2023年のエリア普及現地情報

2023年12月

インボイス制度にも対応!令和5年産畳表の出荷始まる

令和5年産いぐさは、栽培期間中に比較的天候にも恵まれたため、10a当たりの収量は過去最高の1,550kgを記録しました。品質についてもおおむね良好で、茎が充実した淡い緑色のいぐさが収穫されました。
畳表市場では9月下旬頃から新草で製織された畳表が並ぶようになり、問屋や生産者が真剣な眼差しで製品の見定めを行っています。
このような中、産地では本年10月からのインボイス制度開始に伴い、JAや卸業者で構成されるJAい製品市場運営協議会で事前準備が進められてきました。
市場では、生産者毎に付される畳表の出荷証明書に、インボイス発行事業者の登録の有無が表示され、入札時に問屋が混乱しないよう工夫されています。また、生産者が不利にならないよう未登録の生産者には情報を提供しています。
産地では、稲刈り後の耕起作業が順調に進んでおり、一雨ごとに寒さが増していく中で、令和6年産いぐさの植え付けに向けた準備が着々と始まっています。
当課は今後も、関係機関と協力しながら産地の支援を図っていきます。

2023年12月

演習の様子(全体)の様子
現場事務所における防護服着衣等

八代地域鳥インフルエンザ防疫演習を実施

八代鏡町内での鳥インフルエンザ発生を想定した防疫体制の強化を目的で、10月24日(火)に、八代市鏡コミュニティセンターで防疫演習を実施しました。
今回は、地域支援対策本部長である県南広域本部長をトップに、広域本部職員のほか、中央家畜保健衛生所、八代警察署、八代建設業協会、市町、農業団体などから78名が参加しました。
まず、机上演習として、鳥インフルエンザ等の悪性家畜伝染病と、必要な後方支援等について、中央家畜保健衛生所と県南広域本部から説明を行い、全体的な知識の習得を図りました。
次に、実地演習として、支援センターの設置と運営の模擬演習を行い、その後、屋外に場所を移して、現場事務所の運営模擬演習を行いました。実地演習では、実際の対応を想定して、防護服の着脱や運営等のシミュレーションを行いました。
これらの演習を通じ、円滑な初動対応に必要な手順等の確認ができ、関係機関との情報共有化及び連携強化を図ることができました。
これから、野鳥の飛来が本格化する季節となりますが、当地域では、今後も、関係機関との連携を密にして、鳥インフルエンザの防疫準備を進め、万が一の発生に備えていきます。

2023年12月

第49回東陽しょうが祭開催~全国唯一のしょうが祭~

第49回東陽しょうが祭が令和5年10月22日に八代市東陽町の東陽石橋公園で、令和4年度に引き続き開催されました。祭は朝8時30分から始まり、新生姜を販売するテントや他の販売ブースには多くの方々が訪れ買い求めていました(主催者によると来場者は1万2千人で、例年並み)。
当日は祭前日に実施されたしょうが品評会(出品点数139点)の表彰式も併せて開催されました。品評会は品質を競う部門、3株当たりの重量を競う部門があり、品質を競う部門は18名、重量を競う部門は10名が表彰されました。特に重量部門での1位の記録は25.4㎏と過去最高となりました。
今年の作柄は良く、特に生姜栽培上重要病害である「根茎腐敗病」対策について、農業普及・振興課では関係機関と連携して取組んできた結果、令和4年に引き続き今年も発生が少なく、2年連続の豊作となっています。
農業普及・振興課では、引き続き、関係機関と連携を密にして「八代生姜」が安定的に生産できるよう支援して参ります。
なお、当産地では、高齢化が進んでいるため、新規就農者等への経営継承を円滑に進めるための重点地区を設定し、関係機関が連携した支援を行っているところです。

2023年12月

協議会員による茶の摘採の様子
碾茶製造の様子と完成した抹茶(左下)

ついに完成!廃園を活用した「いずみの抹茶」

八代市泉町では、廃園予定の茶園を活用した碾茶(てんちゃ)※1の試作を行っています。地域内の若手生産者が中心となった今回の碾茶栽培は初の試みとして、地域の生産者の関心も高いことから、さらなる取組み拡大を促すことを目的として、10月16日に泉町茶業振興協議会員を対象とした「現地検討会」と「製造講習会」を開催しました。
現地検討会では、20日間被覆※2を行った茶園の葉色や樹勢等の変化をふまえ、栽培上の注意点等を確認しました。また、製造講習会では、茶業研究所の製造ラインを活用し、製造法を学びながら試作を行いました。
一部を抹茶にして評価を行ったところ、スイーツ等への加工用としては色・香りともに申し分ない品質であることを確認しました。今後は「ふれあいセンターいずみ」等の農産物加工施設へ提供し、抹茶を使ったスイーツ等の開発も計画されています。
若手生産者は、「初めての取組みであり、不安もあったがいい抹茶ができた。有効な用途を考え、『いずみの抹茶』の取組みを加速させたい。」と意気込んでいます。
当課では、今後も関係機関と連携して「いずみの抹茶」の販路開拓と地域活性化に取り組んでいきます。

※1 碾茶…茶の生葉を揉まずに乾燥させたもの。粉砕すると抹茶になる。
※2 被覆…緑茶では7日程度被覆を行うところ、碾茶の場合、濃緑色が求められることから、20日程度被覆を行う必要がある。樹勢が弱り、翌一番茶に影響を及ぼすが、一番茶を摘まない廃園では影響がない。

2023年11月

講習会の様子

県南広域本部管内食品表示講習会を開催しました

9月29日に管内の食品関連事業者を対象に食品表示に関する講習会を開催しました。食品表示は消費者が安全・安心な食品を判断し購入するために重要な情報であり、食品関連事業者は食品表示法で定められた基準に従って表示を行う必要があります。今回の講習会には、食品メーカーやスーパー、物産館の担当者10名が参加されました。
講習会では初めに、あさりの産地偽装問題を受けての産地表示ルールの厳格化や、アレルゲンの義務表示に「くるみ」が追加されたこと等、食品表示制度の直近の重要な改正点について説明しました。その後、農産物漬物類、菓子類、弁当惣菜類等の各表示ルールについて説明した後、表示の間違い探しや表示ラベルの作成演習を行い、参加者の理解を深めました。
質疑応答では、アレルゲンや添加物に関する表示ルールの細やかな部分についての質問があり、参加者からは、適正な食品表示について学ぶ有意義な機会となったとの声がありました。
当課では引き続き、講習会や店舗での巡回調査等を通して、随時改正される食品表示基準の周知、管内の食品表示の適正化を推進し、食品の安全性、消費者の選択の機会の確保につなげていきます。

2023年11月

稲刈り体験の参加者(ドローン撮影中)

献穀田において抜穂祭が執り行われる

秋の皇室行事である新嘗祭(にいなめさい)に献上する米の抜穂祭が、八代市川田町の献穀田において行われました。
新嘗祭は、今回で131回を数える歴史的、伝統的な行事で、本県においても地域持ち回りで行われ、今年度は八代市献穀事業推進協議会が中心となり、八代市で行われました。
今年は台風等の被害も無く、5月の清祓・播種祭に続き、6月の御田植祭で植えられた「くまさんの輝き」が立派な稲穂を実らせる中、「抜穂(ぬいほ)の儀」では、献穀者である本島碩哉・菊代夫妻をはじめ、田男と早乙女に扮した龍峯小学校の5、6年生が刈り取りを行いました。
献穀事業を通じて農業の素晴らしさを子供たちに伝えたいとの本島夫妻の強い思いを受け、神事終了後には、龍峯小学校の児童と県立八代農業高校の生徒による稲刈り体験会が開催されました。地元の人から稲刈り鎌の使い方の指導を受けながら、はじめは恐る恐る鎌を動かしていた参加者たちも、次第に慣れて稲刈りを楽しんでいました。
新型コロナ等の影響で、近年は郵送による献納が行われる中、今年こそはと期待していましたが、残念ながら今回も皇居での献納は叶いませんでした。
農業普及・振興課では、これまで献穀田における栽培指導を行っており、引き続き関係機関や地域の方々と協力して、立派な献納品の完成に向けて技術指導を行っていきます。

2023年11月

会議の様子
現地視察の様子

中山間地域と農業を守るための新たな動き

9月27日(水)に、本年度2回目となる中山間地域農業プロジェクトチーム会議を開催し、各モデル地区の事業評価に係る報告と今後の中山間地域への支援についての協議を行いました。また、前回の五反田地区、泉町西部地区に続き、今回は二見野田崎地区の現地視察をしました。
八代市担当者から、これまでの様々な取組みが報告される中で、地区の代表からは、「組合を設立し、機械を揃えて貸し出すことで、何も持っていなくても農業ができる体制ができた」「個々では進められないことも地域ぐるみで動きたい」等の発言がある等、地域を担う方々の前向きな発言が多く見られました。また、今後の取組みとして、いずれの地区でも地域の特色に合わせた、観光農園の実施や特産品を活用した新商品開発、農村RMO形成に向けた検討等、中山間地域と農業を守るための新たな動きも始まっています。
農業普及・振興課では、地域の方々の取組みの進捗を把握しながら、病害虫や栽培技術の指導、鳥獣害対策支援等を引き続き実施し、関係機関と連携して、持続可能な中山間地域農業の実現に取り組んでまいります。

2023年11月

ベテラン農家による助言
かし量の違う畳表サンプルを評価

“かし”技術の向上に向けて~夏と冬で適正かし量はどのくらい違う?~

JAやつしろい業部は9月6日に畳表加工講習会を開催し、生産者21名が参加しました。講習会では、ベテラン農家による今後の加工作業への助言の他、当課から“かし量”についての指導を行いました。
“かし”とは、収穫・乾燥後のいぐさ(原草)に水分を与えて柔らかくし、加工途中にいぐさが切れたりすることを防ぐために行う重要な作業です。畳表の色調や表面の滑らかさなどに大きな影響を与えるため、品種や季節に応じた水分量の微調整が必要となります。
前回の加工講習会は冬に開催しましたが、空気が乾燥している冬と湿気の多い夏では適正なかし量がどの程度違うのかをテーマとして、今回の講習会を実施しました。
講習会では、かし量を7段階に変えた畳表サンプル準備して、実際に生産者に評価してもらいました。事前に行った実需者(産地問屋)による評価では、原草の重量に対し12~14%の水分量を含んだものが高評価だったという結果を参考にしながら、生産者にかし量の重要性を再認識していただきました。
生産者は、季節に応じたかし量の調節が必要だと再確認し、今後の方法を改善したいという意見が聞かれました。
産地では生産者の高齢化や戸数減少が進んでおり、生産・加工技術の継承が喫緊の課題となっています。日本の伝統文化を支えるいぐさ・畳表産業の維持・発展のため、当課は今後も関係機関と協力して生産者の支援を行っていきます。

2023年10月

整枝位置の指導の様子
碾茶へ加工予定の「おおいわせ」茶園

廃園を有効活用した「いずみの抹茶」試作への取組み

八代市泉町で廃園予定の茶園を活用した抹茶づくりへの挑戦が始まりました。
八代市泉町では、高齢化等による荒廃茶園が増加する中、廃園予定の茶園を活かして抹茶を試作したいと若手生産者から声が上がりました。そこで、農業革新支援専門員や農研センター茶業研究所と連携して、抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)の栽培に向け、整枝や肥培管理、被覆時期の目安等の指導を行いました。
碾茶栽培と通常栽培の大きな違いは「被覆期間の長さ」にあります。茶は摘採前の被覆によって水色や旨味が向上するため、通常の緑茶(かぶせ茶)では7日程度被覆が行われています。一方碾茶の場合には、より鮮やかな緑色の水色が求められるため、20日程度の被覆を行う必要がありますが、長く被覆した園では樹勢が弱り、翌年の一番茶の収量が低下するため、廃園での碾茶生産は非常に有効です。
今後は、10月中旬ごろに摘採した茶葉を使い、茶業研究所の碾茶製造ラインを活用して、試作を行う予定です。作られた碾茶は、抹茶に加工した後、「ふれあいセンターいずみ」等の農産物加工施設へ提供し、抹茶を使ったスイーツ等の開発が計画されています。
若手生産者は、「抹茶の販路が安定したら、今後廃園となる泉町の茶園等を譲り受け、碾茶専用の園として管理を行いたい。『いずみの抹茶』で地域活性化のきっかけにしたい。」と意気込んでいます。
当課としても、抹茶試作までの栽培管理等を支援するとともに、関係機関と連携して「いずみの抹茶」の販路開拓と地域活性化に取り組んでいきます。

2023年10月

いぐさ、麦、露地野菜をカモ類から守ろう!カモ類被害防止 対策講習会を開催

八代地域で問題となっているカモ類による露地野菜等への被害を減少させるため、8月21日と23日の2日間、管内4カ所で、カモ類被害防止対策講習会を開催しました。講習会には農家と関係機関合わせて延べ100名程が出席し、氷川町と八代市のそれぞれ担当者からカモ類の被害状況と防止対策の説明があり、餌場となる2番穂に潜む大量のカモの動画が放映されると会場から驚きの声が上がりました。
また当日は講師として(株)イノPの稲葉氏を招へいし、カモの飛来が始まる前に大好物である水稲2番穂のすき込みやカモ滞留防止のための水路へのテグス設置など、地域をあげてカモが暮らしにくい環境を作ることや「カモ被害は他人に任せても解決しない。地域と畑は自分達で守るしかない。」と地域ぐるみでの活動の重要性を強調されました。参加した米農家からは「2番穂にカモがたくさん隠れているのを初めて見た。露地野菜等の被害防止のために稲作農家も地域ぐるみで協力しないといけない。」との意見も聞かれる等、地域ぐるみの対策の必要性への理解も進んでいます。講習会ではその後も活発な質問や意見交換が行われました。
当課では今後も関係機関と連携しながら啓発活動を行うとともに、水稲2番穂のすき込み等の展示ほを設置する等、様々な対策検証等の取り組みを支援していきます。

2023年10月

環境モニタリング機器
検討会の様子

ICT機器を活用したイチゴの生産性向上~生育・環境・収量の相関を紐解き、栽培管理の改善へ~

施設園芸農業で高収量を実現するためには、施設内の環境を適正に管理することが重要です。しかし多くの場合、施設内管理が各農家の経験や勘に基づいて行われており、どの時期のどのような管理が収量に影響しているのかが明確ではありません。
そこで当課では、環境モニタリング装置を高収量農家2名と若手農家3名に設置し、定期的な生育調査も行いながら、分析に必要なデータの収集を一昨年から開始しています。
昨年から本年にかけては、施設内環境データと生育・収量データを月ごとに整理し、栽培終了後の8月28日には革新支援専門員、営農指導員、農家で個々の栽培管理について多角的に分析を行いました。データだけでは読み取ることができない水分調整等の管理については、併せて農家の考えも聞き取りしながら、一つ一つ丁寧にデータを解析していきました。その結果、高収量につながっている管理技術や農家ごとの改善点が明確となり、農家からは「今まで経験に頼っていた部分が可視化されることで自身の改善点が分かった」「環境モニタリング装置を積極的に活用していきたい」といった声が聞かれました。   
当課では、他産地での活用事例も参考にしながら、環境モニタリング装置を農家が積極的に活用し、データに基づいた栽培を行えるよう、今後も引き続き本取組みを進め、安定した高収量の確保へつなげていきます。

2023年10月

出発前トラックと梨部会員
台湾輸出される吉野梨

JAやつしろ吉野梨、台湾へ向けて出発~JAやつしろ吉野梨、台湾輸出出発式開催~

8月25日に、JAやつしろ吉野果実選果場で農家や関係機関30名程度参集の下、吉野梨「新高」の台湾への輸出出発式が開催されました。今年の「新高」は、開花が早かったため生育は平年より早く、天候にも恵まれ大玉の果実となりました。9月29日の中秋節に向けて4回出荷し、30t程度が輸出される予定です。
JAやつしろ永田梨部会長から「コロナ禍の影響もあり、5年振りの出発式の開催。今年で20周年の節目を迎える輸出は、農家にとってなくてはならないものとなった。」と挨拶がありました。
9月12日~14日にはJAの梨部会員と関係機関が台湾を訪れて、5年振りとなる台湾での試食宣伝販売会も予定されています。
近年の温暖化による生理障害の発生等で「新高」は栽培しにくくなっていますが、輸出量を確保していくために当課では、関係機関と連携して新たな担い手の確保等、様々な課題解決に取り組んでいきます。

2023年10月

吉野果実選果場(氷川町)の研修の様子
(株)アグリ日奈久(八代市)の研修の様子

4年ぶりに開催。城南5地域の「城南ブッロク農業経営同友会研修会」

9月1日(金)に「城南ブロック農業経営同友会研修会」を4年ぶりに開催しました。
この研修会は八代、芦北、球磨、宇城、天草の5地域の県農業コンクール大会参加者や指導農業士で構成された地域農業経営同友会が連携して毎年開催されていましたが、コロナ感染症の影響により開催が延期されていたため、今回は4年ぶりとなりました。
本年度は八代地域での開催となり、当日は65名が参加し、輸出20年を迎える吉野梨の選果場と令和3年度に秀賞を受賞した地域営農法人(株)アグリ日奈久の現地研修を行いましました。その後の交流会では、各地域の会長から地域の現状や活動状況の報告等があり、盛会な研修会となりました。
参加者からは「隣の地域なのに今日初めて知ったことがあった」、「近い地域だからこそわかり合える」など研修会に参加して良かったとの声が聞かれました。来年度は球磨地域が担当で、皆さん楽しみにしている様子でした。

2023年10月

新規就農者の自己紹介
集合写真

令和5年度八代地域新規就農者激励会を開催

令和5年8月23日(水)に県南広域本部で、新規就農者激励会を開催しました。(R5年度の就農予定者24名のうち9名の出席。)
第1部の全体研修では、まず、県南広域本部、市町、JAから、支援制度等について説明が行われた後、先輩農業者2名の就農体験発表がありました。先輩農業者からは、就農時の失敗や就農時に気を付けた点、記録の取り方等参考になる事例の紹介があり、新規就農者達は、熱心に耳を傾けていました。
つぎに、第2部の分科会では、トマト、イチゴ、露地野菜、土地利用型作物に分かれて、関係者(市町、JA職員、先輩農業者、4Hクラブ員、指導農業士、就農支援アドバイザー、広域本部職員)と意見交換を行いました。活発な意見交換を通じ、新規就農者達は、それぞれがもつ就農にあたっての疑問や不安を解消することができたようでした。
参加者した新規就農者からは、他の新規就農者と友人となり、先輩農業者に質問や様々な助言を受けることができたとの声が聞かれました。
今後、当課は、関係機関と協力しながら、これら新規就農者の経営安定化や定着に向けた個別指導・支援を行っていきます

2023年8月

情報交換会の様子

第1回「八代地域営農法人情報交換会」の開催

管内の地域営農法人が抱える課題の共有化と解決の糸口を探ることを目的に、第1回目となる「八代地域営農法人情報交換会」が8月7日に開催され、懇親会を含めて大いに盛り上がり有意義な会となりました。
これまでに管内では13の地域営農法人が設立しており、そのうち氷川町では連絡協議会が組織されているものの、八代市管内の法人は横のつながりがほとんど無い状態でした。当課から関係機関に組織化を働き掛ける中、現場からも近年の燃油・資材費高騰、高齢化や労働力不足等への不安を訴える声が高まり、それに応えて今回の開催となりました。
情報交換では、参加者から、人手不足や役員への負担増といった運営の悩みが語られると共に、低迷する米価やインボイス制度への批判等、皆が抱えている不満が次々に飛び出し、会場は重たい空気に包まれました。
しかし、その後の基調講演において、株式会社農テラス代表取締役の山下弘幸氏からエネルギーを受け取った会場は、一転元気を取り戻しました。懇親会においても、「設立当時のポジティブな感情が蘇った」、「せっかく立ち上げた法人だから守っていかねば」といった前向きな意見が多く聞かれました。
今回の情報交換会は、法人にとっても、関係機関にとっても大切な一歩となりました。農業普及・振興課としても、法人が抱える課題解決の一助となるよう、今後も会の継続と運営を支援していきたいと考えています。

2023年8月

会議の様子
現地視察の様子

STGs(Sustainable Tyusankan Goals)の実現に向けて

八代地域では、持続可能な中山間地域農業を目指す地区として、鶴喰地区、五反田地区、泉町西部地区、二見野田崎地区をモデル地区に設定しています。
7月20日(木)に、市町、JA、県で構成される中山間地域農業プロジェクトチーム会議を開催し、各モデル地区におけるこれまでの取り組み状況についての情報共有と今後の活性化に向けた支援についての協議を行いました。会議の後は、今年度最終評価を行う2地区(五反田地区、泉町西部地区)の現地視察をしました。
これまでの支援を通じて、アスパラガス等の高収益作物の導入や耕作道整備による作業の効率化、機械の共同利用によるコスト削減といった顕著な成果が出てきており、これからは成果の中山間地域全体への波及を検討していく必要があります。また、担い手の確保やイノシシ、シカ等の鳥獣被害対策等の残された課題については、地区の方々とともに実情に合わせた振興策を考えることが重要です。
農業普及・振興課では、持続可能な中山間地域農業の実現に向けて、関係機関と連携して、モデル地区農業ビジョンが達成できるよう支援していきます。

2023年8月

結果検討会の様子
温湿度センサーと小型パソコン

スマート農業、はじめました~手作りセンサーで挑むいぐさ乾燥状態の見える化~

令和5年産いぐさの収穫は7月末で終了し、早いところでは稲穂が風になびく季節になりました。今年産のいぐさは比較的天候にも恵まれたため、収量は平年に比べてやや多く、品質も良好の見込みです。
収穫されたいぐさは、泥染め・乾燥したのちに保管されます。この乾燥作業には1回あたり16時間程度を要し、約300~500Lもの燃料を消費するため、近年の燃油高騰により経営圧迫の要因となっています。また、乾燥終了を示す明確な判断基準がないため、燃料の過剰消費につながっているとも考えられます。
この問題解決に向け、4Hクラブ員がプロジェクト活動に取り組んでいます。乾燥施設内の水蒸気量データをスマホなどで見える化して、データに基づいて乾燥終了の判断を適切に行い、燃料消費量の削減を目指すというものです。
この取組のポイントは乾燥施設内の水蒸気量のリアルタイムでの計測です。一般的に販売されている温湿度計では対応できないため、県産業技術センターの技術指導を受けながら、市販の温湿度センサーと小型パソコン、及び無料クラウドサービスを組み合わせて、水蒸気量を見える化できる仕組みを構築しました。
今年度の結果より、計測した水蒸気量と乾燥状態の関係性が明らかとなり、プロジェクトメンバーの4Hクラブ員は「データをもとに作業の判断ができるようになった」と手ごたえを感じています。
当課では、農業研究センターや産業技術センターと連携しながら、4Hクラブ員と共に調査や結果の分析を進め、生産コスト低減と環境にやさしい農業を両立した農業経営ができるよう、4Hクラブ員の活動を支援していきます。

2023年8月

座談会の様子
雇用形態別の経営分析資料の一部

イチゴの労働形態別経営調査を実施~自身の農業経営を見直すきっかけに~

八代地域は、県内でも大規模なイチゴ産地ですが、生産資材や燃油、人件費の高騰により、生産者の安定した所得の確保が喫緊の課題となっています。
このため、生産者7戸の協力のもと、営農指導員と連携しながら4か年(R1~R4)の経営調査を実施し、当地域の特徴である雇用型をはじめとする各経営形態別に収益性を検証しました。
調査を通して、品種の変更による単収向上や高単価販売によって収入は3割増加する一方で、荷造運賃手数料や燃油・肥料等の経営費は4割増加しており、結果的に所得率は4年間で10ポイント減少していました。また、経営類型別でみると、雇用型は人件費がかかるものの、労力の確保により規模拡大や作業の効率化が進むことで高い収量が確保されており、家族経営型と同程度の所得率が保たれていました。このことから、どのような経営類型であってもまずは、十分な収量を確保することの重要性が改めて明らかとなりました。
さらに、経営形態ごとに目標所得へ到達するための必要収量を示すとともに、調査結果を座談会の場で部会全体に共有しました。生産者からは、「どのように自分の所得を確保していくか具体的なイメージが湧いた。自身の農業経営を見直していきたい」といった前向きな声が聞かれました。
当課では、経営上の課題を分かり易く説明していきながら、現地検討会や定期巡回による栽培技術面からのフォローアップを行い、生産者の所得が十分に確保されるよう引き続き支援を行って参ります。

2023年8月

プロジェクト発表の様子
全国大会出場者

八代から全国へ~九州・沖縄地区青年農業者会議~

7月20、21日に大分県日田市で技術改善プロジェクト活動の成果を発表する青年農業者会議の九州・沖縄地区大会が開催され、八代4Hクラブの林孝憲氏が土地利用型作物部門で最高賞を受賞しました。林氏の発表は「堆肥だけで稲WCS※をつくる!」というタイトルで、3年間の研究成果と地域への普及性が高く評価され、九州・沖縄地区代表として全国大会へ出場することとなりました。熊本県内の4Hクラブ員が全国へ出場するのは6年ぶりとなります。
当日は八代をはじめ、県内クラブ員も多く参加しており、九州各県代表の先進的な発表を聞いたことで「農福連携や地域資源の利活用など、経営のヒントになることが多く、自身の経営にも導入したい」といった感想が聞かれる等、今後の経営改善やプロジェクト活動に対する励みになったようでした。
本大会に向けて当課では、3年にわたり生育調査や発表資料の作成、直前の分かりやすい発表方法等の助言・指導を行いました。今後も全国大会に向けた助言・指導を継続していくとともに、他のクラブ員についてもプロジェクト活動等を通した自身及び地域の課題解決能力や経営改善力の向上を支援し、将来、八代農業のリーダーとなる青年農業者の育成を図っていきます。

※稲WCS:ロール状に形成した稲をフィルムでラッピングし乳酸発酵させた飼料

2023年8月

べたがけ栽培実証試験の様子
栽培講習会の様子

カモから露地野菜を守れ!~べたがけ栽培の実証から普及へ~

八代地域では、渡り鳥であるカモ類による被害が露地野菜を中心に多発しており、対策技術の確立が喫緊の課題となっています。
これまで、露地野菜でのカモ類被害防止対策技術として、ほ場及び付近の水路に吹き流しやテグスを設置してきましたが、一部のほ場では被害が生じていました。
そのため当課では、令和5年1~4月にJAやつしろと連携して、ブロッコリーを不織布等で覆う『べたがけ栽培』の実証試験を行いました。その結果、カモ類の被害防止効果に加え、保温効果により生育が10日程度促進する結果も確認できました。
昨年度の取組みを踏まえ、6月8~9日に露地野菜生産者を対象とした講習会で、べたがけ栽培の効果について説明しました。生産者からは「鳥類被害防止効果に加えて生育促進や品質保持効果があれば、安定かつ高品質出荷が期待できる。一部のほ場ではべたがけ栽培を導入してみたい」といった声が聞かれ、べたがけ栽培の効果を理解してもらえました。
当課では、以前からべたがけ栽培を行っているJAれいほくと意見交換会を実施し、その結果を基にした展示ほを計画しています。今後も、べたがけ資材を活用した対策の普及に向けて取り組んでいきます。

2023年8月

総会の様子
R4年度活動振り返り資料の一部

氷川町農事組合法人連絡協議会総会の開催~連携力の波及を目指して~

氷川町東部地区では、H26~R元年にかけて設立した6つの地域営農法人による「氷川町農事組合法人連絡協議会」がR元年に発足しており、この度、4度目の総会を迎えました。本協議会は、法人間連携による①各法人の機能強化と②経営改善を会の目的に掲げており、当課では6法人を重点指導対象に位置づけ、経営力強化に向けた水稲低コスト技術導入や労働力補完等を支援しています。
総会では、当課が作成したスライドを見ながら、各法人の水稲直播試験、バレイショや麦といった新規作物導入、それぞれの悩みを吐き出した個別面談、天草地域の広域連携を学んだ先進地研修等、R4年度の活動を振り返りました。互いのライバル心に火が付いた新たな取組みや、将来を見据えて歩み寄る取組みの積み重ねを確認し、協議会の意義を改めて実感した瞬間でした。
一方、八代市の7法人からは互いに情報交換する場が無いため不安を感じるとの声が聞かれています。このため、当課では、八代全域の全13法人による連絡協議会発足を目指して、先ずは合同会議の今季開催に向けて準備を進めています。
今後も、氷川町の取組みを支援しながら、管内への波及を目指して支援していきます。

2023年8月

座学講習の様子
現地講習の様子

鳥獣害対策講習会で中山間地域農業を活性化

八代地域は、平坦部でのカモ類等による農作物の被害だけでなく、中山間地域でのイノシシやシカなどの被害も多く発生しており、営農意欲の減退にもつながりかねない深刻な問題となっています。特に、担い手不足や高齢化が著しい中山間地域では、担い手確保や耕作放棄地解消に向けた対策と併せて、鳥獣害に対する地域ぐるみの対策も強化していく必要があります。
このため、7月10日に管内の中山間農業モデル地区4地区を対象として、共通の課題である鳥獣害対策の講習会を開催しました。講習会には、ふるさとづくり大賞優秀賞を受賞したくまもと☆農家ハンターの稲葉氏をお迎えし、鳥獣害対策の基本的な考え方や現地での効果的な対策指導、鳥獣害対策を通じた地域づくりについてお話しをしていただきました。また、講習会の後は、ランチミーティングを行い、今後の対策をモデル地区と関係機関で検討し、鳥獣害対策の現状を含む各モデル地区の悩みを共有できました。
二見野田崎地区の瀬本浩和氏は、「大変ためになる講習会だった。集落全員に今日の内容を伝え、地域全体で田畑を守っていきたい。」と話されており、次世代につなぐ地域づくりについて改めて考えるきっかけとなりました。
当課では引き続き、各モデル地区の課題解決に向けた支援を通じて、中山間地域における持続可能な農業実現に取り組んでいきます。

2023年8月

茶品評会の審査の様子
茶園管理講習会の様子

茶品評会上位入賞を目指した普及活動の軌跡

6月29日に、農研センター茶業研究所にて、熊本県茶品評会荒茶の部※が開催され、八代市泉町の橋口有共氏が、最高賞である「農林水産大臣賞」を4年ぶりに受賞しました。
泉町の生産者は小売り販売が中心で、品評会での上位入賞は消費者への有利販売に直結することから、力を入れている生産者が数多くいます。
「良質な茶は良い茶園から」といわれるように、茶園管理が品質向上に繋がることから、当課ではこれまで、茶園巡回指導を行うとともに、品質向上のための病害虫対策講習会、整枝技術等の向上を図る茶園管理講習会、加えて、加工技術向上を図る製茶講習会等、品評会上位入賞を目指し、年間を通じた品質向上支援を行ってきました。
これらの普及活動により、生産者の意識が高まるだけでなく、防除や整枝等の適期作業や生葉の状態に合わせた茶の製造が実践されるなど、これまでの取組みが品評会上位入賞という形で実を結びました。 
品評会上位入賞は「ゴール」ではなく、あくまで経営力向上のための「プロセス」であることを念頭に、品評会入賞者をモデルとして、茶園管理や製茶技術を地域内で波及させる普及活動を行い、引き続き、茶生産者の経営力向上といずみ茶のブランド力向上を支援していきます。

※熊本県茶品評会…生産技術の改善と品質の向上を目的に、くまもと茶ブランド確立対策協議会(会長:JA熊本経済連代表常務理事 多久嘉秀氏)が毎年開催する茶の品評会。茶園の部と荒茶の部があり、荒茶の部では、①外観、②水色、③香気、④滋味の4項目で審査される。

2023年8月

当課とJAで作成した啓発チラシ
農薬安全対策講習会での注意喚起の様子

日本一のいぐさ・畳表産地を守るために~農薬危害の発生防止に向けた取り組み~

八代地域では5月になると田植えが始まりますが、水稲用除草剤にはいぐさに薬害を及ぼすものがあり、隣接田からの予期せぬ除草剤流入等によって、毎年事故が発生しています。当課ではこれまで、いぐさ農家に対する注意喚起を行ってきましたが、本年度、あらゆる方法を駆使して注意喚起に取り組みました。
まずは、当課とJAで作成した啓発チラシをいぐさ農家だけでなく他品目の講習会や様々な会議で配布するとともに、市町・JA広報誌、アグリくまもとHPへの掲載や八代地域農業情報配信サービスなど、様々な媒体を活用した情報発信を行いました。また、管内のホームセンターや農薬販売店を巡回し、農薬適正使用のための啓発運動を行いました。各店舗の担当者からは「どの農薬が影響するのか分かった」「チラシを陳列棚に掲示し、購入者への注意喚起を行う」といった声が聞かれるなどいぐさ産地を守るための理解醸成につながっています。
八代地域では、令和5年産いぐさの収穫が6月12日からスタートし、収穫量は平年よりやや多く、品質についても、淡い緑色でずっしりと充実した高品質ないぐさが収穫されています。
今、八代・宇城地域の至る所で、いぐさが輝きながら風になびいている様子が見られます。この景色を失わないよう引き続き関係機関と連携しながら活動を行っていきます。

2023年8月

記念式典 永田梨部会長挨拶
祝賀会:くまモンぬいぐるみ贈呈

JAやつしろ吉野梨、台湾輸出20周年を迎える~JAやつしろ吉野梨台湾輸出20周年記念式典及び祝賀会~

氷川町は県内でも有数の梨産地であり、吉野梨と呼ばれ親しまれています。9月の梨は全国的に出荷量が増え価格が安定しないことから、平成16年に「新高」梨の輸出が始まりました。「新高」は丸くて大きい黄色の縁起物として、台湾の中秋(ちゅうしゅう)節(せつ)※に合わせて輸出されています。
7月6日、八代ホワイトパレスにてJAやつしろ吉野梨台湾輸出20周年記念式典及び祝賀会が開催され、梨部会員及び関係機関約40名が出席しました。
記念式典では永田梨部会長から、20年の長い間絶え間なく輸出を続けることができたことに、毎年安定した取引を続けてくれた台湾のウォーカー社を始め、関係機関への感謝の挨拶がありました。その後、吉野梨輸出20年の歩みとして、20年前から現在までの動画が流され、会場は懐かしい雰囲気に包まれました。平成16年に3.8t程度で始まった輸出は、今では毎年20~30tの輸出量となり、今後も毎年30t程度の輸出量を目指しておられます。
ウォーカー社の李販売部長からは、「20年前の台湾で日本の梨と言ったら大分梨だったが、今は吉野梨だ。」と台湾で吉野梨はトップブランドになった話がありました。 
最後に、JAやつしろ梨部会からウォーカー社へ、20周年記念の販売活動で使われるくまモンのぬいぐるみの贈呈が行われ、和やかな雰囲気で祝賀会は終了しました。
輸出の継続には、使用できる農薬の制限、高齢化による農家の減少、近年の温暖化による生理障害の発生等、さまざまな課題がありますが、当課では関係機関と連携して課題解決に取り組んでいきます。

※中秋節:旧暦8月15日に行われる伝統行事。月に月餅や果物等をお供えして、家族でお月見を楽しむ。台湾の三大節句の1つ。

2023年8月

婚活勉強会の様子
個別での助言・指導

八代4Hクラブ婚活勉強会の開催

八代地方青年農業者クラブ連絡協議会(八代4Hクラブ)では「まだ見ぬ出会いへ、新たなる挑戦を」を令和5年度のテーマとして、クラブ員の実行力向上への取り組みを行っています。その一環として、6月20日にクラブ員の関心事である婚活を題材とした勉強会をクラブ員が企画・開催しました。
勉強会では、クラブ員の配偶者であり、webサイト『note』にて婚活エッセイを投稿し、読者を婚約に結びつけた実績を持つ、桑原茜さんを講師とし、婚活で使える対人関係スキルについてお話いただきました。
講師からは「婚活は農業における商談等と同様、まずは相手に与える第一印象とコミュニケーション力が重要。その次に自分の強みをうまく伝えることが大切」との話がありました。クラブ員は「今回学んだことは農業経営や地域づくりなど婚活以外の場面で活かせる。異業種交流を積極的に行い、経験値を高めたい」と話し、自身の成長に繋がったようでした。
当課では今後も、勉強会やプロジェクト活動など八代4Hクラブの主体的な取組を支援し、クラブ員の資質向上とクラブ全体の活性化に努めていきます。

2023年7月

メロンの外観を査定するメンバー
メロンの食味を評価

メロンの出来栄えを吟味

八代地域では、春メロン(アールス系、クインシー、肥後グリーンなど)が55.9haで栽培されており、4月下旬から6月下旬にかけて出荷されます。
5月中旬には出荷ピークを迎えており、本年産のメロンの出来栄えを評価するために、八代地方メロン出荷協議会※主催によりメロンの目揃い、出荷査定会が開催されました。
管外の3産地から取り寄せられたメロンと合わせて合計7検体の外観品質、食味の査定を行うと共に包装資材のこだわりなどを評価し、参加者で意見が交わされました。本年産の八代メロンは食味も良好で出来栄えは良いと参加者の意見は一致しました。また、他産地のアールスメロンで高級感を出すために充実した包装資材の活用により高付加価値化を実現しており、資材コストが上昇している中でも今後の出荷の参考になるなどの意見もありました。
農業普及・振興課では、関係機関と連携し、高品質メロンを出荷できるよう支援を行っていきます。

※事務局は、JAやつしろ、農事組合法人八協連、JA熊本経済連、農業普及振興課

2023年7月

総会の様子

農事組合法人鶴喰なの花村 通常総会が開催されました~中山間モデル地区のトップランナー~

八代市坂本町鶴喰地区では、人口減少・高齢化による危機感から集落の維持、活性化に向けて、平成29年に、24戸、35.1haの農地で農事組合法人鶴喰なの花村を設立しています。5月26日に、組合員、県、八代市、JA出席のもと、第7期目の定期総会が開催されました。
会議では、前年度の活動実績報告として、地区の主要作物である米に加え、高収益作物として導入したアスパラガスの収益増により、設立以降順調に経常利益を上げているとの説明がありました。
本年度は、鶴喰米を使用した人気商品である冷凍ぼたもちの販路拡大や米粉クッキー、ドッグフード等の加工食品の商品化を進めることで、さらなる経常利益を見込んでいます。
その一方で、後継者や安定的な労働力の確保が喫緊の課題となっており、SNSでの発信やメディア取材の受入れによる鶴喰地区の周知、地区外からのボランティアの受入れ等、できることから取組みを進めています。
当課では引き続き、鶴喰地区の活性化を図るため、関係機関と連携し、法人の経営安定に向けて支援していきます。また、中山間地域における持続可能な農業の実現に向けて、モデル地区間の意見交換会や鳥獣害対策の講習会等、各地区での課題、取組み事例を共有することで、各地域に応じた施策の実施につなげていきます。

2023年7月

釜炒り茶づくりを実演する協議会員
生産者の顔が見えるポップ

いずみ茶の新たな価値を創出~顔が見えるポップで他商品との差別化を図る~

梅雨の中休みとなった6月4日、八代市泉町にて「第18回平家いずみお茶まつり」が開催され、4年ぶりの本格開催となった今回は、コロナ禍前と同様、千人以上の来場者で賑わいました。
この祭りは、「いずみ茶」をはじめとする農林産物の消費拡大を目的として開催され、市内外の多くのいずみ茶ファンで賑わう町最大のイベントです。さわやかな香りが特徴のいずみ茶ですが、祭りでは泉町茶業振興協議会が、昔懐かしい「釜炒り茶づくり体験ブース」を設営し、香ばしい香りに引き寄せられた多くの人がお茶づくりを楽しみました。
泉町には製茶工場が13戸あり、それぞれ茶園管理や製造法などが異なるため、多様な茶が生産されています。しかし、一般の消費者には違いが分かりにくいことから、当課では、いずみ茶の新たな価値を創出することを目的に、生産者ごとに「お茶づくりへのこだわり」等を記載したポップを作成しました。
来場者からは「どのお茶を買っていいか悩んでいたが、各生産者のこだわりが分かったことで、好みの茶を選ぶ基準になった。」といった声が聞かれました。
この取組みにより、生産者のこだわりを付加価値として消費者まで伝達できるだけでなく、生産者からは「商品に対する責任感が生まれ、さらなる品質向上に努めようと思った。」といった声が聞かれるなど、茶の高品質生産意欲の醸成にもつながりました。
当課では、大型商業施設等での茶の販売会などを企画し、今回作成したポップ等を活用しながら、消費拡大に向けた活動を進めていきます。

2023年7月

広報活動出発前の様子
広報活動中の様子

管内全域に「トマト黄化葉巻病対策」呼びかける

八代地域の冬春トマトでは、タバココナジラミが媒介するウィルス病のトマト黄化葉巻病が問題となっています。防除対策で最も重要なことは、前作ウィルスを次作のトマト類に持ち込まないことです。そのため産地では6月25日までに収穫を終了し、8月15日まで栽培自粛期間を設けることでウィルスを保毒したトマトやコナジラミを断ち、地域一体となってコナジラミの防除徹底に取り組んでいます。
栽培を終了する生産者が増えるこの時期は防除が最も重要です。5月24日、5月31日に、農業普及・振興課が中心となり、八代市、氷川町およびJAやつしろと連携して、トマト黄化葉巻病対策啓発広報活動を実施しました。関係機関の広報車が列をなし、トマト、ミニトマト、メロンが栽培される地域を中心として管内全域にトマト黄化葉巻病対策を呼びかけました。本年の広報用の音声は「MEGさん(ラジオパーソナリティー)」の八代弁によるものを作成したため、広報中にすれ違う生産者の方々が興味を示し、トマト黄化葉巻病対策がしっかり浸透したようでした。
農業普及・振興課では、関係機関と連携し、6月にも対策啓発広報活動を実施すると共に、引き続き、トマト黄化葉巻病対策指導を徹底し、発生防止に努めます。

2023年7月

研修会の様子
雑草を用いた講義の様子

この「雑草」はいったい何者なのか?~雑草防除研修会を開催しました~

いぐさは冬に植え付けて夏に収穫する作物であり、時期によって様々な水田雑草が発生するため、草種に応じた早めの対策が求められます。
 また、いぐさに適用のある除草剤は、農薬登録失効や製造中止により減少しており、限られた数種類の除草剤の中から最適な剤を選択し、適切な時期に施用する必要があります。このため、雑草対策としては、除草剤だけではなく、水田雑草の種類や生態を含めて知ることが非常に重要となってきます。
そこで当課は、熊本県畳表銘柄確立研究会(略称:熊銘会)との共催で、「いぐさ作及び水稲作における雑草防除研修会」を6月5日に開催し、熊銘会会員のほかJA職員、県職員等32名が参加しました。
研修会では、元神戸大学大学院農学研究科教授で雑草学の専門家である伊藤一幸先生による講演のほか、八代地域のいぐさ田で採集した雑草を用いた質疑応答が行われました。
熊銘会会員からは「今まで『この雑草は何者なのか』意識することがなかったから、大変勉強になった。雑草に合わせた防除に取り組みたいと思う」といった防除体系の確立に向けた意欲が見られました。
宇城・八代地域ではいぐさが351ha栽培されており、これから収穫の時期を迎えます。当課では今後も関係機関と連携しながら、生産者にとって有益な技術情報の提供に取り組みます。

2023年7月

塩害による株の枯れ
土壌断面・硬度調査の様子

イチゴの反収向上に向けて~生育不良原因の見える化・共有化によるイチゴの経営安定~

八代地域のイチゴの共販面積は約51ha、1戸当たりの栽培面積は約36.8aと、県平均に比べて大規模な栽培が行われています。一方で、共販の平均反収は県平均よりやや低くなっているため、イチゴの反収向上が産地の課題となっています。
当地域では土壌中の過剰な塩の蓄積によって生育不良となり、減収したと考えられるケースがありました。そこで、生産者、営農指導員、農業革新支援専門員と連携して土層や硬盤層の位置を調査しました。
土壌断面調査、硬度調査を実施することで、高畝等の排水対策や除塩が次作に向けて重要であるという共通の認識をもつことができました。生産者や営農指導員は、減収の原因を改善し次作の収量向上につなげる意欲が高まったようでした。
この他にも、出荷時期ムラの原因ともなる1.5番花対策、環境モニタリングを活用したハウス内環境の見える化、抵抗性が発達しやすいアザミウマ類の効率的防除に関する展示ほの設置や地域の課題に応じた現地検討会・講習会の開催を通じ、収量向上に向けて総合的な技術指導を行っています。
当課では、今後も生産者に寄り添った普及活動を展開し、産地の生産安定・強化のために引き続き支援を行ってまいります。

2023年6月

メロンを見る市場関係者
メロン出荷協議会

市場関係者と本年産メロンの情報共有を図る

八代地域では、春メロン(アールス系、クインシー、肥後グリーンなど)が55.9haで栽培されており、4月下旬から6月下旬にかけて出荷されます。
出荷直前となる4月25日に、生産者、運送関係者、市場関係者、JA、市町県等の総勢79名が一同に介し、八代地方トマト・メロン販売連絡協議会※主催により八代地方メロン出荷協議会が開催されました。
本協議会では、事前に生産者ほ場において、市場関係者は、出荷目前のメロンを目にしながら指導員から生育状況の説明が行われています。多くの市場関係者は、本年産のメロンは例年よりも品質・食味が良いと実感されたようでした。
会議では、産地サイドは市場関係者に対して、生育概況、出荷計画を伝え、市場関係者からは、消費地の情勢が報告されました。令和5年産八代産メロンの出荷販売に向けて産地サイドと市場関係者の情報共有や活発な意見交換が行われ、今後の有利販売が期待されるところです。
農業普及・振興課では、関係機関と連携し、引き続き、生産者の安定生産のための技術支援を行っていきます。

※事務局は、JAやつしろ、農事組合法人八協連、JA熊本経済連、農業普及振興課

2023年6月

泉町献茶祭の様子
献茶祭後、新茶を囲んで歓談

献茶祭で心を一つに!一番茶の製造が始まる

八代市泉町では、地域における重要な基幹作物として茶が約25ha栽培されており、山間地の寒暖差をいかした良質な茶の生産が行われています。
立春から七十七日を迎えた4月21日に、新茶の豊作を祈願するため、泉町茶業振興協議会主催の「泉町献茶祭」が八代市泉支所にて執り行われました。
神事として玉串奉奠(ほうてん)が行われた後、泉町茶業振興協議会の松田会長から「良質な茶生産に向け、生産者と関係機関が心を一つにして頑張っていきたい」と力強い意気込みが語られました。
今年の泉町の一番茶は、平年より4日ほど早い4月16日から製造が始まり、5月中旬まで製造が行われる見通しです。
泉町は小売り販売が中心の地域であることから、生産者ごとに品質差が見られていることが課題となっています。このため、茶の成分分析や講習会等により、高位平準化を図るとともに、知名度向上に向けた販促活動を行っています。
引き続き、生産者と関係機関が一丸となった取組を展開し、「稼げる農業」を目指して、茶工場所有農家の経営安定支援を行っていきます。

2023年6月

茎色に基づいた先刈時期の検討
展示ほの生育調査

いぐさの畳表への想いを届けるために~品質向上に向けた現地検討会を開催しました~

令和5年産のいぐさ生産では、平年より気温が高めで推移していることから、害虫であるイグサシンムシガの活動が早まっています。特に6月に孵化する第2世代幼虫が、品質の良い長茎を加害し枯死させるため、4月の第1世代幼虫に対する防除が重要です。
そこで、近年の発生状況をふまえ、発蛾最盛期予想に基づいた適期防除に重点をおいた指導を行いました。
併せて、品質向上を促すことを目的として、昨年度に設置した施肥に関する展示ほの畳表サンプルの評価会も行いました。品評会では新芽で茎長が長いものほど品質が良好で、特に日焼けした畳表では違いが鮮明であったことから、管内の生産者たちも真剣な眼差しで観察していました。生産者からは「今後の施肥方法をもう一度検討してみる。」といった声が聞かれるなど、畳表の品質向上に向けた意欲が高まっているようでした。
生育は平年並から早く進んでいますが、先刈作業や網張作業も順調に進んでいます。
現地では今後、ほ場の管理作業が慌ただしくなる時期を迎えますが、当課では、JA及び関係機関と連携して、県産畳表の更なる品質向上・安定化に向けた支援を行っていきます。

2023年4月

茶の外観を比較する協議会員
各生産者の立ち位置を「見える化」したグラフ

茶品質の「見える化」でいずみ茶のレベルアップ

八代市泉町で生産されている「いずみ茶」は、ほとんどが直販されていることから、他の農業者がどのようなお茶を生産しているか比較する機会があまり多くありません。このため、同産地で生産されるお茶は、同価格帯でも、生産者ごとに品質差があることが課題となっています。
このため、3月20日に、自身が販売する茶の品質を客観的に把握してもらい、品質向上を促すことを目的として、泉町で販売している上級茶(100グラム1,000円で販売)13点について評価会を行いました。
評価会では、事前に行った13点の成分分析結果をグラフに示したうえで、それぞれの試飲を行いました。
参加者からは、「自身の茶の傾向が分かった。多くの方に選ばれる茶を作れるよう、一番茶に向けた管理等も徹底していく。」といった声が聞かれるなど、次作の改善に向け、意欲が高まっているようでした。
当課では、今後も継続して成分分析や生産者へのデータ提供を行うことで、いずみ茶のブランド力を強固にし、中山間地における収益の柱づくりを推進していきます。

2023年4月

カモ類被害防止対策、次へとステップアップ

JA、市町、農業共済、県で構成する八代地域農産物鳥類被害防止対策連絡協議会(以下:協議会、事務局:県南農業普及・振興課)は、3月16日に県南広域本部で総会を開催しました。
総会では、令和4年度に行った野菜生産者への講習会や現地検討会を始め、カモ類対策チラシや水路テグス設置手引きの配布、展示ほの設置、先進地(諫早)事例調査、猟友会や鷹匠との連携等様々な活動を報告しました。
また、次年度の計画を協議し、新たに不織布・防鳥ネット等の被覆資材のべた掛けや、船上捕獲と鷹を組み合わせた捕獲効果の検討を行うとともに、残渣処理の徹底等に取り組むことになりました。総会後には、当地域でのカモの生態や猟友会及び鷹による捕獲状況を動画で紹介し、関係機関で情報共有を図りました。
農業普及・振興課は引き続き関係機関と連携しながら、地域の活動を支援していきます。

2023年3月

トルコギキョウの効率的な育苗技術マニュアルを作成

八代管内のトルコギキョウ生産者は育苗施設を持っていない場合を除いて、すべての生産者が自家育苗に取り組んでいます。
トルコギキョウの成苗率の向上と省力化を図る技術として、「RTF苗活用技術による年内および二度切り栽培(農業技術体系花き編)」では底面給水を主幹技術として挙げているものの、当地域では、セルトレイ下部から出根してしまうと定植時の作業性悪化や断根による苗の植え傷みが懸念されることから上部かん水が主流となっています。
このような現象は水稲のプール育苗でも生じており、「根域制限シートによる中苗プール育苗の根切りの省力(埼玉県農業試験場、1999年)」では、水酸化第二銅を含む根域制限シートをプール内に敷くことで、苗箱裏面からの出根を防止できると報告されています。そこで、この技術をトルコギキョウに活用し、セルトレイ下部からの出根を抑制する育苗法の実証試験を実施しました※。
試験の結果、実証技術の実践により育苗管理の省力化や低コスト化、育苗期間の短縮を実現しつつ、慣行育苗と同等以上の規格・品質の切り花を収穫できることが明らかとなり、本技術を「根域制限資材を活用したトルコギキョウの底面給水育苗技術マニュアル」として取りまとめました。
当課では、今回実証した技術を活用しつつ、高品質花きの安定生産を目指して支援を行っていきます。

2023年3月

生産者による畳表サンプルの評価
原草での“かし”程度(触感)の確認

“かし”の重要性を学ぶ ~畳表の品質向上に向けて~

JAやつしろい業部は2月28日、畳表の加工技術向上や若手生産者への技術継承を目的として、“かし”作業に関する加工講習会を開催し、八代・宇城地域の生産者57名が参加しました。
“かし”作業とは、製織直前の原草に水分を含ませる作業であり、畳表の品質(色調や莚面の滑らかさ)を決定づける非常に重要な工程です。季節や天候、品種等に応じてきめ細やかな調整を行うことが、実需者に求められる美しい畳表を織るカギとなっています。
講習会では、あらかじめJAと当課で“かし”の水分量を7段階に調整して製織した畳表サンプルを用意し、生産者自らに品質評価を行ってもらうとともに、実需者(産地問屋)の評価結果も併せて示しながら、“かし”の過不足が畳表品質に及ぼす影響を実感してもらいました。
また、ベテラン農家による、長年の経験に基づいた“かし“に対する考え方やノウハウに関する講演も行われ、会場内では参加者同士による熱心な議論が行われました。
当課では今後も、JA及び関係機関と連携して、産地の競争力強化と生産者の所得向上に向けた支援を行ってまいります。

2023年3月

JA本渡五和本店での研修風景
JA本渡五和本店での研修風景

広域連携の先進地に学ぶ!法人先進地視察研修を開催

令和5年2月28日、6つの地域営農法人が加入する氷川町農事組合法人連絡協議会の先進地研修を開催しました(法人理事、関係機関26名参加)。今回は広域連携の取組みを学ぶため、県内の先進事例であるJA本渡五和営農組織連絡協議会(以下、本渡五和協議会)の取組みを視察しました。
現地では、本渡五和協議会の事務局であるJA本渡五和営農指導員の山下氏と協議会発足から6年間会長を務めた鬼塚前会長に話を伺いました。緊急時の作業連携や野菜移植機共同購入を行う取組も参考になりましたが、高齢化や後継者不足が深刻な天草地域ではJA・市の強力な支援のもと、法人が新規参入者受入を行うなど、地域の中核を担う担い手である体制に驚かされました。当然、地域が違えば地域営農組織の在り方も異なりますが、鬼塚前会長の「『話す』だけではなく、『行動する』組織となるべき」とのアドバイスは、協議会の在り方を模索する参加者の後押しになったと感じました。
農業普及・振興課としては、これまでの地域営農法人だけを切り取った支援ではなく、カントリーエレベーターの活用強化や氷川町の基幹品目であるイチゴを含めた地域農業全体を捉えた支援が必要になってくると考えます。それに向けてJAをはじめ関係機関へ働き掛けを行うとともに、協議会に対しては広域連携に向けた「具体的な行動」を促して横の連携強化を図っていきたいと考えています。

2023年3月

水田ゴボウほ場見学
農業用ドローン機能説明

八代地域農業経営者協議会、水田ゴボウ、アスパラガス、ドローンを学ぶ

令和5年2月15日~16日、八代地域の指導農業士及び農業コンクール受賞者で組織される八代地域農業経営者協議会の地域外先進地研修を実施、会員16名の参加がありました。前回(平成31年2月)から4年ぶりの開催です。
15日は、菊池市の県北広域本部において、JA菊池の水田ゴボウとアスパラガスの産地振興策を学び、集出荷所及び水田ゴボウほ場の見学を行いました。
翌16日は、農業用ドローンを先駆的に活用されている(有)ミドリ(代表:上原泰臣氏)でスマート農業の可能性や課題を学ぶとともに、現地でドローンの飛行実演を間近で見学し、会社の実務者達と様々な意見交換を行いました。
本プログラムは八代地域と共通性のある活動(水田ゴボウ=地理的表示(GI)保護制度、アスパラガス=JA生産部会での新規参入者支援(通称「明日、パラダイス塾」)、農業用ドローン=スマート農業の実例)への理解を深める事を目的としています。当普及・振興課は事務局としてプログラム立案、随行、見学先の説明対応など全体を指導及び支援しました。
参加者からは、菊池におけるJAと普及が一体となった活動を高く評価された他、農業用ドローンの省力効果や時短効果に多くの関心が寄せられました。
当課では今後も当協議会の活動を支援し、交流等を通じて地域農業の経営レベルの向上に寄与してまいります。

2023年3月

会議の様子
会議の様子

八代地域新規就農支援連携会議を開催

令和5年2月22日、県南広域本部、八代市、氷川町、JAやつしろ、八代地方4Hクラブ、指導農業士、農村女性アドバイザー、新規就農アドバイザー等で構成される八代地域新規就農支援連携会議を開催しました。
当課より県新規就農相談会での相談動向や、農業次世代人材投資事業(準備型・経営開始型)交付終了後の定着率、就農計画目標達成の実情を解説するとともに、後継者不在の担い手に対して経営継承をどのように促していくかについて意見交換を行い、農地は翌年度からの下限面積撤廃により取得・賃借面で容易になる事、第三者を含め継承者(就農者)への働きかけや農地保全意識の向上が必要、との意見がありました。
併せて、国事業(新規就農者育成総合対策事業)の概要説明とともに、農業研修生指導を担うJAと、就農後サポートを担う八代市及び氷川町より就農状況等の報告を行われました。
八代管内の新規就農者は毎年40名前後で推移し、平成24年度以降、Uターン就農者や農業経験のない新規参入者が増加していますが、一方で他地域や県内平均より新規学卒就農者の割合が高いのが特徴です。
農業普及・振興課は、市町・JAと連携した巡回指導や、新規就農者激励会等を開催しており、引き続き関係機関と連携し、新規就農者の指導及び支援を行っていきます。

2023年3月

熱心に講演される市原社長と会員
㈱パストラルのアイス工場

八代地方農業女性アドバイザーネットワーク視察研修会を開催

1月20日にい草やトマト、生姜等を栽培している女性農業者で組織する八代地方農業女性アドバイザーネットワーク(会長:入田直美、会員20名)の視察研修会を開催しました。
本年度は、第61回全国農林水産祭の「多角化経営部門」で天皇杯に輝いた山鹿市の㈱パストラルを訪問し、市原幸夫社長の取組みを参加者11名で学びました。
八代地方はトマトや露地野菜の生産量では県内トップクラスですが、そうした農産品を使った加工品の開発・販売が会員の関心事となっています。加工品の開発に当たっては、女性農業者の積極的な関与が成功の原動力となる場合も多く、県内での先進事例を当課で選定し、今回の研修が実現しました。
市原社長の取組みは、フードロスの削減にもつながる規格外の農産物を活用したアイスやシャーベットの製造・販売をはじめ、有機無農薬のアイガモ米・合鴨・あんぽ柿の製造・販売など、小ロットの生産にこだわり、独自の生産と流通ルートの開拓で農産物に不可価値を与え続けておられ、会員にとって価値ある研修の場となりました。
当課では引き続き、女性農業者の農業経営・社会参画などを推進するため、八代地方農業女性アドバイザーネットワークの活動を支援していきます。

2023年3月

法人差入れのコーヒーを頂きながら歓談

法人個別面談会で対話の大切さを実感

令和5年1月24~27日、氷川町農事組合法人連絡協議会の6法人を対象に個別面談会を行いました。面談の目的の一つは、各法人の取組みや問題を関係機関で共有化して課題解決に繋げることですが、今回はコロナ禍で希薄となった関係者間のコミュニケーションを深めることに重きを置き、和やかな雰囲気づくりを心掛けました。
法人の多くは集落毎に組織されたコンバイン利用組合を母体とし、農地集積加速化事業を活用して平成28~令和元年にかけて設立しています。どの法人も米とWCSを合わせて30ha前後の経営で一見似たような印象ですが、面談では地域毎の違いに驚かされました。
施設園芸が多い地域では稲作の低コスト・共同化が加速、土地利用型の理事が中心となり麦作を推進、集落内のコミュニケーションを重視して馬鈴薯を生産など、法人化を機に一歩踏み出した法人がいる一方で、まだまだ経営所得安定対策の受け皿組織を脱しておらず高齢が深刻化している法人もあるなど様々で、隣の法人に学びの場があると感じました。
また、法人連絡協議会の目的の一つに法人間の広域連携を掲げていますが、面談の中で法人間を跨いだ収穫作業マッチングの可能性が見つかり、連携実現への期待が高まっています。
農業普及・振興課では、今回の個別面談で「対面で話すこと」の大切さを感じました。法人連絡協議会の活動を支援し、法人同士が話し合いながら課題を解決していける体制づくりをしたいと考えています。

2023年3月

瀬戸内レモン
レモン栽培について熱心に話を聞くクラブ員

新規作物導入の足掛かりに!4HC視察研修をアシスト

1月26~27日、八代地方青年農業者クラブ連絡協議会(以下、4HC)の先進地視察研修を開催し、6名のクラブ員が参加しました。
4HCが毎月開催している定例会で視察先について話し合ったところ、レモン産地を視察したいとの声が上がりました。国内で流通するレモンはほとんどが外国産で、近年は国産レモンの需要が高まっています。新規作物として興味を持つクラブ員もいたため、広島県の「果樹農業振興対策センター※」ほか3ヵ所の視察を企画しました。
視察先では、実際にレモンのほ場を見学するとともに、レモンの栽培に向くほ場の選定から年間の管理作業など、様々な話を聞くことができました。レモンを栽培するうえで重要なのが「水が豊富にあること」、「気温が低くなりすぎないこと」、「強風にあたらないこと」などの条件であり、温暖で水が豊富な八代地域では栽培に適している可能性が高いことが分かりました。
参加したクラブ員は、帰りの移動中も「防風ネットで風を防ぎ、高畝・潅水チューブ栽培ならば水田でも栽培可能ではないか」といった議論を活発に行うなど、大きな刺激を受けたようでした。
当課では今後も、地域の将来の農業を担う青年農業者の興味・関心を引き出しながら、さらなる活動の活性化に向けた支援を行っていきます。

※果樹農業振興対策センター…瀬戸内レモンの担い手の確保・育成を行うJA広島果実連の組織。

2023年2月

鳥インフルエンザ防疫対策に係る班別係別研修の実施

例年より早く全国各地で鳥インフルエンザが発生し、次は、いつ、どこの地域の農場で発生してもおかしくない状況の中、防疫作業の担当者として班や係に割り当てられている広域本部の職員及び市町、農業団体の職員に、それぞれ担当する防疫措置の内容と手順を確認するとともに短時間で支援体制を整えることを目的として、去る12月6日及び7日に、八代総合庁舎5階の大会議室において班別係別の研修会を実施しました。
昨年度から開催している研修会にもかかわらず、広域本部職員のほか、八代市及び氷川町の担当職員、JA八代をはじめ農業共済組合などから合せて230名以上の参加がありました。担当する業務について、それぞれの係や班のリーダーが作成した資料に基づく座学だけでなく、防疫服着衣支援班では、着衣の実演を通した作業支援の確認を行い、防疫資材係では、必要資材の搬入経路や資材発注等の方法と広域本部に確保している資材の保管状況の確認を行いました。
海岸付近には多数のカモ等が飛来し、鳥インフルエンザウイルスがすぐ近くに存在する可能性の中、自らの役割をしっかり確認し、関係機関との連携を密にしたことで、管内農場での発生に備え、蔓延防止に努めます。

2023年2月

八代地方青年農業者会議の様子
八代地方青年農業者会議の様子

県大会3連覇を目指して!八代地方青年農業者会議開催

12月16日、八代地方青年農業者クラブ連絡協議会(以下、八代4HC)の主催による、八代地方青年農業者会議が開催されました。
今年度は、意見発表1課題、プロジェクト発表6課題、地域活動発表1課題の計8課題が発表されました。意見発表では、自分が就農した経緯や理想とする農業などが語られ、またプロジェクト発表では、肥料や燃油価格高騰等の様々な問題に対する「みどり戦略」に関連した取組や、新たな客層をターゲットにした、SNSやクラウドファンディング等を活用した先鋭的な取組が発表されるなど、情勢の変化を捉えた課題設定がなされていました。
プロジェクト活動は、八代4HC活動の根幹ともいえる活動で、当課では4月から全クラブ員に担当割当を行い、課題の明確化から発表内容の指導に至るまで、伴走型による課題解決支援を行ってきました。
八代4HCは、熊本県青年農業者会議においてプロジェクト活動の功績が認められ、総合優勝2連覇を果たしており、3連覇を目指した活発な活動がなされています。
当課では引続き、各クラブ員の意欲を刺激しながら、継続的な取組みができるよう、プロジェクト活動の支援を行っていきます。

2023年2月

光線発生装置前での解説
ミニトマトハウス内説明

八代地域農業経営者協議会・現地研修会を開催

令和4年12月9日、八代地域の指導農業士及び農業コンクール受賞者で組織される本協議会の研修会が開催され、会員19名の参加がありました。当課はプログラム立案、移動手段・見学先の手配、当日の随行など、行事全体を支援するとともに、見学先での解説も担っています。
最初の見学先では、近年、大きな課題となっているカモ等鳥類による食害の現状と、テグスや吹き流し等の対応策を当課から説明するとともに、地元企業が開発し、現地ほ場で効果検証中のレーザー光線及び音声を用いた自動カモ忌避装置を紹介しました。
続いて、令和3年度県農業コンクール大会新人王部門受賞者(ミニトマト)と地域農力部門受賞者(地域営農法人)を訪問し、経営展望と課題についての説明をおこないました。
新人王部門受賞者は、若くして栽培管理を任され、養液栽培や環境制御装置を駆使した経営を実現されています。地域農力部門受賞者は日奈久地域を広くカバーし、専属オペレーターによる水稲・麦の大規模経営を展開されています。両者とも喫緊の課題として燃油及び肥料価格の高騰を掲げており、見学先はそなどの対策を改めて認識する場となり、活気ある研修となりました。
当課は、引き続き担い手の経営安定と若手農業者への継承が円滑に進むよう、個々の状況に応じ支援していきます。

2023年1月

新規就農者の自己紹介
意見交換

令和4年度八代地域新規就農者激励会を開催

令和4年11月14日、県南広域本部で新規就農者激励会を開催し、新規就農者(就農希望者含)14名及び関係機関等から32名の参加がありました。
会は、主催の県南広域本部と八代市・氷川町からの激励の挨拶から始まり、新規就農者の自己紹介の後、当課より支援制度及び人脈構築が大事との説明を行いました。その後、人脈づくりの第一歩となる八代地域の先輩農業者の取り組みを知っていただくため、八代地方4Hクラブ員2名によるプロジェクト活動等紹介や、先輩農業者2名による経営事例発表、さらに前述の発表者4名に指導農業士1名と就農支援アドバイザー1名を加えた6名とで意見交換を行いました。
先輩農業者(イチゴ・平成23年度県農業コンクール新人王)からは、経営の成否は日常の生活態度から始まる事、売れるモノづくり、「愛ある仕事に不況無し」と語っていただきました。もう一人の先輩農業者(トマト・平成29年度新人王)からは、経営のかじ取りで重要となる作業集約や日々の目的意識を保つ事、ライフ・ワークバランスについて語っていただきました。
意見交換では、新規就農者から農作業の感想のほか、記録の取り方、みどり食料戦略への質問など、様々な意見が聞かれました。上記の6名からも様々な助言や課題提起をいただき、活気ある会合となりました。
今後、当課は4Hクラブ及び関係機関と協力しながら、新規就農者の経営安定に向け、個々の状況に応じた指導・支援を行っていきます。

2023年1月

排水対策実演会の様子(ドローンによる撮影)
排水対策実演会の様子

麦導入により法人経営の安定化を目指す

八代地域の平野部は干拓地であるため排水不良田が多く、地域営農組織の多くは水稲単作に留まっているのが現状です。その中で、氷川町では法人化を機に経営安定のため麦を作付けしたいとの声が高まり、一部法人では作付けを開始しています。排水対策として暗渠設置が望ましいものの経費が掛かることから、自ら施工できる排水対策が求められています。
そこで今回、農研機構が新しい技術として薦めている「カットシリーズ」を用いた排水施工技術の実演会を農業機械メーカー協力のもと、氷川町農事組合法人連絡協議会の主催で開催しました。当日は、普及性を考慮し法人が所有する30馬力程度のトラクターでけん引可能なミニタイプを用い、土中に空洞を開ける施工と心土破砕を行う施工の2種類を実演しました。麦作付けを検討している法人をはじめ関係者らが見守る中、ともに30aのほ場を20分程度で施工できました。
農業普及・振興課では、法人連絡協議会を通じて今回の情報を共有しながら、麦作付け意向がある法人に対し、排水対策を支援していく予定です。併せて国産麦増産が叫ばれる中、広域的な麦作推進に向け、JAと検討を進める必要があると考えています。

エリアカテゴリ