八代エリア

八代地域は八代市、八代郡を所管しています。県のやや南に位置し、八代海と九州山地との間に位置し、東西に流域を持つ球磨川と氷川等からの土砂の堆積によりできた三角州が基部となり、江戸時代初頭からの干拓事業により形成された西の平野部と、九州山地の脊梁地帯を形成する東の中山間地域からなっています。
平坦地域では、水稲、いぐさ、野菜、花きなどの多彩な作物が生産されており、これらを組み合わせた複合経営や施設野菜(トマト、メロン、イチゴ)の専作経営が行われ、「はちべえトマト」で知られる冬春トマトは、日本一の産地となっています。
近年は、ブロッコリー等の露地野菜の作付面積が年々増加、また、飼料用稲は、農作業受委託組織による組織的な生産により県下有数の作付面積となっています。
中山間地域では、立地条件を活かした農業が営まれ、ショウガ、なし、晩白柚、茶などの産地が形成されています。

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県南広域本部 農林水産部 農業普及・振興課

〒866-8555 八代市西片町1660

電話:0965-33-3462

FAX :0965-33-4540

八代エリア普及現地情報

2025年11月

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「いずみ抹茶」で泉産茶の活性化

当課と八代市役所フードバレー推進課では、抹茶需要の高まりを受けて、一昨年の秋から八代市泉町の耕作放棄茶園を活用したてん茶(抹茶の原料)の製造支援に取り組んでいます。取り組み生産者は当初1戸でしたが、今年は4戸まで増えました。
今年は5月下旬に県茶業研究所の協力を得ててん茶製造を行い、初めて試作する生産者2戸には、てん茶独特の製茶機の役割と操作方法についても指導しました。
6月には生産者、八代市フードバレー推進課、泉支所等と当課で支援体制を構築し、試作てん茶の活用方法についてより踏み込んだ対策を始めました。
また、6月25日に行った試飲会では、試作した抹茶の方が市販品の抹茶(1,250円/100g)よりも色が鮮やかで良質であることが確認できました。
さらに、より良質な抹茶を目指し、不純物を取り除く仕上げ研修を県茶業研究所において8月13日に実施し、緑鮮やかな抹茶に仕上がりました。 
今後は、泉産抹茶を「いずみ抹茶」と命名し、八代市内の菓子店等において「いずみ抹茶フェア」を開催する準備を進めています。当課も引き続き技術的な支援を通じ、泉産茶の活性化を図っていきます。

2025年11月

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トルコギキョウの安定生産を目指して ~土壌還元消毒の取組~

八代地域は県内有数のトルコギキョウ産地ですが、ここ数年、立枯れ等の発生による収量低下が問題となっています。昨年実施したフザリウム菌による立枯病の発生状況調査の結果、発生要因のに、現行の太陽熱による土壌消毒では天候の影響を受けやすく、下層土の消毒が不十分で消毒後も病原菌が生存していることが推察されます。
そのため、当課では、低温でも下層土の消毒効果が高く天候の影響を受けにくい土壌還元消毒の推進を図るため、JAやつしろ花き部会員を対象に、5月16日に勉強会を開催し、令和7年産は5名の方が試験的に土壌還元消毒に取り組んでいます。
一般的に土壌還元消毒は畝立て前に消毒しますが(「平面処理」)、消毒後の土の移動を少なくし、病原菌の再汚染リスクを下げるため、今回は畝立て後に消毒を行う「畝立処理」を選択しました。
令和7年6月下旬から8月下旬にかけて、各生産者のほ場で土壌還元消毒を実施し、終了後にジピリジル溶液による土壌の還元反応調査と菌叢分析を行いました。その結果、5戸とも畝内部の還元状態が確認され、また下層土のフザリウム菌も検出されず、畝を立てた状態でも還元消毒ができたことが確認されました。
一方、8月の大雨により、一部のほ場では消毒終了後に浸水被害を受け、定植予定が遅れる等の影響がありましたが、定植は8月18日から始まり9月中旬まで続く見込みです。当課では、引き続きトルコギキョウの生育状況と立枯れの発生状況を確認し、土壌還元消毒の効果を検証するほか、関係機関と連携し立枯れ発生低減による収量アップへの取り組みを進めます。

2025年11月

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土砂が流入したナシ圃場(氷川町)
台湾輸出用の新高梨

雨にも負けない果樹生産に向けて ~大雨被害と新高梨の台湾輸出開始~

8月10日から11日にかけての豪雨による果樹類の被害状況を把握するため、8月下旬から被害調査を3部会(吉野梨部会・氷川柑橘部会・八代果樹部会)に実施しました。その結果、約190園地において圃場への土砂流入や樹木の埋没、施設の破損等の被害が確認され、その中には自己修復が困難な園地も一部に見られました(9月4日時点)。
甚大な被害にも関わらず、生産者は諦めることなく、収穫に向けて防除の徹底や被害果・土砂の除去など、復旧に向けてできる限りの作業をされています。このような中、収穫最盛期を迎えている梨の中でも、中秋節の縁起物として台湾へ輸出される「新高」梨の収穫・出荷作業が始まっています。今年は5㎏入り箱で約2,100ケース(R6:約1,300ケース R5:約4,400ケース、R4:約4,000ケース)が、10月6日の中秋節に向けて台湾輸出される予定で、豪雨の影響を感じさせないほどの活気が見られます。
依然として気の抜けない状況が続いていますが、農業普及・振興課では、関係機関と連携しながら、復旧支援や各種事業の活用などによる支援を行い、産地の復旧及び意欲的に農業に取り組める環境整備を進めていきます。

2025年11月

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ハウス遮光資材展示
収穫物品質調査

アスパラガス高温対策への取り組み ~遮光資材による実証試験開始~

八代地域では、アスパラガスが10.7ha栽培されており、本県における主力産地の1つとなっています。現在、夏芽収穫の最盛期で10月末まで収穫が続きますが、近年は夏季の猛暑により出荷量は減少傾向にあります。
そこで、当課では夏季高温対策として、収量確保、品質維持に取り組んでおり、ハウス遮光資材の展示ほ(試験区:ワリフ明涼、対照区:防風ネット)を設置し、7月10日から毎週調査しています。現時点では、試験区で可販品収量が約12%多い結果となっています。
8月7日の中間検討会では、生産者から「収穫作業をする時は試験区の方が涼しく感じる」、「試験区の方は曲がりが少なく品質が良い」、「費用対効果を知りたい」といった声があり、関心の高さを伺えました。
引き続き当課では、収穫終了まで展示ほ調査を継続して、遮光資材の有効性を検証し、アスパラガスの安定生産に向けた支援に取り組んでいきます。

2025年11月

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八代地域におけるGI推進に向けた取り組み ~八代GIブランド推進協議会総会開催~

現在、熊本県において、GI産品は全国で最も多い10品あり、その内八代地域では5品がGI登録となっています。八代地域ではいぐさ・畳表を除く「晩白柚」「生姜」「塩トマト」について、平成30年にGIの登録と適正使用の推進、周知活動等を行うことを目的とした「八代GIブランド推進協議会」が生産者、JA、市町、県を構成員として組織され、積極的に活動しています。
令和7年8月4日に令和7年度八代GIブランド推進協議会総会がJAやつしろ本所にて開催され、八代産品の価値向上に向けた首都圏等のホテルや量販店へのプロモーション活動や福岡県等における販路拡大の取り組みなどが紹介されました。また、今後の輸出も含めたブランド戦略について各種フェア等におけるPR機会の創出等活発な意見交換が行われ、参加者間での連携を強める機会となりました。
今回の総会を通じて、GIブランドの浸透と定着を図り、八代地域全体でさらなる農産物のブランド化につなげる意思が確認されました。普及・振興課としても、八代GIブランド推進協議会を基本に、地元の魅力を広く発信し、持続可能な地域農業の発展を進めていきます。

2025年11月

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ポリネーション協議会の取り組み① (ミツバチ飼養に関する資料一部抜粋)
ポリネーション協議会の取り組み② (養蜂家による講演会)

イチゴ交配ミツバチの安定確保に向けた仕組みの充実 ~熊本県八代地域ポリネーション協会総会の開催~ 

近年、全国的にイチゴの受粉に不可欠な交配用ミツバチの供給が高温や害虫の発生、養蜂業の担い手不足など複数の要因が重なり、不安定な状況となり安定したミツバチの確保が大きな課題となっています。
八代地域では、平成29年より養蜂家、イチゴ生産者、市町、JA、県で構成する「熊本県八代地域ポリネーション協議会」が組織され、地域での交配用ミツバチの安定供給および維持管理を図る取り組みが行われています。
この度、同協議会の総会が令和7年7月31日にJAやつしろ本所で開催されました。令和6年度実績は3戸の養蜂家から53名のイチゴ生産者にミツバチが供給されたこと、イチゴ生産者に対しミツバチの飼養に関する現地検討会や講演会、巡回が行われたこと等が報告されました。また、次年産の安定供給に向け、養蜂家、生産者、関係機関それぞれの立場から活発な意見交換が行われ、養蜂家からは酷暑等よりミツバチが不足する中、提供価格等にも理解を示してほしいとの呼びかけがあり、生産者代表からは理解が示される等、今後、地域内での安定供給体制をより強固なものとする準備ができました。
普及・振興課としても、こうした地域の取り組みを積極的に支援し、八代地域におけるイチゴ産地の持続的な発展に向けて、関係機関と連携しながら支援を継続していきます。

2025年11月

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山の幸出荷部会総会(5月21日)
トマト圃場調査(7月16日)

中山間地五家荘への伴走型支援 ~五家荘山の幸出荷部会の取り組み~

八代市泉町の五家荘では、平均年齢70代後半の生産者21名が、作物の共同出荷やイベント販売、加工品づくりに取り組んでいます。近年は、以前から問題となっていた高齢化や人手不足に加え、近年では高温障害による作物の生育不良にも悩まされています。
そこで、当課では高温に強く裂果しにくいトマト品種「麗月」の導入を提案し、泉まちづくり協議会の補助金を活用して、4名の生産者で4月から試験栽培を始めました。月に1度の定例会に合わせて生育状況を確認し、温度管理や防除など助言指導を行っています。
生産者からの、「一部の株だけ極端に生育が悪いが原因不明」「葉の表面に見たことがない斑点が発生している」などそれぞれが抱える疑問に対し、その都度助言や調査を行う伴走支援により、有意義な現地検討会となっています。
7月からは道の駅「秘境の郷いずみ」への出荷量も増えており、今年度からは八代市への共同集荷を導入するなど、中山間地ならではの課題にも取り組んでいます。
今後も持続可能な中山間地域農業の実現に向け、栽培管理の指導に加え、鳥獣害対策など、関係機関と連携して、引き続き取り組んで行きます。

※五家荘とは八代市泉町にある5つの集落(久連子、椎原、仁田尾、葉木樅木)の総称

2025年11月

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市場との意見交換の様子
出荷前のホオズキ

今年もホオズキ出荷がはじまります~新たな地域特産花きを目指して~ 

八代市泉地区栗木で栽培されているホオズキの出荷が始まりました。今年は生産者が1名増え、3名が8月お盆向けに栽培しており、ハウスの中では赤く色づいた約6千本のホオズキが収穫を待っています。熊本市内の花市場に向けて7月25日に出荷が始まり、8月11日頃まで続きます。
今作は春先の低温や梅雨明け以降の高温乾燥など、ホオズキにとって栽培しにくい気象条件でしたが、ビニル被覆や寒冷紗等の活用、潅水管理や病害虫防除の徹底により、若干実が小さいながらも、昨年同様1本に10個以上実がついた品質の良いホオズキに仕上がっています。
また、今年は新たに露地栽培にも取り組んでおり、7月16・18日には熊本市内の花市場2社をほ場に招き、ホオズキの単価動向や出荷状況について意見交換を行いました。露地栽培はハウス栽培に比べると、草丈は短いものの、実の数や発色に問題はなく、市場からもカジュアルな花として十分市場性はあるだろうとの意見が聞かれました。
ホオズキは簡易な施設で栽培が可能で、生産コストも少なく、お盆時期に安定した需要が見込まれることから、県でも中山間地に適した品目として推進を図っています。   
しかし、中山間地ではハウス設置も難しいことから、当課では露地での栽培も視野に入れ、引き続き関係機関と協力し、新しい地域特産品としてホオズキの定着と安定生産を目指します。

2025年11月

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葉色測定の様子
子苗の生育状況確認

八代地域のR7年産イチゴ育苗巡回指導の取り組み ~伴走型支援により安定した花芽分化を目指す!~

八代地域は県内で最もイチゴ栽培面積が大きく(48,8ha(JAやつしろ出荷)管内の品種構成は「ゆうべに」が約6割を占めています。R6年産は、夏秋の高温により花芽分化が遅れ、年内収量が低かったため、R7年産は適期の花芽分化を目指した育苗が行われています。
7月の子苗の生育状態が11月からの収量に大きく影響するため、ほぼ毎週のペースで3か所巡回し、根がしっかりとした充実苗が育つよう指導しています。目指すべき苗の姿は、鮮やかな濃い緑色をしている葉が3~4枚あること、クラウン(イチゴの地際部)が直径9~11㎜あること、根が白くぎっしりと形成されていること等です。巡回時には葉色(SPAD値)と苗の生育状況、管理状況を生産者毎の栽培管理表に記録し、生産者への指導や次作栽培に活用しています。また、昨年の花芽分化遅延を経験していない就農1年目の生産者2名に対しても、昨年の反省をふまえ関係機関と連携しながら、適期の花芽分化誘導を目指します。
今年も、昨年と同様に高温が続くことが予想されるので、暑さに負けない充実した苗を生産できるように、今後も定期的な巡回を継続し指導していきます。

2025年11月

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栽培講習会

令和7年度産へ、八代のトマトが動き出す! ~販売額向上へ集団指導と個別指導の実践~ 

令和6年度産の八代地域産トマト・ミニトマトは、過去最高の販売額を達成し終了しましたが、夏秋期の高温・乾燥による苗の活着不良や根張りの不調、収穫初期の裂果・小玉果の発生、さらには黄化葉巻病のまん延リスクなど、産地にとって大きな課題が残っています。
そこで、課題解決に向け、令和7年度産では「初期生育の安定」と「病害虫防除の強化」対策を柱に、JAやつしろと連携した地区別栽培講習会を、7月28日(北部・中央)、29日(西部)、8月4日(南部)に開催し、合計40名の生産者が参加しました。
講習会では、「苗の活着促進と根張り充実の管理ポイント」「黄化葉巻病対策」「トマトキバガの防除徹底」を重点的に指導し、参加者からは「昨年の反省を活かし、今年こそ初期生育を充実させたい」といった前向きな声が聞かれ、気づきにつながりました。
また、8月4日の講習会後には、黄化葉巻病の原因となるタバココナジラミの防除対策として、天敵「タバコカスミカメ」を導入する4名の生産者の圃場巡回を行い、天敵の増殖状況が順調であることを確認しました。生産者からは「今年は天敵の力で病害を抑えたい」「農薬を削減した栽培を目指したい」といった意欲的な声が上がりました。
令和7年度産では、販売額の記録更新はもちろん、生産者の所得向上と持続可能な栽培体系の確立を目指し、関係機関が一体となった支援に取り組んで行きます。

2025年11月

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八代農業高校マルシェの初開催に向けた支援~担い手確保・育成に向けた関係機関との連携~

八代地域の担い手確保・育成のため、当課では八代農業高校と連携し、学生が農業への関心を高め、将来の職業選択肢の一つとして考えてもらえるような機運醸成に向けて、学生自らが産地の課題を把握し、解決に向けたプロジェクトに取り組むための支援を行っています。
まず、学生に産地の課題を把握してもらう場づくりに向け、JAやつしろと連携し各部会の代表者等5名を講師に「生産者交流会」の開催を支援しました。
ここでは、2人組の学生が品目毎に生産者のテーブルを回り、経営の現状や栽培上の課題について、直接、話を聞き、意見交換を行いました。
その後、授業の中で1人1人が考えた八代地域農業の課題解決に向けた方策が検討され、学生自らが商品開発をし、直接販売する機会をつくるため、7月17日に同校で初となる「第一回YATSUNOマルシェ」の開催が決まりました。
マルシェでは、規格外果実の有効活用や地域農産物のブランド化といった課題解決のため、「柑橘類を使ったマフィンやムース」、「生姜を練りこんだフィナンシェ」、「バナナを使ったパウンドケーキ」等、8商品が製作されました。
生産原価も計算し、適正な価格転嫁が図られるような値付けに加え、POPやパッケージも商品開発の経緯や学生の思い、工夫などが伝わる内容にしました。
7月17日のYATSUNOマルシェ当日は、保護者や近隣住民が多く参加し、早々に売り切れになる商品も多く、学生たちも手応えを感じていました。
今後は、年度内の「第二回YATSUNOマルシェ」に向けて、大手食品実需者からブランディングやマーケティングの講義を受講する等により、違った視点も加えた商品開発を実現させるため、引き続き支援に取り組んでいく予定です。

2025年11月

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取組状況説明

八代地域の農業振興方策を決定 ~八代地方農業振興協議会総会の開催~

八代地域では、地域農業の振興発展に寄与することを目的に「八代地方農業振興協議会」を設置しています。協議会は県南広域本部、八代市、氷川町、JAやつしろで構成され、農業普及・振興課が事務局を担っています。また、協議会には4つの部会(普及部会・野菜部会・花き部会・茶業部会)があり、それぞれが計画に基づいて活動しています。
7月11日にフードバレーアグリビジネスセンターで八代地方農業振興協議会総会を開催し、八代市長、氷川町長、JAやつしろ副組合長の出席のもと今年度の振興方策を決定しました。
委員からは、「各作物への高温の影響と対策」、「鳥獣害の状況」、「交配用ミツバチの確保」、「新規就農者の確保」等、多岐にわたる質疑や意見が出され、関係機関で地域農業の課題が共有化されるとともに、今後重点的に取り組むべき方向性が明確になりました。また、市町、JA、広域本部による支援体制の充実が図られ、課題解決に向けた活動計画が承認されました。
当課としては、協議会の事務局として関係機関と情報共有を図りながら、地域農業の振興に向けての取組みを引き続き支援していきます。

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