果を高めるために、溝切りや側溝による排水対策を行うよう指導を行いました。
生産者からは「他生産者のほ場を観察することで、今後の管理のヒントを得ることができた。」「自分のほ場の土壌や根や芽の状態を確認でき、参考となった。」といった声が聞かれるなど、2月の栽培管理の重要性を再確認する良い機会となりました。
現地では今後、間断灌水や先刈り、施肥等、ほ場の管理作業が忙しくなる時期を迎えますが、当課では、JA及び関係機関と連携して、生産者の栽培技術の向上・生産安定化に向けた支援を行っていきます。

2025年4月

品評会審査(2月4日、 JAやつしろ中央い製品集荷場(千丁町))
表彰式(2月6日、八代ホワイトパレス)

生産者の思いが込められた原草・畳表が揃う ~第50回熊本県い業大会開催~

い草の栽培技術や畳表の加工技術を競う「第50回熊本県い業大会」が、令和7年1月24日から2月7日にかけて八代市内で開催されました。
2月4日に行われたい草・い製品品評会では、原草116点、畳表118点が出品され、当課を含む審査員(38名)が評価にあたりました。
い草の部については、一部にむら染めや茎が軟らかいものがみられたものの、全般的に粒揃いのよい良質な原草が出品されていました。い製品の部については、一部に水分が基準(12%以下)を上回るものなどが見受けられましたが、茶元や元白が少なく、全体的にバランスに優れ、例年以上に加工技術の高さを感じる高品質な畳表が出品されていました。
本年度は、い草の部で坂本一真さん・奈美さん(八代市)、い製品の部で早川猛さん・克美さん(氷川町)が農林水産大臣賞を受賞されたほか、熊本県知事賞など合計90点が表彰されました。
また、入賞した原草と畳表については、2月8日にJAやつしろ中央い製品集荷所で展示が行われ、県内外から訪れた多くの関係者(畳屋、問屋、生産者等)で、大変な賑わいでした。
当課では今後も、JAや関係機関と連携しながら現地検討会や講習会等を開催し、生産者の生産加工技術の高位平準化と所得向上を図っていきます。

2025年4月

関係機関の連携会議
座談会での説明

経営継承重点地区の取組 ~産地を次代につなげるために~

八代地域は、園芸を中心にした農業生産の盛んな地域ですが、中山間地を中心に産地の高齢化が進んでおり、対応が急務になっております。
そのため、広域本部、市町、JAで構成する連携会議において、担い手確保に向けた対策を検討しました。そして、令和5年8月に、高齢化が特に進んでいるJAやつしろのしょうが部会を経営継承の重点地区に設定し、支援を図ることにしました。
まず、令和6年1月から産地のアンケート調査を実施しましたが、10年後には生産者が半減することが判明し、これを産地で共有するとともに、新たな担い手を確保するための取組みを進めることにしました。
令和6年度は、新規就農者の成功事例調査や新規就農者の募集のリーフレットを作成し、就農相談などに取り組みました。
今後は、空屋情報の提供や農地のマッピングを進めるために、関連する事業との連携を図っていくことにしております。
さらに、令和7年2月には、同様に産地の高齢化の問題に悩むJAの晩白柚部会も、追加で重点地区に設定しました。こちらも、現在、産地のアンケート調査を実施し、令和7年度から支援に取り組んでいく予定です。
農業普及・振興課では、今後も、関係機関の連携のもと、産地を次代につなげていくための取組みを進めていきたいと考えているところです。

2025年4月

先進地視察の様子
上田組合長(正面左)の説明

氷川町農事組合法人連絡協議会先進地視察の開催

氷川町では、町内の6農事組合法人で『氷川町農事組合法人連絡協議会(令和元年設立)』を組織しており、法人間の連携により、各組織の機能強化や農業経営の改善に取り組んでいます。本課においても普及振興計画の重点課題として、各法人の経営力強化と広域連携の推進を図っているところです。そこで、2月3日(月)に協議会の運営委員(各法人の理事)による先進地視察研修を企画し、R6年度農林水産祭において内閣総理大臣賞に賞された(農)秋津営農組合(熊本市)を視察しました。
(農)秋津営農組合は、基盤整備を機に機械利用組合として誕生し、H25年に法人化されました。組合員数は142名、耕地面積約150haと6法人の合計とほぼ同規模の法人です。しかし、8年前の熊本地震で地盤沈下や用水施設の破損などにより営農できない苦難に合いながらも、現在では米・麦・大豆で県内トップクラスの法人となっています。組合長からは、「復旧工事は修了したが、地力が低下し、以前のような農地にはまだ戻っていない。課題も多いがスマート農業の導入など若い世代に関心を持ってもらいたい。そして、地域の自然や風土、文化とともに農地や水を住民と守っていきたい。」と話されていました。当日は各法人の理事のほかJA、氷川町、熊本県農業公社から21名の参加があり、質疑応答では次々と質問が飛び交い視察時間を大幅に超過するなど、参加者の熱意が感じられた研修となりました。
本課では、法人の経営力強化や広域連携に向けた意識の向上に向け、引き続き関係機関と連携しながら取り組んでいきます。

2025年3月

八代農業高校との連携プロジェクト始動!

八代農業高校では、農家出身の生徒が少なくなってきており、卒業後に就農
する学生はほとんどいない状況です。このため、次世代の本県農業を担う人材を確保するためには、農業高校と連携した取組みが必要です。
そこで、R6年12月に、農業普及・振興課と農地整備課の若手職員を中心とする「八代農業高校との連携推進プロジェクトチーム」を立ち上げました。PTメンバーで連携の方向性を検討・整理し、八代農業高校の先生方と打合せを行ったところ、多数の取組み案の中から、生徒の農業に関する興味や知識を向上させるため、まずは、講話を実施することにしました。その他の取組みは、高校の学習カリキュラムやニーズを踏まえて再整理することにしました。
併せて、今後連携する取組み内容について先生方とブレーンストーミングを行ったところ、生徒と生産者との交流会や生徒への農地測量方法、栽培技術指導等の意見が挙がり、取組み内容を整理することができました。
今後、講話の日程や内容について先生方と検討し、PTメンバーが講師となって、クイズやワークショップを実施することに加え、生徒へのアンケート調査を行い、今後の取組みに活かしていくことにしています。
八代農業高校PTでは、生徒が農業の魅力や楽しさに気づき、将来的に農業に携わりたい!と思えるよう、生徒の視点にたった取組みを展開していきます。

2025年3月

1月上旬定植の株
1月中旬定植の株

令和7年産春メロンは収量向上を目指して ~生育と管理の再確認~

令和6年産の春メロンは、気象の影響で果実が小さく、収量が少なかったことが問題となっていました。そこで、令和7年産では果実を大きくし、昨年以上の収量を目指すため、生育や管理の状況を確認する現地検討会を2月3日に開催しました。
八代地域の春メロンは、県内でも上位の産地であり、その多くはトマトからの切り替えにより栽培され、1月から定植が開始されます。そのため、現地検討会では、定植時期が異なる(1月上旬、中旬、下旬)圃場を選定しました。当日は、生産者から、「午前と午後それぞれの温度管理はどうするのか」「トンネルを開けるタイミングはいつか」「生育の良否の判断はどこでするのか」等の質問が挙がり、これからの本格的な栽培に向け適切な指導・助言を行いました。定植は2月~3月にかけ最盛期となるため、今後も適宜、現地検討会を重ねていくとともに、それぞれの生育ステージに合わせた指導も行っていきます。
近年はトマトからミニトマトへの転換が見られ、八代地域の春メロンは栽培面積が減少傾向にありますが、そのようななかでも、関係機関と連携し、安定生産と収量向上による稼げる農業の実現に取り組んでいきます。

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