2021年のエリア普及現地情報

2021年12月

機体についての説明を聞く参加
ラジコン草刈機実働の様子

「大型ラジコン草刈機による防火帯作成の実演会」を開催

阿蘇の草原は牛の放牧や野焼き等の営みによって、現在まで雄大な景観が維持されてきました。しかし、牧野維持管理作業を担う牧野組合員の高齢化・担い手不足により、草原の維持が危ぶまれています。そこで、牧野維持管理作業の省力化を目的に、主に河川敷等の除草作業用として開発された大型ラジコン草刈機を「牧野での防火帯作成に応用できないか」と当課より株式会社筑水キャニコムへ提案し、同社協力のもと、「大型ラジコン草刈機による防火帯作成の実演会」を10月27日に開催しました。
実演会には牧野維持管理作業の指導者となる市町村担当者等約10名が参加し、実際の草地で大型ラジコン草刈機が人の背丈ほどあるススキを刈り取り、防火帯を作成していく様子の見学や、ラジコンの操縦体験を行いました。
実演中、参加者からは、多少の傾斜はものともせずにスムーズに草を刈り取る様子に感嘆の声が上がり、「刈払機での作業よりも圧倒的に早く、操作も簡単」、「ラジコンでの作業のため、安全に作業ができる」、といった感想が聞かれました。さらに、「ぜひ、地元の牧野で牧野組合長等を対象に実演をしてみたい」との意見もいただきました。
また、「地中に埋まった牧柵柱に機体が接触」、「草地内に落ちていた古い有刺鉄線を巻き込む」など牧野ならではの課題も発見することができました。
当課では、今後も関係機関との連携を図り、スマート農業の普及・推進に取り組んでまいります。

2021年12月

調査準備の様子
第1回収量調査の様子

ドローンによるダイコンの生育調査

阿蘇地域の北部に位置する小国郷(小国町、南小国町)は夏秋ダイコンの産地ですが、近年の天候不順や温暖化の影響から、夏秋期の収量が不安定となっています。また、ダイコンほ場は広大なため、生育状況を省力的に把握することが課題となっていました。そこで、本年6月よりJA阿蘇小国郷ダイコン部会を対象に、ヤンマーアグリシステムのドローンによるリモートセンシングを活用した、生産課題分析に取り組みました。
生育状況調査の第1回ほ場撮影は、6月18日に0.4haで実施しました。1回目の調査においてダイコンの生育や収量が、リモートセンシング画像解析データ(葉色、植被率(葉の茂り具合))のうち葉色データと相関が高い傾向が分かりました。そこで、第2回ほ場撮影面積を5.5haに拡大し、標高850~1000mに位置する阿蘇外輪山の牧野を切り拓いたほ場で、10月19日に撮影しました。撮影した画像解析データを基に収量調査を行い、収量と葉色データの相関について再度確認を行います。
当課では、引き続きドローンによるほ場撮影画像を基に、ダイコンの収量向上対策を検討していきます。

2021年12月

熊本県4HC夏の集いを初オンライン開催!

10月27日に熊本県青年農業者クラブ主催で夏の集い2021をオンラインで開催しました。
この大会は例年、地域持ち回りで開催しており、今回は菊池・阿蘇地方が担当しました。地元開催の準備を進めていましたが、新型コロナウィルス感染症対策のためオンライン会議用アプリ「ZOOM」での開催を試みることとなり、参加者を募ったところ、総勢62名の参加がありました。
クラブ員向けのテーマと普及員向けのテーマを2つずつ用意し、ZOOMのブレイクアウトルーム機能を使用して1グループ7名程度のグループに分かれて意見交換会を行ったところ、参加者からは、「初めてオンライン会議に参加し、うまく接続できるか不安だったが、楽しく意見交換できた」、「意見交換の時間が短かった。もっと話したかった」と言った声がありました。
当課では、今後もクラブ員同士の繋がりをサポートし、やりがいのあるクラブ活動が行えるよう環境づくりを行っていきます。

2021年11月

葉色の測定
関係機関と調査

「恋みのり」栽培指針作成にむけて

阿蘇地域で栽培されているイチゴの品種は「恋みのり」、「ゆうべに」、「さがほのか」の3品種であり、その中でも「恋みのり」が栽培面積の約6割(6.7ha)を占めます。
「恋みのり」は国の育成品種ですが、栽培指針が示されていないことに加え、冷涼な阿蘇地域の気候に応じた栽培技術の確立が求められています。このため、農業普及・振興課では令和3年度は育苗から定植まで、4年度は定植以降の栽培基準を作成することを目指しています。特に、本年度は適正な採苗時期と育苗期間、最終追肥と花芽分化・定植時期の設定を目標に、現地巡回を行いながら農家毎の栽培状況を確認するとともに、「恋みのり」栽培農家3戸を選定し調査活動を行っています。
これまでの調査などで、7月の採苗時期が大きく異なっていること、8月下旬の苗の葉色に差があり、定植苗の大きさ(クラウン茎)や花芽分化時期に影響を与えていることが明確になりました。
今後は、栽培ほ場での生育や栽培管理について調査を行うとともに、収穫量の推移を見ながら最終的に収量にどのような差が出るのかを確認して参ります。また、栽培指針の作成にあたっては、JA等関係機関と連携しながら作成を進め、産地の更なる発展に繋がるように活動を行って参ります。

2021年9月

講習会の様子
払落し調査の様子

業務用向け多収品種「やまだわら」の普及拡大に向けて

JA阿蘇では、農業所得の向上や乾燥調製施設の効率的利用の観点から、業務用向けの多収品種「やまだわら」の作付けを推進しています。県内でも最大の産地で、作付面積は拡大傾向にあり、本年度は78ha作付けを行っています。
農業普及・振興課では、7月16日に生産者やJA担当者など32名を対象に講習会及び収入保険制度の説明を行いました。
講習会では当課から気象及び生育概況、トビイロウンカの飛来状況や防除のタイミングについて説明しました。講習会の前にトビイロウンカの払落し調査を行ったところ、発生は確認されませんでしたが、今後も飛来情報の確認と現地調査を継続的に行い、生産者への情報提供を行っていきます。
また、収入保険制度の説明では、講習会に参加された生産者から「制度の中身について詳しく知りたかったので良い機会だった。」など前向きな意見が聞かれました。
「やまだわら」については、JAと連携し、管内4カ所に展示ほを設置しており、移植適期の把握や品質、収量向上に向けて調査を行っています。「やまだわら」は栽培期間が長く、ウンカ被害を受けやすいため、今後もJAと生育状況調査を行い、ウンカ被害防止に向けた管理指導を行っていきます。

2021年7月

大麦収穫の様子
多収品種「歓喜の風」移植の様子

大麦と業務用米の作付体系化展示ほを設置

当課では、法人の経営安定に向けて、水田裏作への大麦の作付拡大に取り組んでいます。阿蘇地域では5月移植のコシヒカリなどの主食用米水稲単作が多く、5月末に収穫される麦作との組み合わせが実施しにくい状況です。しかし、阿蘇市の基盤整備されたほ場を中心に、大麦の作付が245ha行われており、裏作の面積としてはさらに拡大することが可能です。
そのため、麦作の拡大には夏作の組み合わせが重要と考え、「水稲-大麦」の体系化試験として、業務用米早生の多収品種「歓喜の風」の展示ほを阿蘇市で2か所設置することとしました。
3月に当課とJAで展示ほ設置に向けた種子の手配などの打合せを行い、阿蘇市の2地区において展示ほの設置を決定しました。5月下旬に大麦の収穫が行われ、6月20日、24日に水稲の移植を行いました。
大麦収穫後のほ場では、移植時期が管内のコシヒカリ等より約1カ月遅くなるため、多収品種ではあるものの生育量の不足が課題です。そのため、今後もJAと連携し、穂肥診断による追肥のタイミングやウンカ類の防除適期等、収量確保に向けた管理指導を行っていきます。

2021年7月

図1.調査準備の様子
図2.撮影結果図(葉色のバラツキについて) ※赤いほど葉色が濃く、青いほど葉色が薄い

スマート農業によるダイコンの生育調査開始

小国郷(小国町、南小国町)は夏秋ダイコンの産地であり、主に標高600~1000mで栽培が行われています。このダイコン栽培における夏秋期の生産性向上に役立てることを目指し、ドローンによるリモートセンシングの第1回生育調査を6月18日に行いました。
夏秋期収穫のダイコンは、梅雨時期の大雨や台風による土壌流亡による収量低下や、温暖化による高温障害が増加傾向であり、生産安定と収量向上に向けた対策が求められています。正確な生育状況の把握を行い、生産安定と収量向上に繋げるために、リモートセンシングを用いて省力的にほ場内の生育状況を把握し、生育が悪い箇所の土壌分析や生育状況に応じた施肥につなげる実証試験をJA阿蘇小国郷ダイコン部会で行うことにしました。
ダイコンにおけるリモートセンシングの実用例が少ないため、今回は、8月に予定している第2回試験前の第1回調査として生育調査を行いました。得られたデータと実際の収量との整合性について確認するため収量調査を行い、データの分析方法を検討します。そして、8月の試験が円滑に進められるように準備を進めていきます。

2021年7月

播種作業の様子
水稲移植の様子

高密度播種苗の移植開始!

当課では地域営農法人設立後の経営安定に向けた支援を行っています。その中でも水稲にあっては、低コスト技術として高密度播種技術の導入を進めており、阿蘇市の法人では当技術による作付け面積が確実に拡大しています。今年度は昨年度に引き続き、中山間地域である高森町の「農事組合法人矢村の杜」で展示ほを設置し、同技術の普及と適応性の検討を行います。
(農)矢村の杜では、4月18日に播種した高密度播種苗を5月6日に移植しました。播種作業には生産者や農機具メーカーのほか、高森町を拠点に活躍する「096k(オクロック)熊本歌劇団」の方々も参加され、地域協力に貢献されました。移植作業は、農機具メーカーの協力のもと、専用田植機を用いて、慣行で10aあたり約18箱使用していた箱数を約9箱まで減らすことができました。生産者からは「苗の積み荷作業が軽減され、作業の省力化を実感した。」との声が聞かれました。
今後も生育状況調査を行い、現地検討会や成績検討会を開催し、中山間地域においても同技術の波及に向けて情報提供を行っていきます。

※高密度播種:苗箱への播種量を増やして、田植えの時に使用する苗箱数を減らすことで資材
費や労働力の軽減を目指すもの。

2021年3月

聞き取りの様子
今後の支援方針

牧野巡回調査を継続実施中

牧野の畜産的利用(放牧、採草)は草原の維持に重要な役割を果たしています。一方で、有畜農家の減少等により、牧野の畜産的利用が衰退しているところもあり、草原の荒廃が懸念されています。そこで、各市町村担当者と畜産協会協力のもと、8月から2月にかけて7市町村44ヶ所の牧野組合において、牧野の現状把握を目的とした巡回調査を実施しました。
調査の結果、44牧野のうち4牧野で畜産的利用が行われていませんでした。さらに、今後の牧野の維持管理に不安や負担を感じていると回答した牧野は34牧野にのぼりました。その半数以上の25牧野では放牧者が3人以下、特に高齢者1人だけで放牧実施中の牧野が3牧野という結果となり、存続が危ぶまれる状況です。
また、畜産的利用が衰退しつつある牧野からは、「せっかくの資源。放牧等で牧野資源を有効活用してほしい。」、という意見も多くあげられました。今回調査した牧野とは異なる組合に所属する若手農家からは、「牧野を活用して規模拡大したい。」、「もっと放牧したいが牧野が足りない。」といった相談もあります。調査した牧野のうち22牧野が「条件次第では牧野の組合員外への貸し付けが可能。」と回答しており、今後は牧野資源の有効活用に向けて組合員以外も牧野を利用できるよう、合意形成を支援していく必要が考えられました。
当課では、今後は残り約100牧野の調査を継続して実施するとともに、関係機関との連携を図り、牧野の有効活用支援に取り組んでまいります。

2021年3月

牧柵主柱打ち込みの様子
有刺鉄線はりの様子

未利用牧野での放牧再開に向けた支援実施中

阿蘇の草原は放牧や野焼きなど、人の手による維持管理により現在の景観を保っています。一方で、高齢化等により畜産的利用が衰退しつつある牧野もあり、草原の荒廃が懸念されています。
当課では、昨年野焼きを再開した南阿蘇村白川牧野において、地域づくりチャレンジ推進事業を活用しながら、未利用牧野での畜産的利用再開のモデルづくりに取り組みました。また、同村担い手育成総合支援協議会及び役場協力のもと、組合員外の牧野利用に向けた合意形成や放牧条件整備の支援を行いました。
2月13日(土)には地域の畜産農家が指導者となり、次年度からの放牧実践予定者や若手農家を対象に、牧柵設置の方法などを指導する実践的研修会が開催されました。研修会当日は、あいにくの雨模様でしたが、若手農家たちが指導を受けながら牧柵をはり、約4haの放牧地を完成させました。次年度放牧実践予定者からは、「放牧地の整備等、放牧できる体制づくりの支援に感謝している。野焼き以降放牧を行い、牧野資源を有効活用するとともに、周りの人たちの技術を吸収しながら、地域を代表する農家になりたい。」と今後に向けた意気込みが感じられました。
当課では、今後も放牧実践者に対して安全に放牧が行えるよう継続して技術指導を行うとともに、関係機関との連携を図り、畜産による阿蘇管内の牧野利用の推進に取り組んでまいります。

2021年3月

補助事業を活用した園芸産地生産性向上の支援

阿蘇地域は、夏秋トマトやアスパラガス、トルコギキョウ等の園芸品目の栽培が盛んに行われています。このため、さらなる基盤強化に向け、今年度3市町村(阿蘇市、高森町、南阿蘇村)で県単事業の「攻めの園芸生産対策事業」を活用し、国庫補助の対象とならない耐風性ハウス(風速25m/s以上35m/s未満に耐えうる強度)112a(トマト、アスパラガス)のほか、アスパラガスの二重カーテン施設、花きの暖房機などの6施設を整備しています。アスパラガスの二重カーテン施設導入は、春芽の保温不足を解消し、出荷の安定や品質及び収量の向上を実現します。また、花きの暖房機導入は、出荷可能期間の延長や収量向上及び温度調整栽培による品質向上を実現するなど規模拡大と合わせて産地の育成に繋がっています。
今年度の「攻めの園芸生産対策事業」は、9月補正予算で事業化されたため、10月から事務手続きを開始するなど、例年よりも短い日程で事業を実施する必要がありました。そのため、関係機関と頻繁に連絡を取るとともに、中間での現地確認を2回実施するなど、計画工程どおり事業が終了するように努めています。
現在、次年度の事業活用についても、市町村やJAから多くの相談を受けており、今後も補助事業を活用しながら、産地の育成及び規模拡大の支援ができるよう関係機関と連携していきます。

2021年3月

設立総会の様子
阿蘇市の地域営農法人位置図

阿蘇市で地域営農法人設立ラッシュ!

阿蘇地域では担い手への農地集積を図るため、農地集積加速化事業を活用して地域営農法人を設立し、農地集積を進めています。
阿蘇市中央部に位置する東下原地区、西町地区、上役犬原地区の3地区では、令和元年度農地集積促進地区に指定され、話し合いを重ねてきた結果、2月11~23日にかけて、それぞれ(農)阿蘇紫伝会、(農)阿蘇アグリ西町、(農)阿蘇上役犬原の3法人が設立されました。
阿蘇市では、農地集積加速化事業を活用して平成29年度(2017年度)からこれまでに9つの地域営農法人が設立され、事業活用外の法人も合わせると10法人となり、法人化への取組が広がっています。地域営農法人への農地利用権設定面積は、今回設立された3法人の集積予定面積も含めると、阿蘇市の水田約4,300haのうち約477haとなり、全体の約11%を法人が担うことになります。
当課では、話合い活動への参加のほか、法人経営の安定化を図るため、新技術導入や補助事業の活用、経営相談等の支援を関係機関と連携しながら引き続き行っていきます。また、阿蘇地域集落営農連絡会※への加入を勧め、法人間の情報を共有することで法人の横の繋がりを強化し、研修会や現地検討会などを効率的に行っていきます。

※阿蘇地域集落営農連絡会…JA阿蘇が事務局で、阿蘇地域内の14法人が加入(R2.8月時点)

2021年2月

ホワイトトーチ
熊本地震より復旧した生産者ほ場

湿地性カラーの年内収量が向上!

阿蘇地域では、冬期の花き品目として、湿地性カラー、スターチス、ストック、デルフィニュウム、ラナンキュラスなど比較的寒さに強い品目が栽培されています。
冬期栽培品目のほとんどが暖房を利用し栽培しているなか、県育成品種の湿地性カラー「ホワイトトーチ」は、水をかけ流すことで水温を安定利用できる栽培により暖房機を使用せず栽培が行われるので、冬期の貴重な収入源となっています。
阿蘇地域の湿地性カラー栽培は、熊本地震によってほ場等に被害を受け一時は4戸の生産者から2戸に減少していましたが、ほ場の復旧・復興や新たな生産者が栽培を開始するなど現在4戸で約23aの栽培が行われています。
これまで、春先の管理遅れや夏場の高温による株疲れによって、単価の高い年内収量が県内の他産地より少ない状況でした。このため、春先の換気や早期ビニル除去を指導し、春先の適期管理と収穫を早期終了することによって株疲れの抑制ができました。この結果、年内収量が4,526本/10a(前年比118%)と向上し、生産者から「年内の単価が高い時期に量が出せてよかった。次期作もしっかり準備していきたい」といった感想がでました。
今後は、生産者ごとに収量の差がみられるため、個別巡回指導や講習会、現地検討会を利用し、適期管理や優良農家の事例紹介の情報提供を行うことで、更なる年内収量の増加と安定生産を目指します。

2021年2月

「ゆうべに」の状況(R3.1.29撮影)
JA阿蘇 選果場 

阿蘇イチゴ「ゆうべに」年内出荷最高記録を達成!

阿蘇地域は、県内でイチゴの栽培面積が4番目に大きな産地で、「ゆうべに」「恋みのり」「さがほのか」の3品種が約11.4ha栽培されています。年内は快晴が続き日照時間が十分確保できたことから、生育は旺盛となりました。また、第1花房と第2花房が連続出蕾したほ場が多く、年内収量(820kg/10a前年比110%)が過去最高となりました。特に「ゆうべに」は、1,110kg/10aと前年比164%と大幅な増加となりました。
連続出蕾により2月の株の成り疲れが危惧されましたが、摘花方法や電照時間などについて巡回指導を定期的に実施したことで、生育を維持しています。
また、今年度設置した「ゆうべに」の実証展示ほの結果から、定植時期のかん水不足が活着不良に繋がり、過度な連続出蕾に影響していると推察されました。このことから、次年度は花芽分化後の早期定植や定植時期のかん水方法などの指導を重点に行っていきます。
2月に入り、春先の温度管理や果実の着色基準などに関する資料を生産者に配布し、2月下旬からの収量増に備える予定です。
JA阿蘇イチゴ部会では185万パック(前年比105%)を目指しており、3月以降が約54%占めるため、本年産の後半も高品質なイチゴを安定して生産できるよう講習会や巡回指導を行っていきます。

2021年2月

経営相談会の様子
資料の例

~地域営農法人としての一歩を踏み出す前に~くまもと農業経営相談所を活用した経営相談会を開催

農業普及・振興課では、くまもと農業経営相談所を活用し、社会保険労務士などの各課題に応じた専門家を派遣していただいています。これまでに11経営体(個人7、集落営農組織4)を対象に専門家と市町村・農業公社・普及の支援チームで経営相談に対応しており、1月27日に年度内に地域営農法人設立を目指している3組織を対象に経営相談会を開催しました。
相談会では、各組織の中期5ヶ年収支計画(案)を基に当課経営担当が作成した資料により、資金計画を地域平均と比較することで各組織に対して経営や資金に対する意識づけを行いました。また、専門家(中小企業診断士)が作成した資料の説明を受け、キャッシュフロー計画をしっかり立てて資金を管理することや、経営理念→経営方針→経営計画にステップアップして考えること等の指導を受けました。
助言後の意見交換では、今後の作付動向や設備投資計画及び現在抱えている悩みや不安などについて聞き取りを行い、法人化を目指す組織の意向を確認しました。
相談者からは、「法人化後もこういう風に経営の専門家から見てもらえると安心する」と感想をいただいています。
当課では、今後も、これから法人化を目指す組織の支援を行うとともに、法人化後も地域の核となる担い手となるよう、引き続き経営指導や研修会を行うことで、法人経営の安定を支援していきます。

2021年1月

図1 土づくり講習会の様子
図2 土壌断面調査の様子(部会上位の生産者ほ場)

土づくり講習会を実施

12月8日にJA阿蘇小国郷中央支所で行われたJA阿蘇小国郷ホウレンソウ部会反省会において、事前に実施した土壌断面調査の結果とJAの土壌分析結果を基に、土壌環境改善による収量向上を目指す「土づくり講習会」を行いました。
土壌断面調査では、収量が部会上位の生産者と中位の生産者のほ場において、作土層の違いが見られました。上位の生産者では、土壌が団粒構造を保ちつつ、根が深くまで伸びる作土層となっていたことから、ロータリーによる作土層形成時の注意点や弾丸暗渠施工での排水性向上について説明を行いました。
また、土壌分析結果も収量が上位の生産者と中位の生産者では、団粒構造形成に必要な腐植の量に大きな差がありました。腐植を増加させるためには堆肥の投入が有効ですが、部会全体で肥料成分が過剰に含まれている傾向にあるため、肥料成分が少なく、腐植を多く含む土壌改良資材の投入を提案しました。
今回行った講習会を機に、現在普及計画で取り組んでいる「灌水方法の改良による収量向上」に加え、「土壌環境改善による収量向上」にも積極的に取り組んでいきたいと思います。

2021年1月

経営指導の様子
資料の例

~持続可能な経営に向けて~ 地域営農法人経営相談会を開催しました

阿蘇地域では地域営農法人など担い手への農地集積を進めており、平成27年から法人設立が続いています。
当課では、3年前からこれまでに設立された地域営農法人の運営に対するフォロー活動の一環として、市町村・JA・農業公社・普及の支援チームで経営診断を行っており、11月から7法人を対象に経営相談会を開催しました。
各法人の総会における決算報告書を基に、当課経営担当が経営分析、安全性分析を行い、財務諸表で特に見てほしい点を10項目程度選定、グラフ化した資料により経営状況についての助言を行いました。現在の経営状況を過去のデータや当初計画、地域平均と比較することで、法人役員に対して経営や資金に対する意識づけを行いました。
助言後の意見交換では、事前アンケートを基に経営管理状況を確認し、法人が抱えている不安、不満、不便及び今後の作付動向や設備投資計画などについて聞き取りを行い意向を確認しました。
今後もこれらの法人を地域の核となる担い手として育成するとともに、これから法人化を目指す地域に対する優良事例としていくため、当課では引き続き経営指導や研修会を行うことで、法人経営の安定を支援していきます。

2021年1月

無人トラクタとの並走実演
アシストスーツ試着体験

試して実感!「スマート農業理解促進授業」の開催

将来の農業担い手である農業高校の生徒に、スマート農業を身近に感じてもらい、理解を深めることを目的とした「スマート農業理解促進授業」を阿蘇中央高校と連携して、12月16日に開催しました。
授業には高校の生徒や教員のほか、地域若手農家など約30名が参加し、農業機械メーカーと農業研究センターの協力のもと、スマート農業取組事例の紹介やアシストスーツの試着体験、無人トラクタ走行の実演を行いました。
実演中、生徒からは驚きの声が上がり、疑問に思ったことを積極的に質問する様子も見られました。また、「自分とは縁のない技術だと思っていたが、実際体験することで身近に感じることができた。」、「自分が就農したら、ぜひ導入してみたい。」といった感想が聞かれました。さらに、学校関係者からも「貴重な体験ができたと思う。今後も地域と連携して、このような活動を続けていきたい。」との意見をいただきました。
当課では、今後も関係機関との連携を図り、スマート農業の普及・推進に取り組んでまいります。

2021年1月

4Hクラブ員発表者
グループワーク

阿蘇地方青年農業者会議の開催

12月17日に新型コロナウイルスの感染拡大対策を十分に行い、阿蘇地方青年農業者会議を開催しました。
今年度は意見発表2題、プロジェクト活動6題の発表のほか、新たな取り組みとしてオンラインによる発表も行われました。
発表後には、「阿蘇地方青年農業者クラブを活気のある組織とするために」をテーマにグループワークを行いました。グループ分けをクラブ員・行政・普及それぞれの年齢や所属機関ごとに行ったことで、それぞれの世代や立場から4HCに対する意見が出されました。4Hクラブ員や参加した関係機関にも新規クラブ員の確保や活発な活動に向けたそれぞれの役割について認識が高まり、クラブ員も今後の活動に対し新たな取り組みへの考えを持ち始めています。 
今後は、2月10日に開催される熊本県青年農業者会議で優秀な成績が収められるように、クラブ員と当課と一丸となって発表内容をさらに磨き上げていきます。当課では、クラブ員がやりがいのあるクラブ活動が行えるよう環境づくりを進めていきます。

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