2023年のエリア普及現地情報

2023年12月

実演会の様子
収穫の様子

鹿本産トウモロコシ収穫~子実用トウモロコシ現地検討会の開催~

10月31日に山鹿市鹿本町の(農)井手下ファームほ場において、鹿本地域子実用トウモロコシ現地検討会を開催しました。
子実用トウモロコシは、春播き・夏収穫が一般的ですが、鹿本地域では、地域営農法人における新規作物としての導入を想定し、麦後での生産に向けた検討を行っています。今年度は(農)井手下ファームの協力を得て、小麦と組み合わせた作付け体系として、6月5日に播種を行いました。この時期の播種は、虫害や台風の被害が懸念されるため、あまり推奨されておりません。しかし、適期にドローンによる殺虫剤散布を行うなどの対策を行い、天候にも恵まれた結果、刈取まで順調に生育することができました。
当日は、管内の法人の構成員等、約30名の出席者があり、当課から展示ほの概要説明のほか、ヤンマーアグリジャパンによる収穫実演会を行いました。収穫されたトウモロコシ子実は、大津町のネットワーク大津(株)に引き取られ、SGS※の原料となります。
農業普及・振興課では、今後も関係機関と連携し、地域営農組織における新規作物の導入をはじめ、法人の経営安定に向けた支援に取組んでいきます。

※SGS:ソフトグレインサイレージ、穀物を密閉保存し、サイレージ化させたもの

2023年12月

カラーほ場写真
現地検討会の様子

新たな鹿本の花【畑地性カラー】の出荷開始

10月4日より鹿本の新規導入品目である畑地性カラーの出荷が始まりました。畑地性カラーは豊富な花色と日持ち性の良さが特徴の花で、県内では主に阿蘇等の冷涼な地域で栽培されています。
鹿本地域の主力花きである輪ギクは、高齢化により栽培面積が減少しています。そこで、当課ではJAと協力して、3年前から畑地性カラーの栽培に取り組んでいます。
畑地性カラーは軽量で高齢者も取組める省力的な品目ですが、球根が高額で種苗コストがかかる事や高温期に土壌病害(軟腐病)が出やすい事が問題となっています。このため、これまで種苗コスト対策として採花後の球根再利用(球根冷蔵)、土壌病害対策として寒冷紗被覆による地温低下、高畦による排水性改善に取り組んできました。
その結果、R5年産は昨年より土壌病害の発生が少なく、また球根冷蔵により種苗費も半額以下に抑えることができました。一方で、冷蔵した球根は、購入球根に比べて採花本数が少なくなる等の新たな課題も抱えており、引き続き、改善に向けた調査と指導を行うこととしています。
11月上旬現在、出荷はピークを迎え、市場の反応も良く販売も好調です。今後も関係機関と連携し、新たな鹿本の花として畑地性カラーの導入支援を行い、鹿本地域の花き産地の維持を図っていきます。

2023年11月

審査の様子
褐毛和種グランドチャンピオン賞

2023鹿本地方畜産共進会の開催!

令和5年9月19日から21日にかけて、鹿本地方畜産共進会が開催されました。
この共進会は、鹿本地域の畜産振興と飼養管理技術の向上を目的とするもので、乳用種牛の部は9月19日及び20日、肉用種牛の部は9月21日の日程で行われました。運営は山鹿市、熊本市、県、畜産団体等で構成する実行委員会が行い、農業普及・振興課も実行委員として準備から当日の運営まで携わりました。
乳用種牛の部は、生産者の畜舎巡回の審査とし、25頭が出品されました。肉用種牛の部は、熊本県畜産農協城北支所の家畜検査場を会場に褐毛和種、黒毛和種計54頭が出品されました。審査員からは、発育が優れている牛が多いという声が多く聞かれ、鹿本地域の生産者が飼養管理の技術向上や改良に努力されてきた結果が、出品された家畜のレベルの高さに表れていました。なお、各部の上位出品牛は、11月4日に開催される畜産共進会に地域代表として推戴されます。
農業普及・振興課では、今後も畜産団体等の関係機関と連携し、畜産農家への情報提供や飼養管理技術の向上を図るとともに、鹿本地域の改良推進や基盤強化に取組んでまいります。

2023年11月

激励会の集合写真
事例発表の様子

新規者激励会を開催、就農者間の交流が深まる!

鹿本地域では、新規就農者を激励し、農家や関係機関との繋がりをつくることを目的に毎年、「新規就農者激励会(以下、激励会)」を開催しています。
本年度は、9月8日に鹿本地域農業改良普及事業協議会と山鹿市担い手総合育成支援協議会の共催で開催、新規就農者12名(本年度就農者6名のうち5名(親元就農1名、新規参入4名)、就農5年目までの者7名)、研修生6名、関係機関24名の合計42名の出席がありました。とりわけ今年は、関係機関との接点を早く作るため、例年の12月より時期を早め、就農5年目までの者にも案内を行い、より多くの新規就農者が参加できるようにしたことで交流促進に繋がりました。
また、激励会終了後は、事例発表として親元就農者と新規参入者の2名から「親と自分の経営方針の違いに悩んだ話」や「就農する際に必要なものが何もない状態からスタートした話」などの実体験について、それぞれの目線から発表してもらいました。 
その後、就農者や研修生から現在の不安などについて質問があり、それに対する助言を発表者や関係機関が行うなど、熱心な意見交換が行われました。
更に、夜の交流会では、新規就農者10名、研修生1名、関係機関19名の合計30名が出席、より砕けた形での意見交換が行われました。4Hクラブに加入している新規就農者がクラブの魅力を発信するなど、仲間づくりの大切さを語り合っていました。
農業普及・振興課では、今後も仲間と共に学び、日頃の悩みなどを共有できる場を提供し、新規就農者が深く地域に根付くことができる環境づくりに取組んでいきます。

2023年11月

環境モニタリング機器の操作説明
促成ナスの座学

JA鹿本地域担い手育成センターでの講義を支援~スマート農業を活用した栽培管理の習得に向けて~

鹿本地域には、平成30年度にJA鹿本が開設した「地域担い手育成センター」があり、令和4年度までに23名が入所、卒業後は独立自営就農や親元就農により、新たな担い手として地域農業を支えています。令和5年度は新たに5名の研修生が入所し、センターの施設で促成ナス、促成ミニトマト、スイカ(春・秋)栽培を学んでいます。
当課では、開所当初から研修生に対して、農業の知識を深め、卒業後は一人の農業者として確実に定着できるよう、ナス・ミニトマトや天敵利用に関する座学や生育調査を通した栽培指導等の支援を行っています。
本年度は、新たな取り組みとしてミニトマトハウスに環境モニタリング装置を9月下旬に設置し、研修生と関係者がデータを共有できる環境づくりを行いました。スマートフォンを利用してリアルタイムにデータが反映され、手軽にデータが確認できることに研修生は皆、興味津々の状況です。
今後は、生育調査データもシステムに反映させながら、「ハウス環境の見える化」を通して感覚ではなく、根拠に基づいた栽培管理につなげて学んでいけるよう、研修生に寄り添いながら引き続き支援していきます。

2023年10月

収穫直前の「シャルドネ」
早朝の収穫作業

ワイン用ブドウ 今年は上々の出来!

菊鹿町では、数々のタイトルを受賞したワイン「菊鹿シャルドネ」の原料となるワイン用ブドウが生産されており、菊鹿町葡萄生産振興会28名の生産者が安定生産・品質向上を目指して栽培に取組んでいます。
一方で、近年は単収の低下により、生産量が伸び悩んでいる園もあることから、当課では収量増加に向けた要因解析を行ってきました。その結果、「老木園が多い」「不要な発芽が多い」「結果母枝の充実不足」などが考えられました。
このため今年は、毎月の全園巡回による管理の徹底で、芽かぎや適期防除を指導した結果、終盤の病気の発生も少なく、花穂の発生も良かったことから、着果が良く房の大きいブドウが実りました。8月20日から「シャルドネ」の収穫が始まりましたが、収量が多く、糖度も高く、上々の出来と思われます。また、発芽を押さえる薬剤の試験、老木園の若返り対策として主枝更新を行っている園で調査を行い、好感触を得ており、今後、取りまとめて剪定を指導する時期に農家に還元をする予定です。
このように地域の宝であるワイン用ブドウ栽培を支えるためにも、当課では関係機関と連携した現地指導をはじめ、展示ほの設置等、生産性向上の支援を行っていきます。

2023年10月

法人の役員等21名と関係機関が参加
(株)タイミー竹下氏からZoomで説明

課題解決に向け、地域営農法人の研修会を開催

鹿本地域では現在17の地域営農法人が設立され、地域の農地の受け皿として各地区の状況に応じて米・麦・大豆等の生産が行われていますが、米価の下落や担い手不足等、地域営農法人をめぐる状況も大きく変化しています。
このため、各法人の課題解決に向けた契機とするため、8月25日に山鹿地域営農組織絡会法人部会と共催で、鹿本地域集落営農法人研修会を昨年度に続き開催しました。
研修会では、地域営農法人が抱える課題として、「単発労働力確保対策」「農地賃借料の設定」の2つのテーマについて、情報提供と意見交換を実施しました。
特に「単発労働力確保対策」では、(株)タイミーの竹下氏とZoomでつなぎ、サービスを紹介いただきました。話を聞いた法人からは、「高齢化が進み、畦畔草刈りの労働力が不足してくる可能性があるが、人は集まるか」「時給はどのように設定するのか」等の質問が出ました。また、「このようなサービスがあることは知らなかった。現在は地域内で何とかできているが、今後必要な場面が出てきたときは活用を検討したい。」との声もありました。そのほか、当課から畦畔管理技術やラジコン草刈り機等の情報提供とともに、県北広域本部農地整備課からは農業農村整備事業の紹介も行いました。
当課では、現在、17の全法人を訪問し、経営状況等の聞き取りと意見交換を行う「経営状況等調査」も実施しています。当調査で把握した課題については、今後の研修会や個別相談により、地域営農法人への支援を継続していきます。

※山鹿地域営農組織連絡会法人部会…営農組織で構成する連絡会議のうち、営農法人の部会(事務局:JA)

2023年10月

勉強会の様子
育苗の状況(8月末)

他産地からも積極的に学ぼう!! 「ゆうべに」を主体にイチゴ栽培勉強会を開催

鹿本地域では毎年、テーマを設けてイチゴ栽培勉強会を開催しています。本年度は、8月30日にJA鹿本苺部会(生産者44名)を対象に「県内の優良事例に学ぶ」をテーマに、農業革新支援センター協力のもと開催しました。
JA熊本市白浜苺部会がこれまで、熱心に取り組んでこられた「①育苗期の徹底した基本管理②活着促進のための管理方法③妥協を許さない摘果・摘果房の取組み」について紹介しました。また、他地域で取り組まれている「環境モニタリングを活用したハウス内環境の見える化と収量向上への取組み事例」も紹介しました。事例を聞いた生産者からは「減収の要因を見直す良い機会になった」「できる部分から改善し、収量向上に繋げたい」など前向きな声が多く聞かれ、9月からの本圃の管理に対して意欲が高まりました。
当課では、今後の支援としてハウス内環境モニタリング調査を計画しており、地域に即したスマート農業技術の導入を検証することとしています。篤農家と新規就農者の管理状況を「見える化」し、さらに関係機関も含めてデータを共有・解析することで、収量・品質向上につなげるのが目的です。鹿本地域に新たな風を吹き込み、イチゴ部会全体の高位平準化を図っていきたいと考えています。部会、JA、農業普及・振興課が一体となって支援することは、栽培技術の向上だけではなく、新規就農者の受け入れ体制の強化や定着にもつながるため、今後も継続して支援を行っていきます。

2023年8月

さらなる高みを目指して!お茶検討会・研修会を開催

7月12日、山鹿市茶業振興協議会の主催でお茶検討会・研修会が開催され、鹿本地域の各茶工場や生産部会から20人以上の参加がありました。
お茶検討会は、各茶工場の1番茶について、生産者が試飲して評価を行い、切磋琢磨して品質を向上させることを目的に実施されており、今年度は計16点について検討を行いました。今年度の一番茶は、被覆開始や摘採時期の判断が難しい気象条件の中でしたが、うまみの乗った良質なお茶が多数ありました。
当課からは、事前に行った出品茶の成分分析の結果を報告し、実際に試飲した評価と成分分析の結果を照らし合わせることで、茶の品質についてより理解を深めてもらうよう工夫しながら説明を行いました。
検討会後は、茶業研究所や農業革新支援専門員等を含めた関係機関が、生産者の質問に答える形での研修会を開催しました。肥料代が高騰している中での肥培管理や、1番茶で摘採を終える場合の枝条管理など、現場で生じている課題について多くの質問があり、生産者同士での議論も活発に行われました。
当課では、今後も茶業振興協議会の活動を支援するとともに、関係機関と連携しながら、収益向上のためのお茶の新製品開発や、肥料高騰対策としての施肥設計等の支援を行っていきます。

2023年8月

講座の様子
講座の様子

新規就農フォローアップ講座、第1回目を開催~就農にあたっての心構えと青色申告の基礎を講義~

鹿本地域では、新規就農者が一日も早く安定した経営を実現することと農業者同士の交流を深めることを目的に、必要な知識や技術を学ぶ場を提供するため、「新規就農フォローアップ講座」を毎年実施しています。
本年度は、合計4回(①就農にあたっての心構えと青色申告の基礎、②青色申告の応用、③先輩農業者の事例発表会、④経営者協議会との意見交換)を実施する予定で、令和5年7月21日(金)に第1回目となる「青色申告基礎講座」を開催しました。
当日は、新規就農者8名、農業研修生7名、関係者4名の合計19名の出席があり、農業経営者となる意味や青色申告の意義、やり方等について農業普及・振興課から講義を行いました。受講者からは、「実際に申告をしているため、内容がすごく頭に入って勉強になった」、「今年から申告をするため、今後もわからないことは積極的聞きたい」等の声がありました。
農業普及・振興課では、この講座を通じて農業経営者としての必要な知識や技術の定着を促進することはもとより、更なる新規就農者等のネットワークづくりに取り組んでいきます。

2023年8月

土壌の断面写真(菊鹿)
土壌調査を学ぶ育成センター研修

産地一体型「アスパラガスの新規就農支援」~土壌断面調査と講義を合わせて実施~

7月26日、来年春にアスパラガスの定植を検討している新規の生産者3名を対象に予定ほ場の土壌断面調査を行いました。この調査は、土壌の排水性や土性をより詳しく分析するために行うもので、定植から15年以上、植替えを行わず栽培を継続するアスパラガス栽培では重要な調査になります。当日は、農業革新支援センターと協力し、JA鹿本アスパラガス指導員立合いのもと、生産者に断面調査の結果説明と指導を行いました。また、今回の調査はJA鹿本地域担い手育成センターの講義も兼ねて行いました。新たな担い手である研修生5名に対して、土壌診断と改善対策の大切さについて実技を交えて、伝えることが出来ました。
当課では、今後の新規就農者支援として来年春の定植に向けた栽培講習会を計画しています。アスパラガス栽培に必要な資材や、準備・作業の流れを理解してもらうことで、スムーズな定植に繋げることが目的です。また、昨年度から取り組んでいる若手生産者グループの勉強会にも勧誘し、体系的な栽培技術の指導も行っていく予定です。
部会、JA、農業普及・振興課が一体となって支援することは、栽培技術の向上だけではなく、新規就農者の受け入れ体制の強化や定着にもつながるため、今後も継続して支援を行っていきます

2023年8月

現地検討会の様子
出荷選別の様子

夏の風物詩「ホオズキ」の出荷はじまる

今年も、鹿本地域の特産花きであるホオズキの出荷が6月28日から始まりました。当地域のホオズキ栽培は40年以上の歴史があり、8戸の生産者が7月を中心に、主に関東方面に出荷しています。
しかし、近年は連作障害と思われる葉枯れ症等の発生とともに、新型コロナウイルス感染症による消費低迷や他産地の出荷量増加もあり、7月出荷の単価が安定しない等の課題がありました。このため、JAかもとホオズキ研究会では①土壌消毒の徹底 ②Ca剤等の葉面散布の徹底 ③計画的な出荷に向けた定植時期等の見直し ④8月出荷の検討の4点に取組んできました。
また、農業普及・振興課では、JAと協力して個別巡回や現地検討会での全戸巡回を行い、生産者への意識づけと作業遅れの防止に取組むとともに、高温による品質低下対策として遮熱性の高い寒冷紗の導入を進め、4戸の生産者が寒冷紗(33a)を導入するに至りました。
これらの取組みにより、本年産は着果も良好で品質も良く、本数も昨年より多い8万本の出荷が見込まれています。これまでは感染予防のため、視察等の部会活動の自粛も余儀なくされていましたが、今年は新規栽培者も1名増え、視察や消費宣伝活動も計画されており、今後の積極的な活動が期待されます。
当課では今後も関係機関と連携し、新規栽培者の栽培技術の向上を図りながら、ホオズキ産地の維持や経営の安定を図っていきます。

2023年8月

ウリ類ウイルス病発生状況調査の様子
啓発ステッカー貼付の様子

ウリ類ウイルス病対策の徹底を呼び掛け~春夏スイカ後のハウス閉めこみを徹底~

鹿本地域では春夏スイカの栽培がおおむね終了する6月を中心に、関係機関と連携して「コナジラミをハウスから出さない」対策を徹底する活動を行っています。
今年度は、まず5/26~6/20の期間に計9回、約400名の生産者を対象に講習会を開催し、栽培終了後のハウス閉め込みについて意識の徹底を図りました。
さらに6/16~7/15の1か月間、山鹿市全域及び熊本市北区植木町において、広報車4台による広報活動を行っています。栽培終了後のハウスの閉め込みについて、全生産者に向けて呼びかけを行うとともに、対策未実施のハウスについては、入り口に啓発ステッカーを貼るなどして、個別指導を強化しています。
こうした活動により、6/6~6/3のウイルス病発生状況調査における春のウイルス病の発生株率は、スイカで5.7%(令和4年:7.7%)、メロンで3.3%(令和4年:2.2%)と低い水準が維持され、「コナジラミをハウスから出さない」対策と生産者の意識が高まっている結果となりました。
今後も関係機関とともに、地域一体となってウリ類ウイルス病対策を実施していきます。

2023年7月

出芽の様子(6/5)

地域で初めての取組!「鹿本地域水稲直播実演会」開催

鹿本地域では、今後の高齢化等も見据え、水稲の育苗作業の負担軽減ができないかと、地域営農法人等から相談があっていました。このため、5月25日に水稲の省力化技術である直播の実証・普及を目的とした「鹿本地域水稲直播実演会」を開催しました。
今回の実演会では、農業機械メーカーの協力を得て、直播の中でも湛水直播について、「コーティング種子のドローン播種」と、「無コーティング種子のトラクターによる代掻き同時播種」の2種類の方法の実演を行いました。これらの技術の実演は、鹿本地域で初めての取組となります。
当日は、地域営農法人を中心とした生産者や、関係機関など30人以上の参加があり、質問も多く寄せられ、省力化技術への関心の高さを感じました。
播種後の状況としては、田面が低い場所でスクミリンゴガイによる食害等により出芽が確認できないなど、すべて順調とはいえませんが、初めての取組ということもあり、生産者とも密に協力しながら、栽培管理を進めています。
農業普及・振興課では、今後も、栽培管理指導や調査を行っていくとともに、水稲直播をはじめとした省力化技術の実証・普及に取り組んでいきます。

2023年7月

pFメーターを用いたかん水管理
排水性改善のための縦穴堀りの様子

次世代のアスパラガス生産者の育成に向けて~収量3tを目指して重点指導を実施~

JA鹿本アスパラ部会では、収量目標3t/10aを達成出来る若手生産者を育成するため、アスパラ株齢3年以内(約10名)を対象に当課と連携して、重点指導を行っています。また、栽培技術を早く習得してもらうための勉強会や、若手生産者グループ間での技術共有・情報交換も精力的に行っています。
この中で、農業普及・振興課では、本格的な夏芽の出荷に向けて、かん水管理方法の改善による収量向上(前年比25%増)を目標に掲げ、技術対策の指導に取り組んでいます。
特に梅雨入り後は、かん水の判断が難しくなるため、pFメーターをほ場に設置し、土壌水分の「具体的な数値」を意識したかん水管理を指導しています。併せて、土壌下層部に耕盤があり、排水性が悪い生育不良のほ場では、エンジンオーガを用いて縦穴暗渠を施行し、排水性の改善にも取り組みました。
その結果、かん水量やかん水頻度の改善が図られ、夏芽の出荷量も順調に増えています。また、生産者もその効果を強く実感されています。
部会、JA、普及・振興課が一体となって支援することは、栽培技術の向上だけではなく、新規就農者の受け入れ体制の強化や定着にもつながるため、今後も継続して支援を行っていきます

2023年7月

総会の様子
祝賀会の様子

令和5年度「鹿本地方農業経営者協議会」スタート!3年ぶりの「農業関係表彰受賞者祝賀会」も開催

鹿本地方の篤農家で組織する「指導農業士協議会」と「農業経営同友会」が合併した「鹿本地方農業経営者協議会(以下、協議会)」が令和4年9月に設立されて以降、初めてとなる通常総会を、5月25日に山鹿市内で開催しました。
現在、協議会の会員数は72名(うち指導農業士30名)ですが、会員から「地域農業の維持発展のためには、新規就農者の確保、育成が喫緊の課題」という声が多く、今年の活動は、新規就農者・就農予定者・JA鹿本担い手育成支援センターの研修生との意見交換会や県外視察研修などを行うことを決議しました。
また、総会終了後は、農業コンクールなど表彰受賞者をお招きした「鹿本地方農業関係表彰者受賞者祝賀会」も3年ぶりに協議会主催で開催しました。受賞者(32組(うち16組出席)、協議会員、関係団体の約60名出席があり、コロナ禍で2年間延期を余儀なくされていた期間を含め、久しぶりの祝宴と親睦を深める機会となり、活発な情報交換がなされました。
農業普及・振興課では、今後とも協議会の活動支援を行いながら、新規就農者との交流の場を積極的にコーディネートするなど、地域が一体となって新規就農者を支える仕組みづくりに取り組んでいきます。

2023年6月

露地ナスほ場(鹿北町岩野)
定植後1週間のナスの様子

鹿北町の露地ナス定植が順調にスタート!~若手生産者への個別指導を強化~

令和5年度JA鹿本鹿北町茄子部会の露地ナス栽培が面積約2.4ha、部会員数24名でスタートしました。鹿北町は県内でも有数の露地ナス産地であり、部会には栽培歴30年以上のベテランから新規就農者まで幅広く在籍しています。現在は定植作業の真っ最中で、6月中下旬の出荷に向けて取り組んでいます。
昨年度は梅雨明け以降の天気も安定していたことや病害虫対策の徹底により、収量・品質とも良好で、部会歴代最高の成績となりました。しかし、一部ほ場では定植直後の活着不良や、夏場のかん水不足による樹勢低下が見られたため、定植後のスムーズな活着に向けた対策が、より一層求められています。
そこで、農業普及・振興課ではJA鹿本と連携し、特に栽培経験の少ない就農3年目以内の若手生産者に対しては巡回数を増やし、定植日や生育に合わせた指導の強化に取り組んでいます。今後は特に高温・乾燥傾向が続くと予想されるため、活着までのかん水管理(根回し水、発根剤施用)を重点的に指導し、本年の気象に合わせた管理の見直しを呼び掛けています。また、肥料高騰対策として、低コストの代替肥料を用いた栽培試験にも取り組む予定です。
当課では、ほ場の温度データの測定等も行いながら、更なる安定生産及び品質向上に向けて、関係機関と協力して取り組んでいきます。

2023年6月

「山鹿市4Hクラブ総会」3年ぶりの対面開催~7名の新規クラブ員が加入!~

4月21日(金)、対面での開催は3年ぶりとなる山鹿市4Hクラブ総会が開催されました。昨年度からクラブ員と協力して、地域の若手農家との交流や先輩農家へクラブ員候補者の情報提供依頼等を行うとともに、プロジェクト活動での躍進ぶりが認知度向上にも繋がった結果、今年度から新たに7名ものクラブ員の加入がありました。新体制の活動テーマは「交流」に決定し、15名の約半数が新規クラブ員となる今年度にふさわしいテーマとなりました。
総会後は、4Hクラブ員と普及員でクラブ員の経営や技術の課題について話し合う、「プロジェクト検討会」を実施しました。クラブ員と普及員との顔合わせを行い、スムーズにプロジェクト活動に繋げていくことが狙いです。初参加の新規クラブ員とも、経営の状況や悩みについて活発に意見交換を行いました。
山鹿市4Hクラブでは、昨年度の県農業者会議で総合優勝したことで、クラブ員の士気が高まっており、さらに7名もの新たなクラブ員を迎えたことで、今後の活動の活性化が期待されます。
当課では、プロジェクト活動への支援とともに、新規クラブ員の確保や交流会などのクラブ活動についても、引き続き支援していきます。

2023年4月

対策資料を説明する城本参事(当時)
鹿本地域における対策活動の説明資料

ウリ類退緑黄化病防除対策会議を3年ぶりに開催~令和5年度の重点活動を関係者で確認~

コロナ禍により2年間開催されていなかった「鹿本地域ウリ類退緑黄化病防除対策会議」を、山鹿市、熊本市、JA、物産館連絡協議会、生産者代表など関係機関37名を参集し、令和5年3月23日にJA鹿本本所で開催しました。
会議では、まずJAから今年度の活動経過が報告された後、当課から鹿本地域におけるウリ類退緑黄化病対策について説明を行いました。事前に実施した生産者へのアンケート結果からは、退緑黄化病の認知度は93.6%に上り、どのような対策を取ればよいか知っていると答えた割合も9割を超えていました。
一方で、実際に行われている「入れない」「増やさない」「出さない」の対策内容には、生産者間のバラつきが大きいことが示されました。参加者からは、対策の更なる徹底や一斉防除の必要性について熱心な発言がありました。また、「栽培後のハウスの閉め込み」に重点をおいた、令和5年度の活動スケジュールを確認しました。
今後も関係機関と連携し、地域一体となってウリ類退緑黄化病防除対策を実施し、スイカを中心としたウリ類の生産安定に取組んでいきます

2023年4月

「川南地区」集積・集約状況
法人の新規作物導入の検討

鹿本地域農地集積推進チームの取り組み~「川南地区」の農地集積と営農法人の体制強化を支援~

当課が事務局の「県・市連携会議」農地の有効利用部会※では、JA鹿本を加えて農地集積推進チームを編成し、農地集積の推進に取組んでいます。
3月14日に、今年度最後の会議を開催し、年間活動の総括を行いました。
今年度は、山鹿市農業委員会が中心となり、川南地区をモデル地区に設定し、目標地図の作成と農地中間管理機構による利用権設定を推進したことにより、1ha以上の団地面積が7.5haから32haへと大幅に拡大しました。
また、当課が主導し、集積の受け手となる地域営農法人の体制強化を支援した結果、JA研修卒業生など若手オペレーターの確保事例が出てきたほか、子実用トウモロコシなどの新規作物導入の取組みも始まりました。
さらに、農地整備課では、基盤整備を契機とした農地集積推進に向け、農業農村整備の現状把握(特に用水路等の再整備)と課題の抽出、地元要望の内容・エリアのマッピング作業等を実施しました。
今後は、「川南地区の事例を基にした効果的な『地域計画』策定の推進」、「地域営農法人の経営力強化と更なる農地集積に向けた取組みの支援」、「市と連携した、地域の状況を踏まえた計画的な基盤整備推進方策の検討」について、関係機関と連携を密にしながら、引き続き活動を進めていきます。

※構成:(山鹿市:農業振興課、農林整備課、農業委員会、振興局:農業普及・振興課、農地整備課)

2023年3月

茶園品評会の審査結果をもとに栽培管理指導を実施

鹿本地域には、製茶工場や茶生産団体で組織する山鹿市茶業振興協議会があり、茶業の安定・振興を目的として技術研鑽等に取り組まれています。昨年11月に開催された熊本県茶品評会(茶園の部)に協議会から4名の農家が出品されました。惜しくも入賞はならなかったものの、審査では茶園の管理状況の確認や土壌分析が行われたため、当課ではその結果をもとに次年度に向けた栽培管理指導を行いました。
指導に当たっては、茶園品評会の調書として各農家から提出された栽培管理記録と、当日の審査結果及び土壌分析結果から、農家毎に栽培管理の処方箋を作成しました。
出品された農家に対しては、昨今の肥料高騰により、土壌中に蓄積している主要成分の施用量を減らすことと、茶の品質に影響する微量要素補給の話を中心に行いました。指導を行った農家からは、「コスト削減を考えながらも品質向上させる対策が分かり、さっそく実践してみる」との意見もありました。
茶の消費低迷や、肥料高騰など情勢は厳しいですが、地域の主要な作物の一つとして、今後も茶業経営安定に向けた支援を行っていきます。

2023年3月

講習会の様子(部会生産者33名出席)
春のまだら果対策について(資料の一部抜粋)

いちご「ゆうべに」春のまだら果対策講習会を実施

2月8日、いちご「ゆうべに」まだら果対策講習会を開催しました。本年のJA鹿本苺部会の「ゆうべに」年内収量は約800kg(前年比130%)と、定植~年内にかけての温暖な気候の影響も相まって、過去最高の反収量となりました。しかし、年内の着果負担の影響から生育が緩慢なほ場も散見されるため、出荷の折り返しとなるこの時期に、①年内までの栽培状況の振返り、②春先のまだら果および灰色カビ病果の発生予防対策、③今後の栽培管理ポイント(温度、電照、施肥管理)について座学形式で指導を行いました。
当課では、例年よりも生産者ごとの生育状況に差が見られるため、実際に部会生産者ほ場の写真を用いて生育が弱っている株、維持できている株の判断の目慣らしと、生育に合わせた今後の管理について共有しました。初の試みでしたが生産者からも多くの質問が寄せられ、より実践的な講習会になりました。
また、農薬一覧表を新たに作成・配布し、今年の被害報告が多い灰色カビ病果や、防除が困難となっているスリップスの防除強化に取り組んでいます。
今後も関係機関と連携して安定出荷できるよう栽培支援を行っていきます。

2023年3月

就農相談の様子(2/11就農相談会)
協議会のブース(2/25マイナビFEST)

担い手協議会による広域就農相談会への出展

山鹿市、山鹿市農業委員会、JA鹿本、県等で組織する山鹿市担い手育成総合支援協議会では、昨年6月の総会を機に毎月の担当者会議や就農相談会を開催するなど関係機関の連携を強化し、新規就農者の確保・定着に向けた支援体制を充実させてきました。
その一環として、県内外の就農希望者に山鹿市をPRするため、これまでJA単独で出展していた熊本県就農セミナー&相談会(2月
11日)、隣接する福岡県で開催されたマイナビ農林水産FEST(2月25日)に市・JA・県の合同チームで参加しました。
相談者は熊本会場で4名、福岡会場で3名と多くはありませんでした。しかし、具体的に山鹿市での農業を考えておられる方にはJAでの研修や市の補助制度を紹介したり、県外で山鹿市のことをよく知らない方には観光名所など山鹿市の魅力や移住の窓口も併せて紹介するなど、混成チームならではの協力した対応ができました。
また、福岡会場での出展に合わせ、協議会でテーブルの腰巻を新調し、山鹿市観光PR動画を流しましたが、他のブースでは揃いのハッピやノボリなど更に目立つ工夫がされており、今後のPRに向けた参考になりました。
今後も、関係機関で協力し合って他地域からの就農者の呼び込みに努め、協議会HPの開設など、山鹿市の農業の魅力を発信できるような取組みを進めていきたいと考えています。

2023年3月

2/14熊本県青年農業者会議
2/27鹿本青年農業士との交流会

山鹿市4Hクラブ、波に乗ってます!

山鹿市青年農業者クラブ(以下、4HC)には、若手農業者13名が所属しており、日々精力的に活動を行っています。
2月14日には、「熊本県青年農業者会議」が開催され、鹿本地方から計6名が参加しました。当課では、12月の市大会の反省を踏まえ、クラブ員がより良い発表ができるように支援を行いました。そして、当日は全員が練習の成果を存分に発揮したことで、7年ぶりとなる総合優勝を達成することができました。
また2月27日には、先輩農家との意見交換を目的とした「鹿本地方青年農業士との交流会」を開催しました。青年農業士には、4HCのOBも多く在籍しており、意見交換は4HC活動について考える良い機会になりました。クラブ員や青年農業士からは、「昔の活気ある4HCの雰囲気を感じた」、「毎年恒例にしたい」という意見が出る等、互いにとって有意義な会になったようです。また、青年農業士から、クラブ員候補の情報提供があり、交流会をきっかけに、新規クラブ員の多数獲得にも希望が見えてきました。
活動の機会やクラブ員数が減少傾向にある中で、クラブ員の活動意欲低下も見られていましたが、今回の総合優勝と交流会により、クラブ内の士気は高まっています。さらに新規クラブ員の多数獲得が実現すれば、来年度は更なる4HC活動の活性化が見込まれます。
当課では、将来の地域農業を担うクラブ員にとって、4HCの活動がより良い成長の機会となるよう、引き続き支援していきます。

2023年3月

クリ剪定講習会の様子

クリの産地活性化への取り組み

鹿本地域は西日本一のクリの産地で、栽培面積も年々増加傾向にありますが、近年ではクリの高木化や生産者の高齢化による労力不足が課題となっている状況です。また、最近では、新規栽培者のクリの植栽方法の理解不足や幼木管理等が不十分なことに起因する生育不良も起きています。
そこで当課ではJA鹿本と連携して、9月に2回、新・改植者に苗木の植え付け指導を行ってきましたが、今回、12月から1月にかけてJA鹿本クリ部会に対し剪定講習会を8回実施しました。講習会には約130名の参加があり、当課からは成木と幼木の剪定指導を行うとともに、高木や急傾斜園、労力不足の園では剪定作業受託組織の活用を推進しました。昨年産のクリの価格が好調だったこともあり、例年より女性や若手の生産者も多く参加し、質疑応答もとても活発に行われました。特に、高樹齢の園が多い地域では改植事業の説明も行い、品質向上や収量安定を図りました。
また、今年度は剪定受託作業組織の体制強化に向けて、補助事業の活用による機械導入支援や、新規作業員の勧誘も積極的に行いました。現在、新規就農者が1名、作業員として研修中であり、他にも多数の問合せがあっている状況です。
今後とも、当課ではクリの安定生産と品質向上のため、引き続き関係機関と連携しながら産地活性化を行っていきます。

2023年3月

現地検討会の様子
1/31検討会の様子

(農)岳間の杜における検討会を開催

山鹿市鹿北町の山間部にある農事組合法人「岳間の杜」では、19名の組合員が約7haで米作りを行っています。当課は、(農)岳間の杜を中山間モデル地区の重点指導対象と位置づけており、今年度は「新規需要米の導入」と「販路拡大」の2つを柱として支援してきました。この度、1月31日に今年作の振り返りと次年度に向けた取組みについての検討会を開催しました。
(農)岳間の杜では、今年作から新規需要米「ミズホチカラ」を導入しており、定着に向けて初年度の収量確保が課題でした。当課からは、現地検討会を毎月実施する等の支援を行ってきたこともあり、台風や病害虫による被害を最小限に留め、目標収量をほぼ達成することができました。さらに、検討会において収益性の比較や次年度作に向けた対策を十分協議できたことで、次年度は作付面積を1.2ha→2.2haに拡大することが決定されました。
また「販路拡大」として、今年度から独自のシールを作成する等、販売力を強化の取組みを支援しており、少しずつですが販売先の拡大や直販の売上も増えてきています。次年度は、法人オリジナルの米袋作成にも取り組む予定です。
今回の検討会では、全体を通じて組合員から活発な質問や意見が出され、今後の活動強化に向けて非常に前向きな意識の変化が感じられました。
当課では、(農)岳間の杜が中山間地域のモデルとなるような法人になることを目指し、引き続き支援していきます。

2023年3月

研修生と法人との顔合わせ
意見交換会

担い手の確保に向け地域営農法人の研修会を開催

鹿本地域では現在17の営農法人が設立されていますが、その多くが担い手の確保を課題として挙げており、役員や構成員の高齢化が進むなか、法人経営継続に向けた懸念を持っています。
法人の担い手確保に向けた取組みを推進するため、1月27日に管内の集落営農法人を対象に担い手確保に向けた研修会を開催しました。
また、研修会には、JA鹿本担い手育成センターの研修生6名にも出席してもらい、就農後に地域との関わりをスムーズにするきっかけとなるよう、各法人との顔合わせを行いました。
研修会では、法人のオペレーターとして活躍されている2名の方と、その法人の代表者から、管内の担い手確保事例として発表いただきました。
この2名の方は、担い手育成センターの卒業生であり、法人の組合員としても加入され、ご活躍されています。また、法人に入ったことで、自分のハウスのビニル張りに地域からの協力が得られるなど、大きなメリットを感じられておられました。法人の代表者からは、就農して間もないなか、我が家の経営を優先してもらい、できるときに法人の作業を依頼するなどの配慮を行っていることが紹介されました。
その後、意見交換では農大卒業生の受け入れに向けた動きや、雇用に関する考えなどの紹介があり、当課からも雇用の際に必要な保険等の制度について情報提供を行いました。
担い手の確保は、法人経営継続を行う中でも重要な課題です。当課では、今後も法人の担い手確保に向けたきっかけとなるよう、継続的な研修会の実施と法人の状況に合わせた担い手確保対策を推進していきます。

2023年3月

ミニトマト生育調査
農業経営講座

新たな担い手の育成・確保に向けた支援活動

JA鹿本では、次世代の担い手を育成・確保し、産地の維持・拡大を図るため、平成30年から地域担い手育成センターを運営し、研修生の受入れを行ってきました。これまで18名が鹿本地域の新たな担い手として活躍しています。
同センターでは7月から翌6月までの1年間、スイカ・ナス・ミニトマトの栽培実習が行われます。今年は、同センター所属の6名及び篤農家(センターで栽培していないイチゴ、アスパラガス)で栽培実習を行う2名に対し、栽培技術や農業経営などの座学研修が行われ、当課でも支援を行っています。
栽培に関しては、現在研修生と共にミニトマトの生育調査やナスの天敵定着状況調査を行い、生育診断や天敵の利用方法等の習得支援を行っています。
経営に関しては、農業簿記の基礎や農業経営の基本について指導し、理解を深めた所で、2月の就農計画認定を目指して昨年10月から1月まで計画の作成支援を行ってきました。就農5年目までに概ね250万円以上の所得目標を達成するため、収支計画や資金の活用計画などを作成し、初期投資を抑えながら適切な農地や栽培施設、農機具を確保するよう指導しました。
研修生には、その他にも青色申告基礎研修(8月)や新規就農者激励会・4Hクラブ活動発表会(12月)、集落営農法人研修会(1月)なども適宜案内し、農業に関する学びや関係者との交流の場の提供に努めており、今後も引き続き関係機関と連携して計画的な支援を行っていきます。

2023年3月

就農定着に向けた営農サポーター意見交換会

山鹿市担い手育成支援協議会では、新規就農者の定着を図るため、国の交付金制度の対象者となっている新規就農者に営農サポーター(国ではメンターと呼称)を配置し、営農のアドバイス等を行うことになっています。
今回、それぞれの営農サポーターがどのような活動を行っているかお互いに確認し、新規就農者への今後の指導に活かしてもらうため、意見交換会を行いました。
まず、山鹿市から営農サポーターの役割や期待することなどの説明があり、参加者からは活動状況や困っていること、協議会への要望などについて意見をいただきました。
就農前から数多く接触していただいた方も多く、就農者のハウス建込みが遅れていたので仲間総出で手伝って定植に間に合わせた、排水対策をするよう直接指導したほ場以外では対策を行わず生育不良だったなど、就農者の農業の感覚に戸惑いながら、指導されているようでした。
また、自分が作っている品目は指導ができるが、それ以外の品目に対しどうすればいいかという質問があり、当方からは普及やJAの指導員、近所で上手に作っている農家などを紹介してやってくださいと返答しました。
協議会に対しては、研修生への経営指導をもっと強化してほしいという要望が多く、実際に農業を始めてからの「学びの継続」の重要性を強く感じました。
営農サポーター自身の悩みや就農者と多く接しているからこそ分かる就農者の不安や葛藤、支援機関に求めることなど活発な意見が交わされました。
次年度は、交付対象者が増える分だけ新たな営農サポーターも必要となるため、より早い時期の意見交換会の開催を協議会で検討しているところです。

2023年2月

品評会審査の様子
市民交流センター展示の様子

鹿本地域切り花品評会開催

12月15日、JA鹿本花卉部会と熊本県花き協会鹿本支部の共催で鹿本地域切り花品評会を開催しました。これは、花卉部会員の栽培技術研鑽と品質向上を目的として2年毎に開催しているものです。
当日は、鹿本地域の主力品目であるキク類を中心に23点の切り花が出品され、審査終了後は部会員に見てもらうため花き集荷所内で展示しました。上位入賞品の他、出品物の中には現在導入を進めている「精興明杯」や「畑地性カラー」もあり、品質や切り花特性を直接見てもらう良い機会となりました。
その後、鹿本産花きの紹介・宣伝のため場所を変えて山鹿市民交流センターのロビーで展示を行いました。前回の品評会開催時はコロナによる行動制限が出ていたため展示を中止しており、4年ぶりの実施となりましたが、訪れた人の中には4年前の展示を覚えていた方もおり「今回の菊も立派だね。」「花を見ると気持ちが明るくなる、また展示して欲しい。」など、次回の開催を求める声も多く寄せられました。
コロナの影響で活動が制限されるなか、当課では関係機関と連携して、これまで観光施設での花の装飾展示や、フラワーアレンジ・寄せ植え体験教室等を開催してきました。今後も鹿本産花きの消費拡大のため、地元消費者へ向けた活動に取り組んでいきます。

2023年2月

発表の様子
新規就農者との意見交換

山鹿市4Hクラブ「プロジェクト活動発表会」を開催

山鹿市青年農業者クラブ(以下、4HC)には、若手農業者13名が所属しており、日々精力的に活動を行っています。12月16日には、山鹿市と4HCの主催で、プロジェクト活動発表会が開催されました。
当課では、6月に活動方針を検討し、その後は課題解決に向けた栽培技術や発表内容への指導により、クラブ員の支援を行ってきました。
当日は、意見発表1題、プロジェクト活動7題の発表がありました。意見発表では農業に対する思いや将来の目標、プロジェクト活動では新技術の導入や、地元の農高生への4HCや農業に対する意識調査等の発表が行われ、審査員から高い評価を得ることができました。
また、初の試みとして、会に参加した新規就農者との意見交換を実施したことで、4HCに興味を持った様子の新規就農者も多くみられ、クラブ活動をPRする良い機会になりました。
当課では、将来の地域農業を担うクラブ員にとって、4HCの活動がより良い成長の機会となるよう、引き続き支援していきます。

2023年2月

3年ぶりの新規就農者激励会開催

鹿本地域農業改良普及事業協議会は、振興局が活動主体となり、山鹿市やJA鹿本などの関係団体と連携して活動していますが、近年はコロナ感染症の影響により十分な活動ができない状況でした。
今回、12月15日に、3年ぶりとなる鹿本地域の新規就農者激励会及び先輩農家の事例発表・意見交換会を山鹿市内のホテルで開催しました。
令和2~4年度の新規就農者やJA鹿本の研修生などを激励会に案内したところ、管内から22名の参加がありました。
主催者挨拶、来賓の鹿本地方農業経営者協議会や山鹿市4Hクラブからの激励の言葉に続き、新規就農者が営農している地区や作目などについて自己紹介を行い、交流をスタートさせました。
その後、市、農業委員会、共済、JA、普及から情報提供を行い、新規就農者にいつでも相談できる体制であることをPRしました。
事例発表では、令和元年度及び2年度の県農業コンクール新人王部門に出場された2名の方に経営内容や課題、将来目標などを語っていただきました。
新規就農者や研修生にとって関心の高い話に参加者は熱心に聞き入り、発表後には多くの質問や意見が交わされ、大変有意義な研修となりました。
今回の開催で、新規就農者同士及び関係機関が直接会って交流を深めることの重要性を改めて認識させられました。今後も積極的に新規就農者に働きかけ、技術向上や交流の場の提供に努めていきます。

2023年1月

11月9日支援センター実地演習の様子 (防疫服着衣)
11月17日防疫研修会の様子

鳥インフルエンザ発生に備えて防疫演習を開催

管内での鳥インフルエンザの発生を想定し、防疫措置における後方支援業務についての内容及び役割を確認することにより、各関係機関の防疫体制及び連携強化を図ることを目的に、鹿本地域家畜伝染病防疫演習を開催しました。
11月9日には、支援センター候補地となっている山鹿市菊鹿多目的研修集会施設において当振興局及び山鹿市により、支援センター設営と資機材の搬入、防疫作業員の受け入れ、健康観察、防疫服着脱等についての手順や動線の確認等の実地演習及び検討会を行いました。また、11月17日には、当振興局で山鹿市、山鹿警察署、農業団体等を参集し、防疫研修を実施しました。
今回、何もない状態からの支援センター実地演習を行ったことにより、動線や配置など多くの課題を発見することができ、その後の研修会での動画上映により、関係機関の理解もより深まったように感じました。
今シーズンは、異例のスピードで鳥インフルエンザが確認さており、どこで発生してもおかしくない状況です。今回の演習及び検証結果等を基に、発生に備え、迅速かつ的確な防疫対策が行えるよう関係機関と連携し、より一層の体制強化に取り組みます。

2023年1月

輪ギク(省力的品種)の導入に向けて

12月に入り、JA鹿本花き部会の主力品目である年末ギクの出荷が始まりました。
輪ギクの生産現場では高齢化による労働力不足が問題となっており、栽培面積の減少が続いています。特に主力品種である「精興光玉」は脇芽が多く、芽摘み作業に人手がかかる事も減少要因の一つとなっています。
そのため、当課ではJA鹿本と連携し、R3年に脇芽の少ない「精興明杯」の試作を行いました。その結果、芽摘み作業時間は「精興光玉」より6割程短縮され、また花の市場評価もよかった事から、R4年は13名が「精興明杯」を導入しました。
年末出荷用には約50a栽培されており、12月18日前後に出荷ピークを迎える見込みです。
「精興光玉」より芽摘み作業は少ない一方で、『花首や茎が曲がりやすい』、『葉に斑点症状がでる』、『定植直後に立枯れがでた』など試作の段階ではわからなかった問題も出てきており、引き続き問題解決に向けて肥培管理や植調剤の試験等に取組む予定です。
今後もJA等関係機関と連携しながら、引き続き省力的な品目・品種の導入支援を行い、鹿本地域の花き産地の維持を図っていきます。

2023年1月

出荷大会の様子
「ゆうべに」状況(12/1撮影)

JA鹿本苺部会出荷大会を開催

JA鹿本苺部会では、部会員46名が県育成品種「ひのしずく」、「ゆうべに」を中心に作付面積約8haで栽培に取り組んでいます。この度、11月30日に、「JA鹿本苺部会出荷大会」がJA鹿本本所において開催されました。
各市場の担当者が来席しての集合形式開催は3年ぶりで、部会員で等階級毎のパック詰め確認を行った後、JAからイチゴ販売計画について、市場からはイチゴの消費動向や他産地の情勢についてそれぞれ報告がありました。
当課では、昨年度の花芽分化のばらつきを教訓に、例年以上に育苗管理の徹底に取り組んできました。生産者に対しては、講習会や展示ほを活用し、「ゆうべに」栽培指針に基づく肥培管理と定植後の出蕾状況に応じた摘花・摘花房対策を再度理解してもらい、部会全体での管理技術の向上を図りました。
結果、頂花房の花芽分化を揃えることができ、「ゆうべに」においては過去最高の出荷数量で販売がスタートしています。年明け以降まで安定的な出荷が見込まれ、良好な成績が期待されています。
これからも関係機関と連携してイチゴ経営の更なる安定に向けて栽培支援を行っていきます。

2023年1月

生産者に調査結果を説明している様子
排水性の悪い土壌の断面写真

アスパラ新規定植者支援-土壌断面調査の実施

11月17日、来年春にアスパラガス新規定植を検討している生産者を対象に定植予定ほ場の土壌断面調査を行いました。本調査は、土壌の排水性や土性をより詳しく分析するために行うもので、定植から15年以上、植替えを行わず同じほ場で栽培を続けていくアスパラガス栽培では重要な調査になります。今回、農業革新支援センター柿内主幹に協力いただき、JA鹿本アスパラ指導員立合いのもと、生産者へのほ場状況の説明と指導を行いました。調査の結果、土壌の排水性が悪くアスパラガス栽培に適さないほ場については、生産者、農協指導員と話合いを行い、別ほ場の選定を行っています。
当課では、今後の新規定植者支援として来年春の定植に向けた栽培講習会を計画しています。アスパラ栽培に必要な資材、準備・作業の流れを理解してもらうことで、スムーズな定植に繋げることが目的です。また、今年度から取り組んでいる若手生産者グループの勉強会にも勧誘し、体系的な栽培技術面の指導も行っていきます。
部会、JA、普及・振興課が一体となった支援を続けていくことは、栽培技術の向上だけではなく、新規就農者の受け入れ体制の強化・拡充にもつながり、将来的な担い手の確保、産地の維持が期待されます。

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