八代エリア

八代地域は八代市、八代郡を所管しています。県のやや南に位置し、八代海と九州山地との間に位置し、東西に流域を持つ球磨川と氷川等からの土砂の堆積によりできた三角州が基部となり、江戸時代初頭からの干拓事業により形成された西の平野部と、九州山地の脊梁地帯を形成する東の中山間地域からなっています。
平坦地域では、水稲、いぐさ、野菜、花きなどの多彩な作物が生産されており、これらを組み合わせた複合経営や施設野菜(トマト、メロン、イチゴ)の専作経営が行われ、「はちべえトマト」で知られる冬春トマトは、日本一の産地となっています。
近年は、ブロッコリー等の露地野菜の作付面積が年々増加、また、飼料用稲は、農作業受委託組織による組織的な生産により県下有数の作付面積となっています。
中山間地域では、立地条件を活かした農業が営まれ、ショウガ、なし、晩白柚、茶などの産地が形成されています。

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県南広域本部 農林水産部 農業普及・振興課

〒866-8555 八代市西片町1660

電話:0965-33-3462

FAX :0965-33-4540

八代エリア普及現地情報

2025年12月

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市場との現地検討会
出荷前の目慣らし会

トルコギキョウ出荷開始 ~8月大雨にも負けず昨年と同収量を目指して~ 

JAやつしろ花部会において、10月1日から令和7年産のトルコギキョウの出荷が始まりました。
今年は8月豪雨の際に多くのほ場が冠水被害を受け、土壌病害の発生や生育遅れが懸念されたため、当課では関係機関とともに現地検討会やほ場巡回において、殺菌剤の散布や葉面散布、追肥等の呼びかけを行いました。その結果、一部で株枯れが発生したものの、昨年とほぼ同じ出荷量となっています。
10月6日には主要取引市場10社を招き、現地検討会と出荷会議が開催されました。会議では生育状況の確認と販売計画、出荷規格について活発な意見交換が行われ、市場からも安定供給を期待する声が多く聞かれました。部会では豪雨被災の影響と高齢化により生産者は2名減となりましたが、若手生産者を中心に規模拡大が進んでおり、昨年と同程度の栽培面積、出荷本数、販売金額は3億円を目指しています。
今後も8月の冠水の影響による病害発生の懸念は残っており、また加温機の修繕が完了していない生産者もいるため、計画的な出荷ができないことも予想されます。
当課では、現地の生育状況を注視しながら、関係機関と連携して引き続き病害対策や内張等による温度管理の指導を行い、1本でも多くの花が出荷ができるよう取り組んでいきます。

2025年12月

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収穫前のほ場
品評会の審査風景

八代生姜の収穫が始まりました ~8月豪雨被害からの復興への第一歩~

八代地域特産である生姜の収穫が10月下旬から始まりました。
今年は8月大雨によるほ場への土砂流入や冠水被害等、大きな災害に見舞われましたが、病害対策のため薬剤散布や追肥等による株の回復に努めた結果、昨年より株の肥大が良好で、品質の良い生姜が収穫されています。
10月26日には東陽小学校体育館で品評会が開催され、昨年と同じ116点の出品がありました。色、形ともに高品質な生姜が多数出品され、特に重量部門では27.6kg(3株合計)と昨年より4kg以上も重い株が一位となりました。 
入賞した出品物は、翌日、東陽石橋公園で開催された「第51回東陽しょうが祭」で展示され、訪れた人たちからも、その形の良さや大きさに驚く声が聞かれました。祭りの会場では収穫されたばかりの生姜を求める多くの人で終日にぎわい、地域復興への第一歩となりました。
収穫は11月末まで続く見込みです。干ばつの影響が出た昨年より肥大は良好ですが、大雨の影響で例年より土壌病害が多く発生しています。また、土砂が流入したほ場の復旧など、来年作に向けた支援も今後必要となっています。当課では、引き続き関係機関と連携し、土壌消毒を中心とした病害対策や、補助事業等を活用したほ場整備などの支援に取り組んでいきます。

2025年12月

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大雨被害に負けない令和7年産八代トマト・ミニトマト part3 ~出荷スタートと継続した伴走支援~ 

日本一のトマト産地である八代地域では、令和7年産の栽培において8月の豪雨により定植時期のピークが例年より遅れたものの、定植後の生育はおおむね順調に進み、10月上旬から出荷が始まりました。
当課では、豪雨の影響を踏まえ、現地巡回による生育確認や病害診断を通じた栽培指導など、伴走型の技術支援を継続してきました。特に病害診断は9月から10月にかけて約40件対応しました。
また、通常活動では、JAやつしろと連携し、トマト8品種・ミニトマト5品種の比較調査(生育・収量・品質)や高温対策資材(BS剤2種)の検証、天敵活用支援など、地域に適した技術導入の実証にも取り組んでいます。
さらに、一般社団法人野菜振興協会と連携しSNSアカウント「八代支部(トマト)」を開設し(10月末時点登録者数65名)、野外コナジラミ類やトマトキバガの発生状況など、栽培に役立つ情報を定期的に発信し、地域全体の生産力向上を図っています。
11月以降は出荷量の回復が見込まれており、今後も関係機関と連携しながら、生産者の経営安定と所得向上に向けた支援を継続していきます。

2025年12月

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展示ほの巡回指導(収穫期) 
真剣な眼差しで食味評価を行う参加者

水稲「くまさんの輝き」の推進~夏季高温対策試験の取組~ 

八代地域では、R5年から水稲品種「くまさんの輝き」が本格導入され、R7年産では約600haの作付けがありました。
「くまさんの輝き」は県が育成した極良食味の品種ですが、当地域での導入にあたっては、夏場の高温による品質・食味の低下などが懸念されます。
このため、農業普及・振興課では、これまでJAやつしろと連携し高温対策の一つとして「くまさんの輝き」の食味を重視した試験に取組んできました。
一昨年は、当該品種のい草収穫後のほ場で遅植え試験に取り組み、適切な肥培管理(元肥無肥料)により、ある程度の品質・食味を確保できることを知りました。
そこで、本年産については、中山間の五反田地区において、高温対策として登熟期間(8月中旬~10月上旬)の夜間通水試験に取組みました。この試験は、昼間はほ場の水を落とし、夜間に水をかけ流すことで、稲の呼吸量を抑え、日中に光合成で同化した養分の消費を抑え登熟を促進させる取組みです。10月30日に開催した「食味評価会」(JA営農指導員や八代市・氷川町の担当者が審査員)では、高い評価をいただきました。
今後とも、農業普及・振興課は、関係機関と連携しながら、「くまさんの輝き」の適正な栽培方法の確立と作付推進を図って参ります。

2025年11月

「いずみ抹茶」で泉産茶の活性化

当課と八代市役所フードバレー推進課では、抹茶需要の高まりを受けて、一昨年の秋から八代市泉町の耕作放棄茶園を活用したてん茶(抹茶の原料)の製造支援に取り組んでいます。取り組み生産者は当初1戸でしたが、今年は4戸まで増えました。
今年は5月下旬に県茶業研究所の協力を得ててん茶製造を行い、初めて試作する生産者2戸には、てん茶独特の製茶機の役割と操作方法についても指導しました。
6月には生産者、八代市フードバレー推進課、泉支所等と当課で支援体制を構築し、試作てん茶の活用方法についてより踏み込んだ対策を始めました。
また、6月25日に行った試飲会では、試作した抹茶の方が市販品の抹茶(1,250円/100g)よりも色が鮮やかで良質であることが確認できました。
さらに、より良質な抹茶を目指し、不純物を取り除く仕上げ研修を県茶業研究所において8月13日に実施し、緑鮮やかな抹茶に仕上がりました。 
今後は、泉産抹茶を「いずみ抹茶」と命名し、八代市内の菓子店等において「いずみ抹茶フェア」を開催する準備を進めています。当課も引き続き技術的な支援を通じ、泉産茶の活性化を図っていきます。

2025年11月

トルコギキョウの安定生産を目指して ~土壌還元消毒の取組~

八代地域は県内有数のトルコギキョウ産地ですが、ここ数年、立枯れ等の発生による収量低下が問題となっています。昨年実施したフザリウム菌による立枯病の発生状況調査の結果、発生要因のに、現行の太陽熱による土壌消毒では天候の影響を受けやすく、下層土の消毒が不十分で消毒後も病原菌が生存していることが推察されます。
そのため、当課では、低温でも下層土の消毒効果が高く天候の影響を受けにくい土壌還元消毒の推進を図るため、JAやつしろ花き部会員を対象に、5月16日に勉強会を開催し、令和7年産は5名の方が試験的に土壌還元消毒に取り組んでいます。
一般的に土壌還元消毒は畝立て前に消毒しますが(「平面処理」)、消毒後の土の移動を少なくし、病原菌の再汚染リスクを下げるため、今回は畝立て後に消毒を行う「畝立処理」を選択しました。
令和7年6月下旬から8月下旬にかけて、各生産者のほ場で土壌還元消毒を実施し、終了後にジピリジル溶液による土壌の還元反応調査と菌叢分析を行いました。その結果、5戸とも畝内部の還元状態が確認され、また下層土のフザリウム菌も検出されず、畝を立てた状態でも還元消毒ができたことが確認されました。
一方、8月の大雨により、一部のほ場では消毒終了後に浸水被害を受け、定植予定が遅れる等の影響がありましたが、定植は8月18日から始まり9月中旬まで続く見込みです。当課では、引き続きトルコギキョウの生育状況と立枯れの発生状況を確認し、土壌還元消毒の効果を検証するほか、関係機関と連携し立枯れ発生低減による収量アップへの取り組みを進めます。

2025年11月

土砂が流入したナシ圃場(氷川町)
台湾輸出用の新高梨

雨にも負けない果樹生産に向けて ~大雨被害と新高梨の台湾輸出開始~

8月10日から11日にかけての豪雨による果樹類の被害状況を把握するため、8月下旬から被害調査を3部会(吉野梨部会・氷川柑橘部会・八代果樹部会)に実施しました。その結果、約190園地において圃場への土砂流入や樹木の埋没、施設の破損等の被害が確認され、その中には自己修復が困難な園地も一部に見られました(9月4日時点)。
甚大な被害にも関わらず、生産者は諦めることなく、収穫に向けて防除の徹底や被害果・土砂の除去など、復旧に向けてできる限りの作業をされています。このような中、収穫最盛期を迎えている梨の中でも、中秋節の縁起物として台湾へ輸出される「新高」梨の収穫・出荷作業が始まっています。今年は5㎏入り箱で約2,100ケース(R6:約1,300ケース R5:約4,400ケース、R4:約4,000ケース)が、10月6日の中秋節に向けて台湾輸出される予定で、豪雨の影響を感じさせないほどの活気が見られます。
依然として気の抜けない状況が続いていますが、農業普及・振興課では、関係機関と連携しながら、復旧支援や各種事業の活用などによる支援を行い、産地の復旧及び意欲的に農業に取り組める環境整備を進めていきます。

2025年11月

ハウス遮光資材展示
収穫物品質調査

アスパラガス高温対策への取り組み ~遮光資材による実証試験開始~

八代地域では、アスパラガスが10.7ha栽培されており、本県における主力産地の1つとなっています。現在、夏芽収穫の最盛期で10月末まで収穫が続きますが、近年は夏季の猛暑により出荷量は減少傾向にあります。
そこで、当課では夏季高温対策として、収量確保、品質維持に取り組んでおり、ハウス遮光資材の展示ほ(試験区:ワリフ明涼、対照区:防風ネット)を設置し、7月10日から毎週調査しています。現時点では、試験区で可販品収量が約12%多い結果となっています。
8月7日の中間検討会では、生産者から「収穫作業をする時は試験区の方が涼しく感じる」、「試験区の方は曲がりが少なく品質が良い」、「費用対効果を知りたい」といった声があり、関心の高さを伺えました。
引き続き当課では、収穫終了まで展示ほ調査を継続して、遮光資材の有効性を検証し、アスパラガスの安定生産に向けた支援に取り組んでいきます。

2025年11月

八代地域におけるGI推進に向けた取り組み ~八代GIブランド推進協議会総会開催~

現在、熊本県において、GI産品は全国で最も多い10品あり、その内八代地域では5品がGI登録となっています。八代地域ではいぐさ・畳表を除く「晩白柚」「生姜」「塩トマト」について、平成30年にGIの登録と適正使用の推進、周知活動等を行うことを目的とした「八代GIブランド推進協議会」が生産者、JA、市町、県を構成員として組織され、積極的に活動しています。
令和7年8月4日に令和7年度八代GIブランド推進協議会総会がJAやつしろ本所にて開催され、八代産品の価値向上に向けた首都圏等のホテルや量販店へのプロモーション活動や福岡県等における販路拡大の取り組みなどが紹介されました。また、今後の輸出も含めたブランド戦略について各種フェア等におけるPR機会の創出等活発な意見交換が行われ、参加者間での連携を強める機会となりました。
今回の総会を通じて、GIブランドの浸透と定着を図り、八代地域全体でさらなる農産物のブランド化につなげる意思が確認されました。普及・振興課としても、八代GIブランド推進協議会を基本に、地元の魅力を広く発信し、持続可能な地域農業の発展を進めていきます。

2025年11月

ポリネーション協議会の取り組み① (ミツバチ飼養に関する資料一部抜粋)
ポリネーション協議会の取り組み② (養蜂家による講演会)

イチゴ交配ミツバチの安定確保に向けた仕組みの充実 ~熊本県八代地域ポリネーション協会総会の開催~ 

近年、全国的にイチゴの受粉に不可欠な交配用ミツバチの供給が高温や害虫の発生、養蜂業の担い手不足など複数の要因が重なり、不安定な状況となり安定したミツバチの確保が大きな課題となっています。
八代地域では、平成29年より養蜂家、イチゴ生産者、市町、JA、県で構成する「熊本県八代地域ポリネーション協議会」が組織され、地域での交配用ミツバチの安定供給および維持管理を図る取り組みが行われています。
この度、同協議会の総会が令和7年7月31日にJAやつしろ本所で開催されました。令和6年度実績は3戸の養蜂家から53名のイチゴ生産者にミツバチが供給されたこと、イチゴ生産者に対しミツバチの飼養に関する現地検討会や講演会、巡回が行われたこと等が報告されました。また、次年産の安定供給に向け、養蜂家、生産者、関係機関それぞれの立場から活発な意見交換が行われ、養蜂家からは酷暑等よりミツバチが不足する中、提供価格等にも理解を示してほしいとの呼びかけがあり、生産者代表からは理解が示される等、今後、地域内での安定供給体制をより強固なものとする準備ができました。
普及・振興課としても、こうした地域の取り組みを積極的に支援し、八代地域におけるイチゴ産地の持続的な発展に向けて、関係機関と連携しながら支援を継続していきます。

2025年11月

山の幸出荷部会総会(5月21日)
トマト圃場調査(7月16日)

中山間地五家荘への伴走型支援 ~五家荘山の幸出荷部会の取り組み~

八代市泉町の五家荘では、平均年齢70代後半の生産者21名が、作物の共同出荷やイベント販売、加工品づくりに取り組んでいます。近年は、以前から問題となっていた高齢化や人手不足に加え、近年では高温障害による作物の生育不良にも悩まされています。
そこで、当課では高温に強く裂果しにくいトマト品種「麗月」の導入を提案し、泉まちづくり協議会の補助金を活用して、4名の生産者で4月から試験栽培を始めました。月に1度の定例会に合わせて生育状況を確認し、温度管理や防除など助言指導を行っています。
生産者からの、「一部の株だけ極端に生育が悪いが原因不明」「葉の表面に見たことがない斑点が発生している」などそれぞれが抱える疑問に対し、その都度助言や調査を行う伴走支援により、有意義な現地検討会となっています。
7月からは道の駅「秘境の郷いずみ」への出荷量も増えており、今年度からは八代市への共同集荷を導入するなど、中山間地ならではの課題にも取り組んでいます。
今後も持続可能な中山間地域農業の実現に向け、栽培管理の指導に加え、鳥獣害対策など、関係機関と連携して、引き続き取り組んで行きます。

※五家荘とは八代市泉町にある5つの集落(久連子、椎原、仁田尾、葉木樅木)の総称

2025年11月

市場との意見交換の様子
出荷前のホオズキ

今年もホオズキ出荷がはじまります~新たな地域特産花きを目指して~ 

八代市泉地区栗木で栽培されているホオズキの出荷が始まりました。今年は生産者が1名増え、3名が8月お盆向けに栽培しており、ハウスの中では赤く色づいた約6千本のホオズキが収穫を待っています。熊本市内の花市場に向けて7月25日に出荷が始まり、8月11日頃まで続きます。
今作は春先の低温や梅雨明け以降の高温乾燥など、ホオズキにとって栽培しにくい気象条件でしたが、ビニル被覆や寒冷紗等の活用、潅水管理や病害虫防除の徹底により、若干実が小さいながらも、昨年同様1本に10個以上実がついた品質の良いホオズキに仕上がっています。
また、今年は新たに露地栽培にも取り組んでおり、7月16・18日には熊本市内の花市場2社をほ場に招き、ホオズキの単価動向や出荷状況について意見交換を行いました。露地栽培はハウス栽培に比べると、草丈は短いものの、実の数や発色に問題はなく、市場からもカジュアルな花として十分市場性はあるだろうとの意見が聞かれました。
ホオズキは簡易な施設で栽培が可能で、生産コストも少なく、お盆時期に安定した需要が見込まれることから、県でも中山間地に適した品目として推進を図っています。   
しかし、中山間地ではハウス設置も難しいことから、当課では露地での栽培も視野に入れ、引き続き関係機関と協力し、新しい地域特産品としてホオズキの定着と安定生産を目指します。

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