2022年のエリア普及現地情報

2022年11月

写真(出荷目均し会)
写真(現地検討会)

玉名みかんの先陣!「肥のあかり」出荷好スタート

玉名みかんのトップバッターである「肥のあかり」の販売が9月16日からスタートしました。収穫前に襲来した台風11号、14号の影響が懸念されましたが、被害は軽微で市場からの評価が高く、9月末時点で890t(計画比81%、前年比71%)が出荷されました。また、この時期の基本となる糖度10度以上の合格率も約25%と高く、平均単価も例年より高い状況です。
本年産の極早生みかんは、裏年に当たるため着果がやや少ない~少ない状況で、生育や着果に応じた着果管理や植物成長調整剤の散布といった対策を講じて品質の高い果実生産につなげました。
そして、初売り当初から順調な販売ができるように当課員とJA指導員がマルチを被覆した園を巡回し、果実品質・着色程度・外観により出荷時期を判定しました。また、「肥のあかり」出荷前の9月10日に開催された出荷目均し会で、家庭での一次選果の指導を重点的に行いました。その結果、品質の良い果実を当初から出荷するとともに傷から発生する腐敗果の混入を防ぐことができ、市場の信頼向上につながったと考えられます。
今後も消費者の期待に応える玉名みかんとするために、JA等と連携し適切な指導を行っていきます。

2022年11月

室内講義の様子
ドローン操作体験の様子

北稜高校でスマート農業「ドローン研修」が開催

北稜高校では「スマート農業」を授業のカリキュラムに取り入れており、9月8日に園芸科学科の2・3年生とその関係者を対象として当課職員も講師となり「ドローン研修」が開催されました。
この研修は、昨年に続いて2回目となり、今回はドローンによる水稲の病害虫防除を中心とした内容で実施されました。はじめに教室で、水稲防除の基礎として主な病害虫、特に坪枯れを引き起こすトビイロウンカの発生生態と防除について農業普及・振興課から説明を行い、続いてドローン防除の受託作業を行っている(有)ミドリの上原代表から農業用ドローンの最新情報を含めた講義が行われました。
その後、屋外に移動し、(有)ミドリのオペレーターと当課職員が指導しながら小型のドローンを使った操作体験を行い、最後は学内の水田において実際に農業用ドローンを使った薬剤散布作業の実演が行われました。
参加した生徒たちからは、「初めてドローンを操作し、いい体験ができた」などの感想が聞かれ、スマート農業への理解促進に繋がる研修となりました。
当課では、今後も農業高校や関係機関との連携を深めながら、スマート農業に関心を持つ担い手の育成に取り組んでいきます。

2022年9月

葉色測定による実肥診断の様子
収穫体験会の様子

需要に応じた高品質小麦の生産支援

玉名地域における令和4年産麦作の生産実績は、総生産量が約5,700t(前年比93.2%)で検査等級は全量1等となり、大豊作だったものの収穫期の降雨により品質が低下した前年作と比べ、今年産は収量・品質ともに良好な結果となりました。
 そのなかで、玉名地域では実需者と生産側が連携して、パン加工に適した高タンパク(含有率12.5%以上)の「ミナミノカオリ」生産に取り組んでおり、高品質小麦粉「プレミアムT」という商品名で販売しています。今年産の「プレミアムT」になるミナミノカオリは、生産量の47%にあたる609t(前年比149.3%)でこれまでで最も良好な結果となり、関係者は産地の取り組みが実を結んだと評価しています。
当課では、ミナミノカオリのタンパク含有率向上に向けた葉色測定による実肥診断や、ベーカリー等の実需者による収穫体験会の実施等を支援しており、今後も高品質小麦の生産振興に向けて関係機関と連携しながら取り組んでいきます。

※「プレミアムT」のTは“Tamana”、“Tasty”、“Traditional”の3つの意味

2022年9月

玉東地区(現地検討会)
北部地区(和水町、現地検討会)

いちご育苗期の現地検討会の開催!~次作の高収量は健良な苗づくりが基本~

玉名地域は県内有数の促成いちご産地で、JAたまなでは、県育成品種「ゆうべに」(栽培面積35ha)を中心に、197戸で50haが栽培されています。令和3年産は、年内の出荷量が前年比67%と少し心配されるスタートとなりましたが、最終出荷量は前年比92.3%の2,317トンと出荷量は前年より減少したものの、販売額は前年比103%の約33億円となり前年を上回ることができました。
既に、産地では令和4年産に向けて、6月以降採苗も始まり、定植に向けた育苗管理が始まっています。今回、7月7日に玉東地区、7月8日に北部地区(和水町春富)で現地検討会を実施し、苗半作を意識してもらうために、鉢受や採苗が遅れないこと、適正な施肥量と十分な採光・通風を確保して健良な苗を仕上げることを指導しました。また、毎年違った気象条件の中での苗のかん水や遮光管理は大変な作業となることから、熱中症対策や夏の作業中の体調管理についても注意喚起を行いました。さらに、種苗法の改正に伴う「ゆうべに」の自家増殖の許諾の取扱いについても、併せて周知しました。
当課では、苗づくりを栽培の基本とした指導を行い、更なる収量アップによる生産者の所得向上のために引き続き支援をしていきます。

2022年8月

ハニーローザの着果状況
ハニーローザ収穫体験の様子

3年ぶりに開催! 第12回ハニーローザ収穫祭

玉東町は幻のスモモと呼ばれる「ハニーローザ」の産地化に平成15年から取り組み、今では栽培面積、生産量ともに日本一を誇るまでの産地に発展しています。本年も早い園で5月26日から収穫が始まり、天候にも恵まれ、6月下旬まで品質の良い果実が出荷されました。
そのような中、玉東町で「ハニーローザ」の知名度の向上と町のPRを目的として、3年ぶりに「ハニーローザ収穫祭」が開催されました。新型コロナ感染防止の観点から参加人数を絞り込み、県内外から210名が参加され、「今まで食べたスモモは何だったんだと思うほどおいしい」など多くの好評の声が聞かれました。当課は実行委員会の一員として、主に収穫体験の指導を担いましたが、初めて収穫をした子供の笑顔が印象的でした。
ハニーローザも導入を始めてから20年が過ぎ、老木が増加してきました。今後は、栽培管理による生産量維持と改植を含めた樹の若返りを推進するなど産地維持に向けた支援を行っていきます。

2022年8月

板楠小原地区 出荷を控えたホオズキ(6/27)
上久井原地区 新規作物講習会

中山間モデル地区への継続的な支援

玉名地域には中山間モデル地区強化事業により指定されたモデル地区が4地区あり、平成29年度から地域に適した品目の定着に向けて作物栽培及び経営安定の支援を行っています。
中でも和水町は2つのモデル地区がり、板楠小原地区では、小麦とホオズキが新規導入されています。小麦については、5月末に3度目の収穫が終わり、栽培面積は毎年拡大し、今年度は3haとなりました。ホオズキについては栽培から3年間、土壌病害や生育の不揃い等で出荷まで至りませんでしたが、4度目の作付けとなる今年は順調に生育が進み、6月16日には出荷に向けた目均し会を市場関係者と実施、7月1日には初出荷を迎えました。
また、上久井原地区においても、6月8日に特別栽培米及びショウガなどの新規作物栽培講習会を開催し、新たな取り組みをスタートしました。
当課では、引き続き市町と連携をとりながら、中山間モデル地区の新規作物定着に向けた支援を継続していきます。

2022年8月

講習会の様子
講習会の説明資料

野菜の生産安定に向けた土づくり講習会

6月1日、9日、10日、20日、21日の5日間、JAと連携して、管内3地区のトマト・ミニトマト・ナスの生産者を対象に栽培上の課題である排水不良対策、土壌病害対策を中心とした土づくり講習会を行いました(90名程度の参加)。
排水不良対策は、「自分が水をやりたい時にやれるほ場を作る」を目標に、我が家のほ場確認、明きょの設置、暗きょの施工・メンテナンス、畝たて方法などについて講習を行いました。また、土壌病害対策は、「ほ場に作物がない時期にしかできない対策の徹底で次作に持ち越さない」を目標に、各種土壌消毒法の概要と作業手順、栽培終了後のスケジュール、植物残渣の持ち出し・腐熟処理などについて講習を行いました。
参加した生産者からは、「雨が入り込んでしまった後の対処方法を教えてほしい」「土壌消毒にかかる経費の違いはどのくらいか」「青枯病に対する新しい土壌消毒方法は効果が高いか」など、令和3年産で抱いた課題をもとにした質問や意見も多く出て、充実した講習会になりました。
今後は、片付け時の根の状況確認(土壌病害の有無)や土壌消毒のサポートなどを行い、令和4年産の栽培がスムーズに始まるよう引き続き汗をかきたいと思います。

2022年7月

策定検討会の様子

魅力ある冬春ナスの産地強化を目指して!栽培基準、防除暦策定検討会の開催

玉名地域は、夏秋ナスと冬春ナスを生産する特色ある産地ですが、現在、冬春ナスの出荷が終盤を迎えています。
JAたまなナス部会では、着果作業の要らない単為結果性新品種「PC筑陽」への積極的な転換を進めた結果、H30年に100%導入を達成するなど、冬春ナスの産地強化に取り組んでいます。
しかし、「PC筑陽」の導入から年数が浅いため、生産者間の技術差が大きく、産地全体として栽培技術の高位平準化と生産安定が課題となっています。
このため当課では、毎年、JA等関係機関と連携して明らかになった技術のポイント等を検証し、栽培基準と防除暦の策定検討会を開催し、改訂を行っています。
今年は、5月25日に開催し、最新の情報に更新する他、環境に優しい技術である太陽熱土壌消毒や天敵利用の詳細な内容を追加することとしました。
これらを基に、「PC筑陽」の安定生産と技術向上を図り、魅力ある産地づくりを支援していきます。

2022年7月

(農)野口での播種作業の様子
畜産農家との現地確認

地域営農法人への多面的支援

玉名市岱明の農事組合法人野口は、約110haの農地を有し、土地利用型作物を中心とした経営を行っています。平成28年からは農業経営費低減に向けた取組みとして、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が取り組む水稲の乾田畝立直播機を用いた実証試験を行っており、本年は5月24~27日にかけて業務用多収性水稲品種「やまだわら」を4.5haに播種しました。当技術は、麦や大豆への汎用利用にも有効であり、水稲と同時期から麦、3年前から大豆の実証試験も行っています。
また、今年度から新たに、家畜糞由来堆肥散布による地力増進を目的とした菊池地域畜産農家との耕畜連携(堆肥と稲わらの交換)を開始します。5月11日には、現場で畜産農家との打合せを行い、今年度は約4.6haにおいて、試験的に耕畜連携に取組み、ほ場への影響等を調査します。
農業普及・振興課では、当法人を皮切りとし、引き続き関係機関と連携をとりながら、管内の地域営農法人の省力効果的な生産に向けた支援を行っていきます。

2022年5月

葉色測定会の様子
ドローンによる施肥の様子

高品質小麦“プレミアムT”生産への取組み~適切な実肥量の診断とドローン施肥~

玉名地域は県内有数の小麦「ミナミノカオリ」の産地で、高品質化につながる取組みを進めており、パン加工適性の高いタンパク含有率12.5%以上を「プレミアムT」(製造販売:熊本製粉(株))というブランド名で販売しています。
当地域では、タンパク含有率を高めるために「実(み)肥(ごえ)」を重要視しており、その適正な施肥量を診断する葉色測定会を4月4日~7日に実施しました。具体的には、実肥の時期である穂揃い期に各生産者のほ場から株を持ち寄り、上位第2葉の葉色と長さから必要とする施肥量を推定します。その結果を生産者に提供することで適正な施用を徹底しています。
さらに、今年は県内で初めてドローン散布専用の肥料を用いた実肥の実証試験を行いました。参加した生産者からは散布方法やドローンの性能などについて活発な質問があり、省力化や効率化につながるスマート農業の一つとしての普及が期待されます。
当課では、今後も高品質小麦の生産振興に向けて関係機関と連携しながら取り組んでいきます。

※「プレミアムT」のTは“Tamana”、“Tasty”、“Traditional”の3つの意味

2022年5月

トマト黄化葉巻病防除対策会議(横島公民館)

黄化葉巻病まん延防止対策の地域取決めを決定!~トマト黄化葉巻病防除対策会議を開催~

玉名地域ではトマト類が約230ha栽培されていますが、トマト黄化葉巻病の蔓延は生産に大きな影響があるため、毎年、地域の生産者代表等による「玉名地域トマト黄化葉巻病防除対策会議」で防除対策の取決め事項を協議しています。
 今年度は、3月16日に会議を開催し、当課より黄化葉巻病の発生状況並びにJAと協力して通年で実施したコナジラミ発生状況やコナジラミのTYLCV保毒虫率などの調査結果を報告しました。また、次年度実施予定の黄化葉巻病に関連する調査と併せて、昨年度県内で初確認されたトマトキバガなど新規病害虫の発生情報などについても情報提供を行いました。
会議では、栽培終了の7月19日までにハウスの閉め込み(すき込み)を実施し、コナジラミ類を死滅させて、飛散させないように取決めを確認しました。また、定植は、天井被覆フィルム、防虫ネットを設置と、8月15日以降の定植を再確認しました。
今回の取決め事項は、関係機関を通じて管内のトマト生産者へ周知する予定です。当課では今後も関係機関と連携して、トマト黄化葉巻病の蔓延防止対策に取り組んでいきます。

2022年5月

フラワーアレンジとパネルで花の消費を喚起!~管内14ヵ所で花の展示を実施~

新型コロナウイルス感染の長期化による各種イベントの縮小・中止等に伴い、花きの需要は低迷した状態が続いています。このため、新たな需要を掘り起こすには、地域・家庭内での販売促進が重要となっています。
当課では、玉名地方農業普及指導協議会(※)花き部会と連携して、家庭での消費喚起を図るため、多くの来客があるJR新玉名駅、JA、管内6市町庁舎など計14か所の施設で、「フラワーアレンジメント」の展示を実施しました。アレンジメントには玉名地域の花をふんだんに使い、同時に花生産の状況を知ってもらうため、PRパネルの設置も行いました。
訪れた人々は、足を止めて花を愛で、香りを楽しまれており、花を話題に会話が弾んでいる様子も見られ、花が身近にある彩り心豊かな感覚を体感してもらうことができました。
今後も、栽培技術向上の支援とともに、花き農家の所得確保に向けて、消費拡大対策にも積極的に取り組んでいきます。

(※)玉名管内市町、農業団体から構成され、玉名地方農業の活性化に寄与することを目的としている。

2022年5月

カモ類によるブロッコリーの食害
講習会の様子(右上は追払い用の鷹)

カモ類による食害防止にむけて(緊急対策講習会開催!)

玉名の横島干拓地において、露地栽培のブロッコリーやキャベツがカモ類による食害を受けており、今作(令和3年産)は年内から多くの畑で被害が発生しています。そこで、むらづくり課の主催で当課や玉名市、地元生産者組織((株)マルダイ)のほか同じカモ類被害対策に取り組んでいる県内の他の市町や地域振興局(農業普及・振興課)の関係者が集まり、緊急対策講習会が開催されました。
講習会では、鷹による害鳥駆除を専門としている大分県の会社「クリーンシート」の湯谷代表を講師に招き、食害しているカモ類の種類や特徴、被害防止対策の説明、そして、鷹や鳥猟犬を使った追払いの実演がなされました。講師からは、「エサ場としてここが不適(居心地が悪い)とカモに覚えこませる必要がある。そのためには、追払いや捕獲など複数の対策を数年単位で継続的に続けていくことが重要である。」とアドバイスいただきました。
カモ類に効果的な被害防止対策はまだ確立されていませんが、地元猟友会による捕獲やテグスの設置等による物理的な侵入防止、またレーザーライトや爆音機、鷹等による追払いなど複数の取組を継続的に実施することで被害を少しでも減らせるよう、当課では今後も関係機関と連携・協力し対策に取り組んでいきます。

2022年3月

天敵製剤(バコトップ)
放飼方法 ※蓋を取って置くだけ

続・トマトにおける新たなIPM技術の導入を検討~タバコカスミカメを活用した黄化葉巻病の対策~

玉名地域では、タバココナジラミをハウス内で「増やさない」対策の一つとして天敵の利用を検討しており、「定植初期を化学農薬で、3月以降は天敵で!」を合言葉に天敵「タバコカスミカメ」を用いたコナジラミ防除の展示ほを4カ所90a設置し、関係機関と連携して、定期的に調査を行っています。
今回の展示ほでは、第1回目の放飼を10月29日に行い、定植~放飼までにコナジラミ防除効果の高い薬剤を集中して使用することでコナジラミ密度をできるだけ低下させることができました。また、温存植物である「クレオメ」上ではタバコカスミカメが順調に定着し、増加しているほ場もみられています。さらに、2月22日には春先のコナジラミの増殖期を前に再放飼を行いました。
また、これまでの調査から、厳冬期にタバコカスミカメの密度を維持していくためには、温存植物の定植本数やハウス内での定植場所などが重要であることも分かってきました。今作の終了まで調査を継続し、トマトにおける天敵利用技術の確立を目指します。
当課では今後も関係機関と連携して、収量・品質の更なる向上に向け、トマト黄化葉巻病の蔓延防止対策に取り組んでいきます。

2022年3月

図1 整枝・せん定のイメージ(指導資料抜粋)
写真1 講習会の様子

R4年産カンキツ、本格管理始動(せん定講習会)!

温州みかんや不知火類等のカンキツの生産では、日当たりや作業性を向上させ、高品質な果実の安定生産を図るうえで、冬場の整枝・せん定は重要な作業です。このため、JAと協力して2月に部会各地区でせん定講習会を開催しました。
前年の着果状況などを踏まえ、園地や樹勢に応じたせん定の指導を行っているところですが、特に前年の着果が多かった早生・中生温州では、着花が少ないことが予想されます。このため、混み合っている箇所を間引く軽めのせん定により、着花を確保することを念頭に管理の徹底を指導しました。 
とりわけ中生温州は、他品種より新梢発生が多く、枝葉が混みやすいため、間隔を十分空ける(図1)とともに、4・5月の新梢・着花管理による着果安定技術について、R3年度の展示ほ調査で得られた着果量の向上結果をもとに指導を行いました。また、R3年産に被害が多かったカイガラムシの対策として、せん定による耕種的対策と併せて、発芽前(3月上中旬)の越冬世代の薬剤防除を呼びかけています。生産者も中生温州のせん定等管理やカイガラムシ防除について関心が高く、活発な意見が交わされました。
現地でのせん定が本格化し、いよいよR4年産が始まります。当課ではJA等関係機関と協力し、高品質安定生産に向けて今後も指導を行っていきます。

2022年2月

1/5:振興局内検証会議
1/19:南関町、情報区家保との検証会議

今後の鳥インフルエンザ防疫強化に向けて~南関町と検証に係る連携会議を開催~

12月2日に南関町で発生した鳥インフルエンザの防疫対応に際し、当課では速やかに局内・各市町・建設業協会などの関係団体と連絡体制を整え、関係機関とともに総力をあげて、防疫措置の支援にあたり、約54時間で防疫措置が完了しました。また続発することもなく、同月27日には制限区域が解除され、地域への影響を最小限に食い止めることができました。
一方、実際の防疫作業や支援センター運営の中で、新たに判明した課題も多く、この経験を踏まえ今後の防疫体制の強化を図るため、検証作業に取り組んでいます。
まず、1月5日に玉名地域振興局内で課題を共有し、意見を取りまとめる検証会議を、1月19日には、発生地で対応に当たった南関町職員や、家畜防疫員として防疫作業指揮の指揮に当たった城北家畜保健衛生所の職員と検証会議を開催しました。
会議では、農場の防疫計画資料の共有や情報伝達を確実に行う仕組み、動員者や資材を円滑に搬送する体制強化などの意見が出されました。現時点で、修正可能なものはすぐに採用し、全体的な見直しは、次年度に行う立ち入り調査時などでより詳細に整備を行っていくことを確認しました。
今後は新型コロナの状況を見ながら、玉名地域全体で各市町や関係機関との検証会議を開催していきたいと考えています。そして、それらの検証結果を基に、更なる防疫体制強化に取り組んでいきます。

2022年2月

意見発表の様子
プロジェクト発表の様子

逆境に負けず、「第61回玉名地方青年農業者会議」を開催~若手農業者の課題解決を支援~

1月14日、玉名地方青年農業者クラブ連絡協議会による「第61回玉名地方青年農業者会議」が開催されました。当初12月の開催予定が管内での「鳥インフルエンザ」発生により延期となり、また、新型コロナ感染拡大防止のため、クラブ員・市町職員1名ずつと当課員のみに人数を絞った形式で、意見発表部門2点とプロジェクト部門6点の発表が行われました。
当課では、年度当初プロジェクトに取り組むクラブ員に部門担当者を割り当て、マンツーマン体制で、まずは経営や栽培技術の悩みや問題点を共有しました。そして各々の課題を解決に向け、定期的に助言・指導を行いながらクラブ員が主体的に取り組むよう、側面から支援をしてきました。
当日の発表では、日々の作業過程を定期的に撮影するなど、こだわった観察・記録や地元小学校への食育活動・販売力アップへの取組みや想いがしっかり参加者に伝わる内容で、甲乙つけがたく、審査員を悩ませました。今後は、2月に実施される県大会へ向けて、発表内容をさらにブラッシュアップし、出場者全員の上位入賞を目指しています。
玉名地域は特に若いクラブ員が多いことから、様々な経験と同年代で切磋琢磨し合う学びの場として、4HCクラブは重要な組織です。今後も関係機関と連携して、地域を支える有能な若手農業者の育成支援に引き続き取り組んでいきます。

2022年2月

調査の様子
クレオメ上のタバコカスミカメ

トマトにおける新たなIPM技術の導入を検討~タバコカスミカメを活用した黄化葉巻病の対策~

玉名地域では、産地全体で「トマト黄化葉巻病」対策に取り組んでいますが、媒介するタバココナジラミの農薬への感受性低下により、ハウス内で「増やさない」対策が難しい状況となっています。
このため、当課では新たな防除技術の確立を図るため、JAたまな、支援センター、農業研究センター等と連携し、タバココナジラミの天敵である「タバコカスミカメ」を活用した対策の検討を進めています。この天敵はナスやキュウリの栽培にすでに活用されていますが、トマトで有効性が確認されてから日が浅いため、現地にはまだ普及していません。
そこで、本年度から「定植初期を化学農薬で、コナジラミ発生が増加する3月以降は天敵で」防除することを目的に、展示ほを設置しました。10月中旬に天敵の働きを助ける天敵温存植物「クレオメ」を定植し、10月下旬に最初の「タバコカスミカメ」を放飼しました。2月中旬には再放飼を行い、春先のコナジラミ低減効果の確認調査を行う予定です。
本技術は、タバココナジラミを「増やさない」ことに加え、低密度に抑えることで「出さない」・「繋がない」対策にも寄与すると考えています。今後も関係機関と連携して、収量・品質の更なる向上に向け、トマト黄化葉巻病の蔓延防止対策に取り組んでいきます。

※タバコカスミカメ:土着のカメムシの一種。捕食能力、分散能力が高くコナジラミ類の有力な天敵。R3年5月26日に農薬登録され、生物農薬として市販開始。

2022年2月

保温対策についての講義
農作業事故防止の啓発活動

燃油高騰の中、青年農業士がハウス管理の研修会を開催~ハウス保温性向上対策研修会を開催~

玉名地方青年農業士連絡協議会は、新型コロナ感染拡大防止の観点から、会員が集まっての活動を自粛し総会も書面開催としていました。しかし、10月の役員会で会員同士の交流ができないことは会の存在意義にも関わってくるなどの意見から、感染症対策を十分にとって研修を実施することが決まりました。
12月1日、会員13名が参加し、当課職員が講師となり、燃油高騰を背景に「施設ハウスの保温性向上対策について」と題した研修会を開催しました。
研修会では、日頃の点検でできる被覆資材の隙間や破れの発見・補修、暖房機のダクトの配置による効果的な保温方法などの対策について説明が行われました。燃油高騰に加え、厳寒期を控える前の研修会で、参加者は真剣に話を聞き、質疑応答ではお互いの保温対策を説明したうえで、具体的な点を質問し合う等、温度管理対策に対する意識の高さをうかがうことができました。また、「農作業事故」、「油流出事故」のチラシ配布も行い、事故防止への啓発活動を併せて実施しました。
当課では、若い担い手農業者の栽培管理技術向上や経営リスクに対する意識向上により経営安定が図られるよう、今後も引き続き支援していきます。

2022年1月

農業振興同友会が「こども食堂」に農産物を寄贈~地元産食材で栄養と笑顔を支援~

玉名地方農業振興同友会※では、新型コロナ感染防止のため、昨年度に続き、今年度総会も書面決議となりました。会の活動も制限される中、7月末初めての役員会で「家庭で食事をとることの少ない子供達を支援しているこども食堂に、同会で真心のこもった農産物提供をできないか」との提案がありました。
管内での設置情報もなかったため、まず当課から各市町に照会し、運営状況や食材ニーズなどの取りまとめを行いました。再度、11月の役員会に情報提供し、役員で協議した結果、現在も毎週運営している3カ所のこども食堂に農産物を寄贈することが決まりました。
11月25日、開設日の木曜に併せ、農繁期にもかかわらず、役員代表が3班に分かれ、直接こども食堂を訪問し、目録と日持ちする米・みかん・LL牛乳の農産物セットの贈呈を行いました。食堂側からは「さっそく、子供達に食べさせます」との感謝がありました。また、感染防止のため、調査時に運営休止中の組織からも、「支援の声を頂いただけでも、とても感謝している」とのメッセージがありました。
集合形式での活動が難しい中でも、地域農業の発展に中心的な存在である同会の積極的な取組みを、当課でも引き続き支援していきます。

※玉名地方農業振興同友会(会長:原 靖)
県指導農業士や歴代農業コンクール参加者の41名で、地域農業振興のため、例年相互の情報交換や自己研鑽の研修会などを実施。

2022年1月

「ホオズキ」の土壌改良と排水対策を徹底~モデル地区における新規品目の安定生産支援~

「和水町板楠小原地区」では、経営力向上と遊休農地の解消を図るため、3年前から中山間農業モデル地区指定を受け、事業を活用し、営農組合で7月盆用ホオズキの栽培に取り組んでいます。
しかし、栽培園は硬盤層が地表から浅いところにあり、作土層が狭いことや排水不良により、これまで生産が不安定でした。このため、当課では11月19日にクボタアグリサービス(株)の協力を得て、排水性の改善と根張り向上を目的に、土壌改良対策検討会を開催し、硬盤層破砕と部分天地返しを同時に行える「ソイルリフター」の実証試験を行いました。
今回の試験では、深さ20cm未満の作土層を、施工前に比べて約17cm拡大することができました。営農組合員からは「根が張らなかった硬い層を簡単に柔らかくすることができた。効果に期待したい。」と来作に向けた意欲が高まっています。
現在、育苗も順調で来作の準備も着々と行われています。さらに当課では次のステップとして、土壌の理化学性に着目し、有機物等の投入による排水性並びに保水性の向上に取り組む予定です。今後ともホオズキの生産安定に向けて、関係機関等と連携して継続な支援を行なっていきます。

※「ソイルリフター」…プラウの天地返しとサブソイラーの心土破砕二つの効果を持ち作土に亀裂と空気が入り、根の生育範囲を拡大

2022年1月

いちごほ場(現地検討会)
横島集荷センター(JAたまな)

令和3年産「たまな」いちご 本格出荷開始!~平均反収5t以上の達成を目指して~

玉名地域は県内有数の促成いちご産地で、JAたまなでは、県育成品種「ゆうべに」(栽培面積35ha、県内最大面積)を中心に、約200戸で51haを栽培しています。令和3年産は11月11日から出荷が開始され、出荷数量460トン・販売額32億円を目指し、来年6月までの出荷を計画しています。
本年は、育苗期の低温・低日照による苗の徒長や9月中旬からの高温乾燥などの気象条件が続き、定植後の活着がやや遅れたものの、その後生育は順調に回復し、一番果の最盛期は、「ゆうべに」で12月上旬~下旬を見込んでいます。
「ゆうべに」は多収である反面、まだら果や成り疲れも出やすい品種であり、肥料や温度の細やかな管理が必要です。このため、当課ではJA部会と連携し、現地検討会を通じ、生育に応じたほ場毎の指導を徹底し、本年は部会平均5トン以上の反収達成を目指しています。また、ハダニに対しては約70%で天敵導入が進んでいますが、アザミウマに対しては技術が確立されていないため、展示ほを設置し、新たな防除体系の確立に取り組んでいます。
当課では、更なる収量アップによる所得向上とともに、安全・安心な「たまな産いちご」がしっかりと消費者に届くよう、引き続き支援をしていきます。

2022年1月

小型ドローンの操作体験
みかんドローン防除の見学

北稜高校でスマート農業体験授業を実施~ドローン防除の基礎知識習得と操作を体験~

11月12日、県立北稜高校が、スマート農業の理解促進のため、園芸科学科生徒23名と教職員を対象にドローン防除の体験授業を実施しました。
実施に際しては、和水町の農業法人(有)ミドリに全面的に御協力いただき、当課は相談窓口として授業内容の立案・検討や(有)ミドリをはじめとした機関・組織への協力依頼などコーディネートの役を担いました。
当日は、代表取締役上原泰臣氏から「ドローン防除の基礎知識」、当課からは「温州みかんにおけるドローン防除の可能性と今後の展望」について、それぞれ講義を実施しました。講義終了後は、当課配備等の小型ドローンを使って、全員で実際の操作を体験しました。ドローンは触ったこともなく、操作体験を通じて、スマート技術を身近に感じてもらう機会になりました。
その後、園地に移動し、農業用ドローンによる温州みかん防除を見学しました。普段は数十分かかる防除作業が1分程度で終わる様子を見て、生徒からは「こんなのが当たり前になれば農業も楽しい」といった言葉が聞かれました。
当課では、今後も農業高校との連携を深めながら、最新技術の理解活動を通じて、農業担い手確保・育成に取り組んでいきます。

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