2022年のエリア普及現地情報

2022年11月

重点対象農家の園地訪問(幼木管理指導)
新規就農者向け講習会(有明地区)

不知火新規就農者の定着に向けた支援~経営力強化を産地全体でバックアップ~

天草地域では、基幹園芸品目である不知火、キュウリ、ミニトマト、トルコギキョウの担い手確保と産地維持を図るため、当課の技術担当と経営担当、関係機関がプロジェクトチームを結成し、新規就農者の定着支援に取り組んでいます。不知火チームでは、天草市への移住者(新規参入者)4名を重点対象に位置づけ、基礎講座や現地指導、経営診断等を実施しています。
9月には天草市・JAと連携し、4日間をかけて重点対象を含む新規就農者14名の就農園地を訪問しました。果樹は永年性作物であることから、園地での個別面談形式で昨年産の技術・経営の反省点や本年産の生育状況等を確認し、摘果作業や病害虫防除、幼木の枝梢管理等について指導しました。また、新規就農者の栽培管理への質問や困っていることも聞き取り、個々の経営や栽培環境に応じたアドバイスも行いました。
特に、不知火栽培の新規就農者が多い有明地区では、JAと連携して新規就農者向け栽培管理講習会を月1回開催し、若手からシニア世代までの就農定着と交流を図っています。
今後も関係機関と連携したきめ細かいサポートにより、新規就農者の技術力向上と経営安定を支援し、就農定着を図っていきます。

2022年9月

~新規就農者の経営の土台づくりと早期定着に向けて~ 第1回勉強会(経営+栽培講習会)を開催

天草地域は、園芸主要品目で生産を行う新規就農者に対して、関係機関とプロジェクトチームを結成し、重点普及課題「新規就農者の定着による稼げる園芸の土台づくり」に取り組んでいます。本年度は個別指導に加え、集合形式での勉強会(集団指導)を3回計画しており、第1回を7月20日に開催しました。
当日は、新規就農者及び関係機関から35名の参加があり、第1部として共通テーマ「経営基礎講座」を、第2部として、同じ作物の就農者同士のつながりと今後の交流を深めることを目的に、担当普及員指導による品目別分科会「栽培技術講座」を実施しました。
新規就農者からは、「経営の知識がなく難しかったが、必要性は理解出来た。しっかり身に着けたい」、「現地研修の復習になり、よく理解できた」、「学んだことを栽培管理に活かしていきたい」等の声が聞かれました。また、当日は「複式簿記テキスト」、「支援制度逆引き集」を配付し、自己研鑽への支援も併せて行っています。
今後も個別指導とともに勉強会(集団指導)を組み合わせながら、新規就農者の所得向上、定着に向けて取り組んでいきます。

2022年8月

適正着果の目安となるモデル樹作成の様子
適正着果の目安となるモデル樹作成の様子

デコポンは適正着果が大切! ~R4年産の生産安定に向けて~

不知火類(デコポン)は、熊本県が全国1位の生産量を誇り、天草は県内主産地の一つです。本年産は、昨年の8月の大雨や秋期の高温・少雨等の影響で、着果が少ない園や樹勢が低下している園がみられます。また、梅雨明けが平年より20日ほど早かったことから、今後の生育への影響が懸念されます。
そのため当課では、本年産の収穫量を十分確保できるよう、JAと連携し、講習会や現地検討会を定期的に実施しています。6月は、高品質・大玉生産・樹勢維持に重要な「適正着果」について講習会を行いました。特に本年産は、今後の高温・乾燥が加わると、品質低下や小玉化、樹勢低下などが心配されます。 
そこで、生産者の園地において、摘果の目安となるモデル樹を作成し、摘果作業の理解促進を図りました。昨年の講習会のモデル樹は他の樹に比べ、本年産の着果が良好であったこともあり、生産者からは「やっぱりこの時期の摘果はすごく重要だと実感した」といった声も聞かれました。
当課では、引き続き本年産の生育や気象データを生かしながら、デコポン生産者の高品質・安定生産を支援していきます。

2022年7月

総会(地方)の様子
プロジェクト検討会の様子

~目指せ(集合形式での)農業者会議総合優勝3連覇~天草地方・天草市4HCの総会を開催

6月7日、天草広域本部で天草地方4Hクラブの総会が開催されました。3年ぶりに関係機関を招いた集合形式での開催となり、5月にクラブ員が勧誘を行った新規就農者2名も招待され、正式にクラブへ加入することになりました。
また、2年間活動休止状態となっていた天草市4Hクラブも、再開に向け、5月からクラブ員・天草市と協議を進めてきた結果、総会を地方と同日に開催することができ、クラブ活動を再スタートしました。
総会後は、今年度のプロジェクト活動について、個別面談方式の検討会が実施されました。準備した「プロジェクト設計書」を活用しながら、自身の農業経営における問題や課題について整理し、今年の取り組みについて、担当普及員も入りながら、それぞれ意見交換を行いました。クラブ員同士でアドバイスする場面も見られるなど、今年度にかける意気込みと併せ、充実した検討内容となりました。
農業普及・振興課では、今後も4Hクラブへの活動支援を通して、地域の将来を担う農業者の育成に取り組んでいきます。

2022年5月

新規就農者個別指導(ミニトマト)
園芸4品目の栽培マニュアル

~園芸主要4品目の栽培マニュアルが完成~新規就農者の定着と技術習得を支援

天草地域は、園芸品目での新規就農者が多いことから、当課では関係機関とプロジェクトチームを結成し、重点普及課題「新規就農者の定着による稼げる園芸の土台づくり」に取り組んでいます。中でも、販路が確実で所得が見通せる不知火、キュウリ、ミニトマト、トルコギキョウの4品目を推奨作物に掲げ、重点的に支援を行っています。
チーム活動では、それぞれのレベルに応じた個別指導や基礎知識を習得する基礎勉強会等を定期的に実施し、栽培技術と所得の向上を図っています。その一環として、令和2年度から新規就農者用の就農支援テキストとして、栽培マニュアルの作成に取り組んでおり、今回、4品目の栽培マニュアルが完成しました。
「分かり易く」をテーマに、作物の生理生態や栽培管理などについて、写真や図表等を多くするなど工夫して、視覚でイメージできる冊子になっています。
配布した新規就農者からは、「こんなマニュアルが欲しかった」、「しっかり勉強して、収量を上げていきたい」等のたくさんの声がありました。
今後は、この栽培マニュアルを活用するとともに、内容の充実とリニューアルを図りながら、新規就農者の更なる技術向上と所得向上に取り組んでいきます。

2022年3月

果実審査会の様子
入賞果実の一部(露地デコポン)

個性豊かな旬の天草カンキツをアピール~天草地域中晩柑果実品評会の開催~

天草地域は、温暖な気候を活かした県内有数のカンキツ産地です。熊本が誇る「デコポン(不知火)」や天草で約100年の歴史を持つ「ポンカン」、多彩なスイーツが人気の「あまくさ晩柑(河内晩柑)」等の中晩柑が栽培されています。
2月は、天草地域のカンキツの出荷最盛期となることから、カンキツ農家の栽培技術の研鑽、消費者へのPR・コロナ禍での消費拡大を目的に、天草広域本部において、天草地域中晩柑果実品評会を開催しました(2月17日)。
品評会には、天草地域のカンキツ7品種81点が出品され、JAや市、農業普及・振興課、天草農業研究所等の果樹振興関係者が審査にあたりました。また、入賞果実については、JA直売所にて展示されました。
令和3年産は、8月の大雨等による厳しい栽培環境でしたが、品質の良い果実が生産され、コロナ禍において、これから販売最盛期となる天草カンキツをアピールすることができました。
近年は、気象変動が激しいことから、高品質安定生産のための栽培環境の整備が課題となっています。天草のカンキツを安定的に消費者に届けられるよう、生産者や関係機関とともに取り組んでいきます。

2022年3月

給与農家への聞き取り(R4.2.14)
TMR採食の様子(R4.2.14)

小規模経営農家におけるTMR利用推進に向けた取組み

当地域では、肉用牛農家249戸のうち、繁殖経営が9割以上で、そのうち約7割の農家は飼養頭数が10頭以下と小規模経営が主です。また、小規模農家では機械導入が進んでおらず、省力的な飼養管理技術が求められていることから、当課ではTMR(完全混合飼料)の導入を推進しています。
しかし、一般的な市販のTMRは300~500㎏/個と大きく、運搬用の機械を有しない農家では利用が難しいことや、小規模農家では開封後すぐに使い切ることが出来ず、変敗してしまうという問題がありました。
そこで今回、関係機関と連携して、70㎏及び100㎏の小型TMRを試作し、繁殖農家19戸で給与実証を実施しました。また、その内5戸を巡回し、小型TMRの給与時の作業性や品質等について聞き取り調査を行いました。
その結果、「TMR給与で身体的負担は軽減され、作業時間は短縮された。」等TMR利用に対して前向きな意見が得られた一方、さらなる小型化を求める声も聞かれました。
今後も地域のニーズに応えることができるよう、関係機関と連携し、TMR利用の体制づくりを行っていきます。

2022年2月

子ども食堂へ提供した天草大王

くまもとの地鶏「天草大王」を子ども食堂へ提供

天草大王(地鶏肉)は、天草地域では生産者6人が年間約6万羽を生産しています。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大が長期化する中で、主な販売先である飲食店の売上げ、インバウンド消費は壊滅的状況にあり、天草大王の需要も激減しています。
このような状況を受け、天草大王生産販売組合(以下、組合)では、県の新型コロナウイルス事業者支援緊急対策事業に取組み、子ども食堂等へ食材提供を2月1日から開始しました。
当課では、生産者との意見交換・検討会や組合の事業計画書の作成支援を行っており、生産者からは「供給先が確保できた。」との意見や、子ども食堂からも、「お肉の提供は助かる。」との声を頂きました。3月にかけて、県内子ども食堂約50か所に、計1~1.5t(約600羽)のお肉を順次提供し、天草大王のリピーターを増やすきっかけづくりにします。
今後、引き続き、天草大王生産者及び組合の活動支援を行い、天草大王の産地維持に向けて助言・指導を行っていきます。

2022年2月

4Hクラブ員によるプロジェクト発表

天草農業未来会議「冬の集い」の開催

管内新規就農者の激励及び青年農業者クラブプロジェクトの活動発表等を行う天草農業未来会議「冬の集い」を12月16日に開催しました。
会場では密を避けるため、人数制限、互いの距離、換気の他、手指、机、マイクの消毒等、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底しました。
新規就農者の激励会では、本年度新規就農者10名のうち5名が出席し、一人ずつ自己紹介と今後の抱負を語り、激励の言葉と記念品(防寒服)贈呈を受けました。
次いで、青年農業者クラブによる活動発表では、1名が意見発表、4部門に5名が経営改善のためのプロジェクト発表を行い、天草農業経営者協議会会長や天草拓心高校教諭など4名の審査員による選考の結果、このうち5名を2月の県大会に推戴することとなりました。
当課では、このような活動発表や交流の機会を通じて、若手農業者が課題解決のための技術を習得し、自ら成長する力を養うことにより、天草農業の「未来」を担う人材を育成してまいります。

2022年1月

研修会の様子
防疫服着脱の様子

防疫演習において鳥インフルエンザ発生時の初動対応を 確認

悪性家畜伝染病発生した場合に備えて、常に万全の防疫体制を整えておくことが最も重要です。このため、天草地域で鳥インフルエンザが発生した場合を想定して、関係者での事前打合せと防疫演習を実施しました。
・11月17日(水)支援センター現地確認
支援センター候補地の阿村体育館(上天草市松島町)について、地域対策本部の総括責任者及び担当者、市担当者とともに現地を確認しました。レイアウトや資材搬入の流れを案に基づき検討して、円滑な運営ができるよう細部にわたり意見交換を行いました。
・11月24日(水)防疫演習
管内発生時の初動対応について、広域本部職員、市町、団体、警察署を対象に、2部構成で演習を行いました。第1部では発生時の地域対策本部初動対応について、具体的な作業内容やスケジュールを確認しました。第2部では、防疫服着脱演習を通じて、資材名称、種類や防疫服着脱時の留意点を説明し、実際の防疫対応についてイメージトレーニングと心の準備を促しました。
今後も、関係機関と連携し、悪性家畜伝染病のまん延防止と被害を最小限にするための当該業務を円滑に進めていきます。

2022年1月

全体会議の様子
分科会(イチゴ)の様子

令和3年度 天草地域冬野菜販売対策会議の開催

天草地域の冬野菜の本格出荷にむけて、11月25日に「令和3年度天草地域冬野菜販売対策会議」を開催しました。
当日は野菜生産者、市場・輸送関係者、管内3JA、市町、県、合わせて約100名が集結しました。
会議では全体会議を行った後、主要品目であるレタス、ミニトマト、イチゴに分かれて分科会を開催しました。分科会では、各JAから現在の生産状況や出荷計画の説明が行われた後、市場から情勢報告が行われました。その後、天草内外の生産物を用いた現物査定を実施し、今後の出荷や栽培管理について活発な意見交換が行われました。
参加者からは、「生産者から生の声を聞くことができて良かった。」「市場からの情勢報告や消費地の動向を聞くことができ良かった。今後もこのような会議を継続して開催してほしい。」といった声が聞かれ、今後も天草一体となって、野菜を生産、販売していけるよう士気が高まる会議となりました。
当課では、引き続き天草産野菜のブランド力を高めることができるよう、関係機関一体となって振興を図っていきます。

2022年1月

講習会の様子

花きIPM講習会の実施(天草)~環境保全型農業推進の取組~

天草では宿根カスミソウやトルコギキョウ、キンギョソウといった切り花栽培が盛んに行われています。花き栽培では、虫害による収量や品質の低下が問題視され、従来の化学農薬に依存した防除は、薬剤抵抗性を持った害虫の出現による防除困難や環境保全の観点からも懸念されています。
そこで、去る11月4日にJAあまくさ花き部会松島支部を対象にIPM講習会を開催しました(花き農家6名、JA担当2名出席)。会では物理的防除や耕種的防除等を交えた総合的な病害虫管理の講習を行い、多方面からの防除による病害虫対策や効果的な防除法について理解して頂きました。
また、当地域では同部会員のほ場に「環境保全型農業推進モデル展示ほ」を設置し、キンギョソウの物理的防除資材を活用したアブラムシ類の防除の検証を行っています。当課では「環境負荷低減」と「収量・品質向上」の両立を目指し、引き続き栽培技術の向上を進めていきます。

※IPM:「総合的病害虫・雑草管理」。農薬だけに頼らず、利用可能なすべての防除技術を利用し、経済性を考慮しつつ、適切な手段を総合的に講じる防除手法のこと。

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