2024年のエリア普及現地情報

2024年4月

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試験結果説明会の様子
食味検討会の様子

トマト・ミニトマト有望品種の特徴を共有

八代地域では、トマト・ミニトマトの最新品種に関する情報を把握し、産地に適する品種を検討するために、毎年、一般社団法人熊本県野菜振興協会八代支部主催により、県、市、JAで協力して品種比較試験を実施しています。ここで得られた試験結果は、各生産者が次作の品種選択を行う際の有効な判断材料となっています。本年はトマト7品種、ミニトマト5品種を試験しており、収量、生育、食味に関する調査を実施しています。
この試験結果をトマト類生産者等へ情報共有するために、八代地方トマト・メロン販売連絡協議会主催のもと、3月29日に実績検討会が実施されました。会議には、生産者代表25人の他、JA、八協連、JA熊本経済連、市町、農業普及・振興課等が出席し、総勢42人で情報共有を図りました。農業普及・振興課からこれまでの試験結果を報告し、参加者はトマト、ミニトマトの食味検討を行いました。生産者からは、「各試験品種の開花日は分かるか?」等の質問がありました。
農業普及・振興課では、JA、市と連携し、収穫が終了する6月まで調査を継続し、品種の特徴を把握して産地を支援していきます。

2024年4月

new
生産者「nimaruJA」入力の様子
いちごパッケージセンターの様子

いちご集出荷体系のデジタル化への挑戦

当地域では、集荷所への持込み量が集中した際に、荷受け処理に時間がかかり混雑することや天候により出荷量が大きく変動した際の輸送トラックの調整が難しいという問題があります。この原因として、生産者が持込み量を紙伝票に記入し、これを荷受け担当者が検品するという紙ベースでの出荷作業であることや、担当者の経験や勘に基づく輸送トラックの手配であることがあげられます。
これらを改善するため当地域では、和鹿島いちご部会、いちごパッケージセンター利用組合においてシステム「nimaruJA」を活用したいちご集出荷体系のデジタル化について実証しています。
実証では、生産者が事前に持込み量を入力し、その情報を見ながら荷受け担当者は
入荷量を検品することで、荷受け作業時間は約3割と大幅に短縮しました。また、入荷量の事前把握ができるため輸送トラックの手配が容易となりました。
当課では、引き続きいちご生産現場におけるDX化を関係機関と協力しながら推進し、他品目・他部会への波及も見据えながら、現場の問題解決に向けて挑戦していきます。

2024年4月

new

匠の技術を次世代へ ~DX技術を活用したいぐさ・畳表生産技術の継承~

いぐさの作付面積及び農家戸数は減少傾向が続いており、長年にわたって培われた匠の技術や経営戦略等ベテラン農家のノウハウが継承されず、失われつつあります。
このため当課では、畳表織機のメンテナンス動画の作成、及び経営の大規模化についてのオンラインセミナーに取り組んでいます。
畳表の品質向上には織機のメンテナンスが重要ですが、部品や構造が複雑であるため知識と熟練が必要です。そこで、織機に詳しいベテラン農家による部品交換や掃除方法等についての解説動画を作成し、3月14日からYouTubeにて配信しています。撮影に参加したベテラン農家は、「他にも教えたいことがたくさんある」と言われていたため、引き続き織機のメンテナンス他仕上げ作業等の動画作成にも取り組むこととしています。
また、3月13日に開催したオンラインセミナーでは、栽培と分けて畳表加工部門を法人化し、大規模経営されている田淵さんに講演いただき、法人化の歩みやいぐさ栽培と畳表加工を分業した販売戦略など、ご自身の体験をふまえた貴重なお話をいただきました。18名の参加があり、「生産と加工を分業させて効率を上げるという発想は自分にはなかったためとても勉強になった」と、大規模化への意欲向上が見られました。なお、このオンラインセミナーは今後、YouTubeにて配信予定です。
当課では今後も、デジタル技術を活用しながら、いぐさ栽培・畳表加工の技術を次世代へ引き継ぐため、支援を行ってまいります。

2024年3月

来場者にGIアンケートを実施

くまもと産業復興エキスポで県南フードバレー構想を推進 ~八代地域GI農産品の魅力をPR~

2月28日、29日にグランメッセ熊本において、半導体関連産業の動向や本県の創造的復興の姿を発信するくまもと産業復興エキスポが開催され、当課は県南フードバレー構想の推進のため、JAやつしろ、いぐさ・畳表活性化連絡協議会の協力を得て調達した八代地域のGI農産品のPRを行いました。
PRにあたって、GI農産品に関するクイズ形式のアンケートを実施し、回答いただいた233名に、八代地域のGI農産品である塩トマト、八代生姜、晩白柚、いぐさのコースターを配付しました。
学生や企業関係者はもとより、台湾、ナイジェリアなど外国人来場者に対しても多言語版アンケートを活用し、年齢国籍問わず幅広い来場者に対して八代地域の農産品の魅力を知ってもらうことができました。
中国や台湾の来場者からは、晩白柚について価格や保存期間、調理方法などの質問があり、春節用の贈り物として認知度が高いことが伺えました。また、い草のコースターについて、日本的な農産品であることから外国人の来場者から人気が高く、希望して持ち帰られる方が多くいました。
八代地域のGI農産品について、県内の方には一定の知名度がある一方で、県外の方からは、初めて知ったという声が多く、県外での認知度向上が課題です。
当課では引き続き、振興課やJA等の関係機関と連携し、八代地域のGI産品やその他の農産品の魅力をPRし、認知度の向上や県南フードバレー構想の推進につなげていきます。

2024年3月

生産者ほ場視察の様子
会議の様子

産地と市場の連携によりイチゴ有利販売へ

イチゴ生産現場では、アザミウマ類の被害果や着色不良果の発生による数量ロスや果実品質の低下がみられます。
そこで、一定の果実品質と数量を保ち、消費地からの信頼獲得につなげられるよう東京、関西市場を含む41名参集の下、2月20日に八代地方いちご中間検討会が開催されました。まず、当地域における主要3品種の「ゆうべに」、「さがほのか」、「恋みのり」の栽培状況を確認し、果実品質やひな祭り等の需要期にどの程度出荷が見込めるか等の情報を共有しました。
次に、11月~2月までの生産上の課題や市場側と産地側の要望について意見交換が行われました。産地側からは、消費動向の情報提供や高単価での取引が要望され、市場側からは「やつしろ産のイチゴは消費者からのクレームが少なく評価が高い。」との意見がある一方、「春先はアザミウマ類が果実のガクの裏に潜み、荷イタミが発生しているため、害虫防除の徹底をお願いしたい」との要望がありました。
近年、ビニル資材や重油等の生産コストは増加しており、安定した生産量の確保と高単価販売による生産者の所得向上は喫緊の課題となっています。
当課では、環境モニタリングを活用した栽培環境の見える化と現地検討会・講習会を通じた総合的な技術指導だけでなく、産地と市場が連携して消費者にやつしろイチゴが届けられるよう、JAと協力しながら、普及活動を行ってまいります。

2024年3月

八代地域緊急病害虫対策会議の様子

次作に向けてトマト黄化葉巻病対策を話し合う

八代地域緊急病害虫対策会議トマト専門部(メンバーは農協、八協連、出荷団体、市町、県)では、本年度も作業部会代表者を参集し、トマト黄化葉巻病対策を取り纏め、トマト黄化葉巻病の蔓延防止の観点から有効とされている「トマト類を一定期間作付けしない期間を設ける」など対策の徹底を図っています。
対策の虎の巻として「八代地域トマト黄化葉巻病対策生産者申し合わせ事項」を例年協議のうえ決定し、その対策は産地のトマト生産者全ての方に対して周知徹底を行っています。
今年度は、2月28日に2回目の会議を開催し、令和6年度の対策方針の決定と情報共有を行いました。作付けは8月15日以降にすることが決まり、「6月25日から8月15日まではトマト類を栽培しない期間」にすることとなりました。会議では、「最近、新規就農者や他地区からの出作も増加し、個人出荷も増加してきた。地区の作業部会の代表者からその方々に対して、地区毎に作付けや黄化葉巻病対策のルールを説明していく必要がある」など意見もだされました。
農業普及・振興課では、農協、出荷団体、市町等と連携して、引き続き地域のトマト黄化葉巻病の対策徹底に向けた支援を続けます。

2024年3月

座談会の様子
座談会の様子

多様な担い手として中山間地域を支える農村RMOの設立支援

中山間地域では、高齢化や人口減少の進行により、農地・空き家等の資源管理や子育て・買い物に関する生活サービスなどの集落の維持に必要な機能が衰退してきています。今後は、地域の農業の担い手が核となり、自治会や地域の協議会など幅広く地域の関係者が連携しながら、「多様な担い手」として、農業生産活動だけでなく、コミュニティの維持・強化も併せて進めていくことが重要です。
このため、当課では、農用地保全、地域資源活用、生活支援の3つの集落機能を補完する地域運営組織(農村RMO)の設立に向けた支援を行っています。
現在、八代地域では、農村RMOに取り組みたいという地区が3地区あり、当課では各地区の座談会に参加しています。座談会では、国や県の情報を提供するだけでなく、先進地の事例をもとに、新たな取組みへの活用の可能性を検討するなど、市と連携して設立に向けて支援しています。そのうちいくつかの地区からは、国の事業の実施希望が出されているところです。
当課では、地域の方々の取組みの進捗を把握しながら、意見交換を行う等、関係機関と連携して、持続可能な中山間地域農業・農村の実現に取り組んでまいります。

2024年3月

いずみ茶の宣伝・販売会の様子
いずみ茶の宣伝・販売会の様子

「茶を淹れませんか?」 ~大型商業施設で「いずみ茶」をPR~

八代市泉町の茶生産者は、ほとんどが自製自販であることから、固定客の確保に加え、新規顧客を開拓していくことが重要です。このため、泉町茶業振興協議会では、各種イベントに出店し、試飲や消費者との対面コミュニケーションを通じて「いずみ茶」の魅力を伝えることで、新たなファンの獲得に取り組んでいます。しかし、こうしたイベントには、日頃から“茶を淹れて飲む習慣がある方”が来場されることが多いため、客層に偏りが見られ“習慣がない方”には「いずみ茶」を知ってもらう機会が乏しいことが課題となっていました。
そこで2月25日、イオン八代ショッピングセンターにて、「いずみ茶」の新たなファン獲得を目的として宣伝・販売会を開催しました。
“茶を淹れて飲む習慣がない方”は家庭で急須を持っていないことも多いため、様々な色やサイズの急須も品揃えして販売を行い、購入者にはおいしいお茶の淹れ方説明を行ったことで、「家に帰って家族にお茶を淹れてあげるのが楽しみ」といった声が聞かれました。
当日は、協議会員らで茶の試飲やチラシを配布しながら宣伝・販売を行ったところ、200名を超える来場者があり、多くの人にいずみ茶の魅力を知ってもらう機会となりました。
当課では今後も茶生産者の所得向上に向け、様々な客層をターゲットにしながら、「いずみ茶」の認知度向上及び消費拡大に向けた活動を展開していきます。

2024年3月

研修会の様子①
研修会の様子②

「みどりの食料システム戦略」推進に向けて ~蛾類の研修会を開催しました~

八代地域は野菜類を中心に全国的にも農業生産が盛んな地域であり、晩白柚やいぐさ等の特産物の生産も行われています。これらを加害する共通の害虫である蛾類については、温暖化の影響や、海外からの新たな侵入等のリスクも存在するため、生理・生態等の基本的知識に加えて、新たな情報の収集が必要です。
一方で、「みどりの食料システム戦略」においては化学農薬の使用量低減が目標に掲げられており、戦略推進に向けては、化学農薬に関する知識や効果的な防除方法等の習得も不可欠です。
そこで当課は、「『みどりの食料システム戦略』推進に向けた蛾類の効果的な防除に係る研修会」を2月27日に開催し、JAや県職員等17名が参加しました。
研修会では、鹿児島大学農学部農業生産科学科で害虫学の専門家である坂巻祥孝教授を講師に迎え、蛾類の生理生態や化学農薬の特性、環境に配慮した防除対策等について講演されました。
受講者からは、「蛾に着目して詳しく学ぶ機会がなかったため、大変勉強になった。『みどり戦略』の推進に向けた指導の参考にしたい」と、生産者への化学農薬低減推進に向けた指導意欲の向上が見られました。
「みどりの食料システム戦略」は、生産者にとって具体的に想像しにくいものですが、当課では身近なところから始められる技術であることを関係機関と協力しながら普及してまいります。

2024年3月

現地検討会の様子
いぐさ田の様子

令和6年産いぐさの品質向上に向けて ~現地検討会を開催しました~

令和6年産のいぐさ生産では、平年より気温が高めで推移していることから、生育が平年に比べて早まっています。特に害虫であるイグサシンムシガ越冬世代成虫の発蛾最盛予測日が例年に比べて早まる恐れがあります。
そこで、現地検討会では、近年の発生状況をふまえ、早めの農薬準備や適期防除に重点をおいた指導を行いました。
併せて、いぐさ田で見られる雑草の写真を掲載した資料を作成し、ほ場を巡回しながら雑草の発生状況を確認しました。生産者からは「雑草の正式名称を初めて知った。今後の防除の参考にしたい。」といった声が聞かれ、生産者同士でほ場の雑草と資料を見比べながら活発な意見交換が行われていました。
現地では今後、間断灌水や先刈り時期の検討等、ほ場の管理作業が慌ただしくなる時期を迎えます。当課では、JA及び関係機関と連携して、適期作業を推進し、県産畳表の更なる品質向上・安定化に向けた支援を行っていきます。

2024年3月

表彰式(2月8日)
展示会(2月9日)

第49回熊本県い業大会、盛大に開催

い草の栽培技術や畳表の加工技術を競う「第49回熊本県い業大会」が、令和6年1月26日から2月9日にかけて開催されました。
例年、収穫後の10月頃に開催されていましたが、生産者や問屋等からの要望により、今年度は史上初となる2月の開催となりました。
2月6日に行われたい草・い製品品評会では、い草119点、い製品129点が出品され、審査員が真剣なまなざしで評価にあたりました。
い草部門については、畳表品質低下の原因となる先枯れや先刈茎の混入がみられたものの、全般的に太さの揃った充実した良好ないぐさが出品されていました。い製品部門については、収穫時の“泥染め”作業の不良や、畳表製織時の雨天(湿度)の影響による“かし”の不良などが見受けられましたが、例年以上に高品質な畳表が出品されていました。
本年度は、い草部門で坂本公義さん・美香子さん(八代市)、い製品部門で早川猛さん・克美さん(氷川町)に農林水産大臣賞が授与されたほか、熊本県知事賞など合計90点が表彰されました。
また、入賞した出品財については、2月9日にJAやつしろ中央い製品集荷所で展示が行われました。県内外から訪れた多くの関係者(畳屋、問屋等)が受賞財と一緒に記念撮影をしたり、SNSにアップするなど、大変な賑わいでした。
当課は今後も、JAや関係機関と連携しながら現地検討会や講習会等を開催し、生産者の生産加工技術の高位平準化と所得向上を図っていきます。

2024年3月

八代での切枝の規格の講習会
アグリシステム総合研究所での花摘みの様子

令和6年産吉野梨大ピンチ、八代地域の梨花粉確保の取り組み~受粉用花粉、球磨地域と八代地域の加温した切枝の花摘みにより集める~

梨の花は同じ品種の花粉では受粉せず着果しないため、果実をならせるためには、品種毎に合う他品種の花粉による受粉が必要になります。中国での火傷病発生に伴い、令和6年産は中国花粉が使用できなくなり、輸入花粉への依存が高かった八代地域では果実生産が危機的状況になっています。
自家採取の貯蔵花粉が不足した状態で、今年咲いた花の花粉では受粉が間に合わない品種があり、八代地域の関係機関(JAやつしろ、氷川町、八代市、農業共済組合、JA熊本果実連、県)が協力し、採取した切枝を加温して早めに花を咲かせ、受粉に間に合うよう花粉の確保に努めているところです。  
受粉樹の「新興」が八代地域に少ないため、JAくま、球磨地域振興局、球磨地域の農家の全面協力のもと、2月の6日間、「新興」の休眠枝を関係機関、延べ90名程の協力を得ながら採取しました。球磨の農家からは「大変な時は協力しあわないと、ボランティアの気持ちでやっている。」との声もあり、剪定作業の忙しい中、時間を割いて、枝を切って集め、まとめる等のご協力いただき大変ありがたく感じました。
球磨の切枝は県農業研究センターアグリシステム総合研究所の加温施設で加温し、2月26日から花摘みを始め、3月からは毎日10名以上で花摘みを行い、粗花粉を作っています。八代地域の切枝の一部は、県立農業大学校、県農業研究センター果樹研究所の施設で加温し、3月中旬までに花粉にする予定です。
農業普及・振興課では、農協、市町等と連携して、花粉の産地内供給体制ができるように引き続き支援を続けます。

2024年3月

全国青年農業者会議の様子
全国青年農業者会議の様子

八代の若きリーダーが挑戦! ~全国青年農業者会議で農林水産大臣賞(最優秀賞)を受賞~

令和6年3月5~6日に国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都)で第62回全国青年農業者会議が開催され、八代地方青年農業者クラブ連絡協議会(以下、八代4Hクラブ)の林孝憲氏が土地利用型作物部門で出場しました。林氏の発表は「堆肥だけで稲WCS※をつくる!」というタイトルで、3年間の研究成果と地域への普及性が高く評価され、最優秀賞となる農林水産大臣賞を受賞しました。熊本県内の4Hクラブ員が大臣賞を受賞するのは6年ぶりとなります。
また、当日は県内外のクラブ員も多く参加しており、全国の青年農業者との交流を行ったことで、クラブ員からは「気候変動や資材高騰など農業を取り巻く問題は多数あるが、自身の農業経営を分析し、改善に向けて行動することで改善できる」といった感想が聞かれる等、今後の経営改善やプロジェクト活動に対する励みになったようでした。
本大会に向けて、当課ではサポート体制を構築し、3年にわたるプロジェクト活動への助言・指導を行いました。加えて、八代4Hクラブ員と当課職員によるプロジェクト検討会や県内のクラブ員と農業革新支援センターを参集した発表練習会を夜遅くまで開催するなど、活動内容がより伝わりやすく発表できるよう指導を行いました。
今後も八代4Hクラブ員に対して、プロジェクト活動を通した自身及び地域の課題解決能力や経営改善力の向上を支援し、次世代の地域農業を担う青年農業者の育成を図っていきます。
 
※稲WCS:ロール状に形成した稲をフィルムでラッピングし乳酸発酵させた飼料

2024年3月

熊本県青年農業者会議の様子
熊本県青年農業者会議の様子

八代の青年農業者が躍進! ~熊本県青年農業者会議で総合優勝~

令和6年2月14日、熊本県青年農業者会議が県庁で開催され、八代地方青年農業者クラブ連絡協議会(以下、八代4Hクラブ)が総合優勝を果たしました。
当課では、課題解決活動(プロジェクト活動)を通して、青年農業者が自身及び地域の課題解決能力や経営改善力が向上するよう、年度当初から伴走型の支援を行ってきました。
八代4Hクラブでは、同会議での総合優勝を目標に掲げ、意見発表及びプロジェクト発表でクラブ別発表課題数が最多となる全部門の10課題にて発表しました。同会議に向けてクラブ員は、時間を見つけて当課職員の指導を受けしながら、分かりやすい発表を目指し、資料作成や発表練習等の準備に努めてきました。その結果、1位の秀賞を3課題、2位の優賞を4課題で獲得し、2年ぶりの総合優勝だけでなく、前回からの得点の上昇程度を評価する躍進賞も獲得しました。
同会議にて高い評価を受けたことで、クラブ員はプロジェクト活動を通した自身の経営改善へのモチベーションが向上しており、「発表した内容をさらに前進させ、自家の経営や地域の課題解決に繋げていきたい」との声が聞かれるなど、今後の活躍が期待されます。
当課では今後も、プロジェクト活動を支援し、将来、八代農業のリーダーとなる青年農業者の育成を図っていきます。

2024年3月

研修風景

大規模法人に学ぶ! 氷川町農事組合法人連絡協議による先進地視察研修を開催

令和6年2月27日、6地域営農法人が加入する氷川町農事組合法人連絡協議会が、熊本市城南町の(農)すぎかみ農場を視察し、協議会の課題である精算事務の方法やJAとの連携状況等について学びました。
(農)すぎかみ農場は、県内有数の大規模法人で、6法人の合計を上回る241haを経営し、3名の事務担当を置いて会計ソフトとJAネットバンクを活用した精算事務や農地情報システムによる農作業管理等の効率化を進めており、参加者は感心しきりでした。また、JAとの連携については、法人への出資や、OB職員が事務局長を務めるなど、関わりの強さが伺われ、代表理事からも、「JAと法人は一緒にやっていかないと農業は守れない!」といった、まさに参加者が感じている発言も聞かれました。
氷川町は園芸農家の後継者が多いため、法人の多くは水稲収穫作業等の協同化に留まっている状況ですが、将来的には、土地利用型作物を集約する体制が必要になってくると思われます。そのためには、協議会が抱える課題解決が必須であると、今回の研修で改めて感じました。
農業・普及振興課としても、将来の姿を見据え、氷川町の農業や農地の将来の在り方である地域計画の策定やカントリーエレベーターの再編も視野に入れながら、支援を続けていきます。

2024年3月

講座の様子
ワークショップの様子

くまもと農業アカデミー県南校 「デザイン思考に基づいた農産物の販売方法講座」の開催

本年度の県南校として、農業普及・振興課では、八代地方4Hクラブと連携しながら、「青色申告基礎・活用講座」、「国際水準GAP基礎講座」の2講座を開催し、農業者の経営改善に取り組んできました。
そして、本年度最後となる「デザイン思考に基づいた農産物の販売講座」を令和6年2月26日(月)、県南広域本部会議室で開催しました。
今回の講座には、農業者14人、関係機関5人が参加し、熊本市北区で印刷・WEB制作等を行う会社社長の光澤 陽介氏が講師をつとめました。
内容は、デザイナーが新たにデザインを考えるプロセスを活用した「デザイン思考」に基づき、ブランディング(ブランド化するために認知してもらう活動)やストーリーづくり、ターゲットの見つけ方など、農産物を販売する際の基本的な考え方について教えていただきました。また、人生の棚卸により自分の価値観を発見するワークショップに取り組みました。
講座の参加者からは「販売にあたって考えなければいけないたくさんの視点を教えてもらった」と好評でした。
当課では、更に、具体的な販売計画の作成を希望する農業者に対して、引き続き講座等を開催し、支援していく予定です。

2024年3月

定植講習会(座学)の様子
泉町での現地研修の様子

東陽町のサンショウ産地化を目指して ~中山間地域における新たな高収益作物の導入・定着支援~

八代地域では、中山間地域における高収益作物として、サンショウの作付が拡大しており、八代市東陽町では、今年度新たに「東陽山椒部会」(生産者8名)が設立され、農産園芸課の補助事業を活用して2月下旬に110本(約11a)の苗定植が行われることとなっています。
サンショウは、収穫物が軽量で年間の作業時間も少ないことから、高齢者でも取り組みやすい作物ですが、苗は乾燥・湿害・寒害に非常に弱いため、ほ場の選定や土づくり、定植時の管理が重要です。また、部会員のほとんどが初めてサンショウ栽培に取り組むことから、当課では、新規生産者のサンショウ定着を目的に、定植技術講習会と、管内先進地である泉町の3年目の優良園において現地研修会を開催しました。
部会員からは活発に質問が飛び交い、定植前後の管理技術について理解が深まるとともに、隣町である泉町の生産者と繋がりができたことで、中山間地域全体で協力しながら所得向上に取り組む機運の高まりが感じられました。
当課では、関係機関と連携し、今後も中山間地域の収益の柱となる新規作物の導入・定着に向けた活動を行っていきます。

2024年3月

織機のメンテナンスについての実演
畳表の評価をする生産者たち

畳表織機のメンテナンスに挑戦しよう!

JAやつしろい業部は、1月24日に県産いぐさ畳表の更なる安定生産・品質向上を目的に畳表加工講習会を開催し、生産者46名が参加しました。講習会では、織機の日常メンテナンスの実演及び当課で設置した令和5年産展示ほ試験結果報告を行いました。
織機のメンテナンスは畳表の品質向上に繋がりますが、部品が複雑であるため知識が求められる難しい作業です。そこで、織機に詳しいベテラン農家から、摩耗した部品の交換や簡単に出来る掃除方法等について、実物の織機を用いて実演が行われました。参加した生産者は、熱心に説明を聞き、積極的に質問する等、有意義な講習会となりました。
併せて当課からは、追肥の窒素量を10aあたり2kg削減してもいぐさの収量と畳表の品質に差がないことを報告し、経費削減と併せて、環境に優しい減肥への取組みを提案しました。参加者も真剣な眼差しで、減肥区と慣行区の畳表を比較しながら評価を行いました。
産地では面積・戸数が減少する中、次世代への生産・加工技術の継承が課題となっています。しかし、今回の講習会では若手の参加者が多くみられる等、明るい兆しも感じられました。そこで当課では、若手生産者の技術向上のための教材として、織機のメンテナンスの方法について撮影・編集し、今後YouTubeで配信をする予定です。
当課は引き続き、関係機関と協力して、和文化を支えるいぐさ・畳表産業の維持・発展のため生産者の支援を行っていきます。

2024年3月

いぐさ作付面積日本一!その秘訣を探る ~大規模農家の実態を伝えるセミナー開催 PartⅠ~

いぐさの作付面積及び農家戸数は減少傾向が続いており、今後の生産力の維持及び所得向上のためには、個々の経営の大規模化や地域内での組織的な生産体制の構築が課題です。
これらの課題解決を図るため当課では、実際に大規模経営を行っている農家から若手農家や後継者等向けに、大規模経営のポイントや雇用の実態を発表していただくオンラインセミナーを、1月16日に開催しました。
第1回目となる今回は、日本一のいぐさ経営面積を誇る林田昌明 さんに御登壇いただき、規模拡大の歩みや外国人技能実習生との向き合い方、原草を主とした販売戦略など、御自身の体験をふまえた貴重な「生の」お話をいただきました。
また、セミナーのファシリテーター役である藤野直人 氏(農業総合プロデューサー、㈱クロスエイジ代表取締役)の鋭い状況分析とポイント解説により、参加者の理解がより深まりました。
本セミナーは、先進農家及び民間企業との連携による普及活動として、産地で初めて実施した取組みであり、本年度中に計3回開催する予定です。また、セミナーの様子は今後YouTubeでの配信等も予定しており、後継者や若手農家が「いつでも・どこでも学べる」機会を提供していきます。
本セミナーを契機として規模拡大への意欲が高まり、産地の維持・強化につながるよう、当課は技術と経営の両面から引き続き支援を行って参ります。

2024年3月

八代地域におけるトルコギキョウ生産振興

トルコギキョウは、新型コロナ感染症の影響で結婚式、葬儀等の需要が一時落ち込み販売単価が下落したものの、その後需要は回復し単価は上昇が続いています。
八代地域では、670aでトルコギキョウが生産され、令和4年産は販売数量1,423千本(R4/R1 110%)、販売額284,651千円(R4/R1 135%)、販売単価200円/本(R4/R1 123%)と大きく伸びています(表1)。
また、燃油消費量が少なく高単価が見込める10~12月の割合は約45%と大きく、八代地域における重要な作型となっています。また、令和5年10~12月の出荷量、販売単価は前年同月比の131%、102%となりました(表2)。
農業普及・振興課では、JAと協力して9月下旬に現地検討会を、11月上旬に目均し会、管理講習会を開催し、10~12月出荷作型の生産数量向上、品質向上に努めています。
今後とも、農業普及・振興課は、関係機関と連携しながら、10~12月出荷作型を振興していきます。

2024年3月

個別面談の様子
地域営農法人の資源点検表

資産(ヒト・機械)の見える化による氷川町6地域営農法人の個別面談会実施

氷川町農事組合法人連絡協議会では、各法人の状況把握と課題解決を目的に、毎年、個別面談会を実施しています。今回は、深刻な問題となっている担い手確保をテーマに、令和6年1月22~24日に実施しました。
これまで、事あるごとに高齢化や後継者不足といった不安の声が聞かれていましたが、どれも漠然としたもので、解決のアクションに繋がるものではありませんでした。そこで、農業普及・振興課では、個別面談会で具体的な検討を促すため、5年後、10年後の法人の姿を可視化した「地域営農法人の資源点検表」(以下、点検表)を作成しました。点検表には、理事とオペレーターの年齢を記載し、「75歳定年」と設定した上で、76歳以上を引退期間(ピンク色)、70歳から75歳までを引継ぎ準備期間(黄色)と位置づけて色分けをしました。施設園芸の若きオペレーターが多く10年後もほとんど色が付かない法人がある一方、現状の半分以上が既に黄色の法人もあるなど、それぞれの状況を反映し非常に興味深いものとなりました。
個別面談においても、皆が点検表の色に興味を示し、5年後、10年後の姿をイメージした意見交換が行われました。途中、「80歳までは現役宣言」が飛び出したり、点検表には出ていないオペレーター候補が明らかになるなど、地域の元気が感じられる機会にもなりました。
農業普及・振興課では、将来的に6法人が連携して地域を支える姿を描きながら、今後も法人連絡協議会の活動を支援していきます。

2024年3月

八代地方青年農業者会議の様子
八代地方青年農業者会議の様子

県農業者会議での総合優勝奪還を目指して! ~八代地方青年農業者会議開催~

令和6年1月11日、八代ホワイトパレスで八代地方青年農業者クラブ連絡協議会(以下、八代4Hクラブ)の主催により、八代地方青年農業者会議が開催されました。
当課では、プロジェクト活動を通して青年農業者が自身及び地域の課題解決能力や経営改善力が向上するよう、全クラブ員に担当職員を割当て、課題の明確化から発表内容の指導に至るまで、伴走型による課題解決活動支援を行ってきました。
八代4Hクラブでは、県農業者会議での総合優勝を目指して活動していることから、本会議では意見発表、プロジェクト発表、地域活動発表の全部門となる計11課題の発表がありました。
意見発表にて最優秀賞を受賞した溝口善大氏の発表は「いぐさの知名度を全国へ」と題し、就農前に県外で感じたいぐさの知名度の低さやいぐさ農家に就農して感じた農業の難しさ楽しさ、将来の目標など農業に対する強い思いが語られました。また、プロジェクト発表にて最優秀賞を受賞した林孝憲氏の発表は「ゼロからはじめるポテトチップス用ジャガイモづくり」と題し、大幅な収量減少がありながらも、作型や機械導入の検証など試行錯誤を繰り返し、安定生産に繋げた取組みが発表されました。
その他、高齢化や担い手不足により、地域での維持が危ぶまれている水田や晩白柚を持続的に残す取組みや自家の農業経営改善への取組みなどが発表され、審査員である関係機関からは発表に対して様々な助言がありました。
クラブ員からは「いただいた助言を発表内容に反映させ、県農業者会議で総合優勝したい」との意気込みが聞かれました。
今後も当課では、プロジェクト活動を中心としたクラブ活動を支援し、将来、八代農業のリーダーとなる青年農業者の育成を図っていきます。

2024年2月

販売対策会議の様子(大阪会場)
販売対策会議の様子(東京会場)

八代地域のトマト類販売促進に向けて 生産・出荷情報を産地と市場が共有

八代地域は、冬春トマト類を消費地に届ける国内トップの産地であり、全国の数多くの市場と取引をするため、その出荷状況は市場価格に大きく影響します。日頃からの産地と市場関係者による生産・出荷情報の共有に加え、全国的に出荷量が増えてくる時期に、産地・市場が一同に介して、情報共有を綿密に図ることは、年末年始の円滑な販売に特に重要です。
12月に出荷量が増加するトマト類の販売促進を目的に、八代地方トマト・メロン販売連絡協議会主催で「八代地方はちべえトマトミニトマト年末年始消費地販売対策会議」が、大阪(11月30日)および東京(12月1日)で開催されました。大阪会場に22社、東京会場に21社の市場関係者を含め、両日共に50名程度が一同に介し、今後の有利販売に向けて協議を行いました。生産者からは、「生産コストは増加しており、生産できる価格での販売をお願いしたい」、市場関係者からは「精度の高い出荷情報をお願いしたい」などの意見が出され、市場サイドと年末年始の円滑な販売を確認しました。
農業普及・振興課では「精度の高い出荷情報」に応えるために、JA、経済連、県関係機関が連携し、農研機構が開発した出荷予測システムの運用に向けた取り組みを進めているところです。

2024年2月

いぐさ・畳表の効果的なPRに向けて ~小山薫堂氏からのアドバイス~

当課はいぐさ・畳表の効果的なPRによる需要拡大に資するため、「くまモン」の生みの親である放送作家・脚本家 小山薫堂氏と令和5年12月18日にミーティングを行いました。
これは、JA・市町・県等で構成される熊本県いぐさ・畳表活性化連絡協議会の初の取組として、県の地域プロジェクトアドバイザー事業を活用して実現したものです。
ミーティングでは、協議会より熊本県産畳表の持つ様々な魅力(栽培の歴史、リラックス効果や安眠効果をもたらす独特の香り、吸放湿性をはじめとする様々な機能性等)について説明を行い、これらの魅力を消費者や畳店に届けるため、今後どのようなPR活動を展開すればよいか、という内容の相談を行いました。
同氏からは、「東京の高級和食料理店ではテーブルの上に畳表が敷いてある」などの情報提供や、「チェアリング※1が流行しつつあるので、“タタミリング”なども流行らせてみてはどうか」「良質な睡眠にお金をかける方もいるので、寝具メーカーとコラボしてはどうか」といった斬新で具体的なアドバイスを頂くことができました。
様々な経験や知見に基づいた同氏の着想の豊かさに驚くとともに、消費者目線での貴重なご意見を頂くことができ、非常に有意義な時間となりました。
ミーティング終了後には、参加した市町等の担当者から「次回も機会があれば相談したい」といった声も聞かれ、今後のPR活動の展開に向けた機運が高まりました。
協議会では、同氏から頂いたアイデアを今後の消費拡大対策に生かすべく、今後さらに事業アイデアをブラッシュアップしていきます。当課は今後も協議会と連携しながら、熊本県産畳表の魅力発信・消費拡大に向けた取組を実施して参ります。

※1 椅子をいろいろな場所に置いて座り、くつろいだり、お酒を飲んだりして楽しむアクティビティのこと
※2 写真撮影不可のため掲載写真なし

2024年2月

YUIME株式会社による講演
質疑応答の様子

いぐさ産地の労働力不足解決を目指して ~他産地・他品目での産地間連携について学ぶ~

いぐさ産地においては9月~12月が苗の準備~植え付けの時期であり、労働力を最も必要とします。これまでは、農繁期になると苗の調整や植付作業の補助を行う臨時雇用者(苗の“割り手”や“植え手”)が活躍され、産地面積の維持に大きく貢献してこられました。
しかし、いぐさ農家自身の高齢化だけでなく、“割り手”や“植え手”も高齢化によるリタイアが進んでおり、今後の産地維持のためには農繁期における安定的な労働力確保が喫緊の課題となっています。
このため、当課では令和5年12月18日に労働力確保対策に関するセミナーを開催しました。これは、JA・市町・県担当者の労働力不足問題に対する理解醸成に資することを目的としたこれまでにない初の取組であり、オンライン参加も含め30名の担当者が出席しました。
セミナーでは、YUIME(ゆいめ)株式会社 江城(えしろ)取締役及び難波(なんば)九州支店長を講師として招き、農繁期が異なる全国の産地をマッチングさせて人材を提供する農業支援サービスや、特定技能制度についての講演を頂きました。講演では青森県・富山県・佐賀県・鹿児島県・沖縄県における先進的な産地間連携の事例が紹介され、参加者は他産地・他品目における取組状況について熱心に聞き入っていました。
本セミナーが契機となり、いぐさ産地だけでなく八代地域全体の労働力不足問題解決に向けた議論が深化するよう、当課では引き続き支援を行って参ります。

2024年2月

八代地域の特産品、おいしい晩白柚をお届け中~GI登録「八代特産晩白柚」、国内外に出荷中~

晩白柚は世界一重いざぼん類の果実としてギネス記録に認定されている八代地域の特産品で、地理的表示(GI)保護制度※に登録し、全国での知名度向上、販路拡大が図られています。
令和5年産の出荷は11月中旬から始まり、12月はハウス栽培を中心に贈答用として、1月以降は露地栽培に移行しながら、3月上旬まで続きます。JAやつしろの2選果場で約27万玉の出荷が見込まれています。
今年度産の晩白柚は台風の被害がなく、9月以降の高温干ばつで昨年よりやや小玉傾向ですが、傷が少なくきれいな外観で、糖度も高く美味しい果実ができました。
平成26年から香港の春節(しゅんせつ)※※に合わせて、晩白柚は毎年約2,000~3,000玉が輸出されており、丸くて大きい黄色の縁起物として、香港の人に親しまれています。12月27日には八代市役所において、熊本県やつしろ晩白柚ブランド推進協議会の主催で、10回目となる香港向け晩白柚出発式が盛大に行われました。
このような晩白柚は栽培農家の高齢化、担い手の減少で、生産量の維持が危惧されています。当課では八代地域の特産品を将来に渡って残すため、関係機関と連携して園地の継承や作業の省力化に取り組んでいきます。

※地理的表示(GI)保護制度:国がその地域ならではの自然的、人文的、社会的な要因の中で育まれてきた品質、社会的評価等の特性を有する産品の名称を、地域の知的財産として保護する制度。
※※春節:旧暦のお正月のこと。2024年は2月10日。中国では、「春節」に家族で集まり盛大に祝う。

2024年2月

展示ほでの中干指導
真剣な眼差しで試食を行う参加者

~八代地域における「くまさんの輝き」の推進~

八代地域では、R5年から水稲品種「くまさんの輝き」が本格導入され、R6年産は前年比の2倍を超える360haの作付けが見込まれています。
「くまさんの輝き」は県が育成した極良食味の品種ですが、当地域での導入にあたってはいぐさ後等での極端な遅植えや窒素過多での品質・食味の低下が懸念されます。
そこで、農業普及・振興課では、JAやつしろと連携して「くまさんの輝き」の品質確保を重視した推進を行っています。本年産については、いぐさ跡等の展示ほを設置し、移植時期及び施肥量が生育や品質に与える影響について調査を行いました。
さらに、12月26日にはJA営農指導員や八代市・氷川町の担当者の参加の下、展示ほの米の食味評価会を開催しました。食味評価会では、い草後の遅植えでも、適切な肥培管理により中山間地の米とそん色ない品質を確保できることがわかりました。本年産は、水稲の高温障害が全国的に発生する中、遅植えでも高温により十分な生育量を確保できたこと、また、出穂期以降遅植えがかえって適温となり、登熟に好影響がもたらされたのではないかと推察されます。
今後とも、農業普及・振興課は、関係機関と連携しながら、「くまさんの輝き」の適正な栽培方法の確立と作付推進を行って参ります。

2024年2月

雇用就農連携会議の様子

八代地域雇用就農連携会議を開催

八代地域では、ここ数年、独立自営就農者が減少する一方で、新規就農者に占める雇用就農者の割合が増えており、農業法人の雇用への関心が高まっております。
そのため、令和5年12月21日(木)に県南広域本部において、市町、JA、熊本県法人協会を参集して、八代地域雇用就農連携会議を開催しました。
会議の開催にあたり、県南広域本部から、管内の代表的な農業法人等に対して行った調査結果を紹介しました。この中で、農業法人等の外国人研修生の受入状況、日本人の雇用状況及び規模拡大に向けた労働力確保の見込み等を説明しました。
また、熊本県農業法人協会から県内の農業法人の概要や雇用確保状況及び今後の経営発展に向けた優良取組事例等について詳しく紹介いただいたところで、意見交換を行いました。
これまで、農業法人等については、行政機関との関わりが薄く、関係機関も実績を十分に把握できていなかったため、情報共有を図る良い機会となりました。特に、雇用就農者の確保に苦労している現状もうかがえたため、今後、地域で就農相談会やマッチング会の実施について検討していくことになりました。
県南広域本部では、今後も、多様な担い手の確保の一環として、農業法人等に関する情報共有や連携を図っていきます。

2024年1月

メーカーによる機械の説明
高速播種機による実演の様子

法人経営の安定化を目指して小麦導入を支援

氷川町の地域営農法人のひとつである(農)アグリ鹿島では、経営基盤の強化を目的に、今年から水田裏作である小麦の作付けを開始しました。
当法人の構成員はイチゴ農家が多いことから、繁忙期である冬場は、水田裏作にあてられる労働力が不足するため、小麦の作付けは難しいと考えられていました。そこで当課では、小麦の播種作業を省力化できる「高速汎用播種機」に目を付け、その効果を実証するため、クボタアグリサービス(株)及びアグリテクノサーチ(株)と連携し、11月13日に実演会を開催しました。
当日は、労働力不足に悩む周辺の法人も参集し、高速汎用播種機と法人が所有していた慣行の播種機の比較実演を行いました。高速汎用播種機は作業能率が慣行機の2倍ほどあり、実際に時速7㎞と自転車と同じスピードで播種を行う様子に、参加者からはどよめきとともに「小麦の播種作業にかかる時間を大幅に短縮できるため、少ない労働力でも小麦を作付けできそう」と小麦作付けに興味を示す声も聞かれました。
当課では引続き、同法人の小麦作付け定着拡大に向けて栽培支援を行うとともに、周辺の法人に対しても他の省力化技術の提案を行うことで、法人経営の安定化を通して食料安全保障の一翼を担う八代地域農業の基盤強化に取り組んでいきます。

2024年1月

座学講習の様子
現地講習の様子

地域みんなで取り組もう!合言葉は「えづけSTOP!対策」

中山間地域で農作物に被害を与えるイノシシやシカ等の「えづけ」が最も進むのは、山からえさがなくなる冬の時期と言われています。このため、地域の農作物被害を最小限に抑えるためには、この時期に生産者の「えづけSTOP!対策」を強化することが効果的です。
当課では、生産者と行政機関がともに学び、中山間地域の大きな課題である鳥獣被害防止対策の強化につなげるため、鳥獣被害防止対策強化月間である12月1日に東陽町、12月4日には泉町で講習会を開催しました。講習会には、熊本県えづけSTOP!対策ソリューションアドバイザーである稲葉達也氏を迎え、「えづけSTOP!対策」の考え方や現地での効果的な被害防止対策など、鳥獣被害解決に向けたより実践的な内容で行いました。
二番穂をシカが食べた跡があると指摘を受けた生産者は、「無意識のうちにえづけをしていることに気付けた。今日学んだことを、集落全体で取り組んでいきたい。」と話されていました。講習会を通じて、生産者の「地域ぐるみの対策」への意気込みが示されました。
当課では引き続き、「えづけSTOP!対策」の講習会の開催や防護柵等の導入支援などを通じて、中山間地域における持続可能な農村づくりに取り組みます。

2024年1月

「地域ぐるみで」STOP!農作物被害

八代地域ではカモ類による農作物被害が、県内で最も多いことから被害防止が喫緊の課題となっています。
令和元年から当課では、市町やJA、農業共済等の関係機関で構成される八代地域農産物鳥類被害防止対策連絡協議会(以下、協議会)での活動の中で、防鳥レーザーライトの実証展示ほの設置や講習会・チラシ配布等による啓発等に取り組んできました。しかし、被害防止への取組みに対する生産者の意識にはバラツキがあり、未だ地域で徹底できていないのが現状です。
これまでの活動の中で、カモは水稲の二番穂等に誘引され、ほ場付近の河川や水路に滞留し、農作物に被害を及ぼしていることが分かっています。そのため、今年度は「地域ぐるみでの取組み」をテーマに掲げ、地域全体で発生要因を無くした場合の効果について検証しています。モデルエリアとして設定した郡築地区では、エリア内の生産者に呼びかけ「餌付け防止に向けた二番穂のすき込み」を徹底するとともに、千丁地区では11月に「カモ類滞留防止に向けた水路へのテグス」を設置しており、これら対策の効果を検証しています。
当課では、今後、関係機関と連携しながら「地域ぐるみでの取組み」を推進していきます。

2024年1月

現地検討会・講習会の様子
粘着板設置ほ場の様子

~イチゴの好調出荷に向けて~

八代地域では、「ゆうべに」をはじめとした各品種の出荷が11月17日から順次始まっています。
昨年は、頂花房の着果過多による株の成り疲れや病害虫防除が十分でなかったことに起因するアザミウマ類被害果の多発生等の問題がありました。
これらの問題を解決するため、当課では、関係機関と協力し11月7日、10日、20日の計3回講習会・現地検討会を実施しました。今年は、夏季の高温で花芽分化が遅れたことに伴い、出荷が3~5日程度遅れている中、頂花房の着果目安を基に摘花(果)を中心とした栽培管理のポイントを指導しました。
これらの取組みにより、前年の減収要因が改善でき、本年は順調な出荷となっています。
また、農業普及・振興課では、天敵や物理的防除資材を活用した効果的な防除法の改善に取り組んでいます。引き続き関係機関と連携しながら、生産者と消費者に喜ばれるイチゴの安定生産支援を行ってまいります。

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